本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態の眼科撮影装置の光学系及び制御系を示す図である。なお、本実施形態においては、被検眼の奥行き(深さ)方向をZ方向(光軸L1方向)、奥行き方向に垂直(被検者の顔面と同一平面)な平面上の水平方向成分をX方向、鉛直方向成分をY方向として説明する。
図1において、その光学系は、被検眼眼底の断層画像を光干渉の技術を用いて非侵襲で得るための干渉光学系(以下、OCT光学系とする)200と、赤外光を用いて被検眼の眼底を照明し観察するための眼底SLO画像を取得するスキャニングレーザオフサルモスコープ(SLO)光学系300と、に大別される。なお、これらの光学系は、図示無き筐体内に搭載され、ジョイスティック等の操作部材を介して所定のアライメント移動機構により被検眼に対して筐体を3次元的に移動させることにより被検眼に対するアライメントが行われる。
なお、40は光分割部材と光結合部材としてのダイクロイックミラーであり、OCT光学系200に用いられる測定光源27から発せられる測定光(例えば、λ=840nm付近)を反射し、SLO光学系300に用いられるSLO光源61から発せられるレーザ光(例えば、λ=780nm付近)を透過する特性を有する。この場合、ダイクロイックミラー40は、OCT光学系200の測定光軸L2とSLO光学系300の測定光軸L1とを同軸にする。
まず、ダイクロイックミラー40の反射側に設けられたOCT光学系200の構成について説明する。27はOCT光学系200の測定光及び参照光として用いられる低コヒーレントな光を発するOCT光源であり、例えばSLD光源等が用いられる。OCT光源27には、例えば、中心波長840nmで50nmの帯域を持つ光源が用いられる。26は光分割部材と光結合部材としての役割を兼用するファイバーカップラーである。OCT光源27から発せられた光は、導光路としての光ファイバ38aを介して、ファイバーカップラー26によって参照光と測定光とに分割される。測定光は光ファイバ38bを介して被検眼Eへと向かい、参照光は光ファイバ38cを介して参照ミラー31へと向かう。
測定光を被検眼Eへ向けて出射する光路には、測定光を出射する光ファイバ38bの端部39b、コリメータレンズ25、被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なリレーレンズ(フォーカシングレンズ)24、走査駆動機構51の駆動により眼底上でXY方向に測定光を走査させることが可能な2つのガルバノミラーの組み合せからなる走査部23、が配置されている。ダイクロイックミラー40及び対物レンズ10は、OCT光学系200からのOCT測定光を被検眼眼底へと導光する導光光学系としての役割を有する。なお、本実施形態の走査部23では、2つのガルバノミラーによって測定光の反射角度を任意に調整することにより、眼底上に走査させる測定光の走査方向を任意に設定できるような構成となっている。よって、被検眼眼底の任意の領域の断層画像を得ることが可能となる。例えば、眼底に対して斜め方向に測定光を走査させることで、被検眼の眼底を斜めから切断した際の断層像を得ることが可能であるし、眼底に対して丸状に測定光を走査させることで、被検眼の眼底上の所定位置から一定距離にある断層像を得ることが可能である。なお、光ファイバ38bの端部39bは、被検眼眼底と共役となるように配置される。また、走査部23の2つのガルバノミラーは、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。
光ファイバ38bの端部39bから出射した測定光は、コリメータレンズ25にて平行光束とされ、リレーレンズ24を介して、走査部23に達し、2つのガルバノミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査部23で反射された測定光は、ダイクロイックミラー40で反射された後、対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。
そして、眼底で反射した測定光は、対物レンズ10を介して、ダイクロイックミラー40で反射し、OCT光学系200に向かい、走査部23の2つのガルバノミラー、リレーレンズ24を介して、コリメータレンズ25により集光されて、光ファイバ38bの端部39bに入射する。端部39bに入射した測定光は、光ファイバ38b、ファイバーカップラー26、光ファイバ38dを介して端部84aに達する。
一方、参照光を参照ミラー31に向けて出射する光路には、参照光を出射する光ファイバ38cの端部39c、コリメータレンズ29、参照ミラー31が配置されている。参照ミラー31は、参照光の光路長を変化させるべく、参照ミラー駆動機構50により光軸方向に移動可能な構成となっている。
光ファイバー38cの端部39cから出射した参照光は、コリメータレンズ29で平行光束とされ、参照ミラー31で反射された後、コリメータレンズ29により集光されて光ファイバ38cの端部39cに入射する。端部39cに入射した参照光は、光ファイバ38cを介して、ファイバーカップラー26に達する。
そして、眼底に照射された測定光の反射光と前述のように生成された参照光は、ファイバーカップラー26にて合成され干渉光とされた後、光ファイバ38dを通じて端部84aから出射される。800は周波数毎の干渉信号を得るために干渉光を周波数成分に分光する分光光学系800(スペクトロメータ部)であり、コリメータレンズ80、グレーティングミラー(回折格子)81、集光レンズ82、受光素子83にて構成されている。受光素子83は、赤外域に感度を有する一次元素子(ラインセンサ)を用いている。
ここで、端部84aから出射された干渉光は、コリメータレンズ80にて平行光とされた後、グレーティングミラー81にて周波数成分に分光される。そして、周波数成分に分光された干渉光は、集光レンズ82を介して、受光素子83の受光面に集光する。これにより、受光素子83上で干渉縞のスペクトル情報が記録される。そして、そのスペクトル情報が制御部70へと入力され、フーリエ変換を用いて解析することで、被験者眼の深さ方向における情報が計測可能となる。ここで、制御部70は、走査部23により測定光を眼底上で所定の横断方向に走査することにより断層画像を取得できる。例えば、X方向もしくはY方向に走査することにより、被検眼眼底のXZ面もしくはYZ面における断層画像を取得できる(なお、本実施形態においては、このように測定光を眼底に対して1次元走査し、断層画像を得る方式をBスキャンとする)。なお、取得された断層画像は、制御部70に接続されたメモリ72に記憶される。さらに、測定光をXY方向に2次元的に走査することにより、被検眼眼底の3次元画像を取得することも可能である。
次に、ダイクロイックミラー40の透過方向に配置されたSLO光学系(共焦点光学系)300について説明する。61は高コヒーレントな光を発するSLO光源であり、例えば、λ=780nmのレーザダイオード光源が用いられる。SLO光源61から発せられるレーザ光を被検眼Eに向けて出射する光路には、被検眼の屈折誤差に合わせて光軸方向に移動可能なリレーレンズ63、走査駆動機構52の駆動により眼底上でXY方向に測定光を高速で走査させることが可能なガルバノミラーとポリゴンミラーとの組み合せからなる走査部64、リレーレンズ65、対物レンズ10が配置されている。また、走査部23のガルバノミラー及びポリゴンミラーの反射面は、被検眼瞳孔と略共役な位置に配置される。なお、本実施形態におけるSLO光学系300が持つ走査部64は、前述のOCT光学系200が持つ走査部23とは別の構成からなる。
また、SLO光源61とリレーレンズ63との間には、ビームスプリッタ62が配置されている。そして、ビームスプリッタ62の反射方向には、共焦点光学系を構成するための集光レンズ66と、眼底に共役な位置に置かれる共焦点開口67と、SLO用受光素子68とが設けられている。
ここで、SLO光源61から発せられたレーザ光(測定光)は、ビームスプリッタ62を透過した後、リレーレンズ63を介して、走査部64に達し、ガルバノミラー及びポリゴンミラーの駆動により反射方向が変えられる。そして、走査部64で反射されたレーザ光は、リレーレンズ65を介して、ダイクロイックミラー40を透過した後、対物レンズ10を介して、被検眼眼底に集光される。
そして、眼底で反射したレーザ光は、対物レンズ10、リレーレンズ65、走査部64のガルバノミラー及びポリゴンミラー、リレーレンズ63を経て、ビームスプリッタ62にて反射される。その後、集光レンズ66にて集光された後、共焦点開口67を介して、受光素子68によって検出される。そして、受光素子68にて検出された受光信号は制御部70へと入力される。制御部70は受光素子68にて得られた受光信号に基づいて被検眼眼底の正面画像を取得する。取得された正面画像はメモリ72に記憶される。
なお、制御部70には、表示ディスプレイ75に接続され、その表示画像を制御する。また、制御部70には、メモリ72、ポインティングデバイスとして用いられるマウス76、が接続されている。なお、本実施形態におけるマウス76には、検者の手によってマウス76本体が2次元的に移動されたときの移動信号を検出するセンサと、検者の手によって押圧されたことを検知するための左右2つのマウスボタンと、左右2つのマウスボタンの間に前後方向に回転可能なホイール機構と、が設けられている。
次に、BスキャンによりXZ面の断層画像(Bスキャン画像)を取得する手法について説明する。図2は、BスキャンによるOCT画像と二次元的なスキャンによるSLO画像を逐次取得する際の動作について説明する図である。ここで、制御部70は、OCT光源27とSLO光源61を交互に点灯させることによって被検眼の眼底像を得るために被検眼の眼底に照射される照射光を,OCT光学系200を介して照射される測定光とSLO光学系を介して照射されるレーザ光とで切り換える。よって、制御部70には、OCT光学系200に配置された受光素子83によって検出される干渉信号とSLO光学系300に配置された受光素子68によって検出される受光信号が逐次入力される。
ここで、制御部70は、SLO画像の1フレーム分の走査エリアのうち、画像取得に影響を及ぼし難い、上下端部のエリア(図2のハッチング部分)を、OCT画像取得に必要な時間分に相当する領域として、その領域に位置する間、SLO光源61をOFFとする。そして、SLO光源61がOFFの間に、OCT光源27をONにしてBスキャンにてOCT画像を取得する。そして、制御部70は、このような制御を連続して行い、交互に得られたSLO画像及びOCT画像を、表示ディスプレイ75に同時に動画として表示させる。なお、本構成の詳しい動作については、本出願人による特願2006−204425号を参考にされたい。
以上のような構成を備える装置において、その動作を説明する。図3は、ディスプレイ75に表示される表示画面の一例である。制御部70は、ディスプレイ75上に、ディスプレイ75の画面全体を移動可能なカーソル100、OCT光学系200によって取得される断層画像201、SLO光学系300によって取得されるSLO画像301、被検眼眼底に対するフォーカスを調整するためのフォーカス調整部400、オートコヒーレンスボタン403、光路長調整部410、装置に設けられた図示なき前眼部観察用カメラによって撮影される前眼部観察画像500、等が接続されている。制御部70は、検者によって二次元的に移動されるときにマウス76から出力される操作信号に基づいてディスプレイ75の画面上でカーソル100を移動させる。また、本実施形態では、検者がマウス76を操作してディスプレイ75上の所望の位置にカーソル100を合わせた状態で、クリック操作又はドラッグ操作を行うことにより撮影条件の設定が可能な構成となっている。この場合、カーソル100はディスプレイ75上における任意の位置を指定するために用いられる。
まず、検者は、ディスプレイ75に表示される前眼部画像500を見ながら被検眼の瞳孔中心が測定光軸がくるように、アライメントし、被検者に図示なき可動固視灯を注視させ、検者の所望する測定部位に誘導する。
そして、検者は、表示ディスプレイ75に表示されるSLO画像301を見ながら、マウス76を用いてフォーカス調整部400に表示されるスライダ400aにカーソル100を合わせてドラッグ操作を行うことにより眼底像のフォーカス調整を行う。この場合、制御部70は、スライダ400aの表示位置に応じてレンズ24及びレンズ63を光軸方向に移動させる。
次に、ディスプレイ75に表示されたオートコヒーレンスボタン403にカーソル100が置かれた状態でマウス76によるクリック操作がなされると、制御部70は、駆動機構50を駆動制御してOCT信号が検出されるまで自動で参照ミラー31を移動させる。この場合、検者は、マウス76を用いて光路長調整部410に表示されるスライダ410aにカーソル100を合わせてドラッグ操作を行うことにより参照光の光路長調整を手動で行うことも可能である。この場合、制御部70は、スライダ410aの表示位置に応じて駆動機構50を用いて参照ミラー31を移動させる。
ここで、受光素子83のOCT信号が検出されると、制御部70は、前述のようにOCT光源27とSLO光源61を交互に点灯させ、OCT画像とSLO画像を交互に取得していき、取得された画像をディスプレイ75の画面上に表示する。
ここで、制御部70は、OCT画像及びSLO画像の各画像が1フレーム取得される毎に、随時ディスプレイ75に表示されるOCT画像及びSLO画像を随時更新していく。以上のようにすれば、SLO光学系300による正面画像とOCT光学系200による断層画像が動画レートでほぼ同時に観察可能となる。なお、検者の設定によらない最初のOCT画像の取得位置は、例えばSLO画像の中心位置から水平方向に所定領域分とすればよい。
OCT画像及びSLO画像が同一画面上に表示されたら、検者はリアルタイムで観察される表示ディスプレイ75上のSLO画像から検者の撮影したい断層画像の位置を設定する。ここで、検者は、マウス76を用いて、画面上のSLO画像上に電気的に表示される測定位置(取得位置)を表すラインLSにカーソル100を合わせてドラッグ操作を行うことにより、SLO眼底画像に対してラインLSを移動させていき、測定位置を設定する。なお、ラインLSがX方向となるように設定すれば、XZ面の断層画像の撮影が行われ、ラインLSがY方向となるように設定すれば、YZ面の断層画像の撮影が行われるようになっている。また、ラインLSを任意の形状(例えば、斜め方向や丸等)に設定できるようにしてもよい。
そして、制御部70は、設定された測定位置に基づいてBスキャンによるXZ面の断層画像の撮影動作を行う。すなわち、制御部70は、画面上のSLO画像上に設定されたラインLSの表示位置に基づいてこのラインLSの位置における眼底の断層画像が得られるように、走査部23を駆動させて測定光を走査させる。なお、ラインLSの表示位置(モニタ上における座標位置)と走査部23による測定光の走査位置との関係は、予め定まっているので、制御部70は設定したラインLSの表示位置に対応する走査範囲に対して測定光が走査されるように、走査部23の2つのガルバノミラーを適宜駆動制御する。
ここで、検者によってラインLSがSLO眼底画像に対して移動されると、制御部70は、随時測定位置の設定を行い、これに対応する測定位置の断層画像の取得を行う。そして、取得された断層画像を随時ディスプレイ75の表示画面上に表示する。このようにして、検者の所望する断層画像がディスプレイ75に表示された際、所定の検者操作によって所望する断層画像と正面画像がメモリ72に記憶される。
なお、上記構成において、断層画像取得時のSLO画像に基づいて被検眼の位置ずれを検出することにより、断層画像の補正を行うことも可能である。この場合、得られたSLO画像から被検眼の眼底の特徴点(血管形状や視神経乳頭)を画像処理により抽出し、抽出された特徴点の偏位量を求めることにより被検眼の位置ずれを検出することが可能である。そして、制御部70は、検出された被検眼の位置ずれ量に基づいて走査部23を駆動制御させ、位置ずれ量分測定位置を補正する(ラインLSの表示位置も補正するとよい。)ことにより、測定中に被検眼が動いても、その影響なく一定の断層像を観察することができる。その他、制御部70は、検出された被検眼の位置ずれ量に基づいて装置本体全体を移動させるよう図示なき駆動部を制御することにより、被検眼の位置ずれを補正することが可能である。
また、制御部70は、マウス76等のポインティングデバイスによって断層画像上における任意の位置で指定される指定位置の指定位置情報又は指定位置の移動情報に基づいて参照光の光路長と測定光の光路長との光路差を変更し、参照光に対応する被検眼の深さ位置を変更する。また、制御部70は、さらに、前述の指定位置の指定位置情報、又は指定位置の移動情報に基づいて前記測定光を走査して、被検眼上における測定光の走査位置を変更する。
さらに、制御部70は、マウス76等のポインティングデバイスによって断層画像上における任意の位置で指定される指定位置の上下方向における指定位置情報又は指定位置の移動情報に基づいて参照光に対応する被検眼の深さ位置の変更又は測定光の走査位置の変更のうちの一方の変更制御を行い、左右方向における指定位置の指定位置情報又は指定位置の移動情報に基づいて参照光に対応する被検眼の深さ位置の変更又は測定光の走査位置の変更のうちの他方の変更制御を行う。
より具体的には、制御部70は、ディスプレイ75において断層画像201を表示する領域として設定された断層画像表示領域201Rの上にカーソル100が置かれた状態で、マウス76から出力される操作信号に基づいて参照光に対応する被検眼の深さ位置又は測定光の走査位置を変更する。この場合、メモリ72には、ディスプレイ75上における断層画像表示領域201Rの表示位置(座標位置)が記憶されている。
上記のように断層画像が撮影され、ディスプレイ75上の断層画像表示領域201Rに断層画像201が表示された後、参照光に対応する被検眼の深さ位置又は測定光の走査位置を変更したい場合、検者は、マウス76を操作して断層画像201にカーソル100を合わせ、断層画像201に対して所定の操作(例えば、ドラッグ操作、クリック操作)を行う。
例えば、制御部70は、断層画像表示領域201Rにカーソル100が置かれた状態でマウス76がクリックされ、クリックされた状態のまま水平面上の任意の方向にマウス76が移動される(ドラッグされる)と、マウス76の操作方向に応じて移動されるカーソル100に追従して断層画像201が表示領域201R内で移動されるように参照光に対応する被検眼の深さ位置及び測定光の走査位置の変更を行う(図4参照)。
この場合、制御部70は、マウス76に設けられたマウスボタンからの検知信号が出力された状態のままマウス76から出力される操作信号に基づいてカーソル100によって指定される上下方向及び左右方向における指定位置の移動情報を取得する。
ここで、図4(a)に示すように断層画像201がクリックされた状態のままマウス76が前後方向に移動されることにより、ディスプレイ75上の断層画像201に対して上下方向へのドラッグ操作がなされると、制御部80は、その操作信号に基づいて、カーソル100を上下方向に移動させると共に、図4(b)に示すようにカーソル100の移動に追従して断層画像201が移動されるように駆動機構50を用いて参照ミラー31を移動させることにより参照光の光路長の変更を行う。
このとき、制御部70は、マウス76が前進する方向に移動されると参照光の光路長が長くなる方向に参照ミラー31を移動させ、マウス76が後退する方向に移動されると参照光の光路長が短くなる方向に参照ミラー31を移動させる。そして、参照ミラー31の移動によって参照光の光路長が変更されると、結果的に、参照光の光路長と測定光の光路長との光路差が変更され、参照光の光路長(光源27〜参照ミラー31〜分光光学系800)と光路長が等しくなる眼底上の深さ位置が変化される。これにより、参照光の光路長に対応する眼底上の深さ位置が変更される。
そして、上記のようにして参照ミラー31が移動され、参照光の光路長が変化された後に取得された断層画像がディスプレイ75に表示されると、結果的に、網膜、色素上皮、脈絡膜、等を含む眼底断層像がディスプレイ75上を上下方向に移動するように表示される。このとき、マウス76が前進する方向に移動されると眼底断層像が上方向に移動し、マウス76が後退する方向に移動されると眼底断層像が下方向に移動するようにディスプレイ75に表示される。
なお、制御部70は、マウス76から出力される操作信号に基づいて、ドラッグ操作が開始された位置を基準としてドラッグ開始位置からのマウス76の前後方向における移動量を検出して、上下方向における指定位置の移動情報を取得し、これに基づいて参照ミラー31を移動させる。なお、メモリ72には、ドラッグ開始位置からマウス76が所定量移動されたときの参照ミラー31の移動量を示す演算テーブルが記憶されており、制御部80は、前述のように検出されるマウス76の前後移動量に対応する参照ミラー31の移動量を演算テーブルから取得することにより参照ミラー31の移動量を求める。
また、本実施形態では、マウス76が前後に移動されたときに、カーソル100の上下方向における表示位置の変位量と断層画像201の上下方向における表示位置の変位量が等しくなるように、ドラッグ開始位置からのマウス76の前後方向への移動量と参照ミラー31の移動量との対応関係が設定されている。したがって、ディスプレイ75上において、マウス76に対するドラッグ操作によって移動されるカーソル100に対して断層画像201が追従するようにして表示されるように参照ミラー31が移動される。
また、上記構成において、制御部70は、マウス76が移動される毎に随時参照ミラー31を移動させ断層画像を取得し、既に表示されている断層画像を更新して新たに取得された断層画像をディスプレイ75に表示するようにすれば、マウス76のドラッグ操作時において、検者は、画面上に表示される眼底部位の撮影感度の変化をリアルタイムで観察することができるため、検者の所望する撮影条件への調整が容易となる。この場合、断層画像の撮影感度は、参照光と光路長が等しい深さ位置にて取得される画像の撮影感度が最大であり、参照光の光路長に対応する深さ位置から遠ざかるにつれて撮影感度が低くなる。そして、本実施形態では、ディスプレイ75上における断層画像表示領域201Rの上限に表示される断層画像が参照ミラー31の移動位置に対応した断層画像であるため、断層画像表示領域Rの上限付近に表示される断層画像の撮影感度が最も高く、下方向に向かうにつれて撮影感度が低下した断層画像が表示される。
以上のような構成によれば、検者は、マウス76を用いて断層画像201に対するドラッグ操作を行うことにより、所望する眼底部位(例えば、網膜、脈絡膜等)が撮影感度の高い状態でディスプレイ75に表示されるように調整できるため、検者の直感的な操作感覚によって検者が所望する眼底部位をスムーズに観察できる。なお、以上の説明においては、参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置の変更に伴って断層画像の表示位置が上下方向に移動するものとしたが、断層画像201に対する所定操作によって参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置が変更されるものであれば、種々の変容が可能である。
次に、図5を用いて、ディスプレイ75上の断層画像に対してマウス76による左右方向へのドラッグ操作が行われた場合について説明する。ここで、図5(a)に示すように断層画像201がクリックされた状態のままマウス76が左右方向に移動されることにより、ディスプレイ75上の断層画像201に対して左右方向へのドラッグ操作がなされると、その操作信号に基づいて、カーソル100を左右方向に移動させると共に、図5(b)に示すようにカーソル100の移動に追従して断層画像201が移動されるように走査駆動機構52を用いてガルバノミラー23の走査位置を変更させることにより断層画像を取得するときの被検眼眼底上における測定光の走査位置(照射位置)を変更する。
断層画像を取得するために設定された各ガルバノミラー23の駆動可能範囲(回転可能範囲)は、一枚の断層画像を取得するときのガルバノミラー23の駆動範囲(回転角度)より広く設定されており、制御部70は、一枚の断層画像を取得するときのガルバノミラー23の駆動範囲を一定に設定しつつ、駆動可能範囲から所定の駆動位置を選択する。より具体的には、一枚の断層画像を取得する際のミラーの回転角度の幅を一定にしつつ、ミラーの回転開始角度と回転完了角度を変更する(ミラーの振れ角の中心位置(回転中心位置)を変更する)。これにより、被検眼眼底上を走査される測定光の走査角度を一定にすることで測定光の走査範囲を所定の走査幅に設定しつつ、被検眼眼底上における測定光の走査位置を変更することが可能である。すなわち、測定光の走査位置が変更されても、被検眼眼底上における測定光の照射幅は変更されず、測定光の照射範囲が全体的に左右方向に移動する。
ここで、制御部70は、マウス76が左方向に移動されるとドラッグ操作開始前の測定光の走査位置よりもドラッグ操作開始後の測定光の走査位置が右方向(装置側から見た場合)に移動されるようにガルバノミラー23を移動させ、マウス76が右方向に移動されるとドラッグ操作開始前の測定光の走査位置よりもドラッグ操作開始後の測定光の走査位置が左方向(装置側から見た場合)に移動されるようにガルバノミラー23を移動させる。
そして、上記のようにして断層画像を取得する際のガルバノミラー23の駆動位置が変更され、被検眼眼底上の測定光の走査位置が変化された後に取得された断層画像がディスプレイ75に表示されると、結果的に、網膜、色素上皮、脈絡膜、等を含む眼底断層像がディスプレイ75上を左右方向に移動するように表示される。この場合、ドラッグ操作前の測定光の照射位置に対してドラッグ操作によって新たに測定光が照射されて測定光の照射対象となった眼底領域においては、これに対応する断層画像が断層画像表示領域201R上に表示され、ドラッグ操作によって測定光の照射対象から外れた眼底領域においては、これに対応する断層画像が断層画像表示領域201R上から消去された状態となる。
なお、制御部70は、マウス76から出力される操作信号に基づいて、ドラッグ操作が開始された位置を基準としてドラッグ開始位置からのマウス76の左右方向における移動量を検出し、左右方向における指定位置の移動情報を取得し、これに基づいて断層画像を取得する際のガルバノミラー23の走査位置を変更させる。なお、メモリ72には、ドラッグ開始位置からマウス76が所定量移動されたときに、一枚の断層画像を取得する際のガルバノミラー23の回転中心位置の偏位量を示す演算テーブルが記憶されており、制御部80は、前述のように検出されるマウス76の左右移動量に対応するガルバノミラー23の回転中心位置の偏位量を演算テーブルから取得する。
また、本実施形態では、マウス76が左右に移動されたときに、カーソル100の左右方向における表示位置の変位量と断層画像201の左右方向における表示位置の変位量が等しくなるように、ドラッグ開始位置からのマウス76の左右方向への移動量と回転中心位置の偏位量との対応関係が設定されている。したがって、ディスプレイ75上において、マウス76に対するドラッグ操作によって移動されるカーソル100に対して断層画像201が追従するようにして表示されるようにガルバノミラー23が駆動される。
また、上記構成において、制御部70は、マウス76が移動される毎に随時ガルバノミラー23の移動範囲を変更させ断層画像を取得し、既に表示されている断層画像を更新して新たに取得された断層画像をディスプレイ75に表示するようにすれば、マウス76のドラッグ操作時において、検者は、画面上に表示される断層画像の左右方向における取得部位の変化をリアルタイムで観察することができるため、検者の所望する撮影条件への調整が容易となる。
また、制御部70は、上記のように被検眼眼底上における測定光の走査位置が変更された場合、SLO画像301上に電子的に表示される測定位置(取得位置)を表すラインLSの表示位置を変更された走査位置に対応するように変更する。
以上のような構成によれば、検者は、マウス76を用いて断層画像201に対するドラッグ操作を行うことにより、所望する眼底部位がディスプレイ75に表示されるように調整できるため、検者の直感的な操作感覚によって検者が所望する眼底部位をスムーズに観察できる。
また、上記構成によれば、検者は、断層画像201を見ながら、参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置の変更と、被検眼上における測定光の走査位置の変更を行うことができるため、これらの2つの変更操作をスムーズに行うことができる。
なお、本実施形態では、マウス76の前後移動によって参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置を変更させる一方で、マウス76の左右移動によって被検眼眼底上の測定光の走査位置を変更させる制御を行っている。よって、マウス76が斜め方向に移動されたとき(前後方向へのマウス76の移動と左右方向へのマウス76の移動が同時に検出されるため)に出力される操作信号に基づいて、参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置の変更と被検眼眼底上の測定光の走査位置の変更を同時に行うことにより、断層画像の深さ方向及び左右方向における撮影位置を並行して変更することも可能である。この場合、断層画像201がディスプレイ75上で斜め方向に移動するように表示され、ディスプレイ75上に表示されている断層画像の位置を確認しながら、断層画像の深さ方向及び左右方向における撮影位置を変更できるため、検者の所望する眼底部位の観察をスムーズに行うことができる。逆に、マウス76を前後に移動させて深さ方向の撮影位置を変更した後、マウス76を左右に移動させて左右方向の撮影位置を変更するような場合、深さ方向の撮影位置を変更した時点で断層画像表示領域201Rから眼底部位の断層画像が見えなくなり、深さ方向における位置関係が把握できなく可能性があり、所望する眼底部位を探す手間が増加する可能性がある。
また、以上の説明においては、マウス76のドラッグ操作に対応して随時参照ミラー31を移動させ又はガルバノミラー23の振れ角の中心を移動させディスプレイ75上に表示される断層画像を更新するものとしたが、既にディスプレイ75上に表示されている断層画像201をカーソル100の移動に追従して移動させておき、クリックされた状態が解除された操作信号が入力されたときに、ドラッグ開始位置からのマウス76の前後方向(又は左右方向)への移動量に応じて参照ミラー31を移動させたのち(又はガルバノミラー23の振れ角の中心を移動させたのち)に断層画像を取得し、取得された断層画像をディスプレイ75上に表示するようにしてもよい。
また、上記構成において、制御部70は、断層画像表示領域201Rにカーソル100が置かれた状態で、さらに、マウス76に設けられたホイール部が回転されたときに、その回転方向及び回転量に応じて、断層画像の上下方向(断層面に対して垂直な方向)における撮影位置を変化させるように、走査駆動機構51を用いて眼底上の測定光の照射位置をY方向に移動させるためのガルバノミラー23の角度を調整するようにしてもよい。例えば、ホイール部が前方向に回転されたときに、制御部80は、その回転量に応じて眼底上での測定光の走査位置が上方向に移動するようにガルバノミラー23を動作させる。一方、ホイール部が後方向に回転されたときに、制御部80は、その回転量に応じて眼底上での測定光の走査位置が下方向に移動するようにガルバノミラー23を動作させる。また、断層画像表示領域201Rにカーソル100が置かれた状態で、マウス76に設けられたホイール部が回転されたときに、その回転方向及び回転量に応じて参照ミラー31を移動させるようにしてもよい。
また、以上の説明において、ディスプレイ75上に表示される断層画像は、ディスプレイ75の画面上における上下方向が眼底の深さ方向、左右方向が眼底上における測定光の走査方向に対応するものとしたが、ディスプレイ75の画面上における上下方向が眼底上における測定光の走査方向、左右方向が眼底の深さ方向に対応するような表示形態であっても、本発明の適用は可能である。なお、前述の表示形態は、被検眼眼底上における測定光の走査方向が上下方向の場合に特に有用であり、この場合、制御部70は、マウス76の上下移動に応じて被検眼の測定光の走査位置を変更させ、マウス76の左右移動に応じて参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置を変更するようにしてもよい。
なお、上記のようにして被検眼上の左右方向(上下方向)における測定光の走査位置の変更を行う場合、被検眼眼底の湾曲形状に起因して眼底の各層も湾曲しているため、OCT画像201の表示領域に表示される眼底画像における所定の眼底部位(例えば、網膜、脈絡膜、色素上皮、等)の表示位置は、撮影位置の左右方向への変化によってディスプレイ75のOCT画像201の表示領域内で変化し、結果的に、検者が所望する眼底部位における撮影感度に変化が生じてしまう可能性がある。
そこで、上記のように被検眼上における測定光の走査位置を変更した後に取得される断層画像における所定の被検眼部位の深さ方向における撮影位置の変化を検出し、その検出結果に基づいて、走査位置の変更前に設定された所定の基準位置に対する所定の被検眼部位の深さ方向の撮影位置のずれが補正されるように参照光と測定光との光路差を変更するようにしてもよい。
より具体的には、上記のようにマウスの左右移動に基づいて被検眼上の測定光の走査位置を左右方向に変更するような場合において、制御部70は、取得された断層画像における所定の眼底部位(例えば、反射率が大きい網膜色素上皮)の深さ方向における撮影位置の変化を検出し、断層画像表示領域201R内における所定の眼底部位がほぼ同一の撮影感度にて表示されるように、その検出結果に参照ミラー31の移動を制御するようにしてもよい。
この場合、OCT光学系200によって取得される断層画像において反射率が相対的に大きい色素上皮部分を画像処理により抽出し、抽出された色素上皮部分の撮影画像上における撮影位置(深さ方向)をモニタリングする。
ここで、制御部70は、まず、測定光の走査位置が変更される前段階における色素上皮部分の抽出位置を検出して基準位置として設定した上で、測定光の走査位置が変更された後段階における色素上皮部分の抽出位置を検出することにより所定の基準位置に対する色素上皮部分の撮影位置の深さ方向におけるずれ量を求める。そして、制御部70は、その撮影位置のずれが補正される方向に、参照ミラー31を移動させ、そのずれ量がほぼ0になったときに参照ミラー31の移動を停止させる。このように左右方向への測定光の走査位置の変更に連動して断層画像上における撮影位置の変化前に設定された所定の基準位置に対する色素上皮部分のずれが補正されるように参照ミラー31を移動させることにより、被検眼が観察した眼底部位を一定の撮影感度で観察することが可能となる。
次に、断層画像201に対してマウス76のクリック操作を行うことにより断層画像の撮影位置を変更する手法について説明する。より具体的には、制御部70は、図6(a)に示すように、断層画像表示領域201Rにカーソル100が置かれた状態で、マウス76がクリックされ、マウス76が移動されることなく、クリックされた状態が解除される(以下の説明においては、上記操作をクリックとする)と、図6(b)に示すようにカーソル100によって指示された位置にあった断層画像上の所定領域(例えば、所定の点)が断層画像表示領域201Rにおける所定の基準位置(図6中のK参照)に表示されるように参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置又は被検眼眼底上の測定光の走査位置を変更する。なお、図6中のKは、実施形態の説明のためのものではあり、実際には表示されない。
この場合、制御部70は、マウス76に設けられたマウスボタンからの検知信号が出力されたときにマウス76からの出力される操作信号に基づいてカーソル100によって指定されて上下方向及び左右方向における指定位置の移動情報を取得する。
なお、メモリ72には、ディスプレイ75上の断層画像表示領域201Rの座標位置(X、Y)が所定のステップで記憶されており、制御部70は、断層画像表示領域201R上を移動されるカーソル100の断層画像表示領域201Rにおける表示位置を検出できる。また、メモリ72には、断層画像表示領域201Rにおいて、クリックされた断層画像領域を表示させたい所定の表示位置(例えば、断層画像表示領域201Rにおける中心位置、上方、下方、など)の座標位置が基準位置として記憶されている。この場合、制御部70は、前述の基準位置に対応する表示位置にレチクルを電子的に表示するようにしてもよい。
ここで、制御部70は、ディスプレイ75上の断層画像201に対してクリック操作がなされると、制御部70は、その操作信号に基づいて、クリック操作が行われたときのカーソル100の断層画像表示領域201Rにおける座標位置を検出し、上下方向及び左右方向における指定位置の移動情報を取得する。そして、取得された指定位置の移動情報に基づいて指定された断層画像領域を表示させたい所定の基準位置の座標位置とカーソル100の座標位置との上下方向の偏位量及び左右方向の偏位量を検出する。
そして、制御部70は、前述のように得られた上下方向における偏位量に基づいて、カーソル100によって指定された断層画像領域がディスプレイ75上の所定の上下位置にくるように駆動機構50を用いて参照ミラー31を移動させることにより参照光の光路長の変更を行う。
この場合、制御部70は、カーソル100によって所定の基準位置に対して上にある領域が指定されると参照光の光路長が短くなる方向に参照ミラー31を移動させ所定の眼底部位における断層画像の表示位置を下方向に移動させ、カーソル100によって所定の基準位置に対して下にある領域が指定されると参照光が長くなる方向に参照ミラー31を移動させ所定の眼底部位における断層画像の表示位置を上方向に移動させる。
なお、メモリ72には、所定の基準位置に対する上下方向における偏位量が所定の偏位量であるときの参照ミラー31の移動量を示す演算テーブルが記憶されており、制御部80は、前述のように検出される上下方向の偏位量に対応する参照ミラー31の移動量を演算テーブルから取得することにより参照ミラー31の移動量を求める。この場合、ディスプレイ75上の所定の基準位置に対するカーソル100の上下方向における表示位置の偏位量と、断層画像201の上下方向における表示位置の変位量が等しくなるように、所定の基準位置に対する上下方向における偏位量と参照ミラー31の移動量との対応関係が設定されている。したがって、マウス76に対するクリック操作によって指定される所定の断層画像領域がディスプレイ75上における所定の上下位置に表示されるように参照ミラー31が移動される。
以上のような構成において、例えば、ディスプレイ75上の所定の基準位置を撮影感度の高い状態でディスプレイ75に表示される断層画像表示領域Rの上限付近に設定することにより、検者は、マウス76を用いて断層画像201に対するクリック操作を行うことにより、所望する眼底部位(例えば、網膜、脈絡膜等)が撮影感度の高い状態でディスプレイ75に表示されるように断層画像201の表示位置を移動させることができるため、検者が所望する眼底部位をスムーズに観察できる。これにより、検者は、撮影感度が高い状態で表示される眼底部位を任意に選択することができる。なお、以上の説明においては、参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置の変更に伴って断層画像の表示位置が上下方向に移動するものとしたが、断層画像201に対する所定操作によって参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置が変更されるものであれば、種々の変容が可能である。
また、制御部70は、前述のように得られた左右方向における偏位量に基づいて、カーソル100によって指定された断層画像領域がディスプレイ75上の所定の左右位置にくるように走査駆動機構52を用いてガルバノミラー23の回転中心位置の偏位量を変更させることにより断層画像を取得するときの被検眼眼底上における測定光の走査位置(照射位置)を変更する。
この場合、制御部70は、カーソル100によって所定の基準位置に対して左にある領域が指定されると、クリック操作前の測定光の走査位置よりもクリック操作後の測定光の走査位置が左方向(装置側から見た場合)に移動されるようにガルバノミラー23を移動させ、カーソル100によって所定の基準位置に対して右にある領域が指定されると、クリック操作前の測定光の走査位置よりもクリック操作後の測定光の走査位置が右方向(装置側から見た場合)に移動されるようにガルバノミラー23を移動させる。
なお、メモリ72には、所定の基準位置に対する左右方向における偏位量が所定の偏位量であるときのガルバノミラー23の走査位置(駆動位置)の変更情報を示す演算テーブルが記憶されており、制御部80は、前述のように検出される左右方向の偏位量に対応するガルバノミラー23の走査位置の変更情報を演算テーブルから取得する。この場合、ディスプレイ75上の所定の基準位置に対するカーソル100の表示位置の左右方向における偏位量と、断層画像201の左右方向における表示位置の変位量が等しくなるように、所定の基準位置に対する左右方向における偏位量とガルバノミラー23の走査位置の変更情報との対応関係が設定されている。したがって、マウス76に対するクリック操作によって指定される所定の断層画像領域がディスプレイ75上における所定の左右位置に表示されるように参照ミラー31が移動される。
上記構成において、制御部70は、断層画像201に対するマウス76のクリック操作に対応して参照ミラー31を移動させもしくはガルバノミラー23の走査位置を変更させ断層画像を取得し、既に表示されている断層画像を更新して新たに取得された断層画像をディスプレイ75に表示する。
また、制御部70は、上記のように被検眼眼底上における測定光の走査位置が変更された場合、SLO画像301上に電子的に表示される測定位置(取得位置)を表すラインLSの表示位置が変更された走査位置に対応するように変更する。
以上のような構成によれば、検者は、マウス76を用いて断層画像201に対するクリック操作を行うことにより、所望する眼底部位がディスプレイ75に表示されるように断層画像201の表示位置を左右方向に移動させることができるため、検者が所望する眼底部位をスムーズに観察できる。
なお、本実施形態では、制御部70は、断層画像201に対してクリック操作がなされたときの、ディスプレイ75上の所定の基準位置に対するカーソル100の上下方向における表示位置に応じて参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置を変更させる一方で、ディスプレイ75上の所定の基準位置に対するカーソル100の左右方向における表示位置に応じて被検眼眼底上の測定光の走査位置を変更させる制御を行っている。
この場合、ディスプレイ75上の所定の基準位置に対して斜め方向にカーソル100が置かれた状態でクリック操作がなされたときに出力される指定位置情報に基づいて、参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置の変更と被検眼眼底上の測定光の走査位置の変更を同時に行うことにより、断層画像の深さ方向及び左右方向における撮影位置を並行して変更することも可能である。
この場合、断層画像201がディスプレイ75上で斜め方向に移動するように表示されるため、ディスプレイ75上に表示されている断層画像の位置を確認しながら、断層画像の深さ方向及び左右方向における撮影位置を変更できるため、検者の所望する眼底部位の観察をスムーズに行うことができる。
また、上記のように深さ方向及び左右方向における撮影位置の変更を同時に行うモード以外の他に、断層画像201に対してクリック操作がなされたときのカーソル100の上下方向における表示位置に基づいて参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置を変更するモードと、断層画像201に対してクリック操作がなされたときのカーソル100の左右方向における表示位置に基づいて被検眼眼底上の測定光の左右方向における走査位置を変更するモードと、を設けるようにしてもよい。
なお、以上の説明においては、マウス76を用いて参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置又は被検眼眼底上の測定光の走査位置を変更するものとしたが、所定のディスプレイに表示される断層画像上における任意の位置を指定できる構成であれば、これに限るものではない。この場合、ディスプレイにタッチパネル機能を搭載させ、タッチパネル上の断層画像をタッチしたときのディスプレイ上における指定位置情報、又はタッチパネル上で断層画像に対するドラッグ操作がなされたときの指定位置の移動情報に基づいて参照光の光路長に対応する被検眼の深さ位置又は被検眼眼底上の測定光の走査位置の変更を行うようにしてもよい。
また、以上の説明においては、参照光光路に参照ミラー31を配置することにより参照光を反射させるような構成としたが、参照ミラーを用いず光ファイバーで形成された光路に参照光を通過させ、結果的に参照光と眼底から反射された測定光とが干渉するような構成であってもよい(特開2007−151622号公報参照)。この場合、例えば、参照光光路に配置された光ファイバの出射端を移動させることにより参照光の光路長を変更できる。
また、以上の説明においては、参照光の光路長を変化させることにより参照光の光路長と測定光の光路長の光路差を変更するものとしたが、測定光の光路長を変化させるような構成としてもよい。この場合、例えば、コリメータレンズ25と光ファイバー38bの端部39bを一体的に光軸方向に移動させることにより測定光の光路長を変化させるようにしてもよい。