JP5987774B2 - 高炉操業方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高炉羽口から微粉炭を吹込んで燃焼温度を上昇させることにより、生産性の向上及び排出COの低減を図る高炉の操業方法に関するものである。
近年、炭酸ガス排出量の増加による地球温暖化が問題となっており、製鉄業においても排出COの抑制は重要な課題である。高炉は、主に炉頂から装入するコークス及び羽口から吹込む微粉炭を還元材として使用しており、事前処理により生じる炭酸ガス排出量の差から、できるだけコークスよりも微粉炭を使用することが、トータルとしての排出COの抑制につながる。銑鉄1t製造当たりに使用される(羽口から吹込む)微粉炭量を微粉炭比(kg/t−銑鉄、又はkg/t−p)と称するが、例えば下記特許文献1では、微粉炭比が150kg/t−p以上、微粉炭の揮発分が25mass%以下である場合に、微粉炭の燃焼効率が低下する場合、羽口から炉内に微粉炭を吹込むランスに微粉炭と酸素を供給し、ランス中の酸素濃度を70vol%以上とすることで、燃焼効率を向上することができるとしている。また、この特許文献1では、ランスが単管である場合には、酸素と微粉炭の混合物をランスから吹込み、ランスが二重管である場合には、二重管ランスの内側管から微粉炭を吹込み、二重管ランスの内側管と外側管の間から酸素を吹込むことも提案されている。また、下記特許文献2では、出銑比1.8以下の減産操業時に微粉炭比を150kg/t−p以上として、燃焼効率が低下する場合には、揮発分が28mass%以上の微粉炭を使用すると共に、固体熱容量とガス熱容量の比で表される熱流比を0.8以下に制御して微粉炭の効率的な燃焼を維持するとしている。
特許第4074467号公報 特開2011−127176号公報
高炉での微粉炭の役割は、基本的に熱源や還元材源であり、燃焼性は未燃粉(未燃チャー)の発生量(高炉内への粉投入量)に関連している。高炉内では、C+CO=2COで表されるソルーションロス反応が起こっており、その反応量は操業によって変化するが、約80〜100kg−C/t−pとされている。この反応で消費されるC源としては、高炉内に装入している塊コークスや鉱石中に混合している小中塊コークス、微粉炭未燃粉が考えられるが、その比表面積(粒径)差から微粉炭未燃粉が優先的に消費されるとされている。つまり、微粉炭の燃焼性が低下した場合は、高炉に投入される未燃粉量が増加し、ソルーションロス反応で優先的に消費される結果、通常消費されるはずの粉コークスが消費しきらずに、炉内に滞留する。この炉内滞留粉コークスが増加すると、空隙率、平均粒径の低下に繋がり、結果として高炉の通気性が悪化すると考えられる。一方で、コークスの炉内発生粉量は、コークスの冷間強度(JIS.K.2151 コークス試験方法に記載されるドラム強度)の影響が大きいため、高炉の通気性を評価するという意味では、微粉炭の燃焼性だけでなく、コークスの性状も同時に調整することが重要であると考えられる。
前記特許文献1では、微粉炭の揮発分が25mass%以下で微粉炭比150kg/t−p以上のような条件で、微粉炭の燃焼効率が低下するような操業を行う際に、ランスに微粉炭と酸素を供給し、ランス中の酸素濃度を70vol%以上とすることで燃焼効率を向上することができ、炉内の通気性を改善するという技術である。しかしながら、燃焼効率については、同じ揮発分25mass%以下の微粉炭であっても、粒度又は送風温度によっては、ランス中の酸素濃度を70vol%以上としても、燃焼効率が上昇しきらなかったり、逆にランス中の酸素濃度を70vol%以上としなくとも燃焼効率が維持されたりする場合もあることが分かった。また、炉内の通気性に関しても、多少微粉炭の燃焼効率が低下しても、コークスの強度が大きければ、炉内の通気性への影響が小さいこともあることが分かった。そのため、前記特許文献1は優れた技術であるにも関わらず、微粉炭やコークスの性状、送風条件によっては効果を発揮できない、若しくは逆に効果が過剰であるため、ランスに高圧酸素を準備するコストを考えると損失に繋がることも想定される。
また、更なる排出CO低減が要求されていることから、例えば微粉炭比を170kg/t−p以上とすることも望まれているが、微粉炭比が170kg/t−p以上の高微粉炭比では、前記特許文献1にも記載されるように、単に二重管ランスの内側管から微粉炭を吹込み、内側管と外側管の間から酸素を吹込んでも、燃焼温度が飽和してしまって、燃焼効率が高くならない。また、羽口には、例えば1000〜1200℃の熱風が大量に送風されているため、羽口内に挿入される吹込みランスは高温に晒される恐れがあり、前記特許文献1に記載されるように、単管ランスに高濃度の酸素と微粉炭の混合物を供給するのは、安全面から現実的でない。
また、前記特許文献2では、出銑比1.8以下の減産操業時に微粉炭比150kg/t−p以上として燃焼効率が低下する場合に、揮発分が28mass%以上の微粉炭を使用すると共に、固体熱容量とガス熱容量の比で表される熱流比を0.8以下に制御して微粉炭の効率的な燃焼を維持するとしている。しかしながら、熱流比を下げるために酸素富化2.0以下、好ましくは1.5%に下げるとしており、それは微粉炭の燃焼効率を低下することになることから、送風条件(送風温度)、微粉炭性状(粒度)によっては揮発分を28mass%以上に設定しても、燃焼効率改善効果が足りない場合も想定される。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、微粉炭比が150kg/t−p以上の操業条件であっても、微粉炭の燃焼温度を上昇させることにより、生産性の向上及び排出COの低減を可能とする高炉操業方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明の高炉操業方法は、銑鉄1t当たりの吹込み量150kg/t−p以上の微粉炭を送風羽口からランスで吹込む高炉操業方法において、炉頂から装入するコークスの強度がJISK2151に記載の試験方法でDI 150 15〔%〕87以下である場合であって、粒径74μm以下の微粉炭の重量比率が60%以下、微粉炭の平均揮発分が25mass%以下、送風温度が1100℃以下の3つの条件のうちの少なくとも2つ以上が満たされた場合に、羽口当たり2本のランスを用い、一方のランスから微粉炭を吹込み、他方のランスから易燃性ガスを吹込むことを特徴とするものである。
本発明で用いる易燃性ガスとは、文字通り、微粉炭よりも燃焼性のよいガスであり、例えば水素を主要成分として含有する水素、都市ガス、LNG、プロパンガスの他、製鉄所で発生する転炉ガス、高炉ガス、コークス炉ガスなどが適用可能である。また、LNGと等価としてシェールガス(shale gas)も利用できる。シェールガスは頁岩(シェール)層から採取される天然ガスであり、従来のガス田ではない場所から生産されることから、非在来型天然ガス資源と呼ばれているものである。都市ガスなどの易燃性ガスは、着火・燃焼が非常に早く、水素含有量が多いものでは燃焼カロリーも高く、また易燃性ガスは、微粉炭と異なり、灰分を含んでいないことも高炉の通気性、熱バランスに対して有利である。
また、微粉炭の平均揮発分の下限値は5mass%とする。微粉炭の平均揮発分が5mass%未満では、石炭が硬く、粉砕が困難である。また、コークス強度の下限値はDI 150 15〔%〕で78とする。コークス強度がDI 150 15〔%〕78未満では、石炭が十分に収縮していないため、コークスが未乾留となり、コークス炉を傷める。また、粒径74μm以下の微粉炭の重量比率の下限値は30%とする。粒径74μm以下の微粉炭の重量比率が30%未満では、微粉炭の昇温が遅く、着火しないため、燃焼性が急激に低下する。また、送風温度の下限値は900℃とする。熱風炉の煉瓦は900〜1200℃で噛み合うように設計されているため、送風温度が900℃未満では、熱風炉の煉瓦の損耗が生じる。また、銑鉄1t当たりの微粉炭の吹込み量の上限値は300kg/t−pとする。銑鉄1t当たりの微粉炭の吹込み量が300kg/t−pを超えると、燃焼性の大幅な低下によるコークスの置換率の低下と、操業的にも、羽口先温度(理論燃焼温度)を維持するために、酸素濃度や送風温度を大幅に増加、若しくは送風湿度の大幅な低下など、設備能力的にも調整が困難となるため、望ましくない。好ましくは250kg/t−p以下とする。
また、前記易燃性ガスの吹込み量を3kg/t−p以上とすることを特徴とするものである。
また、前記2本のランスから吹込まれる主流が互いに衝突することを特徴とするものである。
また、前記コークスの強度がDI 150 15〔%〕85以下である場合、前記易燃性ガスの吹込み量を10kg/t−p以上とすることを特徴とするものである。
また、前記コークスの強度がDI 150 15〔%〕83以下である場合、前記易燃性ガスの吹込み量を20kg/t−p以上とすることを特徴とするものである。
而して、本発明の高炉操業方法によれば、微粉炭の燃焼効率が低下する種々の条件をコークス強度と共に判定しながら、総合的に高炉の通気性の状態を考慮し、必要に応じて微粉炭の燃焼効率を図ることにより、生産性の向上及び排出COの低減を効率的に図ることが可能となる。つまり、羽口から吹込む微粉炭の量、微粉炭の性状(粒度、揮発分量)、送風温度から微粉炭の燃焼効率を判定し、通気性については微粉炭の燃焼効率と使用するコークス強度から総合的に判断することで、微粉炭の燃焼効率を最適な範囲に効率的に設定可能とする。その結果、微粉炭の燃焼効率を維持、改善することが可能となり、ひいては高炉の通気性を安定させ、結果的に生産性の向上及び排出COの低減を効率的に図ることが可能となるのである。
本発明の高炉操業方法が適用された高炉の一実施形態を示す縦断面図である。 図1の高炉において2本のランスの主流が衝突する一例の説明図である。 2本のランスの主流が衝突する他の例の説明図である。 図1の高炉において2本のランスの主流が衝突しない一例の説明図である。 2本のランスの主流が衝突しない他の例の説明図である。
次に、本発明の高炉操業方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の高炉操業方法が適用された高炉の全体図である。図に示すように、高炉1の羽口3には、熱風を送風するための送風管2が接続され、この送風管2を貫通してランス4が設置されている。羽口3の熱風送風方向先方のコークス堆積層には、レースウエイ5と呼ばれる燃焼空間が存在し、主として、この燃焼空間で鉄鉱石の還元、即ち造銑が行われる。図では、図示左方の送風管2にランス4が1本だけ挿入されているが、周知のように、炉壁に沿って円周状に配置された送風管2及び羽口3の何れにもランス4を挿入設定することは可能である。また、羽口当たりのランスの数も1本に限定されず、2本以上を挿入することが可能である。また、ランスの形態も、単管ランスをはじめ、二重管ランスや複数のランスを束ねたものも適用可能である。
周知のように、ランス4から羽口3を通過し、レースウエイ5内に吹込まれた微粉炭は、コークスと共に、その揮発分と固定炭素が燃焼し、燃焼しきれずに残った、一般にチャーと呼ばれる炭素と灰分の集合体は、レースウエイから未燃チャー(未燃粉)として排出される。チャーは、主に固定炭素であるので、燃焼反応と共に、炭素溶解反応と呼ばれる反応も生じる。また、ランス4から送風管2内に吹込まれる微粉炭の揮発分が高い場合には、揮発分の増加により、微粉炭の着火が促進され、揮発分の燃焼量増加により微粉炭の昇温速度と最高温度が上昇し、微粉炭の分散性と温度の上昇によりチャーの反応速度が上昇する。このとき、揮発分の気化膨張に伴って微粉炭が分散し、揮発分が燃焼し、この燃焼熱によって微粉炭が急速に加熱、昇温すると考えられ、これにより例えば炉壁に近い位置で微粉炭が燃焼する。また、JISK2151に定めるコークス強度DI 150 15〔%〕については、コークス強度DI 150 15〔%〕が大きいほど、炉内のコークス粉の割合が少なく、例えば炉芯部へのコークス粉の堆積量が小さくなると考えられる。
次に、炉内体積5000m3の高炉で、前述のコークス強度DI 150 15〔%〕、微粉炭量、微粉炭性状(粒度、揮発分)、送風温度を変更し、通気性を評価する操業試験を行った。出銑量は、10000t/日(dと表記することもある)一定となるように送風量を制御し、そのときの通気性を条件毎に比較した。通気性は、周知のように、炉頂部の圧力と送風圧力との圧力差及び送風量から得られる。この試験操業期間では、送風湿分を調整して羽口先温度が一定の範囲になるようにし、溶銑温度は各水準1500℃±10℃の範囲に収まる実績であった。下記表1に示すように、ベース条件1として、コークス比340kg/t−p(図では−pを省略)、微粉炭比150kg/t−p、送風温度1100℃、コークス強度DI 150 15〔%〕87、微粉炭揮発分25mass%、粒径74μm以下の微粉炭粒度60mass%で操業を行い、そのときの通気性を1.0とし、以下に操業条件を変更したときの通気性を相対比較した。通気性は、数値が大きいほど、通気性が悪化するが、通気性が1.05程度までは、安定操業上の許容範囲であった。なお、ベース条件では、全て羽口当たり1本の単管ランスを用いた。
Figure 0005987774
ベース2は、ベース1に対して、送風温度、微粉炭揮発分、微粉炭粒度を全て燃焼効率が向上する方向に操作した結果、予想通り、コークス比、通気性共に改善した。燃焼効率が向上する方向とは、夫々、送風温度を大きくし、微粉炭揮発分を大きくし、微粉炭粒度を大きくする(粒径74μm以下の微粉炭粒の重量%が微粉炭粒度であるため)ことを意味する。ベース3では、ベース1に対して、微粉炭比のみを+10kg/t−pとした結果、通気性が少し悪化したが、安定操業上の許容範囲に収まった。ベース4〜6では、ベース3に対して、夫々、微粉炭揮発分、微粉炭粒度、送風温度を各1項目のみ、燃焼効率が低下する方向に操作した。燃焼効率が低下する方向とは、夫々、送風温度を小さくし、微粉炭揮発分を小さくし、微粉炭粒度を小さくすることを意味する。その結果、ベース4〜6では、多少、通気性が悪化したものの安定操業上の許容範囲に収まった。
ベース7〜9では、ベース3に対して、コークス強度DI 150 15〔%〕88という条件で、微粉炭揮発分、微粉炭粒度、送風温度のうちの2項目を組合せて燃焼効率が低下する方向に操作した。その結果、ベース7〜9では、通気性は若干悪化したが、安定操業上の許容範囲に収まった。これは、コークス強度DI 150 15〔%〕を向上した影響と考えられる。即ち、コークス強度DI 150 15〔%〕を向上したため、炉内の粉コークスの堆積が抑制され、通気性をさほど損なわずにすんだものと考えられる。ベース10〜12では、ベース3に対して、コークス強度DI 150 15〔%〕を85.5に低下し、更に微粉炭揮発分、微粉炭粒度、送風温度のうちの2項目を組合せて燃焼効率が低下する方向に操作した。その結果、通気性が大幅に悪化し、コークス比を増加したものの、安定操業が困難な状況となった。これは、前述のように、コークス強度DI 150 15〔%〕を低下したために粉コークスの炉内堆積が悪化したためであると考えられる。
以下のケース条件では、何れも、羽口当たり2本の単管ランスを用い、一方の単管ランスから微粉炭を吹込み、他方の単管ランスから易燃性ガスとして都市ガスのみを吹込んだ。微粉炭は窒素などの搬送ガスと共に単管ランスから搬送する。なお、易燃性ガスには、前述のように、都市ガスの他、LNG、プロパンガス、水素、転炉ガス、高炉ガス、コークス炉ガスなどを用いることもできる。
次に、表中のランス主流の「衝突」及び「衝突なし」について説明する。前述のように、以下のケース条件では、何れも羽口当たり、2本の単管ランスを用いる。例えば、図2に示すように、2本のランス4を羽口3の中心に対して対称に配置すると、2本のランス4から吹込まれる微粉炭や都市ガスの主要な流れ(主流)が互いに衝突する。ランスの主流とは、ランスから吹込まれる物質が集中して流れる流れを意味し、凡そランスの軸線方向に沿う。このように主流が衝突する2本のランス4のレイアウトとしては、例えば図3に示すように、ランス4の軸線が予め設定された角度で交差するものが挙げられる。一方、図4に示すように、2本のランス4の軸線が互いに異なる平行な2つの平面上に存在する場合、ランス4の主流は互いに衝突しない。図4のようなランス4のレイアウトを偏芯状態ともいう。ランスの主流が衝突しない2本のランス4のレイアウトとしては、例えば図5に示すように、ランス4の軸線が平行でなく、且つ交差しない、所謂捻れの位置にあるものが挙げられる。本実施形態では、このように羽口3当たりの2本のランス4の配置を調整して、ランス4の主流が衝突したり、衝突しなかったりという状況を作った。
ケース1は、ベース10の条件に対して、2本のランスから微粉炭と共に易燃性ガスを吹込む本実施形態の高炉操業方法を適用したものである。つまり、一方の単管ランスから微粉炭を吹込み、他方の単管ランスから都市ガスを吹込み、2本のランスの主流を互いに衝突させた。但し、都市ガス比を2kg/t−pとしただけでは、通気性改善効果が不十分であった。つまり、ケース1の条件では、微粉炭の燃焼効率改善効果が不足したものと考えられる。なお、都市ガス比とは、銑鉄1t当たりの都市ガス吹込み量を意味する。ケース2は、都市ガス比を5kg/t−pとしながら、2本のランスの主流が衝突しないケースである。この場合、ケース1よりも通気性が改善したものの、ランスの主流が衝突しないため、都市ガス燃焼による微粉炭昇温効果が減少し、燃焼率上昇効果が不足したものと考えられる。
これらに対し、ケース3〜5は、夫々、ベース10〜12に対して、都市ガス比を5kg/t−pとし、且つ2本のランスの主流を衝突させたものであり、通気性改善効果が確認され、安定操業が可能となった。また、ケース6〜8は、夫々、ベース10〜12に対して、都市ガス比を10kg/t−pとし、且つ2本のランスの主流を衝突させたものであり、ケース3〜5に比べて、更なる通気性改善効果が確認され、ベース1条件と比較しても、通気性が改善された。更に、ケース9は、ベース1条件に対して、1本のランスから微粉炭を吹込み、他の1本のランスから都市ガスを吹込み、且つ2本のランスの主流を衝突させ、更に都市ガス比も大幅に増加する本実施形態の高炉操業方法を適用したものである。表から明らかなように、微粉炭の燃焼効率の改善効果で微粉炭比の増加が可能となり、良好な通気性条件でコークス比を大幅に低下することが可能であった。
ケース10〜12では、ケース3〜5に対して、コークス強度DI 150 15〔%〕を85.5から84.5に低下した。このケース10〜12では、ケース3〜5と同様に、都市ガス比を5kg/t−pに設定したため、通気性が悪化した。これに対し、ケース13〜15では、ケース10〜12に対して、都市ガス比を12kg/t−pとしたことにより、通気性が改善した。即ち、コークス強度DI 150 15〔%〕を84.5に低下した条件下でも、都市ガス吹込み量を大きくすることによって微粉炭の燃焼性を改善して安定操業が可能であった。更に、ケース16〜18では、ケース13〜15に対して、コークス強度DI 150 15〔%〕を84.5から82.5と大幅に低下した。このケース16〜18では、ケース13〜15と同様に、都市ガス比を12kg/t−pとしたため、通気性が大幅に悪化した。これに対し、ケース19〜21では、ケース16〜18に対して、都市ガス比を23kg/t−pとしたことにより、通気性が改善した。このように、コークス強度DI 150 15〔%〕を82.5に低下した条件下でも、都市ガス吹込み量を大きくすることによって微粉炭の燃焼性を改善して安定操業が可能であった。
このように、本実施形態の高炉操業方法では、コークス強度DI 150 15〔%〕の低下時に、微粉炭の燃焼効率が低下するような操業条件であっても、微粉炭の燃焼効率を効率的に改善することが可能となり、生産の安定性と向上、及び排出COの低減が可能な高炉の操業を達成することができる。また、操業条件が一定であれば、本実施形態の高炉操業方法により、大幅な操業諸元の改善が可能であることも確認された。なお、都市ガスの吹込み量に特別な制限はないが、コストに応じて使用量を設定する必要がある。
1は高炉、2は送風管、3は羽口、4はランス、5はレースウエイ

Claims (3)

  1. 銑鉄1t当たりの吹込み量150kg/t−p以上の微粉炭を送風羽口からランスで吹込む高炉操業方法において、炉頂から装入するコークスの強度がJISK2151に記載の試験方法でDI 150 15〔%〕85超え87以下である場合であって、粒径74μm以下の微粉炭の重量比率が60%以下、微粉炭の平均揮発分が25mass%以下、送風温度が1100℃以下の3つの条件のうちの少なくとも2つ以上が満たされた場合に、羽口当たり2本のランスを用い、一方のランスから微粉炭を吹込み、他方のランスから易燃性ガスを吹込み、前記2本のランスから吹込まれる主流が互いに衝突し、前記易燃性ガスの吹込み量を3kg/t−p以上とすることを特徴とする高炉操業方法。
  2. 銑鉄1t当たりの吹込み量150kg/t−p以上の微粉炭を送風羽口からランスで吹込む高炉操業方法において、炉頂から装入するコークスの強度がJISK2151に記載の試験方法でDI 150 15〔%〕83超え85以下である場合であって、粒径74μm以下の微粉炭の重量比率が60%以下、微粉炭の平均揮発分が25mass%以下、送風温度が1100℃以下の3つの条件のうちの少なくとも2つ以上が満たされた場合に、羽口当たり2本のランスを用い、一方のランスから微粉炭を吹込み、他方のランスから易燃性ガスを吹込み、前記2本のランスから吹込まれる主流が互いに衝突し、前記易燃性ガスの吹込
    み量を10kg/t−p以上とすることを特徴とする高炉操業方法。
  3. 銑鉄1t当たりの吹込み量150kg/t−p以上の微粉炭を送風羽口からランスで吹込む高炉操業方法において、炉頂から装入するコークスの強度がJISK2151に記載の試験方法でDI 150 15〔%〕83以下である場合であって、粒径74μm以下の微粉炭の重量比率が60%以下、微粉炭の平均揮発分が25mass%以下、送風温度が1100℃以下の3つの条件のうちの少なくとも2つ以上が満たされた場合に、羽口当たり2本のランスを用い、一方のランスから微粉炭を吹込み、他方のランスから易燃性ガスを吹込み、前記2本のランスから吹込まれる主流が互いに衝突し、前記易燃性ガスの吹込み量を20kg/t−p以上とすることを特徴とする高炉操業方法。
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