JP5995694B2 - 燃料電池及び燃料電池の製造方法 - Google Patents
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Description
特に絶縁膜表面が隣接するセル間で燃料極の平坦部同士を結ぶ線と一致するように絶縁膜を設けた場合、固体電解質膜を平坦面に形成することができる。こうすることにより、固体電解質の形成が容易となる。
本態様の燃料電池の絶縁膜上には、固体電解質及びインターコネクタが形成される。すなわち、絶縁膜と空気極とは直接接触しない。こうすることにより、絶縁膜の緻密性に依らず、空気等の酸化ガスが絶縁膜に到達することを防止することができる。この結果、反応に消費されない酸化ガス量を低減させるとともに燃料極の酸化を防止することができる。
あるいは、第1の態様において、前記燃料極の端部において前記燃料極が2つの段とされ、前記基体管に近い方の前記段に、前記平坦部と前記傾斜部とが形成されている。
あるいは、第2の態様では、前記燃料極が形成される工程において、前記燃料極の端部が2つの段になるように前記燃料極が形成され、前記基体管に近い方の前記段に、前記平坦部と前記傾斜部とが形成される。
図1乃至図6を参照して、本発明の第1実施形態に係る燃料電池及びその製造方法を説明する。
図1は、第1実施形態に係る円筒型の燃料電池のセルスタックの一態様を示す概略図である。
セルスタック101は、円筒形状の基体管103と、基体管103の外周面に複数形成された燃料電池セル105と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成された絶縁膜117と、隣り合う燃料電池セル105の間に形成されたインターコネクタ107とを有する。
燃料極109の膜厚は、50〜120μmとされる。
固体電解質111の膜厚は、20〜40μmとされる。
空気極113の膜厚は、750〜850μmとされる。
なお、本実施形態における緻密な絶縁膜とは気孔率が3%以下である膜を指し、多孔な絶縁膜とは気孔率が15%以下、望ましくは5〜10%である膜を指す。
燃料極109a,109bの端部は、基体管103からその外側に向かって凸の曲線状の傾斜となるように膜厚が変化する傾斜部121aを有する。傾斜部121aに連続して、燃料極109は平坦部123aを有する。ここで、平坦部123aとは、燃料極端部において、幅100μmに亘って膜厚が平均から±8〜16μm程度である領域と定義する。本実施形態において、平坦部123aの厚さは、燃料極109a,109bの膜厚と一致している。従って燃料極109a,109bの平坦部123a〜123cの厚さは、40〜80μmとされる。
図5において、燃料極109a,109bの端部は、略直線状の傾斜となるように膜厚が変化する傾斜部121bを有する。略直線状とは、厳密な直線を示すものでは無く、数μm以下の凹凸や膜厚を上回る曲率の曲線部分を含みながら、傾斜部121bが燃料極109の膜厚に対して10μm以内の直進性を示しているとみなされる状態を示している。燃料極109a,109bは、傾斜部121bに連続して、図2と同様の平坦部123bを有する。本実施形態において、平坦部123bの厚さは、燃料極109a,109bの膜厚と一致している。
図6において、燃料極109a,109bの端部は、階段状に膜厚が変化する傾斜部121cを有する。また、燃料極109a,109bは、傾斜部121cに連続して、図2と同様の平坦部123cを有する。本実施形態において、平坦部123cの厚さは、燃料極109a,109bの膜厚と一致している。傾斜部121cの段数は、以下で説明する燃料極109a,109bの形成工程や絶縁膜117cの充填性を考慮して適宜設定される。
ここで、図2,4,5,6に示すように絶縁膜117a〜117cの上表面が燃料極109a,109bの平坦部123a〜123c同士を結ぶ線と一致していると、固体電解質111が形成される面が平坦になる。このため、固体電解質111が形成されやすくなる。
(基体管形成工程)
上述した基体管材料を含むスラリーが押出し成形されて、基体管103が形成される。
上記の燃料極材料を含むスラリー(燃料極スラリー)が、基体管103上の所定位置に塗布される。燃料極スラリーの塗布方法として、スクリーン印刷法が採用できる。燃料極109,109bが所定の膜厚に到達するまで、燃料極スラリーが複数回にわたり塗布される。
燃料極109が形成された後、基体管103及び燃料極109a,109b上の所定位置に、上記絶縁膜材料を含むスラリー(絶縁膜スラリー)が塗布されて、絶縁膜117a〜117cが形成される。絶縁膜スラリーの塗布方法として、スクリーン印刷法が採用できる。
絶縁膜117a〜117cが形成された後、上記固体電解質材料を含むスラリー(固体電解質スラリー)がスクリーン印刷法により塗布される。この時、上述したように、固体電解質111の一方の末端Bが、絶縁膜117a〜117c上であって隣接する燃料極109a,109bの各々の末端Cの間に位置になるように、固体電解質スラリーが絶縁膜117a〜117c及び燃料極109a,109b上の所定位置に形成される。
1回の塗布で形成される膜の厚さは、スラリーの粘度等により調整できる。固体電解質111が所定の膜厚に到達するまで、固体電解質スラリーが複数回にわたり塗布される。
固体電解質111が形成された後、上記インターコネクタ材料を含むスラリー(インターコネクタスラリー)がスクリーン印刷法により塗布される。インターコネクタスラリーは、燃料極109、固体電解質111及び絶縁膜117a〜117cの所定位置に塗布される。
燃料極109、絶縁膜117a〜117c、固体電解質111及びインターコネクタ107が形成された基体管103が大気中で共焼結される。焼結温度は、具体的に1350℃〜1450℃とされる。焼成温度は、1350℃未満では固体電解質111及びインターコネクタ107の焼結が不十分となり、気密性が損なわれる。一方、1450℃を越えると燃料極109及び基体管103の緻密化が進み過ぎてガス透過性が損なわれることになり発電性能が低下する。
共焼結後、インターコネクタ107及び固体電解質111上の所定位置に、上記空気極材料を含むスラリー(空気極スラリー)が塗布される。塗布方法としてはスクリーン印刷法が採用できる。空気極113が所定の膜厚に到達するまで、空気極スラリーが複数回に亘り塗布される。
空気極スラリーが塗布された後の基体管103が、大気中にて焼結される。焼結温度は、具体的に1100℃〜1250℃とされる。ここでの焼結温度は、基体管〜インターコネクタを形成した後の共焼結温度よりも低温とされる。
図7乃至図9を参照して、本発明の第2実施形態に係る燃料電池及びその製造方法を説明する。
図7は、第2実施形態に係る円筒型の燃料電池のセルスタックの一態様において、燃料電池セル間の拡大概略図である。第2実施形態のセルスタック201は、燃料極209の端部において、燃料極209a,209bが2段構造となっており、それぞれ上段側の229a,下段側の229bとなっている。上記以外の構成は、第1実施形態と同じである。
なお、本実施形態においても、図3及び図4に例示されるように、絶縁膜217a〜217cの上部が燃料極209a,209bの平坦部223a〜cよりも突出した形状であっても良い。
燃料極209の形成方法として、スクリーン印刷法が採用できる。燃料極209は、所定の膜厚に到達するまで、燃料極スラリーが複数回にわたり塗布されて形成される。このとき、段229a,229bは燃料極スラリーの塗布位置をずらして塗布することにより形成される。
103,203 基体管
105,105a〜b,205a〜b 燃料電池セル
107,207 インターコネクタ
109,109a〜b,209a〜b 燃料極
111,211 固体電解質
113,213 空気極
115 リード膜
117,117a〜c,217a〜c 絶縁膜
121a〜c,221a〜c 傾斜部
123a〜c,223a〜c 平坦部
125a〜c,225a〜c 延出部
127 突起部
229a,229b 段
Claims (8)
- 基体管と、
燃料極と固体電解質と空気極とを備え、前記基体管上に形成された複数のセルと、
前記複数のセルとの間で、一方のセルの燃料極と前記一方のセルと隣接するセルの空気極とを電気的に接続するインターコネクタとを備える燃料電池であって、
前記燃料極が、前記燃料極の端部に位置し、前記燃料極の膜厚が変化する傾斜部と、該傾斜部と連続する平坦部とを有し、
隣接する前記セルの間で前記基体管及び燃料極上に絶縁膜を備え、
該絶縁膜は、前記平坦部の始点まで延在する延出部を有する形状であり、前記絶縁膜の前記基体管と反対側の表面が、隣接する前記セル間で前記燃料極の前記平坦部同士を結ぶ線以上に位置し、
前記絶縁膜上に前記固体電解質の少なくとも一部及び前記インターコネクタの少なくとも一部が形成されている燃料電池。 - 一の前記セルの前記固体電解質の末端が、前記絶縁膜上であって隣接する前記燃料極の末端の間に位置する請求項1に記載の燃料電池。
- 前記平坦部での前記燃料極の厚さが、前記燃料極の膜厚と同じである請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
- 前記燃料極の端部において前記燃料極が2つの段とされ、前記基体管に近い方の前記段に、前記平坦部と前記傾斜部とが形成されている請求項1または請求項2に記載の燃料電池。
- 基体管と、
燃料極と固体電解質と空気極とを備え、前記基体管上に形成された複数のセルと、
前記複数のセルとの間で、一方のセルの燃料極と前記一方のセルと隣接するセルの空気極とを電気的に接続するインターコネクタとを備える燃料電池の製造方法であって、
前記燃料極の端部において前記燃料極の膜厚が変化する傾斜部と、該傾斜部に連続した平坦部とが形成されるように、前記基体管上に前記燃料極が形成される工程と、
隣接する前記セルの間において、前記基体管及び前記燃料極上に、絶縁膜が形成される工程と、を備え、
前記絶縁膜は、前記燃料極の平坦部の始点まで形成され、該絶縁膜の前記基体管と反対側の表面が、隣接する前記セル間で前記燃料極の前記平坦部同士を結ぶ線以上に位置するように、前記セルの間に前記絶縁膜が充填される燃料電池の製造方法。 - 一の前記セルの前記固体電解質の末端が、前記絶縁膜上であって隣接する前記燃料極の末端の間に位置するように、前記燃料極及び前記絶縁膜上に前記固体電解質が形成される工程と、
前記セルの間において、前記絶縁膜、前記燃料極及び前記固体電解質上にインターコネクタを形成する工程とを備える請求項5に記載の燃料電池の製造方法。 - 前記燃料極が形成される工程において、前記平坦部での前記燃料極の厚さが前記燃料極の膜厚と同じになるように前記燃料極が形成される請求項5または請求項6に記載の燃料電池の製造方法。
- 前記燃料極が形成される工程において、前記燃料極の端部が2つの段になるように前記燃料極が形成され、前記基体管に近い方の前記段に、前記平坦部と前記傾斜部とが形成される請求項5または請求項6に記載の燃料電池の製造方法。
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