JP2004147981A - 撮像装置 - Google Patents

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Masahiro Hagiwara
雅博 萩原
Hiroyuki Kuroda
宏之 黒田
Kazuo Masu
和夫 萬壽
Daiki Takayama
大樹 高山
Masami Shimizu
正己 清水
Ichiro Ikari
一郎 碇
Satoshi Takekoshi
聡 竹腰
Nobuaki Akui
伸章 安久井
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Abstract

【課題】磁性体を利用することなく、密閉ユニット内の光学系を密閉ユニット外から移動操作できるようにする。
【解決手段】カメラヘッド3は、使用者が操作リング38を回動操作すると、操作リング38の溝54が駆動ピン52によって密閉ユニット36と繋がっているため、操作リング38の回動に応じ、密閉ユニット36も前側外装部材34内で回動する。しかしながら、密閉ユニット36内のレンズ枠48は常時カムピン49によって重力方向への引かれているため、密閉ユニット36の回動に応じ回転することはなく、常に重力に対して一定の方向と姿勢を保っている。このため、カム環47に設けられたカム溝50とレンズ枠48に設けられたカムピン49との作用によって、密閉ユニット36の回動に応じカムピン49により規制された方向へとレンズ枠48は光軸上を移動することになる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は被写体を撮像する撮像装置に係り、特に内視鏡の接眼部の像を撮像する場合に好適な撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、体腔内に細長の挿入部を挿入することにより、体腔内臓器等を観察したり必要に応じて鉗子チャンネル内に挿通した鉗子を用いて生体内組織を採取して患部を詳しく診断する医療用内視鏡が広く用いられている。
【0003】
このような内視鏡から映像信号を形成する方法の一例として、ファイバスコープ等による内視鏡と内視鏡用撮像装置を用いた方法がある。
【0004】
内視鏡と内視鏡用撮像装置を用いた方法では、内視鏡の先端に配置された対物レンズにより結像した被写体の像をイメージファイババンドルを用いて接眼部まで伝送し、接眼部に着脱自在の内視鏡用撮像装置を取り付け、接眼部の像を内視鏡用撮像装置内の撮像素子に再結像させ、その出力信号から映像信号を作成する。
【0005】
近年、内視鏡用撮像装置のような内部に光学系を有する医療機器においても、滅菌の効率や経済性を追求するため、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)に対する耐久性が求められるようになってきている。一般に、内視鏡用撮像装置のような医療機器に高圧蒸気滅菌に対する耐久性を持たせる場合、蒸気による高温の影響並びに湿度の影響、特に光学系の曇り発生を防止するため、光学系を気密に密閉されたユニット内に設け、同じく密閉ユニット内に設けられたCCD等の撮像素子によって光学像を撮像するよういになっている。
【0006】
このような従来の内視鏡用撮像装置においては、例えばCCD上に結像する内視鏡像のフォーカシング、あるいはズーミングなどのために、密閉ユニットに内蔵された光学系あるいは撮像素子をその光軸に沿って使用者の随意に移動調整する必要を生じる。このことに対応して、密閉ユニットに内蔵された光学系あるいは撮像素子を磁気的連結手段を利用することにより移動調整する技術がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−179505号公報(第6−9頁、図1−9)
【0008】
【特許文献2】
特許第3085410号公報(第3−4頁、図1)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来の光学系あるいは撮像素子を磁気的連結手段を利用することにより移動調整する技術では、撮像装置に対する衝撃や外力の影響、あるいは駆動側磁性体の急峻な動きによって磁気的連結が外れてしまう可能性があり、この場合光学系の移動調整が不可能になってしまう。また、近年ではMRI(Magnetic Resonance Imaging)による透視観察下において内視鏡および内視鏡用撮像装置を使用した術式を展開する例も増えてきているが、MRI観察環境下においては磁性体に対する強い磁力の作用や、あるいは観察像アーチファクト等の問題を生じるため術式に支障を生じる可能性がある。
【0010】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、高圧蒸気滅菌に対する耐久性を有する内視鏡用撮像装置あるいは内視鏡において、磁性体を利用することなく、密閉ユニット内の光学系あるいは撮像素子を密閉ユニット外から移動操作させることができる撮像装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため請求項1に記載の撮像装置は、被写体を撮像可能な撮像面を有する撮像手段と、前記撮像手段の前記撮像面の被写体像を形成可能な光学系を保持するための枠部材と、内周面が円筒状に形成された外装を有し、前記撮像手段及び前記枠部材を収納するとともに、前記内周面に前記撮像手段または前記枠部材の少なくとも一方が遊嵌可能で、前記枠部材に保持された前記光学系と前記撮像手段との相対距離を変化可能にする本体部と、前記本体部の前記内周面に形成されたカム溝と、前記カム溝に沿って移動自在な状態で該カム溝に挿入されるとともに、前記一方に固定され、自重によって前記一方より垂下する垂下部材と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1乃至図3は本発明の撮像装置の第1の実施の形態に係り、図1はカメラヘッド及びその周辺部の断面図、図2はレンズ枠及びその周辺部を詳細に示す断面図、図3は内視鏡システムの全体構成を示す説明図である。
【0013】
(構成)
まず、図3を用いて内視鏡システムの全体構成を説明する。
図3において、内視鏡システム1は、内視鏡スコープ2と、光源装置27と、ライトガイド28と、内視鏡用撮像装置のカメラヘッド3と、電気信号線71と、コネクタ72と、プロセッサ装置73と、モニタ74とを含んで構成されている。
【0014】
内視鏡スコープ2は、先端側から順に、細長な挿入部21と、把握部22と、スコープアイピース23とを連設して構成されている。
【0015】
カメラヘッド3にはアイピースマウント31が設けられている。アイピースマウント31にはスコープアイピース23が接続される。カメラヘッド3は電気信号線71およびコネクタ72を介してプロセッサ装置73に接続され、プロセッサ装置73にはモニタ74が接続される。
【0016】
内視鏡スコープ2の把握部22にはライトガイドコネクタ24が設けられている。内視鏡スコープ2のライトガイドコネクタ24には、ライトガイド28の一端が接続される。ライトガイド28の他端には光源装置27が接続されている。
【0017】
このような構造により、内視鏡スコープ2には、光源装置27から出射された照明光がライトガイド28を介して供給される。
【0018】
内視鏡スコープ2内に伝達された照明光は、挿入部21の先端25から出射されて患者体腔内組織などの被写体20を照らし出す。照らされた被写体20の像は内視鏡スコープ2の挿入部21内に設けられた図示されない光学系を介してスコープアイピース23から出射される。
【0019】
スコープアイピース23から出射された被写体20の内視鏡像はカメラヘッド3内に入射し、図1に示す撮像素子55上に結像して光電変換され、撮像信号として図3に示す電気信号線71とコネクタ72を介しプロセッサ装置73に入力される。プロセッサ装置73には、図示されない映像信号処理回路が内蔵されており、コネクタ72を介して入力された映像信号を処理し、映像信号として出力する。プロセッサ装置73から出力された映像信号はモニタ74に入力され、モニタ74は入力された映像信号に基づいてモニタ画面75上に被写体20の内視鏡像を表示するようになっている。
【0020】
次に、本実施の形態の要部について説明する。
図1に示すように、カメラヘッド3はアイピースマウント31と本体部33とを含んで構成される。アイピースマウント31は、例えば特開昭61−130915号公報に開示されたような構成をしており、スコープアイピース23のテーパ部26に押し当てる押当て部32を設けている。
【0021】
このような構造によりアイピースマウント31にはスコープアイピース23が着脱自在に接続される。
【0022】
本体部33は筐体として前側外装部材34と後側外装部材35とが設けられている。前側外装部材34の中には密閉ユニット36が回動自在の状態で収納している。
【0023】
前側外装部材34の先端側外周にはフランジ部37が形成されている。前側外装部材34の外周におけるフランジ部37の後側には操作リング38が回動自在に設けられている。前側外装部材34の操作リング38より後側には、固定リング39がねじ止めにより取り付け固定されている。このような構造により、操作リング38は、フランジ部37と固定リング39によって軸方向に移動しないよう位置規制されている。
【0024】
密閉ユニット36は、前側外装部材34内を回動自在であるとともに、前側外装部材34に固定された後側外装部材35によって軸方向に移動しないよう位置規制されている。
【0025】
密閉ユニット36は筒状部材41とハーメチックコネクタ42とカバーガラス43とにより構成される。
【0026】
筒状部材41は、例えば金属により形成された細長の筒状形態になっている。筒状部材41の前側には、平面部44を介して細径の筒状部45が形成されている。
【0027】
筒状部45の前端にはカバーガラス43が気密状態で取り付け固定されている。カバーガラス43は透光性を有する部材により形成されている。
【0028】
筒状部材41の後側には、ハーメチックコネクタ42が気密状態で取り付け固定されている。
【0029】
ハーメチックコネクタ42は、金属の枠に、導電性を有する複数の導電ピン46をガラスなどの不導体を介して気密に接合した構造になっている。
【0030】
ここで、筒状部材41とハーメチックコネクタ42とカバーガラス43は、互いに溶接あるいは半田付け、ロウ付け、接着などの手段によって接合されており、全体として密閉ユニット36の内部が外部に対し密閉すうよう形成されている。
【0031】
密閉ユニット36の内部には、カム環47が内嵌固定されている。カム環47内周にはレンズ枠48が摺動自在に挿入している。
【0032】
レンズ枠48の外周の中間部にはカムピン49が固定して設けられている。一方、カム環47にはカム溝50が形成されている。カムピン49の先端側はカム環47のカム溝50に摺動可能な状態で挿入している。
【0033】
密閉ユニット36の筒状部材41の外周上にはねじ穴51が密閉ユニット36の内部に挿通しないよう形成されている。該ねじ穴51には駆動ピン52のねじ部が螺合している。前側外装部材34にはスリット53が光軸と直交する円周方向に形成されている。操作リング38の内周面には前後方向に沿って溝54が形成されている。
【0034】
駆動ピン52は、前側外装部材34に設けられたスリット53を通って、操作リング38に設けられた溝54と噛み合っている。
【0035】
密閉ユニット36内部において、レンズ枠48よりも後端側には撮像素子55が固定されている。撮像素子55にはPC及びFPCにて形成された電気基板56が接続されている。
【0036】
電気基板56は複数の導電ピン46と電気的に接続している。複数の導電ピン46は密閉ユニット36外においてそれぞれ電気信号線71の複数のコード70と電気的に接続している。電気信号線71は後側外装部材35を挿通し、本体部33外へと導出される。
【0037】
電気信号線71は導出部と複数の導電ピン46との間において、余長を設けてあり、複数のコード70がある程度弛んだ状態で後側外装部材35内に収納される。尚、電気信号線71の導出部には、急峻な屈曲を防止すための可撓性部材によるブーツ57を設けてもよい。
【0038】
次に、図2を用いてレンズ枠48の詳細に詳細に説明する。
レンズ枠48はレンズ枠本体58と該レンズ枠本体58外周に固定される押さえ管59とにより構成される。
【0039】
レンズ枠本体58には撮像光学系60が内嵌固定されている。撮像光学系60は例えば先端側から順に凸レンズ61、凹レンズ62、凸レンズ63を配置して構成されている。
【0040】
レンズ枠本体58の前側外周及び後側外周には、それぞれ溝部64,65が光軸と直交する円周方向に形成されている。溝部64,65には鋼球またはそれに類する複数の球体66,67がそれぞれ挿入されている。レンズ枠本体58の前側外周及び後側外周には、複数の球体66,67の脱落を防止するための押さえ管59が取り付けられている。
【0041】
このような構造により、レンズ枠本体58と押さえ管59との間には、鋼球またはそれに類する球体66,67が回動自在に設けられており、球体66,67は押さえ管59によってレンズ枠48と分離せず保持されるようになっている。
【0042】
また、レンズ枠本体58にはカムピン49も設けられる。カムピン49は金属などのある程度重量をもつ材質で形成されており、これによってレンズ枠48全体の重心はカムピン49のある側に偏っている。
【0043】
さらに詳細に説明すると、レンズ枠本体58の側面中間部にはねじ孔68が形成されている。ねじ孔68にはカムピン49の基端側のねじ部11が螺入されている。カムピン49の中間部には適度な重量に設定するための膨大部12を設けている。カムピン49の先端側の突起部13はカム溝50に摺動可能な状態で挿入している。
【0044】
このような構造により、撮像素子55は、被写体を撮像可能な撮像面を有する撮像手段になっている。
【0045】
レンズ枠48は、前記撮像素子55の前記撮像面の被写体像を形成可能な撮像光学系60を保持するための枠部材になっている。
【0046】
密閉ユニット36は、内周面が円筒状に形成された外装を有し、前記撮像素子55及び前記レンズ枠48を収納するとともに、前記内周面に前記レンズ枠48が遊嵌可能で、前記レンズ枠48に保持された前記撮像光学系60と前記撮像素子55との相対距離を変化可能にしている。
【0047】
前記密閉ユニット36のカム環47の前記内周面にはカム溝50を形成している。
【0048】
カムピン49は、前記カム溝50に沿って移動自在な状態で該カム溝50に挿入されるとともに、前記レンズ枠48に固定され、自重によって前記レンズ枠48より垂下する垂下部材となっている。
【0049】
カム溝50はカム環47に形成された螺旋方向有底溝になている。
カムピン49は、前記レンズ枠48に設けられ、前記気密ユニット36内において重力方向に対する姿勢方向を一定方向に保持する姿勢保持手段であるとともに、前記有底溝内に摺接係合する突起部分になっている。
【0050】
(作用)
このような第1の実施の形態において、アイピースマウント31に接続されたスコープアイピース23より出力される内視鏡像は、カバーガラス43を透過し、密閉ユニット36内部の撮像光学系60を介して撮像素子55の撮像面上に結像する。
【0051】
撮像素子55は、結像した内視鏡像を光電変換し、電気信号による撮像信号として電気基板56、複数の導電ピン46及び電気信号線71を介してカメラヘッド3外へと出力する。
【0052】
以上の作用において、スコープアイピース23を構成する内視鏡スコープ2の種類、視度、あるいは被写体との距離に応じて、または撮像素子55撮像面上に結像する内視鏡像の倍率を変化させるためにレンズ枠48の光軸上位置を変更する必要が生じた場合、使用者は操作リング38を回動操作する。操作リング38の溝54は駆動ピン52によって密閉ユニット36と繋がっているため、操作リング38の回動に応じ、密閉ユニット36も前側外装部材34内で回動する。
【0053】
しかしながら、密閉ユニット36内のレンズ枠48は常時カムピン49によって重力方向へ引かれているため、密閉ユニット36の回動に応じ回転することはなく、常に重力に対して一定の方向と姿勢を保っている。
【0054】
このため、カム環47に設けられたカム溝50とレンズ枠48に設けられたカムピン49との作用によって、密閉ユニット36の回動に応じカムピン49により規制された方向へとレンズ枠48は光軸上を移動することになる。
【0055】
尚、球体66,67はこの時のレンズ枠48とカム環47との間の摩擦抵抗を減少させ、よりスムーズにレンズ枠48がカム環47内を移動出来るよう設けられたものであり、他の手段、例えば潤滑油などによりレンズ枠48がスムーズに移動出来るようであれば、あえて球体66,67を設ける必要はない。
【0056】
(効果)
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、使用者は操作リング38を回動操作するだけで密閉ユニット36内のレンズ枠48を任意に光軸上に移動させることが出来、これによって撮像素子55で撮像される内視鏡像のピントを合わせたり、倍率を変更したりすることが可能である。従って、密閉ユニット36のような密閉されたユニット内に光学系を有するカメラヘッドあるいは内視鏡においてもフォーカシングあるいはズーミングの操作が可能となる。
【0057】
以上に示したカメラヘッド3の構成部材には、磁力を作用として要する要素がないため、ほとんど全ての構成要素を非磁性体により構成することが可能である。従って、MRI観察環境下においてもほとんど磁力の影響を受けずにカメラヘッド3を操作することが可能となる。
【0058】
これにより、第1の実施の形態では、高圧蒸気滅菌に対する耐久性を有する内視鏡用カメラヘッド3において、磁性体を利用することなく、密閉ユニット36内の光学系60を密閉ユニット36外から移動操作させることができるので、高圧蒸気滅菌に対する耐久性が高く、撮像手段に対する光学系のフォーカシングあるいはズーミングの操作が確実かつ容易で、MRI観察環境下において強い磁力の作用や観察像アーチファクト等の問題を防止できる。
【0059】
図4及び図5は図1乃至図3に示した第1の実施の形態の変形例を示し、図4はレンズ枠及びその周辺部を詳細に示す断面図、図5はカム環の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【0060】
図4及び図5を用いた変形例の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0061】
(構成)
図4に示すように、第1の実施の形態の変形例では、レンズ枠88に設けられた球体66,67が各々カム環87に設けられた螺旋溝90,91に入り込むように構成している。螺旋溝90,91は、図5に示すように、カム環87の内周に形成されている。また、図4に示すように、錘89は、ねじ部92と膨大部93とにより形成されている。レンズ枠88のレンズ枠本体98には、図2に示したカムピン49の代わりに錘89がねじ部92の螺入により取り付け固定されている。
【0062】
(作用)
このような変形例の構成によれば、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様に、使用者が操作リング38(図1参照)を回動することによって密閉ユニット及びカム環87が回動する。すると、レンズ枠88は錘89によって重力方向に対する位置及び姿勢を一定に保とうとするため、球体66,67は螺旋溝90,91の規制を受けてレンズ枠88を光軸方向へと移動させる。
【0063】
(効果)
このような変形例によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0064】
(第2の実施の形態)
図6は本発明の撮像装置の第2の実施の形態に係るカメラヘッド及びその周辺部の断面図である。
【0065】
図6を用いた第2の実施の形態の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0066】
(構成)
図6に示すように、第2の実施の形態のカメラヘッド103では、密閉ユニット136のカム環147内にクラッチまたはブレーキ181を設ける。レンズ枠148にはその光軸方向移動量に応じた長さで、クラッチまたはブレーキ181と組み合わされる押さえ面182が設けられる。
【0067】
ブレーキ181の図示しないアクチュエータは、コード183を介してハーメチックコネクタ142の複数の導電ピン146の一部に接続されている。ブレーキ181のアクチュエータとしては、磁性体を用いないものであり、例えば超音波モータが適用可能である。
【0068】
電気基板56は残りの複数の導電ピン146と電気的に接続している。複数の導電ピン146は密閉ユニット136外においてそれぞれ電気信号線171の複数のコード170と電気的に接続している。
【0069】
一方、後側外装部材135には貫通孔184が形成され、貫通孔184には押し釦185が設けられている。押し釦185の後側外装部材135内側にはスイッチ186が設けられている。スイッチ186は押し釦185を押すことでオンされる。また、スイッチ186は電気信号線171の一対のコード187と電気的に接続している。
【0070】
(作用)
第2の実施の形態において、使用者は操作リング38の回動操作時に押し釦185を押す。押し釦185を押すことによってスイッチ186がオンとなる。スイッチ186がオンとなったのは一対のコード187を介して外部の図示しない検知手段によって検知され、この検知結果に基づいて図示しない外部の図示しない駆動手段がコード183を介してクラッチまたはブレーキ181を駆動し、押さえ面182を開放する。
【0071】
即ち、押し釦185が押されない場合は常時押さえ面182はクラッチまたはブレーキ181によってブレーキをかけられた状態にある。従って、押し釦185を押しつつ操作リング38を回動させることにより、第1の実施の形態と同様の作用により、レンズ枠148が光軸上を移動する。
【0072】
次に、使用者は、操作リング38の操作後、操作リング38及び押し釦185から手を離す。これにより、押し釦185は操作リング38外周方向へと移動し、スイッチ186がオフとなる。スイッチ186がオフとなったのは一対のコード187を介して外部の図示しない検知手段によって検知され、図示しない駆動手段はクラッチまたはブレーキ181を駆動し、押さえ面182にブレーキをかける。
【0073】
(効果)
このような第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が得られるとともに、第1の実施の形態においては、レンズ枠148は操作リング38の操作後においても、カメラヘッド3全体の重力方向に対する姿勢や、移動時の慣性力によって使用者の不随意に移動しがちであったが、第2の実施の形態では、操作リング38操作後のレンズ枠148位置はクラッチまたはブレーキ181及び押さえ面182によって固定されるため、使用者の不随意に移動を防止できる。
【0074】
尚、第1及び第2の実施の形態とその変形例では、密閉ユニット136の回動に応じて撮像素子55も一緒に回動してしまうため、光学系の駆動時に撮像装置により得られる内視鏡観察像が回転してしまうような問題点が生じるが、これを解消するためには撮像素子55にも錘を設けて重力方向に対する姿勢を一定となるよう保持すればよい。このような構成に関しては特開2001−275032号公報に開示されている。
【0075】
また、第1及び第2の実施の形態とその変形例では、光学系を移動するものとして説明してきたが、同様の構成を撮像素子の移動に適用することも可能である。
【0076】
即ち、第1及び第2の実施の形態とその変形例では、本体部の内周面に前記枠部材のレンズ枠を遊嵌可能にし、垂下部材のカムピンをレンズ枠のみに設けたが、本体部の内周面には、前記枠部材のレンズ枠と前記撮像手段の撮像素子の両方を遊嵌可能にし、前記垂下部材を前記枠部材と前記撮像手段の両方に設けてもよい。
【0077】
また、本体部の内周面には、前記撮像手段の撮像素子のみを遊嵌可能にし、前記垂下部材を前記撮像手段のみに設けてもよい。
【0078】
図7は図1乃至図3に示した第1の実施の形態の効果を説明するための比較例のカメラヘッド及びその周辺部の断面図である。
【0079】
図7を用いた比較例の説明において、図1乃至図3に示した第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0080】
(構成)
本体部233の前側外装部材234の中には密閉ユニット236が回動自在に収納されている。前側外装部材234の中間部外周にはフランジ部237が形成され、フランジ部237の後側には操作リング238、固定リング239が設けられている。操作リング238の内周面には前後方向に沿って溝254が形成されている。
【0081】
密閉ユニット236は筒状部材241とハーメチックコネクタ42とカバーガラス43とにより構成される。
【0082】
密閉ユニット236の筒状部材241のねじ穴251、駆動ピン252、前側外装部材234のスリット253は、本体部233の中央部に設けられていること以外は、図1に示したねじ穴51、駆動ピン52、スリット53と同様である。
【0083】
密閉ユニット236の内部には、カム環247が内嵌固定されており、カム環247内周にはレンズ枠248が摺動自在に挿入している。
【0084】
レンズ枠248の外周の中間部には磁石281が固定して設けられている。前側外装部材234内周の磁石281と対応する位置でレンズ枠248の光軸方向移動量を包含する範囲には磁石282を設けている。磁石281と磁石282の極性は互いに吸引するように構成されている。
【0085】
また、カム環247には図示しないカム溝が形成され、レンズ枠248には図示しないカムピンが設けられ、このカムピンの先端側はカム環247の前記カム溝に摺動可能な状態で挿入している。そして、カムピンは必ずしも金属などの重量物にて形成される必要がない。
【0086】
以上の比較例の構成によれば、レンズ枠248において磁石281による重心の偏りを生じさせることなく重力と同様の効果を磁石281と磁石282との吸引力によって得る事が出来る。即ち、操作リング238と連動して密閉ユニット236が回動する際、レンズ枠248は重力ではなく、前側外装部材234に設けられた磁石282の位置に応じてその姿勢を保とうとする。従って、操作リング238を回動することにより、MRI観察環境下以外では第1の実施の形態と同様の効果を得ることが可能である。更に、この場合には、重力に対するカメラヘッド203全体の姿勢の影響やレンズ枠248移動に際する慣性力の影響などは無視出来るため、MRI観察環境下以外では第2の実施の形態と同様の効果を得ることも可能である。更に、磁石281と磁石282との吸引力の設定によっては、例えば第1の実施の形態における球体66,67や潤滑油などなくとも同様の効果が得られることになり、経済的である。尚、磁石281と磁石282とは1組みのみならず、レンズ枠248及び前側外装部材234の周上に複数組設けてもよい。
【0087】
以上、説明したように本比較例では、MRI観察環境下においては磁石281と磁石282に磁力の影響を受けることになるが、MRI観察環境以外で用いれば、効果を得ることが可能になる。
【0088】
[付記]
以上詳述したような本発明の実施の形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0089】
(付記項1) 被写体を撮像可能な撮像面を有する撮像手段と、
前記撮像手段の前記撮像面の被写体像を形成可能な光学系を保持するための枠部材と、
内周面が円筒状に形成された外装を有し、前記撮像手段及び前記枠部材を収納するとともに、前記内周面に前記撮像手段または前記枠部材の少なくとも一方が遊嵌可能で、前記枠部材に保持された前記光学系と前記撮像手段との相対距離を変化可能にする本体部と、
前記本体部の前記内周面に形成されたカム溝と、
前記カム溝に沿って移動自在な状態で該カム溝に挿入されるとともに、前記一方に固定され、自重によって前記一方より垂下する垂下部材と、
を具備したことを特徴とする撮像装置。
【0090】
(付記項2) 前記撮像手段または前記枠部材の少なくとも一方と、前記本体部との間に設けられ、外部からの操作により前記本体部に対する前記撮像手段または前記枠部材のなくとも一方の移動にブレーキをかけるブレーキ部材を含むことを特徴とする付記項1記載の撮像装置。
【0091】
(付記項3) 内視鏡接眼部に接続される内視鏡用撮像装置、または内視鏡接眼部と内視鏡用撮像装置との間に接続設置される光学アダプターにおいて、
前記内視鏡接眼部から出射された光を屈折透光させる光学系を保持する円柱形状の光学枠部材と、
前記光学系の光軸上に配置され、該光学系により屈折透光された光を受光し光電変換する撮像素子と、
前記光学枠部材と前記撮像素子のいずれか、あるいはその両方を内嵌し、かつ前記光軸に沿って移動可能とする円筒形状に形成され、前記内視鏡接眼部から出射された光を入射あるいは出射する少なくとも一つ以上の窓部を有し、外部に対し気密に構成された気密ユニットと、
により構成され、
前記気密ユニットは内周面に螺旋方向有底溝を有し、
前記光学枠部材あるいは撮像素子には、
前記気密ユニット内において重力方向に対する姿勢方向を一定方向に保持する姿勢保持手段と、
前記有底溝内に摺接係合する突起部分と、
を有し、
前記姿勢保持手段によって前記光学枠部材あるいは撮像素子の重力方向に対する姿勢を維持しつつ、前記気密ユニットの重力方向に対する姿勢を変化させることによって、前記有底溝に沿って前記突起部分が摺動し、前記気密ユニット内を前記光軸に沿って前記光学枠部材と前記撮像素子のいずれか、あるいはその両方に移動ならしめることを特徴とした内視鏡用撮像装置または光学アダプター。
【0092】
【発明の効果】
以上述べた様に本発明によれば、圧蒸気滅菌に対する耐久性を有する内視鏡用撮像装置あるいは内視鏡において、磁性体を利用することなく、密閉ユニット内の光学系あるいは撮像素子を密閉ユニット外から移動操作させることができるので、高圧蒸気滅菌に対する耐久性が高く、撮像手段に対する光学系のフォーカシングあるいはズーミングの操作が確実かつ容易で、MRI観察環境下において強い磁力の作用や観察像アーチファクト等の問題を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撮像装置の第1の実施の形態に係るカメラヘッド及びその周辺部の断面図。
【図2】本発明の撮像装置の第1の実施の形態に係るレンズ枠及びその周辺部を詳細に示す断面図
【図3】本発明の撮像装置の第1の実施の形態に係る内視鏡システムの全体構成を示す説明図。
【図4】図1乃至図3に示した第1の実施の形態の変形例を示すレンズ枠及びその周辺部を詳細に示す断面図。
【図5】図1乃至図3に示した第1の実施の形態の変形例のカム環の一部を切り欠いて示す斜視図。
【図6】本発明の撮像装置の第2の実施の形態に係るカメラヘッド及びその周辺部の断面図。
【図7】第1の実施の形態の効果を説明するための比較例のカメラヘッド及びその周辺部の断面図。
【符号の説明】
1 …内視鏡システム
2 …内視鏡スコープ
3 …カメラヘッド
27 …光源装置
28 …ライトガイド
33 …本体部
34 …前側外装部材
35 …後側外装部材
36 …密閉ユニット
47 …カム環
48 …レンズ枠
49 …カムピン
50 …カム溝
52 …駆動ピン
55 …撮像素子
58 …レンズ枠本体
59 …押さえ管
60 …撮像光学系
66,67 …球体
71 …電気信号線
72 …コネクタ
73 …プロセッサ装置
74 …モニタ

Claims (1)

  1. 被写体を撮像可能な撮像面を有する撮像手段と、
    前記撮像手段の前記撮像面の被写体像を形成可能な光学系を保持するための枠部材と、
    内周面が円筒状に形成された外装を有し、前記撮像手段及び前記枠部材を収納するとともに、前記内周面に前記撮像手段または前記枠部材の少なくとも一方が遊嵌可能で、前記枠部材に保持された前記光学系と前記撮像手段との相対距離を変化可能にする本体部と、
    前記本体部の前記内周面に形成されたカム溝と、
    前記カム溝に沿って移動自在な状態で該カム溝に挿入されるとともに、前記一方に固定され、自重によって前記一方より垂下する垂下部材と、
    を具備したことを特徴とする撮像装置。
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