JP5990188B2 - 自動注射器 - Google Patents

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Description

本発明は、液体薬剤の用量を投与するための自動注射器に関する。
注射の実施は、使用者および医療専門家にとって精神的にも肉体的にもいくつかのリスクおよび課題を呈するプロセスである。
注射具(すなわち、医薬品容器から薬剤を送達できるデバイス)は、通常、手動デバイスおよび自動注射器の2つのカテゴリーに分類される。
手動デバイスでは、使用者は、針を通じて流体を動かすための機械的エネルギーを与えなければならない。これは、通常、注射中に使用者によって継続的に押されなければならない何らかの形態のボタン/プランジャによって行われる。この手法からは使用者にとって多数の不利点がある。使用者が、ボタン/プランジャを押すのをやめる場合、注射も止まる。このことは、デバイスが適切に使用されない(すなわち、プランジャがその端部位置まで十分に押されない)場合、使用者が過少量を送達する場合があることを意味する。注入力が、使用者にとって、特に、患者が高齢者である、または器用さに問題がある場合、強すぎる場合もある。
ボタン/プランジャの延長部が、大きすぎる場合がある。したがって、完全に延びたボタンに手を伸ばすのは、使用者には不便であり得る。注入力とボタンの延長との組合せによって、手の震え/揺れを引き起こす可能性があり、ひいては、挿入した針が移動すると不快さを増大させる。
自動注射器デバイスは、注射療法の自己投与を患者にとってより容易にさせることを目的とする。自己投与の注射によって送達される現在の療法には、糖尿病の薬物(インスリンおよびより新しいGLP−1クラスの薬物の両方)、片頭痛、ホルモン療法、抗凝固剤などの薬物が含まれる。
自動注射器は、標準的なシリンジからの非経口的な薬物送達に含まれる作業に完全にまたは部分的に置き換わるデバイスである。これらの作業は、保護用のシリンジ・キャップの除去、患者の皮膚の中への針の挿入、薬剤の注射、針の除去、針の遮蔽、およびデバイスの再使用の防止を含み得る。これは、手動デバイスの不利点の多くを克服するものである。注入力/ボタン延長部、手の揺れ、および不完全な投与量の送達の可能性が抑えられる。始動は、多数の手段、例えば、トリガー・ボタンまたは針がその注射深さに到達するという動作によって実行され得る。いくつかのデバイスでは、流体を送達するためのエネルギーは、ばねによって与えられる。
特許文献1は、張力ばねが解除されるときに予め測定した量の流動性医薬品を自動的に注射する自動注射具を開示する。張力ばねは、張力ばねが解除されるときに、格納位置から展開位置へアンプルおよび注射針を移動させる。その後、アンプルの内容物は、張力ばねがアンプルの内部で前方にピストンを押し込むことによって吐出される。流体医薬品が注射された後、張力ばねに蓄えられた捩れは解放され、注射針は、その元の格納位置まで自動的に後退して戻る。
米国特許出願公開第2002/0095120A1号
本発明の目的は、改良した自動注射器を提供することである。
この目的は、請求項1に記載の自動注射器によって実現される。
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項において与えられる。
本明細書の文脈では、遠位および近位という用語は、注射を受ける人の観点から定義される。したがって、近位方向は、注射を受ける患者の身体に向いた方向を示し、近位端は、患者の身体に向けられる要素の端部を定義する。または、要素の遠位端または遠位方向Dは、注射を受ける患者の身体から離れ、近位端または近位方向とは反対に向けられる。
本発明によれば、液体薬剤の用量を投与するための自動注射器は、
− 充填済みシリンジを収容するよう配置される実質的に円筒形のハウジングと、
− 注射針、プランジャ、および充填済みシリンジのシリンジ外筒を封止するためのストッパを備える充填済みシリンジを取り付けるハウジングに対して摺動可能に配置されるシリンジ保持具と、
− ハウジング内に摺動可能に配置され、プランジャに解除可能にカップリングされる連結シュラウドと、
− 単一駆動手段と
を備える。解除する時、単一駆動手段は、連結シュラウドを第1の位置から近位方向に駆動することができる。ハウジングに対する連結シュラウドの近位方向への並進運動が、
− シリンジ保持具を、近位方向に並進運動させて、充填済みシリンジの注射針を露出させ、
− ストッパに連結されたプランジャをシリンジ外筒に押し込んで、薬剤の用量を排出させ、
− 薬剤が少なくとも一部送達された後に針シュラウドを安全な位置へ前進させて注射針を囲む。連結シュラウドは、ハウジングに形成された開口部によって画成される所定の第2の位置でプランジャからデカップリングされる。
自動注射器の機構は、複数の機能が単一駆動手段によって実行されるように配置される。注射針は、患者の皮膚に挿入され、プランジャは、薬剤を排出するように並進運動し、針シュラウドは、ばね手段の作用によって注射が完了した後に針の安全性をもたらすように近位方向に移動される。従来の自動注射器は、通常、これらの作業を達成するために複数のばね手段を備える。本発明による自動注射器は、単にいくつかの部品のみを備え、大量生産するために特に安価である。
したがって、自動注射器は、注射が実行された後に処分できる使い捨てのデバイスとして特に適している。
連結シュラウドは、最初に、プランジャに結合され、シリンジ保持具を近位方向に並進運動し、それによって注射針が患者の皮膚に挿入され、シリンジ外筒にストッパを押し込んで薬剤を排出させるようになっている。単一駆動手段を備える自動注射器を設計するための非常に重要なステップは、適切な所定の第2の位置でプランジャおよび連結シュラウドをデカップリングすることであり、そのために、同じ駆動手段が、薬物が完全にまたは一部送達された後に針シュラウドを前進させるために使用され得る。所定の第2の位置は、ハウジング中の長手方向の開口部によって規定される。
本発明の可能な一実施形態では、開口部によって規定される所定の第2の位置は、ストッパがシリンジ外筒の近位端に到達する前に、プランジャを連結シュラウドからデカップリングすることを可能にするように配置される。これは、自動注射器の安全機能についての信頼できる作動が、薬剤が少なくとも一部送達された後に起動されることを確実にする。
本発明の別の可能な実施形態によれば、カップリングキャッチは、プランジャを連結シュラウドに解除可能にカップリングするように、特に単純で信頼できる手段としてプランジャへ形成されるショルダに当接するように配置される。連結シュラウドは、注射前に注射針を挿入し、注射中に薬物を吐出するために、近位方向に緩和駆動手段の作用によって移動し、ストッパに接続されたプランジャにカップリングされる。
第2の位置におけるハウジングの側面に形成された開口部は、カップリングキャッチが、第2の位置で半径方向外側に撓むことを可能にし、それによって連結シュラウドが、薬剤が一部または完全に送達された後にプランジャからデカップリングされる。
好ましくは、単一駆動手段は、単一の圧縮ばねとして配置される。圧縮ばねは、生産コストを削減するために使用できるすぐに入手できる安価な駆動手段である。
本発明の可能な一実施形態によれば、回転カラーは、ハウジング内に回転可能に配置される。回転カラーは、注射中に患者の皮膚上へ載るように設計される針シュラウドの近位方向への移動を減速させる摩擦をもたらす。回転カラーは、針シュラウドを介して単一駆動手段によって患者の皮膚に及ぼされる圧力を緩和する減衰要素として働き、したがって傷のような怪我のリスクを低減させる。さらに、単一駆動手段の弾性エネルギー係数は、潜在的な怪我のリスクについて心配する必要はないほど十分に大きく選択されてもよい。したがって、単一駆動手段の弾性エネルギー係数は、具体的には、シリンジ保持具および針シュラウドの前進、薬剤を排出するためのストッパの変位、ならびにプランジャおよび連結シュラウドのデカップリングを含む複数の行為にエネルギー供給を確実に行うように適合される。
好ましくは、回転カラーは、針シュラウドに形成される螺旋状凹部に係合するピンを備える。螺旋状凹部とピンの係合は、針シュラウドが並進運動されるときに、回転カラーを針シュラウドの周りで回転させる。これにより、特に針シュラウドの近位方向への移動が減衰され、したがって、摩擦の発生によって患者の皮膚に及ぼされる圧力が低減される。
発明の別の可能な実施形態によれば、自動注射器は、針シュラウドが前進位置にあり、したがって患者の皮膚の注射部位に押し付けられないときに駆動手段の解除を防ぐように針シュラウドと協動するように配置される安全手段を備える。この機構により、駆動手段が早期に解除されることが回避され、したがって薬剤が早期に吐出されることが回避される。さらに、自動注射器が、患者の皮膚上へ配置されていないまたは適切に配置されていないときの駆動手段の作動による怪我が、減少させられる。
本発明の可能な一実施形態では、安全手段は、プランジャおよび/または連結シュラウドに係合する弾性ブッシングを備える。弾性ブッシングは、ハウジングの近位端にしっかりと装着され、連結シュラウドおよび/またはプランジャに係合して、駆動手段の不意の解除を防ぐことができる。
本発明の別の可能な実施形態では、解除要素は、ハウジングの側面にヒンジで連結される。安全手段は、ハウジングに対して摺動可能に配置される遮断要素を備える。解除要素を手動で作動させることによって、解除要素がヒンジの周りを枢動し駆動手段が解除される。遮断要素は、針シュラウドが前進位置にあるときに、解除要素の旋回運動を制限し、したがって駆動手段の作動を防ぐように配置される。注射を受ける患者の皮膚表面に針シュラウドを押すことによって、針シュラウドが後退位置に移動するときに、解除要素はヒンジを中心にして枢動することが可能である。
好ましくは、遮断要素は、針シュラウドが前進位置に位置する間に、解除要素が手動で作動されるとき、針シュラウドの遠位方向運動を阻止するように配置される。枢動する解除要素は、針シュラウドの前進位置からの変位を阻止するための解除要素を手動で作動させることによって半径方向内側に押される内向きの突起部を備えてもよい。したがって、使用者は、注射を開始するために必要な一連の行為を適切な順序で実行することになる。具体的には、使用者は、まず、針シュラウドを患者の皮膚に押し付けて針シュラウドを後退位置へ並進運動させる。続いて、解除要素が、駆動手段を解除するように手動で作動される。
好ましくは、自動注射器は、特に鎮痛薬、抗凝固薬、インスリン、インスリン誘導体、ヘパリン、Lovenox(ロベノックス)、ワクチン、成長ホルモン、ペプチド・ホルモン、たんぱく質、抗体、および複合糖質のうちの1つを送達するための皮下注射または筋肉注射に使用することができる。
本発明の適用可能性のさらなる範囲は、以下に与えられる詳細な説明から明らかになろう。しかし、本発明の精神および範囲内の様々な変更形態および修正形態が、本詳細な説明から当業者には明らかになるので、詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のみによって与えられることを理解されたい。
例示のみによって与えられ、したがって本発明の限定ではない本明細書中の以下に与えられる詳細な説明および添付図面から、本発明はより十分に理解されよう。
AおよびBは、注射前のヒンジで取り付けられた解除要素を備える本発明の第1の実施形態による自動注射器の2つの異なる断面図である。 解除要素が、駆動手段の不意の解除を防ぐように阻止される、第1の実施形態による自動注射器の拡大断面図である。 駆動手段を解除するように作動されるヒンジで取り付けられた解除要素の拡大断面図である。 AおよびBは、薬物が送達された後の第1の実施形態による自動注射器の2つの異なる断面図である。 針シュラウドの等角図である。 AおよびBは、注射が行われた後の第1の実施形態による自動注射器の2つの異なる断面図である。 AおよびBは、本発明の第2の実施形態による自動注射器の2つの異なる断面図である。 本発明の第2の実施形態による自動注射器の遠位端部の断面図である。 AおよびBは、本発明の第3の実施形態による自動注射器の2つの異なる断面図である。 本発明の第3の実施形態による自動注射器の遠位端部の断面図である。
対応する部分は、全ての図において同じ参照符号を用いて表される。
図1Aおよび図1Bは、本発明の第1の実施形態による実質的に円筒形の自動注射器1の2つの断面図を示し、図1Aに示される断面は、図1Bに示される断面に垂直に向けられる。自動注射器1は、ハウジング2と、近位の針シュラウド3と、ハウジング2内に充填済みシリンジ5を取り付け、ハウジング2内で充填済みシリンジ5と並進運動可能に移動するようになされるシリンジ保持具4と、ハウジング2内に摺動可能に配置された連結シュラウド6と、自動注射器1の実質的に円筒形のハウジング2の側面にヒンジで取り付けられる解除要素7とを備える。
単一駆動手段8が、ハウジング2の遠位端と連結シュラウド6の間に配置されて、注射を受ける患者の皮膚に向かって近位方向Pに連結シュラウド6を付勢する。
本発明の可能な一実施形態によれば、駆動手段8は、単一の従来の圧縮ばねとして配置される。
連結シュラウド6は、プランジャ9に解除可能にカップリングされ、プランジャ9は、薬剤Mの用量を収容するシリンジ外筒11の遠位端を液密封止するストッパ10に接続される。シリンジ外筒11の内部空洞は、注射針12と流体連通しており、ストッパ10を近位方向Pに変位させることによって薬剤Mの用量を注射針12を通じて吐出することができるようになっている。
注射前、連結シュラウド6は、解除要素7の遠位端に当接して、連結シュラウド6を第1の位置Iに解除可能に保持し、連結シュラウド6は、ハウジング2の遠位端に位置する。駆動手段8は圧縮され、それによって連結シュラウド6が、近位方向Pに強く付勢される。
プランジャ9は、シリンジ外筒11から遠位方向Dに延び、拡径したショルダ9.1を備える。連結シュラウド6は、ショルダ9.1に当たる内側に突出するカップリングキャッチ6.1を備え、それによってプランジャ9および連結シュラウド6は、緩和駆動手段8の作用によって近位方向Pに一緒に移動することができる。
針シュラウド3の近位端は、注射中に患者の皮膚表面に押し付けられるように設計される。したがって、針シュラウド3の縁部は、怪我を避けるために滑らかにされ得る。針シュラウド3は、自動注射器1のハウジング2内に摺動可能に配置され、それによって針シュラウド3は、図1Aおよび図1Bに示される前進位置PAから遠位方向Dに押すことができる。付勢手段13が、針シュラウド3およびハウジング2に当たって、針シュラウド3を前進位置PAに向かって付勢する。
環状回転カラー14は、針シュラウド3の外面に係合する。回転カラー14は、針シュラウド3が、近位方向Pおよび/または遠位方向Dに長手方向に変位させられるときに、実質的に円筒形の自動注射器1の軸周りに回転する。回転カラー14は、針シュラウド3の移動を減速させると共に、注射を受ける患者の皮膚へ及ぼされる圧力を減少させる摩擦をもたらす減衰手段として働く。
ハウジング2にヒンジで取り付けられる解除要素7は、シーソーのように働き:近位部分は、半径方向内側に押すことができ、それによって解除要素7が、ヒンジ15を中心にして枢動し、それによって解除要素7の遠位部分は、半径方向外側に移動し、連結シュラウド6は、駆動手段8を解除するように係合解除される。
自動注射器1は、駆動手段8の早い解除を防ぐ安全手段Sを備える。安全手段Sは、駆動手段8が解除可能となる前に、針シュラウド3が、注射を受ける人の皮膚に押し付けられることを確実にする。
本発明の第1の実施形態によれば、安全手段Sは、ハウジング2と共に摺動可能に配置された遮断要素16を備える。針シュラウド3が、前進位置PAに位置するとき、遮断要素16は、解除要素7の旋回運動、およびしたがって連結シュラウド6の解除を妨げるように位置する。遮断要素16の半径方向外側に突出する阻止用突起部16.1は、解除要素7へ形成される内向きの突出部7.1に向かい合って位置する。解除要素7の近位部分が、内側に押される場合、内向きの突出部7.1は、解除要素7の旋回運動を制限するための阻止用突起部16.1に当接し、それによって連結シュラウド6および駆動手段8の解除が防がれる。
図2は、ヒンジで取り付けられた解除要素7が不意に作動して駆動手段8を解除するのを遮断要素16が防ぐように位置する状態の自動注射器1の近位部分を断面図で示す。
針シュラウド3の遠位端は、ハウジング2に留められ、ハウジング2の内面に形成される2つの内側に突出する保持用突出部2.1の間に保持される。2つの保持用突出部2.1は、ハウジング2に対して針シュラウド3の軸方向変位の範囲を制限するように互いに長手方向に変位させられる。針シュラウド3の外面に形成された隆起部3.1は、遮断要素16の内面に当たり、それによって遮断要素16は、針シュラウド3と共に近位方向Pに移動して解除要素7の阻止を解除することができる。
阻止用突起部16.1は、自動注射器1の使用者に薬剤Mの用量を注射するために必要な一連の動作を適切な順序で実行させる中央陥凹部を備える。患者の皮膚に向かって針シュラウド3を押すことによって、針シュラウド3が前進位置PAから後退位置PRに向かって遠位方向に移動する(図3参照)前に、解除要素7が内側に押される場合、内向きの突起部7.1は、阻止用突起部16.1の中央陥凹部に保持され、それによって針シュラウド3の長手方向の変位と解除要素7の旋回運動の両方が阻止される。
以下に、薬剤Mの用量を注射するための適切な一連の動作を説明する。まず、使用者は、針シュラウド3を皮膚に押し付けて、針シュラウド3を図3に示される後退位置PRへ遠位方向に移動させる。遮断要素16が、針シュラウド3と一緒に遠位方向Dに移動し、それによって解除要素7が、ヒンジ15を中心にして枢動するように手動で作動でき、それによって駆動手段8が解除される。
駆動手段8を解除する時、連結シュラウド6は、近位方向Pに促される。単一で完全に圧縮された駆動手段8が、連結シュラウド6、およびそこにカップリングされたプランジャ9を近位方向Pに駆動する。連結シュラウド6は、まず、プランジャ9、ストッパ10、およびストッパ10とシリンジ11の間の摩擦によりシリンジ保持具4を近位方向に押して、注射針12を患者の皮膚に挿入し、図4Bにより詳細に示されるように、ハウジング2の側面に形成された第1のクリップ接続2.2が、シリンジ保持具4の外向きの突出部4.1に掛止する。
ここで、シリンジ保持具4、およびそれに取り付けられた充填済みシリンジ5は、ハウジング2にロックされる。連結シュラウド6は、緩和駆動手段8の作用によって近位方向Pにさらに移動し、それによってプランジャ9は、シリンジ外筒11に押し込まれて、注射針12を通じてシリンジ外筒11に収容された薬剤Mの用量を吐出する。
図4Aおよび図4Bは、プランジャ9がシリンジ外筒11内に完全に押し込まれた、本発明の第1の実施形態による自動注射器1の2つの断面図を示す。薬剤Mの用量が、患者の皮膚の下方に送達されている。連結シュラウド6は、中間にある第2の位置IIに位置する。駆動手段8は、まだ完全に解放されておらず、連結シュラウド6を近位方向Pに付勢する。ショルダ9.1は、カップリングキャッチ6.1の斜面に係合して、半径方向外側の方向にカップリングキャッチ6.1を撓ませる。開口部2.3が、ハウジング2に形成されてカップリングキャッチ6.1の半径方向外側への撓みを可能にし、それによってカップリングキャッチ6.1が、ショルダ9.1を乗り越えて、連結シュラウド6をプランジャ9からデカップリングする。
本発明の可能な実施形態では、第2の位置IIを規定する開口部2.3は、プランジャ9が連結シュラウド6からデカップリングされる前にプランジャ9を十分に押し込むことによってシリンジ外筒11を完全に空にすることを可能にするハウジング2に沿った長手方向の位置に設置される。
代替として、第2の位置IIを規定する開口部2.3は、調整スペースが製造公差を考慮することを可能にするハウジング2に沿った長手方向の位置に設置されてもよい。調整スペースは、自動注射器1を構成する部品が、鋳型に型ずれを含むまたはわずかにずれている場合でも、連結シュラウド6からのプランジャ9の信頼できるデカップリングを可能にするように寸法決めされる。この代替の実施形態では、プランジャ9が、連結シュラウド6からデカップリングされる前に、薬剤Mの用量が、完全に吐出されても、完全に吐出されなくてもよい。
保持用突出部2.1は、弾性的に支持され、半径方向外側に撓んで針シュラウド3を解除することができる。連結シュラウド6は、保持用突出部2.1の斜面に係合し、保持用突出部2.1を外側に広げ、それによって針シュラウド3を解除し、針シュラウド3が、後退位置PRから伸ばした安全な位置PSに向かって近位方向に移動することを可能にする。
駆動手段8は、連結シュラウド6が第2の位置IIに位置するときに、さらに部分的に負荷される。本発明の可能な実施形態では、第2の位置IIにおける連結シュラウド6に及ぼされる駆動手段8の付勢力は、約10Nである。
連結シュラウド6は、針シュラウド3の遠位端に当たり、そのため針シュラウド3は、さらなる緩和駆動手段8の作用によって安全な位置PSへ移動することができる。駆動手段8によって針シュラウド3へ及ぼされる付勢力が、比較的大きい可能性があり、患者を傷つけることさえもあり得るので、駆動手段8の過剰なエネルギーを一部吸収し、摩擦の発生によって針シュラウド3の近位方向への移動を減速させるために、回転カラー14が、ハウジング2内に配置される。
図5は、針シュラウド3の等角図を示す。螺旋状凹部3.2は、針シュラウド3の管状の近位部分3.3に形成される。針シュラウド3の近位部分3.3は、環状回転カラー14に挿入され、図6Aに示されるように、回転カラー14の内面へ形成されるピン14.1が、螺旋状凹部3.2の中に突出する。したがって、安全な位置PSに向かっての針シュラウド3の直線的並進運動によって、回転カラー14を自動注射器1の軸周りにハウジング2内で回転させる。
図6Aおよび図6Bは、注射が行われた後の本発明の第1の実施形態による自動注射器1の2つの異なる断面図を示す。針シュラウド3は、ハウジング2に形成された第2のクリップ接続2.4によって安全な位置PSに永続的にロックされる。針シュラウド3は、注射針12を囲み、自動注射器1が使用された後の不慮の針刺し損傷を避けるために針の先端を越えて近位方向に適切な距離だけ延びる。
図7Aおよび図7Bは、注射前の本発明の第2の実施形態による自動注射器1の2つの異なる断面図を示す。図7Aに示される断面は、図7Bに示される断面に垂直に向けられる。
第2の実施形態による自動注射器1の針シュラウド3は、ハウジング2の軸方向長さにわって実質的に延びる。注射前に、針シュラウド3は、針シュラウド3の側面に形成される孔の中に突出する保持用突出部2.1によってハウジング2に取り付けられる。孔は、針シュラウド3を前進位置PAから後退位置PRへ摺動することを可能にする長手方向長さを含む。
保持用止め部2.5は、ハウジング2の内面へ形成され、針シュラウド3に形成された穴を通じて突出して、充填済みシリンジ5を保持するシリンジ保持具4を解除可能に取り付ける。保持用止め部2.5は、斜めになった斜面を備え、半径方向外側の方向に撓むことができる。保持用止め部2.5は、針シュラウド3が前進位置PAにあるときに、シリンジ保持具4の外面へ形成される外向きの突出部4.1に掛止する。
針シュラウド3は、針シュラウド3が前進位置PAから遠位方向Dに移動するときに、保持用止め部2.5の斜めになった斜面に当接し、それによって保持用止め部2.5は、半径方向外側の方向に撓まされ、外向きの突出部4.1を係合解除し、それによりシリンジ保持具4は、近位方向Pに移動することができる。
図8により詳細に示される解除要素7は、押しボタンとして配置され、ハウジング2の遠位端に取り付けられる。解除要素7は、針シュラウド3が後退位置PRにあるときに駆動手段8を解除するように近位方向Pに押すことができ、一方、針シュラウド3が前進位置PAにあるときに、解除要素7、およびしたがって駆動手段8の解除は、阻止される。
本発明の第2の実施形態によれば、駆動手段8の早い解除を防ぐ安全手段Sは、半径方向外側の方向に撓むことができるクリップ2.6と、自動注射器1の使用前にプランジャ9をロックするブッシング17とを備える。
自動注射器1の使用前、ハウジング8へ形成されるクリップ2.6は、解除要素7に掛止する(図7B参照)。クリップ2.6は、近位方向Pに解除要素7が移動するのを阻止し、それによって解除要素7の手動作動は、針シュラウド3が前進位置PAにある限り防がれる。解除要素7の遠位方向運動は、解除要素7の内面に係合する第1の移動止め2.7によって阻止される。
クリップ2.6は、前進位置PAから後退位置PRへ遠位方向に押されるときに針シュラウド3が係合する斜面を備え、それによってクリップ2.6は、半径方向外側に撓まされて針シュラウド3を係合解除する。解除要素7は、針シュラウド3が後退位置PRにあるときに近位方向Pに押すことができる。
プランジャ9は、ハウジング2の遠位端にしっかりと装着されるブッシング17に保持される拡径した遠位端9.2を備える。ブッシング17は、自動注射器1の使用前に、ロック位置Lにおいて遠位端9.2に係合してプランジャ9およびそれにカップリングした連結シュラウド6をハウジング2にロックするプランジャ9の遠位端9.2に対応する内面を備える。ブッシング17は、図7Aおよび図7Bに示されるロック位置Lにおいて、解除要素7の環状の内側カラー7.2に半径方向に当接する。したがって、プランジャ9を解除するブッシング17の半径方向外側への撓みが防がれる。
図8は、本発明の第2の実施形態による自動注射器1の遠位端部の断面図を示す。針シュラウド3は後退位置PRに位置し、解除要素7は近位方向Pに押され、それによってブッシング17は、解除要素7の環状の内側カラー7.2を係合解除する。ブッシング17は、アンロック位置Uに配置され、外側に撓んでプランジャ9を解除することができる。
さらに、ブッシング17は、遠位方向Dにブッシング17に当たる駆動手段8のためのカウンター・ベアリングとして働く。
図9Aおよび図9Bは、本発明の第3の実施形態による自動注射器1の2つの異なる断面図を示し、解除要素7は、自動注射器1の実質的な長さにわたって延びる外側スリーブとして配置される。
本発明の第3の実施形態によれば、駆動手段8の早い解除を防ぐ安全手段Sは、クリップ2.6と、第2および第3の移動止め2.8、7.3と、連結シュラウド6へ形成されるロック用止め部6.2と、出張り7.4を受ける内側スリーブ17.1を備えるブッシング17とを備え、ロック用止め部6.2は、内側スリーブ17.1のカラー17.2に掛止する。
第3の実施形態の解除要素7は、注射を行うために使用者によって握持される。針シュラウド3が前進位置PAにあるときに、解除要素7の近位方向変位は、本明細書中の上記の第2の実施形態におけるのと同様に、クリップ2.6によって阻止される。
加えて、解除要素は、ハウジング2の外面および解除要素7の内面にそれぞれ形成される第2および第3の移動止め2.8、7.3によって注射前に所定の位置に解除可能に保持され、第2のおよび第3の移動止め2.8、7.3は、互いに面するそれに応じた形状の斜面を備える。
第3の実施形態のブッシング17は、解除要素7の内面へ形成される出張り7.4を受ける内側スリーブ17.1を備える。出張り7.4の近位端は、内側スリーブ17.1の中央開口部にぴったり嵌まり、それによって内側スリーブ17.1の内向きの撓みが防がれる。
内側スリーブ17.1は、カラー17.2を備える。連結シュラウド6の内側に突出するロック用止め部6.2は、自動注射器1の使用前にカラー17.2に掛止して、連結シュラウド6を第1の位置Iに解除可能に保持する。
図10は、本発明の第3の実施形態による自動注射器1の遠位端部の断面図を示す。解除要素7は、近位方向Pに作動および移動させられる。出張り7.4の近位端は、ブッシング17の内側スリーブ17.1を係合解除し、それによって内側スリーブ17.1は、半径方向内側に曲げることができ、それによりロック用止め部6.2は、カラー17.2を係合解除して、連結シュラウド6、および駆動手段8を解除する。
1 自動注射器
2 ハウジング
2.1 保持用突出部
2.2 第1のクリップ接続
2.3 開口部
2.4 第2のクリップ接続
2.5 保持用止め部
2.6 クリップ
2.7 第1の移動止め
2.8 第2の移動止め
3 針シュラウド
3.1 隆起部
3.2 螺旋状凹部
3.3 近位部分
4 シリンジ保持具
4.1 外向きの突出部
5 充填済みシリンジ
6 連結シュラウド
6.1 カップリングキャッチ
6.2 ロック用止め部
7 解除要素
7.1 内向きの突出部
7.2 内側カラー
7.3 第2の移動止め
7.4 出張り
8 駆動手段
9 プランジャ
9.1 ショルダ
9.2 遠位端
10 ストッパ
11 シリンジ外筒
12 注射針
13 付勢手段
14 回転カラー
14.1 ピン
15 ヒンジ
16 遮断要素
16.1 阻止用突起部
17 ブッシング
17.1 内側スリーブ
17.2 カラー
M 薬剤
S 安全手段
I 第1の位置
II 第2の位置
PA 前進位置
PR 後退位置
PS 安全な位置
L ロック位置
U アンロック位置
P 近位方向
D 遠位方向

Claims (10)

  1. 液体薬剤(M)の用量を投与するための自動注射器(1)であって、
    −充填済みシリンジ(5)を収容するよう配置される実質的に円筒形のハウジング(2)と、
    −注射針(12)、プランジャ(9)、およびシリンジ外筒(11)を封止するためのストッパ(10)を備える充填済みシリンジ(5)を、取り付けるハウジング(2)に対して摺動可能に配置されるシリンジ保持具(4)と、
    −ハウジング(2)内に摺動可能に配置され、プランジャ(9)に解除可能にカップリングされる連結シュラウド(6)と、
    −解除する時、
    連結シュラウド(6)を第1の位置(I)から近位方向(P)に駆動すること、
    ができる単一駆動手段(8)と、
    を備え、
    ハウジング(2)に対する連結シュラウド(6)の近位方向への並進運動が、
    −シリンジ保持具(4)を近位方向(P)に進運動させて、充填済みシリンジ(5)の注射針(12)を露出し、
    −ストッパ(10)に連結されたプランジャ(9)をシリンジ外筒(11)に押し込んで、薬剤(M)の用量を排出させ、
    −薬剤(M)が少なくとも一部送達された後に針シュラウド(3)を安全な位置(PS)へ前進させて、注射針(12)を囲み、
    ここで連結シュラウド(6)が、ハウジング(2)に形成された開口部(2.3)によって画成される所定の第2の位置(II)でプランジャ(9)からデカップリングされ、
    ここで、カップリングキャッチ(6.1)が、プランジャ(9)を連結シュラウド(6)に解除可能にカップリングするように、プランジャ(9)に形成されたショルダ(9.1)に当接するように配置される、
    上記自動注射器(1)。
  2. 開口部(2.3)によって画成される所定の第2の位置(II)が、ストッパ(10)がシリンジ外筒(11)の近位端に到達する前に、プランジャ(9)を連結シュラウド(
    3)からデカップリングすることを可能にするような形で配置される
    ことを特徴とする請求項1に記載の自動注射器(1)。
  3. 開口部(2.3)は、カップリングキャッチ(6.1)が半径方向外側に偏向して、連結シュラウド(6)を第2の位置(II)でプランジャ(9)からデカップリングすることを可能にする
    ことを特徴とする請求項に記載の自動注射器(1)。
  4. 単一駆動手段(8)が、単一圧縮ばねとして配置される
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の自動注射器(1)。
  5. 回転カラー(14)が、針シュラウド(3)の近位方向運動を減速させる摩擦をもたらすようにハウジング(2)内に回転可能に配置される
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の自動注射器(1)。
  6. 回転カラー(14)が、針シュラウド(3)に形成される螺旋状凹部(3.2)に係合するピン(14.1)を備えることを特徴とする請求項に記載の自動注射器(1)。
  7. 安全手段(S)が、針シュラウド(3)が前進位置(PA)にあるとき、針シュラウド(3)と協動して、駆動手段(8)の解除を防ぐように配置される
    ことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の自動注射器(1)。
  8. 安全手段(S)が、駆動手段(8)の解除を防ぐように、プランジャ(9)および/または連結シュラウド(6)に係合するブッシング(17)を備える
    ことを特徴とする請求項に記載の自動注射器(1)。
  9. 安全手段(S)が、ハウジング(2)に対して摺動可能に配置される遮断要素(16)を備え、ここで遮断要素(16)は、針シュラウド(3)が前進位置(PA)にあるとき、ハウジング(2)の側面にヒンジで連結される解除要素(7)の旋回運動を制限するように配置され、針シュラウド(3)が後退位置(PR)にあるとき、解除要素(7)がヒンジ(15)の周りを枢動することを可能にするように配置される
    ことを特徴とする請求項に記載の自動注射器(1)。
  10. 針シュラウド(3)が前進位置(PA)に位置する間、解除要素(7)が手動で作動されるとき、遮断要素(16)が、針シュラウド(3)の遠位方向運動を阻止するように配置される
    ことを特徴とする請求項に記載の自動注射器(1)。
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