JP6282323B1 - 燃料電池セル - Google Patents

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Abstract

【課題】発電効率を向上させることのできる燃料電池セルを提供する。【解決手段】燃料電池セルは、支持基板20と、第1発電素子部10aと、緻密層8と、を備えている。緻密層8は、酸素イオン伝導性を有さない。燃料電池セルは、発電領域Aと、非発電領域Bとを備える。発電領域Aは、燃料極活性部42、電解質5、及び空気極活性部61が重複する領域である。非発電領域Bは、その他の領域である。空気極集電部62は、発電領域Aから非発電領域Bまで延びている。緻密層8は、非発電領域Bにおいて、空気極集電部62と支持基板20との間に配置されている。【選択図】図5

Description

本発明は、燃料電池セルに関するものである。
燃料電池セルは、支持基板と、支持基板上に支持される発電素子部とを備えている。発電素子部は、燃料極集電部、燃料極活性部、電解質、空気極活性部、及び空気極集電部を有している。燃料極活性部、電解質、及び空気極活性部が重複する領域を発電領域とし、その他の領域を非発電領域とする。支持基板は、多孔質であり、ガス流路を有している。このガス流路に燃料ガスが供給されると、発電領域では、支持基板内を介して燃料極活性部へと燃料ガスが供給される。そして、非発電領域において、燃料ガスが支持基板内を介して空気極側に漏れることを防止するため、支持基板は、電解質によって覆われている。
特開2015−76339号公報
燃料電池セルにおいて、発電効率を向上させることが要望されている。そこで、本発明の課題は、発電効率を向上させることのできる燃料電池セルを提供することにある。
発明者は、非発電領域において、酸素イオンが電解質を介して支持基板側へ伝導されることによってリーク電流が発生し、この結果、燃料電池セルの発電効率が低下しているおそれがあることを見出した。そこで、本発明に係る燃料電池セルは、以下のような構成とすることによって、リーク電流の発生を抑制して発電効率を向上させた。
本発明のある側面に係る燃料電池セルは、支持基板と、第1発電素子部と、緻密層と、を備えている。支持基板は、ガス流路を有する。支持基板は、多孔質である。第1発電素子部は、燃料極集電部、燃料極活性部、電解質、空気極活性部、及び空気極集電部、を有する。第1発電素子部は、支持基板上に支持される。緻密層は、酸素イオン伝導性を有さない。なお、酸素イオン伝導性を有さないとは、燃料電池セルの作動温度の一例である750度において、酸素イオン導電率が1×10−3S/cm以下であることを意味する。燃料電池セルは、発電領域と、非発電領域とを備える。発電領域は、燃料極活性部、前記電解質、及び前記空気極活性部が重複する領域である。非発電領域は、その他の領域である。空気極集電部は、発電領域から非発電領域まで延びている。緻密層は、非発電領域において、空気極集電部と支持基板との間に配置されている。
この構成によれば、非発電領域において、酸素イオン伝導性を有さない緻密層が空気極集電部と支持基板との間に配置されている。このため、空気極集電部内の酸素イオンが支持基板側へと伝導することを防止でき、ひいては発電効率を向上させることができる。
好ましくは、燃料電池セルは、反応防止膜をさらに備える。反応防止膜は、電解質と空気極活性部との間に配置されている。反応防止膜は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成される。
好ましくは、緻密層は、支持基板と同じ主成分を有する。この構成によれば、非発電領域において、支持基板と緻密層との熱膨張係数を近づけることができる。この結果、支持基板にクラックが生じることを抑制できる。
好ましくは、緻密層は、支持基板と同じ主成分を有し、支持基板の一対の側面を覆うように配置される。電解質で支持基板の全体を覆った場合、支持基板の一対の側面にクラックが生じることがあった。これに対して、支持基板の一対の側面を緻密層によって覆うことで、緻密層は支持基板と熱膨張係数が近いため、支持基板の側面を覆う緻密層にクラックが生じることを抑制できる。
好ましくは、燃料電池セルは、第2発電素子部と、インターコネクタと、をさらに備えている。第2発電素子部は、燃料極集電部、燃料極活性部、電解質、空気極活性部、及び空気極集電部を有している。第2発電素子部は、支持基板上に支持されている。インターコネクタは、第1発電素子部と第2発電素子部とを電気的に接続する。第1発電素子部の空気極集電部は、第2発電素子部に向かって延びている。第2発電素子部の燃料極集電部は、第1発電素子部に向かって延びている。インターコネクタは、第1発電素子部の空気極集電部と、第2発電素子部の燃料極集電部とを電気的に接続する。
本発明に係る燃料電池セルによれば、発電効率を向上させることができる。
燃料電池スタックの斜視図。 燃料電池スタックの断面図。 燃料マニホールドの斜視図。 燃料電池セルの斜視図。 燃料電池セルの断面図。 燃料電池セルの断面図。 燃料電池セルと燃料マニホールドとの接合を示す図。 空気の供給方法を示す図。 燃料電池セル内を流れる電流を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 燃料電池セルの製造方法を示す図。 変形例に係る燃料電池セルの断面図。 変形例に係る燃料電池セルの断面図。
以下、本発明に係る燃料電池セルを用いた燃料電池スタックの実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に示すように、燃料電池スタック100は、燃料マニホールド200と、複数の燃料電池セル301と、を備えている。
[燃料マニホールド]
図3に示すように、燃料マニホールド200は、燃料ガスを各燃料電池セル301に分配するように構成されている。燃料マニホールド200は、中空状であり、内部空間を有している。燃料マニホールド200の内部空間には、導入管201を介して燃料ガスが供給される。燃料マニホールド200は、互いに間隔をあけて並ぶ複数の貫通孔202を有している。各貫通孔202は、燃料マニホールド200の天板203に形成されている。各貫通孔202は、燃料マニホールド200の内部空間と外部とを連通する。
[燃料電池セル]
図2に示すように、各燃料電池セル301は、燃料マニホールド200から延びている。詳細には、各燃料電池セル301は、燃料マニホールド200の天板203から上方(x軸方向)に延びている。すなわち、各燃料電池セル301の長手方向(x軸方向)は、上方に延びている。図4に示すように、燃料電池セル301は、複数の発電素子部10と、支持基板20とを備えている。
[支持基板]
支持基板20は、支持基板20の長手方向(x軸方向)に沿って延びる複数のガス流路21を内部に有している。各ガス流路21は、互いに実質的に平行に延びている。図5に示すように、支持基板20は、複数の第1凹部22と、各第1凹部22の間に配置される桟部23を有している。
各第1凹部22は、支持基板20の両面に形成されている。各第1凹部22は支持基板20の長手方向において互いに間隔をあけて配置されている。なお、各第1凹部22は、支持基板20の幅方向(y軸方向)の両端部には形成されていない。各桟部23は、支持基板20の幅方向(y軸方向)に延びている。
支持基板20は、電子伝導性を有さない多孔質の材料によって構成される。支持基板20は、例えば、CSZ(カルシア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、支持基板20は、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、MgO(酸化マグネシウム)とMgAl(マグネシアアルミナスピネル)とから構成されてもよい。支持基板20の気孔率は、例えば、20〜60%程度である。
[発電素子部]
各発電素子部10は、支持基板20の両面に支持されている。なお、各発電素子部10は、支持基板20の片面のみに支持されていてもよい。各発電素子部10は、支持基板20の長手方向において、互いに間隔をあけて配置されている。すなわち、本実施形態に係る燃料電池セル301は、いわゆる横縞型の燃料電池セルである。長手方向に隣り合う発電素子部10は、インターコネクタ31によって互いに電気的に接続されている。以下では、複数の発電素子部10のうちの1つの発電素子部である第1発電素子部10aについて説明するが、他の発電素子部10も同じ構成である。
第1発電素子部10aは、燃料極4、電解質5、及び空気極6を有している。また、第1発電素子部10aは、反応防止膜7をさらに有している。
[燃料極]
燃料極4は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。燃料極4は、燃料極集電部41と燃料極活性部42とを有する。
[燃料極集電部]
燃料極集電部41は、第1凹部22内に配置されている。詳細には、燃料極集電部41は、第1凹部22内に充填されており、第1凹部22と同様の外形を有する。燃料極集電部41は、第2凹部411及び第3凹部412を有している。第2凹部411内には、燃料極活性部42が配置されている。また、第3凹部412には、インターコネクタ31が配置されている。
燃料極集電部41は、電子伝導性を有する。燃料極集電部41は、燃料極活性部42よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。燃料極集電部41は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
燃料極集電部41は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極集電部41は、NiO(酸化ニッケル)とY(イットリア)とから構成されてもよいし、NiO(酸化ニッケル)とCSZ(カルシア安定化ジルコニア)とから構成されてもよい。燃料極集電部41の厚さ、及び第1凹部22の深さは、50〜500μm程度である。
[燃料極活性部]
燃料極活性部42は、酸素イオン伝導性を有するとともに、電子伝導性を有する。燃料極活性部42は、燃料極集電部41よりも酸素イオン伝導性を有する物質の含有率が大きい。詳細には、燃料極活性部42における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合は、燃料極集電部41における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合よりも大きい。
燃料極活性部42は、例えば、NiO(酸化ニッケル)とYSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)とから構成され得る。或いは、燃料極活性部42は、NiO(酸化ニッケル)とGDC(ガドリニウムドープセリア)とから構成されてもよい。燃料極活性部42の厚さは、5〜30μmである。
[電解質]
電解質5は、燃料極4上を覆うように配置されている。詳細には、電解質5は、あるインターコネクタ31から他のインターコネクタ31まで長手方向に延びている。すなわち、支持基板20の長手方向(x軸方向)において、電解質5とインターコネクタ31とが交互に連続して配置されている。このように、電解質5は、支持基板20の一対の主面を覆うように構成されている。
電解質5は、イオン伝導性を有し且つ電子伝導性を有さない緻密な材料から構成される焼成体である。電解質5は、例えば、YSZ(8YSZ)(イットリア安定化ジルコニア)から構成され得る。或いは、電解質5は、LSGM(ランタンガレート)から構成されてもよい。電解質5の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
[反応防止膜]
反応防止膜7は、緻密な材料から構成される焼成体である。反応防止膜7は、電解質5と空気極活性部61との間に配置されている。反応防止膜7は、電解質5内のYSZと空気極6内のSrとが反応して電解質5と空気極6との界面に電気抵抗が大きい反応層が形成される現象の発生を抑制するために設けられている。反応防止膜7は、隣の発電素子部10である第2発電素子部10bの燃料極集電部41までは延びていない。
反応防止膜7は、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成されている。反応防止膜7は、例えば、GDC=(Ce,Gd)O(ガドリニウムドープセリア)から構成され得る。反応防止膜7の厚さは、例えば、3〜50μm程度である。
[空気極]
空気極6は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極6は、電解質5を介して、燃料極4と反対側に配置されている。空気極6は、空気極活性部61と空気極集電部62とを有している。
[空気極活性部]
空気極活性部61は、反応防止膜7上に配置されている。空気極活性部61は、酸素イオン伝導性を有するとともに、電子伝導性を有する。空気極活性部61は、空気極集電部62よりも酸素イオン伝導性を有する物質の含有率が大きい。詳細には、空気極活性部61おける、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合は、空気極集電部62における、気孔部分を除いた全体積に対する酸素イオン伝導性を有する物質の体積割合よりも大きい。
空気極活性部61は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極活性部61は、LSF=(La,Sr)FeO(ランタンストロンチウムフェライト)、LNF=La(Ni,Fe)O(ランタンニッケルフェライト)、又は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)等から構成されてもよい。空気極活性部61は、LSCFから構成される第1層(内側層)とLSCから構成される第2層(外側層)との2層によって構成されてもよい。空気極活性部61の厚さは、例えば、10〜100μmである。
この空気極活性部61と、電解質5と、燃料極活性部42とが重複する領域を発電領域Aとする。また、その他の領域、すなわち、発電領域A以外の領域を非発電領域Bとする。
[空気極集電部]
空気極集電部62は、空気極活性部61上に配置されている。また、空気極集電部62は、空気極活性部61から、第2発電素子部10bに向かって延びている。すなわち、空気極集電部62は、発電領域Aから非発電領域Bまで延びている。
空気極集電部62は、電子伝導性を有する多孔質の材料から構成される焼成体である。空気極集電部62は、空気極活性部61よりも高い電子伝導性を有していることが好ましい。空気極集電部62は、酸素イオン伝導性を有していてもよいし、有していなくてもよい。
空気極集電部62は、例えば、LSCF=(La,Sr)(Co,Fe)O(ランタンストロンチウムコバルトフェライト)から構成され得る。或いは、空気極集電部62は、LSC=(La,Sr)CoO(ランタンストロンチウムコバルタイト)から構成されてもよい。或いは、空気極集電部62は、Ag(銀)、Ag−Pd(銀パラジウム合金)から構成されてもよい。空気極集電部62の厚さは、例えば、50〜500μm程度である。
[インターコネクタ]
インターコネクタ31は、支持基板20の長手方向(x軸方向)に隣り合う第1発電素子部10aと第2発電素子部10bとを電気的に接続するように構成されている。詳細には、第1発電素子部10aの空気極集電部62は、第2発電素子部10bに向かって延びている。また、第2発電素子部10bの燃料極集電部41は、第1発電素子部10aに向かって延びている。そして、インターコネクタ31は、第1発電素子部10aの空気極集電部62と、第2発電素子部10bの燃料極集電部41とを電気的に接続している。インターコネクタ31は、燃料極集電部41の第3凹部412内に配置されている。詳細には、インターコネクタ31は、第3凹部412内に埋設されている。
インターコネクタ31は、電子伝導性を有する緻密な材料から構成される焼成体である。インターコネクタ31は、例えば、LaCrO(ランタンクロマイト)から構成され得る。或いは、インターコネクタ31は、(Sr,La)TiO(ストロンチウムチタネート)から構成されてもよい。インターコネクタ31の厚さは、例えば、10〜100μmである。
[緻密層]
緻密層8は、非発電領域Bにおいて、空気極集電部62と支持基板20との間に配置されている。詳細には、緻密層8は、支持基板20上に形成された電解質5と空気極集電部62との間に配置されている。緻密層8は、支持基板20の長手方向(x軸方向)において、好ましくは桟部23の60%以上を覆っており、より好ましくは桟部23の全体を覆っている。また、図4に示すように、緻密層8は、支持基板20の一対の側面を覆っていることが好ましい。
緻密層8は、酸素イオン伝導性を有していない。詳細には、緻密層8の酸素イオン導電率は、燃料電池セル100の作動温度の一例である750度において、1×10−3S/cm以下である。緻密層8は、緻密質材料から構成される。例えば、緻密層8の気孔率は、10%以下程度とすることができる。緻密層8は、支持基板20と同じ主成分を有している。例えば、緻密層8は、MgO、Y、又はMgAlなどによって構成され得る。
[集電部材]
以上のように構成された燃料電池セル301は、隣り合う燃料電池セル301と、集電部材302によって電気的に接続されている。図2に示すように、集電部材302は、一対の燃料電池セル301間に配置されている。そして、集電部材302は、厚さ方向(z軸方向)において隣り合う燃料電池セル301同士を電気的に接続するよう、導電性を有している。詳細には、集電部材302は、燃料電池セル301のガス供給側303において、隣り合う燃料電池セル301同士を接続している。集電部材302は、基端側発電素子部10aよりもガス供給側に配置されている。詳細には、図6に示すように、集電部材302は、基端側に配置される発電素子部10から延びる空気極集電部62上に配置されている。
集電部材302は、ブロック状である。例えば、集電部材302は、直方体状又は円柱状である。集電部材302は、例えば、酸化物セラミックスの焼成体で構成されている。このような酸化物セラミックスとしては、例えば、ペロブスカイト酸化物、又はスピネル酸化物などが挙げられる。ペロブスカイト酸化物としては、例えば、(La,Sr)MnO、又は(La,Sr)(Co,Fe)O等が挙げられる。スピネル酸化物としては、例えば、(Mn,Co)、又は(Mn,Fe)等が挙げられる。この集電部材302は、例えば、可撓性を有していない。
集電部材302は、第1接合材101によって、各燃料電池セル301に接合されている。すなわち、第1接合材101は、各集電部材302と各燃料電池セル301とを接合している。第1接合材101は、例えば、(Mn,Co)、(La,Sr)MnO又は(La,Sr)(Co,Fe)O等よりなる群から選ばれる少なくとも1種である。
図2に示すように、各燃料電池セル301は、燃料マニホールド200に支持されている。詳細には、各燃料電池セル301は、第2接合材102によって、燃料マニホールド200の天板203に固定されている。より詳細には、図7に示すように、各燃料電池セル301は、燃料マニホールド200の貫通孔202に挿入されている。燃料電池セル301は、貫通孔202に挿入された状態で、第2接合材102によって燃料マニホールド200に固定されている。
第2接合材102は、燃料電池セル301が挿入された状態の貫通孔202内に充填される。すなわち、第2接合材102は、燃料電池セル301の外周面と、貫通孔202を画定する壁面との隙間に充填される。第2接合材102は、例えば、結晶化ガラスである。結晶化ガラスとしては、例えば、SiO−B系、SiO−CaO系、又はSiO−MgO系が採用され得る。なお、本明細書では、結晶化ガラスとは、全体積に対する「結晶相が占める体積」の割合(結晶化度)が60%以上であり、全体積に対する「非晶質相及び不純物が占める体積」の割合が40%未満のガラスを指す。なお、第2接合材102の材料として、非晶質ガラス、ろう材、又はセラミックス等が採用されてもよい。具体的には、第2接合材102は、SiO−MgO−B−Al系及びSiO−MgO−Al−ZnO系よりなる群から選ばれる少なくとも一種である。
燃料マニホールド200から突出している各燃料電池セル301の長手方向(x軸方向)の長さは、100〜300mm程度とすることができる。また、各燃料電池セル301は、燃料電池セル301の厚さ方向(z軸方向)に間隔をあけて並んでいる。この燃料電池セル301同士の間隔は、1〜5mm程度とすることができる。
[発電方法]
以上のように構成された燃料電池スタック100は、次のようにして発電する。燃料マニホールド200を介して各燃料電池セル301のガス流路21内に燃料ガス(水素ガス等)を流すとともに、支持基板20の両面を酸素を含むガス(空気等)に曝す。
酸素を含むガスは、例えば、図8に示すように、幅方向(y軸方向)に沿って流れるように、基端側の発電素子部10よりもガス供給側に供給される。詳細には、燃料電池スタック100は、ガス供給部材400をさらに有している。ガス供給部材400は、各燃料電池セル301の間において、空気などのガスを供給するように構成されている。なお、ガス供給部材400から供給されたガスが効率的に上方へ流れるよう、案内板401がガス供給部材400と反対側に設置されていてもよい。案内板401は、平板状であって、燃料電池セル301の長手方向に延びるとともに、燃料電池セル301の厚さ方向に延びている。
以上のように、燃料ガス、及び酸素を含むガスを供給された各発電素子部10において、電解質5の両側面間に生じる酸素分圧差によって起電力が発生する。この燃料電池スタック100を外部の負荷に接続すると、空気極6において下記(1)式に示す電気化学反応が起こり、燃料極4において下記(2)式に示す電気化学反応が起こり、電流が流れる。
(1/2)・O+2e→O …(1)
+O →HO+2e …(2)
発電状態においては、電流は、図9において矢印で示すように流れる。インターコネクタ31、及び発電素子部10において、電流は厚さ方向に流れる。
[製造方法]
次に、上述したように構成された燃料電池セルの製造方法について説明する。図10から図17において、各部材の符号の末尾の「g」は、その部材が焼成前であることを示している。
まず、図10に示すように、支持基板の成形体20gを作製する。この支持基板の成形体20gは、例えば、支持基板20の材料(例えば、MgO−MgAl)の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、押し出し成形、及び切削等の手法を利用して作製され得る。
支持基板の成形体20gが作製されると、次に、図11に示すように、支持基板の成形体20gの上下面における各第1凹部22に、燃料極集電部の成形体41gを充填する。燃料極集電部の成形体41gは、例えば、上述した燃料極集電部41の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって作製される。
次に、図12に示すように、燃料極集電部の成形体41gの各第2凹部411内に、燃料極活性部の成形膜42gを形成する。この成形膜42gは、例えば、上述した燃料極活性部42の材料の粉末にバインダーなどを添加して得られるスラリーを用いて、印刷法などによって形成される。
また、各燃料極集電部の成形体41gの各第3凹部412内に、インターコネクタの成形膜31gを形成する。各インターコネクタの成形膜31gは、例えば、上述したインターコネクタ31の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
次に、図13に示すように、燃料極活性部の成形膜42g上に、電解質の成形膜5gを形成する。詳細には、電解質の成形膜5gの一方の端部は、第1発電素子部10aのインターコネクタの成形膜31g上に配置されており、電解質の成形膜5gの他方の端部は、第2発電素子部10bのインターコネクタの成形膜31g上に配置される。これによって、燃料極集電部の成形体41g、及び燃料極活性部の成形膜42gが形成された状態の支持基板の成形体20gの各主面は、インターコネクタの成形膜31g、及び電解質の成形膜5gによって覆われている。電解質の成形膜5gは、例えば、上述した電解質5の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法、又はディッピング法等によって形成される。
次に、図14に示すように、電解質の成形膜5g上に、反応防止膜の成形膜7gを形成する。各反応防止膜の成形膜7gは、例えば、上述した反応防止膜7の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
次に、図15に示すように、電解質の成形膜5g上に、緻密層の成形膜8gを形成する。詳細には、電解質膜の成形膜5gのうち、反応防止膜7gから第2発電素子部10b側へ延びた部分を覆うように、緻密層の成形膜8gを形成する。
そして、このように種々の成形膜が形成された状態の支持基板の成形体20gを、空気中にて1200〜1500℃程度で1〜5時間程度焼成する。これにより、空気極6が形成されていない状態の燃料電池セルが得られる。
次に、図16に示すように、各反応防止膜7上に、空気極活性部の成形膜61gを形成する。各空気極活性部の成形膜61gは、例えば、上述した空気極活性部61の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
次に、図17に示すように、第1発電素子部10aの空気極活性部の成形膜61gと、第2発電素子部10bのインターコネクタ31とを跨ぐように、空気極集電部の成形膜62gを形成する。すなわち、空気極集電部の成形膜62gは、空気極活性部の成形膜61g、電解質5、シール部32、及び、インターコネクタ31上に形成される。各空気極集電部の成形膜62gは、例えば、上述した空気極集電部62の材料の粉末にバインダー等を添加して得られるスラリーを用いて、印刷法等によって形成される。
そして、このように空気極の成形膜61g、62gが形成された状態の支持基板20を、空気中にて800〜1200℃程度で1〜5時間程度焼成する。これによって、燃料電池セル301が完成する。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
変形例1
上記実施形態では、支持基板20は平板状であったが、円筒状であってもよい。すなわち、燃料電池セル301は、円筒型であってもよい。
変形例2
上記実施形態では、燃料極集電部41が第2凹部411及び第3凹部412を有しているが、燃料極集電部41の構成はこれに限定されない。例えば、燃料極集電部41は第2凹部411及び第3凹部412などの凹部を有していなくてもよい。この場合、燃料極活性部42は、燃料極集電部41上に形成されており、燃料極集電部41に埋設されていない。また、インターコネクタ31は、燃料極集電部41上に形成されており、燃料極集電部41に埋設されていない。
変形例3
図18に示すように、燃料電池セルは、インターコネクタ31を囲むように配置されたシール部32を備えていてもよい。例えば、シール部32は環状である。シール部32は、電気絶縁性を有している。すなわち、シール部32は、電子伝導性を有していない。シール部32は、例えば、MgO、又はCZOなどから構成され得る。この場合、電解質5は、第1発電素子部10aのシール部32から第2発電素子部10bのシール部32まで延びている。また、緻密層8は、第2発電素子部のシール部32まで延びており、インターコネクタ31とは接触していない。
変形例4
上記実施形態では、電解質5は、第2発電素子部10bのインターコネクタ31まで延びているが、電解質5の構成はこれに限定されない。例えば、図19に示すように、電解質5は、支持基板20の桟部23まで延びていなくてもよい。この場合、緻密層8が桟部23上に配置されている。
301 燃料電池セル
20 支持基板
21 ガス流路
10a 第1発電素子部
41 燃料極集電部
42 燃料極活性部
5 電解質
61 空気極活性部
62 空気極集電部
8 緻密層
A 発電領域
B 非発電領域

Claims (4)

  1. ガス流路を有する多孔質の支持基板と、
    燃料極集電部、燃料極活性部、電解質、空気極活性部、及び空気極集電部、を有し、前記支持基板上に支持される第1発電素子部と、
    酸素イオン伝導性を有さない緻密層と、
    燃料極集電部、燃料極活性部、電解質、空気極活性部、及び空気極集電部を有し、前記支持基板上に支持される第2発電素子部と、
    前記第1発電素子部と前記第2発電素子部とを電気的に接続するインターコネクタと、
    を備え、
    前記第1発電素子部の空気極集電部は、前記第2発電素子部に向かって延び、
    前記第2発電素子部の燃料極集電部は、前記第1発電素子部に向かって延び、
    前記インターコネクタは、前記第1発電素子部の空気極集電部と、前記第2発電素子部の燃料極集電部とを電気的に接続し、
    当該燃料電池セルは、前記燃料極活性部、前記電解質、及び前記空気極活性部が重複する領域である発電領域と、その他の領域である非発電領域とを備え、
    前記第1発電素子部の空気極集電部は、前記発電領域から非発電領域まで延びており、
    前記緻密層は、前記非発電領域において、前記支持基板のうち前記第1発電素子部の燃料極集電部と前記第2発電素子部の燃料極集電部との間に位置する部分の全体を覆うように前記第1発電素子部の空気極集電部と前記支持基板との間に配置され、
    前記電解質は、前記発電領域から前記非発電領域まで延びており、前記非発電領域において、前記緻密層と前記支持基板との間に配置される、
    燃料電池セル。
  2. 前記電解質と前記空気極活性部との間に配置され、希土類元素を含むセリアを含んだ材料から構成される反応防止膜をさらに備える、
    請求項1に記載の燃料電池セル。
  3. 前記緻密層は、前記支持基板と同じ主成分を有する、
    請求項1又は2に記載の燃料電池セル。
  4. 前記緻密層は、前記支持基板の一対の側面を覆うように配置される、
    請求項3に記載の燃料電池セル。
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