JP5987822B2 - 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用 - Google Patents

癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用 Download PDF

Info

Publication number
JP5987822B2
JP5987822B2 JP2013508358A JP2013508358A JP5987822B2 JP 5987822 B2 JP5987822 B2 JP 5987822B2 JP 2013508358 A JP2013508358 A JP 2013508358A JP 2013508358 A JP2013508358 A JP 2013508358A JP 5987822 B2 JP5987822 B2 JP 5987822B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
cea
seq
tumor
humanized chimeric
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013508358A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013534406A (ja
Inventor
ジファ ヤン,
ジファ ヤン,
ユリャン ラン,
ユリャン ラン,
Original Assignee
シャンハイ ハイカン ファーマシューティカル テクノロジー アンド デヴェロップメント カンパニー リミテッド
シャンハイ ハイカン ファーマシューティカル テクノロジー アンド デヴェロップメント カンパニー リミテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by シャンハイ ハイカン ファーマシューティカル テクノロジー アンド デヴェロップメント カンパニー リミテッド, シャンハイ ハイカン ファーマシューティカル テクノロジー アンド デヴェロップメント カンパニー リミテッド filed Critical シャンハイ ハイカン ファーマシューティカル テクノロジー アンド デヴェロップメント カンパニー リミテッド
Publication of JP2013534406A publication Critical patent/JP2013534406A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5987822B2 publication Critical patent/JP5987822B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/18Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans
    • C07K16/28Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants
    • C07K16/30Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies against material from animals or humans against receptors, cell surface antigens or cell surface determinants from tumour cells
    • C07K16/3007Carcino-embryonic Antigens
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K51/00Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo
    • A61K51/02Preparations containing radioactive substances for use in therapy or testing in vivo characterised by the carrier, i.e. characterised by the agent or material covalently linked or complexing the radioactive nucleus
    • A61K51/04Organic compounds
    • A61K51/08Peptides, e.g. proteins, carriers being peptides, polyamino acids, proteins
    • A61K51/10Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody
    • A61K51/1093Antibodies or immunoglobulins; Fragments thereof, the carrier being an antibody, an immunoglobulin or a fragment thereof, e.g. a camelised human single domain antibody or the Fc fragment of an antibody conjugates with carriers being antibodies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K39/00Medicinal preparations containing antigens or antibodies
    • A61K2039/505Medicinal preparations containing antigens or antibodies comprising antibodies
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/10Immunoglobulins specific features characterized by their source of isolation or production
    • C07K2317/14Specific host cells or culture conditions, e.g. components, pH or temperature
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/20Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin
    • C07K2317/24Immunoglobulins specific features characterized by taxonomic origin containing regions, domains or residues from different species, e.g. chimeric, humanized or veneered
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/70Immunoglobulins specific features characterized by effect upon binding to a cell or to an antigen
    • C07K2317/73Inducing cell death, e.g. apoptosis, necrosis or inhibition of cell proliferation

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)

Description

本発明は、癌胎児性抗原(CEA)に対するヒト化キメラ抗体、該抗体をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含む発現ベクター、及び前記発現ベクターを含む宿主細胞並びに腫瘍を診断及び/若しくは治療するための薬剤又は医薬の調製におけるそれらの使用に関する。
1965年に、カナダのGold及びFredmanは、ヒト結腸がんからの抽出物を用いてウサギを免疫し、得られた血清を用いて様々なヒト組織を調べた。このときに、ヒト内胚葉を起源とする消化管腫瘍の染色が強陽性であることが見出され、2〜6カ月齢の胎児の消化管組織も陽性であることも見出され、よって、消化管腫瘍において発現が陽性であるこのような抗原分子が癌胎児性抗原(CEA)と命名された。後に、内胚葉細胞から分化した腫瘍細胞におけるCEA抗原の発現が、正常細胞のものより100倍高く、よって、これは様々なヒト悪性腫瘍についての重要な抗原及びマーカーであることが見出された。CEAは、約180〜200kDの分子量を有する糖鎖及びペプチド鎖で構成される糖タンパク質である。糖鎖の組成及び起源の違いにより、CEAの生化学的特性及び免疫原性は非常に異質性、多様性及び不均質性を示し、よって巨大分子の比較的大きいファミリーを形成する。CEA分子は、多くの異なる抗原エピトープを有し、これらの異なるエピトープは、成体、胎児器官の異なる正常組織及び様々な悪性腫瘍組織において異なって発現され、その特異性も異なる。Hammarstromらは、1989年に、CEA抗原エピトープを5つの群、すなわちGold1〜5(Gold分類)に分割できることを提案した。Gold1〜5群の抗原エピトープがそれぞれCEA分子のドメインA3、B2、B3、A1及びNにあり、A3及びB3ドメインは他のCEA関連分子との相同性が低く、これらは、CEA分子の比較的ユニークなドメインであることが研究において示されている。
CEAは、細胞の細胞膜上及び細胞質中で主に発現され、8週齢の胚の様々な胚葉組織においても発現される。3カ月を超える胚の組織では、CEAは、胃腸上皮組織において主に発現されるが、成体組織におけるCEAの発現は著しく低減又は減じられ、結腸上皮細胞の表面上で痕跡量が発現されるのみである。しかし、CEAは、結腸直腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮頚がん、前立腺がん、膀胱がん、胆嚢がん及び食道がんを含む多くの悪性腫瘍において50〜90%までの陽性率で高発現される。CEAは、これらの悪性腫瘍の転移巣においても高発現され、発現レベルは原発巣よりも高い。これらの腫瘍のうち、結腸直腸がんにおけるCEA発現は、陽性率(95%より高い)及び強度の両方の点で最も高い。CEAは、結腸直腸がん組織のほぼ全てで高発現され、肝臓転移巣のような転移巣におけるCEAの発現レベル及び陽性率は、原発巣よりも著しく高い。悪性腫瘍におけるCEAの発現は、腫瘍の量、段階、転移及び予後と密接に関係することも多くの研究において証明されている。よって、CEAは、悪性腫瘍についての特異的分子マーカーとして広く認識され、このことにより、腫瘍の標的治療及び診断についての最良の標的の1つとなっている。
CEA陽性悪性腫瘍は高い罹患率を有し、非常に多数の患者に影響を与え、世界中の人々の健康について最も驚異となる疾患の1つになっている。例えば、CEAを高発現する結腸がんは、最も一般的に見られる悪性腫瘍の1つである。欧州及びアメリカの先進国における結腸直腸がんの罹患率は、全ての悪性腫瘍のうちで第3位であり、死亡率は第2位である。新しく発生した事例は世界中で毎年100万件を超え、529,000名を超える患者が結腸直腸がんで死亡する。毎年、中国において400,000名近くの結腸直腸がん患者が新しく発生し、結腸直腸がん患者の200,000名近くが、治療に不応性であることにより死亡する。現在までに、FDAは、結腸がんについての4つの一般的に用いられる化学療法医薬:フルオロウラシル、イリノテカン、オキサリプラチン及びカペシタビンのみを承認している。これらの現在利用可能な術後の補助的治療としての化学療法医薬及び化学療法レジメンは、結腸直腸がんの再発率を約15%にまで低減でき、5年生存率を約10〜13%にまで改善及び増加できる。抗体標的医薬は、悪性腫瘍を治療するために最近10年間の間に開発されている別の型の新しい医薬である。非ホジキンリンパ腫などのいくつかの血液系腫瘍の臨床的治療において、これは著しい治療効果を示し、患者の5年生存率を増加できる。CEA抗原を標的として用いる放射活性抗体標的治療剤として、CEA抗体医薬は現在のところ臨床的使用について承認されていない。しかし、2つのCEA抗体放射性免疫治療剤が、第I相、第II相の臨床試験について承認されている。1つは131I−hMN−14抗体医薬、すなわち131Iとカップリングした組換えヒト化抗CEA抗体hMN−14であり、これは、1999年に米国のImmunomedics Corp.により開発され、現在、進行結腸直腸がんにおける薬物耐性転移を治療するための第II相臨床試験がほぼ終了し、第III相臨床試験に入っている。別の抗ヒトCEA抗体医薬は、放射活性核種90yとカップリングしたcT84.66ヒト/マウスキメラ抗体であり、これは米国のCity of Hope National Medical CenterによりFDAの承認のもとで開発されている。現在、進行悪性腫瘍を治療するための第I相臨床試験が終了した。しかし、これらの2つのCEA抗体医薬は、特異性をさらに改良する必要がある、毒性及び副作用をさらに低減する必要がある、抗体の親和性が過剰に高く、このことにより、標的放射性免疫治療中に親和性バリアの発生を引き起こす傾向があり、それにより治療効果に著しく影響するなどのいくつかの問題をまだ有している。従来技術の抗CEA抗体の問題を克服するための新しい抗CEA抗体に対する必要性が存在する。
抗体の結合特異性及び親和性はともに、軽鎖及び重鎖の超可変領域(相補性決定領域、略してCDRともよばれる)のアミノ酸配列により主に決定されることが多くの従来の研究において結論付けられている。米国食品医薬品局(FDA)は、その教育的原理の中で、同じ相補性決定領域を有する同じ型の全ての抗体は1つの抗体に属すると断言している。よって、臨床的な治療価値を有する1つの抗体のCDRを得た後に、その非CDR領域のアミノ酸配列は、様々な確立された知られている技術により容易に変化させて、同じ又はよりよい生物活性を有する変異体を得ることができる。
本発明は、顕著なCEA結合特異性及び適度な親和性を有する親の抗CEAマウスモノクローナル抗体に基づく。
該抗体のCDR領域の配列は、クローニング、同定及び遺伝子構造分析により決定されている。対応するヒト化キメラ抗体及びその真核細胞発現ベクターが構築され、抗CEAヒト化キメラ抗体を発現して分泌する細胞株が得られた。
本発明は、元のマウスモノクローナル抗体のものと同等である適度な親和性に加えて、前記ヒト化キメラ抗体が、優れたCEA結合特異性及びin vivo腫瘍標的特性も有し、結腸がんの増殖を多くの動物モデルにおいてin vivoで著しく阻害できることをさらに実証する。該抗体はヒト化されているので、抗体の毒性及び副作用は、ヒトに用いた場合に低減できる。本発明は、動物モデル及び放射性免疫イメージングのような実験をさらに採用して、前記ヒト化キメラ抗体が、CEA陽性腫瘍についての優れた標的特性を有し、よって、CEA陽性腫瘍についてのin vivo診断剤を調製するために用いることができることをin vivoにおいて十分に証明する。さらに、本発明は、放射性免疫治療などの実験も採用して、いくつかの動物モデルの体内において、前記ヒト化キメラ抗体がCEA陽性腫瘍の増殖を阻害するための優れた能力を有し、よって、CEA陽性腫瘍のための治療用医薬の調製において用いることができることを実証する。
よって、本発明は、以下の態様に主に関する。
第1の態様では、本発明は、モノクローナル抗体の重鎖が、配列番号7〜9に示すCDR領域を含み、モノクローナル抗体の軽鎖が、配列番号10〜12に示すCDR領域を含む、癌胎児性抗原に対するヒト化キメラモノクローナル抗体又はその機能的変異体に関する。
第2の態様では、本発明は、抗CEAヒト化キメラモノクローナル抗体の軽鎖のアミノ酸配列が、配列番号1であり、重鎖のアミノ酸配列が、配列番号2である、抗CEAヒト化キメラモノクローナル抗体又はその機能的変異体に関する。
第3の態様では、本発明は、前記ヒト化キメラ抗体のCDR領域と同一であるCDR領域を有するポリペプチドに関し、該ポリペプチドは、前記ヒト化キメラ抗体の生物活性と同等又はそれより高い生物活性を有する。抗体の結合特異性及び親和性がともに、CDR領域により主に決定されることが当技術分野において知られている。様々な確立された知られている従来技術に基づいて、非CDR領域のアミノ酸配列を容易に変化させて、同等又はそれより高い生物活性を有する変異体を得ることができる。
第4の態様では、本発明は、第1若しくは第2の態様によるモノクローナル抗体又はその変異体をコードするか又は第3の態様によるポリペプチドをコードする核酸に関する。核酸の配列が変化しても、トリプレットコドンの遺伝子ドグマに従って配列番号1のアミノ酸配列及び配列番号2のアミノ酸配列を含む抗体タンパク質に最終的に翻訳できる限りは、それはやはり前記抗CEAヒト化キメラ抗体をコードするポリヌクレオチドであることが当技術分野において知られている。前記核酸は、DNA又はRNAであり得る。
第5の態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列及び配列番号2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターに関し、好ましくは、該発現ベクターは、真核細胞において高発現される。好ましくは、前記真核細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞である。好ましい実施形態では、前記発現ベクターは、図4に示すpSRNC−Cκ−CEA又は図5に示すpSRDC−Cγ1−CEAである。
第6の態様では、本発明は、第5の態様による発現ベクターを含む宿主細胞に関する。好ましい実施形態では、本発明の宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、特に寄託番号第CGMCC3803号の細胞である。
第7の態様では、本発明は、治療有効量の態様1〜3の1つによる前記抗体若しくはポリペプチド又はその機能的変異体(例えば複合体、融合タンパク質)の、或いは第4の態様による前記核酸の、或いは第5の態様による前記ベクターの、或いは第6の態様による前記宿主細胞の、抗腫瘍医薬の調製における使用に関する。前記腫瘍は、結腸直腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮頚がん、前立腺がん、膀胱がん、胆嚢がん及び食道がん、好ましくは結腸直腸がんからなる群から選択される。好ましい実施形態では、前記抗腫瘍医薬は、活性成分として放射性物質とカップリングした態様1〜3のいずれか1つによる前記抗体又はポリペプチドを含み、好ましくは、前記放射性物質は、131Iである。
第8の態様では、本発明は、態様1〜3の1つによる前記抗体若しくはポリペプチド又はその機能的変異体(例えば複合体、融合タンパク質)の、或いは第4の態様による前記核酸の、或いは第5の態様による前記ベクターの、或いは第6の態様による前記宿主細胞の、腫瘍診断剤の調製における使用に関する。前記腫瘍は、結腸直腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、卵巣がん、子宮頚がん、前立腺がん、膀胱がん、胆嚢がん及び食道がん、好ましくは結腸直腸がんからなる群から選択される。好ましい実施形態では、前記腫瘍診断医薬は、活性成分として放射性免疫イメージング剤とカップリングした態様1〜3のいずれか1つによる前記抗体又はポリペプチドを含み、好ましくは、前記放射性免疫イメージング剤は、188Reである。
親のマウスモノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞の抽出した全RNAについてのアガロースゲル電気泳動を用いた分析を示す。レーン1.分子量マーカー、λDNA/HindIII。レーン2.親のマウスモノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞の全RNA。 親のマウスモノクローナル抗体VL、VH遺伝子のPCR産物についてのアガロースゲル電気泳動を用いた分析を示す。レーン1.分子量マーカー、λDNA/HindIII。レーン2.親のマウスモノクローナル抗体VL遺伝子のPCR産物。レーン3.親のマウスモノクローナル抗体VH遺伝子のPCR産物。 増幅により得られた親のマウスモノクローナル抗体VL、VH遺伝子のヌクレオチド配列及びそのアミノ酸配列並びにCDR配列を示す。 抗CEAヒト化キメラ抗体軽鎖真核発現ベクターpSRNC−Cκ−CEAの構造についての概略図を示す。Pw、減弱化真核プロモーター;Neo、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子;PhCMV−IE、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター及びエンハンサー;VL遺伝子、リーダーペプチド配列及び5’端イントロンスプライシング部位配列を有する軽鎖可変領域の遺伝子断片;Cκ遺伝子、ヒト抗体軽鎖のκ鎖定常領域遺伝子断片;BGHポリA、ウシ成長ホルモンポリAテイル付加部位;Ap、アンピシリン耐性遺伝子。 抗CEAヒト化キメラ抗体重鎖真核発現ベクターpSRDC−Cγ1−CEAの構造についての概略図を示す。Pw、減弱化真核プロモーター;dhfr、ジヒドロ葉酸還元酵素(dhfr)遺伝子;PhCMV−IE、ヒトサイトメガロウイルス最初期プロモーター及びエンハンサー;VH遺伝子、リーダーペプチド配列及び5’端イントロンスプライシング部位配列を有する重鎖可変領域の遺伝子断片;Cγ1遺伝子、ヒト抗体重鎖のγ1鎖定常領域遺伝子断片;BGHポリA、ウシ成長ホルモンポリAテイル付加部位;Ap、アンピシリン耐性遺伝子。 抗CEAヒト化キメラ抗体を高レベルで発現及び分泌する細胞株についての構築及びスクリーニングプロセスを示す。 ELISA法を用いて測定した、抗CEAヒト化キメラ抗体を発現及び分泌するCHO細胞株の上清中のキメラ抗体含量を示す。ここで、CHO上清(1:1000)、OD490=1.520は、0.08μg/ml、上清ストック溶液の濃度:0.08×1000=80μg/mlに相当する。 RT−PCRを用いて分析した、抗CEAヒト化キメラ抗体の抗原特異性を示す。レーン1.λDNA/HindIII。レーン2.320bpマーカー。レーン3.抗CEAヒト化キメラ抗体VL遺伝子のPCR増幅産物。レーン4.抗CEAヒト化キメラ抗体VH遺伝子のPCR増幅産物。レーン5、6.陰性対照。 免疫蛍光を用いて分析した、抗CEAヒト化キメラ抗体の抗原特異性を示す。 抗CEAヒト化キメラ抗体が、いくつかのCEA発現がん細胞上のCEA抗原を認識できることを示す。 ウェスタンブロッティングを用いて分析した、抗CEAヒト化キメラ抗体のヒト化特性を示す。レーン1.分子量マーカー。レーン2.キメラ抗体、2次抗体として抗ヒトIgG Fc−HRP。レーン3.マウスモノクローナル抗体、2次抗体として抗ヒトIgG Fc−HRP。レーン4.キメラ抗体、1次抗体として抗ヒトκ鎖。レーン5.マウスモノクローナル抗体、1次抗体として抗ヒトκ鎖。 抗CEAヒト化キメラ抗体の組織1グラムあたりのパーセント(ID%/g)として表した、放射活性線量取り込み分析の結果を示す。 腫瘍組織と正常組織との間(T/NT)の抗CEAヒト化キメラ抗体の放射線比率の結果を示す。 抗CEAヒト化キメラ抗体によるCEA陽性結腸がんの腫瘍のin vivo放射性免疫イメージングを示す。 抗CEAヒト化キメラ抗体とI−13との複合体の単回投与によるヒト結腸がんを有するヌードマウス移植腫瘍モデルの治療の結果を示す(増殖曲線)。 抗CEAヒト化キメラ抗体とI−13との複合体の複数回投与によるヒト結腸がんを有するヌードマウス移植腫瘍モデルの治療の結果を示す(増殖曲線)。
本発明の抗CEAヒト化キメラ抗体の抗体可変領域は、抗マウスモノクローナル抗体C24由来であり、これは、本発明者らがCEAを用いてマウスを免疫することにより以前に調製及び取得し、2010年5月4日に寄託番号第CGMCC3802号の下で寄託されたハイブリドーマ細胞から得ることができる。いくつかの以前の研究(Lu,Baolan.Cheng,Ming.Qiang,Laiying.ら「The study for the preparation and immunological characteristics of carcinoembryonic antigen monoclonal antibody」Chinese Journal of Biotechnology.1986、15(2):37頁)は、このマウスモノクローナル抗体が、特に高い特異性及び適度な親和性を含む、標的治療に適切ないくつかの優れた生物学的特性を有することを示す。該モノクローナル抗体は、CEA抗原と高い特異性で結合し、胃がん、肺がん、結腸がん、直腸がん、乳がん、卵巣がん、膀胱がんなどを含むいくつかのヒト腫瘍とin vitroで特異的に結合できるが、正常ヒト組織細胞と高い特異性ではほとんど結合しない。数千の試料の免疫組織化学的分析は、抗体が、上記のいくつかの腫瘍組織と、60%〜90%までの陽性率で結合するが、正常組織との結合についての陽性率は5%〜10%の間のみであることを実証する。さらに、高い特異性に加えて、標的治療についての別の利点は、モノクローナル抗体が適度な親和性を有することである。抗原−抗体結合力学によると、標的治療に用いる場合、過剰に高い親和性を有する抗体は、標的抗体が腫瘍表面に吸着し、腫瘍の内部にさらに浸透してよりよい治療効果を奏することが妨げられる結果となる。よって、適度な親和性を有する抗体が、腫瘍の標的治療のためにより適切である。本発明の抗CEAマウスモノクローナル抗体は、適度な親和性を有し、親和性定数は約1×10−9−1である。そのヒト化抗体は、腫瘍の臨床治療においてよりよい治療効果及び展望を有すると期待できる。
定義
モノクローナル抗体
本明細書で用いる場合、用語「モノクローナル抗体」は、本質的に相同な抗体の群から得られる抗体のことをいい、すなわち、この群に含まれる抗体のそれぞれが、いくつかの自発的突然変異体が非常に少量で存在し得ることを除いて同一である。モノクローナル抗体は、単独標的部位に対して高度に特異的な抗体である。さらに、従来の(ポリクローナル)抗体調製(これは、異なる決定因子(エピトープ)に対する異なる抗体を典型的に含有する)とは対照的に、各モノクローナル抗体は、標的上の1つの単独決定因子に対する。その特異性に加えて、モノクローナル抗体の利点は、ハイブリドーマ培養により合成でき、他の免疫グロブリンが混入しないことである。修飾語「モノクローナル」は、抗体が、本質的に均質な抗体集団から得られるという特徴のことをいうが、何らかの特別なプロセスにより抗体を生成する必要があることを意味しない。例えば、本発明で用いるモノクローナル抗体は、従来の技術によりファージ抗体ライブラリーから単離できる。本発明に従って用いる親のモノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein、Nature 256、495頁(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法により生成できるか、又は組換え法により生成できる。
相補性決定領域(CDR)
本明細書で用いる場合、用語「相補性決定領域」は、免疫グロブリンのような結合分子の可変領域中の配列のことをいう。典型的に、相補性決定領域は、抗原上の認識されるエピトープに相補的(形状及び電荷分布の点で)な抗原結合部位を主にもたらす。CDR領域は、タンパク質若しくはタンパク質断片の直鎖状エピトープ、不連続エピトープ又は立体構造エピトープに特異的であり得る。これらのエピトープは、それらの天然の立体構造でタンパク質上に存在するか、又は変性形(例えばSDS中での可溶化により)でタンパク質上に存在する場合もある。エピトープは、翻訳後修飾タンパク質で構成されることもできる。
ポリヌクレオチド
本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」は、ストリンジェントな条件下で本質的に同一のヌクレオチド配列とハイブリダイズでき(天然ヌクレオチドと全く同じように)、及び/又は天然ヌクレオチドと全く同じように同一アミノ酸に翻訳できる限り、デオキシリボ−ポリヌクレオチド、リボ−ポリヌクレオチド又は天然のリボヌクレオチドの本質的な特性を有するそれらの類似体を含む。ポリヌクレオチドは、天然若しくは異種構造又は調節遺伝子の全長配列若しくはサブシークエンスであり得る。そうでないと明記しない限り、この用語は、特定の配列及びその相補配列を含む。よって、用語「ポリヌクレオチド」は、本明細書で用いる場合、安定性又は他の理由のために改変された原則的な鎖DNA又はRNAを含む。
ポリペプチド
本明細書で用いる場合、用語「ポリペプチド」は、アミノ酸残基のポリマーのことをいう「ペプチド」及び「タンパク質」と交換可能に用いることができる。この用語は、1若しくは複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工的類似体であるアミノ酸ポリマーのために用いられ、天然アミノ酸ポリマーのために用いられる。天然アミノ酸のこのような類似体の本質的な特性は、該類似体をタンパク質に組み込んだ場合に、タンパク質が、同一であるが完全に天然のアミノ酸で構成されるタンパク質により刺激される抗体と特異的に反応できることである。用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、それらに限定されないがリン酸化、グリコシル化、脂質付加、硫化、グルタミン酸残基のγ−カルボキシル化、ヒドロキシル化及びADP−リボシル化を含む改変も含む。
特異的結合
本明細書で用いる場合、抗体と抗原のようなその結合パートナーとの間の相互作用に関して言及する用語「特異的結合」は、上記の相互作用が、抗原決定因子又はエピトープの存在のような結合パートナー上の特定の構造の存在に依存することを意味する。言い換えると、上記の結合パートナーが他の分子又は生物の混合物中に存在しても、上記の抗体が、上記の結合パートナーとまだ優先的に結合又は認識する。上記の結合は、共有相互作用若しくは非共有相互作用又は2つの相互作用の両方により媒介できる。つまり、用語「特異的結合」は、抗原又はその断片との免疫特異的結合及び他の抗原との非免疫特異的結合のことをいう。免疫特異的結合の結合分子は、放射性免疫分析(RIA)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、BIACORE又は当技術分野において既知のアッセイにより決定されるより低い親和性で他のペプチド又はポリペプチドと結合できる。結合分子又は抗原と免疫特異的に結合するその断片は、関連抗原と交差反応できる。好ましくは、結合分子又は抗原と免疫特異的に結合するその断片は、他の抗原と交差反応しない。
機能的変異体
本明細書で用いる場合、用語「機能的変異体」は、親の結合分子のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列と比較した場合に1若しくは複数のヌクレオチド及び/又はアミノ酸を改変するヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列を含むが、親の結合分子の結合パートナー(例えばCEA)とまだ競合的に結合できる結合分子のことをいう。言い換えると、親の結合分子のヌクレオチド及び/又はアミノ酸配列における改変が、上記のヌクレオチド配列によりコードされるか又は上記のアミノ酸配列を含む結合分子の結合特異性に著しく影響しないか又はそれを変化させない、すなわち上記の結合分子が、その標的部位をまだ認識し、それと結合できる。上記の機能的変異体は、ヌクレオチド又はアミノ酸の置換、付加及び欠失を含む保存配列改変を有することができる。これらの改変は、部位特異的突然変異誘発及びランダムPCR媒介突然変異誘発のような当技術分野において既知の標準的な技術により導入でき、天然及び非天然のヌクレオチド並びにアミノ酸を含むことができる。
保存アミノ酸置換は、同様の構造又は化学的特異性を有するアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置き換えを含む。類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーが決定されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えばリシン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β−分岐側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。当業者は、上記以外のアミノ酸残基ファミリー分類も用いることができることを理解している。さらに、変異体は、異なる構造又は化学的特性を有するアミノ酸残基によるアミノ酸残基の置き換えのような非保存アミノ酸置換も有することができる。同様の小さい変化は、アミノ酸の欠失若しくは挿入又は両方も含み得る。アミノ酸残基を、その免疫学的活性を消去することなく置換、挿入又は欠失できることを決定するための指示は、当技術分野において既知のコンピュータプログラムを用いて見出すことができる。
ヌクレオチド配列中の変異は、トランジション変異若しくはトランスバージョン変異のような遺伝子座において生じる単独変異(部位変異)であり得るか、又は単独の座における複数のヌクレオチドの挿入、欠失若しくは変化であり得る。さらに、1又は複数の変化を、ヌクレオチド配列内の任意の数の座において作製できる。変異は、当技術分野において既知の適当な方法により行うことができる。
キメラ抗体
キメラ抗体を生成するための方法は、当業者により得ることができる。例えば、軽鎖及び重鎖はそれぞれ、例えば免疫グロブリン軽鎖及び免疫グロブリン重鎖を用いて別々のプラスミドにおいて発現できる。次いで、これらを精製し、in vitroにて完全抗体としてアセンブリする。このようなアセンブリを遂行するための方法は、記載されている。例えばScharff,M.、Harvey Lectures 69:125頁(1974)を参照されたい。Oiら、Bio Techniques 4(4):214〜221頁(1986);及びSunら、Hybridoma 5(1986)Suppl 1:517〜20頁も参照されたい。
回収した単離軽鎖及び重鎖からIgG抗体を形成するためのin vitro反応パラメータも記載されている。例えばBeychok,S.、Cells of Immunoglobulin Synthesis、Academic Press,New York、69頁、1979を参照されたい。軽鎖と重鎖との細胞内会合を遂行するように同じ細胞内で軽鎖と重鎖とを同時発現させ、次いでそれらを連結して完全HIgG抗体を形成することも可能である。このような同時発現は、同じ宿主細胞内で同じ又は異なるプラスミドを用いて達成できる。
ヒト化抗体
非ヒト(例えばマウス)抗体の「ヒト化」形は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖又は非ヒト免疫グロブリンに由来する最小限の配列を含有するその断片(例えば抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)断片又は標的と結合する他の配列)である。一般的に、ヒト化抗体は、全て又は本質的に全てのCDR領域が非ヒト免疫グロブリンのものに相当し、全て又は本質的に全てのFR領域がヒト免疫グロブリンコンセンサス配列の領域のものである、ほぼ完全な可変領域の少なくとも1つ、及び通常2つである。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分も含有でき、これは、通常、選択されたヒト免疫グロブリン鋳型の免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部分である。
ベクター
用語「ベクター」は、別の核酸を宿主細胞に導入して複製し、あるいくつかの場合には発現させるために別の核酸を挿入できる核酸分子のことをいう。言い換えると、ベクターは、連結された核酸分子を移動させることができる。クローニングベクター及び発現ベクターはともに、本発明で用いる用語「ベクター」に包含される。ベクターは、それらに限定されないが、プラスミド、コスミド、細菌人工染色体(BAC)及び酵母人工染色体(YAC)並びに植物若しくは動物(ヒトを含む)のファージ又はウイルスに由来するベクターを含む。ベクターは、所定の宿主により認識される複製起点を含有する。発現ベクターの場合、ベクターは、プロモーター及び宿主により認識される他の調節領域も含有する。別の核酸分子を含有するベクターは、形質転換、トランスフェクションにより又はウイルス侵入機構を用いることにより細胞に導入できる。いくつかのベクターは、宿主細胞内で自律複製できる(例えば細菌複製起点を有するベクターは、細菌内で複製できる)。他のベクターは、宿主に導入された場合に宿主のゲノムに組み込まれ、そのことにより宿主のゲノムと一緒に複製できる。
作動可能に連結した
用語「作動可能に連結した」とは、2つ以上の核酸要素が物理的に通常連結され、互いに機能的関係を有することを意味する。例えば、プロモーターが、コード配列の転写若しくは発現を開始又は調節できるならば、プロモーター及び上記のコード配列は、作動可能に連結しており、この場合、コード配列は、プロモーターの「制御」下であると解釈される。
宿主
本明細書で用いる場合、用語「宿主」は、発現ベクターのようなベクターが導入された生物又は細胞のことをいう。上記の生物又は細胞は、原核若しくは真核の生物又は細胞であり得る。この用語は、ある対象の生物又は細胞のみに言及するのではなく、この生物又は細胞の子孫にも言及すると理解される。変異又は環境の影響により、いくつかの改変が後続の世代に生じ、よって、このような子孫は、親の生物又は細胞と実際上異なるが、これらは、本明細書で用いる場合の用語「宿主」の範囲内にまだ含まれる。
薬学的に許容される賦形剤
「薬学的に許容される賦形剤」は、医薬、活性剤又は結合分子のような活性分子と組み合わせて適度な又は簡便な剤形を調製する任意の不活性な薬剤のことをいう。「薬学的に許容される賦形剤」は、用いられる投与量及び濃度にて宿主にとって非毒性であり、医薬、薬又は結合分子を含有する調製物の他の成分と適合できる賦形剤である。
治療有効量
用語「治療有効量」は、がんを効果的に予防、改善及び/又は治療できる本発明の抗体の量を意味する。
治療
用語「治療」は、疾患を治癒又は疾患を予防若しくは疾患の進行を少なくとも遅らせるために用いる治療的治療或いは予防的措置のことをいう。治療される対象は、がんに罹患している対象及びがんの予防を必要とする対象を含む。がんから部分的又は完全に回復した対象も治療を必要とする。予防は、がんの進行を阻害若しくは遅くすること或いはがんに関連する1若しくは複数の症状の発症、発生又は進行を阻害又は低減することを含む。
本記載では、用語「含む」は、言及した要素、整数若しくはステップ又は要素、整数若しくはステップの群を含むが、他の要素、整数若しくはステップ又は要素、整数若しくはステップの群を排除しないことを意味する。
一態様では、本発明は、モノクローナル抗体の重鎖が、配列番号7〜9に示すCDR領域を含み、モノクローナル抗体の軽鎖が、配列番号10〜12に示すCDR領域を含む、癌胎児性抗原に対するヒト化キメラモノクローナル抗体又はその機能的変異体を提供する。
一態様では、本発明は、抗体の軽鎖タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号1を含むか又は配列番号1からなり、重鎖タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号2を含むか又は配列番号2からなる抗CEA抗体又はその機能的変異体を提供する。本発明の好ましい実施形態では、抗CEA抗体は、組換え又はモノクローナル抗体である。別の好ましい実施形態では、前記抗体は、キメラ又はヒト化抗体である。
本出願では、用語「本発明の抗体」は、モノクローナル抗体の重鎖が、配列番号7〜9に示すCDR領域を含み、モノクローナル抗体の軽鎖が、配列番号10〜12に示すCDR領域を含む、本発明による抗CEAヒト化キメラモノクローナル抗体又はその機能的変異体のことをいう。具体的に、抗CEAヒト化キメラ抗体の軽鎖タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号1を含むか又は配列番号1からなり、重鎖タンパク質のアミノ酸配列は、配列番号2を含むか又は配列番号2からなる。
本発明は、前記ヒト化キメラ抗体のものと同一であるCDR配列を有するポリペプチドにも関し、これは、本発明による前記ヒト化キメラ抗体の生物活性と同等又はそれより高い生物活性を有する。用語「本発明のポリペプチド」は、前記ヒト化キメラ抗体のものと同一であるCDR配列を有するポリペプチドのことをいい、前記ポリペプチドは、本発明による前記ヒト化キメラ抗体の生物活性と同等又はそれより高い生物活性を有する。
別の態様では、本発明は、本発明の抗体若しくはポリペプチドをコードするポリヌクレオチド又はその相補配列を含む本発明の抗体をコードする核酸に関する。前記核酸は、DNA又はRNAであり得る。ヌクレオチド配列が変化しても、トリプレットコドンの遺伝子ドグマに従って配列番号1のアミノ酸配列及び配列番号2のアミノ酸配列を含む抗体タンパク質に最終的に翻訳できる限りは、それはやはり前記抗CEAヒト化キメラ抗体をコードするポリヌクレオチドであることが当技術分野において知られている。
別の態様では、本発明は、前記抗CEAヒト化キメラ抗体を調製するために用いることができる組換え発現ベクターを提供する、前記ベクターは、本発明の抗体をコードする核酸を含む。ベクターは、F、R1、RP1、Col、pBR322、TOL、Tiなどのプラスミド;コスミド;λ、ラムドイド、M13、Mu、P1、P22、Q、T−even、T−odd、T2、T4、T7などのファージ;植物ウイルス;又は動物ウイルスに由来できる。ベクターは、クローニング及び/又は発現の目的のため及び遺伝子治療の目的のために用いることができる。1若しくは複数の発現調節核酸分子と作動可能に連結した本発明の抗体をコードする1又は複数の核酸分子を含むベクターも、本発明に含まれる。ベクターの選択は、組換え手順及び用いる宿主に依存する。ベクターを宿主細胞に導入することは、リン酸カルシウムトランスフェクション、ウイルス感染、DEAE−グルカン媒介トランスフェクション、リポフェクタミントランスフェクション又はエレクトロポレーションにより達成できる。ベクターは、自律複製できるか又はベクターが組み込まれた染色体と一緒に複製できる。好ましくは、前記ベクターは、1又は複数の選択マーカーを含有する。前記マーカーの選択は、選択される宿主細胞に依存でき、本発明にとって重要でなく、当業者に知られている。前記マーカーは、それらに限定されないが、カナマイシン、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ゼオシン、ヘルペス単純ウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子(HSV−TK)、マウスジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)を含む。具体的に、本発明では、抗CEAヒト化キメラ抗体の軽鎖及び重鎖をコードするポリヌクレオチドは、それぞれ真核プロモーターを有する2つのベクターに組換えによりクローニングされる。得られる発現ベクターを、真核宿主細胞に導入する。抗体を高い収率で発現する真核宿主細胞をスクリーニングにより得て、前記宿主細胞の培養物の上清は、細胞により分泌された抗CEAヒト化キメラ抗体タンパク質を多量に含有する。抗CEAヒト化キメラ抗体タンパク質は、当技術分野において既知の技術的方法に従って簡便に抽出及び調製できる。好ましい実施形態では、前記発現ベクターは、それぞれpSRNC−Cκ−CEA及びpSRDC−Cγ1−CEAであり、これらは、前記抗CEAヒト化キメラ抗体の遺伝子と、メトトレキセートストレス増幅発現選択マーカー遺伝子(dhfr)とを含有し、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞において発現できる。好ましい実施形態では、前記宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞CHOである。
本発明は、前記ベクターの1又は複数のコピーを含有する宿主も提供する。好ましくは、前記宿主は、宿主細胞である。宿主細胞は、それらに限定されないが、哺乳動物、植物、昆虫、真菌又は細菌を起源とする細胞を含む。チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のような哺乳動物細胞を用いる発現系は、本発明において好ましい。好ましい実施形態では、本発明は、pSRNC−Cκ−CEA及びpSRDC−Cγ1−CEAを含有するチャイニーズハムスター卵巣細胞である組換え宿主細胞(Rcc24)を提供する。前記組換え宿主細胞は、段階的メトトレキセートストレス増幅発現、発現収率によりスクリーニングした高発現株のサブクローニング及び血清フリー培養における最終的な馴化により得られる。前記宿主細胞は、China General Microbiological Culture Collection Centerに、2010年5月4日に寄託番号第CGMCC3803号で寄託された。
本発明の一態様によると、抗CEAヒト化キメラ抗体タンパク質は、ヒトCEA陽性腫瘍を診断及び/又は治療するための医薬の調製において用いることができる。追跡分子を本発明の抗CEAヒト化キメラ抗体とカップリングさせることにより、ヒトCEA陽性腫瘍を診断するための医薬を調製できる。前記追跡分子は、放射活性核種(例えば125I、111In、99Teなど)であり得る。代わりに、ナノ蛍光物質又は遠赤外物質などの臨床的に許容される技術的手段により検出できる他の型の分子を用いることもできる。本発明の好ましい実施形態では、追跡分子は、放射活性核種レニウム−188である。追跡分子を抗CEAヒト化キメラ抗体とカップリングさせた後に、CEA陽性腫瘍は、γカメラ又はイメージャーによる放射性免疫イメージングにより、比較的良好なシグナルノイズ比、標的特性及びイメージング品質で正確に診断できる。
本発明の抗体は、腫瘍の治療のための医薬組成物の調製において用いることもできる。さらに、放射活性核種などのある治療剤を、抗CEAヒト化キメラ抗体とカップリングさせて、ヒトCEA陽性腫瘍の治療のための医薬組成物を調製できる。本明細書で記載する場合、「抗体複合体(antibody conjugate)」は、放射活性核種のような治療用物質を本発明の抗体と、当業者に既知の様々なカップリング法によりカップリングさせることにより得られる複合体のことをいう。前記放射活性核種は、131I及び90Yを含む。本発明の好ましい実施形態では、前記治療用物質は、放射活性核種ヨウ素−131である。治療用物質を抗CEAヒト化キメラ抗体とカップリングさせた後に、放射性免疫治療をCEA陽性腫瘍について行うことができ、これは、腫瘍の増殖を著しく阻害でき、優れた治療効果を有し、明らかな毒性及び副作用を本質的に有さない。好ましい実施形態では、抗体又は抗体複合体は、卵巣がん、乳がん、肺がん及び他のCEA陽性腫瘍を含むCEAを発現する腫瘍の診断又は治療のために用いることができる。好ましい具体的な実施形態では、CEAを発現する前記腫瘍は、結腸直腸がんである。現存する臨床的診断技術に基づいて、当業者は、患者の血清中のCEA含量を検出でき、患者の腫瘍がCEA陽性であるかを決定でき、治療すべき適度な腫瘍の型を容易に選択できる。当業者は、前記医薬組成物が、薬学的に許容される賦形剤も含み得ることも理解している。
前記抗CEAヒト化キメラ抗体は、それらに限定されないが、非経口投与、例えば経静脈、注入、局部投与などを含む従来の投与経路により、患者に医薬として投与できる。適度な用量は、投与の方法並びに治療される対象及び耐容能レベルを含むいくつかのパラメータに依存する。131I標識抗CEAヒト化キメラ抗体が、用量依存的にヒト結腸直腸がんの増殖を著しく阻害できることが明確である。好ましい用量は、12.5mCi/kgであり、治療は、10日間隔で2回行った。
本発明を、以下の実施例によりさらに説明するが、いずれの実施例又はそれらの組み合わせも、本発明の範囲又は実施形態を限定すると解釈されない。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定義される。当技術分野における常識と組み合わせた本明細書の記載に基づいて、当業者は、特許請求の範囲により定義される範囲を明確に理解できる。
生物材料の寄託情報
親のマウスモノクローナル抗体を生成するマウスハイブリドーマ細胞株C24は、China General Microbiological Culture Collection Center(CGMCC、Beichenxi Road 1−3 in Chaoyang District of Beijing、the Institute of Microbiology、Chinese Academy of Sciences)に、2010年5月4日に寄託番号第CGMCC3802号で寄託した。
ヒト化キメラモノクローナル抗体を生成するCHO細胞株Rcc24は、China General Microbiological Culture Collection Center(CGMCC、Beichenxi Road 1−3 in Chaoyang District of Beijing、the Institute of Microbiology、Chinese Academy of Sciences)に、2010年5月4日に寄託番号第CGMCC3803号で寄託した。
実施例1:キメラ抗体についての遺伝子のクローニング及び配列決定
遺伝子クローニング法を用いて、親の抗CEAマウスのモノクローナル抗体中の軽鎖及び重鎖可変領域についての遺伝子をクローニングし、ヌクレオチド配列分析を行った。
親の抗CEAマウスモノクローナル抗体の可変領域についての遺伝子を増幅するための方法:マウスモノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞C24からの全RNAの抽出を、トリゾール(Trizol)試薬(Gibco)の使用説明に従って次のようにして行った。1×10マウスモノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞を回収し、10000rpmにて1分間遠心分離した。ピペット操作で上清を捨てた後に、1mlのトリゾールを加えて細胞を十分に溶解させた。室温にて3〜5分間静置した後に、0.2mlのクロロホルムを加えた。転倒させて混和した後に、試料を4℃、12000rpmにて10分間遠心分離し、次いで0.6mlの上清を新しい遠心分離チューブに移し、0.5mlのイソプロパノールを加えた。転倒させて混和した後に、試料を室温にて5〜10分間静置し、次いで4℃、12000rpmにて10分間遠心分離した。上清を捨てた後に、試料を75%エタノールで1回洗浄し、風乾し、次いで50μlのddHOを加えて沈殿物を溶解した。マウスモノクローナル抗体ハイブリドーマ細胞cDNAの第1鎖の合成を、製造業者により提供される使用説明に従ってMMLV逆転写酵素(Gibco)を用いて行った。4μlの5×緩衝液、10mMのDDT(Promega)、10μgの全RNA、0.5mMの最終濃度のdNTP(Promega)、10μg/mlの最終濃度のオリゴd(T)15(Promega)、40uのRNasin(Promega)、200u(U)のMMLV逆転写酵素(Gibco)を20μlの系に加え、これらを次いで混和した。試料を37℃にて1時間、次いで沸騰した水で5分間インキュベートして逆転写酵素を不活性化させた。マウスモノクローナル抗体軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子の増幅を、高正確性DNAポリメラーゼTaq(Promega)+Pfu DNAポリメラーゼ(Promega)を用いて、10×緩衝液10μl、10mM dNTP 2μl、cDNA 20μl、各増幅プライマー50pmolを含有する100μlの反応系において行った。反応系の表面を、混和の後にパラフィン油で覆った。95℃の水浴中で5分間インキュベートした後に、1〜2uのTaq+Pfu DNAポリメラーゼを、パラフィン油を通して加え、以下のサイクルを開始した:94℃で1分間、55℃で1分間及び72℃で1分間を30サイクル、並びに最後のサイクルにおいて72℃で10分間。PCRプライマー:軽鎖可変領域の増幅用プライマー:PVL5:5’−GACAT TCAGC TGACC CAGTC TCCA−3’(配列番号3);PVL3:5’−GTTAG ATCTC CAGCT TGGTC CC−3’(配列番号4)。重鎖可変領域の増幅用プライマー:PVH5:5’−AGGTS MARCT GCAGS AGTCW GG−3’(S=C/G、M=A/C、R=A/G、W=A/T)(配列番号5);PVH3:5’−TGAGG AGACG GTGAC CGTGG TCCCT TGGCC CCAG−3’(配列番号6)。
0.7%非変性アガロースゲル電気泳動を行って、全RNAを分析した。18S RNA及び28S RNAのサイズは正しく、明度比率は約1:2であり、バンドは明確であり、これらのことは、抽出した全RNAが比較的完全であったことを示した(図1)。オリゴd(T)15をプライマーとして用いて、cDNAの第1鎖を合成し、このcDNAを鋳型として用いてPCRを行った。軽鎖プライマーPVL5及びPVL3を用いることにより、約320bpの軽鎖可変領域の遺伝子断片を増幅し、重鎖プライマーPVH5及びPVH3を用いることにより、約360bpの重鎖可変領域の遺伝子断片を増幅した。鋳型を含まないブランク対照は、増幅バンドを示さなかった(図2)。増幅された可変領域遺伝子断片のサイズは、通常の抗体の可変領域遺伝子のサイズと一致した。
親の抗CEAマウスモノクローナル抗体軽鎖、重鎖可変領域の遺伝子のクローニング、配列決定及び遺伝子構造分析:親の抗CEAマウスモノクローナル抗体軽鎖可変領域の遺伝子断片を、大量に増幅した。グラスミルク吸着法を用いて単離及び回収した後に、断片を、PvuII及びBglII二重消化に供し、次いで、クローニングベクターpRGWLの対応する部位にクローニングした。153個全ての形質転換クローンのうち、24個のクローンをスクリーニングのためにランダムに採取し、6個の組換えクローンを得た。3個のVL遺伝子組換えクローンをヌクレオチド配列分析のために選択した。ヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列を図3に示した。3個のクローンの配列は同一であり、クローニングされた抗体軽鎖可変領域遺伝子が、実際に親の抗CEAマウスモノクローナル抗体軽鎖可変領域遺伝子であったことを示した。1個のクローンを3個のクローンからランダムに採取し、pRGWL−C502と命名した。Kabatのデータとの比較から、親の抗CEAマウスモノクローナル抗体のVL(配列番号2)がマウスκ軽鎖VIサブグループに属することがわかる。軽鎖CDR1〜3配列(配列番号10〜12)を図3に示した。親の抗CEAマウスモノクローナル抗体重鎖可変領域の遺伝子断片を、大量に増幅した。グラスミルク吸着法を用いて単離及び回収した後に、断片を、PstI及びBstEII二重消化に供し、次いで、クローニングベクターpRGWHの対応する部位にクローニングした。364個全ての形質転換クローンのうち、24個のクローンをスクリーニングのためにランダムに採取し、18個の組換えクローンを得た。3個のVH遺伝子組換えクローンをヌクレオチド配列分析のために選択した。ヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列を図3に示した。3個のクローンの配列は同一であり、クローニングされた抗体重鎖可変領域遺伝子が、実際に親の抗CEAマウスモノクローナル抗体重鎖可変領域遺伝子であったことを示した。1個のクローンを3個のクローンからランダムに採取し、pRGWH−C504と命名した。Kabatのデータとの比較から、親の抗CEAマウスモノクローナル抗体のVH(配列番号1)が、マウス重鎖II(B)サブグループに属することがわかる。重鎖CDR1〜3配列(配列番号7〜9)を図3に示した。具体的に、配列番号7〜12の配列は、次のとおりである:
配列番号7−His Tyr Tyr Met His
配列番号8−Trp Ile Asn Pro Glu Asn Val Asp Thr Glu Tyr Ala Pro Lys Phe Gln Gly
配列番号9−Tyr Arg Tyr Ala Gly Gly Gly Ala Leu Asp Tyr
配列番号10−Ser Ala Ser Ser Ser Val Ser Tyr Ile His
配列番号11−Asp Thr Ser Lys Leu Ala Ser
配列番号12−Gln Gln Trp Asn Asn Asn Pro Tyr Ser
実施例2:抗CEAヒト化キメラ抗体についての遺伝子及び発現ベクターの構築
遺伝子クローニング及びDNA組換え法を用いて、親の抗CEAマウスモノクローナル抗体の可変領域遺伝子を、調節配列及びヒト抗体定常領域遺伝子を含有するベクターに組み換えて、抗CEAヒト化キメラ抗体の遺伝子及び前記遺伝子を含有する真核発現ベクターを構築した。
調節配列を有する可変遺伝子断片のPCR増幅:PCR増幅を、高正確性DNAポリメラーゼ、すなわちTaq+Pfu DNAポリメラーゼを、10×緩衝液10μl、10mM dNTP 2μl、プラスミド1μg、50pmolの各増幅プライマーを含有する100μl反応系において行った。混和の後に、反応系の表面をパラフィン油で覆った。95℃の水浴中で5分間インキュベートした後に、1〜2uのTaq+Pfu DNAポリメラーゼを、パラフィン油を通して加え、以下のサイクルを開始した:94℃で1分間、55℃で1分間及び72℃で1分間を20サイクル、並びに最後のサイクルにおいて72℃で10分間。
抗CEAヒト化キメラ抗体の真核発現ベクターの構築及び同定:実施例1において取得及び同定した組換えクローニングプラスミドpRGWL−C502及びpRGWH−C504を鋳型として用いて、クローニングの目的のためにBamHI及びNotI制限部位を有するプライマーPVLS及びPVNP(軽鎖について)並びにPVHS及びPVNP(重鎖について)をPCR増幅のために用いて、リーダーペプチド配列と5’端スプライシング部位とを有する親の抗CEAマウスモノクローナル抗体のVL及びVH配列を増幅した。PCR増幅により、リーダーペプチド配列と5’端スプライシング部位とを有する親の抗CEAマウスモノクローナル抗体のVL断片を、軽鎖についての組換えプラスミドから増幅し、VL断片のサイズは約500bpであった。リーダーペプチド配列と5’端スプライシング部位とを有する親の抗CEAマウスモノクローナル抗体のVH断片を、重鎖についての組換えプラスミドから増幅し、サイズは約700bpであった。PCR産物を、グラスミルク法を用いて単離及び回収し、次いで、BamHI及びNotIを用いて消化した。「Molecular Cloning」に記載される従来のDNA組換え手順に従って、抗CEAヒト化キメラ抗体遺伝子の完全真核発現ベクターを得るように、VL断片をpSRNC−Cκの対応する部位にクローニングし、VH断片をpSRDC−Cγ1の対応する部位にクローニングした。VL及びVH断片をそれぞれ発現ベクターpSRNC−Cκ及びpSRDC−Cγ1に連結した後に、12個のクローンをそれぞれスクリーニングのために採取した。酵素消化により、9個の軽鎖及び7個の重鎖組換えクローンを得た。BamHI及びNotIによる酵素消化の後に、対応するVL及びVH断片を同定し、このことにより、完全抗癌胎児性抗原モノクローナル抗体遺伝子及びその真核発現ベクターの構築が成功したことが実証された。2回のヌクレオチド配列決定により、抗癌胎児性抗原モノクローナル抗体真核発現ベクターpSRNC−Cκ−CEA及びpSRDC−Cγ1−CEA中の可変領域遺伝子配列が、それぞれpRGWL−C502及びpRGWH−C504中に含まれる可変領域遺伝子配列と完全に同一であることが証明された。
抗CEAヒト化キメラ抗体真核発現ベクターの構造:抗CEAヒト化キメラ抗体真核発現ベクター系は、2つの別々の発現ベクター、すなわち軽鎖真核発現ベクターpSRNC−Cκ−CEAと重鎖真核発現ベクターpSRDC−Cγ1−CEAとを含有するが、これらの構造の概略図を図4及び5に示した。
実施例3:抗CEAヒト化キメラ抗体の発現ベクターをトランスフェクトしたCHO細胞による発現
CHO−dhfr細胞(本発明者らの実験室にて保管)を、10%FBS、0.03mmol/Lヒポキサンチン(H)、0.003mmol/Lチミジンデオキシヌクレオシド(T)、0.1mmol/Lプロリン(Pro)、0.1mmol/Lグリシン(Gly)、100u/mlペニシリン/ストレプトマイシン、2mmol/Lグルタミンを含むDMEM完全成長培地中で、5%CO、37℃の条件下で培養した。継代を、1:10の比率で3〜4日毎に常法通り行った。上記の細胞培養試薬は、Gibco社から購入した。遺伝子トランスフェクション法を用いて、リポフェクタミン(LipofectAMINE)試薬(Gibco)をトランスフェクションのために用いた。細胞に抗CEAヒト化キメラ抗体の発現ベクターをトランスフェクトし、次いで、H、T、Glyを含まない培地で培養することによりスクリーニングした。クローンが形成された後に、200μg/mlのG418(Gibco)を含有する選択培地を培養のために用いて、スクリーニングを行った。その結果、4μgの軽鎖及び重鎖キメラ抗体遺伝子発現ベクターのそれぞれを用いて、CHO−dhfr細胞をトランスフェクトした。クローンの形成は、約10日後に観察され、全て一緒に約350個のクローンが計数された。プールした耐性クローンの培養物の上清は、間接ELISA法を用いることによりOD490=1.622として測定され(陰性対照CHO−dhfr上清のOD490は0.063のみであった)、このことは、トランスフェクトした細胞の上清中に抗CEAヒト化キメラ抗体発現が存在したことを示した。
実施例4:ストレス下での発現増幅により抗CEAヒト化キメラ抗体を高発現できる株のスクリーニング
形質転換CHO細胞を、10%FBS、100u/mlペニシリン/ストレプトマイシン、2mmol/Lグルタミンを含むDMEM完全成長培地(Gibco)中で、5%CO、37℃の条件下で培養した。継代を、1:10の比率で3〜4日毎に常法通り行った。メトトレキセート(MTX)のストレス下での発現増幅のスクリーニング法を用いて、高発現株をスクリーニングした。上清中の抗CEAヒト化キメラ抗体を発現する細胞クローンを、ストレス下で発現を増幅するために、3×10−8M及び10−7Mのメトトレキセート(MTX)(Sigma)をそれぞれ含有する完全培地中で逐次的に培養した。各回の増幅発現の後に、サブクローニングを限界希釈により行って、最高の収率を有するクローンを選択した(図6)。
抗CEAヒト化キメラ抗体発現ベクターをCHO−dhfr細胞にトランスフェクトした後の1回目のスクリーニングで得られ、抗CEAヒト化キメラ抗体を高効率で発現できるクローン1C5(0.41μg/mlまでのキメラ抗体の収率)を、3×10−8Mのメトトレキセート(MTX)(Sigma)を含有する培地中で培養した。約30日間の連続した培養の後に、細胞モダリティ及び成長速度は通常に回復したことが観察され、細胞は、3×10−8MのMTXに適応した。キメラ抗体の発現収率は、10.4μg/mlであった。サブクローニングの後に、最高のキメラ抗体収率を有するクローン2B2を選択し、キメラ抗体の収率は、16μg/mlであった。1:5の比率での継代の後に、クローン2B2を、10−7MのMTXを含有する完全培地中で次いで培養した。細胞が適応した後に、キメラ抗体の収率は、32μg/mlであった。サブクローニングの後に、最高のキメラ抗体収率を有するクローン3B2を選択し、予備的検出により、キメラ抗体収率は、80μg/mlほどの高さであった(図7)。
実施例5:血清フリー懸濁培養に適応し、抗CEAヒト化キメラ抗体を生成できる細胞株の馴化及び調製
血清を減少させる方法を用いて細胞株(血清フリー懸濁培養に適応されている)を馴化して、抗CEAヒト化キメラ抗体を高レベルで発現及び分泌できる細胞株(血清フリー懸濁培養に適応されている)を得た。
血清を含有する培地で培養した場合に接着して成長し、抗CEAヒト化キメラ抗体を高効率で発現及び分泌するrCHO RCC−24細胞(すなわちクローン3B2)を、まず、5%血清を含有するDMEM完全成長培地(Gibco)中で培養フラスコにおいて培養した。細胞が適応し、安定な成長を示した後に、培地を、2%、1%、0.5%、0.25%の血清をそれぞれ同じように含有する完全成長培地に逐次的に置き換えた。細胞が適応し、安定な成長を示した後に、培地を、血清フリー培地、すなわちCHO−S−SFM II成長培地(Gibco)に最終的に置き換えた。このときに、細胞のほとんどは接着成長の特性を喪失し、培養物は本質的に半懸濁になった。細胞が適応し、安定な成長を示した後に、細胞を、次いで、80〜100rpmにて振とうフラスコ中で培養し、細胞を強制的に懸濁で成長させた。細胞が適応し、安定な成長を示した後に、血清フリー懸濁培養で成長でき、抗CEAヒト化キメラ抗体を効果的に発現及び分泌する、得られた新しい細胞を、rCHO RCC−24(SF)細胞株と命名した。
実施例6:抗CEAヒト化キメラ抗体の特異性、ヒト化特性及びin vivo標的特性の同定
1.抗CEAヒト化キメラ抗体の特異性の同定:
RT−PCR法を行い、ここでは、トリゾール試薬の使用説明に従って、具体的には実施例1に記載したようにして細胞の全RNAの抽出を行った。cDNAの第1鎖の合成を、製造業者の使用説明に従って、具体的には実施例1に記載するようにしてMMLV逆転写酵素(Promega)を用いて行った。PCR増幅実験において、細胞のcDNAからの可変領域遺伝子を増幅する方法は、実施例に記載したとおりであった。結果は、配列決定の後に、rCHO RCC−24(SF)細胞株から増幅された軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子(図8)が、元の親の抗CEAマウスモノクローナル抗体の軽鎖及び重鎖可変領域遺伝子と同一であり、よって、抗癌胎児性抗原モノクローナル抗体が、親の抗CEAマウスモノクローナル抗体の特異性を維持し、CEAと特異的に結合できることを示した。
ELISA法を行い、ここでは、1μg/mlのCEAを用いてELISAプレートをコーティングした。試料を反応のために加えた後に、ヤギ−抗ヒトIgG Fc断片−HRPELISA抗体(Sigma)(マウスIgと交差反応しない)又はヤギ−抗マウスIgG Fc断片−HRP ELISA抗体(Sigma)(ヒトIgと交差反応しない)を加えた。インキュベーション及び発色の後に、OD490値を測定した。その後、ヒトCEA抗原を用いてELISAプレートをコーティングし、次いで、ヤギ−抗ヒトIgG Fc断片−HRPを2次抗体として用いて直接ELISAを行った。形質転換細胞の上清中の抗CEAヒト化キメラ抗体及びプロテインA親和性クロマトグラフィーカラムにより精製された抗CEAヒト化キメラ抗体はともに、コーティングのために用いたCEA抗原と結合でき、ヤギ−抗ヒトIgG Fc断片ポリクローナル抗体により認識でき、強い陽性反応を示した。非形質転換CHO−dhfr細胞培養上清及び親のマウスモノクローナル抗体は、陰性の反応を示した。ヤギ−抗マウスIgG Fc断片−HRPを2次抗体として用いた場合、非形質転換CHO−dhfr細胞培養上清及び精製抗CEAヒト化キメラ抗体はともに陰性の反応を示したが、親のマウスモノクローナル抗体は陽性の反応を示した。無関係の抗体ヒトIgG1は、両方の場合について陰性であった。発現された抗CEAヒト化キメラ抗体がCEA抗原と特異的に結合でき、親のマウスモノクローナル抗体と同じ抗原結合特異性を有したことが実証された。
競合阻害実験を行い、ここでは、1μg/mlのCEA抗原を用いてELISAプレート(Biodesign)をコーティングした。2.5ng/ウェルの無関係のマウスモノクローナル抗体(本発明者らで調製した)又は2.5ng/ウェルの親の抗CEAマウスモノクローナル抗体C50(本発明者らで調製した)及び異なる濃度の抗CEAヒト化キメラ抗体を加えた。37℃でのインキュベーションの後に、次いで、ヤギ−抗マウスIgG−HRP ELISA抗体(Sigma)を加えた。OD490値を反応の後に測定し、その競合阻害率を計算した。競合阻害率は、以下の式に従って計算し、無関係の抗体ヒトIgG1対照も用いた。
競合阻害実験の結果を以下の表に示し、陰性対照である無関係の抗体ヒトIgG1及び親の抗CEAマウスモノクローナル抗体の反応は、競合阻害効果を示さなかった(競合阻害率は−12.80%であった)。抗CEAヒト化キメラ抗体と親の抗CEAマウスモノクローナル抗体との間の比率が2:1である場合、親の抗CEAマウスモノクローナル抗体と抗原との間の結合について著しい競合阻害が起こり得る。キメラ抗体の濃度が増加すると、親の抗CEAマウスモノクローナル抗体と抗原との間の結合産物の量が減少し、そのOD490が徐々に減少し、競合阻害率が増加した。比率が32:1の場合、競合阻害率は40.85%まで到達できる。このことは、抗CEAヒト化キメラ抗体及び親の抗CEAマウスモノクローナル抗体がともに、CEA抗原の同じエピトープと結合できることを示し、このことにより、抗CEAヒト化キメラ抗体及び親の抗CEAマウスモノクローナル抗体が同じ抗原結合特異性を有することが証明された。
免疫蛍光試験を行い、ここでは、CEAを高レベルで発現できる結腸がん細胞LS180(ATCCから購入)を標的細胞として用い、抗CEAヒト化キメラ抗体を加えた。37℃でのインキュベーションの後に、ヤギ−抗ヒトIgG−FITC蛍光2次抗体(Sigma)を次いで加え、蛍光顕微鏡を用いて、反応後の観察を行い、無関係の抗体対照を対照として用いた。図9における結果は、抗CEAヒト化キメラ抗体が、CEAを高レベルで発現できる結腸がん細胞LS180上のCEA抗原を認識できることを示した。
免疫蛍光試験を行い、ここでは、いくつかのCEA発現がん細胞SW1116、LOVO(ATCCから購入)を標的細胞として用い、抗CEAヒト化キメラ抗体を加えた。37℃でのインキュベーションの後に、ヤギ−抗ヒトIgG−Cy5蛍光2次抗体(Sigma)を次いで加えた。蛍光顕微鏡を用いて反応後の観察を行い、無関係の抗体対照を対照として用いた。結果(図10)は、癌胎児性抗原に対するモノクローナル抗体が、CEA発現がん細胞上のCEA抗原を認識できることを示した。
2.抗CEAヒト化キメラ抗体のヒト化特性の同定:
ELISA実験において、CEA、ヤギ−抗ヒトκ鎖(Sigma)又はヤギ−抗ヒトIgGポリクローナル抗体(Sigma)を用いてELISAプレートをコーティングし、ヤギ−抗ヒトIgG Fc断片−HRP(Sigma)をELISA抗体として用いた。ELISAの結果(表4)は、精製抗CEAヒト化キメラ抗体が強い陽性反応を示したが、抗CEAヒト化キメラ抗体モノクローナル抗体の親のマウスモノクローナル抗体は陰性の反応を示したことを示した。このことは、精製抗CEAヒト化キメラ抗体が、ヒトIgGの軽鎖及び重鎖定常領域を含有することを実証した。
ウェスタンブロッティング実験を行い、ここでは、抗CEAヒト化キメラ抗体についての還元SDS−PAGEを行った。抗体をメンブレンに移した後に、ヤギ−抗ヒトIgG Fc断片−HRP又はヤギ−抗ヒトκ鎖ポリクローナル抗体をそれぞれ用いてウェスタンブロッティングを行った。結果(図11)は、55kDでのタンパク質バンドが、ヤギ−抗ヒトIgG Fc断片−HRPにより認識され、染色された単独の特異的バンドを形成し、バンドが示すサイズが、抗体の重鎖に相当したことを示した。対照マウスモノクローナル抗体は、その位置にバンドを示さず、このことは、発現された抗CEAヒト化キメラ抗体重鎖がヒト定常領域を含有することを実証した。25kDでのタンパク質バンドがヤギ−抗ヒトκ鎖ポリクローナル抗体により認識され、染色された単独の特異的バンドを表し、このバンドが示すサイズは、抗体の軽鎖に相当した。対照マウスモノクローナル抗体はここでは陰性の反応を示し、このことは、抗CEAヒト化キメラ抗体がヒトκ鎖定常領域を含むことを示した。
ヤギ−抗ヒトIgG、ヤギ−抗ヒトIgM及びヤギ−抗ヒトIgAを用いて血清を免疫し、二重免疫拡散試験を、検査のために行った。結果は、抗CEAヒト化キメラ抗体が、ヒトIgG型の免疫グロブリンに属することを示した。マウス−抗ヒトIgG1、マウス−抗ヒトIgG2、マウス−抗ヒトIgG3及びマウス−抗ヒトIgG4モノクローナル抗体を用いてELISA試験を行い、結果は、抗CEAヒト化キメラ抗体がヒトIgG1であったことを示した。
3.抗CEAヒト化キメラ抗体のin vivo標的特性の同定:
in vivo放射性免疫取り込み実験、in vivo放射性免疫生体分布実験を含むいくつかのin vivo放射性免疫実験を行って、腫瘍をin vivoで特異的に標的にする特性について抗CEAヒト化キメラ抗体を調べた(CEA陽性腫瘍結腸がん細胞LS174Tの腫瘍を有するマウスをモデルとして用いた)。結果は、核種125I標識抗CEAヒト化キメラ抗体の注射の後に、腫瘍が、全ての組織のうちで最も多く標識抗体を取り込み、他の正常組織よりもかなり高く、これは、最大で33%まで達し、26%が7d後まで残ることができることを示した。標識抗体は、腫瘍によく蓄積し、長期間残ることができる。正常組織における取り込み量は低く、これらは残らず、全て時間経過とともに迅速に減少した(図12)。T/N比率研究の結果は、標識抗体が、注射の24時間後に腫瘍に主に分布し、血液プールにはそれらのわずかが分布したことを示した。しかし、96時間後に、標識抗体は、腫瘍にのみ優勢的に分布し、このことは、核種標識抗CEAヒト化キメラ抗体が腫瘍に特異的に分布できるが、正常組織には分布しないことを示した(図13)。上記の結果は、抗CEAヒト化キメラ抗体が、優れたin vivo腫瘍標的特性を有し、動物においてCEA陽性腫瘍細胞と特異的に結合でき、腫瘍中に特異的に蓄積されて残るが、血液プール以外の正常組織には分布せず残らなかったことを示した。
実施例7:抗CEAヒト化キメラ抗体を用いるin vivo放射性免疫イメージング診断のための診断用医薬の調製
In vivo放射性免疫イメージング実験を採用して、in vivo放射性免疫イメージング診断についての診断用医薬(本発明の抗CEAヒト化キメラ抗体を用いて調製した)の効力を評価した。図14に示す結果は、本発明の核種188Re標識抗CEAヒト化キメラ抗体の注射の24時間後に、腫瘍を明確に画像化できることを示した。腫瘍は、5〜7日後にさらにより明確になり、画像化できる最小の腫瘍のサイズは、0.5cmであった。結果は、in vivo診断への非常に良好な応用の可能性を示す。
実施例8:抗CEAヒト化キメラ抗体を用いるCEA陽性腫瘍のin vivo放射性免疫治療のための治療用医薬の調製
核種I−131を用いて抗CEAヒト化キメラ抗体を標識した(rch24と略す、約20mCi/mgタンパク質)。結腸がん腫瘍を死滅させるin vivo放射性免疫治療の有効性を、ヒトCEA陽性結腸がん細胞LS180(ATCC、USAから購入)の移植腫瘍を有するマウスにおいて研究し、ここでは、100万個のLS180を前記マウスの右側の背中にs.c.注射し、腫瘍のサイズが適度になった後に治療を行った。結果は、形成された腫瘍について(腫瘍のサイズが0.5cmを超えた後に治療を行った)、250μCi/用量の高い免疫活性及び特異的放射活性を有する標識抗体を用いる単回治療が、形成された腫瘍について81.1%の腫瘍阻害率を示した(表5、図15)が、125μCi/マウスを1w間隔で3回投与した治療群について(腫瘍のサイズが約0.1cmになったときに治療を行った)、腫瘍阻害率は93%であり(表6、図16)、腫瘍の増殖はほぼ停止したことを示した。両方の場合において、ヒト結腸がんの増殖は、著しく阻害できる。末梢血液像分析及び体重変動についての予備的毒性研究は、131I標識抗CEAヒト化キメラ抗体をヒト結腸がんのin vivo放射性免疫治療のために用いる場合、末梢血液像及びマウスの体重の各成分は、治療群と対照群との間で著しく異ならず、このことは、明らかな毒性がないことを示した。
ヒト大腸がんを有するヌードマウスモデルにおいて、試験試料(すなわち131I標識抗CEAキメラ抗体rch24)のin vivo抗腫瘍活性を観察した。方法:ヒト大腸がん細胞LS180、LS174T及びSW1116をそれぞれBABL/c nu/nuヌードマウスにs.c.接種した8〜10日後に、異なる群にそれぞれ投与した。腫瘍のサイズによる均衡の原則に基づいて、群を、対照群;「ヌード」抗CEAヒト化キメラ抗体rch24群(156.2μg/kg群及び625.0μg/kg群);同一の特異的放射活性で標識した無関係のヒトIgG群(3.1mCi/kg群及び12.5mCi/kg群);131I標識抗CEAヒト化キメラ抗体rch24群(3.1mCi/kg群、6.25mCi/kg群及び12.5mCi/kg群);並びに陽性化学療法医薬対照群に分割した。試験試料及び適切な対照試料を尾静脈中の注射により10日毎に1回、合計で2回投与した。規則的に、動物の全身の状態を観察し、体重を測定し、腫瘍のサイズを測定し、血清CEAレベル及び末梢血指標を測定し、腫瘍組織及び非腫瘍組織中の同位体の分布を決定した。腫瘍を有するヌードマウスを実験の最後に屠殺し、腫瘍の重量を測定した。結果:高用量の試験試料群(131I標識抗CEAキメラ抗体rch24)の1匹のヌードマウスが死亡し、同一の特異的放射活性で標識した無関係のヒトIgGの高用量群の1匹のヌードマウスが死亡した。投与後に、試験試料の全ての群において、腫瘍のサイズは対照群のものよりも小さく、相対的腫瘍増殖率は、対照群のものよりも低かった。3つの腫瘍株LS180、LS174、SW1116についての腫瘍阻害率は、低用量群において47.8〜71.4%であり、中程度用量群において52.2〜75.0%であり、高用量群において65.2〜86.2%であった。試験試料の全ての群においてヌードマウスの血清CEAレベルは、対照群のものよりも明確に低かった。「ヌード」抗CEAヒト化キメラ抗体及び131I標識無関係ヒトIgGの異なる用量群を比較した場合に、腫瘍阻害効果は、試験試料の対応する群より著しかった。3つの腫瘍株についての腫瘍阻害効果について、試験試料131I標識抗CEAキメラ抗体rch24は、LS180腫瘍の増殖の阻害について最も効力があった。1回目の投与の48時間及び96時間後に、腫瘍組織中の同位体の分布は、非腫瘍組織におけるものよりも明確に高かった。投与の30日後に、投与群のヌードマウスにおける末梢血白血球総数などの指標は、対照群のものと著しくは異ならなかった。結論:試験試料131I標識抗CEAキメラ抗体rch24は、マウスが有するヒト大腸がんの増殖を投与量依存的に著しく阻害でき、腫瘍を有するヌードマウスにおける血清CEAレベルを同時に減少でき、腫瘍組織におけるその標的分布は著しかった。投与は10日間隔で2回行い、投与群における腫瘍を有するヌードマウスの造血機能は明確には変化しなかった。

Claims (9)

  1. ト化キメラモノクローナル抗体であって、
    前記モノクローナル抗体は、寄託番号第CGMCC3803号を有するチャイニーズハムスター卵巣細胞によって生成され、
    配列番号7に示す重鎖CDR1、配列番号8に示す重鎖CDR2及び配列番号9に示す重鎖CDR3を含む重鎖と、配列番号10に示す軽鎖CDR1、配列番号11に示す軽鎖CDR2及び配列番号12に示す軽鎖CDR3を含む軽鎖とを含み、
    癌胎児性抗原に特異的に結合する、抗体
  2. 配列番号1のアミノ酸配列を有する重鎖と、配列番号2のアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む、請求項1に記載の抗体。
  3. 請求項1又は2に記載のヒト化キメラ抗体をコードするポリヌクレオチド又はその相補配列を含む核酸。
  4. DNA又はRNAである、請求項3に記載の核酸。
  5. チャイニーズハムスター卵巣細胞において高発現される、配列番号1及び配列番号2のアミノ酸配列をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
  6. 治療有効量の請求項1又は2に記載の抗体の、又は請求項3若しくは4に記載のポリヌクレオチド若しくはその相補配列の、又は請求項5に記載のベクターの抗腫瘍医薬の調製における使用であって、
    前記抗腫瘍医薬が、活性成分として放射性免疫治療剤とカップリングした請求項1又は2に記載の前記抗体を含み、前記放射性免疫治療剤が 131 Iである、使用
  7. 請求項1又は2に記載の抗体の、腫瘍診断剤の調製における使用。
  8. 前記腫瘍が、結腸直腸がんである、請求項6又は7に記載の使用。
  9. 前記腫瘍診断剤が、活性成分として放射性免疫イメージング剤とカップリングした請求項1又は2に記載の前記抗体を含み、前記放射性免疫イメージング剤が188Reである、請求項に記載の使用。
JP2013508358A 2010-05-05 2011-03-16 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用 Active JP5987822B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
CN201010163052.2 2010-05-05
CN2010101630522A CN101928347B (zh) 2010-05-05 2010-05-05 抗癌胚抗原抗体及其应用
PCT/CN2011/071840 WO2011137687A1 (zh) 2010-05-05 2011-03-16 一种抗癌胚抗原抗体及其应用

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015163791A Division JP2016028577A (ja) 2010-05-05 2015-08-21 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013534406A JP2013534406A (ja) 2013-09-05
JP5987822B2 true JP5987822B2 (ja) 2016-09-07

Family

ID=43367813

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013508358A Active JP5987822B2 (ja) 2010-05-05 2011-03-16 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用
JP2015163791A Pending JP2016028577A (ja) 2010-05-05 2015-08-21 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015163791A Pending JP2016028577A (ja) 2010-05-05 2015-08-21 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用

Country Status (9)

Country Link
US (1) US9056911B2 (ja)
EP (1) EP2567982B1 (ja)
JP (2) JP5987822B2 (ja)
CN (1) CN101928347B (ja)
CA (1) CA2798285C (ja)
ES (1) ES2655998T3 (ja)
HK (1) HK1149937A1 (ja)
PL (1) PL2567982T3 (ja)
WO (1) WO2011137687A1 (ja)

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101928347B (zh) * 2010-05-05 2013-03-27 上海海抗中医药科技发展有限公司 抗癌胚抗原抗体及其应用
DK3252076T3 (da) 2011-01-14 2019-12-02 Univ California Diagnostisk anvendelse af antistoffer mod ror-1-protein
RU2493166C1 (ru) * 2012-04-09 2013-09-20 Общество с ограниченной ответственностью "Технофарма" Наноантитело, специфически связывающее белок сеа, способ его использования для детекции этого белка
US10656156B2 (en) * 2012-07-05 2020-05-19 Mepur Ravindranath Diagnostic and therapeutic potential of HLA-E monospecific monoclonal IgG antibodies directed against tumor cell surface and soluble HLA-E
CN104628859A (zh) * 2015-01-26 2015-05-20 佳德资本投资管理(Bvi)有限公司 抗人癌胚抗原抗体及其编码基因和应用
UA126388C2 (uk) 2016-11-18 2022-09-28 Астеллас Фарма Інк. Fab-фрагмент антитіла до muc1 людини
CN106749667B (zh) * 2016-12-04 2020-07-14 深圳市国创纳米抗体技术有限公司 一种抗癌胚抗原的纳米抗体及其应用
CA3054738A1 (en) * 2017-02-27 2018-08-30 Dragonfly Therapeutics, Inc. Multispecific binding proteins targeting cea
TWI795415B (zh) * 2017-07-07 2023-03-11 日商安斯泰來製藥股份有限公司 新穎的抗人類CEACAM5抗體Fab片段
TW201922796A (zh) * 2017-10-30 2019-06-16 國立研究開發法人國立癌症研究中心 可用於實體腫瘤治療之抗體及其抗體-藥物共軛物以及含其之抗癌劑
CN110297093B (zh) * 2019-03-18 2022-04-22 山西瑞豪生物科技有限公司 一种检测人免疫球蛋白g4的方法和试剂盒
CN114409789B (zh) * 2022-03-30 2022-06-07 北京科跃中楷生物技术有限公司 一种胶体金颗粒标记方法及检测试剂盒
CN114560944B (zh) * 2022-03-30 2022-08-09 北京科跃中楷生物技术有限公司 胶体金颗粒标记的抗体及其应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5874540A (en) * 1994-10-05 1999-02-23 Immunomedics, Inc. CDR-grafted type III anti-CEA humanized mouse monoclonal antibodies
CN1216321A (zh) * 1997-10-31 1999-05-12 广州军区广州总医院医务部科训科 癌胚抗原基因启动子dna的克隆方法、序列及其用途
CN1077801C (zh) * 1997-11-19 2002-01-16 中国科学院微生物研究所 癌胚抗原基因工程抗体CL-3-scFv
US20040096826A1 (en) 2002-01-30 2004-05-20 Evans Glen A. Methods for creating recombination products between nucleotide sequences
US7232888B2 (en) 2002-07-01 2007-06-19 Massachusetts Institute Of Technology Antibodies against tumor surface antigens
CN1532281A (zh) * 2003-03-21 2004-09-29 吉林大学第一医院 癌胚抗原基因片段的重组及基因疫苗
JP4908440B2 (ja) * 2008-03-06 2012-04-04 株式会社東芝 画像処理装置及び方法
CN101928347B (zh) * 2010-05-05 2013-03-27 上海海抗中医药科技发展有限公司 抗癌胚抗原抗体及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
PL2567982T3 (pl) 2018-04-30
JP2013534406A (ja) 2013-09-05
EP2567982A4 (en) 2013-09-18
HK1149937A1 (en) 2011-10-21
US9056911B2 (en) 2015-06-16
EP2567982A1 (en) 2013-03-13
EP2567982B1 (en) 2017-11-01
US20130123471A1 (en) 2013-05-16
CA2798285A1 (en) 2011-11-10
WO2011137687A1 (zh) 2011-11-10
CA2798285C (en) 2017-06-06
CN101928347A (zh) 2010-12-29
ES2655998T3 (es) 2018-02-22
JP2016028577A (ja) 2016-03-03
CN101928347B (zh) 2013-03-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5987822B2 (ja) 癌胎児性抗原に対する抗体及びその使用
JP5463036B2 (ja) 可溶性ceaに対する抵抗性を有する医薬抗体組成物
JP2021531826A (ja) 栄養膜細胞表面抗原2(trop2)に対する特異的な抗体
US20060269557A1 (en) Humanized anti-prostate stem cell antigen monoclonal antibody
CA2425809A1 (en) Humanized anti-lt-.beta.-r antibodies
WO2022095926A1 (zh) 靶向于白介素36r的抗体及其制备方法和应用
CN113474362B (zh) 对cd44特异性的抗体
CN112955548B (zh) 叶酸受体α特异性抗体
BR112020021061A2 (pt) anticorpos, polinucleotídeo isolado, vetor, kit ou composição, célula hospedeira e método de produção de um anticorpo
CN113423736A (zh) 对muc18特异性的抗体
JP2022539344A (ja) 抗cea抗体及びその応用
EP4257605A1 (en) Anti-tslp nanobody and use thereof
EP4279507A1 (en) Cd73-binding protein and use thereof
WO2022122004A1 (zh) Cd73的抗原结合蛋白及其应用
CN113423830A (zh) 对muc18特异性的抗体
TW202210518A (zh) 結合人cd38的抗體、其製備方法和用途
CN113248611A (zh) 抗bcma抗体、其药物组合物及应用
CN113164601B (zh) 一种分离的抗原结合蛋白及其用途
CN117586390A (zh) 抗cgrp抗体及用途
JP2022512892A (ja) アミロイド沈着物を撮像するための方法および組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140212

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140509

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140516

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140812

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20141118

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150218

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150421

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20150821

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160725

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5987822

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250