JP5988092B2 - 可視光応答性半導体光電極の製造方法、並びに可視光応答性半導体光電極及び該電極を用いた水分解反応装置。 - Google Patents

可視光応答性半導体光電極の製造方法、並びに可視光応答性半導体光電極及び該電極を用いた水分解反応装置。 Download PDF

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Description

本発明は、可視光応答性半導体光電極、特に、光散乱を制御した可視光応答性半導体光電極の製造方法、並びに可視光応答性半導体光電極及び該電極を用いた水分解反応装置に関する。
近年、狭いバンドギャップを持つ半導体光電極を使用したH2、O2への水分解は、太陽光エネルギー変換および蓄積のために広く研究されてきている(特許文献1、2参照)。なかでも、湿式塗布法によって作製された導電性ガラス基板上にコートされたFe23、WO3、BiVO4のようないくつかの酸化物結晶光電極は、安価で且つ大面積化させやすいという実用的な点で優れている。しかしながら、これら酸化物半導体光電極の太陽光エネルギー変換効率はまだ十分に高い値ではない。
そこで、酸化物半導体光電極の太陽光エネルギー変換効率を向上させる研究が種々なされてきているが、近年、2種類以上の半導体を積層することで効率を大きく向上させること、及びその性能は電解液に依存し、炭酸塩水溶液を用いると非常に良くなることがわかっている(非特許文献1参照)。太陽光エネルギー変換効率としては、1枚の光電極を使った場合に最高でも0.85%〜1.1%程度である。
しかしながら、実用化のためには酸化物半導体光電極の効率は充分とは言えず、既存の半導体材料を使った場合でもその特性を最大限に利用する手法を新規開発することは非常に重要である。例えば光吸収効率(LHE:Light Harvest Efficiency)を向上する検討がある。1枚の光電極ではなく、2枚重ねて使うことで光吸収効率が増大し、太陽光エネルギー変換効率としては、1.35%まで向上できている(非特許文献1参照)。
しかし、光電極コストが2倍になる問題があるので、1枚で光吸収効率を向上させるのが望ましい。半導体膜を単純に厚くすると光吸収効率は向上するが、電子や正孔の拡散移動距離が大きくなり性能が低下する。電子や正孔の拡散移動距離を小さくするためには、多孔質性を保持することも重要である。半導体膜の高温調製では多孔性が小さくなり、低温調製では不純物相が生成したり結晶性が悪くなったりする問題もある。
一方で、色素増感太陽電池用の酸化チタン光電極(膜厚5〜30μm)の研究分野では、光を散乱しやすい大きな半導体粒子(400nm前後)を混ぜた構造にして、半導体膜に対して斜めに散乱しながら通過する光を多くすることで光吸収効率を大きくする方法が研究されている(非特許文献2参照)。
しかし、水分解用の半導体膜厚の膜厚は1μm以下の場合が多く、同様の手法を使うことが難しい。水分解用の薄い半導体膜でも効率良く光吸収効率を向上させ、同時に光吸収効率以外の性能に関する要因を向上させる必要が有る。例えば電子移動効率を向上させたり、電荷拡散距離を短くしたり、電荷再結合を抑制したりする必要が有る。
特表2003―504799号公報 特開2005−44758号公報
Rie Saito,Yugo Miseki andKazuhiro Sayama, "Highly efficient photoelectrochemical water splitting using a thinfilm photoanode of BiVO4/SnO2/WO3multi-composite in a carbonate electrolyte", Chemical Communications, 48 (2012) 3833-3835 Masatoshi Yanagida, Nobuko Onozawa-Komatsuzaki,MitsuhikoKurashige, Kazuhiro Sayama, Hideki Sugihara, "Optimization of tandem-structureddye-sensitized solar cell", Solar Energy Materials & Solar Cells, 94 (2010) 297-302
以上のような背景から、本発明は、発明者らによるこれまでの検討をさらに深化、発展させて、その光吸収効率および効率を向上した可視光応答性半導体光電極を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討し、可視光応答性半導体の高性能化手法を探索研究した結果、塗布熱分解法による調製法、すなわち、半導体膜調製用の溶液を塗布して熱分解(焼成)する方法による半導体光電極の製造方法において、2種類の特殊な添加剤を半導体膜調製用の溶液に添加することで光吸収効率が向上し、不純物を低下させ、多孔性を高めて、効率が向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、この本発明は以下のことを特徴としている。
[1]可視光応答性の半導体を調製するための金属イオンを含有した前駆体溶液に、分解温度100℃以上の高分子化合物及び酸化剤を添加し、該酸化剤の分解作用で前記高分子化合物がその分解温度よりも低温で分解しながら多孔質な半導体膜を調製することを特徴とする可視光応答性半導体光電極の製造方法。
[2]前記酸化剤が、硝酸アンモニウムであることを特徴とする[1]に記載の可視光応答性半導体光電極の製造方法。
[3]前記酸化剤の添加量が、モル比で、前記金属イオンの1.5〜20倍であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の可視光応答性半導体光電極の製造方法。
[4]前記高分子化合物が、酸素原子を含む非イオン性界面活性剤であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の可視光応答性半導体光電極の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法で製造された可視光応答性半導体光電極であって、
前記多孔質な半導体膜が光散乱する膜であり、光照射面から観察した半導体の粒子径として180〜400nmの粒子を含むことを特徴とする可視光応答性半導体電極。
[6]前記半導体が、構成元素として少なくともBi、V及び酸素を含有してなる可視光応答性の半導体であることを特徴とする[5]に記載の多孔質の可視光応答性半導体電極。
[7]前記半導体が、BiVO4及びWO3を含むことを特徴とする[5]又は[6]に記載の可視光応答性半導体電極。
[8]半導体光電極として、[5]〜[7]のいずれかに記載の可視光応答性半導体電極を用いたことを特徴とする水分解反応装置。
[9]可視光応答性半導体電極の裏面に光反射板を配置したことを特徴とする[8]に記載の水分解反応装置。
本発明によれば、特に水分解用の半導体光電極において、簡単な方法で高い可視光吸収および太陽エネルギー変換効率を持つ可視光応答性半導体光電極を提供できる。また、本発明の安定化された光電極における手法は、粉末光触媒反応や、光センサー用途の半導体に対しても有効な方法として提供できる。
可視光応答性半導体電極を用いた水分解反応装置の図 実施例1、比較例1、2における光電流の電圧依存性を示す図 実施例1、比較例1、2における光電極の表面のSEM写真の図
本発明は、可視光応答性の半導体からなる高効率な半導体光電極の製造方法において、可視光応答性の半導体を調製するための金属イオンを含有した前駆体溶液に、分解温度100℃以上の高分子化合物及び酸化剤を添加し、該酸化剤の分解作用で前記高分子化合物がその分解温度よりも低温で分解しながら多孔質な半導体膜を製造することを特徴とする。
可視光応答性半導体光電極の高効率化のためには、(1)多孔質性向上による正孔の拡散移動距離減少、(2)光吸収効率(LHE:Light Harvest Efficiency)向上、(3)膜厚低下による電荷の拡散移動距離減少、(4)結晶性向上、(5)目的の半導体のみ生成、(6)不純物除去などの工夫が必要である。
(1)の多孔質性向上に関しては、塗布熱分解法において、半導体を調製するための金属を含有した前駆体溶液に、有機化合物を添加することで、これらの分解除去する時の孔によって多孔質性は向上する。しかし、高温で分解除去すれば、半導体は焼結して多孔質性は小さくなるので、より低温で全て除去されるほど好ましい。有機化合物、特に高分子化合物を添加して多孔性を向上する工夫は一般的であるが、温度が不十分の時はカーボン等不純物が残る可能性がある。そこで、本発明では、高分子の有機化合物の分解温度よりも低温で分解する強力な酸化剤を共存させることにより、より低温で有機化合物を分解でき、さらに酸化剤の作用で(6)のカーボン等不純物が残る可能性も小さくなる。
(2)の光吸収効率(LHE)向上に関しては、膜厚をあまり大きくせずに、表面反射率低下および光散乱による光路長増加させることが重要である。表面反射率低下には半導体膜の表面荒さ度を増加させて見かけの表面屈折率を低下することが重要であり、多孔質性向上と相関があるが同一ではない。多孔質であっても表面荒さ度が小さい場合もあるので、半導体粒子の高さを変化させて荒さ度を大きくする必要が有る。荒さ度の尺度としては、半導体の表面の粗さ度(中心線平均粗さ:Ra)は20nm以上が好ましく、さらには30nm以上であることが好ましい。このような微視的な粗さ度は走査型プローブ顕微鏡(AFM)等で測定することができる。
一方、光散乱による光路長増加には、Mie散乱の効果を考慮して、散乱したい波長の半分程度の粒子または空孔の存在が重要である。水分解用の半導体の場合は360〜800nm程度の光を有効利用したいので、180〜400nmの粒子の存在が望ましい。ここで重要なのは、粒子形状が等方的である必要は無く、薄く扁平でも良い。つまり、膜厚を薄くする効果を考慮すると、光照射面から観察した半導体の粒子径として180〜400nmの粒子を含むことで光散乱が達成できる。
(3)の膜厚低下による電荷の拡散移動距離減少については、半導体膜厚としては5000nm未満、好ましくは1000nm未満、より好ましくは300nm未満である。
(4)の結晶性向上に関しては、半導体膜の加熱調製温度を高くすれば達成できるが、多孔性が低下する。そのため、多孔性を大きくしたまま結晶性向上させることが重要である。半導体を調製するための金属を含有した前駆体溶液に、有機化合物および酸化剤を添加し、加熱すると、酸化剤の分解作用で有機化合物の成分がその分解温度よりも低温で分解しながら、且つ局所的に酸化分解熱が放出されるので、低温外部加熱であっても結晶性が高く多孔質な半導体膜を調製することが可能となる。結晶性を数値化することは難しいが、X線回折(XRD)の半値幅を測定し、粒子径との相対関係を見ると相対的な結晶性は判断できる。例えば、同じ半値幅で比較して粒子径が小さい方が結晶性は高いと言える。
(5)目的の半導体のみ生成に関しては、目的外の組成の半導体が混ざって生成すれば電子移動が妨げられたり、光吸収阻害により、性能は大きく低下する。さらに、(6)不純物除去に関して、添加物の均一な元素混合効果と局所的な高温酸化分解作用により、目的の半導体以外の組成を作りにくくなり、目的半導体のみを合成することができる。
本発明の方法により製造された可視光応答性半導体光電極は、後述する実施例から明らかなように、これらの(1)〜(6)を満たすものである。
本発明において、半導体を調製するための金属を含有した前駆体溶液に含まれる酸化剤は、半導体結晶が生成する温度までは蒸発や分解をされず、且つ不純物を残さずに全て分解されやすいことが望ましい。好ましくは硝酸塩やアンモニウム塩であるが、より好ましくは硝酸アンモニウムである。
硝酸アンモニウムは170℃程度で分解するが、特に、有機物が周りにあると爆発的に発熱分解するので低温での半導体の高結晶化が期待できる。
添加量としては、金属イオンの当モル量よりも多いことが好ましいが、多すぎると半導体膜が劣化するため、モル比で、金属イオンの50倍以下、より好ましくは、1.5〜20倍程度、さらに好ましくは、4〜10倍程度である。
また、半導体を調製するための金属イオンを含有した前駆体溶液に含まれる分解温度100℃以上の高分子化合物は、半導体結晶が生成する温度までは完全には分解されず、且つ、前記酸化剤で酸化分解された時は、カーボン等不純物を残さずに全て分解されやすいことが望ましい。また、金属に配位する能力を持つことが好ましい。好ましくは、酸素原子を含む高分子化合物であり、酸素原子を含むポリエチレングリコールやトリトンXなどの非イオン性界面活性剤がその例である。
添加量としては、多すぎるとカーボン等が残るため10v/v%以下が好ましく、0.1〜5v/v%がより好ましい。
半導体の種類としては、基本的には多くの可視光応答性の半導体が利用できる。Fe、W、Bi、Vなどを含む半導体が好ましいが、中でも、BiとVを含む酸化物であり、BiVO4がより好ましい。これらの半導体は、単独でも用いられるが、複数の種類の半導体を同時に用いたり、積層してもよい。例えば、BiVO4をWO3やSnO2と積層しても良い。
本発明の半導体を水分解用の光電極として用いる場合は、電解質を含む水溶液を用いる。電解質としては特に炭酸塩を使う場合に性能が大きく向上することが知られている。本発明の電解質は炭酸塩に限定されず、硫酸塩や塩化物、リン酸塩、硝酸塩など利用できるが、効率向上と安定性向上を両立する電解液が好ましい。
以下、本発明の可視光応答性半導体電極を用いた装置について、一例として、光分解反応装置について説明するが、本発明の可視光応答性半導体電極は、これに限られるものではない。
図1は、水分解反応に用いる装置の一例を示すものであり、水槽内に半導体電極(作用極)と対極を配置し、半導体電極と対極とに導線を接続して外部短絡線を構成している。外部短絡線には、ポテンションスタットが設けられ、ポテンションスタットによって半導体電極と対極との間の電位差を制御し、それによって回路中に生じる電流を計測している。また、水槽には、電解反応の溶液抵抗を下げるための安定な支持電解質を貯留している。さらに、水槽外部から太陽光などの光が半導体電極(作用極)に照射されて光水電解を行なう。光電極の手前には反射防止膜、光電極の後方には光反射板を設置すると更に望ましい。
n型半導体を電極として用いて水を分解する動作原理について説明する。半導体電極に光を照射すると、半導体電極に光が吸収されて、伝導帯に電子が生成し、価電子帯に正孔が生成する。半導体電極の表面に移動した正孔は、水を酸化して酸素を生成する。一方、生成した電子(e-)は、半導体電極中の基材に移動した後、外部短絡線を通り対極に移動する。その際、n型半導体の伝導体は水素の発生電位よりも高いため、バイアス電位をかけて電子のエネルギーを高くする。この電子は、対極上に水を還元し、水素を生成する。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1、比較例1、2)
BiVO4とWO3の積層した光電極は次の手順で作製した。導電性基板(F−SnO2膜:FTO)上にWO3膜(約200nm)を成膜し、その上にBiVO4膜(約80nm)を成膜した。WO3膜を入れることで光電流は向上することがわかっている。WO3膜はタングステン過酸化物水溶液(1.4mol/L)をスピンコートし、500度で空気焼成して作製した。
その後、BiVO4膜を、金属を含む前駆体水溶液をスピンコート・焼成して作製した。前駆体の水溶液は、2mol/Lの硝酸水溶液に硝酸ビスマス(Bi(NO3)3・5H2O:0.07mol/L)、酸化バナジウム(V25:0.07mol/L)、および硝酸アンモニウム(NH4NO3:0.55mol/L)を加えて溶解し、さらに高分子非イオン性界面活性剤であるトリトンX100(商品名)(ポリ(オキシエチレン)オクチルエーテル)(0.5v/v%)を混合した。硝酸アンモニウム添加量はBiやVイオンに対して約8倍モル量である。この前駆体水溶液を、WO3/FTO膜にスピンコートし、室温乾燥した。この過程で溶媒など低沸点化合物は蒸発する。その後550度で空気焼成して作製した。これを6回繰り返した。
比較例1としては、実施例1で硝酸アンモニウム及びトリトンX100を添加しない溶液を用いた。
比較例2としては、実施例1で硝酸アンモニウムのみを添加しない溶液を用いた。
トリトンX100は、通常250℃付近で加熱分解するが、硝酸アンモニウムが共存していると硝酸アンモニウムの分解温度近くの170℃程度で加熱分解することがTG−DTA分析で確認できた。
光電極の性能と電流電圧特性評価は、疑似太陽光照射下(直径6mmマスク付き)での光電流の電位依存性測定により行った。パイレックスガラス製の1室セルに0.1mol/LのKHCO3電解液を入れ、光電極、Pt対極、Ag/AgCl参照極をセットし、ポテンショスタットで電位を変化して光電流を測定した。電位は水素電極電位(RHE)に換算した。
図2に、実施例1および比較例1−2の典型的な電流電圧特性評価結果を示す。1V vs.RHEにおいて光電流は実施例1では3.0mA/cm2、比較例1、2でそれぞれ1.5および1.8mA/cm2であり、実施例1が比較例よりも高い光電流であった。実施例1の条件でのKHCO3電解液を飽和濃度(約2.5mol/L)にすると太陽エネルギー変換効率は、1枚の光電極で最高では1.22%に達した。この値は酸化物半導体光電極の中で最も高い。
図3に、実施例1および比較例1−2の典型的なSEM写真を示す。どれも多孔質である。粒子径は実施例1で200nm、比較例1−2では300nm程度である。実施例1は比較例1−2よりも空孔が明確にわかる。また、比較例1−2では粒子の高さが揃っているのに対して実施例1では高さがバラバラであることがわかる。AFM測定で評価した中心線平均粗さ(Ra)は、実施例1で33.2nm、比較例1で19.7nm、比較例2で18.1nmであった。光の表面反射のロスについては、積分球を用いた反射率測定で実施例1は比較例1−2よりも小さかった。400nm付近の光吸収効率で比較すると実施例1は比較例1−2よりも10%程度良かった。見た目でも、実施例1の膜は不透明な光散乱しやすい膜なのに対して、および比較例1−2はほぼ透明であった。光電子分光法(XPS)による表面の残存カーボン汚れの割合を比較すると、実施例1は比較例1−2よりも小さかった。これは、酸化剤の作用で有機物の分解が促進されたためと推察される。さらに、実施例1および比較例1−2の前駆体溶液を蒸発乾固させて、550度焼成した粉末のX線回折装置(XRD)測定の結果より、実施例1では目的のBiVO4のみ生成しているが、比較例1−2ではBiVO4以外の不純物相のピークが観測された。不純物相が光電極に生成すれば電子移動の妨げになると推察される。XRDの半値幅は実施例1および比較例1−2ではほとんど同じであった。実施例1では比較例より粒子径が小さいので、結晶性は比較例よりも良いと推察される。
以上のとおり、本発明の手法は半導体光電極の特性を向上できることがわかった。
本発明により、水分解用の半導体光電極において、光電流特性を向上させる手法を提供することにより、太陽エネルギーを利用した水素製造に利用できる。また、この手法は水分解用や環境浄化用の粉末光触媒反応や、光センサー用途の半導体に対しても有効な安定化手法を提供できる。

Claims (4)

  1. 可視光応答性の半導体を調製するための金属イオンを含有した前駆体溶液に、分解温度100℃以上の高分子化合物及び酸化剤を添加し、該酸化剤の分解作用で前記高分子化合物がその分解温度よりも低温で分解しながら多孔質な半導体膜を調製することを特徴とする可視光応答性半導体光電極の製造方法。
  2. 前記酸化剤が、硝酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載の可視光応答性半導体光電極の製造方法。
  3. 前記酸化剤の添加量が、モル比で、前記金属イオンの1.5〜20倍であることを特徴とする請求項1又は2に記載の可視光応答性半導体光電極の製造方法。
  4. 前記高分子化合物が、酸素原子を含む非イオン性界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の可視光応答性半導体光電極の製造方法。
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