JP5996407B2 - 可視光応答型光触媒 - Google Patents

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Description

本発明は、可視光域の光照射下において酸化・還元能を発揮する可視光応答型光触媒に関する。
ダイオキシンなどの環境ホルモン物質、水中や大気中の農薬や悪臭物質、居住空間でのシックハウス症候群など、健康被害の原因になっている有機化学物質などを、素早く、かつ、安全に分解する技術が求められている。
光触媒を用いた有機化学物質の分解は、省エネルギーの観点からも注目されており、開発が進められている。光触媒は、そのバンドギャップ以上のエネルギーを有する光を照射することによって、価電子帯から伝導帯に励起された電子の還元力と、価電子帯に生成されたホールの酸化力によって、有機化学物質を分解できる。実用化されている光触媒の大部分はアナターゼ型の二酸化チタンを用いたものである。
アナターゼ型の二酸化チタンはバンドギャップが3.2eVなので、390nm以下の波長の紫外線の照射下で活性を示す。しかし、太陽光や蛍光灯に含まれている紫外線は、2〜4%しかないため、アナターゼ型の二酸化チタンを用いた光触媒は光の利用効率が低く、特に光量の少ない室内や水中で用いる用途では殆ど実用化されていない。かかる問題を解決すべく、可視光に対して高い活性を示す可視光応答型光触媒の開発が求められている。
たとえば、酸化チタンにクロムやバナジウムなどの金属イオンをドープしたもの(非特許文献1参照)、酸化チタンに窒素などのアニオンをドープしたもの(特許文献1参照)などの酸化チタン系の可視光応答型光触媒が知られている。
また、バナジン酸ビスマス(BiVO)(非特許文献2、3参照)、酸化タングステン(特許文献2参照)、組成式AgPO(2.8≦x≦3.2、3.8≦y≦4.2、x/y=0.66〜0.88)で表される銀とリンの複合酸化物(リン酸銀)(特許文献3参照)なども可視光応答型光触媒として有効であることが知られている。
特開2004−988号公報 特開2011−36825号公報 特開2009−078211号公報
J. Am. Chem. Soc. , 第104巻, 11号, 2996-3002頁(1982年). J. Am. Chem. Soc. , 第121巻, 49号, 11459-11467頁(1999年). Chem. Lett, 660-661頁, (2002年).
しかしながら、特許文献1〜2および非特許文献1〜3に示される可視光応答型光触媒はいずれも活性が十分とはいえず、改良の余地を有する。
また、特許文献3に示される可視光応答型光触媒は、水中で用いると、使用に伴って銀が溶出し、活性が低下するという問題を有しており、改善の余地があった。
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、活性が高く、水中で使用しても有効成分の水中への溶出が極めて少ない可視光応答型光触媒を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明者らは鋭意研究した結果、組成式AgPOで表されるリン酸銀は、可視光照射下において高活性の光触媒作用を示すとともに、金属酸化物と複合化することで、水中に銀を溶出しなくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
[1] 組成式AgPOで表されるリン酸銀を含む光触媒成分(以下、「光触媒成分」とも略称する)に金属酸化物が複合化してなることを特徴とする、可視光応答型光触媒;
[2] 金属酸化物が酸化ケイ素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種である、上記[1]に記載の可視光応答型光触媒;および
[3] 光触媒成分に、ゾルゲル法によって金属酸化物を複合化させたものである、上記[1]に記載の可視光応答型光触媒;
に関する。
本発明の可視光応答型光触媒は活性が高く、かつ、水中で使用しても、銀の水中への溶出が極めて少ない。
参考例1で得られた光触媒成分(1)と標準サンプルのX線回折パターンである。 実施例1で得られた可視光応答型光触媒(1)のX線回折パターンである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して説明する。
本発明の可視光応答型光触媒は、光触媒成分に金属酸化物が複合化した複合物である。
後述する実施例で得られた可視光応答型光触媒は、組成式AgPOで表されるリン酸銀に起因する光触媒としての活性を有すると共に、水中で使用しても、銀の水中への溶出が極めて少ない。水中に存在する有機化学物質を分解する光触媒としての活性を有することから、リン酸銀が金属酸化物に被覆されていることによって銀の溶出が抑制されているとは考えにくく、組成式AgPOで表されるリン酸銀は水溶液と直接接触していると考えられる。銀の水への溶出がない理由として、金属酸化物との化学結合によって水への溶出が阻害されているものと推定される。このことから、本発明の実施例で得られた可視光応答型光触媒は、AgPOで表されるリン酸銀と金属酸化物とが化学結合しているものと推定される。すなわち、本明細書において、「複合化」とは組成式AgPOで表されるリン酸銀と金属酸化物とが化学結合している状態であることを意味する語として用いる。
組成式AgPOで表されるリン酸銀は、可視光、紫外光に対して活性を有し、特に可視光域の光照射下において良好な酸化・還元能を示す。ここで、「可視光領域」とは波長400〜800nmの範囲をいい、「紫外光領域」とは波長315〜400nmの範囲をいう。
かかるリン酸銀の調製方法は、特に限定されないが、例えば、リン酸および/またはその塩(以下、「リン酸および/またはその塩」は「リン酸(塩)」とも表記する。)と、銀塩とを、化学当量比で反応させ、その生成物を洗浄・乾燥する方法が挙げられる。
リン酸としては、例えば、リン酸、ポリリン酸、メタリン酸などが挙げられ、リン酸塩としては、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムなどが挙げられる。反応時の安定性、反応速度、生成物の安定性を考慮すると、リン酸塩の使用が好ましく、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素アンモニウムの使用がより好ましい。銀塩としては、例えば、塩化銀、臭化銀などのハロゲン化銀、硫酸銀、硝酸銀などの鉱酸塩、酢酸銀、酪酸銀などの有機酸塩、銀アセチルアセトネートなどの有機錯体などが挙げられる。入手性、反応速度、生成物の安定性を考慮して、硝酸銀の使用が好ましい。
リン酸(塩)と、銀塩との反応は、溶媒存在下に行うことができ、溶媒としては、水;メタノール、エタノールなどのアルコール;ジオキサン、トリオキサンなどの環状エーテル;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド;アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミドなどが挙げられる。操作性、生成物、リン酸銀中への残存などを考慮すると、溶媒として水を使用することが好ましい。また、リン酸(塩)水溶液と、銀塩水溶液との混合により、リン酸(塩)と銀塩とを反応させるのが好ましい。なお、水中の不純物のリン酸銀への混入を回避するという観点から、精製水、蒸留水、イオン交換水を使用するのが好ましい。
リン酸(塩)水溶液の濃度は、使用するリン酸(塩)の種類によっても異なるが、操作性、経済性、安全性を考慮すると、通常、1〜300g/Lの範囲が好ましく、5〜250g/Lの範囲がより好ましく、10〜200g/Lの範囲がさらに好ましい。また、銀塩水溶液の濃度は、使用する銀塩の種類によっても異なるが、通常、操作性、安全性を考慮すると、1〜2000g/Lの範囲が好ましく、10〜1000g/Lの範囲がより好ましく、20〜800g/Lの範囲がさらに好ましい。リン酸(塩)水溶液と、銀塩水溶液とを混合する雰囲気は特に限定されないが、安全性を考慮すると、窒素などの不活性ガス下が好ましい。また、リン酸(塩)水溶液と銀塩水溶液とを混合する温度(反応温度)も、特に限定されないが、安全性、操作性を考慮すると、5〜80℃の範囲が好ましく、20〜50℃の範囲がより好ましい。
リン酸(塩)水溶液と、銀塩水溶液とを混合すると、組成式AgPOで表されるリン酸銀を含む黄色固体が速やかに析出する。析出する黄色固体はX線回折でAgPOの回折ピークが観測されるほどに結晶成長した固体(結晶質固体)であっても、X線回折で明瞭なピークが観測できないほどの微細な固体(非晶質固体)であってもよい。
なお、リン酸(塩)と、銀塩との混合は、無溶媒で行なってもよい。この場合、ボールミル、カッターミル、乳鉢などの粉砕混合器具により常温常圧下に黄色固体となるように機械的に十分に混合(通常、1〜30分程度)した後、洗浄、乾燥する。
上述の方法で生成する、組成式AgPOで表されるリン酸銀を含む黄色固体は、可視光域の光照射下において十分に高い光触媒活性を示すので、本発明の可視光応答型光触媒における光触媒成分となる。なお、当該黄色固体中の組成式AgPOで表されるリン酸銀の含有率は、通常、50質量%以上である。当該黄色固体を希酢酸水などに溶解し、再結晶によって残存する原料化合物などを除去し、組成式AgPOで表されるリン酸銀の純度を高めてもよい。
本発明の可視光応答型光触媒において、光触媒成分は、光を有効に利用する上で、表面積が大きいことが望ましく、そのために、ボールミルなどで粉砕して粒子径を小さくしてもよい。光触媒成分の粒子径は10nm〜200μm、好ましくは5μm以下である。なお、ここでいう「粒子径」はレーザー回折式粒度分布計によって測定される累積50%粒子径(D50)の値を意味する。
本発明の可視光応答型光触媒は、上記の光触媒成分に金属酸化物が複合化してなる。かかる金属酸化物は、可視光域で透明であることが好ましい。
金属酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタンなどが挙げられる。これらの中でも、酸化ケイ素および酸化アルミニウムが好ましい。これらの金属酸化物は、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明の可視光応答型光触媒は、光触媒成分に金属酸化物が複合化されているため、水中で使用しても、光触媒成分からの銀の水中への溶出が防止され、高い活性を持続する。
光触媒成分と金属酸化物の複合化方法は特に限定されず、例えば、(1)光触媒成分と金属酸化物を混合して焼結する方法、(2)光触媒成分の存在下、金属酸化物に対応する、塩化物、臭化物などの金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属アルコキシドなど(中でも、金属アルコキシドが好ましい)からゾルゲル反応によって金属酸化物を生成させて複合化する方法、および(3)光触媒成分と金属酸化物のゾルとを混合し焼結する方法などが挙げられる。これらのなかでも、過剰な熱を使用せず、光触媒成分の熱凝集なく複合化できることから、(2)のゾルゲル反応による方法が好ましい。
本発明の可視光応答型光触媒における光触媒成分と金属酸化物との組成比(光触媒成分:金属酸化物)は、質量比で、1:0.1〜1:5が好ましく、1:0.5〜1:2がより好ましい。かかる範囲よりも金属酸化物の割合が多いと、質量あたりの光触媒機能が低下する傾向となり、金属酸化物の割合が少ないと、水中で使用した場合に、銀の水への溶出量が増える傾向となる。
上記の(1)〜(3)の方法は、通常の反応条件で実施可能であり、特に限定はされないが、(1)の方法での焼結条件は、温度:200〜500℃、時間:10〜120分が好適である。また、(3)の方法での焼結条件は、温度:200〜400℃、時間:10〜200分が好適である。
(2)のゾルゲル反応の好ましい条件は、以下の通りである。
金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属アルコキシドなどの溶液に、所定量の光触媒成分を加え、更に、触媒量の酸成分または塩基成分を加え、必要に応じて加温することでゾルゲル反応を行う。前記溶液に用いる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール;水;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテルなどが挙げられ、これらは単独または混合して使用することができる。酸成分としては、塩酸、硫酸などの鉱酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸などが挙げられ、残存性、操作性からは、塩酸または酢酸が好ましい。塩基成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物、アンモニアなどが挙げられ、残存性、操作性からはアンモニアの使用が好ましい。酸成分または塩基成分の使用量は、通常、用いる金属ハロゲン化物、金属水酸化物、金属アルコキシドなどに対して0.01モル%〜10モル%の範囲が好ましく、0.1〜5モル%の範囲がより好ましい。ゾルゲル反応においては、実施する温度に特に制限はないが、通常、10〜80℃の範囲、好ましくは20〜60℃の範囲で、10〜120分の範囲で実施される。
(2)のゾルゲル反応において用いることができる金属アルコキシドとしては、アルコキシシランが挙げられ、このうちテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシメチルシランが好ましい。
本発明の可視光応答型光触媒は、光を有効に利用するために微粒子で表面積の大きいことが望ましい。このため、光触媒成分と金属酸化物とを複合化したのち、ボールミルなどで粉砕してさらに粒子径を小さくすることができる。可視光応答型光触媒の粒子径は、一般に10nm〜200μm、好ましくは10μm以下である。なお、ここでいう「粒子径」はレーザー回折式粒度分布計によって測定される累積50%粒子径(D50)の値を意味する。
以下、本発明を具体的な実施例と図面に基づいて詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
(参考例1)
還流管、温度計、攪拌器を装着した1L3口フラスコに、硝酸銀50.9g(0.3モル)を取り、イオン交換水200gを添加して溶解させた。リン酸二水素ナトリウム14.1g(0.1モル)をイオン交換水100gに溶解させた溶液を内温23℃で滴下を開始し、10分で滴下終了した。滴下終了時の内温は24℃であり、滴下開始とともに溶液中に黄色の固体が析出した。析出した固体をろ取し、イオン交換水400gで洗浄したのち、133Pa、80℃にて8時間乾燥し、次いで、遊星ボールミル(フリッチェ社製 P−6型)で30分間粉砕、5分休止の後、さらに30分間粉砕し、黄色固体として光触媒成分(以下、「光触媒成分(1)」と称する)41.1g(組成式AgPOのリン酸銀として収率98.3%)を得た。図1に示すX線回折パターンは、上から光触媒成分(1)、AgPO標準サンプル、Ag標準サンプル、AgNO標準サンプルのX線回折パターンである。これらのX線回折パターンは、粉末X線回折装置(株式会社リガク製 Rigaku MiniFlexII、測定条件 X線源:Cu−Kα線、電圧:30kV、電流:15mA、2θ=20°〜90°、走査速度:2°/分)にて測定した。これらの比較から、可視光応答型光触媒(1)はAgPOを含有すると判断した。また、累積50%粒子径(D50)をレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製、PARTICA LA−900)で測定したところ、2.1μmであった。
(実施例1)
50ml三口フラスコに、参考例1で得られた光触媒成分(1)4.18g(組成式AgPOのリン酸銀として0.01モル)、テトラエトキシシラン20.8g(0.1モル)、イオン交換水3ml、26質量%のアンモニア水0.1gを順次添加し、60℃で3時間攪拌したのち、超音波解砕機(BRANSON製、2000bdc)により20分間 40KHzで超音波を照射し、次いで混合液をろ過し、回収した固体を、空気下300℃で2時間乾燥したところ、薄黄色固体として本発明の可視光応答型光触媒(以下、「可視光応答型光触媒(1)」と称する)10.1gが得られた。可視光応答型光触媒(1)をX線構造解析した。
図2に示すX線回折パターンは、可視光応答型光触媒(1)のX線回折パターンであり、AgPOを含有すると判断した。なお、このX線回折パターンは、粉末X線回折装置(株式会社リガク製 Rigaku MiniFlexII、測定条件 X線源:Cu−Kα線、電圧:30kV、電流:15mA、2θ=20°〜80°、走査速度:2°/分)にて測定した。
また、可視光応答型光触媒(1)を蛍光X線(株式会社リガク製 RIX3100)で分析したところ、銀含有量31.70質量%、ケイ素含有量27.52質量%、リン含有量2.81質量%であり、それ以外の金属成分は検出されなかった。このことから、可視光応答型光触媒(1)は、組成式AgPOで表されるリン酸銀と組成式SiOで表される酸化ケイ素とからなると考えられる。また、後述する光分解試験において、銀の溶出が見られないことから、上記リン酸銀と酸化ケイ素が複合化していると考えられる。可視光応答型光触媒(1)の累積50%粒子径(D50)をレーザー回折式粒度分布計(堀場製作所製 PARTICA LA−950)で測定したところ4.2μmであった。
(光分解試験(1回目))
反応セル(パイレックス製(登録商標))中で可視光応答型光触媒(1)0.3gを、15.3mg/lのメチレンブルー色素を含む水溶液100mlに懸濁し、マグネチックスターラーで攪拌しながら外部から光を照射し、メチレンブルー色素の光分解試験を行った。光源には300Wキセノンランプ(朝日分光株式会社製MAX303)を用い、可視光における光触媒反応を調べるため、ランプと反応セルの間に420nmより波長の短い光をカットするカットオフフィルター(朝日分光株式会社製)を挿入し、420nmより長い波長のみを照射させた。また、熱効果を取り除くため、冷却水フィルターをカットオフフィルターの前に挿入し、赤外線を除去するようにした。メチレンブルー色素の光分解による濃度変化は紫外−可視吸収スペクトル測定により調べた。その結果、420nmのフィルターを通した可視光照射下において、試験前に青色を呈していた水溶液が、5分間で完全に脱色し、無色透明になることがわかった。また、全有機炭素量分析計(島津製作所製 TOC−L)を用いて可視光照射5分後の溶液中に残される全有機炭素量(TOC)を測ったところ、初期量の43%にまで減少したことが分かった。また、光分解試験終了後の溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過して、可視光応答型光触媒(1)を回収し、ろ液中の銀濃度をICP発光分析したところ、検出限界以下であった。一方、回収した可視光応答型光触媒(1)を2回目の光分解試験に供した。
(光分解試験(2回目))
上記で回収した可視光応答型光触媒(1)0.3gを15.3mg/lのメチレンブルー色素を含む水溶液100mlに懸濁し、1回目と同様にメチレンブルー色素の光分解試験を行った。5分間で水溶液が完全に脱色し、無色透明になった。全有機炭素分析にて、全有機炭素量(TOC)は初期量の44%であり、繰り返し試験によっても活性低下しないことを観測した。また、光分解試験終了後の溶液を0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、ろ液中の銀濃度をICP発光分析したところ、検出限界以下であった。
(実施例2)
実施例1において、テトラエトキシシランに代えて、シリカゾル(日産化学工業株式会社製 IPA−ST)20g(SiO0.1モル相当)を使用した以外は、実施例1と同様に行った。光分解試験の結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2において、シリカゾルに代えてアルミナゾル(日産化学工業株式会社製 アルミナゾル100)100g(Al0.1モル相当)を使用した以外は、実施例2と同様に行った。光分解試験の結果を表1に示す。
(比較例1)
参考例1で得た黄色固体0.2gを用いて、実施例1と同様にして2回の光分解試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005996407
上述のとおり、本発明の可視光応答型光触媒は、活性が高く、水中で使用しても銀の水中への溶出が極めて少ない。このため、光量の少ない屋内のシックハウス症候群対策としての使用や、水中の農薬や悪臭物質の分解などに特に有用である。

Claims (3)

  1. 水中で使用され、水中に存在する有機化学物質を分解するための可視光応答型光触媒であって、
    組成式AgPOで表されるリン酸銀を含む光触媒成分に金属酸化物が化学結合してなり、
    該金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよび酸化亜鉛からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
    該光触媒成分と該金属酸化物との組成比(光触媒成分:金属酸化物)が質量比で1:0.1〜1:5であることを特徴とする、可視光応答型光触媒。
  2. 金属酸化物が酸化ケイ素および酸化アルミニウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の可視光応答型光触媒。
  3. 水中で使用され、水中に存在する有機化学物質を分解するための可視光応答型光触媒であって、
    組成式Ag PO で表されるリン酸銀を含む光触媒成分に金属酸化物が化学結合してなり、
    該金属酸化物が、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、および酸化亜鉛からなる群から選択される1種又は2種以上であり、
    該光触媒成分と該金属酸化物との組成比(光触媒成分:金属酸化物)が質量比で1:0.1〜1:5である可視光応答型光触媒を製造する方法であって、
    組成式AgPOで表されるリン酸銀を含む光触媒成分に、ゾルゲル法によって金属酸化物を化学結合させる、可視光応答型光触媒の製造方法。
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