JP5990258B2 - セラミックコアを有するメタルシール - Google Patents

Description

本発明の目的は、金属面を有するシールであり、その主な性質は、電気絶縁体であることである。

用途は、主に、ＨＴＥと呼ばれる高温電気分解装置内の水分子（Ｈ_２Ｏ）の解離による水素生成及び／又はＳＯＦＣ（固体酸化物燃料電池）型燃料電池内の燃料ガスによる発電に関するが、これらの用途は限定的でない。いずれの場合も、これらの生産プロセスで使用される電気化学電池は、高温になる。

高温水蒸気電気分解装置のプロセスの中心には３つの主要素がある。

電気化学電池は、稠密な電解質の両側に２つの多孔質電極層（陰極と陽極）という３つの層を有する。この電解質（ほとんどの場合、セラミックス）は、適切な電圧が印加されたときにイオン伝導体になる。

陽極と陰極にそれぞれ接続された２つのインターコネクタ（陽極インターコネクタと陰極インターコネクタ）は、セルの多孔質電極と接触している。これらのインターコネクタは、陽極室と陰極室を封止するシールを介してセル電解質と接触することができる。

動作原理において、水蒸気としての水は、陰極と接触して分離される。水素が陰極側で生成され、酸素イオンが電解質（イオン伝導体）を通って陽極隔室に運ばれて電極で再結合される。

流体を移送し排出するには、水素と酸素が再結合するのを防ぎ、生成された気体が電気分解装置の外部に漏れるのを防ぐために、電気分解装置の異なる要素間に多数の封止を実現しなければならない。

封止すべき２つのタイプの場所が確認されており、それらの場所は、電気絶縁シールを有することが必須のインターコネクタ間の金属／金属界面と、材料の熱膨張係数の差によって熱過渡現象中の剪断を吸収するシールを必要とする金属／セラミック界面とであり、電気分解装置内で使用される金属のタイプは、セラミック要素より膨張する傾向がある。

セル電解質などの脆弱材料が存在すると、応力が制限され、したがってこのシールの締め付け力が制限される。

中期的及び長期的には、インターコネクタの取り外し性や再利用性などの他の要素も考慮される。

セルの隙間にあるシールは、達する可能性が高い摂氏数百度の高温で良好な封止を保持しなければない。温度の変化は、ほとんどの通常材料を破損させる可能性があるだけでなく、配置される両方の支持面の膨張差又はセル内の温度不均一によってシールに対して大きい剪断力を生成することがある。考慮すべき別の要件は、シールが電気的に絶縁性でなければならないことである。

ほとんどの材料は、これらの特性を備えていない。高温で破損しにくい材料は、多くの場合、機械的に脆弱であり、したがって剪断強度が低く、一方、延性があるか又は剪断で破損せずにひび割れる可能性の高い材料は、シール特性が不十分な可能性が高い。これらの材料は全て、高温で破損することも多く、その初期特性を失い、役立たなくなる。これらの材料の多くは、電気絶縁性がない。最後に、こちらの幾つかの材料は、セル雰囲気による腐食を受けやすい。

今日、このタイプの用途に必要な全ての基準を満たすシールはない。

本発明に類似のシールは、「Joint d'etancheite entre deux elements a coefficients de dilatation thermique differents」、N° E.N.: 09 57344として出願されている。これは、メタルシールであり、名称により示唆されたその主な利点は、熱膨張に対する適応であるが、その製造は複雑である。更に、これは導電性であり、したがって、高温水蒸気電気分解装置の２つのインターコネクタ間に配置することができない。

いわゆる圧縮性シール（典型的には雲母）は、時間の経過により崩壊し、かなりの締め付け力を必要とすることが多い。

はんだを利用したシールは、高温電気分解装置の環境との化学的適合性の問題を有する。

ガラス質又はガラスセラミック材料のシールは、一般に、シールが形成された後で支持面に強く接着しセル電解質の破壊の原因になるので、例えば保守のために電気分解装置を開ける際にセルを破損させる原因となる。インターコネクタは、このタイプの材料が支持面上に付着物を残すため、ほとんど再使用できない。一般に、ガラス質又はガラスセラミック材料のシールは、高温水蒸気電気分解装置の主要素の取り外しと復元を困難にしている。

本発明のシール体は、これらの欠点を除去する様々な材料の層の組み合わせを有し、例えば８００℃でセルを封止するために使用することができ、数百ミリバール、更には１バールの圧力差で約２．１０^−５ Ｐａ．ｍ３．ｓ^−１の封止率を有する。このシール体は、電気絶縁性であり、その耐蝕性が十分である。このシール体は、容易かつ適切に取り外し可能である。

一般的な形態では、本発明は、摂氏数百度の動作温度で機能するシールに関し、このシールは、電気絶縁中心層のいずれかの側に、封止される支持面に固定するためのパターンを備えた外側金属層と、外側層と中心層の間のバインダ層とを有し、バインダ層は、動作温度でガラス質又はガラスセラミック材料である。

次に、本発明を、図を参照しながら説明する。シール１は、互いに向かい合った平坦な支持面２と３の間で圧縮される。これにより、支持面２及び３を含む部分によって更に境界が定められたセル４の封止が支援される。シールは、円、多角形、又は任意の他の線状に延びることができる。

シール１は、最初に、電気絶縁材料の中心層５によって形成され、ガス拡散の透過性が低く、腐食雰囲気に対する化学的不活発性が高くなるように選択される。このコア層は、シールに専用のハウジングに適応可能な厚さを有する。

シールの外側面は、支持面２及び３に向かい合ってそれぞれ配置された２つの金属層又はワッシャ６及び７によって構成され、その中間には、三角形断面を有するパターン８及び９が隆起し、パターンの先端は、それぞれの支持面２又は３と接触している。しかしながら、封止するのに必要な締め付け力が適用されたとき、これらの先端は、平らになり、それらの材料は、支持面２及び３と密接し、これにより、その場所に良好な封止を提供することができる。締め付けは、シール１の過度な圧縮を伴わず、変形は、延性材料のパターン８及び９に集中する。

バインダ層１０及び１１は、金属層６及び７をコア中心層５に接続する。これらは、ガラス質材料、例えば、動作中に達する温度で結晶化しないガラス、又はガラスセラミックスである。バインダ層１０及び１１は、接触支持面に応じて、同一シール要素上にあるが同じ性質又は異なる性質のものでよい。

金属ワッシャ６及び７、バインダ１０及び１１、並びにコア５からなる層のスタックは、システムを半径方向と軸方向に封止する機能の他に、支持面２及び３の膨張差による剪断を吸収する機能を有する。

前記の様々な層は、ストリップから形成することができ、その結果、シールの製造は層の切断と組み立てに等しくなり、したがって、特に溶接がなく単純になる。シールの全体スペースが減少する。シールの取り外しと交換が容易である。環境（即ち、支持面２及び３）への影響はあまりなく、再利用のために大きい変化を引き起こさない。

幾つかの適切な材料は、次の通りである。
・コア中心層５：理想的には電気化学電池の中心要素に共通するイットリアジルコニア型セラミック（ＹＳＺ）で、機械加工し易く、ジルコニア及びインターコネクタの金属材料に近い熱膨張係数を有するガラスセラミックＭａｃｏｒ（登録商標）であるが、例えば他の用途にはアルミナ（Ａｌ_２Ｏ_３）も意図される。
・外側金属層６及び７：商標ＦｅＣｒＡｌｌｏｙで市販されているＯＣ４０４型の鉄、クロミウム、アルミニウム系合金、更にはインコネル ７１８ ＳＰＦなどの超弾性合金。
・中間バインダ層１０及び１１：ＣＥＡからのＪＶ３６などの高シリコンナトリウム及びアルミニウムホウケイ酸ガラス；ＣＥＡからのＣＡＳなどのカルシウムアルミノケイ酸塩ガラスセラミックス；ショット社の市販溶液８４２２（ガラス）、Ｇ０１８−３０４（ガラスセラミック）。
これらの商標は、登録されている。

Claims (6)

1. 高温電気分解装置または固体酸化物燃料電池の動作温度で機能するシール（１）であって、電気絶縁中心層（５）のおのおのの側に、封止される支持面に固定するためのパターン（８，９）を備えた外側金属層（６，７）と、前記外側金属層と前記電気絶縁中心層の間のバインダ層（１０，１１）とを有し、前記バインダ層は、前記動作温度においてガラス質であるか又はガラスセラミック材料からなるシール（１）。
2. 前記バインダ層（１０，１１）が、同一又は異なる性質である、請求項１に記載のシール。
3. 前記パターンが、前記支持面に向いた先端を有する三角形断面を有する、請求項１又は２に記載のシール。
4. 前記金属層（６，７）が、前記電気絶縁中心層（５）より薄い、請求項１〜３のいずれか１項に記載のシール。
5. 前記電気絶縁中心層が、セラミックである、請求項１〜４のいずれか１項に記載のシール。
6. 前記支持面は、前記パターン（８，９）の先端がそれぞれ接触する金属部材の面であり、前記電気絶縁中心層は、ジルコニア及び前記金属部材の材料に近い熱膨張係数を有し、前記バインダ層は、前記金属部材間の熱膨張係数の差による剪断力を吸収する、請求項１〜５のいずれか１項に記載のシール。

Images