JP5993179B2 - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Description
近年、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の成形品の大型化、薄肉化、形状複雑化、高性能化の進展や、環境問題への関心の高まりも伴って、芳香族ポリカーボネート系樹脂からなる成形品の優れた特性を損なうことなく、芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物の溶融流動性を向上させ、かつ射出成形性を高める技術が求められている。
しかしながら、これらの樹脂組成物は未だ良好な流動性や耐衝撃性が得られているとは言い難く、更なる改善が求められている。
しかしながら、自動車用部材等の耐衝撃性や流動性が特に求められる分野では、特性が十分ではなく、更なる向上が求められていた。
その為、耐薬品性を低下させることなく、流動性および低温の衝撃特性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および成形品は未だ提供されていなかった。
1.芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)98〜85重量部および流動性向上剤(B成分)2〜15重量部の合計100重量部に対し、衝撃向上剤(C成分)1〜10重量部、および粘度平均分子量が1万以上であるポリエチレン(D成分)0.3〜5重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、該流動性向上剤(B成分)は、(i)下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体および/または式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル単量体(Ba)並びに芳香族アルケニル化合物単量体(Bb)から形成される単位を主たる構成単位とする共重合体であり、B成分における単量体(Ba)と単量体(Bb)との割合は、両者の合計がB成分100重量%中80重量%以上であり、両者の合計100重量%中に単量体(Ba)が1〜80重量%および単量体(Bb)が20〜99重量%であり、(ii)そのクロロホルム可溶成分の重量平均分子量は10,000〜200,000である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
2.上記衝撃向上剤(C成分)がブタジエン系、シリコーン系から選ばれるゴム変性樹脂もしくはこれらの共重合体を1種以上含む上記1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。これらのゴム変性樹脂もしくは共重合体によると低温における耐衝撃性が著しく優れる。
3.無機充填材(E成分)を含有する上記1〜2のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。無機充填材を含有すると、剛性や強度などの機械的特性や成形加工時の金型取出し後の後収縮によるヒケの発生しにくい寸法安定性に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
かかる無機充填材(E成分)としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)などが代表的に例示される。かかる無機充填材は芳香族ポリカーボネート樹脂中での分散性もよく溶融混練時の熱安定性にも優れるため、機械的特性、寸法安定性、熱安定性のバランスに優れる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。殊にタルク、マイカ、およびワラストナイトが好ましく利用できる。
4.上記B成分における単量体(Ba)は、フェニルメタクリレートである上記1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。フェニルメタクリレートから形成される構成単位を有する流動改質剤(B成分)は、分散性や相溶性に優れるため、層状剥離しにくい良好な外観を有する成形加工性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物となる。
5.上記B成分における単量体(Bb)は、スチレンである上記1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。スチレンから形成される構成単位を有する該流動改質剤(B成分)は、流動性や分散性や強度のバランスに優れるため、成形加工性に優れた良好な外観を有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物となる。
6.熱安定剤(F成分)を含有する上記1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
7.上記1〜6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形品。
8.射出成形により得られた上記7に記載の成形品。
9.自動車用部材である上記7〜8のいずれかに記載の成形品。
(I)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)
本発明で用いられる芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、二価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の二価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(1)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
(2)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
(3)該ポリカーボネートを構成する二価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度を次式にて挿入して粘度平均分子量Mを求める。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4M0.83
c=0.7
本発明で用いられる流動改質剤(B成分)は、(i)下記の一般式(1)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル単量体および/または式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル単量体(Ba)並びに芳香族アルケニル化合物単量体(Bb)から形成される単位を主たる構成単位とする共重合体であり、(ii)そのクロロホルム可溶成分の重量平均分子量は10,000〜200,000であることを満足するものである。
また、本発明の流動改質剤においては、溶融粘度が300Pa・s以下のものを用いることが好ましい。
なお、上記溶融粘度は、キャピラリー式レオメーターを用い、ノズルD=1mm、L/D=16、バレル温度=170℃、せん断速度=3000sec−1の条件で測定した溶融粘度をいう。
乳化ラジカル重合法による共重合体の合成方法としては、例えば、水、乳化剤と、上記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体および/または式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル単量体(Ba)並びに芳香族アルケニル化合物単量体(Bb)、および任意に他の単量体、重合開始剤、連鎖移動剤等の混合物に、必要に応じて重合触媒を添加し、高温下で重合を行い、共重合体を合成する。
上記ノニオン性乳化剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ジアルキルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノール、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、およびアルキルセルロースなどが挙げられる。
上記アニオン性乳化剤の具体例としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族アミンおよび脂肪族アミドの硫酸塩類、脂肪アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩類、アルキルアリールスルホン酸塩類、およびホルマリン縮合物のナフタリンスルホン酸塩類などが挙げられる。
上記カチオン性乳化剤の具体例としては、脂肪族アミン塩類、第四アンモニウム塩類、およびアルキルピリジニウム塩などが挙げられる。
上記両性イオン乳化剤の具体例としては、アルキルベタインが挙げられる。
レドックス系開始剤の具体例としては、硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸ニナトリウム塩、ロンガリット、ヒドロパーオキサイドを組み合わせたスルホキシレート系開始剤が挙げられる。
連鎖移動剤は、B成分の共重合体を形成する単量体の合計100重量部あたり、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜1.5重量部である。
尚、上記は基本的にマクロモノマーが幹であり、グラフト結合する単量体から形成される重合体単位が枝となるが、末端に不飽和二重結合を有するマクロモノマーのみを利用する場合には、マクロモノマーが枝であり、単量体から形成される重合体単位が幹となる。
本発明で用いられる衝撃向上剤(C成分)は、ガラス転移温度が10℃以下、好ましくは−10℃以下、より好ましくは−30℃以下であるゴム成分からなる重合体、並びに該ゴム成分からなる重合体に他のポリマー鎖が結合してなる共重合体が好ましく挙げられる。更にそのゴム成分がゴム質重合体100重量%中少なくとも35重量%、より好ましくは45重量%含有する重合体であることが好ましい。ゴム成分の含有量の上限は実用上90重量%程度が好ましい。
また、グラフト共重合体の製造では、その製法によりグラフトしない比較的多量のスチレン系硬質ポリマーと、グラフト共重合体のゴム質重合体との混合物を得ることもできる。例えば、塊状重合法により製造されるABS樹脂はその代表例である。
本発明に用いられるポリエチレン(D成分)としては高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等が挙げられ、かかる製法についても特に限定されず、例えば、線状低密度ポリエチレンにおいてもチーグラー系の触媒、メタロセン系の触媒等現在公知の各種触媒を使用することが可能である。ポリエチレンの粘度平均分子量は1万以上であり、1〜100万が好ましく、3〜30万が特に好ましく、5〜19万が最も好ましい。ポリエチレンの粘度平均分子量が下限以上では、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に用いた際に、耐薬品性を低下させることなく、優れた低温衝撃性が得られる。また、ポリエチレンの粘度平均分子量が上限以下では、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物に用いた際に、耐薬品性を低下させることなく、優れた流動性および低温衝撃性が得られるため好ましい。
かかるポリエチレンは、三井化学(株)ハイゼックス(例えば、2100JP、3300F)、日本ポリオレフィン(株)ジェイレクス、旭化成工業(株)サンテック、日本ポリエチレン(株)ノバテックという商品名で市販されているものが挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、目的の特性が損なわれない範囲で、A成分、B成分、C成分、D成分以外の熱可塑性樹脂を配合することができる。
本発明に用いられる無機充填材(E成分)は、繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択でき、樹脂組成物の強度や剛性や耐熱性の向上、および寸法安定性のためには繊維状、フレーク状のものが好適である。例えば、繊維状の無機充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、スラグ繊維、ロックウール、ゾノトライト、ワラストナイト、および各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、ボロンウイスカー、および塩基性硫酸マグネシウムウイスカーなど)などが例示され、フレーク状の無機充填材としては、ガラスフレーク、金属フレーク、グラファイトフレーク、スメクタイト、カオリンクレー、マイカ、およびタルクなどが例示される。尚、例えばガラスバルーンなどの中空充填材は、樹脂と溶融混練することにより破砕して板状の無機充填材と同様に剛性向上の効果が得られる場合がある。本発明のフレーク状充填材にはかかる効果を発現するものを含む。これらの無機充填材は、異種材料を表面被覆したものを含む。異種材料としては金属、合金、金属酸化物などが代表的である。金属や合金などの被覆は高い導電性を付与でき、また意匠性を向上させる場合もある。金属酸化物の被覆は光導電性などの機能が付与できる場合があり、また意匠性の向上も可能である。
本発明では、耐衝撃性、外観、寸法安定性、およびコストなどの点からマイカ、タルクおよびワラストナイトが特に好適である。
本発明に用いられるマイカの平均粒径としては、レーザー回折・散乱法で測定される平均粒径(D50(粒子径分布のメジアン径))が好ましくは1〜50μm、より好ましくは2〜20μm、更に好ましくは2〜10μmのものが使用できる。マイカの平均粒径が1μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、50μmを越えると外観の低下が大きくなりやすい。マイカの厚みとしては、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが好ましくは0.01〜1μm、より好ましくは0.03〜0.3μmのものを使用できる。アスペクト比としては好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100のものを使用できる。マイカは天然鉱物の粉砕物であっても合成品であってもよい。マイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成できる。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効である。その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
本発明に用いられるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有している。より好適なタルクの組成としては、SiO2:62〜63.5重量%、MgO:31〜32.5重量%、Fe2O3:0.03〜0.15重量%、Al2O3:0.05〜0.25重量%、およびCaO:0.05〜0.25重量%が好ましい。更に強熱減量が2〜5.5重量%であることが好ましい。かかる好適な組成においては、良好な熱安定性および色相を有する樹脂組成物が得られ、更なる成形加工温度の上昇によっても良好な成形品が製造される。これにより本発明の組成物は更に高流動化が可能となり、より大型または複雑形状の薄肉成形品に対応可能となる。
本発明に用いられるワラストナイトの平均繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで平均繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。電子顕微鏡の観察で得られる画像から繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、各フィラーの中央部に近いところで繊維径を測定する。得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データから、画像解析装置を使用して画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
かかる表面被覆用滑剤はA成分とB成分の合計100重量部を基準として、0.01〜5重量部が好ましく、0.05〜3重量部がより好ましく、0.05〜1重量部が更に好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、成形加工時の分子量や色相を安定化させるために各種安定剤を使用することができる。かかる安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤などが挙げられる。
本発明に用いられるリン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
本発明に用いられるヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、必要に応じて公知の紫外線吸収剤、染顔料、熱線吸収能を有する化合物、難燃剤、滴下防止剤、帯電防止剤、離型剤等の添加剤を配合してもよい
(VII−i)紫外線吸収剤
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として0.01〜2重量部、好ましくは0.03〜2重量部、より好ましくは0.04〜1重量部、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は熱線吸収能を有する化合物を含有することができる。かかる化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含み、さらにウイスカーも含む)、カーボンファイバー(気相成長法によるものを含む)、カーボンナノチューブ、およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として、0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が配合されてよい。難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
かかる難燃剤としては、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など)、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤、並びに(iv)ハロゲン系難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート(オリゴマーを含む)、臭素化ポリアクリレート、および塩素化ポリエチレンなど)等が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、滴下防止剤を含むことができる。かかる滴下防止剤を上記難燃剤と併用することにより、より良好な難燃性を得ることができる。かかる滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることかできるが、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
フィブリル化PTFEのポリカーボネート樹脂組成物中の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として好ましくは0.001〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.7重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部を基準として5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物は、その成形時の生産性向上や成形品の寸法精度の向上を目的として、更に、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などの公知の離型剤を配合することもできる。本発明の樹脂組成物は、良好な流動性を有することから圧力伝播が良好で、歪の均一化された成形品が得られる。一方で離型抵抗が大きくなるような複雑形状の成形品の場合、離型時における成形品の変形を招く恐れがある。上記特定の成分の配合は、かかる問題を樹脂組成物の特性を損なうことなく解決するものである。
上記の離型剤の含有量は、A成分、B成分の合計100重量部を基準として好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜4重量部、更に好ましくは0.02〜3重量部である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、上記記載の添加剤の他に、必要に応じて着色剤(例えばカーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、染料)、光拡散剤(例えばアクリル架橋粒子、シリコーン架橋粒子、炭酸カルシウム粒子)、蛍光染料、蛍光増白剤、無機系蛍光体(例えばアルミン酸塩を母結晶とする蛍光体)、ブルーイング剤、光拡散剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤、熱線吸収剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分、C成分およびD成分並びに任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練して、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
(芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の評価)
(i)シャルピー衝撃強度
ISO 179に従い、ノッチ付きのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。さらに、試験片の破断面を観察し破壊形態について評価した。全ての試験片が延性破壊であった場合を○とし、1個以上の試験片が脆性破壊であった場合を×と表記した。本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、その破壊形態は延性破壊であることが好ましい。
(ii)流動性:住友重機械工業(株)SG−150U成形機を用い、アルキメデス型スパイラルフロー金型(流路厚さ2mm、流路幅8mm)にて流動長を評価した。条件は、シリンダー温度280℃、金型温度80℃、射出圧力100MPaとした。
(iii)耐薬品性:(i)と同様にしてISO 179に従い試験片を製造した。製造した試験片に曲げ歪みを与えた状態で、23℃雰囲気下で30分間エッソレギュラーガソリンに浸漬した。
試験片に与える曲げ歪を変え、クラックが発生しない最大の応力を測定した。
表1および表2に示す組成からなる混合物を押出機の第1供給口から供給した。かかる混合物はV型ブレンダーで混合して得た。ここでいう第1供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第2供給口とは押出機のダイスと第1供給口の間に位置する供給口である。タンブラーによる混合物は径30mmφのベント式二軸押出機((株)日本製鋼所TEX30XSST)を使用しスクリュー根元の第1投入口から計量器((株)クボタ製CWF)上に設けられた攪拌羽根式の供給機から供給した。一方E成分は同じく計量器上に設けられた振動式の供給機を用いて所定の割合となるよう押出機シリンダバレルの途中に設けられたサイドフィーダーに供給され、かかるフィーダーを通して押出機へ供給された。シリンダおよびダイス共に温度270℃にて押出を行い、スクリュー回転数130rpm、吐出量20kg/時、ベント吸引度10,000Paでストランドを製造し、次いでペレタイザーでペレット化した。
得られたペレットの一部は、120℃で6時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。
(A成分)
PC−1:芳香族ポリカーボネート樹脂[ビスフェノールAとホスゲンから常法によって作られた粘度平均分子量20,900のポリカーボネート樹脂粉末、帝人化成(株)製 パンライトL−1225WS]
(B成分)
B−1:重量平均分子量58,000の流動性向上剤(三菱レイヨン(株)製メタブレンTP003(商品名))。かかる流動性向上剤は単量体(Ba)がフェニルメタクリレートであり、単量体(Bb)がスチレンであって、BaとBbとの重量比(Ba:Bb)が16:84であるメタクリル酸フェニル−スチレン共重合体であった。かかる共重合体は、その1gを10mlのクロロホルムと混合し30分間攪拌したところ不溶分がなく架橋構造体を実質的に含有しないものであった。またその分子量分布(Mw/M n)は2.3であった。
B−2:重量平均分子量2,800、分子量分布が2.1のポリスチレンオリゴマーからなる流動性向上剤(BASF社製:JONCRYL ADF−1300)
(B−1のGPC測定)
GPC測定は温度23℃、相対湿度50%の清浄な空気の環境下、カラムとしてポリマーラボラトリーズ社製ResiPore(長さ300mm、内径7.5mm)の2本を直列接続したもの、移動相としてクロロホルム、標準物質としてポリマーラボラトリーズ社製イージーキャルPS−2、および検出器として254nm波長でのフォトダイオードアレイ検出器を用い、展開溶媒としてクロロホルムを使用し、クロロホルム5ml当たり10mgの試料を溶解した溶液を、GPC測定装置に50μl注入し、カラム温度40℃および流量1ml/分の条件によりGPC測定を行い、流動改質剤の分子量測定を行い、重量平均分子量を算出した。測定装置は、ポンプ:(株)日立製作所製L−6000、オートサンプラ:(株)日立製作所製L−7200、カラムオーブン:(株)日立製作所製L−7300、フォトダイオードアレイ検出器:(株)日立製作所製L−2450であった。
(C成分)
C−1:コア−シェルグラフト共重合体(ロームアンドハース社:パラロイドEXL−2602(商品名))
C−2:コア−シェルグラフト共重合体(三菱レイヨン(株)製:メタブレンS−2001(商品名)
(D成分)
D−1:粘度平均分子量2万のポリエチレン(密度964kg/m3)
D−2:粘度平均分子量6万のポリエチレン(三井化学(株)製;ハイゼックス2100JP(商品名)MFR5.8g/10min(190℃ 2.16kg) 密度953kg/m3)
D−3:粘度平均分子量10万のポリエチレン(三井化学(株)製;ハイゼックス3300F(商品名)MFR1.1g/10min(190℃ 2.16kg) 密度950kg/m3)
D−4:粘度平均分子量20万のポリエチレン(三井化学(株)製;ハイゼックス7000F(商品名)MFR0.04g/10min(190℃ 2.16kg) 密度952kg/m3)
D−5:粘度平均分子量4.000のポリエチレン(三井化学(株)製;ハイワックス405MP(商品名)密度960kg/m3)
D−6:粘度平均分子量8.000のポリエチレン(密度970kg/m3)
(E成分)
TALC:タルク(林化成(株)製:UPN HS−T0.8)
WSN:ワラストナイト(NYCO社製:NYGLOS4)
(F成分)
F−1:フェノール系熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製;IRGANOX1076(商品名))
F−2:リン系熱安定剤(Ciba Specialty Chemicals K.K.製Irgafos P−EPQ(商品名))
また、金属層が設けられた成形品は、電磁波シールド部品、導電部品、およびアンテナ部品などに利用できる。かかる部品は特にシート状およびフィルム状が好ましい。
Claims (9)
- 芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)98〜85重量部および流動性向上剤(B成分)2〜15重量部の合計100重量部に対し、衝撃向上剤(C成分)1〜10重量部、および粘度平均分子量が1万以上であるポリエチレン(D成分)0.3〜4重量部を含有する芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、該流動性向上剤(B成分)は、(i)下記の一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル単量体および/または式(2)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル単量体(Ba)並びに芳香族アルケニル化合物単量体(Bb)から形成される単位を主たる構成単位とする共重合体であり、B成分における単量体(Ba)と単量体(Bb)との割合は、両者の合計がB成分100重量%中80重量%以上であり、両者の合計100重量%中に単量体(Ba)が1〜80重量%および単量体(Bb)が20〜99重量%であり、(ii)そのクロロホルム可溶成分の重量平均分子量は10,000〜200,000である芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 上記衝撃向上剤(C成分)がブタジエン系、シリコーン系から選ばれるゴム変性樹脂もしくはこれらの共重合体を1種以上含む請求項1に記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 無機充填材(E成分)を含有する請求項1〜2のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 上記B成分における単量体(Ba)は、フェニルメタクリレートである請求項1〜3のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 上記B成分における単量体(Bb)は、スチレンである請求項1〜4のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 熱安定剤(F成分)を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形品。
- 射出成形により得られた請求項7に記載の成形品。
- 自動車用部材である請求項7〜8のいずれかに記載の成形品。
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