以下、本発明の実施の形態に係る水ポンプ装置1の構成について、図面を参照しながら説明する。
図1から図6は、水ポンプ装置1の外観の構成を示す図面である。図1から図6は、順に、水ポンプ装置1の正面図、平面図、左側面図、右側面図、底面図、背面図である。図6の背面図は、排気管冷却部60が外部から見えるように、エンジン2を覆うカバー3の一部を切り欠いた状態が示されている。図7は、水ポンプ装置1のエンジン2およびエンジン附帯部冷却機構4の概略の構成を断面図にて示すものである。図8は、水ポンプ装置1の水系の構成を示すブロック図である。
(水ポンプ装置1の全体構成)
先ず、水ポンプ装置1の全体的な構成について説明する。水ポンプ装置1は、図8に示すように、ポンプ機構5と、真空ポンプ6と、ポンプ機構5および真空ポンプ6を駆動するエンジン2と、このエンジン2の所定の附帯部(たとえば、ラジエター51等)を冷却するエンジン附帯部冷却機構4とを有する。
(ポンプ機構5)
ポンプ機構5は、ケーシング7と、ケーシング7内に収納される羽根車8と、吸放水路9等とを有する。羽根車8は、エンジン2の出力軸(図示省略)に連結される。ケーシング7内には、渦巻室11が形成されている。ケーシング7には、吸水口12を有する吸水口筒部13が設けられている。吸水口12と渦巻室11とは、吸水口筒部13を介して連通している。吸水口筒部13は、羽根車8の回転軸の延長線上に配置されている。また、ケーシング7には、放水口14を有する放水口筒部15が設けられている。放水口筒部15は渦巻室11の外周部に連通している。
吸水口12から渦巻室11を経て放水口14に至る空間は、吸放水路9として構成される。吸放水路9内が水で満たされている状態で、羽根車8が回転されることにより、吸水口12から渦巻室11内に水が吸い込まれ、渦巻室11を経由して放水口14に水を流すことができる。なお、本実施の形態の水ポンプ装置1においては、ポンプ機構5として、いわゆる渦巻ポンプを用いる例を示しているが、カスケードポンプやギアポンプ等の他の形態のポンプを用いることもできる。
(真空ポンプ6)
吸水口12には、ホースH1の一端が接続され、また、放水口14には、ホースH2の一端が接続される。ホースH1の他端は、たとえば、図示外の貯水槽内に配置されている。したがって、エンジン2を稼働し、ポンプ機構5を駆動させる(羽根車8を回転させる)ことで、貯水槽内の水を吸い上げ、この吸い上げた水をホースH2の他端から放出(放水)することができる。
ケーシング7内が水で満たされていない状態、すなわちケーシング7内に空気が入っている状態で、ポンプ機構5が駆動されても、吸放水路9内に水の流れを作ることができない。そのため、水ポンプ装置1は、ポンプ機構5の駆動に先立ち、ケーシング7内を水で満たした状態にする必要がある。水ポンプ装置1には、ケーシング7内に負圧を発生させる真空ポンプ6が備えられている。真空ポンプ6とケーシング7内とは、真空ホース16により連通されている。真空ポンプ6が駆動されることで、ケーシング7内が負圧となり、貯水槽内の水が吸水口12側からケーシング7内に吸い上げられる。
真空ポンプ6が駆動され、ケーシング7内に水が吸い上げられ、ケーシング7内が水で満たれた状態でポンプ機構5が駆動されることで、吸放水路9内に、吸水口12から放水口14に向かう水の流れが作られる。吸放水路9内に水の流れが形成された後は、真空ポンプ6を停止しても、羽根車8の回転により吸放水路9内の水の流れは維持される。
真空ポンプ6は、図示外の電磁クラッチを介してエンジン2の出力軸から駆動力を伝達される。電磁クラッチは、操作パネル17(図1参照)に備えられる真空ポンプスイッチ18を用いて操作することができる。図9に示すように、真空ポンプスイッチ18は、回転スイッチ19と押しボタンスイッチ20とを有している。図9の(A)は、真空ポンプスイッチ18を上方から観た図であり、図9の(B)は、図9(A)の切断線A−Aにおける断面の概略の構成を示す図である。回転スイッチ19は、真空ポンプ6の自動運転と手動運転とを切り換えるためのスイッチである。押しボタンスイッチ20は、手動運転状態にある真空ポンプ6の駆動と停止とを切り換えるためのスイッチである。
回転スイッチ19が、たとえば位置P1にセットされている状態で、真空ポンプ6は自動運転の状態に設定される。真空ポンプ6が自動運転に設定されている状態で、ケーシング7内に水が満たされていない場合は、自動的に電磁クラッチが接続状態とされ、真空ポンプ6にエンジン2の駆動力が伝達され、真空ポンプ6が駆動させられる。そして、ケーシング7内が水で満たされた状態になると、自動的に電磁クラッチが切断状態とされ、真空ポンプ6の駆動が停止される。
ケーシング7には、図示を省略する圧力センサが備えられている。この圧力センサにより検出される圧力値に基づき、水ポンプ装置1に備えられる図示を省略する制御回路にて、ケーシング7内が水で満たされているか否かが判断される。そして、該制御回路は、ケーシング7内が水で満たされているか否かの判断結果に基づき、電磁クラッチの接続状態と切断状態との切り換えを制御する。
回転スイッチ19が、たとえば位置P2にセットされている状態で、真空ポンプ6は手動運転とされる。真空ポンプ6が手動運転に設定されている状態で、押しボタンスイッチ20が押下されると、電磁クラッチが接続状態となり、真空ポンプ6にエンジン2の駆動力が伝達され、真空ポンプ6が駆動させられる。
押しボタンスイッチ20は、押している間だけオンになる自動復帰型スイッチ(モーメンタリスイッチ、プッシュスイッチ)である。したがって、押しボタンスイッチ20の押下を止めると押しボタンスイッチ20は復帰しオフ状態となり、電磁クラッチが切断され真空ポンプ6の駆動を停止させることができる。すなわち、押しボタンスイッチ20を押下している間だけ、真空ポンプ6を駆動させることができる。
真空ポンプ6の自動運転と手動運転とを切り換えるためのスイッチと、真空ポンプ6の駆動と停止とを切り換えるためのスイッチとを、たとえば、左右あるいは上下の並びで2箇所に配置する構成にすることもできる。これに対し、真空ポンプスイッチ18は、押しボタンスイッチ20の周囲に回転スイッチ19を回動可能に配置する構成であり、2つのスイッチを左右あるいは上下に2箇所配置する構成に比べて、スイッチの配置スペースの縮小化が図られている。これにより操作パネルの縮小化を図ることができ、ひいては水ポンプ装置1の小型化を図ることができる。
回転スイッチ19は円筒部21を有し、この円筒部21の内周側に押しボタンスイッチ20が配置されている。そして、押しボタンスイッチ20は、押しボタンスイッチ20の上端面22が、円筒部21の上端縁23よりも下方(押しこみ方向)に位置した状態で、オン状態となるように構成されている。したがって、たとえば、操作パネル17上に不用意に物を置いてしまったり、手をついてしまった場合、物や手は、押しボタンスイッチ20に接触する前に回転スイッチ19の円筒部21に接触する。そのため、押しボタンスイッチ20が不用意に押下されてしまうことを防止できる。
真空ポンプ6の駆動と停止とを切り換えるためのスイッチは、押しボタンスイッチ20に替えて、押すたびにオンとオフが反転する位置保持型スイッチ(オルタネートスイッチ、プッシュロックスイッチ)を用いることもできる。しかしながら、押下状態と非押下状態でスイッチのオン・オフを選択できる自動復帰型スイッチを用いることで、位置保持型スイッチを用いる場合に比べて、手動運転時の真空ポンプ6の駆動と停止を素早く確実に行うことができる。また、スイッチの切り忘れも防止でき、ケーシング7内が水で満たされた状態になっているにも関わらず、真空ポンプ6が駆動され続けてしまうことを防止できる。
(エンジン2)
エンジン2は、シリンダー24の周囲に水ジャケット25が設けられる水冷エンジンとして構成されている。なお、本実施の形態のエンジン2は3気筒の構成となっているが、図7は、図示の簡明化のため一つの気筒部分を中心に示している。
エンジン2は、図7に示すように、シリンダーブロック26にシリンダーヘッド27が固定されている。シリンダーブロック26内には、クランク室28とシリンダー24が形成されている。クランク室28内には、クランク29およびこのクランク29が取り付けられるクランク軸30とが備えられている。クランク軸30は、シリンダーブロック26に対して回転自在に軸支され、出力軸(図示省略)と連結されている。シリンダー24内には、ピストン31が摺動自在に収納され、クランク軸30とピストン31とはコンロッド32を介して連結されている。
シリンダーヘッド27には、吸気ポート33と排気ポート34とが形成されている。吸気ポート33の一端側には吸気管35の一端側が接続される。吸気管35の他端側には、キャブレター36が備えられている。キャブレター36は、管体37を介してエアクリーナー38に接続され、また、燃料管(図示省略)および燃料ポンプ(図示省略)を介して燃料タンク39(図1参照)に接続されている。キャブレター36では、エアクリーナー38から送られる空気と燃料タンクから送られる燃料(たとえば、ガソリン)とにより混合気が生成される。排気ポート34の一端側(排気口側)には、排気管40の一端側が接続される。排気管40の他端側にはマフラー41(消音装置)が接続されている。
シリンダーヘッド27には、シリンダー24の先端部に位置する燃焼室42が形成されている。そして、シリンダーヘッド27には、吸気ポート33の他端側の燃焼室42への開口部を開閉する吸気バルブ43と、排気ポート34の他端側の燃焼室42への開口部を開閉する排気バルブ44とが取り付けられている。また、シリンダーヘッド27には、電極部を燃焼室42内に挿入した点火プラグ45が取り付けられている。
エンジン2は、いわゆる4サイクルエンジンとして構成されている。つまり、キャブレター36で生成された混合気が、吸気バルブ43の開放時に吸気ポート33からシリンダー24内に吸入され、点火プラグ45のスパークにより燃焼される。燃焼した後の燃焼ガスは、排気バルブ44の開放時に排気ポート34から排気管40に放出される。排気管40に放出された燃焼ガスは、マフラー41を通過することで、圧力が徐々に低下され、圧力波の減衰が行われ、排気音の消音が行われる。
シリンダーブロック26の下方にはオイルパン46が配置され、オイル(エンジンオイル)が貯留されている。オイルパン46内のオイルは、オイルポンプ47の駆動により、オイルストレーナー48から吸い上げられ、オイル管49を経てエンジン2に設けられる油路から所定箇所(シリンダーブロック、シリンダーヘッド、クランクピン等)に供給され、その後、再びオイルパン46に戻る。オイルパン46、オイルストレーナー48、オイルポンプ47、オイル管49等は、エンジン2内にオイルを循環させるオイル流路として構成される。オイル管49は、エンジン2にオイルを循環させるオイル流路の一部として構成される。また、オイル管49には、オイル流路の一部であるオイル流路拡幅部50が備えられている。オイルストレーナー48から吸い上げられたオイルは、オイル流路拡幅部50を通過することで油温が低下させられた後、エンジン2の所定箇所に供給される。
シリンダーブロック26には、シリンダー24の周囲に位置するように水ジャケット25が形成されている。水ジャケット25とラジエター51との間には、水ジャケット25内の冷却水(たとえば、エチレングリコールを主成分とする液体)をラジエター51との間で循環させる冷却水循環機構52が備えられている。
冷却水循環機構52は、冷却水管53、冷却水管54およびウォーターポンプ55を有する。冷却水管53は、水ジャケット25とラジエター51の入水側とを接続し、冷却水管54は、ラジエター51の出水側と水ジャケット25とを接続する。冷却水管54にはウォーターポンプ55が備えられている。このウォーターポンプ55を駆動することで、水ジャケット25内の冷却水は、冷却水管53からラジエター51に、そしてラジエター51から冷却水管54を通って水ジャケット25に、そして再び冷却水管53へと循環させられる。水ジャケット25内の冷却水は、ラジエター51へ循環されることで、水温が低下させられる。
冷却水管53にはサーモスタット56が設けられている。このサーモスタット56は、水ジャケット25内の冷却水の温度により、冷却水管53の流路の開閉を制御するものである。サーモスタット56は、水ジャケット25内の冷却水が所定の温度になるまでの間、冷却水管53内の流路を閉鎖し、水ジャケット25とラジエター51との間で冷却水が循環しないようにする。これにより、エンジン2の始動後、水ジャケット25内の冷却水の温度がエンジン2の駆動に適した温度になるまでの時間を早めることができる。
一方、水ジャケット25内の冷却水が所定の温度を超えた場合には、サーモスタット56は、冷却水管53内の流路を開くように動作し、水ジャケット25とラジエター51との間で冷却水が循環するようにする。これにより、エンジン2がオーバーヒートしないように水ジャケット25内の冷却水の温度を低下させることができる。
(エンジン附帯部冷却機構4)
図7,8に示すように、水ポンプ装置1には、エンジン附帯部冷却機構4が備えられている。エンジン附帯部冷却機構4は、ポンプ機構5の吸放水路9(図8参照)から取水した水を、再び吸放水路9に戻す流路57を有する。この流路57には、ラジエター冷却部58と、マフラー冷却部59と、排気管冷却部60と、オイル冷却部61とが備えられている。本実施の形態においては、排気管冷却部60が、オイル冷却部61を兼ねる構成となっている。ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59、排気管冷却部60、およびオイル冷却部61は、流路57の一部として形成される。したがって、ポンプ機構5の吸放水路9から取水された水は、ラジエター冷却部58と、マフラー冷却部59と、排気管冷却部60と、オイル冷却部61とを経て吸放水路9に戻ることができる。
ラジエター51、マフラー41、排気管40およびオイル流路拡幅部50は、それぞれエンジン附帯部の一部である。ラジエター冷却部58は、ラジエター冷却部58内を流れる水により、ラジエター51の冷却を行う。マフラー冷却部59は、マフラー冷却部59内を流れる水により、マフラー41の冷却を行う。排気管冷却部60は、排気管冷却部60内を流れる水により、排気管40の冷却を行う。そして、オイル冷却部61は、オイル冷却部61(排気管冷却部60)内を流れる水により、オイル流路拡幅部50の冷却を行う。
ラジエター51、排気管40、マフラー41、オイル流路拡幅部50は、エンジン2の駆動により発熱する。そのため、水ポンプ装置1の操作者等が、発熱したラジエター51、排気管40、マフラー41またはオイル流路拡幅部50に接触すると、操作者等は、熱傷を受ける危険がある。しかしながら、上述のようにエンジン附帯部冷却機構4を備えることで、操作者等がラジエター51等に触れても熱傷する危険を少なくすることができる。
また、ラジエター51は、空気との熱交換のみにより冷却される場合に比べて、ラジエター冷却部58により冷却されることで、エンジン2のオーバーヒートを効果的に抑えことができる。たとえば、自動車のエンジンの場合は、自動車が走行することで水冷ラジエターと空気との熱交換が促される。これに対し、水ポンプ装置1は、一般に、移動しない状態で使用される。そのため、空気との熱交換が十分に行われない場合がある。しかしながら、ラジエター51をラジエター冷却部58を流れる水により冷却することで、エンジン2のオーバーヒートを効果的に抑えることができる。また、オイル流路拡幅部50についても、オイル流路拡幅部50が空気との熱交換のみにより冷却される場合に比べて、オイル冷却部61に流れる水により冷却されることで、オイルの過熱が効率的に抑えられる。
図7に示すように、エンジン2は、シリンダー24のシリンダー軸X(シリンダー24の中心軸)を鉛直方向に対して傾斜させた構成となっている。そして、排気管40は、シリンダーヘッド27の下側に配置されている。また、マフラー41は、排気管40の下方に配置されている。したがって、排気管冷却部60およびマフラー冷却部59も、シリンダーヘッド27の下側に配置されている。シリンダー軸Xが傾斜されることで、シリンダーブロック26およびシリンダーヘッド27の下方に、空間62が形成される。排気管冷却部60およびマフラー冷却部59は、この空間62に配置されている。
(エンジン附帯部冷却機構4の構成)
次に、エンジン附帯部冷却機構4の構成について詳しく説明する。
(ラジエター冷却部58の構成)
図10から図14は、ラジエター冷却部58の構成を示す図である。図10は、ラジエター冷却部58の平面図である。図11は、ラジエター冷却部58の左側面図であり、図12はラジエター冷却部58の右側面図である。図13は、図10の切断線B−Bにおける断面図である。図14は、図10の切断線C−Cにおける端面図である。
ラジエター冷却部58は、空間63(図13,14参照)が形成される筒体64と、空間63の両端にそれぞれ配置されるパッキン65,65(図13参照)とを有している。筒体64の空間63は、円筒状を呈している。筒体64の外形は、円柱状であり、その両端は矩形のフランジとなっている。筒体64には、入水口66および出水口67(図8,14参照)が形成されている。出水口67は、入水口66よりも高い位置に配置されている。筒体64は、たとえば、アルミニウム、鋳鉄あるいは樹脂にて形成することができる。
筒体64の空間63内には、ラジエター51が配置されている。ラジエター51は、複数のパイプ68を有している。パッキン65,65は、空間63内にラジエター51を収納した状態で、筒体64の内周面に対して液密な状態で筒体64内に挿入されている。パッキン65,65には、複数のパイプ68がそれぞれ液密な状態で通される複数の孔69が形成され、パイプ68は孔69に通された状態で、空間63内に一方のパッキン65から他方のパッキン65に渡されている。
筒体64の一端には、冷却水管53(図10,12等参照)が接続され、他端には、冷却水管54(図10,11等参照)が接続されている。筒体64と冷却水管53とは継手70を介して接続される。継手70は、筒体64との接続部71と冷却水管53との接続部72とを有する。接続部71は、接続部72よりも内径および外径とも径が大きなフランジ状を呈し、ボルト76Aにより筒体64に対して固定される。接続部72は、冷却水管53の内周に圧入されることで、冷却水管53と接続される。冷却水管53は、たとえば、ゴム材等にて形成され、冷却水管53の内周に接続部72を圧入させることができる。
筒体64と冷却水管54とは継手73を介して接続される。継手73は、筒体64との接続部74と冷却水管54との接続部75とを有する。接続部74は、接続部75よりも内径および外径とも径が大きなフランジ状を呈し、ボルト76Bにより筒体64に対して固定される。接続部75は、冷却水管54の内周に圧入されることで、冷却水管54と接続される。冷却水管54は、たとえば、ゴム材等にて形成され、冷却水管54の内周に接続部75を圧入させることができる。
継手70の接続部71と筒体64とは、液密に接続されている。また、継手73の接続部72と筒体64とも液密に接続されている。継手70の接続部71と筒体64とが接続され、継手73の接続部74と筒体64とが接続された状態で、冷却水管53と冷却水管54とは、パイプ68を介して連通する。したがって、水ジャケット25内から冷却水管53に流れ出た冷却水は、冷却水管53からパイプ68内に流入し、パイプ68を通過して冷却水管54側に流出し、そして、冷却水管54から水ジャケット25内に戻ることができる。
入水口66には、吸放水路9の取水口77(図8等参照)に接続される水管78が接続されている。また、出水口67には、マフラー冷却部59(図8等参照)に接続される水管79が接続されている。水管78および水管79は流路57の一部を構成する。
入水口66および出水口67は、筒体64の両端に配置されるパッキン65およびパッキン65の間に配置されている。筒体64の空間63の両端は、パッキン65,65により液密な状態で封止されている。つまり、空間63は、入水口66および出水口67の部分を除いて液密に構成されている。
出水口67は、複数のパイプ68を全て水没させることができるように、入水口66よりも高い位置に配置されている。したがって、入水口66から空間63内に水を流入させると、出水口67の水位になるまで空間63内に水が貯留され、全パイプ68が水没させられる。出水口67の水位を超えて流入する水は、出水口67から水管79へ流出する。
なお、水管78には、流路57の中で高さが最も低い位置に、水抜きバルブ80(図7,8参照)が備えられている。この水抜きバルブ80を開放することで、流路57内の水を流路57の外に排出することができる。入水口66は、水抜きバルブ80を開放したときに、空間63の底部の水が水管78に流れることができる位置に配置されている。水ポンプ装置1においては、入水口66の一番低い位置66Aが、空間63の底部63Aの高さと同一となっているため、空間63の底部の水は、入水口66から水管78側に流れることができる。なお、入水口66を空間63の高さが最も低い位置(最低位)に形成することで、空間63の底部の水を水管78に効率的に流すことができる。
(マフラー冷却部59の構成)
図15から図17は、マフラー冷却部59の構成を示す図である。図15は、マフラー冷却部59の平面図である。図16は、マフラー冷却部59の左側面図である。図17は、図16の切断線D−Dにおける断面図である。
マフラー冷却部59は、マフラー41(図7,8,17等参照)の周囲を空間81を介して覆う筒体82と、筒体82の両端部をマフラー41の周面83に対して液密にシールするシール体84とを有している。筒体82には、入水口85および出水口86(図7,8,17参照)が形成されている。入水口85は、空間81の高さが最も低い位置(最低位)に形成され、また、出水口86は、空間81の高さが最も高い位置(最高位)に形成されている。マフラー冷却部59は、入水口85の配置される高さがラジエター冷却部58の出水口67が配置される高さ以上となるように配置される。なお、筒体82は、たとえば、アルミニウム、鋳鉄あるいは鋼板にて形成することができる。
マフラー41には、シリンダーヘッド27の排気ポート34(図7参照)の一端側(排気口側)に接続する排気管40が接続されている。排気管40からマフラー41内に流入した排気は、マフラー内の複数の室を順次通過する都度膨張しながら消音されると共に、複数の孔が形成されるパンチングメタル115を介してグラスウール等で形成される消音材87(図17等参照)により吸音され、排気口88から外部へ排出させられる。
入水口85には、ラジエター冷却部58の出水口67に接続される水管79が接続されている(図7,8,17等参照)。出水口67と入水口85との間の水管79の高さは、出水口67が配置される高さ以上の高さとされている。出水口86には、排気管冷却部60に接続される水管89が接続されている(図7,8,17等参照)。水管79および水管89は、流路57の一部を構成する。空間81は、入水口85および出水口86の部分を除き、筒体82、シール体84およびマフラー41の周面83に囲われた液密な空間であり、入水口85は、空間81内の最低位に配置され、出水口86は、空間81内の最高位に配置されている。したがって、入水口85から空間81内に水を流入させると、空間81内を水で満たすことができ、空間81が水で満たされた後は、水を水管89へ流出させることができる。
(排気管冷却部60の構成)
図18から図23は、排気管冷却部60の構成を示す図である。図18は、排気管冷却部60の平面図である。図19は、排気管冷却部60の左側面図であり、図20は排気管冷却部60の右側面図である。図21は、排気管冷却部60の底面図である。図22は、図19の切断線G−Gにおける断面図である。図23は、図22の切断線H−Hにおける断面図である。
排気管冷却部60は、図22に示すように、排気路90と空間91とが内部に形成される筐体92を有している。筐体92は、外形において略直方体を呈し、アルミニウム、鋳鉄あるいは樹脂にて形成することができる。排気路90と空間91とは仕切壁93により仕切られている。排気路90は、マフラー41と排気ポート34とを接続する排気管40の一部として構成され、筐体92には、排気路90とマフラー41とを接続するマフラー接続管41A(図15参照)が接続されている。つまり、排気管40は、排気路90およびマフラー接続管41Aを有する。排気路90は、3つの排気支路94,94,94と、この3つの排気支路94,94,94が合流する排気合流路95とを有している。エンジン2は3気筒であり、排気支路94,94,94は、各シリンダー24にそれぞれに対応して設けられている。排気路90は、各気筒にそれぞれ設けられる排気管を一本の排気管に集合させる、いわゆる排気集合管の機能を有する。
筐体92の空間91内には、筐体92を底面から上面に貫通するボルト挿通孔96を有するスリーブ部97が形成されている。スリーブ部97により、ボルト挿通孔96と空間91とは仕切られている。シリンダーヘッド27には、ボルト挿通孔96に通されるボルト(図示省略)が螺合する螺子孔(図示省略)が形成されている。該ボルトをボルト挿通孔96に底面から通し、シリンダーヘッド27に形成される螺子孔に螺合させることで、筐体92をシリンダーヘッド27に固定することができる。排気支路94,94,94と排気ポート34とが連通するように、筐体92は、シリンダーヘッド27に取り付けられる。
なお、筐体92には、マフラー41に接続されるマフラー接続管41Aが接続されるマフラー接続管接続部98(図19等参照)が設けられている。マフラー接続管41Aの筐体92への固定はボルト等により行うことができる。筐体92のマフラー接続管接続部98には、ボルトを螺合させるための螺子孔99が形成されている。
マフラー接続管接続部98とマフラー接続管41Aとを接続すると共に、筐体92をシリンダーヘッド27に固定することで、各シリンダーヘッド27の排気ポート34と、排気路90と、マフラー41の排気口88とが連通し、シリンダー24内の燃焼ガス(排気ガス)を排気口88から排気できる。
筐体92の底面部には、後述するオイル流路拡幅部50が取り付けられるオイル流路拡幅部取付部100(図21参照)が設けられている。オイル流路拡幅部取付部100には空間91に貫通する矩形の開口部101が形成されている。オイル流路拡幅部取付部100には、開口部101を液密に封止する封止板102(図7,31参照)が取り付けられる。オイル流路拡幅部50は、封止板102を挟んで筐体92に対して取り付けられる。オイル流路拡幅部取付部100には、オイル流路拡幅部50を筐体92に取り付けるボルト(図示省略)が螺合する螺子孔103が設けられている。
筐体92には、空間91に連通する入水口104(図7,8,23,24参照)および出水口105(図7,8,24参照)が形成されている。出水口105は、入水口104よりも高い位置に配置されている(図7,図8等参照)。排気管冷却部60は、入水口104の配置される高さが、マフラー冷却部59の出水口86が配置される高さ以上となるように配置される。入水口104には、マフラー41の出水口86に接続される水管89が接続されている(図7,8参照)。
出水口86と入水口104との間の水管89の高さは、出水口86が配置される高さ以上の高さとされている。また、出水口105には、吸放水路9の出水口106に接続される水管107が接続されている(図7,8参照)。水管89および水管107は、流路57の一部を構成する。
筐体92の空間91は、開口部101に封止板102が取り付けられることで、入水口85および出水口86の部分を除き液密な空間となる。出水口105は、入水口104よりも高所に配置されている。したがって、入水口104から空間91内に水を流入させると、空間91内に水を貯留することができ、出水口105よりも水位が高くなった分の水は水管107を経て、吸放水路9の出水口106から吸放水路9内に戻すことができる。
筐体92には、空間91の最も高い位置(最高位)に当たる箇所に開口部116(図18参照)が形成され、この開口部116には空気抜きバルブ108(図6,7,8参照)が取り付けられている。したがって、空間91内に流入した水の流入量に相当する空気が空気抜きバルブ108から放出される。また、筐体92には、図6に示すリリーフバルブ117が取り付けられるリリーフバルブ取付口118が設けられている。ポンプ機構5による送水の圧力が高くなり過ぎ、これにともない流路57内の水圧も高くなり過ぎたときに、リリーフバルブ117から水を逃がし流路57内の水圧を下げることで流路57の破損を防止することができる。
(オイル冷却部61の構成)
図24から図27は、オイル流路拡幅部50の構成を示す図である。図24は、オイル流路拡幅部50の平面図である。図25は、図24の切断線I−Iにおける断面図である。図26は、オイル流路拡幅部50の底面図である。図27は、オイル流路拡幅部50の筐体92への取り付け部分を拡大して示す図である。
オイル流路拡幅部50は、全体として扁平した直方体を呈し、上面側に開口される凹部109が形成されている。凹部109は、オイルの流れ方向に直交する断面の断面積がオイル管49に比べて広い。したがって、凹部109内、すなわちオイル流路拡幅部50を流れるオイルの流速は、オイル管49を流れるオイルの流速に比べて遅い。凹部109の底面には、開口部110A,110Bが形成されている。オイル流路拡幅部50は、たとえば、アルミニウム、銅により形成することができる。オイル流路拡幅部50は、凹部109の開口側を封止板102に対向させた状態で筐体92に取り付けられる。封止板102は、筐体92の壁部の厚さよりも薄く、たとえば、約0.5mmの厚さのアルミニウム、銅、鉄、ステンレス等の熱伝導性の高い金属にて形成する。
オイル流路拡幅部50の凹部109の開口部を囲む縁部111には、複数のボルト挿通孔112が形成されている。ボルト挿通孔112には、筐体92のオイル流路拡幅部取付部100に形成される螺子孔103に螺合するボルト(図示省略)が挿通される。オイル流路拡幅部50は、図示を省略するボルトをボルト挿通孔112に通し、このボルトを筐体92に形成される螺子孔103に螺合させることで、筐体92に取り付けることができる。オイル流路拡幅部50をボルトにより筐体92に取り付けることで、図27に示すように、封止板102は、オイル流路拡幅部50と筐体92との間に共締めされる。封止板102が、オイル流路拡幅部50と筐体92との間に共締めされた状態で、筐体92の開口部101および凹部109の開口部が、共に封止板102により封止される。つまり、封止板102は、空間91を形成する部材の一部であると共に、オイル流路拡幅部50を形成する一部でもある。
開口部110Aには、オイルポンプ47から送り出されたオイルをオイル流路拡幅部50に流入させるオイル管49(図7,8参照)が接続される。開口部110Bには、オイル流路拡幅部50からエンジン2に向けて送り出されるオイルが流れるオイル管49(図7,8参照)が接続される。オイル流路拡幅部50と封止板102との間は液密とされる。したがって、オイルパン46からオイルストレーナー48を介して吸い上げられたオイルは、オイル流路拡幅部50の凹部109内を通過しエンジン2の所定箇所に供給される。このように、オイル流路拡幅部50は、オイル管49と共にオイル流路の一部を構成する。
本実施の形態では、排気管冷却部60がオイル冷却部61としての機能も有している。図7,27に示すように、封止板102は、空間91内の水に接触している。つまり、オイル冷却部61は、オイル冷却部61内を流れる水によりオイル流路拡幅部50の冷却を行う。凹部109内を通過するオイルは、封止板102に接触することで、封止板102を介して空間91内の水により冷却されることになる。オイル流路拡幅部50内を流れるオイルの流速は、オイル管49内を流れるオイルの流速に比べて遅い。このようにオイル流路拡幅部50内でオイルの流速を低下させることで、オイル流路拡幅部50内のオイルがオイル冷却部61によって冷却される時間を長くすることができる。これにより、オイルの冷却効果が向上する。
なお、オイル流路拡幅部50の凹部109が形成される面以外の面は、外気に露出している。したがって、凹部109内のオイルは、封止板102を介して水冷されることに加えて、外気への放熱によっても冷却される。
なお、ラジエター冷却部58の筒体64あるいはマフラー冷却部59の筒体82に、開口部101と同様の開口部を形成し、封止板102と同様の封止板を挟んでオイル流路拡幅部50を取り付ける構成としてもよい。つまり、ラジエター冷却部58あるいはマフラー冷却部59をオイル冷却部として用いてもよい。
ラジエター冷却部58をオイル冷却部として用いる構成の場合には、図28に示すように、ラジエター冷却部58により冷却される被冷却部200をラジエター冷却部58の中に配置してもよい。被冷却部200は、オイル管49の一部として形成されている。つまり、オイル管49の一部が、被冷却部200としてラジエター冷却部58の空間63内を通される構成となっている。このように、オイル管49の一部を被冷却部200とし、被冷却部200がラジエター冷却部58内に配置される構成とすることで、水ポンプ装置1の大型化を抑えた構成でオイルの冷却を行うことができる。
また、ラジエター冷却部58をオイル冷却部として用いる他の構成として、図29に示すように、被冷却部300をラジエター冷却部58の中に配置してもよい。被冷却部300は、複数のパイプ301と、複数のパイプ301の両端に備えられるパイプ連結部302A,302Bとを有している。被冷却部300は、オイル管49の一部として形成されている。各パイプ301の一端側は、パイプ連結部302Aにて集合され、また、各パイプ301の他端側は、パイプ連結部302Bにて集合されている。オイル管49からパイプ連結部302Aに流れ込んだオイルは、パイプ連結部302Aに貯留され、各パイプ301にそれぞれ分流する。そして、各パイプ301を流れるオイルはパイプ連結部302Bにて合流しオイル管49に流れ出る。このように、複数のパイプ301内にオイルを流すことで、オイル管49とオイルラジエター冷却部58内の水との接触面積を増やすことができ、オイルの冷却効果を向上させることができる。なお、図29では、パイプ301を2本とした例を示しているが3本以上としてもよい。
(エンジン附帯部冷却機構4の機能と各部の作用)
真空ポンプ6が駆動され、吸放水路9内が水で満たされた状態で、ポンプ機構5が駆動されることで、吸水口12から吸水した水を放水口14から放水することができる。吸放水路9内を吸水口12から放水口14に向かって流れる水の一部は、取水口77から流路57内に流れる。流路57内に流れた水は、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59、排気管冷却部60およびオイル冷却部61を流れ、出水口106から吸放水路9に戻る。このように、吸放水路9内を流れる水の一部が、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59、排気管冷却部60およびオイル冷却部61に流れることで、ラジエター51、マフラー41、および排気管40およびオイル流路拡幅部50を冷却することができる。
水管78が吸放水路9に接続される取水口77は、水管107が吸放水路9に接続される出水口106よりも下流側に配置されている。具体的には、たとえば、取水口77はケーシング7の渦巻室11内に形成され、出水口106は吸水口12が形成される吸水口筒部13に形成される。羽根車8によって移送されるケーシング7内の水の水圧は、渦巻室11の中心から外側に向かって高くなる。つまり、吸放水路9を流れる水の水圧は、吸水口12から放水口14に向かって高くなる。すなわち、取水口77の方が出水口106よりも圧力が高い。したがって、吸放水路9の水の一部は、取水口77から水管78に流出し、水管78、水管79、水管89、水管107の順に流れ、出水口106から吸放水路9に戻ることができる。
流路57内の水圧は、エンジン附帯部の冷却を十分行うことができる程度の流量や流速で流路57内に水を流すことができる水圧を確保しつつ、流路57の水圧による損傷を防ぐため、できるだけ低いことが好ましい。そこで、出水口106を吸放水路9において、出来るだけ水圧の低い位置に配置することで、取水口77側も水圧の低い位置に配置することができる。吸放水路9の中で吸水口筒部13の部分が水圧が一番低い。そのため、吸水口筒部13に出水口106を配置することで、取水口77をできるだけ水圧の低い位置に配置することができる。
水ポンプ装置1を稼動する前、すなわち、真空ポンプ6およびポンプ機構5を駆動する前は、吸放水路9および流路57内に空気が入っている。真空ポンプ6を駆動させて吸放水路9内を水で満たし、ポンプ機構5を駆動させると、取水口77から流路57内に水が流入する。
上述したように、空間63には、入水口66と出水口67とが形成され、出水口67の方が入水口66よりも高い位置に配置されている。また、空間81には、入水口85と出水口86とが形成され、出水口105の方が入水口85よりも高い位置に配置されている。そして、空間91には、入水口104と出水口105とが形成され、出水口105の方が入水口104よりも高い位置に配置されている。さらに、空間91には、最高位に空気抜きバルブ108が備えられている。
出水口67と入水口85との間の水管79の高さは、出水口67が配置される高さ以上の高さである。そして、出水口86と入水口104との間の水管89の高さは、出水口86が配置される高さ以上の高さである。つまり、ラジエター冷却部58の入水口66から排気管冷却部60の出水口105までの流路57は、水の流れる方向に向かって下降する部分がない。また、流路57の最高位に空気抜きバルブ108が配置されている。このように、ラジエター冷却部58の入水口66から排気管冷却部60の出水口105までの流路57に下降する部分がなく、加えて、流路57の最高位に空気抜きバルブ108が配置されていることで、取水口77から流路57内に水が流入したとき、流路57内の空気が流路57内を排気管冷却部60に向かって移動し易い。つまり、流路57内にスムーズに水を流入させることができる。
ラジエター冷却部58の出水口67は、複数のパイプ68を全て水没させることができるように、入水口66よりも高い位置に配置されている。このように入水口66および出水口67が配置されることで、複数のパイプ68を全て水没させることができる。複数のパイプ68を全て水没させることができるように空間63内に水が貯留されることで、複数のパイプ68を全て水没させない場合に比べて、ラジエター51の冷却を効果的に行うことができる。
ラジエター冷却部58は、出水口67を空間63の高さが最も高い位置(最高位)に配置する構成としてもよい。このように構成することで、空間63内を水で満たすことができ、ラジエター51の冷却効率をより高めることができる。
マフラー冷却部59の入水口85が、空間81の最低位に配置されると共に、出水口86が、空間81の最高位に配置される。このように入水口85および出水口86が配置されることで、空間81内を水で満たすことができる。空間81内が水で満たされることで、満たされない場合に比べてマフラー41の冷却が効果的に行われる。
マフラー冷却部59は、出水口86を、入水口85よりも高い位置であるが空間81の最高位でない位置に配置する構成としてもよい。このような構成であっても、空間81内に出水口86の高さに応じた水が貯留されるため、水が貯留されない場合に比べてマフラー41の冷却を効果的に行うことができる。
排気管冷却部60の出水口105は、入水口104よりも高い位置に配置される。したがって、空間91には、出水口105の高さの水位に水を貯留させることができる。出水口105の水位を超えて貯留される水は出水口105から水管107に流出する。空間91内に水が貯留されることで、貯留されない場合に比べて排気管40の冷却が効果的に行われる。
排気管冷却部60は、出水口105を空間91の高さが最も高い位置(最高位)に配置する構成としてもよい。このように構成することで、空間91内を水で満たすことができ、排気管40の冷却効率をより高めることができる。
水管78には、流路57の中で最低位となる位置に、水抜きバルブ80が備えられている。したがって、吸放水路9から流路57への取水を停止した状態で、水抜きバルブ80を開放することで、流路57内から水を排出することができる。入水口66は、入水口66の一番低い位置66Aが、空間63の底部63Aの高さと同一となっている。また、入水口85は、空間81の最低位に配置され、入水口104も、空間91の最低位に配置されている。したがって、空間91から空間63内に残る水を出来るだけ少なくして水抜きバルブ80側に流すことができる。
また、水管79を出水口67から入水口85に向かって上方に傾斜するように配置し、また、水管89も出水口86から入水口104に向かって上方に傾斜するように配置することで、空間91から空間63の流路57内の水をよりスムーズに水抜きバルブ80側に流すことができる。
(本実施の形態の主な効果)
水ポンプ装置1は、ラジエター51を備える水冷のエンジン2によりポンプ機構5を駆動し、このポンプ機構5により吸水口12から吸水した水を放水口14から放出する。水ポンプ装置1は、ポンプ機構5の吸放水路9内から取水された水を再び吸放水路9に戻す流路57を有している。この流路57には、取水された水によりラジエター51、排気管40およびマフラー41の冷却を行うラジエター冷却部58、マフラー冷却部59および排気管冷却部60が設けられている。したがって、水ポンプ装置1は、マフラー41の冷却に加えて、排気管40についても冷却することができる。また、ラジエター51についても冷却できる。
入水口66、出水口67、入水口85、出水口86、入水口104、出水口105が配置される高さは、入水口66<出水口67≦入水口85<出水口86≦入水口104<出水口105となっている。したがって、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59および排気管冷却部60のうちで、ラジエター冷却部58が最も低い位置に配置され、排気管冷却部60が最も高い位置に配置されている。マフラー冷却部59は、ラジエター冷却部58と排気管冷却部60との間の高さに配置されている。つまり、ラジエター冷却部58、排気管冷却部60およびマフラー冷却部59は、互いに個々が他に対して高低差を有して配置されている。そして、吸放水路9から流路57に取水された水は、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59、そして排気管冷却部60の順で流される。すなわち、流路57内の水は、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59および排気管冷却部60の中で配置される位置が低いものから順に流される。
このように水ポンプ装置1が構成される場合は、水が流路57を下から上に向かって流れるので、流路57内の空気は上方に向かって抜け易く、流路57内に水をスムーズに流すことができる。仮に、最も高い位置に配置される排気管冷却部60から水を流入させた場合には、流路57を上から下に水が流れるため、流路57内の空気が抜け難く、流路57内に水を流し難くなる。
なお、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59および排気管冷却部60の高低の配置は、上述の実施の形態に限らない。たとえば、ラジエター冷却部58とマフラー冷却部59との配置を入れ替え、吸放水路9から流路57に取水された水を、マフラー冷却部59、ラジエター冷却部58、そして排気管冷却部60の順で流しても良い。また、マフラー冷却部59と排気管冷却部60との配置を入れ替え、吸放水路9から流路57に取水された水を、ラジエター冷却部58、排気管冷却部60、そしてマフラー冷却部59の順で流しても良い。しかしながら、排気管冷却部60は、エンジン2の上部側に配置されるものであるため、ラジエター冷却部58およびマフラー冷却部59を排気管冷却部60よりも下側に配置することで、水ポンプ装置1の大型化を防止できる。
水ポンプ装置1は、冷却水管53、冷却水管54およびウォーターポンプ55を有する冷却水循環機構52を備え、エンジン2の水ジャケット25とラジエター51との間で冷却水を循環させることができる。そして、ラジエター冷却部58は、マフラー冷却部59および排気管冷却部60よりも低い位置に配置されている。
冷却水循環機構52を備えることで、ラジエター51を水ジャケット25よりも低い位置に配置することができる。これによりラジエター冷却部58を最低位に配置することができる。ラジエター冷却部58が最低位に配置されることで、吸放水口14から取水した水をマフラー冷却部59および排気管冷却部60よりも先に流すことが出来る。つまり、マフラー冷却部59あるいは排気管冷却部60に流れる前に比べて水温の低い水をラジエター冷却部58に流すことができ、ラジエター51の冷却を効率的に行うことができる。マフラー41および排気管40の温度はエンジン2の稼動状態に大きな影響はないが、ラジエター51が適性に冷却されない場合は、エンジン2がオーバーヒートする虞がある。したがって、ラジエター冷却部58にできるだけ冷たい水を流すことで、エンジン2がオーバーヒートすることを効果的に防止できる。
水ポンプ装置1は、マフラー冷却部59が、排気管冷却部60よりも低い位置に配置されている。つまり、流路57内の水はマフラー冷却部59から排気管冷却部60に流れる。
マフラー41の発熱温度は、排気管40の発熱温度に比べて低い。したがって、マフラー41を冷却した後、排気管40を冷却した方が、マフラー41の冷却を効果的に行うことができる。マフラー41を先に冷却した場合と、排気管40を先に冷却した場合とでは、排気管40を先に冷却した場合の方が、冷却水の温度が高くなり易い。したがって、仮に、排気管40を先に冷却した場合には、マフラー41の温度を水ポンプ装置1の操作者等に熱傷させない温度まで下げることができない虞がある。これに対し、排気管40を冷却する前にマフラー41を冷却した場合は、上記の虞を少なくすることができる。
水ポンプ装置1のエンジン2は、シリンダー軸Xが鉛直方向に対して傾斜している構成となっている。そして、排気管40はシリンダーヘッド27の下側に配置され、排気管冷却部60およびマフラー冷却部59もシリンダーヘッド27の下側に配置されている。
流路57内の水は下から上に流されるため、流路57の高低差(最高位と最低位との高低差)は小さいことが好ましい。また、流路57は、流路57内を通過する水の送水圧力を考慮すると短縮化することが好ましい。上述のように、シリンダー軸Xが傾斜するようにエンジン2を構成することで、水ポンプ装置1の高さを低く抑えることができる。そして、排気管冷却部60およびマフラー冷却部59をシリンダーヘッド27の下側に配置させることで、排気管冷却部60およびマフラー冷却部59を下方に偏倚させることができ、流路57の高低差を小さくすることができる。排気管冷却部60を下方に偏倚させることで、ラジエター冷却部58とマフラー冷却部59との間隔を狭めることができ、流路57の長さの短縮化を図ることができる。
また、シリンダー軸Xが傾斜されることで、シリンダーブロック26及びシリンダーヘッド27の下方に空間62が形成される。空間62に排気管冷却部60およびマフラー冷却部59が配置されることで、水ポンプ装置1の大型化を抑えながら、排気管冷却部60およびマフラー冷却部59が配置される高さを低くすることができる。
水ポンプ装置1は、流路57の中で最も高い位置に、空気抜き部として空気抜きバルブ108が設けられている。
ラジエター冷却部58の入水口66から排気管冷却部60の出水口105まで流路57は、水の流れ方向に向かって下降する部分がない。したがって、流路57の中で最も高い位置一箇所に空気抜きバルブ108を設けることで、空気抜きバルブ108を設ける数を少なくし流路57内の空気を抜くことができる。
(ラジエター冷却部58の他の形態)
上述の実施の形態に示す水ポンプ装置1のラジエター冷却部58の入水口66は、空間63の最低位に配置されている。これに対し、ラジエター冷却部58は、図30から34にラジエター冷却部400として示す構成としてもよい。つまり、入水口401を、空間63の最低位よりも高い位置に配置する構成としてもよい。
図30から34において、上述の実施の形態で説明した構成部分と同様の部材については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。図30は、ラジエター冷却部400を備える水ポンプ装置1のエンジン2およびエンジン附帯部冷却機構4の概略の構成を示す断面図である。図31は、ラジエター冷却部400の平面図である。図32は、図31の切断線J−Jにおける断面図である。図33は、図31の切断線K−Kにおける端面図である。図34は、図31の切断線L−Lにおける端面図である。
図30から34に示すように、入水口401を、空間63の最低位よりも高い位置に配置する構成の場合は、ラジエター冷却部400の底部63Aが流路57の中で最も低い位置となる。この場合は、ラジエター冷却部58の底部63Aに排水口402を設け、排水口402に水抜きバルブ80(図30参照)を備えることで、流路57内の水を流路57の外に排出させることができる。
図31から34に示すように、出水口403が空間63の最高位に配置されることで、空間63内を水で満たすことができ、ラジエター51の冷却効率を高めることができる。なお、出水口403が入水口401の高さ以上の位置に配置されることで、流路57内の空気は上方に向かって抜け易く、流路57内に水をスムーズに流すことができる。ラジエター冷却部400においては、出水口403は、入水口401の高さよりもやや高い位置に配置されている。
なお、ラジエター冷却部58、マフラー冷却部59および排気管冷却部60のうちで、マフラー冷却部59あるいは排気管冷却部60が最も低い位置に配置される構成の場合には、最も低い位置に配置されるマフラー冷却部59あるいは排気管冷却部60については、上述のラジエター冷却部400のように、各冷却部の空間への入水口を、該空間の最低位よりも高い位置に配置する構成としてもよい。
なお、本実施の形態は、4サイクルエンジンとして構成されるエンジン2を用いる水ポンプ装置1に本発明を適用した例を示しているが、エンジン2は、2サイクルエンジンとして構成されていてもよい。
水ポンプ装置1は、流路57の中で最も低い位置に、水抜き部として水抜きバルブ80が設けられている。したがって、流路57の中で最も低い位置一箇所に水抜きバルブ80を設けることで、水抜きバルブ80を設ける数を少なくし流路57内の水を抜くことができる。
水ポンプ装置1のエンジン2は4サイクルの水冷エンジンであり、エンジン2にオイルを循環させるオイル流路としてのオイル管49が備えられている。また、水ポンプ装置1は、ポンプ機構5の吸放水路9から取水された水が再び吸放水路9に戻される流路57を有している。この流路57には、流路57を流れる水により、オイル流路として構成されるオイル流路拡幅部50を冷却するオイル冷却部61が設けられている。流路57の一部を構成する排気管冷却部60が、オイル冷却部61として備えられている。
オイルが流れるオイル流路拡幅部50をオイル冷却部61により冷却することで、オイルの過熱を十分に抑えることができる。
なお、ラジエター冷却部58あるいはマフラー冷却部59をオイル冷却部として用いてもよい。
オイル冷却部61は、排気管冷却部60に設けられている。
かかる構成とすることで、オイル冷却部61と排気管冷却部60とを兼用することができ、オイル冷却部61と排気管冷却部60とをそれぞれ個別に設ける場合に比べて水ポンプ装置1の小型化を図ることができる。排気管冷却部60の空間91を形成する筐体92は、外形において直方体を呈している。また、オイル流路拡幅部50の外形において、直方体を呈している。したがって、筐体92とオイル流路拡幅部50とが取り付けられる部分を互いに平面部とすることができ、取り付けを容易に行うことができる。オイル流路拡幅部50は、筐体92との取り付け方向、すなわち、封止板102との接触方向に扁平している。そのため、扁平方向が、接触方向と直交する方向である場合に比べて、オイル流路拡幅部50内を流れるオイルと封止板102との接触面積を広くとることができ、オイルの冷却効率が高い。
封止板102は、筐体92の壁部の厚さよりも薄く、たとえば、約0.5mmの厚さのアルミ、銅、鉄、ステンレス等の熱伝導性の高い金属にて形成される。このように、封止板102の厚さを筐体92の壁部の厚さよりも薄くすることで、空間91内を流れる水とオイル流路拡幅部50内を流れるオイルとの間で熱交換が行われ易くなる。これにより、オイルの冷却効率を高くすることができる。封止板102の厚さは、強度と熱交換の効率を考慮し、0.5mm以上、5mm以下とすることが好ましい。また、熱伝導性を考慮し、アルミ、銅、鉄、ステンレスを用いることが好ましい。
水ポンプ装置1には、エンジン2の水ジャケット25内の冷却水を冷却するラジエター51が備えられ、流路57には、ラジエター51を冷却するラジエター冷却部58が設けられている。図28あるいは図29に示すように、ラジエター冷却部58をオイル冷却部と兼ねてもよい。かかる構成とすることで、オイル冷却部とラジエター冷却部58とをそれぞれ個別に設ける場合に比べて水ポンプ装置1の小型化を図ることができる。なお、図30から34に示すラジエター冷却部400についても図28あるいは図29に示す構成と同様に、オイル管49の一部をラジエター冷却部400に通すことでオイルの冷却を行う構成としてもよい。