JP5988013B1 - ガラス繊維用ガラス組成物 - Google Patents

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Abstract

ガラス繊維に赤色の異物が混入することなく安定に紡糸を行うことができるガラス繊維用ガラス組成物を提供する。ガラス繊維用ガラス組成物は、全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiO2と、17.5〜20.0質量%の範囲のAl2O3と、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のB2O3とを含み、且つ、SiO2、Al2O3、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上である。

Description

本発明は、ガラス繊維用ガラス組成物に関する。
ガラス繊維は、所望の組成を有するガラス組成物となるように調合されたガラス原料を溶融炉で溶融して溶融ガラス(ガラス組成物の溶融物)とし、該溶融ガラスを数十から数千個のノズルチップを形成したノズルプレートを有する容器(ブッシング)から吐出し、高速で巻き取ることにより引き伸ばしながら冷却し、固化して繊維状とする(以下、この操作を「紡糸」と言うことがある)ことにより製造されている。前記ブッシングは、例えば、白金等の貴金属により形成されている。
従来、前記ガラス繊維を形成するガラスの1つとして、SiOと、Alと、MgOとからなる組成を有するガラス(Sガラス)が知られている。前記Sガラスによれば、Eガラス等の汎用ガラスに比較して、高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えるガラス繊維を得ることができるが、1000ポイズ温度及び液相温度の点で、ガラス繊維の紡糸が必ずしも容易ではないという問題がある。
ここで、1000ポイズ温度とは、溶融ガラスの粘度が1000ポイズ(100Pa・s)となる温度をいい、液相温度とは、溶融ガラスの温度を低下させたときに最初に結晶の析出が生じる温度をいう。一般に、ガラス繊維は溶融ガラスの粘度を1000ポイズ付近にした場合に効率的に紡糸可能である。従って、ガラス繊維の紡糸は、通常、1000ポイズ温度と液相温度との間の温度範囲(作業温度範囲)が広いほど容易に、安定に行うことができる。
Sガラスは、1000ポイズ温度と液相温度とが極めて近く、前記作業温度範囲が狭いため、溶融したガラスがわずかな温度の低下の影響下においても結晶化(失透)しやすい。このため、Sガラスの紡糸を安定に行うためには、ガラス繊維の製造工程において、紡糸条件を精度よく制御する必要がある。
そこで、Sガラスよりも製造容易で、前記汎用ガラスよりも高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えるガラス繊維のためのガラス組成物として、全量に対し、SiOの含有量が57.0〜63.0質量%、Alの含有量が19.0〜23.0質量%、MgOの含有量が10.0〜15.0質量%、CaOの含有量が4.0〜11.0質量%であり、且つ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計含有量が99.5質量%以上である組成を有するガラス組成物が、本出願人により提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1記載のガラス組成物によれば、1000ポイズ温度及び液相温度を低くすることができ、前記範囲の組成のガラス組成物となるように調合されたガラス原料を溶融した溶融ガラスを紡糸することにより前記汎用ガラスよりも高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えるガラス繊維を容易に製造することができる。
特許文献1記載の範囲の組成のガラス組成物となるように調合されたガラス原料を溶融した溶融ガラスを紡糸する際に、通常は、円形のノズルチップを備えたブッシングが用いられ、該ブッシングは、溶融ガラスの液相温度より高い温度に制御されている。このようにすると、前記円形のノズルチップから吐出された溶融ガラスは、それ自体の表面張力により丸まろうとする作用が強いため、断面形状が真円に近いガラス繊維を容易に得ることができる。また、溶融ガラスの粘度が200ポイズ(20Pa・s)以下となると、ノズルチップから吐出されたガラスが液滴状になり、繊維とならない。このため、前記ブッシングは、溶融ガラスの粘度が200ポイズとなる温度以下で制御されている。
一方、扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維を得る場合には、扁平形状のノズルチップを備えたブッシングが用いられる。ただし、溶融ガラスを1000ポイズ以下の粘度で紡糸すると、ノズルチップから吐出されたガラスの粘度が低すぎて、それ自体の表面張力により丸まってしまい異形断面のガラス繊維を得ることが困難となる。そこで、扁平形状のノズルチップを備えたブッシングを溶融ガラスの液相温度より高く、且つ粘度が1000ポイズ以上となる温度に制御することが行われている。このようにすると、前記扁平形状のノズルチップから吐出された溶融ガラスの粘度が高くなり、溶融ガラス自体の表面張力が働きにくくなるため、該ノズルチップの開口部の形状に沿う扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維を得ることができる。
国際公開第2011/155362号
しかしながら、特許文献1記載の範囲の組成のガラス組成物となるように調合されたガラス原料を溶融した溶融ガラスを紡糸すると、得られたガラス繊維に赤色の結晶が混入し、紡糸切断が多発して生産性が低下することが稀に生じるという不都合がある。
本発明は、かかる不都合を解消して、ガラス繊維に赤色の結晶が混入することなく安定に紡糸を行うことができ、汎用ガラス(Eガラス)よりも高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えたガラス繊維用ガラス組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、特許文献1記載の範囲の組成のガラス組成物となるように調合されたガラス原料を溶融した溶融ガラスを紡糸したときに、得られたガラス繊維に赤色の結晶が混入する原因及び条件について、鋭意検討した。
この結果、前記赤色の結晶は、前記ガラス原料を月産数百トン以上の大型炉で溶融し、得られたガラス組成物としての溶融ガラスをブッシングのノズルチップから吐出して、扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維や繊維径が3μm以上10μm未満の真円状の円形断面を備えるガラス繊維を製造する際に稀に発生することを知見した。
扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維を製造する場合には、紡糸切断や外部環境の温度変動により、ブッシング内端部やノズルチップ付近に温度低下が生じた際に、赤色の結晶が発生することを知見した。
また、繊維径が3μm以上10μm未満の真円状の円形断面を備えるガラス繊維を製造する場合には、ブッシングに流入する前記溶融ガラス量が少ないため、該溶融ガラスが該ブッシングに持ち込む熱量が低下して、制御温度より低い温度域がブッシング内端部やその上部に生じた際に、赤色の結晶が発生することを知見した。
前記大型炉は、例えばガスバーナーによる間接火炎加熱方式で加熱され、溶融ガラスに接触する部分には、高温におけるガラス耐食性に優れた酸化クロムレンガが使用されている。前記赤色の結晶は、前記酸化クロムレンガに含まれるCr成分が溶融ガラス中に溶出し、該溶融ガラスがブッシング内や上部の温度低下した部分に停滞したときに、溶出したCr成分とガラス中の成分とが反応することによって、スピネル系のCr、Mg、Alの複合酸化物からなる結晶として析出するものと考えられる。
本発明者らは、前記知見に基づいてさらに検討を重ねた結果、特定のガラス繊維用ガラス組成物となるように調合されたガラス原料を溶融した溶融ガラスを紡糸してガラス繊維を製造する際に、該ガラス繊維用ガラス組成物が前記赤色の結晶の発生を抑制可能な添加物を含むことにより、前記不都合を解決することができることを見出し、本発明に到達した。
そこで前記目的を達成するために、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、17.5〜20.0質量%の範囲のAlと、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のBとを含み、且つ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上であることを特徴とする。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物によれば、上述の範囲のSiO、Al、MgO及びCaOに、さらに前記赤色の結晶の発生を抑制可能な成分として前記範囲の量のBを含むことにより、得られたガラス繊維に赤色の結晶が混入することを防止し、ガラス繊維の製造を安定に行うことができる。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物によれば、全量に対するSiO、Al、MgO及びCaOの含有量を上述の範囲とすることにより、前記範囲の量のBを添加したときにも、汎用ガラス(Eガラス)よりも高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えるガラス繊維を製造することができる。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物において、Bの量が全量に対して0.5質量%未満であると、得られたガラス繊維に前記赤色の結晶が混入することを防止できず、1.5質量%を超えると得られたガラス繊維の繊維強度や繊維弾性率等の物性が損なわれる。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するBの含有量を0.6〜1.4質量%の範囲とすることが好ましく、0.7〜1.3質量%の範囲とすることがより好ましく、0.8〜1.2質量%の範囲とすることがさらに好ましく、0.9〜1.1質量%の範囲とすることが特に好ましい。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するBの含有量をこのような範囲にすることにより、得られたガラス繊維において、高い繊維弾性率を維持しつつ赤色の結晶析出を抑制することができるという効果を得ることができる。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するSiOの含有量が57.0質量%未満であると得られたガラス繊維の機械的強度を向上させることができず、化学的にも不安定になる。一方、前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するSiOの含有量が60.0質量%を超えると1000ポイズ温度及び液相温度が高くなり、ガラス繊維の製造が困難になる。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するSiOの含有量を、57.5〜59.5質量%の範囲とすることが好ましく、58.0〜59.3質量%の範囲とすることがより好ましく、58.1〜59.2質量%の範囲とすることがさらに好ましく、58.1〜59.1質量%の範囲とすることがとりわけ好ましく、58.2〜59.0質量%の範囲とすることが特に好ましく、58.3〜59.0質量%の範囲とすることが殊に好ましく、58.5〜58.8質量%の範囲とすることが極めて好ましく、58.6〜58.8質量%の範囲とすることが最も好ましい。前記ガラス繊維用ガラス組成物は、このようにすることにより、高い繊維強度を維持しつつ広い作業温度範囲を維持することができるという効果を得ることができる。
また、前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するAlの含有量が17.5質量%未満であると得られたガラス繊維の繊維弾性率を高くすることができず、20.0質量%を超えると液相温度が高くなるため作業温度範囲が狭くなる。また、Alの含有量が20.0質量%を超えた場合には、得られたガラス繊維に前記赤色の結晶が混入することを防止できない。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するAlの含有量を、18.0〜19.5質量%の範囲とすることが好ましく、18.1〜19.4質量%の範囲とすることがより好ましく、18.2〜19.0質量%の範囲とすることがさらに好ましく、18.3〜18.9質量%の範囲とすることが特に好ましい。前記ガラス繊維用ガラス組成物は、このようにすることにより、高い繊維弾性率を維持しつつ赤色の結晶の析出を抑制することができるという効果を得ることができる。
また、前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するMgOの含有量が8.5質量%未満であると得られたガラス繊維の繊維弾性率を高くすることができず、12.0質量%を超えると液相温度が高くなるため作業温度範囲が狭くなる。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するMgOの含有量を、8.8〜11.5質量%の範囲とすることが好ましく、8.9〜11.4質量%の範囲とすることがより好ましく、9.0〜11.0質量%の範囲とすることがさらに好ましく、9.0〜10.9質量%の範囲とすることが特に好ましく、9.0〜9.9質量%の範囲とすることが最も好ましい。前記ガラス繊維用ガラス組成物は、このようにすることにより、高い繊維弾性率を維持しつつ広い作業温度範囲を維持できるという効果を得ることができる。
また、前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するCaOの含有量が10.0質量%未満であると液相温度が高くなるため作業温度範囲が狭くなり、得られたガラス繊維に前記赤色の結晶が混入することを防止できない。また、CaOの含有量が13.0質量%を超えると得られたガラス繊維の繊維弾性率を高くすることができず、ガラス繊維の線膨張係数が大きくなる。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するCaOの含有量を、10.3〜12.5質量%の範囲とすることが好ましく、10.4〜12.4質量%の範囲とすることがより好ましく、10.5〜12.0質量%の範囲とすることがさらに好ましく、10.6〜11.9質量%の範囲とすることが特に好ましく、11.1〜11.9質量%の範囲とすることが最も好ましい。前記ガラス繊維用ガラス組成物は、このようにすることにより、低い線膨張係数を維持しつつ赤色の結晶析出を抑制することができるという効果を得ることができる。
また、前記ガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するSiO、Al、MgO及びCaOの合計量が、98.0質量%未満であると、他の不純物成分の含有量が相対的に多くなる。この結果、前記ガラス繊維用ガラス組成物からガラス繊維を製造するときに、作業温度範囲が狭くなり、或いは得られるガラス繊維の繊維強度や繊維弾性率を高くすることができない。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、その全量に対するSiO、Al、MgO及びCaOの合計量が、98.0質量%以上99.5質量%未満であることが好ましく、98.5質量%以上99.0質量%未満であることがより好ましい。前記ガラス繊維用ガラス組成物は、このようにすることにより、作業温度範囲を広くすることができ、得られたガラス繊維の繊維強度や繊維弾性率を高くすることができる。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、Alの含有率(質量%)に対するCaOの含有率(質量%)の比(CaO(質量%)/Al(質量%))が0.50〜0.72の範囲であり、且つ、Alの含有率(質量%)に対するBの含有率(質量%)とCaOの含有率(質量%)との積の比((B(質量%)×CaO(質量%))/Al(質量%))が0.22〜1.00の範囲であることが好ましい。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、(CaO(質量%)/Al(質量%))が、0.53〜0.70の範囲であり、且つ、((B(質量%)×CaO(質量%))/Al(質量%))が0.27〜0.78の範囲であることがより好ましく、(CaO(質量%)/Al(質量%))が、0.53〜0.64の範囲であり、且つ、((B(質量%)×CaO(質量%))/Al(質量%))が0.28〜0.64の範囲であることがさらに好ましい。本発明のガラス繊維用ガラス組成物によれば、このようにすることにより、得られたガラス繊維において、高い繊維弾性率を維持しつつ赤色の結晶析出を抑制することができるという効果を得ることができる。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、該ガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維が、0.001〜0.010質量%、好ましくは0.001〜0.005質量%の量のCrを含んでいてもよい。本発明のガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維は、Crの含有量が前記範囲であれば、複合材料などの成形品としたとき、ガラスの着色による色ムラ、色調変化、外観不良などの発生を抑制することができる。
本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、前記の成分に加えて、NaO及びKOを含んでいてもよい。NaO及びKOは、通常、ガラスの粘度を下げて溶けやすくするために加えられるが、ガラスの強度や耐薬品性が低下するため、ガラス繊維用ガラス組成物全量に対するNaO及びKOの合計量を0.05〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、Feを含んでいてもよい。Feは、通常、ガラス原料中の不純物として存在するが、溶融ガラス中の輻射熱の吸収やガラス繊維の着色に影響するため、ガラス繊維用ガラス組成物全量に対するFeの含有量を0.05〜1.0質量%の範囲とすることが好ましい。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物において、NaO、KO及びFeを含む場合、ガラス繊維用ガラス組成物の全量に対するNaO、KO及びFeの合計量は、0.1〜2.0質量%の範囲とすることが好ましく、0.1〜0.5質量%の範囲とすることがより好ましい。
尚、本発明のガラス繊維用ガラス組成物において、上述した各成分の含有率の測定は、軽元素であるBについてはICP発光分光分析装置を用いて、その他の元素は波長分散型蛍光X線分析装置を用いて行うことができる。
測定方法としては、初めにガラスバッチ(ガラス原料を混合して調合したもの)、又は、ガラス繊維(ガラス繊維表面に有機物が付着している場合、又は、ガラス繊維が有機物(樹脂)中に主に強化材として含まれている場合には、例えば、300〜600℃のマッフル炉で2〜24時間程度加熱する等して、有機物を除去してから用いる)を白金ルツボに入れ、電気炉中で1550℃の温度に6時間保持して撹拌を加えながら溶融させることにより、均質な溶融ガラスを得る。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板上に流し出してガラスカレットを作製した後、粉砕し粉末化する。軽元素であるBについてはガラス粉末をアルカリ溶融分解した後、ICP発光分光分析装置を用いて定量分析する。その他の元素はガラス粉末をプレス機で円盤状に成形した後、波長分散型蛍光X線分析装置を用いて定量分析する。これらの定量分析結果を酸化物換算して各成分の含有量及び全量を計算し、これらの数値から上述した各成分の含有率を求めることができる。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物は、該ガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維の繊維弾性率が83GPa以上であり、線膨張係数が50〜200℃の温度範囲で4.2ppm/K以下であり、繊維強度が4.0GPa以上であることが好ましい。本発明のガラス繊維用ガラス組成物によれば、前記繊維弾性率、線膨張係数、繊維強度を前記範囲とすることにより、汎用ガラス(Eガラス)よりも高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えるガラス繊維を得ることができる。
また、本発明のガラス繊維用ガラス組成物によれば、その製造過程において赤色の結晶発生を抑制できるので、扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維、及び、真円状の円形断面を備え繊維径が3μm以上10μm未満の範囲にあるガラス繊維を効率的に得ることができる。ここで、扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維としては、断面形状の短径に対する長径の比(長径/短径)が2.0〜6.0の範囲にあり、且つ、断面積を真円に換算したときの繊維径が10〜30μmの範囲にあるガラス繊維を挙げることができる。このような異形断面を備えるガラス繊維がとる断面形状としては、長円形(長方形の両端に半円状の形状を付けたもの、あるいはそれに類似した形状をいう)、楕円形、長手方向の中央部がくびれた繭形を挙げることができ、このガラス繊維を含む樹脂成形品を製造する際の流動性に優れることから、長円形であることが好ましい。
実施例1のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例2のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例3のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例1のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例2のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例3のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例4のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例5のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例6のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例7のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例4のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例8のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例9のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 実施例10のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例5のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例6のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例7のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例8のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例9のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例10のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例11のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。 比較例12のガラス繊維用ガラス組成物から得られたガラスにおける赤色の結晶の析出の有無を示すレーザー顕微鏡写真。
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態のガラス繊維用ガラス組成物は、全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、17.5〜20.0質量%の範囲のAlと、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のBとを含み、且つ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上である。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、赤色の結晶の発生を抑制可能な添加物として前記範囲の量のBを含むので、得られたガラス繊維に赤色の結晶が混入することを防止し、ガラス繊維の製造を安定に行うことができる。また、前記ガラス繊維用ガラス組成物は、全量に対するSiO、Al、MgO及びCaOの含有量を上述の範囲とすることにより、前記範囲の量のBを添加したときにも、汎用ガラスよりも高い繊維強度や高い繊維弾性率を備えるガラス繊維を製造することができる。
前記ガラス繊維用ガラス組成物は、前述の組成となるように調合されたガラス原料(ガラスバッチ)を溶融することにより得ることができる。
前記組成を備えるガラス繊維用ガラス組成物は、1000ポイズ温度が1300〜1350℃の範囲の温度であり、液相温度が1200〜1250℃の範囲の温度である。この場合、1000ポイズ温度と液相温度との間の温度範囲である作業温度範囲が50℃以上であることにより、安定した紡糸が可能となり、月産数百トン以上といったガラス繊維の大規模製造に適する。なお、前記組成を備えるガラス繊維用ガラス組成物において、作業温度範囲は、例えば、100〜130℃の範囲となり、好ましくは、102〜125℃の範囲となり、より好ましくは、105〜122℃の範囲となる。
前記ガラス繊維用ガラス組成物からガラス繊維を製造するときには、まず、前述のように調合したガラス原料を溶融炉に供給し、前記1000ポイズ温度以上の温度域、具体的には1450〜1550℃の範囲の温度で溶融する。そして、前記温度に溶融された溶融ガラスを所定の温度に制御されたブッシングのノズルチップから吐出し、高速で巻き取ることにより引き伸ばしながら冷却し、固化することによりガラス繊維を形成する。
前記溶融炉は、月産数百トン以上の大型炉であり、例えばガスバーナーによる間接火炎加熱方式で加熱され、溶融ガラスに接触する部分には、高温におけるガラス耐食性に優れた酸化クロムレンガが使用されている。
また、前記ノズルチップは、例えば、扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維を製造する場合には、ブッシング底面のノズルプレートに、短径に対する長径の比(長径/短径)が2〜10の範囲にあり、開口径が長径1.0〜10.0mm、短径0.5〜2.0mmである開口部(オリフィス孔)及び、開口部を通過した溶融ガラスを急冷するための切欠部や突起部といった冷却手段を備えるものを用いることができる。
また、前記ノズルチップは、例えば、真円状の円形断面を備え、繊維径が3μm以上10μm未満のガラス繊維を製造する場合には、開口径が0.5〜1.5mmである円形の開口部を備えるものを用いることができる。
前記扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維を製造する場合、前記ブッシングの制御温度は、1260〜1350℃である。前記ブッシングの制御温度が、1260℃未満では前記溶融ガラスの粘性が極めて高く、加えて、液相温度に近づくためガラス由来の結晶(失透)が析出しやすくなるため、ノズルチップからの吐出が困難となりガラス繊維の製造自体が困難になる。また、前記ブッシングの制御温度が1350℃を超えると、溶融ガラスの粘度が低くなり表面張力が作用しやすくなるので、前記扁平形状等の異形断面を備えるガラス繊維を得ることができない。
一方、前記真円状の円形断面を備え繊維径が3μm以上10μm未満のガラス繊維を製造する場合、前記ブッシングの制御温度は、1300〜1450℃である。前記ブッシングの制御温度が1300℃未満では溶融ガラスの粘性が高くなるため、細いノズルチップからの吐出が困難となり、ガラス繊維の製造自体が困難になる。また、前記ブッシングの制御温度が1450℃を超えると、ノズルチップから吐出した溶融ガラスが液滴状となり繊維とならない。
本実施形態のガラス繊維用ガラス組成物によれば、前述のようにしてガラス繊維を製造することにより、該ガラス繊維に赤色の結晶が混入することなく安定に紡糸を行うことができる。次に本発明の実施例及び比較例を示す。
〔実施例1〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを59.3質量%、Alを19.0質量%、MgOを10.0質量%、CaOを11.0質量%、Bを0.5質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.3質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表1に示す。
次に、前記ガラスバッチを白金ルツボに入れ、電気炉中、1550℃の温度に6時間保持して撹拌を加えながら溶融させることにより、均質な溶融ガラスを得た。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板上に流し出してガラスカレットを作製した。このとき前記溶融ガラスの1000ポイズ温度と液相温度とを測定し、作業温度範囲(ΔT)を算出した。
1000ポイズ温度は、回転粘度計付高温電気炉(芝浦システム株式会社製)を用い、白金ルツボ中でガラスカレットを溶融し、回転式ブルックフィールド型粘度計を用いて溶融温度を変化させながら連続的に溶融ガラスの粘度を測定し、回転粘度が1000ポイズのときに対応する温度を測定することにより求めた。
また、液相温度は、以下の手順により求めた。まず、ガラスカレットを粉砕し、粒径0.5〜1.5mmのガラス粒子40gを180×20×15mmの白金製ボートに入れ、1000〜1400℃の温度勾配を設けた管状電気炉で8時間以上加熱した後、該管状電気炉から取り出し、偏光顕微鏡で観察して、ガラス由来の結晶(失透)が析出し始めた位置を特定した。管状電気炉内の温度をB熱電対を用いて実測し、前記結晶が析出し始めた位置の温度を求めて液相温度とした。
また、上述の方法で測定した1000ポイズ温度と液相温度との差を作業温度範囲(ΔT)として算出した。結果を表2に示す。
次に、得られたガラスカレットを容器底部に1つの円形ノズルチップを有する小型の筒型白金製ブッシング内に入れ、所定の温度に加熱して溶融したのち、ノズルチップから吐出した溶融ガラスを所定の速度で巻き取ることにより引き伸ばしながら冷却固化して、真円状の円形断面を備え、繊維径13μmのガラス繊維を得た。
次に、ノズルチップと巻き取り機の間の一本の繊維(モノフィラメント)を採取し、接触や摩擦による劣化のない状態のものをサンプルとして、本実施例で得られたガラス繊維の繊維強度、繊維弾性率を測定した。
繊維強度は、接触、摩擦等による傷、劣化等のないモノフィラメントを、中央に直径25mmの穴の開いた所定の台紙に接着して試験片とし、該試験片を引張試験機(株式会社オリエンテック製)のつかみ具にセットし、台紙の端部を切除した後、クロスヘッド速度5mm/分で引張試験を行い、破断時の最大荷重値と繊維断面積から算出した。前記繊維断面積は、走査型電子顕微鏡(日立株式会社製、商品名:S−3400)にてモノフィラメントを観察して得られた繊維径から算出した。測定中に糸抜けや糸折れが生じた試験片は除外し、n=30の平均値を繊維強度の測定値とした。
繊維弾性率は、前記モノフィラメントを、中央に直径50mmの穴の開いた所定の台紙に接着して試験片とし、該試験片を前記引張試験機のつかみ具にセットし、台紙の端部を切除した後、クロスヘッド速度5mm/分で引張試験を行い、初期の強度変動値とそれに対応する伸び率から算出した。測定中に糸抜けが生じた試験片は除外し、n=15の平均値を繊維弾性率の測定値とした。
また、線膨張係数は次のようにして測定した。まず、ガラスカレットを溶融した後、冷却してガラスバルクを作製し、ガラスバルクの歪みを除くために除歪温度(660〜750℃)で2時間加熱し、8時間かけて室温(20〜25℃)まで冷却した後、該ガラスバルクから4×4×20mmの試験片を作製した。次に、前記試験片を昇温速度10℃/分で加熱し、50〜200℃の範囲の温度で、熱機械分析装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて伸び量を測定し、該伸び量から線膨張係数を算出した。
本実施例で得られたガラス繊維の繊維強度、繊維弾性率及び線膨張係数を表2に示す。
次に、本実施例では、ガラス繊維製造において、稀に生じる赤色の結晶が発生する状況を再現することにより、前記ガラス繊維用ガラス組成物と赤色の結晶との関係性を検証した。
本実施例では、赤色の結晶が発生する状況を再現するために、前記ガラス繊維用ガラス組成物にCrを添加するが、このCrの添加量は、溶融ガラスに接触する部分が前記酸化クロムレンガからなるガラス溶融炉内に滞留しているガラス塊に含まれるCrの最大濃度に基づいている。前記ガラス塊には、前記酸化クロムレンガから長時間をかけて溶出したCrが凝縮しているため、前記溶融炉を短時間で通過して繊維化される溶融ガラスが含み得るCr濃度は、該ガラス塊中のCrの最大濃度を超えることはない。
そこで、次に、本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の全量に対し、0.10質量%の酸化クロム(Cr)を含むようにガラスバッチを調合した。次に、前記酸化クロムを含むガラスバッチを白金製ルツボに入れ、電気炉中、1550℃の温度に6時間保持して撹拌を加えながら溶融させることにより、均質な溶融ガラスを得た。次に、得られた溶融ガラスをカーボン板上に流し出してガラスカレットを作製した。
得られたガラスカレット40gを60×30×15mmの白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、ブッシング制御温度より低い1250℃に降温して12時間保持した。次に、前記白金製ボートからガラスを取り除き、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社製、商品名:レーザー走査型顕微鏡 LEXT OLS)を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図1及び表2に示す。
尚、顕微鏡倍率200倍の視野(1.30×1.05mm)で10μm以上の結晶物が5個以下であるときに、赤色結晶の析出が無いと判定した。
〔実施例2〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを58.8質量%、Bを1.0質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例1と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表1に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲、線膨張係数と、本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率とを測定した。結果を表2に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図2及び表2に示す。
〔実施例3〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを58.3質量%、Bを1.5質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例1と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.3質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表1に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして、本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲、線膨張係数と、本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率とを測定した。結果を表2に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図3及び表2に示す。
〔比較例1〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを59.8質量%含み、Bを全く含まないガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例1と全く同一にしてガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表1に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲、線膨張係数と、本比較例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率とを測定した。結果を表2に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図4及び表2に示す。
〔比較例2〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを59.5質量%、Bを0.3質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例1と全く同一にしてガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.5質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表1に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲、線膨張係数と、本比較例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率とを測定した。結果を表2に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図5及び表2に示す。
〔比較例3〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを57.8質量%、Bを2.0質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例1と全く同一にしてガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が97.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表1に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲、線膨張係数と、本比較例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率とを測定した。結果を表2に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図6及び表2に示す。
図4、5及び表1から、Bの含有量がガラス繊維用ガラス組成物の全量の0.5質量%未満の場合(比較例1、比較例2)には、ガラスカレットのガラス組織中に微小な粒子(赤色の結晶)が生じていることがわかる。
これに対し、図1〜3及び表1から、Bを、ガラス繊維用ガラス組成物の全量の0.5〜1.5質量%の範囲で含む場合(実施例1〜3)には、ガラスカレットのガラス組織中に微小な粒子(赤色の結晶)が全く生じていないことがわかる。
また、図6及び表1から、Bの含有量がガラス繊維用ガラス組成物の全量の1.5質量%を超える場合(比較例3)には、ガラスカレットのガラス組織中に微小な粒子(赤色の結晶)は生じないものの、83GPa以上の十分な繊維弾性率及び4.0GPa以上の十分な繊維強度を得ることができないことがわかる。
さらに、表1〜2から、比較例1のガラス繊維用ガラス組成物の組成において、0.5〜1.5質量%のBを含み、Bの含有量だけSiOの含有量を減じた実施例1〜3のガラス繊維用ガラス組成物によれば、ガラス繊維において比較例1と同等の繊維強度及び繊維弾性率を得ることができることが明らかである。
〔実施例4〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを58.8質量%、Alを19.5質量%、MgOを9.0質量%、CaOを12.0質量%、Bを0.5質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.3質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表3に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表3に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図7及び表3に示す。
〔実施例5〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、Alを19.0質量%、Bを1.0質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例4と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表3に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表3に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図8及び表3に示す。
〔実施例6〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、Alを18.5質量%、Bを1.5質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例4と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.3質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表3に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表3に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図9及び表3に示す。
〔実施例7〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、Alを18.2質量%、MgOを10.0質量%、CaOを11.8質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例5と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表3に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表3に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図10及び表3に示す。
〔比較例4〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、Alを20.0質量%含み、Bを全く含まないガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例4と全く同一にしてガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表3に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図11及び表3に示す。
図11及び表3から、Bを全く含まない比較例4の場合には、ガラスカレットのガラス組織中に微小な粒子(赤色の結晶)が生じていることがわかる。
これに対し、図7〜10及び表3から、比較例4のガラス繊維用ガラス組成物の組成において、0.5〜1.5質量%のBを含み、Bの含有量だけAlの含有量を減じた実施例4〜6のガラス繊維用ガラス組成物、及び1.0質量%のBを含み、Al含有量とCaO含有量を減じ、MgO含有量を増加した実施例7のガラス繊維用ガラス組成物によれば、赤色結晶の析出を無くすことができることが明らかである。
〔実施例8〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを58.3質量%、Alを19.0質量%、MgOを12.0質量%、CaOを10.0質量%、Bを0.5質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.3質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表4に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表4に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図12及び表4に示す。
〔実施例9〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、Alを18.7質量%、MgOを11.8質量%、Bを1.0質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例8と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表4に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表4に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図13及び表4に示す。
〔実施例10〕
本実施例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、Alを18.5質量%、MgOを11.5質量%、Bを1.5質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例8と全く同一にしてガラスバッチを得た。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.3質量%となっている。本実施例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表4に示す。
次に、本実施例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、該ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸した。次に、実施例1と全く同一にして本実施例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表4に示す。
次に、本実施例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図14及び表4に示す。
〔比較例5〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを58.8質量%含み、Bを全く含まないガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合した以外は、実施例8と全く同一にしてガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が99.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表4に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図15及び表4に示す。
図15及び表4から、Bを全く含まない比較例5の場合には、ガラスカレットのガラス組織中に微小な粒子(赤色の結晶)が生じていることがわかる。
これに対し、図12〜14及び表4から、比較例5のガラス繊維用ガラス組成物の組成において、0.5〜1.5質量%のBを含み、Bの含有量だけSiOのみ、又はSiO、Al、MgOの含有量を減じた実施例8〜10のガラス繊維用ガラス組成物によれば、赤色結晶の析出を無くすことができることが明らかである。
〔比較例6〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを57.0質量%、Alを22.0質量%、MgOを9.8質量%、CaOを10.0質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表5に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図16及び表5に示す。
〔比較例7〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを59.0質量%、Alを20.0質量%、MgOを12.0質量%、CaOを7.8質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表5に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図17及び表5に示す。
〔比較例8〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを57.5質量%、Alを22.0質量%、MgOを11.8質量%、CaOを7.5質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表5に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図18及び表5に示す。
図16〜18及び表5から、ガラス繊維用ガラス組成物の全量に対するAlの含有量が20.0質量%を超えている比較例6、CaOの含有量が10.0質量%未満の比較例7、Alの含有量が20.0質量%を超え、CaOの含有量が10.0質量%未満の比較例8の場合には、Bの含有量が0.5〜1.5質量%の範囲であっても赤色結晶の析出を防止できないことが明らかである。
〔比較例9〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを59.8質量%、Alを16.0質量%、MgOを10.5質量%、CaOを12.5質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表6に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲を測定した。また、前記ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸し、実施例1と全く同一にして本比較例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表6に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図19及び表6に示す。
〔比較例10〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを58.3質量%、Alを18.0質量%、MgOを9.0質量%、CaOを13.5質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表6に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲を測定した。また、前記ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸し、実施例1と全く同一にして本比較例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表6に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図20及び表6に示す。
〔比較例11〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを59.8質量%、Alを20.0質量%、MgOを8.0質量%、CaOを11.0質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表6に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲を測定した。また、前記ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸し、実施例1と全く同一にして本比較例で得られたガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定した。結果を表6に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図21及び表6に示す。
〔比較例12〕
本比較例では、まず、各ガラス原料を混合し、溶融したときに、全量に対し、SiOを57.0質量%、Alを18.0質量%、MgOを13.0質量%、CaOを10.8質量%、Bを1.0質量%、その他の成分としてNaO、KO及びFeを0.2質量%含むガラス繊維用ガラス組成物の溶融物(溶融ガラス)となるように調合されたガラスバッチを得た。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物は、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.8質量%となっている。本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の組成を表6に示す。
次に、本比較例のガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製し、本比較例のガラス繊維用ガラス組成物の1000ポイズ温度、液相温度、作業温度範囲を測定した。また、前記ガラスカレットを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラス繊維を紡糸したが、本比較例ではMgOの含有量が12.0質量%を超えているために、1000ポイズ温度と液相温度とが近く、作業温度範囲が狭くなっている。この結果、本比較例ではガラス繊維の紡糸を安定に行うことができず、ガラス繊維(モノフィラメント)の繊維強度、繊維弾性率を測定することができなかった。結果を表6に示す。
次に、本比較例で得られたガラスバッチを用いた以外は、実施例1と全く同一にして酸化クロムを含むガラスバッチを調合し、該酸化クロムを含むガラスバッチを用いた以外は実施例1と全く同一にしてガラスカレットを作製した。次に、得られたガラスカレットを実施例1と全く同一にして白金製ボートに入れ、電気炉中1550℃で2時間溶融した後、1250℃に降温して12時間保持した。次に、実施例1と全く同一にして、白金表面上の該ガラスとの界面部分をレーザー顕微鏡を用いて倍率200倍で観察し、赤色結晶の析出の有無を調べた。結果を図22及び表6に示す。
図19〜22及び表6から、ガラス繊維用ガラス組成物の全量に対するAlの含有量が17.5質量%未満の比較例9、CaOの含有量が13.0質量%を超えている比較例10、MgOの含有量が8.5質量%未満の比較例11の場合には、ガラスカレットのガラス組織中に微小な粒子(赤色の結晶)は生じないものの、83GPa以上の十分な繊維弾性率を得ることができないことが明らかである。
また、MgOの含有量が12.0質量%を超えている比較例12の場合には、1000ポイズ温度と液相温度とが近く、作業温度範囲が50℃未満と狭いため、ガラス繊維の紡糸を安定に行うことが難しく、ガラス繊維の製造に適さない。

Claims (11)

  1. 全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、17.5〜20.0質量%の範囲のAlと、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のBとを含み、且つ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上であることを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  2. 請求項1記載のガラス繊維用ガラス組成物において、全量に対し、57.5〜59.5質量%の範囲のSiOと、18.0〜19.5質量%の範囲のAlと、8.8〜11.5質量%の範囲のMgOと、10.3〜12.5質量%の範囲のCaOと含むことを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  3. 請求項1又は請求項2記載のガラス繊維用ガラス組成物において、全量に対し、58.0〜59.3質量%の範囲のSiOと、18.2〜19.0質量%の範囲のAlと、9.0〜11.0質量%の範囲のMgOと、10.5〜12.0質量%の範囲のCaOと含むことを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項記載のガラス繊維用ガラス組成物において、全量に対し、58.0〜59.3質量%の範囲のSiOと、18.2〜19.0質量%の範囲のAlと、9.0〜11.0質量%の範囲のMgOと、10.5〜11.9質量%の範囲のCaOと含むことを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか1項記載のガラス繊維用ガラス組成物において、Alの含有率(質量%)に対するCaOの含有率(質量%)の比(CaO(質量%)/Al(質量%))が0.50〜0.72の範囲であり、且つ、Alの含有率(質量%)に対するBの含有率(質量%)とCaOの含有率(質量%)との積の比((B(質量%)×CaO(質量%))/Al(質量%))が0.22〜1.00の範囲であることを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項記載のガラス繊維用ガラス組成物において、前記ガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維が0.001〜0.010質量%の範囲の量のCrを含むことを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項記載のガラス繊維用ガラス組成物において、前記ガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維の繊維弾性率が83GPa以上であることを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれか1項記載のガラス繊維用ガラス組成物において、前記ガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維の線膨張係数が50〜200℃の温度範囲で4.2ppm/K以下であることを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれか1項記載のガラス繊維用ガラス組成物において、前記ガラス繊維用ガラス組成物から製造されたガラス繊維の繊維強度が4.0GPa以上であることを特徴とするガラス繊維用ガラス組成物。
  10. 全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、17.5〜20.0質量%の範囲のAlと、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のBとを含み、且つ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上であるガラス繊維用ガラス組成物から形成されたガラス繊維であって、
    該ガラス繊維は、断面形状の短径に対する長径の比(長径/短径)が2.0〜6.0の範囲にあり、断面積を真円に換算したときの繊維径が10〜30μmの範囲にある異形断面を備えることを特徴とするガラス繊維。
  11. 全量に対し、57.0〜60.0質量%の範囲のSiOと、17.5〜20.0質量%の範囲のAlと、8.5〜12.0質量%の範囲のMgOと、10.0〜13.0質量%の範囲のCaOと、0.5〜1.5質量%の範囲のBとを含み、且つ、SiO、Al、MgO及びCaOの合計量が98.0質量%以上であるガラス繊維用ガラス組成物から形成されたガラス繊維であって、
    該ガラス繊維は、真円状の円形断面を備え、繊維径が3μm以上10μm未満の範囲にあることを特徴とするガラス繊維。
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