JP5991528B2 - S−アデノシルメチオニン含有酵母とピロロキノリンキノン組成物 - Google Patents
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Description
〔1〕
S−アデノシルメチオニン含有酵母とピロロキノリンキノンを含み、
前記S−アデノシルメチオニン含有酵母と前記ピロロキノリンキノンの比が重量比で1:0.01から100である、組成物。
〔2〕
前記酵母中の前記S−アデノシルメチオニンの含有量が、1−30重量%である、〔1〕に記載の組成物。
〔3〕
前記S−アデノシルメチオニン含有酵母が、シクロデキストリン類をさらに含む、〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕
前記ピロロキノリンキノンが、フリー体、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれかである、〔1〕〜〔3〕いずれか1項に記載の組成物。
〔5〕
コエンザイムQ10をさらに含む、〔1〕〜〔4〕いずれか1項に記載の組成物。
SAME含有酵母とピロロキノリンキノンの混合比は、重量比で1:0.01から100であることが好ましい。この範囲内とすることによりそれぞれが推奨される量の投与に適した比率となり好ましい。またこの範囲とすることにより、どちらかの反応によりどちらかの成分の消失を抑制することが出来好ましい。
ピロロキノリンキノンは培養又は有機合成法で作ることができ、どちらの製造方法でも構わない。
なお、 酵母には、5'−ヌクレオチド、遊離アミノ酸、抗酸化作用を有し肝機能改善に役立つグルタチオン、免疫力の増進作用や整腸作用を有するβ−グルカンや食物繊維などの有用成分が多く含まれており、健康食品等として広く利用されている。
目標量のSAMEが酵母菌体中に蓄積された段階で培養液を抜き出し酵母菌体を分離する。分離方法としては、菌体の分離と洗浄が効率的に行える方法であれば特に制限はないが、向流型のイーストセパレーターや分離膜を用いた限外濾過装置が好適な例として挙げられる。
添加するシクロデキストリン類の量としては、酵母菌体に含まれるSAMEに対して添加するシクロデキストリン類のモル比が0.05〜6倍モルの範囲になるようにすることが好ましく、0.1〜4倍モルの範囲になるようにすることがより好ましく、0.5〜4倍モルの範囲になるようにすることがさらに好ましい。
SAME含有酵母とピロロキノリンキノンの混合は機械式、手動式どちらでも問題ない。粉末同士で混合することも可能であるが、油脂や有機溶剤に分散して混合することもできる。
SAMEを酵母に含有せず、直接ピロロキノリンキノンと混合するとすぐに反応して消失してしまうが、本発明の組成物を使用することで口腔内や水と接触した状態でも安定になる。
特にコエンザイムQ10は室温で粉末であるが、低い融点であるために取り扱いが困難であるために好ましい。添加量はSAME含有酵母1に対してコエンザイムQ100.001から2の重量比で添加するのがよい。粉末として流動性は本発明の組成物は室温での状態はもちろん、高温で脂溶性物質が溶融した際に、特に効果が顕著になる。
本発明の組成物はこれらの原料を使用し、圧縮打錠し錠剤状の組成物となし、さらに、その表面を被覆したりすることもできる。また、粉体を顆粒状に造粒することや、粉体や造粒した顆粒を詰めてカプセル化することもできる。
培養法(Schlenk F.,DePalma R.E.,J.Biol.Chem.,229,1037-1050(1957),Shiozaki S.,et all,Agric.Biol.Chem.,53,3269-3274(1989))に従って、L−メチオニン含有培地(Shiozaki S.,et all,J.Biotechnology,4,345-354(1986))にサッカロマイセス属に属する酵母サッカロマイセス・セレビジエIFO2346を接種し、培養温度27〜29℃で好気的に通気攪拌通気拌しながら6日間培養した。その結果、菌体濃度3.5質量%,SAME含量205mg/g− 酵母の酵母菌体培養液18Lを得た。これを連続ロータリー型遠心分離器(日立HIMAC CENTRIFUGE CR10B2)で処理し、菌濃度が乾物換算で18質量%に相当する液状の酵母菌体濃縮物3.4kgを得た。ここにγ-シクロデキストリンを加えた。これを凍結乾燥器(日本真空技術株式会社製)の凍結乾燥用ステンレストレーに流し込み−50℃で凍結した後、最終棚段温度25℃の条件で36時間凍結乾燥した。SAME含有量10%、シクロデキストリン含有量30%の 酵母を得た。これをSAME含有酵母とする。
SAMEは過塩素酸抽出し、液体クロマトグラフィーを用い定量した。
用いられた分析条件:
カラム:ナカライ(nacalai tesque) COSMOSIL 4.6φ×100mm
溶離液:0.2M KH2PO4水溶液/メタノール=95/5
流速:0.7mL/min
検出器:UV(260nm)、SAME保持時間:約150秒
実験に使用するピロロキノリンキノンは三菱ガス化学株式会社製ピロロキノリンキノンジナトリウム(商品名:バイオPQQ)を使用した。以下PQQジナトリウムと表記する。PQQの分析は以下の方法で行った。
装置: 島津製作所、高速液体クロマトグラフィーLC-20A
カラム:YMC−Pack ODS−TMS(5μm)、150X4.6mm I.D.
測定温度:40℃
検出:260nmにおける吸光度
溶離液:100mM CH3COOH/100mM CH3COONH4(30/70, pH5.1)
溶出速度:1.5mL/min
表1に示す割合でプリプロピレン製容器に入れ、手で振って混合した組成物を作製した。これを50℃で6日保存安定性試験を行った。PQQの存在量は液体クロマトグラフィーで分析した。比較例として、SAME硫酸パラトルエンスルホン酸塩を使用した。重量基準での回収率を以下の表1に示す。
表2に示す組成物に水を20ml加えて、室温で30分置いた。この溶液を遠心分離して上澄み中のPQQの存在量を液体クロマトグラフィーで分析した。また、この時のSAME残存量も測定した。さらに1日置いたときのPQQ量も分析した。
初期の値を100とした時の値を以下に示す。一般酵母として、原料合成の際にメチオニンを入れず培養し乾燥して得たSAMEを含まない酵母を酵母として使用した。
PQQジナトリウム20mgとSAME含有酵母500mgを混合して、ふたを開けたポリエチレン容器に入れた。これを室温で3日放置して様子を目視で観察した。混合物の粉末は流動性を有しており、3日間おいても変化していなかった。
PQQジナトリウム20mgとSAME硫酸パラトルエンスルホン酸塩50mgを混合して、ふたを開けたポリエチレン容器に入れた。これを室温で3日放置して様子を観察した。混合物の粉末は粒子が集まって塊を作っていた。流動性が失われていた。3日間おくと変質していた。
上記のコエンザイムQ10を0.1gとSAME硫酸パラトルエンスルホン酸塩0.04gとPQQジナトリウム0.04gをポリエチレン容器に入れ、手で振って混合した。この混合物を70℃に入れ、0.5時間置いた。粉末はすべてが一つの塊になっていた。流動性を失っていた。
このように本発明の組成物はコエンザイムQ10を混合した際に、粉体として維持するのに有応な方法である。
トコフェロールは和光純薬製を使用した。SAME含有酵母0.4gとPQQジナトリウム0.04gをポリエチレン容器に入れ、手で振って混合した。ここにトコフェロール10μL混合した。スパーテルを使って混合して均一にした。粉体は流動性を維持していた。
SAME硫酸パラトルエンスルホン酸塩0.04gとPQQジナトリウム0.04gをポリエチレン容器に入れ、手で振って混合した。ここにトコフェロール10μL混合した。スパーテルを使って混合して均一にした。粉体はひっついて流動性をなくしていた。
SAME含有酵母0.4gとPQQジナトリウム0.04gをポリエチレン容器に入れ、手で振って混合した。この時の臭気は薄い酵母臭であった。これを50℃で20時間おいた。臭気は薄い酵母臭で変化していなかった。
SAME含有酵母0.4gは薄い酵母臭である。50℃で20時間おいた。やや強い硫黄臭であった。
本発明の組成物はSAMEが分解時に出す硫黄臭を抑制する効果があった。
本発明の組成物は安定で流動性や水と接触時の安定性で優れているだけでなく、臭気の面でも優れていた。
SAME含有酵母0.2gとPQQジナトリウム0.02gを松屋製ゼラチン製カプセル0号に詰めた。
Claims (5)
- S−アデノシルメチオニン含有酵母とピロロキノリンキノンとを含み、
前記S−アデノシルメチオニン含有酵母と前記ピロロキノリンキノンの比が重量比で1:0.01から100である、組成物。 - 前記酵母中の前記S−アデノシルメチオニンの含有量が、1−30重量%である、請求項1に記載の組成物。
- 前記S−アデノシルメチオニン含有酵母が、シクロデキストリン類をさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
- 前記ピロロキノリンキノンが、フリー体、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩のいずれかである、請求項1〜3いずれか1項に記載の組成物。
- コエンザイムQ10をさらに含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の組成物。
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