JP5992369B2 - 野生動物の個体群動態推定装置、野生動物の個体群動態推定プログラムおよび野生動物の個体群動態推定方法 - Google Patents

野生動物の個体群動態推定装置、野生動物の個体群動態推定プログラムおよび野生動物の個体群動態推定方法 Download PDF

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Description

この発明は、野生動物の個体群動態推定装置、野生動物の個体群動態推定プログラムおよび野生動物の個体群動態推定方法に関する。
従来から、シカやイノシシなどの野生動物による農作物被害が深刻化しており、野生動物の保全管理を適切に行うことが望まれている。現状では、都道府県や市町村において、野生動物の自然増加率や個体数等の推定に基づいて、必要な捕獲数の決定等、野生動物の保全管理に関する意思決定が行われている。
また、従来、野生動物の自然増加率や個体数等(個体群動態)の推定を行う際に、野生動物の個体群動態についての事前分布を用いて事後分布の導出(推定)を行うベイズ推定により野生動物の個体群動態を推定する方法が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
上記非特許文献1には、ベイズ推定により、ニホンジカの自然増加率や個体数等(個体群動態)についての事前分布と既知のデータとに基づいて事後分布を導出することによって、ニホンジカの個体群動態を推定する方法(野生動物の個体群動態推定方法)が開示されている。この野生動物の個体群動態推定方法では、自然増加率および個体数についての事前分布を正規分布として設定し、その事前分布を用いて事後分布を作成している。
「「ニホンジカの個体群動態の推定と将来予測(兵庫県本州部2011年)」、兵庫ワイルドライフレポート1号(2012)P1〜16、兵庫県森林動物研究センター」
しかしながら、上記非特許文献1の野生動物の個体群動態推定方法では、ニホンジカの自然増加率および個体数(個体群動態)について事前分布が正規分布として設定されるので、たとえば、野生動物の個体群動態の確率密度分布において、期待値近傍の確率密度が正規分布よりも広い範囲にわたって一様に高いと想定される場合には、正規分布に従った事前分布では、その想定に沿った分布形状に精度よく設定することができないという不都合がある。この場合には、事前分布の設定精度が低下するので、事前分布に基づく事後分布の精度が低下し、その結果、野生動物の個体群推定の精度が低下するという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、事前分布の設定精度を高めることにより、事後分布の精度を向上させて野生動物の個体群推定の精度を向上させることが可能な野生動物の個体群動態推定装置、野生動物の個体群動態推定プログラムおよび野生動物の個体群動態推定方法を提供することである。
この発明の第1の局面による野生動物の個体群動態推定装置は、野生動物の個体群動態について事前分布を用いて事後分布の導出を行うベイズ推定により野生動物の個体群動態を推定する野生動物の個体群動態推定装置であって、野生動物の個体群動態の事前分布を作成する事前分布作成手段と、作成された事前分布と、野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、野生動物の個体群動態の事後分布を作成する事後分布作成手段とを備え、事前分布作成手段は、事前分布を規定する期待値、分散および尖度を独立して調整可能な式(A)に示す第1の関数と、事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方を含む第2の関数と、を用いて、期待値、分散および尖度が野生動物の個体群動態に対応するように調整され、事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方において連続的な分布形状を有する事前分布を作成するように構成されている。
Figure 0005992369
この発明の第1の局面による野生動物の個体群動態推定装置では、上記のように構成することによって、事前分布を正規分布として設定する場合とは異なり、野生動物の個体群動態の期待値近傍の確率密度が正規分布とは異なる分布形状を有すると想定される場合でも、野生動物の個体群動態に対応するように期待値、分散および尖度が調整された第1の関数を用いることにより、その想定に沿った分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。すなわち、野生動物の個体群動態に関する知見を十分に活かして想定される分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。その結果、野生動物の個体群動態の事前分布の設定精度を高めることにより、事後分布の精度を向上させることができるので、野生動物の個体群推定の精度を向上させることができる。また、たとえば、ニホンジカの場合、生態学的な特性および調査結果から得られる妊娠率や産仔数等の情報に基づいて、自然増加率(個体群動態)の上限値および下限値を想定することが可能であり、このような場合に、ニホンジカの自然増加率の上限値および下限値に対応する事前分布の上限値および下限値を規定可能な第2の関数を用いれば、事前分布をより精度よく設定することができる。
この場合、好ましくは、第2の関数は、事前分布を非対称の分布形状に変換可能であり、事前分布作成手段は、事前分布の上限値および下限値の一方の値において連続的な分布形状を有するように事前分布の上限値および下限値の一方が規定された状態の第2の関数を用いて、事前分布の分布形状を非対称形状にするように構成されている。このように構成すれば、野生動物の生態学的な特性や調査結果に基づいて、野生動物の個体群動態の上限値および下限値に加えて、野生動物の個体群動態の確率密度分布が非対称形状であると想定することが可能な場合に、野生動物の個体群動態の上限値(下限値)に対応するように事前分布の上限値(下限値)が規定され、かつ、事前分布の分布形状を非対称形状に変換可能な第2の関数を用いることにより、事前分布をさらに精度よく設定することができる。
上記第1の局面による野生動物の個体群動態推定装置において、好ましくは、事後分布作成手段は、野生動物の個体群動態に関する既知のデータが記憶された記憶部から既知のデータを読み出し、読み出した既知のデータと、期待値、分散および尖度が調整されることにより作成された事前分布とを用いて、野生動物の個体群動態の事後分布を作成するように構成されている。このように構成すれば、事後分布作成手段により、記憶部に記憶された野生動物の個体群動態に関する既知のデータが自動的に読み出されるので、容易に、読み出した既知のデータと期待値、分散および尖度が調整された事前分布とに基づいて事後分布を精度よく作成することができる。
上記第1の局面による野生動物の個体群動態推定装置において、好ましくは、野生動物の個体群動態は、野生動物の自然増加率を含む。この場合、事前分布の期待値、分散および尖度が野生動物の自然増加率に対応するように調整された状態の第1の関数を用いて、野生動物の自然増加率について事前分布の設定精度を高めて事後分布の精度を向上させることができる。これにより、野生動物の保全管理に関する意思決定において重要なパラメータである自然増加率の推定を精度よく行うことができる。
上記第1の局面による野生動物の個体群動態推定装置において、好ましくは、第2の関数は、事前分布の上限値を規定可能な式(B)に示す関数である。
Figure 0005992369
ここで、Rは、事前分布の確率変数、R MAX は、上限値をそれぞれ表す。
この発明の第2の局面による野生動物の個体群動態推定プログラムは、コンピュータを、野生動物の個体群動態について事前分布を用いて事後分布を導出するベイズ推定において、野生動物の個体群動態の事前分布を作成する事前分布作成手段と、作成された事前分布と、野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、野生動物の個体群動態の事後分布を作成する事後分布作成手段として機能させ、事前分布作成手段は、事前分布を規定する期待値、分散および尖度を独立して調整可能な上式(A)に示す第1の関数と、事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方を含む第2の関数と、を用いて、期待値、分散および尖度が野生動物の個体群動態に対応するように調整され、事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方において連続的な分布形状を有する事前分布を作成するように構成されている
この発明の第2の局面による野生動物の個体群動態推定プログラムでは、上記のように構成することによって、事前分布を正規分布として設定する場合とは異なり、野生動物の個体群動態の期待値近傍の確率密度が正規分布とは異なる分布形状を有すると想定される場合でも、野生動物の個体群動態に対応するように期待値、分散および尖度が調整された関数を用いることにより、その想定に沿った分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。すなわち、野生動物の個体群動態に関する知見を十分に活かして想定される分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。その結果、野生動物の個体群動態の事前分布の設定精度を高めることにより、事後分布の精度を向上させることができるので、野生動物の個体群推定の精度を向上させることができる。また、たとえば、ニホンジカの場合、生態学的な特性および調査結果から得られる妊娠率や産仔数等の情報に基づいて、自然増加率(個体群動態)の上限値および下限値を想定することが可能であり、このような場合に、ニホンジカの自然増加率の上限値および下限値に対応する事前分布の上限値および下限値を規定可能な第2の関数を用いれば、事前分布をより精度よく設定することができる。
この発明の第3の局面による野生動物の個体群動態推定方法は、野生動物の個体群動態について事前分布を用いて事後分布の導出を行うベイズ推定により野生動物の個体群動態を推定する野生動物の個体群動態推定方法であって、野生動物の個体群動態の事前分布を作成するステップと、事前分布と、野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、野生動物の個体群動態の事後分布を作成するステップとを備え、事前分布を作成するステップは、事前分布を規定する期待値、分散および尖度を独立して調整可能な上式(A)に示す第1の関数と、事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方を含む第2の関数と、を用いて、期待値、分散および尖度が野生動物の個体群動態に対応するように調整され、事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方において連続的な分布形状を有する事前分布を作成するステップを含む
この発明の第3の局面による野生動物の個体群動態推定方法では、上記のように構成することによって、事前分布を正規分布として設定する場合とは異なり、野生動物の個体群動態の期待値近傍の確率密度が正規分布とは異なる分布形状を有すると想定される場合でも、野生動物の個体群動態に対応するように期待値、分散および尖度が調整された第1の関数を用いることにより、その想定に沿った分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。すなわち、野生動物の個体群動態に関する知見を十分に活かして想定される分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。その結果、野生動物の個体群動態の事前分布の設定精度を高めることにより、事後分布の精度を向上させることができるので、野生動物の個体群推定の精度を向上させることができる。また、たとえば、ニホンジカの場合、生態学的な特性および調査結果から得られる妊娠率や産仔数等の情報に基づいて、自然増加率(個体群動態)の上限値および下限値を想定することが可能であり、このような場合に、ニホンジカの自然増加率の上限値および下限値に対応する事前分布の上限値および下限値を規定可能な第2の関数を用いれば、事前分布をより精度よく設定することができる。
本発明によれば、上記のように、事前分布の設定精度を高めることにより、事後分布の精度を向上させて野生動物の個体群推定の精度を向上させることができる。
本発明の一実施形態による個体群動態推定装置により行われるベイズ推定の概要を説明するための図である。 本発明の一実施形態による個体群動態推定装置の構成を示したブロック図である。 本発明の一実施形態による個体群動態推定装置により行われる第1の関数を用いた事前分布の作成について説明するための図である。 本発明の一実施形態による個体群動態推定装置により行われる第2の関数を用いた事前分布の作成について説明するための図である。 本発明の一実施形態による個体群動態推定装置により行われる個体群動態の推定処理について説明するためのフローチャートである。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1〜図4を参照して、本発明の一実施形態による個体群動態推定装置100の構成について説明する。
本発明の一実施形態による個体群動態推定装置100は、野生動物の自然増加率や個体数、捕獲率等の個体群動態について、事前分布を用いて事後分布の導出を行うベイズ推定により野生動物の個体群動態を推定する装置である。たとえば、野生動物の個体数の過程モデルを以下に示す式(1)のように仮定した場合、各年の個体数Nおよび自然増加率rは、未知の値(パラメータ)である。このようなパラメータになる個体群動態(個体数Nや自然増加率r)について、個体群動態推定装置100は、図1に示すように、個体群動態の事前分布と、捕獲数や糞塊密度、目撃効率(狩猟者から得られた目撃情報)等の野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)により、事後分布を導出して個体群動態の推定を行うように構成されている。
Figure 0005992369
ここで、Nは、t年における個体数、rは、自然増加率、cは、t年における捕獲数をそれぞれ表す。
なお、本実施形態の個体群動態推定装置100では、個体群動態の推定に際して、狩猟時の捕獲数(狩猟捕獲数)や有害駆除による捕獲数(有害捕獲数)、狩猟登録者数あたりの銃猟による捕獲数などの変数を用いて作成された確率モデルと、上記過程モデルとを用いて、マルコフ連鎖モンテカルロ法による階層ベイズ推定を行う。以下、個体群動態推定装置100の具体的な構成について説明する。
個体群動態推定装置100は、図2に示すように、CPU1と、ハードディスク2と、読出装置3と、通信部4と、出力部5とから主として構成されている。CPU1、ハードディスク2、読出装置3、通信部4、および出力部5は、バス6によって接続されている。なお、CPU1は、本発明の「事前分布作成手段」および「事後分布作成手段」の一例であり、ハードディスク2は、本発明の「記憶部」の一例である。また、個体群動態推定装置100は、本発明の「コンピュータ」の一例である。
CPU1は、個体群動態推定装置100の各部を制御可能に構成されている。また、CPU1は、ハードディスク2にインストールされた後述の個体群動態推定プログラム10aを実行することにより、野生動物の個体群動態の推定処理を実施するように構成されている。
ハードディスク2には、図示しないオペレーティングシステムや個体群動態推定プログラム10aなど、CPU1に実行させるための種々のコンピュータプログラムがインストールされている。また、ハードディスク2には、捕獲数や糞塊密度、目撃効率等の野生動物の個体群動態に関する既知のデータも格納されている。既知のデータは、図示しないキーボードを用いて打ち込むことによりハードディスク2に保存してもよいし、Ethernet(登録商標)インタフェースからなる通信部4を介して他の機器から取り込んでもよい。
読出装置3は、ディスクドライブにより構成されており、CD−ROM等の可搬型記録媒体10に記録された情報を読み出すことが可能である。個体群動態推定装置100は、読出装置3により、可搬型記録媒体10に記録された個体群動態推定プログラム10aを読み出してハードディスク2にインストールすることが可能である。また、個体群動態推定プログラム10aを、Ethernet(登録商標)インタフェースからなる通信部4を介して受信するようにしてもよい。
出力部5は、表示装置20に接続されており、後述の個体群動態の推定処理において、事前分布および事後分布それぞれのグラフの情報や推定結果の情報などを表示装置20に出力可能に構成されている。
ここで、本実施形態では、CPU1は、個体群動態の事前分布を規定する尖度、期待値および分散が独立して調整された状態の関数を用いて、野生動物の個体群動態の事前分布を作成する機能を有している。具体的には、CPU1は、図3に示すように、以下の式(2)に示す第1の関数において事前分布の尖度、期待値および分散がそれぞれ対象の野生動物の個体群動態に対応するようにユーザにより調整された状態で、第1の関数を用いて事前分布を作成する。なお、第1の関数は、尖度、期待値および分散を独立して調整可能な確率密度関数(誤差分布または指数べき分布)である。また、第1の関数は、本発明の「関数」の一例である。
Figure 0005992369
すなわち、上記式(2)に示す第1の関数において、ユーザが対象の野生動物の個体群動態に対応するように尖度、期待値および分散を独立して調整することによって、CPU1は、尖度、期待値および分散が調整された状態の上記第1の関数を用いて、事野生動物の個体群動態に対応する前分布を作成する。
また、CPU1は、尖度、期待値および分散が調整された事前分布(図3参照)に対して、図4に示すように、事前分布の上限値において連続的な分布形状を有するように事前分布の上限値が規定された状態で、野生動物の個体群動態の事前分布を作成するように構成されている。具体的には、CPU1は、以下の式(3)に示す第2の関数(変換式)において、野生動物の個体群動態に関する数値の上限値に対応するとともに事前分布の上限値において連続的な分布形状を有するように事前分布の上限値が規定された状態で、上記第1の関数および第2の関数を用いて、野生動物の個体群動態の事前分布を作成する。第2の関数は、野生動物の個体群動態に関する数値の上限値に対応する事前分布の上限値を規定可能な関数である。
Figure 0005992369
ここで、Rは、推定する確率変数(たとえば、自然増加率)、RMAXは、上限値、pは、上記式(2)の第1の関数に従う変数をそれぞれ表す。
たとえば、ニホンジカの自然増加率(個体群動態)は、生態学的な特性および調査結果から得られる妊娠率や産仔数等の情報に基づいて、上限値(たとえば、1.5)および下限値(たとえば、1.0)を想定することが可能である。この場合、第2の関数のRMAXに、ニホンジカの自然増加率の上限値(たとえば、1.5)を適用すれば、事前分布の上限値において連続的な分布形状を有した状態で、ニホンジカの自然増加率の上限値に対応する値になるように事前分布の上限値を規定することができる。なお、上記第2の関数では、事前分布の下限値は規定されない。
また、上記第2の関数は、事前分布の上限値を規定しながら、野生動物の個体群動態に対応するように事前分布を非対称の分布形状に変換可能な関数である。CPU1は、上記のように事前分布の上限値が規定された状態の第2の関数を用いて、事前分布の分布形状を非対称形状にするように構成されている。
野生動物の個体群動態は、生態学的な特性や調査結果に基づいて、確率密度分布が期待値に対して非対称形状(たとえば、図4に示すように、上限値側に偏った分布形状)になると想定することができる場合がある。この場合には、野生動物の個体群動態に対応するように事前分布を非対称の分布形状に変換可能な上記第2の関数を用いることは、特に有効である。
また、CPU1は、ハードディスク2から既知のデータ(捕獲数や糞塊密度、目撃効率等)を読み出すように構成されている。CPU1は、読み出した既知のデータと、尖度、期待値および分散が調整されることにより作成された事前分布とを用いて、野生動物の個体群動態の事後分布を作成することにより個体群動態の推定を行うように構成されている。具体的には、CPU1は、既知のデータと事前分布とを用いて、マルコフ連鎖モンテカルロ法により、野生動物の個体群動態の事後分布を作成するように構成されている。
次に、図1および図3〜図5を参照して、個体群動態推定装置100のCPU1により実行される個体群動態の推定処理について説明する。
まず、ステップS1において、CPU1は、ユーザにより野生動物の個体群動態に対応するように尖度、期待値および分散が調整された上記式(2)に示す第1の関数を用いて、図3に示すように、野生動物の個体群動態の事前分布を作成する。その後、ステップS2において、CPU1は、第1の関数により調整された事前分布に対して、図4に示すように、事前分布の上限値が規定され、かつ、事前分布を非対称形状に変換可能な上記式(3)に示す第2の関数を用いて、上限値が規定された非対称形状の事前分布を作成する。すなわち、CPU1は、上記ステップS1およびS2の動作により、第1の関数および第2の関数の両方を用いて、事前分布を作成する。
その後、CPU1は、ステップS3において、ハードディスク2から既知のデータを読み出す。CPU1は、ステップS4において、読み出した既知のデータと、作成された事前分布とを用いて、図1に示すように、マルコフ連鎖モンテカルロ法により、対象の個体群動態の事後分布を作成し、ステップS5において、個体群動態の推定結果(グラフデータや数値データ)を表示装置20に出力する制御を行う。
本実施形態では、上記のように、事前分布を規定する期待値、分散および尖度のうち、少なくとも尖度を独立して調整可能な第1の関数において事前分布の尖度が野生動物の個体群動態に対応するように調整された状態で、第1の関数を用いて野生動物の個体群動態の事前分布を作成するCPU1を設けることによって、事前分布を正規分布として設定する場合とは異なり、野生動物の個体群動態の期待値近傍の確率密度が正規分布とは異なる分布形状を有すると想定される場合でも、野生動物の個体群動態に対応するように尖度が調整された第1の関数を用いることにより、その想定に沿った分布形状に事前分布を精度よく設定することができる。その結果、野生動物の個体群動態の事前分布の設定精度を高めることにより、事後分布の精度を向上させることができるので、野生動物の個体群推定の精度を向上させることができる。
また、本実施形態では、事前分布の尖度、期待値および分散が野生動物の個体群動態に対応するように調整された状態の第1の関数を用いて、野生動物の個体群動態の事前分布を作成するようにCPU1を構成する。これにより、野生動物の個体群動態の想定される確率密度分布に沿った分布形状に事前分布をより精度よく設定することができるので、事後分布の精度をより向上させることができる。
また、本実施形態では、事前分布の上限値を規定可能な第2の関数において、野生動物の個体群動態に関する数値の上限値に対応するとともに事前分布の上限値において連続的な分布形状を有するように事前分布の上限値が規定された状態で、第1の関数および第2の関数を用いて、野生動物の個体群動態の事前分布を作成するようにCPU1を構成する。これにより、たとえば、ニホンジカの場合、生態学的な特性および調査結果から得られる妊娠率や産仔数等の情報に基づいて、自然増加率(個体群動態)の上限値(たとえば、1.5)を想定することが可能であり、このような場合に、ニホンジカの自然増加率の上限値に対応する事前分布の上限値を規定可能な第2の関数を用いれば、事前分布をより精度よく設定することができる。
また、本実施形態では、事前分布の上限値において連続的な分布形状を有するように事前分布の上限値が規定された状態の第2の関数を用いて、事前分布の分布形状を非対称形状にするようにCPU1を構成する。これにより、野生動物の生態学的な特性や調査結果に基づいて、野生動物の個体群動態の上限値に加えて、野生動物の個体群動態の確率密度分布が非対称形状であると想定することが可能な場合に、野生動物の個体群動態の上限値に対応するように事前分布の上限値が規定され、かつ、事前分布の分布形状を非対称形状に変換可能な第2の関数を用いることにより、事前分布をさらに精度よく設定することができる。
また、本実施形態では、野生動物の個体群動態に関する既知のデータが記憶されたハードディスク2から既知のデータを読み出し、読み出した既知のデータと、尖度が調整されることにより作成された事前分布とを用いて、野生動物の個体群動態の事後分布を作成するようにCPU1を構成する。これにより、CPU1により、ハードディスク2に記憶された野生動物の個体群動態に関する既知のデータが自動的に読み出されるので、容易に、読み出した既知のデータと尖度が調整された事前分布とに基づいて事後分布を精度よく作成することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、本発明の第1の関数の一例として、期待値、分散および尖度を調整可能な上記式(2)に示す第1の関数を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の第1の関数は、期待値、分散および尖度のうち、少なくとも尖度を独立して調整可能であれば、上記式(2)に示す第1の関数以外の関数であってもよい。
また、上記実施形態では、本発明の第2の関数の一例として、上限値を規定する上記式(3)に示す第2の関数を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の第2の関数は、下限値を規定する関数や上限値および下限値の両方を規定する関数など、上記式(3)に示す第2の関数以外の関数であってもよい。
また、上記実施形態では、事前分布と既知のデータとを用いて、マルコフ連鎖モンテカルロ法により事後分布を作成(導出)する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、事前分布と既知のデータとを用いて、マルコフ連鎖モンテカルロ法以外の方法により事後分布を作成(導出)してもよい。
1 CPU(事前分布作成手段、事後分布作成手段)
2 ハードディスク(記憶部)
10a 個体群動態推定プログラム
100 個体群動態推定装置(コンピュータ)

Claims (7)

  1. 野生動物の個体群動態について事前分布を用いて事後分布の導出を行うベイズ推定により前記野生動物の個体群動態を推定する野生動物の個体群動態推定装置であって
    記野生動物の個体群動態の前記事前分布を作成する事前分布作成手段と
    成された前記事前分布と、前記野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、前記野生動物の個体群動態の前記事後分布を作成する事後分布作成手段とを備え
    前記事前分布作成手段は、
    前記事前分布を規定する期待値、分散および尖度を独立して調整可能な式(A)に示す第1の関数と、
    前記事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方を含む第2の関数と、を用いて、
    前記期待値、前記分散および前記尖度が前記野生動物の個体群動態に対応するように調整され、前記事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方において連続的な分布形状を有する前記事前分布を作成するように構成されている、野生動物の個体群動態推定装置。
    Figure 0005992369
  2. 前記第2の関数は、前記事前分布を非対称の分布形状に変換可能であり、
    前記事前分布作成手段は、前記事前分布の上限値および下限値の前記一方の値において連続的な分布形状を有するように前記事前分布の上限値および下限値の前記一方が規定された状態の前記第2の関数を用いて、前記事前分布の分布形状を非対称形状にするように構成されている、請求項に記載の野生動物の個体群動態推定装置。
  3. 前記事後分布作成手段は、前記野生動物の個体群動態に関する既知のデータが記憶された記憶部から前記既知のデータを読み出し、読み出した前記既知のデータと、前記期待値、前記分散および前記尖度が調整されることにより作成された前記事前分布とを用いて、前記野生動物の個体群動態の前記事後分布を作成するように構成されている、請求項1または2に記載の野生動物の個体群動態推定装置。
  4. 前記野生動物の個体群動態は、野生動物の自然増加率を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の野生動物の個体群動態推定装置。
  5. 前記第2の関数は、前記事前分布の上限値を規定可能な式(B)に示す関数である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の野生動物の個体群動態推定装置。
    Figure 0005992369
    ここで、Rは、事前分布の確率変数、R MAX は、上限値をそれぞれ表す。
  6. コンピュータを、
    野生動物の個体群動態について事前分布を用いて事後分布を導出するベイズ推定において、前記野生動物の個体群動態の前記事前分布を作成する事前分布作成手段と
    成された前記事前分布と、前記野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、前記野生動物の個体群動態の前記事後分布を作成する事後分布作成手段として機能させ
    前記事前分布作成手段は、
    前記事前分布を規定する期待値、分散および尖度を独立して調整可能な式(A)に示す第1の関数と、
    前記事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方を含む第2の関数と、を用いて、
    前記期待値、前記分散および前記尖度が前記野生動物の個体群動態に対応するように調整され、前記事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方において連続的な分布形状を有する前記事前分布を作成するように構成されている、野生動物の個体群動態推定プログラム。
    Figure 0005992369
  7. 野生動物の個体群動態について事前分布を用いて事後分布の導出を行うベイズ推定により前記野生動物の個体群動態を推定する野生動物の個体群動態推定方法であって
    記野生動物の個体群動態の前記事前分布を作成するステップと
    記事前分布と、前記野生動物の個体群動態に関する既知のデータとを用いて、前記野生動物の個体群動態の前記事後分布を作成するステップとを備え
    前記事前分布を作成するステップは、
    前記事前分布を規定する期待値、分散および尖度を独立して調整可能な式(A)に示す第1の関数と、
    前記事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方を含む第2の関数と、を用いて、
    前記期待値、前記分散および前記尖度が前記野生動物の個体群動態に対応するように調整され、前記事前分布の上限値又は下限値の少なくとも一方において連続的な分布形状を有する前記事前分布を作成するステップを含む、野生動物の個体群動態推定方法。
    Figure 0005992369
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