以下に本発明の実施形態を図面により説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限られるものではない。
図1及び図2を参照して、1は、本発明にかかる撮像装置である。撮像装置1は、本体筒部11に収納されている。本体筒部11は、円筒型の基体11aと後述するカメラヘッド13を覆うシール部11bとから構成される。基体11aは、本実施の形態では外径15mm、内径(図2のw)13mmのステンレス製の筒体である。
シール部11bは、シリコンゴム、フッ化エチレンでコーティングされたポリアミド樹脂等で構成された略円筒状の被覆材と、金属メッシュ、炭素繊維メッシュ等で構成された補強材とからなり、カメラヘッド13の搖動を妨げない程度の可撓性を有する。シール部11bの一端は、カメラヘッド13の全周の辺縁にわたって水密又は気密に嵌着されており、他端は基体11aの先端側外周面の全周にわたって水密又は気密に嵌着されている。このようにすることで、シール部11bで覆われた撮像装置1を構成する各部の動作を妨げることなく、各部を水密又は気密に維持することが可能である。シール部11bのカメラヘッド13周縁および基体11a外周面への嵌着は、例えば金属の素線が網状に編組されて形成された網状管を補強材としてカメラヘッド13周縁および基体11a外周面に締結、接着または溶接したのち、フッ化エチレンでコーティングされたポリアミド樹脂の筒状体を被覆材として接着または溶着する。
撮像装置1は、被撮像体に対向する先端に、観察光学系12および照明部131を有する。観察光学系12は、鏡胴12hに収納された対物レンズ12b、中間レンズ12cおよび撮像素子12dから構成される。本実施の形態においては、撮像素子12dを駆動する回路基板12eと、回路基板12eと図示しない制御装置とを接続する撮像用配線12fが観察光学系12と一体で本体筒部11に収納されている。
照明部131は、鏡胴12hを取り囲むように設けられた複数個の照明用LED131aと、照明用LED131aを担持するとともに、撮像用配線12fから供給される電力を照明用LED131aに供給するLED基板131bとから構成されている。ここで、対物レンズ12bと照明用LED131aとが鏡胴12hで隔てられているのは、照明用LED131aの照射光が対物レンズ12bに入射するのを遮り、レンズフレアの発生を防止するためである。
観察光学系12および照明部131は、シールドガラス12aにより被撮像体との対向面が覆われている。
ここで撮像光学系12および照明部131について、本実施の形態では、撮像素子12d、回路基板12e、配線12f、照明用LED131aおよびLED基板131bは撮像装置1の先端に収容される構成としているが、これらを光ファイバ等の光学伝送媒体に代替することも可能である。すなわち、撮像素子12d、回路基板12eおよび配線12fに代えて、対物レンズ12bおよび中間レンズ12cにより結像された被撮像体像を光学的に伝送する撮像用光ファイバ(図示せず)を設け、撮像素子は撮像用光ファイバの後端に接続して、先端から離間して配置する。また、照明用LED131aおよびLED基板13b1に代えて、ライトガイドの先端部(図示せず)を設け、ライトガイド後端部を図示しない光源に接続して、光源を先端から離間して配置する。このような構成とすることにより、撮像装置1の先端には電気回路を設ける必要がなくなるので、高温、高圧、高放射線等の極限環境下においても、正常な動作を確保することが可能となる。
観察光学系12は、観察光学系12の被撮像体の対向面すなわち先端面が面取りされた円筒形または半球形の保持部として機能するカメラヘッド13によって保持されている。カメラヘッド13は、観察光学系12を保持でき、かつ、形状を維持できるものであれば特に制限はなく、例えば、ステンレス、真鍮等の金属、石英ガラス等の無機材料または透明ポリカーボネート樹脂、炭素繊維樹脂等の有機材料もしくはこれらの複合材料からその目的に応じて、適宜に選択することが可能である。例えば、医療用の内視鏡に適用する場合であれば、被検体に対する感作性(金属アレルギー)が低く、殺菌性のあるステンレスが選択され、高温環境で使用される場合には、金属コバルトが選択される。
カメラヘッド13の先端面と反対側の面すなわち後端面には、連結部として機能するヘッドリンカー14が3本、被撮像体から見て(矢示Z方向から見て)カメラヘッド13の円周に沿って120度間隔で回動自在に結合されている。ヘッドリンカー14は、ボールジョイントなどの自在継手によってカメラヘッド13が、撮像装置1の側周の全方位に向けて搖動自在に移動するように結合されている。本実施の形態ではヘッドリンカー14の本数は3本としているが、搖動部として機能する後述のスワッシュプレート16と協働してリンク機構を構成するように結合されていれば特に制限はなく、例えば4本のヘッドリンカー14をカメラヘッド13の円周に沿って90度間隔で結合するようにしてもよい。
ヘッドリンカー14は、スワッシュプレート16の搖動をカメラヘッド13に伝達するのに十分な剛性と強度を有する線材または板材であれば材料や形状に特に制限はない。ヘッドリンカー14の材料は、例えばステンレス、真鍮、チタン等の金属、石英ガラス等の無機材料またはポリカーボネート樹脂、炭素繊維樹脂等の有機材料からその目的に応じて、適宜に選択することが可能である。ヘッドリンカー14の形状は、スワッシュプレート16の搖動角を効果的に増幅してカメラヘッド13に伝達するために屈曲形状にしたもの、スワッシュプレート16の搖動速度変動を緩和するために弾性形状したもの、又はこれらの形状を組み合わせたものなどが可能である。また、ヘッドリンカー14の長さや、スワッシュプレート16とカメラヘッド13との離間距離(図2のL1)は、撮像装置の大きさや、カメラヘッド13の偏向角に応じて適宜に選択すればよい。本実施の形態ではヘッドリンカー14は、5φ(図2のp)のカメラヘッド13に対して1.2φのチタン線が用いられている。
ヘッドリンカー14を介してカメラヘッド13は、アキシャルリンクユニット15に連結されている。アキシャルリンクユニット15は、貫通した開口を有する中空の球体15aと、一方が球体15aの中空と連通した開口端を有し、他方が基体11aの内周壁11cと当接する大きさの開口端を有する中空円錐状の筒体15bとを結合した形状を有する。また、中空円錐状の筒体15bの周壁には、ヘッドリンカー14が貫通する貫通孔15cが設けられている。アキシャルリンクユニット15は、基体11aの内周壁11cと当接する筒体15bの開放端が、カメラヘッド13の後端面と、離間した位置で対向するように設置されている。
上述したようにアキシャルリンクユニット15は、筒体15bから球体15aにかけて連通孔15dを形成する。この連通孔15dには、カメラヘッド13に保持された観察光学系12および照明部131から延長された配線12fや光ファイバ(図示せず)が貫通して後端側の図示しない撮像用制御装置まで延伸している。
球体15aの外表面は、後述するスワッシュプレート16を当接支持して、スワッシュプレート16が摺動しながら搖動することを可能としている。すなわちアキシャルリンクユニット15のうち、球体15aは、スワッシュプレート16と協働して搖動部として機能する。
一方、筒体15bに設けられた貫通孔15cは、ヘッドリンカー14の長手方向以外の移動を規制して、カメラヘッド13の搖動を制御する。すなわちアキシャルリンクユニット15のうち、筒体15bは、規制部として機能する。
アキシャルリンクユニット15は、搖動部及び規制部としての機能を奏するものであれば材料に制限はないが、加工精度および耐久性を高いものとする観点から金属製またはセラミック製であることが好ましい。例えば、ステンレス製の一体成型ダイキャストで、研磨処理がされているものであればよい。
アキシャルリンクユニット15の各部寸法(例えば、筒体15bの最大径(図2のq1)、球体15aの直径(図2のq2)、カメラヘッド13から貫通孔15cまでの距離(図2のL2)、全長、肉厚)は、撮像装置の大きさや、カメラヘッド13の偏向角に応じて適宜に選択すればよい。
スワッシュプレート16は、環状の円盤であり、内周部がアキシャルリンクユニット15の球体15aと当接し、球体15aの外表面に沿って摺動しながら搖動可能に載置されている。スワッシュプレート16の寸法は、撮像装置の大きさや、カメラヘッド13の偏向角に応じて適宜に選択すればよい。
スワッシュプレート16は、カメラヘッド13に対向する側の周方向にヘッドリンカー14が連結されている。ヘッドリンカー14の連結位置は、カメラヘッド13におけるヘッドリンカー14の連結位置と位相が一致していることが、精度の高い駆動を実現できるので望ましい。
以上のとおり、本発明にかかる撮像装置1は、カメラヘッド13とヘッドリンカー14とスワッシュプレート16とで閉路を形成し、リンク機構を構成する。このリンク機構により、アキシャルリンクユニット15とスワッシュプレート16とから構成される搖動部の搖動角を増幅してカメラヘッド13を搖動させることができるので、狭隘部に存在する被撮像体に対峙するカメラヘッド13を小型化しやすくなるという効果を奏する。
スワッシュプレート16のカメラヘッド13に対向する側と反対側の周方向には、複数の駆動ワイヤ17が各々連結されている。駆動ワイヤ17は、図示しないモータと接続されていて、モータの駆動をスワッシュプレート16に伝達するものであり、図示しないモータと協働して駆動部として機能する。本実施の形態では、矢示Z方向から見て180度間隔で設けられた二対の駆動ワイヤ17が90度の間隔で設けられており、一対の駆動ワイヤ17は連動して送りと引張りの駆動をスワッシュプレート16に伝達する。
なお、スワッシュプレート16は、複数の駆動ワイヤ17の張架により球体15aとの当接が常時、維持されている。
駆動ワイヤ17は、ワイヤマウントベース18を介して図示しない駆動モータに接続されている。ワイヤマウントベース18は、駆動ワイヤ17の移動を長さ方向に規制する挿通孔であるワイヤガイド19を有し、駆動ワイヤ17はワイヤガイド19を挿通して図示しない駆動モータに接続されている。相対するワイヤガイド19の離間距離(図2のs)や、スワッシュプレート16とワイヤマウントベース18との距離(図2のm)は、撮像装置の大きさに応じて適宜に選択すればよい。駆動モータは例えば、駆動軸が互いに直交するように設けられた2個のステップモータ、ソレノイド、人工筋肉等を適用することが可能である。
なお、本実施の形態では、駆動部にモータを利用した形態について説明したが、駆動ワイヤ17が図示しない操作ハンドルに連結されており、駆動ワイヤ17を手動で駆動する形態であってもよい。
以下、図3を用いて撮像装置1の動作の説明を行う。図示しない操作部での操作指示に基づき、図示しないモータが駆動して、駆動ワイヤ17を介してスワッシュプレート16を相当量、相当の向きに搖動させる。スワッシュプレート16の搖動は、ヘッドリンカー14を介してカメラヘッド13に伝達される。このとき、ヘッドリンカー14は、アキシャルリンクユニット15の筒体15bに設けられた貫通孔15cによって長手方向以外の移動が規制されているので、カメラヘッド14は、その位置を変位させることなく、カメラヘッドの略中央部を搖動軸とした搖動を行い、撮影視野の移動を行うことができる。さらに、シール部11bはカメラヘッド13の搖動に追随しているので、水密又は気密に維持される。
図3では、カメラヘッド13を下方(矢示g方向)に偏向させた状態を示している。図3の正面視上方側の駆動ワイヤ17をカメラヘッド13方向(矢示a方向)に駆動させると、スワッシュプレート16は、前記駆動させた駆動ワイヤ17側が、アキシャルリンクユニット15の球体15aの外表面を摺動しながら、カメラヘッド13方向、すなわち、送り方向(矢示c方向)に搖動し、同時に前記駆動した駆動ワイヤ17と対になっている反対側の駆動ワイヤ17に接続された側は、カメラヘッド13方向と反対の方向、すなわち、引張り方向(矢示d方向)に移動する。スワッシュプレート16の前記搖動に連動して前記送り方向(矢示a方向)に駆動された駆動ワイヤ17と引張方向(矢示b方向)に駆動された駆動ワイヤ17とに各々対応した位置でスワッシュプレート16に連結された各ヘッドリンカー14も、それぞれ送り方向(矢示e方向)と引張り方向(矢示f方向)に移動する。このとき各ヘッドリンカー14は、貫通孔15cによって長手方向以外の動きが規制される。ヘッドリンカー14は、カメラヘッド13と回動自在に接続されているため、スワッシュプレート16のてこ運動による搖動角を増幅してカメラヘッド13を矢示g方向に搖動させる。
前記駆動した駆動ワイヤ17の連結点(例えば17a)とスワッシュプレート16の周方向180度隔てた側(例えば16b)は、カメラヘッド13と逆方向に摺動移動するので、リンク機構のてこ運動がなされる。前記駆動した駆動ワイヤ17の連結点(例えば17a)に対応するヘッドリンカー14(例えば14a)は、スワッシュプレート16の前記てこ運動に連動して、カメラヘッド13方向(矢示e方向)に移動する。このとき、貫通孔15cによってヘッドリンカー14は、長手方向以外の動きが規制される。ヘッドリンカー14は、カメラヘッド13と回動自在に接続されており、前記てこ運動の搖動角を増幅してカメラヘッド13を矢示g方向に搖動させる。
なお、シール部11bは、前記カメラヘッド13方向に移動したヘッドリンカー14に対応する部分のシール部11bは伸長し、反対側の部分のシール部11bは収縮してカメラッド13の動きに追随する。
本実施の形態によれば、観察光学系12を保持するカメラヘッド13と、スワッシュプレート16とを、複数のヘッドリンカー14で連結して簡易な三次元のリンク機構を構成するため、撮像装置を駆動する機構の大きさの制約を受けずに小型化が可能であり、狭い可動空間でも広範囲に亘る視野の移動を、長時間かつ長期間に亘って安定して精度よく行うことができる。
本実施の形態によれば、カメラヘッド13とスワッシュプレート16との間に、ヘッドリンカー14の長手方向以外の移動を規制する規制部として筒体15bの貫通孔15cを設けているので、スワッシュプレート16の搖動をヘッドリンカー14が高精度でカメラヘッドに伝達することが可能となる。
本実施の形態によれば、スワッシュプレート16の搖動は、球面ガイド部であるアキシャルリンクユニット15の球体15aと、摺動部であるスワッシュプレート16の内周とが摺動しながら搖動するので、スワッシュプレート16の自在な搖動が可能となり、カメラヘッド13の視野移動も自在なものとできる。
本実施の形態によれば、スワッシュプレート16を支持する球体15aと、ヘッドリンカー14の長手方向以外の移動を規制する貫通孔15cを設けた筒体15bとを連結したアキシャルリンクユニット15が基体11aの内周に固定されているので、基体11aと貫通孔15cと球体15aとの位置関係を常に一定のものとできるので、カメラヘッド13の搖動偏向を安定したものとすることができる。
本実施の形態によれば、基体11aとカメラヘッド13との間を水密または気密に保持する可撓性のシール部11bを設けたので、カメラヘッド13の自在な偏向を妨げることなく、撮像装置1の耐水および耐汚染を確実なものとすることができる。
本発明にかかる他の実施の形態を、図4を用いて説明する。図1、図2と共通する部分は、同一の番号を付し、詳細な説明は割愛する。
本実施の形態では、図1、図2のアキシャルリンクユニット15及びスワッシュプレート16に代えて、基体11の内周壁11cに固定された円環状の規制部21および円環状の支持部材22と支持部材22に搖動可能に支持された中空の半球体23とを設けている。円環状の規制部21は、周方向にヘッドリンカー14を通す貫通孔21aを有する。貫通孔21aによって、ヘッドリンカー14は、長手方向以外の動きが規制される。また、規制部21の中央孔21bは、撮像用配線12bや撮像用光ファイバを通すようになっている。
中空の半球体23は、図1、図2のスワッシュプレート16に相当する役割を果たす。半球体23は、開放端面23aがカメラヘッド13の後端面と離間して対向し、球体表面23bが円環状の支持部材22の内周に当接支持されている。すなわち半球体23は、支持部材22の内周22aと当接する球体表面23bに沿って搖動可能に設置されているもので、支持部材22と協働して搖動部として機能するものである。
4本のヘッドリンカー14はそれぞれ、一端が観察光学系12の方向(矢示Z)から見てカメラヘッド13の円周に沿って90度間隔で回動自在にカメラヘッド13に接続され、貫通孔21aを貫通して、他端が半球体23の開放端面23aのリング状に形成された周縁端面上で周方向に連結される。4本の駆動ワイヤ17はそれぞれ、球体表面23b上の、観察光学系12の方向(矢示Z)から見てカメラヘッド13の円周に沿って90度間隔で連結されている。また、駆動ワイヤ17は、支持部材22の周方向に設けられたワイヤガイド24を貫通し、撮像装置後端側に設置された図示しない駆動モータに接続されている。
本実施の形態では、カメラヘッド13と、4本のヘッドリンカー14と、半球体23とによって形成された閉路によって立体的なリンク機構が構成されている。半球体23は、駆動ワイヤ17の駆動により、球体表面23bが支持部材22の内周22aを摺動しながら搖動する。なお、規制部21および支持部材22は基体11aの内周壁に固定されている。
以下、図5乃至図11を用いて、本発明にかかる撮像装置を内視鏡システムに適用した実施形態について説明する。図1、図2と共通する部分は、同一の番号を付し、詳細な説明は割愛する。
図5は、本実施の形態に係る硬性内視鏡システムの構成図である。硬性内視鏡3は、硬質で細長の挿入部31と、挿入部31の後端に設けられた接眼部32とを有する。挿入部31の先端部31aは、後述するとおり、本発明にかかる撮像装置1を内蔵する。
接眼部32から延出された信号ケーブル36bの端部の信号コネクタ36cは、制御部37に着脱自在に接続される。制御部37は、モニタ用ケーブル38を介して制御部37からの映像信号を表示する表示装置39に接続されている。また、接眼部32には、先端部31aに組み込まれた撮像装置1のカメラヘッド13を偏向させるための操作ハンドル325も装着されている。
図6は、本発明にかかる撮像装置を硬性内視鏡に適用した場合の内視鏡システムの基本構成を示すブロック図である。なお、図6は、システムの基本構成の説明に必要なもののみを示したものであり、この構成に限定する趣旨ではない。硬性内視鏡3の先端部31aは、本発明にかかる撮像装置1の対物レンズ12a、鏡胴12h等からなる観察光学系12、観察視野を照らす照明部131及びスワッシュプレート16等から構成される搖動部が組み込まれる。ここで、観察光学系12からは光ファイバ12gが延出している。すなわち、本実施の形態では、観察光学系12で結像した被撮像体像は光ファイバ12gを介して接眼部32に設けられた撮像素子321に伝送される。
接眼部32は、撮像素子321、撮像制御部322、モータ323、インタフェース324および照明用LED光源325を有する。
観察光学系12から延出している撮像用光ファイバ12gは、撮像素子321に接続されており、撮像用光ファイバ12gを介して伝送された被撮像体像は撮像素子321により電気信号へと変換される。撮像素子321で変換された電気信号は、インタフェース324および信号ケーブル36bを介して制御部37に伝送される。
先端部31aのスワッシュプレート16から延出している駆動ワイヤ17は、接眼部32のモータ323に接続されている。駆動ワイヤ17とモータ323とで、前記搖動部の搖動を駆動する駆動部を構成する。また、本実施の形態のおいては、接眼部32に設けられた操作ハンドル325を操作することによっても駆動ワイヤ17を駆動して搖動部の搖動を可能としている。
照明用LED光源325は、ライトガイド131cを介して照明光を先端部31aの照明部131に伝送する。
接眼部側インタフェース324は、制御部37から伝送される制御信号等を受信し、接眼部32の状態を表すステータス情報撮像素子321で電気信号に変換された撮像情報等を信号ケーブル36bを介して制御部37に伝送する。
撮像制御部322は、制御部37からの指示に基づいて、撮像素子321の駆動、撮像素子321で変換された電気信号の伝送、モータ323の駆動および照明用LED光源325の駆動等を制御する。
制御部37は、硬性内視鏡システム3全体を制御するもので、制御インタフェース371、全体制御部372、記憶部373、表示インタフェース374、モータ制御部375および画像処理部376を含む。
制御部37は、制御インタフェース371を介して接眼部32から受信し、全体制御部372で各種データ処理が行う。操作部32から伝達された撮像情報は、記憶部373で記憶される。記憶部373に記憶される情報は、制御部37が各種機能を実現するためのプログラム、画像処理部376が一時的または恒久的に記憶する撮像情報、接眼部32および表示装置39から伝送されるステータス情報等を含むものである。
記憶部373で記憶された撮像情報は、画像処理部376で処理された後、表示インタフェース374を介して画像データとして表示装置39に伝達される。
モータ制御部375は、接眼部32から伝送される撮像情報およびステータス情報、表示装置39から伝送されるタッチパネル394の操作情報等に基づいて、撮像装置1のカメラヘッド13の偏向量および偏向速度を決定し、制御信号をモータ323に伝送して制御する。モータ制御部375では例えば、関心領域画像を表示装置39の中央に表示し続けるための、撮像装置1のカメラヘッド13の偏向により目標画像を追尾する制御を実行する。
表示装置39は、表示装置側インタフェース391を介して、制御部37から伝達された画像データを表示制御部392によってディスプレイ393に表示させる。また、表示装置39はタッチパネル394を有しており、術者はタッチパネル394を操作することにより内視鏡システムの各種設定や制御を行うことが可能となる。
図7は、硬性内視鏡3の先端部31aの側断面図である。先端部31aは、金属パイプ312と、この金属パイプ312の基端部、すなわち、操作部32側に連結され、鉗子等の処置具(図示せず)で施術するために挿通するチャンネルチューブ313とによって構成された内視鏡用チャンネル314と、本発明にかかる撮像装置1を嵌装する観察窓部315とから構成される。
本実施の形態では、撮像素子321およびその制御回路は接眼部23に収納されているので、カメラヘッド13に装着された観察光学系12を構成するのは鏡胴12hに収納された対物レンズ12bと、対物レンズ12bで結像された被撮像体像を伝送する撮像用光ファイバ12gである。また、照明用LED光源325およびその制御回路も接眼部32に収納されているので、鏡胴12hを隔てて対物レンズ12bを取り囲むように設置された照明部131は、後端部が照明用LED光源325に接続されたライトガイド131cの先端面となる。
以上のように、本実施の形態に係る撮像装置1を硬性内視鏡システムに適用することにより、硬性内視鏡全体を回転、移動させずとも、パン、チルトなどの撮像視野の移動が可能となる。
本実施の形態によれば、先端部31a内に電磁波ノイズの影響を受けやすい電気回路部品がないので、先端部31a近傍でラジオ波照射治療を行ったり、術野に先端部31aを留置したままMRI(核磁気共鳴画像法)撮影を行っても、撮像装置1による撮像を継続できる。
本実施の形態よれば、接眼部32に設けられた照明用LED光源325の発光を、ライトガイド131cが伝送して、被撮像体に照明光を照射する。接眼部32では、放熱ファン(図示せず)等を設けて照明用LED光源325の発熱を効率よく放熱でき、長時間にわたって撮像を行った場合でも、光源の発熱による照明光の色温度の変化や、撮像装置1内部の温度上昇に伴う撮像素子321の撮像特性の変化を最小に留めることができるので、長時間にわたって解像度や色再現性に優れた撮像を容易に行うことができる。
図8は、本実施の形態に係る軟性内視鏡システムの構成図であり、図9は、軟性内視鏡の先端の正面図である。軟性内視鏡4は、軟質で細長の挿入部41と、この挿入部41の後端に設けられ、挿入部41よりも太径の操作部42とを有する。挿入部41は、先端部分で、後述するように本発明にかかる撮像装置1を内蔵する先端部41aと、先端部41aの後端に連設された湾曲自在な湾曲部41bと、湾曲部41bの後端に連設された可撓性を有する可撓管部41cとから構成される。操作部42には、鉗子を挿入する鉗子挿入口43が設けられており、図9の鉗子出口44に連通している。なお、図9の噴射ノズル45は、図示しない送気・送水装置から供給されたエアー、洗浄水を撮像装置1の観察光学系12のシールドガラス12aに噴射し、付着した汚れを払拭する。
操作部42の後端側には、操作部42の長手方向と直交する方向にユニバーサルコード46の一端が接続されている。ユニバーサルコード46の他端は、制御部47に接続されている。制御部47は、先端部41aに内蔵された撮像装置1で撮像されて入力された撮像信号に各種画像処理を施して内視鏡画像を生成し、制御部47に接続された表示装置48に表示させる。
また、操作部42には、湾曲部41bを上下方向及び左右方向に湾曲させるアンクルノブ49が設置され、先端部41aを体腔内の所望の方向に向けることができる。後述するように、本実施の形態に係る撮像装置1を内蔵する先端部41aに連なる湾曲部41bと、アンクルノブ49に連結されたプーリとの間に湾曲操作ワイヤが架け渡されている(図示せず)。アンクルノブ49の回転操作に伴って前記プーリが回転して湾曲操作ワイヤが牽引され、それにより、湾曲部41bが所定の方向に湾曲する。操作ハンドル425は、先端部41aに組み込まれた撮像装置1のカメラヘッド13を偏向させるための操作部である。
図10は、本発明にかかる撮像装置を軟性内視鏡に適用した場合の内視鏡システムの基本構成を示すブロック図である。図10も図6同様、システムの基本構成の説明に必要なもののみを示したものであり、この構成に限定する趣旨ではない。軟性内視鏡4の先端部41aは、本発明にかかる撮像装置1の対物レンズ12a、撮像素子12d、鏡胴12h等からなる観察光学系12、照明用LED131a、LED基板131bから構成される照明部131及びスワッシュプレート16等から構成される搖動部が組み込まれる。
撮像光学系12の撮像回路(図示せず)および照明部131の照明用LED131aから延出している撮像用配線12fは、操作部42の撮像インタフェース421されている。撮像光学系12の撮像素子12dは、対物レンズ12bを介して被撮像体からの光を受光して電気信号に変換し、撮像用配線12fを介して操作部42に伝送する。また、照明部131の照明用LED131aは、操作部42から撮像用配線12fを介して電力の供給を受けている。撮像制御部422は、撮像素子12dおよび照明用LED131aに対する制御信号を撮像用配線12fを介して伝送する。
先端部41aのスワッシュプレート16から延出している駆動ワイヤ17は、操作部42のモータ423に接続されている。駆動ワイヤ17とモータ423とで、前記搖動部の搖動を駆動する駆動部を構成する。また、本実施の形態のおいては、操作部42に設けられた操作ハンドル425を操作することによっても駆動ワイヤ17を駆動して搖動部の搖動を可能としている。
操作部42の操作情報、撮像情報は、操作部インタフェース424を介して制御部47に伝達される。制御部47に伝達された各種信号は、制御部インタフェース471を介して、全体制御部472により各種データ処理が行われる。操作部42から伝達された撮像情報は、記憶部473で記憶される。記憶部473に記憶される情報は、制御部47が各種機能を実現するためのプログラム、画像処理部476が一時的または恒久的に記憶する撮像情報、操作部42および表示装置48から伝送されるステータス情報等を含むものである。
記憶部473で記憶された撮像情報は、画像処理部376で処理された後、表示インタフェース474を介して画像データとして表示装置48に伝達される。
モータ制御部475は、操作部42から伝送される撮像情報およびステータス情報、表示装置48から伝送されるタッチパネル484の操作情報等に基づいて、撮像装置1のカメラヘッド13の偏向量および偏向速度を決定し、制御信号をモータ423に伝送して制御する。モータ制御部475では例えば、関心領域画像を表示装置48の中央に表示し続けるための、撮像装置1のカメラヘッド13の偏向により目標画像を追尾する制御を実行する。
表示装置48は、表示装置側インタフェース481を介して、制御部47から伝達された画像データを表示制御部482によってディスプレイ483に表示させる。また、表示装置48はタッチパネル484を有しており、術者はタッチパネル484を操作することにより内視鏡システムの各種設定や制御を行うことが可能となる。
図11は、軟性内視鏡4の先端部41aの側断面図である。先端部41aは、先端カバー412のL字状の切欠きが形成された基端側と前記L字状の切欠きと同形の切欠きが先端に形成された湾曲自在な筒状体413とが対向嵌合され、先端部41aの内部空間を形成している。湾曲自在な筒状体413の外表面は、柔軟性のあるゴム414によって被覆されている。
前記内部空間には、図11で説明した鉗子出口44に通じる鉗子等の処置具(図示せず)を挿通するチャンネルチューブ415及び本発明にかかる撮像装置1が嵌装されている。先端部41aに内蔵される撮像装置1は、図1ないし図3を用いて説明した撮像装置1と同一のものであり、その説明を割愛する。撮像装置1及びチャンネルチューブ415の後端側には、図8で説明したアンクルノブ49、プーリ、モータ、操作ワイヤによって、湾曲部41bに湾曲作用を付与する湾曲駒416が、筒状体413の内周に設けられた固定部材417によって固定されて直列に連続して連結されている(図9では、先頭の湾曲駒416のみを示している)。前記内部空間の撮像装置1、チャンネルチューブ415及び湾曲駒416が設置されている余の空間には、高熱伝導性樹脂418が充填固化されている。
以上のように、本実施の形態に係る撮像装置1を軟性内視鏡システムに適用することにより、湾曲部41bの湾曲による撮像視野の移動に制約がある場合であっても、カメラヘッド13の自在な搖動による撮像視野の移動が可能となる。
また、本実施の形態によれば、湾曲部41bの湾曲と、カメラヘッド13の搖動のいずれかを用いて視野移動するこが可能となり、軟性内視鏡の使用状況に応じた視野移動が行える。たとえば、湾曲部41bが湾曲させて鉗子出口44から所望の術野に鉗子等の器具を配置した状態を維持したままで、カメラヘッド13の搖動により、先端部41a周辺の撮像視野を広く観察することも可能となる。また、噴射ノズル45で体腔内の洗浄を行う際に、噴射ノズル45の噴射先以外の体腔内壁の洗浄度合を、カメラヘッド13の搖動による視野移動により確認することも可能となる。