JP2006280806A - 脳内電流源推定方法、生体情報推定方法、脳内電流源推定装置、及び生体情報推定装置 - Google Patents

脳内電流源推定方法、生体情報推定方法、脳内電流源推定装置、及び生体情報推定装置 Download PDF

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琢 吉岡
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Abstract

【課題】 非侵襲的手法により脳内の電流源を推定する脳内電流源推定方法及び電流源推定装置、並びに生体情報を推定する生体情報推定方法及び生体情報推定装置の提供。
【解決手段】 ブレインキャップから得られる脳活動に係るデータを取込み(S1)、電流源モデル及びモデル確率を設定する(S2,S3)。次いで、階層事前分布の設定を行い(S4)、変分法的ベイズ推定法を適用することにより、電流分布及び分散を推定する(S5,S6)。そして、自由エネルギを算出し(S7)、収束判定を行う(S8)。収束していない場合(S8:NO)、処理をステップS5へ戻し、パラメータを更新して電流分布及び分散の推定を再度行う。そして、自由エネルギの値が収束したときの電流分布を求める。
【選択図】 図3

Description

本発明は、非侵襲的手法により脳内電流源の時空間分布を推定する脳内電流源推定方法及び脳内電流源推定装置、並びに観測対象者の生体情報を推定する生体情報推定方法及び生体情報推定装置に関する。
近年の生体計測技術の進歩はめざましく、従来測定が困難で誤差も大きかった脳から発生する微弱電場(脳波)及び微弱磁場(脳磁波)の計測精度は、年々向上している。
脳活動を計測する目的としては、脳のどの部位が感覚、運動などの認知に関わるか知ることが挙げられる。そのため、脳内の活動を高い空間分解能、また場合によっては高い時間分解能で観測することが求められている。非侵襲的に脳活動を計測する計測手段として、神経細胞脳電気活動由来の電気現象を計測するEEG(electroencephalogram)及びMEG(magnetoencephalogram)、神経細胞発火後の二次的な現象として起こる脳血流又は代謝の変化を計測するfMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)NIRS(Near Infrared Radiation Sensor)、PET(Positron Emission Tomography)等が知られている。
前述したEEG、MEG計測は、時間分解能に優れており、神経活動に直接由来する電気現象を非侵襲的に観測することができるという利点を有している。しかしながら、その一方で、EEG、MEG計測は、計測地点が脳の内部ではなく頭蓋外部に配置したセンサにより計測しており、また、神経細胞の電気活動が物理法則に従って拡散した電場又は磁場を計測しているため、EEG、MEG計測のみから脳内の電気活動を推定するには空間分解能に関して原理的な制限が存在する。すなわち、観測した電場又は磁場を復元するような脳内の電流分布は一意に定まらず、推定された解に関して不定性が存在するという問題点を有している。さらに、推定すべきパラメータが多いため推定精度が劣化するという問題点を有している。
これらの問題点を克服する手法として、本発明者らは、空間分解能に優れたfMRI等の他の計測手段により得られたデータを取込み、取込んだデータを事前情報として導入し、脳内の電流分布を推定する脳内電流源推定方法を提案している。また、本発明者らは、ARD(Automatic Relevance Determination)を用いたベイズ推定法により局在化した電流分布を求める手法を提案しており、更に、深さ方向の不定性に対する解決方法として、脳を複数の仮想曲面に分割しその各曲面上で電流源推定を行い、その各曲面で一番よいものを自由エネルギを算出することによって選択する手法を提案している(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第03/057035号パンフレット
前述した手法を用いることにより、観測した電場又は磁場を復元するような脳内の電流分布を一意に求めることは可能であるが、使用するパラメータの数を減らすまでには至らず、依然として推定精度の劣化を抑えることができないという問題点を有していた。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、推定すべきパラメータ数を低く抑えつつ、脳内の調べたい領域における電流分布を高精度に推定することができる脳内電流源推定方法及び脳内電流源推定装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、観測対象者の生体情報を高精度に推定することができる生体情報推定方法及び生体情報推定装置を提供することにある。
第1発明に係る脳内電流源推定方法は、観測対象者の脳活動に関する事象を非侵襲的に観測し、観測結果に基づいて前記観測対象者の脳内に存する電流源の時空間分布を推定する脳内電流源推定方法において、前記電流源の時空間分布を第1の分解能で推定する第1領域、及び前記第1の分解能よりも低い第2の分解能で推定する第2領域を設定するステップと、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を、前記観測結果に基づいて推定するステップとを有することを特徴とする。
第1発明にあっては、高分解能で推定する第1領域と低分解能で推定する第2領域とを設定し、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を脳活動の観測結果に基づいて推定する。したがって、第2領域での推定に用いるパラメータの数を抑えつつ、高精度に推定したい領域に重点的にパラメータを分配することにより、パラメータの数の増大に伴う推定精度の劣化が防止される。
第2発明に係る脳内電流源推定方法は、前記時空間分布について事前分布を設定し、設定した事前分布と前記観測結果とを用いて、ベイズ推定法により事後分布を求めることを特徴とする。
第2発明にあっては、電流源の時空間分布について事前分布を設定し、ベイズ推定法により事後分布を求める構成であるため、電流源モデルに対するモデルパラメータの事前知識を事前分布の形で導入することにより、各モデルパラメータの確信度が事後分布として求まる。
第3発明に係る生体情報推定方法は、観測対象者の脳活動に関する事象を非侵襲的に観測し、観測結果に基づいて前記観測対象者についての生体情報を推定する生体情報推定方法において、前記観測対象者の脳内に存する電流源の時空間分布を第1の分解能で推定する第1領域、及び前記第1の分解能よりも低い第2の分解能で推定する第2領域を設定するステップと、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を、前記観測結果に基づいて推定するステップと、該ステップにより推定した電流源の時空間分布に基づいて前記生体情報を推定するステップとを有することを特徴とする。
第3発明にあっては、高分解能で推定する第1領域と低分解能で推定する第2領域とを設定し、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を脳活動の観測結果に基づいて推定する。また、推定した電流源の時空間分布に基づいて観測対象者の生体情報を推定する。したがって、第2領域での推定に用いるパラメータの数を抑えつつ、高精度に推定したい領域に重点的にパラメータを分配することにより、パラメータの数の増大に伴う推定精度の劣化が防止され、しかも生体情報の正確な把握が可能となる。
第4発明に係る脳内電流源推定装置は、観測対象者の脳活動に関する事象を非侵襲的に観測する観測手段を備え、該観測手段による観測結果に基づいて脳内に存する電流源の時空間分布を推定する脳内電流源推定装置において、前記電流源の時空間分布を第1の分解能で推定する第1領域、及び前記第1の分解能よりも低い第2の分解能で推定する第2領域を設定する手段と、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を、前記観測結果に基づいて推定する手段とを有することを特徴とする。
第4発明にあっては、高分解能で推定する第1領域と低分解能で推定する第2領域とを設定し、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を脳活動の観測結果に基づいて推定する。したがって、第2領域での推定に用いるパラメータの数を抑えつつ、高精度に推定したい領域に重点的にパラメータを分配することにより、パラメータの数の増大に伴う推定精度の劣化が防止される。
第5発明に係る脳内電流源推定装置は、前記時空間分布について事前分布を設定する手段と、設定した事前分布及び前記観測結果を用いて、ベイズ推定法により事後分布を求める手段とを備えることを特徴とする。
第5発明にあっては、電流源の時空間分布について事前分布を設定し、ベイズ推定法により事後分布を求める構成であるため、電流源モデルに対するモデルパラメータの事前知識を事前分布の形で導入することにより、各モデルパラメータの確信度が事後分布として求まる。
第6発明に係る脳内電流源推定装置は、前記観測手段は、前記観測対象者の脳波を検出する脳波検出手段と、前記観測対象者の脳血流の状態を検出する脳血流検出手段とを備えることを特徴とする。
第6発明にあっては、時間分解能に優れた脳波検出手段と、空間分解能に優れた脳血流検出手段とを組み合わせて使用することにより、脳内電流源の推定精度が高まる。
第7発明に係る生体情報推定装置は、第4発明乃至第6発明の何れか1つに記載の脳内電流源推定装置と、該脳内電流源推定装置により推定された電流源の時空間分布に基づいて観測対象者についての生体情報を推定する手段とを備えることを特徴とする。
第7発明にあっては、高精度に推定した脳内電流源の時空間分布に基づいて観測対象者についての生体情報を推定するため、観測対象者の身体的状態、感情、動作等が正確に把握される。
第1発明及び第4発明による場合は、高分解能で推定する第1領域と低分解能で推定する第2領域とを設定し、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を脳活動の観測結果に基づいて推定する。したがって、第2領域での推定に用いるパラメータの数を抑えつつ、高精度に推定したい領域に重点的にパラメータを分配することにより、パラメータの数の増大に伴う推定精度の劣化を防止して脳内電流源の時空間分布を高精度に推定することができる。
第2発明及び第5発明による場合は、電流源の時空間分布について事前分布を設定し、ベイズ推定法により事後分布を求めるようにしている。したがって、電流源モデルに対するモデルパラメータの事前知識を事前分布の形で導入することにより、各モデルパラメータの確信度を事後分布として求めることができる。また、事後分布を近似的に計算する手法として自然勾配法の一種である変分法的ベイズ推定法を用いることができ、最適解が速やかに得られる。
第3発明及び第7発明による場合は、高分解能で推定する第1領域と低分解能で推定する第2領域とを設定し、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を脳活動の観測結果に基づいて推定する。したがって、第2領域での推定に用いるパラメータの数を抑えつつ、高精度に推定したい領域に重点的にパラメータを分配することにより、パラメータの数の増大に伴う推定精度の劣化を防止することができ、脳内電流源の時空間分布を高精度に推定することができる。また、精度良く推定した脳内電流源の時空間分布に基づいて生体情報を推定するため、観測対象者の身体的状態、感情、動作等を正確に把握することができる。
第6発明による場合は、EEG等の時間分解能に優れた脳波検出手段と、NIRS等の空間分解能に優れた脳血流検出手段とを組み合わせて使用することにより、脳活動を非侵襲的に観測するようにしたので脳内電流源の時空間分布を正確に推定することができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は脳活動に関する事象を観測する観測手段としてのブレインキャップを示す模式図である。ブレインキャップ10は、人間の頭部を覆うように帽子状のホルダ100に、2種類の第1センサ101、第2センサ102をN個(例えば、N=数十〜数百)ずつ設けた構成をなしている。これらの第1センサ101及び第2センサ102は、適宜のピッチ(例えば、数ミリメートル間隔)で配設されている。
第1センサ101は、具体的には電極を有する脳波計(EEG)であり、外部からの刺激を受けて脳内の神経細胞が発生する電流に起因する微弱な電場(脳波)を検出する。各第1センサ101は、自身が設置された各部位での脳活動に伴う電場の経時的変化を計測して出力する。第1センサ101は、時間分解能に優れており、ミリ秒単位での計測が可能である。
第2センサ102は、具体的には近赤外センサ(NIRS)であって、比較的短い波長を持つ赤外光を出射する発光素子とその赤外光の反射光を受ける受光素子とを一組として構成されており、発光素子からの出射光の脳内での吸収量に基づいて脳血流の状態を検出する。各第2センサ102は、自身が設置された各部位における脳血流を計測して出力する。第2センサ102は、電場又は磁場のように他の領域からの影響を受けないため空間分解能に優れており、数ミリメートル〜数十ミリメートル単位での計測が可能である。
このような第1センサ101及び第2センサ102は、小型の構成であっても脳活動を観測することができるため、前述したようなブレインキャップ10に簡単に取り付けることができ、大型の構成を必要としない。
本実施の形態では、図1に示したブレインキャップ10を利用して対象者の脳活動に係る情報を取得し、取得した情報に基づいて脳内電流源の時空間分布(以下、単に電流分布という)を推定する。また、本実施の形態では、推定した脳内の電流分布に基づいて、対象者の精神状態、動作等の生体情報を推定する。
図2は対象者の脳内の電流分布、及び対象者の生体情報を推定する推定装置の構成を示す模式図である。対象者は、図1に示したブレインキャップ10を頭部に装着している。ブレインキャップ10には、ブレインキャップ10の第1センサ101及び第2センサ102で検出された信号を集計する集計装置11が接続されている。集計装置11には、データ処理装置20と無線通信を行うための通信装置12が接続されている。本実施の形態では、ブレインキャップが取得したデータを通信装置12を通じてデータ処理装置20へ送信し、データ処理装置20にて前記対象者の脳内の電流分布を推定し、更に前記対象者の生体情報を推定する。
データ処理装置20は、具体的には、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等であり、ブレインキャップ10に接続された通信装置12から送信されるデータの解析を行う。データ処理装置20は、CPU21を備えており、このCPU21には、ROM23、RAM24、HDD25、通信IF26、入力IF27、出力IF28等のハードウェアがバス22を介して接続されている。CPU21には、ROM23に予め格納された制御プログラムをRAM24上にロードして実行することにより、前述のハードウェア各部を制御し、全体として本発明にかかる脳内電流源推定装置、及び生体情報推定装置として機能させる。
HDD25は、磁気記録媒体を有する記憶装置であり、通信IF26にて受信したデータ、そのデータに基づく解析結果等を記憶する。入力IF27は、データ処理装置20の外部にキーボード、マウス等の入力デバイス270を接続するためのインタフェースであり、解析開始指示、解析結果の出力指示等の操作を受付ける。出力IF28は、液晶ディスプレイ装置、プリンタ装置等の出力デバイス280を接続するためのインタフェースであり、受信したデータ、解析結果等を出力する。
以下、対象者の脳内の電流分布、及び対象者の生体情報を推定する際のデータ処理装置20の動作について説明する。図3は対象者の脳内電流分布を推定する際にデータ処理装置20が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。データ処理装置20は、まず、ブレインキャップ10を装着した対象者の脳活動に係るデータを取込む(ステップS1)。具体的には、第1センサ101が取得した脳波を示す信号、及び第2センサ102信号が取得した脳内の血流状態を示す信号を通信IF26を通じて受信する。取込んだデータはRAM24により一時的に保持される。
次に、取込んだデータを復元する脳内の電流分布を求めるために、本実施の形態では、以下の電流源モデルを設定する(ステップS2)。すなわち、脳内の電流分布Jが与えられた場合、対象者の頭蓋外部にて観測される電場Eは次式により表される。但し、電流分布JはI×T(Iは電流点数、Tは時間のサンプル数)のマトリクス形式で表現され、電場EはN×T(Nは、第1センサ101の数)のマトリクス形式で表現されているものとする。
Figure 2006280806
ここで、Gはリードフィールド行列であり、G・Jは電流分布Jが第1センサ101上に作る電場を表す。また、ξは第1センサ101のノイズを表しており、N個の第1センサ101の中でタイプが異なるセンサが存在するとした場合、同じタイプのセンサノイズの分散は共通であると仮定する。
本実施の形態では、電流分布Jを高精度に推定したい領域と、精度良く推定する必要がない領域とに分割し、高精度に推定したい領域に重点的にパラメータを分配することによって、パラメータ数の増大に伴う推定精度の劣化を防止する。そのため、電流分布Jが次式により表されると仮定する。
Figure 2006280806
ここで、Zは高精度に推定したい領域の電流分布(以下、活動電流という)を表し、ηは精度良く推定する必要がない領域の電流分布(以下、背景電流という)を表す。但し、活動電流ZはM×Tのマトリクス形式で表現され、背景電流ηはI×Tのマトリクス形式で表現されているものとする。また、Wはフォーカスフィルタとして機能するインジケータ行列である。
次に、電流分布Jが与えられたときに観測される電場がEである確率(モデル確率)を次式により設定する(ステップS3)。
Figure 2006280806
観測ノイズについては、各計測点で独立な分散σ2 を持つガウスノイズとして取り扱うこととしている。また、ND (…)は、正規分布を表しており、任意のパラメータをX、そのパラメータに対する期待値をXバー、共分散行列をΣ-1とした場合、次式により表すことができる。
Figure 2006280806
次に、電場Eを観測する前の電流分布Jに関して次式で表される階層事前分布を設定する(ステップS4)。
Figure 2006280806
ここで、αJ は電流分布Jの分散を表すパラメータであり、αZ は活動電流Zの分散を表すパラメータである。また、Γ(…)は、ガンマ分布を表しており、任意のパラメータをY、そのパラメータに対する期待値をYバー、自由度をγとした場合、次式によって表すことができる。
Figure 2006280806
前述した確率モデルと階層事前分布が与えられたときに、モデル周辺尤度を解析的に求めることは一般的にできない。そこで、モデル周辺尤度を近似的に計算する手法として変分法的ベイズ法を採用し、電流分布及びその分散の夫々について試験事後分布を導入する。
電流分布についての試験事後分布Q(J,Z)は、以下のようにして算出することができる。
Figure 2006280806
このとき、電流分布(電流強度)を次式のように推定することができる(ステップS5)。なお、本実施の形態では、後述する自由エネルギFが収束するまで、電流強度の推定と、次のステップ(S6)における電流分散の推定とを繰り返して行うが、電流強度の推定を行う直前に電流分散の推定を行った場合には、電流分散の推定で得られたパラメータをフィードバックすることにより以下の式に現れるパラメータを更新する。
Figure 2006280806
上の式において、Jバーはトータルの電流分布についての期待値を表し、Zバーは高精度に推定したい領域における電流分布(すなわち、活動電流Z)に対する期待値を表す。また、誤差項の期待値については次式のように算出することができる。
Figure 2006280806
次に、電流分布の分散に対する試験事後分布Q(αJ ,αZ ,σ)は、次式により算出する。
Figure 2006280806
このとき、電流分散を次式のように推定することができる(ステップS6)。なお、電流分散を推定する場合には、ステップS5の電流強度の推定で得られたパラメータを用いて以下の式に現れるパラメータを更新する。
Figure 2006280806
ここで、N(s)はタイプsのセンサ数を表す。また、本実施の形態では、背景活動を幾つかの異なる領域に分割し、NJ (r)は領域rの電流パラメータ数を表す。上の式において、σ-1(s)バー、αJ -1(r)バー、αZ -1バーは、それぞれ、ノイズ、トータル電流、活動電流の分散を表す。また、αJ0 -1バー、及びαZ0 -1バーについては、第2センサ102により得られるNIRSの活動強度の値を用いる。また、NIRSの活動強度については、分散推定を行う際の初期値として用いるようにしてもよい。
次に、前述のようにして算出した試験事後分布Q(J,Z)、Q(αJ ,αZ ,σ)に対して、以下の自由エネルギFを算出する(ステップS7)。
Figure 2006280806
次に、ステップS7で算出した自由エネルギFの値が収束したか否かを判定する(ステップS8)。自由エネルギFは、ステップS5からステップS7の繰り返し演算に対して単調に増加するため、自由エネルギFの変化幅が予め定めた微小な値よりも小さくなったときに収束したと判定する。収束していないと判定した場合には(S8:NO)、ステップS5へ処理を戻し、収束したと判定した場合には(S8:YES)、本フローチャートによる処理を終了する。
以上の処理により、電流の分散が大きいところ、すなわち電流強度が大きいところでのみ電流復元利得を大きくして推定精度を上げることができるため、分解能を上げた場合であっても推定精度は低下しない。
なお、本実施の形態では、第1センサ101として脳波計(EEG)、第2センサ102として近赤外センサ(NIRS)を用いる構成としたが、他の計測手段の組合わせにより脳活動の情報を取得するようにしてもよい。例えば、脳波計の代わりに脳磁計(MEG)を用いてもよく、近赤外センサの代わりにfMRIから得られるデータを用いるようにしてもよい。
脳磁計は、頭蓋外部に現れる微弱な磁場を高時間分解能で計測する。脳磁計で得られるデータを基に電流源モデルを設定した場合、次式のように表すことができる。
Figure 2006280806
ここで、Bは観測磁場、Jは脳内の電流分布、G’はリードフィールド行列、ξはセンサノイズを表す。このように観測対象が磁場である場合も、数式1と全く同様の電流源モデルを設定することができる。したがって、前述と同様にしてモデル確率及び階層事前分布を設定することができ、変分法的ベイズ推定法を利用することで電流分布の推定、及び分散の推定を行うことができる。
次に、電流分布の推定結果を利用するアプリケーションとして、ブレインキャップ10を装着した対象者がどのような感覚を受けていたか、又はどのような運動を行っていたかを推定する手法について説明する。これらの生体情報の推定についても引き続きデータ処理装置20が行う。
生体情報を推定する手法は、大別して2種類に分けることができる。1つは、サポート・ベクタ・マシン、フィッシャー識別法、多層ニューラルネットワーク等の既存の手法を用いたパターン認識であり、他の1つは、ARモデル、(混合)カルマンフィルタ、混合ガウシアンフィルタ等の既存の統計モデル又は学習モデルを用いた時系列予測の手法である。
時系列予測により、時刻tにおける生体情報X(t)を推定する場合、例えば、次式を用いることができる。
Figure 2006280806
ここで、J(t)は時刻tにおける電流分布であり、上式では時刻(t,t−1,…,t−τ)の電流分布時系列を基に時刻tの生体情報X(t)を予測するモデルを表している。また、生体情報X(t)は、対象者の感情、状態、動作等を表す量であり、例えば、「暑い」と感じているのか、又は「寒い」と感じているのかといった状態量であったり、対象者の手の位置(3次元位置)を表す物理量であったりする。
この電流分布J(t)と生体情報X(t)との関係を表す関数Fの関数型を定める際に、前述したカルマンフィルタ、混合ガウシアンフィルタ等の学習モデルを用いる。具体的には、対象者が何かを感じたり、動作を行ったときの生体情報を既知の情報として取込み、そのときの対象者の脳活動の情報をブレインキャップ10により取得する。そして、取込んだ生体情報と、前述した手法により推定した電流分布の情報とを用いて、カルマンフィルタ、混合ガウシアンフィルタ等を適用することで関数Fの関数型を定める。
関数Fの関数型を定めた後は、ブレインキャップ10から得られる情報を基にデータ処理装置20にて電流分布J(t)を推定し、得られた電流分布J(t)を数式14に代入することにより、生体情報X(t)を算出することができる。
このように、精度良く推定した電流分布J(t)を基に生体情報X(t)を推定することができるため、対象者がどのような感情を持っているのか、どのような動作を行っているのかを正確に把握することができる。また、生体情報X(t)の推定には、既存のパターン認識、統計モデル、学習モデルを利用することが可能である。
脳活動に関する事象を観測する観測手段としてのブレインキャップを示す模式図である。 対象者の脳内の電流分布、及び対象者の生体情報を推定する推定装置の構成を示す模式図である。 対象者の脳内電流分布を推定する際にデータ処理装置が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。
符号の説明
10 ブレインキャップ
11 集計装置
12 通信装置
20 データ処理装置
21 CPU
101 第1センサ
102 第2センサ

Claims (7)

  1. 観測対象者の脳活動に関する事象を非侵襲的に観測し、観測結果に基づいて前記観測対象者の脳内に存する電流源の時空間分布を推定する脳内電流源推定方法において、
    前記電流源の時空間分布を第1の分解能で推定する第1領域、及び前記第1の分解能よりも低い第2の分解能で推定する第2領域を設定するステップと、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を、前記観測結果に基づいて推定するステップとを有することを特徴とする脳内電流源推定方法。
  2. 前記時空間分布について事前分布を設定し、設定した事前分布と前記観測結果とを用いて、ベイズ推定法により事後分布を求めることを特徴とする請求項1に記載の脳内電流源推定方法。
  3. 観測対象者の脳活動に関する事象を非侵襲的に観測し、観測結果に基づいて前記観測対象者についての生体情報を推定する生体情報推定方法において、
    前記観測対象者の脳内に存する電流源の時空間分布を第1の分解能で推定する第1領域、及び前記第1の分解能よりも低い第2の分解能で推定する第2領域を設定するステップと、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を、前記観測結果に基づいて推定するステップと、該ステップにより推定した電流源の時空間分布に基づいて前記生体情報を推定するステップとを有することを特徴とする生体情報推定方法。
  4. 観測対象者の脳活動に関する事象を非侵襲的に観測する観測手段を備え、該観測手段による観測結果に基づいて脳内に存する電流源の時空間分布を推定する脳内電流源推定装置において、
    前記電流源の時空間分布を第1の分解能で推定する第1領域、及び前記第1の分解能よりも低い第2の分解能で推定する第2領域を設定する手段と、設定した第1及び第2領域での電流源の時空間分布を、前記観測結果に基づいて推定する手段とを有することを特徴とする脳内電流源推定装置。
  5. 前記時空間分布について事前分布を設定する手段と、設定した事前分布及び前記観測結果を用いて、ベイズ推定法により事後分布を求める手段とを備えることを特徴とする請求項4に記載の脳内電流源推定装置。
  6. 前記観測手段は、前記観測対象者の脳波を検出する脳波検出手段と、前記観測対象者の脳血流の状態を検出する脳血流検出手段とを備えることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の脳内電流源推定装置。
  7. 請求項4乃至請求項6の何れか1つに記載の脳内電流源推定装置と、該脳内電流源推定装置により推定された電流源の時空間分布に基づいて観測対象者についての生体情報を推定する手段とを備えることを特徴とする生体情報推定装置。
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