JP5990647B2 - シガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレット - Google Patents
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Description
本発明は、シガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレットに関する。
従来より、シガレットの主流煙成分の変化を持たせる等の目的で、フィルタ材の前段(上流側)に主流煙の流路断面積を狭めたオリフィス等を有する絞り部材を配置し、流速を高めた主流煙をフィルタ材に流入させて、主流煙の流速が高い状態で濾過を行なう技術が知られている。本明細書では、本技術のことを「高速濾過」技術と記載する。
しかしながら、フィルタ材において主流煙の高速濾過を行うにあたり、フィルタ材における前端面の目詰まりが生じやすくなる。その結果、フィルタ材の通気抵抗がパフ毎、すなわち喫煙者が主流煙を吸い込む毎に上昇してしまい、喫煙者が喫煙しにくくなる虞がある。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、フィルタ材の前段に主流煙の流路断面積を絞る絞り部材を配置した場合においても、パフ毎のフィルタ材の通気抵抗が上昇することを抑制可能なシガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレットを提供することにある。
本発明では、上記課題を解決するために以下の手段を採用する。すなわち、本発明によると、タバコ刻を巻紙により巻いたロッド部の一端にチップ紙を介して接続されるシガレット用フィルタであって、フィルタの横断面を塞ぐようにして配置された絞り部本体と、該絞り部本体の一部をフィルタの長手方向に貫通して形成されると共に主流煙を流通させる貫通路とを有する、絞り部材と、前記絞り部材の後段に配設され、主流煙の煙成分を濾過する後段フィルタ材と、前記後段フィルタ材および前記絞り部材を、フィルタの長手軸を中心として相対回転可能とする回転機構と、を備え、前記後段フィルタ材および前記絞り部材の相対回転に伴い、前記後段フィルタ材の前端面に対する前記貫通路の対向位置が変更されるように、前記絞り部材の貫通路が形成されている、シガレット用フィルタが提供される。
上記構成によるシガレット用フィルタによれば、絞り部材の貫通路を流れる際に流速が高められた主流煙が後段フィルタ材に導入され、後段フィルタ材において主流煙の高速濾過が実現される。その結果、本発明に係るフィルタが適用されるシガレットの主流煙成分を変化させることができ、シガレットの香喫味特徴を変更する効果が得られる。
ところで、絞り部材において流路が狭められた主流煙が後段フィルタ材に導入される際、主流煙に含まれる粒子状物質が後段フィルタ材の前端面に集中することで、後段フィルタ材における前端面の目詰まりが生じやすくなる。その結果、喫煙者が主流煙を吸い込む動作を行う毎、すなわちパフ毎に通気抵抗が上昇する要因となる。
これに対して、本発明に係るフィルタは回転機構を備え、後段フィルタ材および絞り部材が相対回転されることによって、後段フィルタ材の前端面に対して貫通路の対向する位置が変更されるように構成されている。これによれば、シガレットのパフが進むにつれて、喫煙者は適宜のタイミングにて回転機構を用いて、後段フィルタ材の横断面のうち目詰まりが起こっていない領域と貫通路とが対向するように、後段フィルタ材および貫通路の相対位置関係を調整することができる。その結果、後段フィルタ材の通気抵抗が高くなることを抑制できる。よって、喫煙時において、喫煙者が主流煙を吸いづらくなることを抑制することができる。
また、前記貫通路は、前記絞り部本体の横断面内において、該横断面の中心軸を中心とする同心円をなさずに形成されていてもよい。このように絞り部材の貫通路を形成することで、後段フィルタ材および絞り部材を相対回転させた際に、後段フィルタ材の前端面に対して貫通路が対向する位置を好適に変更することができる。
また、前記回転機構は、前記後段フィルタ材および前記絞り部材のうち少なくとも何れか一方を、前記チップ紙に対して相対回転可能に保持する機構として構成されていてもよい。この場合、前記後段フィルタ材は、フィルタの最後端に配置されており、且つ、該後段フィルタ材の回転操作を行うための把持部が前記チップ紙の後端よりも後方に突出して形成されていてもよい。そうすれば、喫煙者は、後段フィルタ材の把持部を摘むことにより、チップ紙に対する後段フィルタ材の回転操作を容易に行うことができる。
また、前記把持部の外表面および前記チップ紙には、前記チップ紙に対する前記後段フィルタ材の相対回転位置を示す目印が付されていてもよい。これによれば、チップ紙に対する後段フィルタ材の回転操作を行う際に、喫煙者は、現在のチップ紙に対する後段フィルタ材の相対回転位置を容易に把握することができる。また、把持部側に設けられる目印と、チップ紙側に設けられる目印との相対位置関係に基づいて、喫煙者は、後段フィルタ材を回転させる際の回転量の目安を直感的に理解することができる。これにより、フィルタの利便性をより一層高めることができ、また、喫煙者にとって使い勝手のよいフィルタを提供することができる。
また、前記後段フィルタ材および前記チップ紙には、前記チップ紙に対する前記後段フィルタ材の相対回転角度が所定の角度変化する毎に嵌合する凹凸構造が形成されていてもよい。これによれば、喫煙者は、後段フィルタ材の回転操作を行う際に、把持部を通じて伝達される感覚に基づき、チップ紙に対する後段フィルタ材の相対回転角度が、操作前の位置から所定の角度変化したことを容易に把握できる。これにより、フィルタの利便性をより一層高めることができ、また、喫煙者にとって使い勝手のよいフィルタを提供することができる。
また、前記絞り部材の後端面と前記後段フィルタ材の前端面は、フィルタの長手方向に沿って連設されていてもよい。これにより、絞り部材における貫通路を主流煙が通過した後、主流煙の流速を高く維持した状態で後段フィルタ材に導くことができる。その結果、後段フィルタ材における主流煙の高速濾過を、より好適に実現することができる。
また、前記チップ紙には、主流煙を希釈するための空気をフィルタ内に導入する通気孔が形成されており、前記通気孔は、前記チップ紙のうち、フィルタの長手方向において前記貫通路の前段に対応する位置に設けられていてもよい。これによれば、通気孔を通じてフィルタ内に導入された外気と合流した後の主流煙を、貫通路に導くことができる。その結果、後段フィルタ材を流通する主流煙の線速度を容易に高く維持することができ、後段フィルタ材における主流煙の高速濾過の実現に資するものとなる。
また、前記絞り部材の前段に、主流煙の煙成分を濾過する前段フィルタ材が配設されており、且つ、前記貫通路と前記前段フィルタ材との間には空洞部が設けられていてもよい。このように、絞り部材における貫通路と前段フィルタ材との間に空洞部を設けることで、前段フィルタ材を通過する主流煙の通気抵抗を低くすることができる。その結果、主流煙を円滑に絞り部材の貫通路へと導入することができる。更には、貫通路の前段に空洞部を設けることで、前段フィルタ材の後端面と絞り部本体(貫通路)との間に隙間を形成することができるため、前段フィルタ材の後端面に目詰まりを起こりにくくすることができる。その結果、前段フィルタ材における通気抵抗の低減効果がより一層期待できるようになり、貫通路への主流煙の円滑な導入をより確実に行うことができる。
また、前記チップ紙には、主流煙を希釈するための空気をフィルタ内に導入する通気孔が形成されており、前記通気孔は、前記チップ紙のうち、フィルタの長手方向において前記空洞部又は前記前段フィルタ材に対応する位置に設けられていてもよい。
また、本発明は、フィルタ付きシガレットの側面としても捉えることができる。本発明によると、タバコ刻を巻紙により巻いたロッド部と、該ロッド部の一端にチップ紙を介して接続されるフィルタと、を備え、前記フィルタは、フィルタの横断面を塞ぐようにして配置された絞り部本体と、該絞り部本体の一部をフィルタの長手方向に貫通して形成されると共に主流煙を流通させる貫通路とを有する、絞り部材と、前記絞り部材の後段に配設され、主流煙の煙成分を濾過する後段フィルタ材と、前記後段フィルタ材および前記絞り部材を、フィルタの長手軸を中心として相対回転可能とする回転機構と、を備え、前記後段フィルタ材および前記絞り部材の相対回転に伴い、前記後段フィルタ材の前端面に対する前記貫通路の対向位置が変更されるように、前記絞り部材の貫通路が形成されている、フィルタ付きシガレットが提供される。
なお、本発明における課題を解決するための手段は、可能な限り組み合わせて採用することができる。
本発明によれば、フィルタ材の前段に主流煙の流路断面積を絞る絞り部材を配置した場合においても、パフ毎のフィルタ材の通気抵抗が上昇することを抑制可能なシガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレットを提供することができる。
ここで、本発明に係るシガレット用フィルタを備えたフィルタ付シガレットの実施形態について、図面に基づいて説明する。また、本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施形態に係るフィルタ付シガレット(以下、単に「シガレット」という)1の概略構造を示す図である。図2は、シガレット1の一部を示す断面図である。図2は、シガレット1の長手軸を含む断面(以下、「縦断面」という)を模式的に示している。シガレット1は、ロッド部2と、このロッド部2の一端にチップ紙(チップペーパー)3を介して接続されたフィルタ4とを有している。刻ロッド2は、タバコ刻21を巻紙22で巻き取ったものであり、円柱状(棒形状)を呈している。ロッド部2は、「単巻部」と呼ばれる場合もある。図2においては、フィルタ4の断面を中心に示している。なお、シガレット1(ロッド部2、フィルタ4)の長手軸に直交する方向の断面を、以下では「横断面」と呼ぶ。
フィルタ4は、シガレット1の喫煙時に発生する主流煙を通過させた際に、主流煙に含まれる煙成分を濾過(ろか)するための部材である。フィルタ4は、ロッド部2と実質的に同径の円柱状に成形されている。そして、ロッド部2とフィルタ4とは、上記のようにチップ紙によって連結されている。以下、ロッド部2においてフィルタ4と接続される方の端部を「後端」と呼び、それとは反対側の端部を「前端」と呼ぶ。また、フィルタ4におけるロッド部2との接続端をフィルタ4の「前端」と呼び、それとは反対側の端部を「吸い口端」(後端)と呼ぶ。
フィルタ4の内部には、前段フィルタ材41、絞り部材42、後段フィルタ材43等が、フィルタ4の前端側から順に並んで配設されている。前段フィルタ材41および後段フィルタ材43は、喫煙時にロッド部2側からフィルタ4に流入してくる主流煙に含まれる煙成分を濾過する濾過材である。絞り部材42を基準にして、前段フィルタ材41は絞り部材42の前段(上流側)に設けられ、後段フィルタ材43は絞り部材42の後段(下流側)に設けられている。
シガレット1に適用される前段フィルタ材41および後段フィルタ材43は、特定の種類に限定されるものではないが、例示的に、本実施形態では前段フィルタ材41をチャコールフィルタとして形成し、後段フィルタ材43をセルロースアセテートフィルタとして形成している。ここで、セルロースアセテートフィルタは、円柱状に成形したセルロースアセテートの繊維束を巻取紙430により巻き取ったフィルタセグメントである。一方、チャコールフィルタは、セルロースアセテートの繊維束に活性炭等の吸着剤を分散させて構成したものを巻取紙410により巻き取ったフィルタセグメントである。前段フィルタ材41は、主流煙を濾過する機能のほか、ロッド部2のタバコ刻21がフィルタ4側にこぼれ落ちることを抑制する役割がある。
次に、絞り部材42の詳細について説明する。図3に、実施形態に係る絞り部材42の詳細構造図を示す。絞り部材42は、煙不透過性を有する煙不透過材料を用いて形成された絞り部本体420と、この絞り部本体420における横断面の一部に穿設された貫通路420Aとを有する。本実施形態においては、プラスチック等の樹脂によって用いて絞り部材42を作製しているが、煙不透過材料であれば金属や、セルロースアセテート繊維を高密度に成形したものや、その他の材料を用いてもよい。絞り部材42における絞り部本体420は、図2に示すように、フィルタ4の横断面と実質的に同径の円板部材であり、フィルタ4の横断面を塞ぐようにして配置されている。また、絞り部材42における貫通路420Aは、絞り部本体420をフィルタ4の長手方向に貫通しており、フィルタ4の長手軸に沿って延伸している。絞り部本体420における貫通路420Aは、主流煙を流通させるための流路であり、主流煙の流路断面積が絞られている。
図4は、実施形態に係る絞り部材42の正面図である。ここで、絞り部本体420の中心を絞り部材42の「中心軸」として定義し、図中に符号CA1にて示す。本実施形態における貫通路420Aは、絞り部本体420の横断面内において、絞り部本体420の中心軸CA1を中心とする同心円をなさずに形成されている。図4に示す例では、貫通路420Aは、絞り部本体420の中心軸CA1に対して偏心配置された円形断面を有する貫通孔である。つまり、貫通路420Aの中心軸を符号CA2によって表すと、貫通路420Aの中心軸CA2は、絞り部本体420の中心軸CA1から偏心しており、絞り部本体420の中心軸CA1を中心とする同心円をなしてはいない。
本実施形態に係る絞り部材42は、その中心軸CA1がフィルタ4の長手軸と同軸となるようにフィルタ4内に配置されている。本明細書では、ロッド部2から流入した主流煙がフィルタ4内を流れる方向を基準にして、フィルタ4内の「上流」および「下流」を定義する。すなわち、上述したフィルタ4の「吸い口端」がフィルタ4の下流端に相当し、フィルタ4の「前端」がフィルタ4の上流端に相当する。
また、絞り部材42における絞り部本体420は、後段フィルタ材43の前端面と対向して配置されている。より詳しくは、絞り部材42における絞り部本体420の後端面と後段フィルタ材43の前端面は、フィルタ4の長手方向に沿って連設されている。これによって、後段フィルタ材43の前端面と絞り部本体420の後端面との間に隙間が生じないように、後段フィルタ材43および絞り部本体420が連続して配置されている。
一方、絞り部材42における絞り部本体420の前端面と前段フィルタ材41における後端面との間に空洞(キャビティ)部44が設けられている。つまり、フィルタ4における前段フィルタ材41および絞り部材42は、空洞部44を挟むようにして、フィルタ4の長手方向に離れた状態で配置されている。なお、貫通路420Aは、絞り部本体420に設けられているため、空洞部44は貫通路420Aの前段(上流側)に設けられている。なお、前段フィルタ材41および絞り部材42は共通する巻取紙46に巻き取られることで一体化されている。この巻取紙46は、通気性を有している。
また、チップ紙3のうち、フィルタ4の周囲を覆っている領域には、主流煙を希釈するための外気(空気)をフィルタ4内に導入するための通気孔31が穿設されている。この通気孔31は、いわゆるベンチレーション用の外気の導入孔であり、チップ紙3に複数設けられている。チップ紙3における通気孔31は、フィルタ4の長手方向において、絞り部材42における貫通路420Aの前段に対応する位置に設けられている。つまり、通気孔31は、チップ紙3のうち、絞り部材42における貫通路420Aよりも相対的に上流側の位置に形成されている。より詳しくは、チップ紙3における通気孔31は、フィルタ4の長手方向において、空洞部44に対応する位置に設けられている。なお、上記のように巻取紙46は、通気性を有しているため、チップ紙3における通気孔31からの外気は、巻取紙46を透過して、フィルタ4の内部に導入される。
通気孔31は、チップ紙3がロッド部2およびフィルタ4に巻かれる前に、チップ紙3の規定位置に予め開孔しておいてもよい。また、通気孔31は、チップ紙3をロッド部2およびフィルタ4に巻き付けた後に形成してもよい。チップ紙3に対する通気孔31の穿設は、例えばレーザー等を用いてもよいし、他の手法を用いてもよい。なお、本実施形態においては、複数の通気孔31をチップ紙3の周方向に沿って一定間隔ごとに配置しているが、チップ紙3への通気孔31の配置パターンは適宜変更することができる設計事項である。
次に、フィルタ4に設けられた後段フィルタ材43の回転機構45について説明する。図5は、実施形態に係る回転機構45を説明する図である。図5は、フィルタ4の後段フィルタ材4を中心に示している。本実施形態における回転機構45は、後段フィルタ材43および絞り部材42を、フィルタ4の長手軸を中心として相対回転可能とする機構である。より詳しくは、後段フィルタ材43および絞り部材42のうち少なくとも何れか一方を、チップ紙3に対して周方向に相対回転可能に保持する機構として回転機構45が構成されている。
図5に示す構成例において、絞り部材42はフィルタ4内に固定配置されている。具体的には、絞り部材42(絞り部本体420)の外周面、すなわち絞り部材42の外周に巻かれた巻取紙46は、チップ紙3の内周面に対して、接着剤を用いて接着されている。図5中、太線を付した符号BDによって接着剤の塗布領域を示す。
一方、図5から判るように、フィルタ4の最後端に配置された後段フィルタ材43の外周面を形成する巻取紙430とチップ紙3との間には接着剤は塗布されていない。つまり、後段フィルタ材43は、チップ紙3に対して接着されておらず、チップ紙3の内面に沿って周方向に摺動および回動自在に保持されている。また、図示の通り、チップ紙3によって形成されている筒内に、後段フィルタ材43が挿入されているところ、その後端側の一部がチップ紙3の後端よりも後方に突出するように保持されている。すなわち、後段フィルタ材43は、その後端側がチップ紙3から突出することで外部に露出するように、チップ紙3に回動自在に保持されている。以下では、後段フィルタ材43のうち、チップ紙3から突出することで外部に露出した部分を、「把持部431」と呼ぶ。喫煙者は、例えば、後段フィルタ材43の把持部431を摘むことにより、後段フィルタ材43の回転操作を容易に行うことができる。
更に、フィルタ4における回転機構45は、後段フィルタ材43がチップ紙3から抜け出すことを抑制するように構成されている。より詳しくは、チップ紙3における後端部と、後段フィルタ材43における巻取紙430の前端部には、互いに係合する抜け出し防止片3A,430Aが形成されている。図示のように、抜け出し防止凸部3Aがチップ紙3の内面に設けられ、抜け出し防止凸片430Aが巻取紙430の外面に設けられている。抜け出し防止片3Aは、チップ紙3における内面の周方向に沿って環状かつ帯状に形成されている。抜け出し防止片3Aは、例えば、チップ紙3を形成する紙材を接着剤BDを介して2重に貼り合わせることで形成されているが、これには限られない。同様に、抜け出し防止凸片430Aは、巻取紙430における外面の周方向に沿って環状かつ帯状に形成されている。抜け出し防止片430Aは、例えば、巻取紙430を形成する紙材を接着剤BDを介して2重に貼り合わせることで形成されているが、これには限られない。
図5に示すように、チップ紙3側の抜け出し防止凸片3Aと、後段フィルタ材43(巻取紙430)側の抜け出し防止凸片430Aが互いに引っ掛かることで係合している。これにより、フィルタ4の長手方向に対する後段フィルタ材43の相対移動、すなわち後段フィルタ材43の抜け出しが抑制される。また、チップ紙3に対して後段フィルタ材43が接着されていないため、フィルタ4の長手方向に沿った中心軸(長手軸)を中心として、後段フィルタ材43を自在に相対回転させることができる。言い換えると、チップ紙3の内周面に沿って、後段フィルタ材43を自在に摺動させることができる。
次に、絞り部材42における貫通路420Aの詳細について説明する。図4を参照して説明したように、貫通路420Aは、絞り部材42(絞り部本体420)の横断面における中心軸CA1を中心とする同心円をなさずに形成されている。このように貫通路420Aを形成することで、上記回転機構45を用いて後段フィルタ材43および絞り部材42を相対的に回転させた際、後段フィルタ材43の前端面に対して貫通路420Aが対向する位置を変更することができる。つまり、記後段フィルタ材43および絞り部材42の相対回転に伴い、後段フィルタ材43の前端面に対する貫通路貫通路420Aの対向位置が変更されるように、絞り部材42の貫通路420Aが形成されている。
次に、本実施形態におけるフィルタ4の動作内容およびこれによって実現される効果について、主に図2を参照して説明する。喫煙者がシガレット1を喫煙する際、ロッド部2からフィルタ4内に流入した主流煙は、前段フィルタ材41、絞り部材42、後段フィルタ材43を経て、フィルタ4の吸口端から口腔内に吸引される。主流煙に含まれる粒子状物質は、前段フィルタ材41、後段フィルタ材43を順次通過することで捕集される。また、チップ紙3に開孔する通気孔31を通じて外気がフィルタ4内に導入され、主流煙と合流する。そして、通気孔31から導入された外気と合流した主流煙は、主流煙の流路断面積が狭められることでいわゆるオリフィスとして機能する絞り部材42の貫通路420Aを通過し、流速が高められる。
そして、貫通路420Aから流出した高速の主流煙は、後段フィルタ材43に流入する。ここで、後段フィルタ材43の横断面の大きさに比べて、貫通路420Aの断面積は小さいため、後段フィルタ材43における横断面の一部を主流煙が通過することになる。このように、後段フィルタ材43における有効濾過面積が縮小されることで、後段フィルタ材43を流れる主流煙の線速度が高く維持される。このようにして、後段フィルタ材43における主流煙の高速濾過が実現され、濾過特性を変更することができる。そして、後段フィルタ材43の高速濾過を行うことで、シガレット1の主流煙成分を変化させることができ、シガレット1の香喫味特徴を変更する効果が得られる。
ところで、貫通路420Aの通過時に流速が高められた主流煙が後段フィルタ材43に流入する際、主流煙に含まれる粒子状物質が後段フィルタ材43の前端面に集中する。したがって、後段フィルタ材43の高速濾過を行う場合、後段フィルタ材43における前端面の目詰まりが生じやすく、喫煙者が主流煙を吸い込む動作を行う毎、すなわちパフ毎に通気抵抗が上昇する要因となる。
これに対して、本実施形態に係るフィルタ4においては、後段フィルタ材43と絞り部材42とを相対回転可能な回転機構45を備えるようにしたため、上記不具合を解消することができる。以下、回転機構45を用いたフィルタ4の動作内容について説明する。
図6Aおよび図6Bは、後段フィルタ材43の回転操作を行う前後における、後段フィルタ材43の前端面と貫通路420Aとの相対位置を説明する図である。図6Aおよび図6Bは、後段フィルタ材43の前端面(図中、斜めハッチングにて示す)を基準として、絞り部材42における貫通路420Aの相対的な位置関係について示している。
例えば、喫煙者が、図6Aに示す状態において主流煙を吸い込み、後段フィルタ材43における横断面のうち、絞り部材42における貫通路420Aと対向している領域に目詰まりが起こっていると仮定する。喫煙者がこの状態のまま主流煙を吸い込もうとしても、高い通気抵抗によって主流煙を吸い難くなる場合がある。これに対して、本実施形態に係るフィルタ4は回転機構45を備えているため、喫煙者は、後段フィルタ材43の把持部431を摘み、回転させることができる。
上記の通り、絞り部材42の貫通路420Aは、絞り部本体420の横断面内において、絞り部本体420の中心軸CA1を中心とする同心円をなさずに形成されている。このため、後段フィルタ材43がチップ紙3の内周面に沿って回動することで、図6Bに示すように、後段フィルタ材43の前端面に対して貫通路420Aが対向する位置を変更することができる。なお、図6Aおよび図6Bは、喫煙者が、後段フィルタ材43の回転角(回転操作量)を90°とした場合を例に示したものである。こうして、喫煙者は、任意のタイミングで、後段フィルタ材43の回転操作を行うことで、後段フィルタ材43の横断面のうち目詰まりが起こっていない領域と貫通路420Aとが対向するように、後段フィルタ材43および貫通路420Aの相対位置関係を調整できるようになる。その結果、シガレット1の喫煙時において、パフ回数が増えても、適宜のタイミングにて後段フィルタ材43の回転操作を行うことにより、パフ毎に後段フィルタ材43の通気抵抗が高くなることを抑制できる。よって、シガレット1の喫煙時に、喫煙者が主流煙を吸いづらくなることを抑制することができる。
また、本実施形態においては、絞り部材42における絞り部本体420の後端面と後段フィルタ材43の前端面がフィルタ4の長手方向に沿って連設され、後段フィルタ材43の前端面と絞り部本体420Aの後端面との間に隙間が設けられていない。これによれば、絞り部材42における貫通路420Aを主流煙が通過した後、主流煙の流速を高く維持した状態で後段フィルタ材43に導くことができる。その結果、後段フィルタ材43における主流煙の高速濾過を、より好適に実現することができる。
また、本実施形態においては、ベンチレーション用の外気をフィルタ4内に導入する通気孔31を、フィルタ4の長手方向において、絞り部材42における絞り部本体420よりも上流側の位置に配置するようにした。より具体的には、チップ紙3における通気孔31を、フィルタ4の長手方向において第2空洞部44に対応する位置に設けている。これによれば、通気孔31を通じてフィルタ4内に導入された外気と合流した後の主流煙を、貫通路420Aに導くことができる。これにより、貫通路420Aおよび後段フィルタ材43を順次流れる主流煙の線速度を高く維持する上で有効であり、後段フィルタ材43における主流煙の高速濾過の実現に資するものとなる。なお、後段フィルタ材43において高速濾過を好適に実現する観点によれば、チップ紙3における通気孔31は、絞り部材42における絞り部本体420(貫通路420A)よりも上流側に配置すればよい。したがって、例えば、フィルタ4の長手方向において、前段フィルタ材41に対応する位置に通気孔31を配置してもよい。なお、本実施形態では、後段フィルタ材43における高速濾過をより好適に実現する観点から、チップ紙3における通気孔31を、絞り部材42における絞り部本体420(貫通路420A)より上流側に配置しているが、チップ紙3のうち絞り部材42よりも下流側の位置に通気孔31を開孔することが妨げられるものではない。また、チップ紙3における通気孔31は、本実施形態に係るフィルタ4において必須の構成ではない。
また、本実施形態に係るフィルタ4によれば、絞り部材42における貫通路420Aの前段、すなわち上流側に空洞部44を配置し、この空洞部44を間に挟むようにして前段フィルタ材41と絞り部本体420(貫通路420A)とを離間して配置するようにした。これによれば、第1に、フィルタ4の通気抵抗を低くすることができる。その結果、喫煙時の通気抵抗を好適に操作できる。また、第2に、前段フィルタ材41の後端面と、絞り部本体420(貫通路420A)との間に隙間を形成することができるため、前段フィルタ材41の後端面に目詰まりが起こりにくくなる。このように、前段フィルタ材41に目詰まりが起こりにくくなることで、前段フィルタ材41における通気抵抗の低減効果がより一層期待できるようになり、貫通路420Aへの主流煙の円滑な導入がより確実なものとなる。
なお、上述までの構成例においては、チップ紙3に対して絞り部材42を固定し、後段フィルタ材43をチップ紙3に対して相対回転可能に保持する機構として回転機構45を説明したが、これには限られない。フィルタ4における回転機構45は、後段フィルタ材43の代わりに、絞り部材42を、チップ紙3に対して相対回転可能に保持してもよい。また、回転機構45は、後段フィルタ材43および絞り部材42の双方を、チップ紙3に対して相対回転可能に保持する機構として構成されてもよい。これらによっても、図5を参照して説明した回転機構45と同様の効果が実現される。
なお、本実施形態に係る回転機構45においては、フィルタ4の最後端に配置されている後段フィルタ材43の一部を把持部431として、チップ紙3の後端よりも後方に突出して形成したため、後段フィルタ材43の回転操作を容易に行うことができる。つまり、回転機構45を作動させる際の使い勝手を高め、利便性を向上することができる。
また、本実施形態に係るフィルタ4において、絞り部材42における貫通路420Aは、絞り部本体420の横断面内において、絞り部本体420の中心軸CA1を中心とする同心円をなさずに形成されている。このように、絞り部本体420の中心軸CA1に対して非同心円形状を呈するように貫通路420Aを形成することで、後段フィルタ材43および絞り部材42をフィルタ4の長手軸を中心に自在に相対回転させることができる。
なお、図4に示した例では、絞り部材42の貫通路420Aを、絞り部本体420の中心軸CA1から偏心する円形貫通孔として形成しているが、種々の変形例を採用することができる。つまり、絞り部材42の貫通路420Aは、絞り部本体420の中心軸CA1を中心とする同心円以外の形状として形成されていればよく、例えば、図7Aおよび図7Bに示すような、1又は複数の矩形断面を有する貫通孔としてもよい。
次に、本実施形態に係るフィルタ4の変形例について説明する。図8に示す第1変形例に係るフィルタ4Aでは、絞り部材42Aを内蔵する。絞り部材42Aは、絞り部本体420から立設される筒状壁421を有する点で、上述までの絞り部材42と相違する。絞り部材42Aにおける筒状壁421は、絞り部本体420の周縁に沿って絞り部本体420から垂直に立設する円筒スリーブ(円筒壁)であり、その外径はフィルタ4の横断面と実質的に等しい。また、筒状壁421の内側は中空となっている。以下では、筒状壁421の内周面と絞り部本体420の表面とによって画定される中空空間を「第2空洞部422」と呼ぶ。
また、図8に示すように、フィルタ4A内において、絞り部材42Aにおける絞り部本体420よりも筒状壁421が上流側に配置されている。また、筒状壁421の前端面は、前段フィルタ材41における後端面と当接するように絞り部材42Aが配置されている。また、本変形例において、チップ紙3に形成される通気孔31は、フィルタ4の長手方向において前段フィルタ材41に対応する位置に設けられている。また、前段フィルタ材41および絞り部材42Aは、巻取紙46によって巻き取られることで一体化されている。以上のように構成される変形例においても、前段フィルタ材41の後端面と絞り部本体420の前端面との間に第2空洞部422が設けられるため、フィルタ4の通気抵抗を低くする効果が得られる。なお、本変形例においては、筒状壁421の前端面を前段フィルタ材41の後端面と当接するように絞り部材42Aを配置しているが、筒状壁421の前端面および前段フィルタ材41の後端面を離間させてもよい。また、本変形例において、前段フィルタ材41における巻取紙410、前段フィルタ材41および絞り部材42Aを巻き取る巻取紙46は、通気性を有している。よって、通気孔31からの外気は、巻取紙410および巻取紙46を透過して前段フィルタ材41の内部に導入された後、前段フィルタ材41、第2空洞部422、貫通路420A、後段フィルタ材43を順次流通した後、口腔内に導かれる。
図9は、第2変形例に係るフィルタ4Bを説明する図である。フィルタ4Bにおいて、チップ紙3の後端における外面には位置合わせ用のカーソル32が表示されている。一方、後段フィルタ材43における把持部431の外表面(巻取紙430)には、目盛り432が表示されている。目盛り432は、複数の棒線などといったマークを含んでいるが、この態様には限られず、文字、数字、記号等といった符号を含んでいてもよい。
チップ紙3のカーソル32と後段フィルタ材43の目盛り432とは、チップ紙3に対する後段フィルタ材43の相対回転位置を示す目印として機能する。これによれば、チップ紙3に対する後段フィルタ材43の回転操作を行う際に、喫煙者は、現在のチップ紙3に対する後段フィルタ材43の相対回転位置を容易に把握することができる。また、喫煙者は、目盛り432を構成する目盛り線同士の間隔に基づいて、後段フィルタ材43を回転させる際の回転量の目安を直感的に理解することができる。よって、喫煙者にとって利便性が高く使い勝手のよいフィルタを提供することができる。なお、図9の例では、チップ紙3側にカーソル32を表示し、後段フィルタ材43側に目盛り432を表示させているが、カーソルと目盛りを入れ替えて配置してもよい。
また、図10は、第3変形例に係るフィルタ4Cを説明する図である。フィルタ4Cにおいて、後段フィルタ材43の外周面(巻取紙430)およびチップ紙3の内周面には、チップ紙3に対する後段フィルタ材43の相対回転角度が所定の角度変化する毎に嵌合する凹凸構造が形成されている。具体的には、図10に示すように、後段フィルタ材43の外周面(巻取紙430)には、周方向に沿って一定間隔ごとに複数の凹部433が設けられている。一方、チップ紙3の内周面には、その周方向に沿って一定間隔ごとに複数の凸部33が設けられている。後段フィルタ材43側の凹部433と、チップ紙3側の凸部33とは、フィルタ4の長手方向における位置が同一の箇所に形成されており、チップ紙3に対して後段フィルタ材43を相対回転させることで、凹部433および凸部33の嵌合状態と、非嵌合状態が交互に入れ替わる。
例えば、図10に示す例では、チップ紙3の周方向に沿って45°間隔で凸部33が設けられており、後段フィルタ材43の周方向に沿って45°間隔で凹部433が設けられている。このようなフィルタ4Cにおいては、後段フィルタ材43の回転操作が行われた際に、チップ紙3に対する後段フィルタ材43の相対回転角度が所定の角度(図10に示す例では45°)変化する毎に、凸部33および凹部433が嵌合する。これによれば、喫煙者は、後段フィルタ材43の回転操作を行う際に、把持部431を通じて伝達される感覚(凹部433に凸部33が嵌まり込む際の感覚、或いは、この嵌合状態が解除される際の感覚)に基づき、チップ紙3に対する後段フィルタ材43の相対回転角度が、操作前の位置から所定の角度変化したことを容易に把握できるようになる。よって、喫煙者にとって利便性が高く使い勝手のよいフィルタを提供することができる。なお、図10に示す例では、チップ紙3の内周面に凸部33を設け、後段フィルタ材43の外周面に凹部433を設ける例を説明したが、凸部33および凹部433を入れ替えて配置してもよい。また、凸部33同士の間隔や、凹部433同士の間隔については、自由に変更することができる。
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[実施例]
実施例では、以下の要領で、図1〜図5で説明したシガレット1を作製した。前段フィルタ材41は、セルロースアセテートの繊維束に活性炭を分散させたものを巻取紙410により巻き取ることで作製した。また、後段フィルタ材43は、セルロースアセテートの繊維束を巻取紙430により巻き取ることで作製した。前段フィルタ材41および後段フィルタ材43は共に、直径が7.8mm、長さが10mmであった。
実施例では、以下の要領で、図1〜図5で説明したシガレット1を作製した。前段フィルタ材41は、セルロースアセテートの繊維束に活性炭を分散させたものを巻取紙410により巻き取ることで作製した。また、後段フィルタ材43は、セルロースアセテートの繊維束を巻取紙430により巻き取ることで作製した。前段フィルタ材41および後段フィルタ材43は共に、直径が7.8mm、長さが10mmであった。
絞り部材42は、円板形状を呈するプラスチック製の絞り部本体420を貫通するように円断面を有する貫通路420Aを穿設することで作製した。絞り部本体420は、厚さが5mm、直径が7.8mmであった。また、貫通路420Aの直径は1.5mmであり、絞り部本体420の中心および貫通路420Aの中心の偏心寸法は1.75mmであった。
タバコ刻21を巻紙22で巻き取ったロッド部2と、予め通気孔31を形成したチップ紙3を準備した。そして、前段フィルタ材41と絞り部材42とを巻取紙46によって一体に巻き上げたものと、ロッド部2と、後段フィルタ材43とを並べ、これらをチップ紙3によって一体に巻き上げることでシガレット1を作製した。なお、ロッド部2は、タバコ刻21を巻紙22によって巻き取ることで作製した。巻取紙46には、1300〜20000コレスタユニットの通気性を有するものを使用した。
前段フィルタ材41と絞り部材42とを巻取紙46によって巻き上げる際、前段フィルタ材41の後端面から絞り部材42の前端面を2mm離して配置し、前段フィルタ材41と絞り部材42との間に空洞部44を形成した。また、絞り部材42の後端面と後段フィルタ材43の前端面とを当接させて配置した。また、チップ紙3は、ロッド部2の巻紙、巻取紙46を接着剤によってチップ紙3の内周面と接着し、後段フィルタ材43の巻取紙430をチップ紙3の内周面に対して接着せずに巻き取った。これにより、チップ紙3の内周面に沿って後段フィルタ材43を相対回転可能に保持したフィルタ4およびこれを備えたシガレット1が得られた。なお、作製したシガレット1において、ロッド2の長さは57mm、フィルタ4の長さは27mmであった。
以上の要領で作製した実施例に係るシガレット1に対して、パフ毎の通気抵抗について測定した。測定結果を図12に示す。試験は、実施例に係るシガレット1を喫煙器により燃焼させ、ロッド部2を切り落とした後、フィルタ4の通気抵抗を測定した。なお、喫煙試験に使用した喫煙器は「RGA-System R26」(Burghart社製)とした。また、実施例に係るシガレット1を喫煙器にセットし、国際標準化機構(ISO)の標準喫煙条件に準じて喫煙させた。ISOの標準喫煙条件は、60秒毎に吸煙(1パフ)を行うものとして定められている。より詳しくは、1パフにつき2秒間で35mlの吸煙を行い、ある回のパフが終了して次回のパフが開始されるまでの間隔は58秒に定められている。
通気抵抗の測定に用いた通気抵抗測定器は「Model TT−300」(玉置製作所製)とした。通気抵抗の測定に際して、タバコ刻の通気抵抗の影響を無くすためにロッド部2を切り取り、フィルタ4(前段フィルタ材41、絞り部材42、後段フィルタ材43)の通気抵抗を測定した。また、フィルタ4における通気抵抗の測定は、市販のセロハンテープ(セロテープ(登録商標)を用いてフィルタ4の通気孔31を塞いだ状態で行った。喫煙試験に際して、試験に供するシガレット1を6本用意し、パフ数を0〜5回としたときのフィルタ4の通気抵抗を測定した。また、シガレット1のパフを行う毎に、後段フィルタ材43をチップ紙3に対してフィルタ4の周方向に60°ずつ回転させて喫煙試験を行った。つまり、パフ数を0回とするときの通気抵抗は、未喫煙状態のシガレット1のロッド部2を切り取り、フィルタ4の通気抵抗を通気抵抗測定器によって測定することで得た。また、パフ数を1回とするときの通気抵抗は、喫煙器を用いてパフを1回行い、ロッド部2を切り取った後、フィルタ4の通気抵抗を測定することで得た。次に、パフ数を2回とする通気抵抗は、喫煙器を用いて1回目のパフを行い、後段フィルタ材43を60°回転させてから再び喫煙器を用いて2回目のパフを行った後、ロッド部2を切り取り、フィルタ4の通気抵抗を測定することで得た。このような手順で、パフ数を0〜5回としたときのパフ毎の通気抵抗を測定した。
[比較例]
図11は、比較例に係るシガレット100の概略図である。比較例に係るシガレット100は、実施例に係るシガレット1と、絞り部材の貫通路と、チップ紙に対する後段フィルタ材の固定条件を相違させ、その他の条件を共通とした。比較例に係るシガレット100において、図11中の符号42´は「絞り部材」、420´は「絞り部本体」、420A´は「貫通路」である。絞り部材42´は、円板形状を呈するプラスチック製の絞り部本体420´を貫通するように円断面を有する貫通路420A´を穿設することで作製した。絞り部本体420´は、厚さが5mm、直径が7.8mmであった。また、貫通路420A´の直径は1.5mmであり、絞り部本体420´の中心および貫通路420Aの中心を同軸配置とした。
図11は、比較例に係るシガレット100の概略図である。比較例に係るシガレット100は、実施例に係るシガレット1と、絞り部材の貫通路と、チップ紙に対する後段フィルタ材の固定条件を相違させ、その他の条件を共通とした。比較例に係るシガレット100において、図11中の符号42´は「絞り部材」、420´は「絞り部本体」、420A´は「貫通路」である。絞り部材42´は、円板形状を呈するプラスチック製の絞り部本体420´を貫通するように円断面を有する貫通路420A´を穿設することで作製した。絞り部本体420´は、厚さが5mm、直径が7.8mmであった。また、貫通路420A´の直径は1.5mmであり、絞り部本体420´の中心および貫通路420Aの中心を同軸配置とした。
比較例に係るシガレット100も、実施例に係るシガレット1と共通のロッド部2およびチップ紙3を準備した。そして、前段フィルタ材41と絞り部材42´とを巻取紙46によって一体に巻き上げたものと、ロッド部2と、後段フィルタ材43とを並べ、これらをチップ紙3によって一体に巻き上げることでシガレット1を作製した。なお、前段フィルタ材41と絞り部材42´とを一体に巻き取る巻取紙46には、1300〜20000コレスタユニットの通気性を有するものを使用した。前段フィルタ材41と絞り部材42´とを巻取紙46によって一体に巻き上げる際、前段フィルタ材41の後端面から絞り部材42´の前端面を2mm離して配置し、前段フィルタ材41と絞り部材42´との間に空洞部44を形成した。また、絞り部材42´の後端面と後段フィルタ材43の前端面とを当接させて配置した。また、チップ紙3は、ロッド部2の巻紙、前段フィルタ材41と絞り部材42´とを一体に巻き取る巻取紙46、後段フィルタ材43の巻取紙の外周面を接着剤によってチップ紙3の内面と接着して巻き取った。なお、作製したシガレット100において、ロッド2の長さは57mm、フィルタ400の長さは27mmであった。
以上の要領で作製した比較例に係るシガレット100に対して、パフ毎の通気抵抗について測定した。測定結果を図12に示す。また、比較例に係るシガレット100に対する喫煙試験では、パフ毎に後段フィルタ材43の回転操作を行わなかった点を除いて実施例に係る喫煙試験の条件と共通とした。
図12に示すように、比較例に係るシガレット100においては、パフが進む(パフ回数が増加する)につれて通気抵抗が上昇し、初期抵抗130mmH2Oに対し、5回目のパフが経過した後には390mmH2Oまで上昇する結果となった。つまり、比較例に係るシガレット100では、パフ回数が増加するにつれて喫煙者にとって主流煙を吸い難くなることがわかる。一方、実施例に係るシガレット1においては、パフ回数が増えても通気抵抗は初期抵抗130mmH2Oから殆ど変化せずに安定して推移する結果となった。よって、実施例に係るシガレット1においては、後段フィルタ材43および絞り部材42をフィルタ4の長手軸を中心として相対回転させ、後段フィルタ材43の横断面のうち目詰まりが起こっていない部分に絞り部材42の貫通路420Aが対向するように双方の位置合わせを行うことで、喫煙中に通気抵抗が過度に上昇することを抑制できることがわかる。この結果は、実施例に係るシガレット1によって、喫煙者にとって最後まで吸い易いシガレットが提供できることを示している。
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係るシガレット用フィルタおよびフィルタ付きシガレットは、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者にとって自明である。
1・・・シガレット
2・・・ロッド部
3・・・チップ紙
4・・・フィルタ
21・・・タバコ刻
22・・・巻紙
31・・・通気孔
41・・・前段フィルタ材
42・・・絞り部材
43・・・後段フィルタ材
44・・・空洞部
420・・・絞り部本体
420A・・・貫通路
2・・・ロッド部
3・・・チップ紙
4・・・フィルタ
21・・・タバコ刻
22・・・巻紙
31・・・通気孔
41・・・前段フィルタ材
42・・・絞り部材
43・・・後段フィルタ材
44・・・空洞部
420・・・絞り部本体
420A・・・貫通路
Claims (10)
- タバコ刻を巻紙により巻いたロッド部の一端にチップ紙を介して接続されるシガレット用フィルタであって、
フィルタの横断面を塞ぐようにして配置された絞り部本体と、該絞り部本体の一部をフィルタの長手方向に貫通して形成されると共に主流煙を流通させる貫通路とを有する、絞り部材と、
前記絞り部材の後段に配設され、主流煙の煙成分を濾過する後段フィルタ材と、
前記後段フィルタ材および前記絞り部材を、フィルタの長手軸を中心として相対回転可能とする回転機構と、を備え、
前記後段フィルタ材および前記絞り部材の相対回転に伴い、前記後段フィルタ材の前端面に対する前記貫通路の対向位置が変更されるように、前記絞り部材の貫通路が形成されており、
前記絞り部材の前段に、主流煙の煙成分を濾過する前段フィルタ材が配設されており、且つ、前記貫通路と前記前段フィルタ材との間には空洞部が設けられている、
シガレット用フィルタ。 - 前記貫通路は、前記絞り部本体の横断面内において、該横断面の中心軸を中心とする同心円をなさずに形成されている、
請求項1に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記回転機構は、前記後段フィルタ材および前記絞り部材のうち少なくとも何れか一方を、前記チップ紙に対して相対回転可能に保持する機構として構成されている、
請求項1又は2に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記後段フィルタ材は、フィルタの最後端に配置されており、且つ、該後段フィルタ材の回転操作を行うための把持部が前記チップ紙の後端よりも後方に突出して形成されている、
請求項3に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記把持部の外表面および前記チップ紙には、前記チップ紙に対する前記後段フィルタ材の相対回転位置を示す目印が付されている、
請求項4に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記後段フィルタ材および前記チップ紙には、前記チップ紙に対する前記後段フィルタ材の相対回転角度が所定の角度変化する毎に嵌合する凹凸構造が形成されている、
請求項4又は5に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記絞り部材の後端面と前記後段フィルタ材の前端面は、フィルタの長手方向に沿って連設されている、
請求項1から6の何れか一項に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記チップ紙には、主流煙を希釈するための空気をフィルタ内に導入する通気孔が形成されており、
前記通気孔は、前記チップ紙のうち、フィルタの長手方向において前記貫通路の前段に対応する位置に設けられている、
請求項1から7の何れか一項に記載のシガレット用フィルタ。 - 前記チップ紙には、主流煙を希釈するための空気をフィルタ内に導入する通気孔が形成されており、
前記通気孔は、前記チップ紙のうち、フィルタの長手方向において前記空洞部又は前記前段フィルタ材に対応する位置に設けられている、
請求項1から8の何れか一項に記載のシガレット用フィルタ。 - タバコ刻を巻紙により巻いたロッド部と、該ロッド部の一端にチップ紙を介して接続されるフィルタと、を備え、
前記フィルタは、
フィルタの横断面を塞ぐようにして配置された絞り部本体と、該絞り部本体の一部をフィルタの長手方向に貫通して形成されると共に主流煙を流通させる貫通路とを有する、絞り部材と、
前記絞り部材の後段に配設され、主流煙の煙成分を濾過する後段フィルタ材と、
前記後段フィルタ材および前記絞り部材を、フィルタの長手軸を中心として相対回転可能とする回転機構と、を備え、
前記後段フィルタ材および前記絞り部材の相対回転に伴い、前記後段フィルタ材の前端面に対する前記貫通路の対向位置が変更されるように、前記絞り部材の貫通路が形成されており、
前記絞り部材の前段に、主流煙の煙成分を濾過する前段フィルタ材が配設されており、且つ、前記貫通路と前記前段フィルタ材との間には空洞部が設けられている、
フィルタ付きシガレット。
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