JP5984020B2 - 白金族元素の分離回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、白金族元素(Platinum Group Metals:PGM)の分離回収方法に関し、更に詳しくは、比較的低濃度に白金族元素を含み、不純物元素が高濃度に共存する塩化物溶液から、クロロ錯体等の塩化物の形態として白金族元素を、アミンを含有する合成樹脂を用いて選択的に吸着、溶離して、含まれる白金族元素を分離、回収する白金族元素の分離回収方法に関する。
白金族元素は、資源的に希少な元素であり、白金族元素を高品位で含有する白金族元素単独の鉱石としての産出は少なく、工業的に生産される白金族元素は、銅、ニッケル、コバルトなどの鉱石中に付随して存在し、これらの製錬過程で副産物として産出されるものである。
また、自動車排ガス処理触媒など各種の使用済み廃触媒などからリサイクルされる白金族元素の比率も高い。
非鉄金属製錬からの副産物として回収する場合は、製錬原料の中にごく微量含有されている白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、及びオスミウムなどの白金族元素が、その化学的性質から主金属である銅、ニッケルなどの硫化濃縮物及び粗金属の中に濃縮され、さらに選択浸出、電解精製など主金属を回収する工程で二次濃縮され、最終的に残滓等として白金族元素を含む貴金属濃縮物が分離される。
この濃縮物には、主金属である銅、ニッケルなどと共に、他の構成元素である金、銀等の貴金属、セレン、テルル等の16族(旧称:VI族)元素、ビスマス、アンチモン、ヒ素などの15族(旧称:V族)元素が、白金族元素に比べて高い含有量で共存するのが通常である。その後、金、銀の回収を経て、白金族元素の回収が行われるが、通常は一旦液中に浸出してから溶媒抽出、イオン交換法などで精製分離して回収する方法が行われている。
ところで、白金族元素を含む水溶液中の白金族元素濃度は、通常非常に低いことから、一次濃縮には溶媒抽出よりもイオン交換法が特に適している。白金族元素は通常塩化物水溶液として取り扱われ、塩化物水溶液中では白金族元素はクロロ錯体の陰イオンとして存在するため、陰イオン交換能力がある樹脂や吸着剤により吸着、回収が可能である。
市販の陰イオン交換樹脂は、樹脂のスチレン、アクリルをベースとする基本骨格の炭素原子にアミノ基または第四アンモニウム基が直接結合しており、堅固な構造である。
そこで、陰イオンである白金族のクロロ錯体(例えば [MCl2−)は、樹脂中のアミン塩、または、第四アンモニウム塩を構成する陰イオンと交換することにより吸着される。
しかしながら、単純な陰イオン交換だけでは吸着力は弱く、実際には、隣接する炭素原子に連なって付いている複数のアミノ基で金属イオンを包み込むいわゆるキレート効果により吸着力が増大している。
特に、複数の種類のアミノ基を官能基とするポリアミン型アニオン交換樹脂は、アミノ基の密度が高いためキレート効果が高く、通常のアニオン交換樹脂より強い錯形成能力を有している。
また、一〜三級アミンを官能基として持つ陰イオン交換樹脂は、弱塩基性樹脂に相当するため、弱酸型の白金族のクロロ錯体(例えば[M(HO)Clなど)を吸着可能である。一方、塩化物溶液中で、陰イオンが不安定な銅等の多くの金属イオン、あるいは強酸型オキソ酸イオンを形成するヒ素、6価のセレンイオン、6価のテルルイオンなどは吸着しにくいという性質を有している。
したがって、この化学的性質を利用して、不純物元素の存在下で白金族元素のみを選択的に吸着できる特徴を有する。
前記陰イオン交換体を用いて白金族元素を含む水溶液から白金族元素を吸着する方法としては、多くの方法が知られているが、代表的な方法としては、下記のような例がある。
特許文献1には、白金族元素を含む水溶液とポリオレフィン、フッ素化ポリエチレン、セルロース、ビコースにチオ尿素、尿素、アミン、ポリアミンを放射線グラフト化により結合させた吸着材とを接触させ、吸着した白金族元素を強酸、塩、錯化剤により溶離する方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1の方法では、前記のキレート効果により強力に吸着剤中に白金族元素が固定される結果、溶離処理後も白金族元素の多くが吸着剤中に残留し、最終的に熱や加水分解により樹脂自体を分解して、白金族を分離回収する必要があった。
また、特許文献2には、白金族を含む廃触媒やスクラップの強酸溶液から白金族元素を還元により粗分離した希薄白金族元素を対象とし、表面積が大きな繊維状のイオン交換繊維を吸着材として用いることにより、白金族元素の吸着、溶離速度を高めることを特徴としており、溶離剤としては例えば、塩酸とチオ尿素の混合液が使用可能であると記載されている。
しかしながら、特許文献2の方法では、繊維状の樹脂は、嵩密度が低く、通常工業的に使用されるカラムに充填して利用する場合、単位体積あたりの吸着容量が小さくなるという原理的な限界があった。また、樹脂自体は通常の陰イオン交換樹脂であるため、樹脂内部でキレート効果により固定されやすい白金、パラジウム以外の白金族元素の溶離率の改善には限界があった。
一方、溶離剤として使用する塩酸とチオ尿素の混合物は不安定で、カラム内ではチオ尿素が分解して硫黄や硫化物の沈殿となり、閉塞を起こしたり、チオ尿素の効果が低減するという問題点もあった。
さらに、特許文献3には、白金族元素と不純物元素を含む塩化物溶液から白金族元素を回収する方法において、塩化物溶液をポリアミン型アニオン交換樹脂と接触させて白金族元素を選択的に吸着させ、吸着処理後の樹脂を希塩酸、水で洗浄し、次いで、洗浄処理後の樹脂から白金族元素をチオ尿素、さらに必要に応じて塩酸で溶離させる方法が記述されている。
しかしながら、特許文献3の方法では、溶離に関しては、最適な溶離剤であるチオ尿素を用い、さらに60〜90℃の高温下で溶離を行うことにより、樹脂内でキレート効果により固定されやすい白金族元素を効果的に溶離することが可能であり、チオ尿素に次いで塩酸を用いて追加溶離することにより、溶離が特に困難とされるイリジウム、ルテニウム、ロジウムも溶離可能な方法が示されているものの、後者の三元素の溶離率に関しては、さらなる改善の余地があった。
このように、アミンのキレート効果により一旦強く吸着した白金族元素や共存元素のクロロ錯体は、逆反応である溶離反応が不完全であるという問題点があった。
特表2004−518813号公報 特開昭62−238337号公報 特開2004−131745号公報
本発明の目的は、上述のような従来技術の問題点に鑑み、塩化物水溶液中の白金族元素を高濃度の不純物元素の共存下で選択的かつ高い吸着率で吸着する性能を維持しつつ、吸着された白金族元素を高い溶離率で溶離する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、比較的低濃度の白金族元素を含む塩化物溶液に、アミノ基を含む重合体とアミノ基を含まない重合体とから成る水に不溶なポリマーアロイを適用したところ、塩化物溶液中に高濃度の不純物元素が共存するにもかかわらず、白金族元素を選択的に吸着できるだけでなく、従来の陰イオン交換樹脂よりも溶離率が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明は、白金族元素と不純物元素を含む酸性溶液から白金族元素を回収する方法において、下記工程を順に経ることを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
(記)
・Cl型の官能基を末端に有する水に不溶な含アミンポリマーアロイからなる樹脂と、前記酸性溶液を接触させ、前記樹脂に前記酸性溶液に含まれる白金族元素を吸着処理する第一の工程。
・前記吸着処理後の樹脂を洗浄処理する第二の工程。
・前記洗浄処理後の樹脂に液温度が60〜90℃であるチオ尿素を含有する水溶液を接触させて白金族元素を溶離処理する第三の工程。
さらに第2の発明は、その第一の工程における白金族元素を吸着する樹脂が、アミノ基を含む重合体とエチレン−ビニルアルコール共重合体から構成されるポリマーアロイの末端の官能基をCl型とした水に不溶な含アミンポリマーアロイであることを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
本発明の第の発明は、第1及び第2の発明において第一の工程における酸性溶液の酸化還元電位(ORP)が、銀/塩化銀電極を規準(参照)電極とする場合の電位として700〜1100mVに維持することを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
本発明の第の発明は、第1〜第3の発明において第二の工程における洗浄処理が、吸着処理後の樹脂に塩酸溶液と水を順次接触させて、吸着処理後を洗浄処理することを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
本発明の第の発明は、第4の発明における塩酸溶液の塩素イオン濃度が、4mol/L未満であることを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
本発明の第の発明は、第1から第5の発明において第三の工程における溶離が、洗浄処理後の樹脂にチオ尿素を含有する水溶液を接触させた後、濃度が2mol/L以上の塩酸を、その樹脂に接触させることを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
また、本発明の第の発明は、第1から第6の発明における酸性溶液が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウムの群から選ばれる少なくとも1種の白金族元素と、銅、ニッケル、金、銀、セレン、テルル、ビスマス、アンチモン、ヒ素から選ばれる少なくとも1種の不純物元素を含む塩酸酸性もしくは塩化物溶液から構成されていることを特徴とする白金族元素の分離回収方法である。
本発明によれば、比較的低濃度に白金族元素を含む一方、高濃度に不純物元素を共存する塩化物溶液から、アミノ基を含む重合体とアミン以外の重合体とから成る水に不溶なポリマーアロイを用いて、クロロ錯体等の塩化物の形態である白金族元素を、選択的に吸着し、かつ高い溶離率で溶離することが出来るのでその工業的価値は極めて大きい。
実施例における各サイクル毎のPt分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のPd分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のIr分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のRu分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のRh分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のAu分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のPb分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のSb分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のAs分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のSn分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のTe分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のBi分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のSe分配[%]の推移を示す図である。 実施例における各サイクル毎のCu分配[%]の推移を示す図である。
以下に、本発明の白金族元素の回収方法、特に樹脂の選定、吸着、洗浄、溶離、及び白金族元素の回収の各工程について詳細に説明する。
(1)白金族元素の吸着材
本発明に用いるアミノ基を含む重合体とアミン以外の重合体とから成る水に不溶なポリマーアロイ樹脂(以後、「含アミンポリマーアロイ」あるいは単に「樹脂」と表記)では、母体となるアミン以外の重合体とアミノ基を含む重合体とが混合しているだけであるため、従来のイオン交換樹脂と比較すると、構造的に柔軟性が高い。
また吸着時においては、従来の陰イオン交換樹脂、特にポリアミン型樹脂のように、金属のクロロ錯体と一時的にキレート効果による強い結合を形成し、不純物に対する高い選択性も類似であるが、溶離時においては、吸水や加熱により構造的に変化を受けやすく、隣接するN間の距離が離れ、結果的にキレート効果が低減するため、溶離率が上昇すると考えられる。
樹脂の柔軟性は、吸水や加熱による変化を受けやすい重合体ほど増大し、溶離率も上昇する傾向があるが、吸着時のキレート効果も発現しにくくなるため、白金族元素の吸着率も低下しやすくなる。また、吸水や加熱により大きな変化を受けやすい重合体ほど、一般に水や酸への溶解度が高く、樹脂自体の寿命短縮を招き、白金族回収後の廃液中の有機物濃度(化学的酸素要求量)が上昇するという問題がある。したがって、含アミンポリマーアロイ自体が水に溶解しないことが重要である。一つの目安として有機化合物形態の炭素濃度で50mg/L未満となる。
前記のような特性を満たす含アミンポリマーアロイは、例えば、特開2011−219747、特開2011−219748、特開2012−67267号等の各公報に記載されている公知の方法を用いて製造することができる。
(2)第一の工程(吸着工程)
本発明の第一の工程(吸着工程)は、上記(1)の含アミンポリマーアロイを使用し、白金族元素を含有する塩化物溶液から、白金族元素を選択的に吸着する工程である。この吸着工程は、既知のカラム式又はバッチ式で行える。
吸着工程における、白金族元素を含有する塩化物溶液の酸化還元電位(ORP)は、銀−塩化銀電極を参照電極に用いた場合の電位として、700〜1100mVの範囲が好ましく、より好ましくは、800〜1000mV、さらに好ましくは、850〜970mVである。
すなわち、白金族元素は、4価のイオンが最もクロロアニオン錯体を形成しやすいので、主要な白金族元素イオンが四価になる700mV以上であることが望ましく、1100mVを超えると樹脂の酸化劣化が懸念されるためである。
塩化物溶液の酸化還元電位は、吸着工程前の段階で、処理原液に酸化剤を添加して酸化還元電位が調整される。また、樹脂を充填したカラムに原液を連続的に通液して吸着操作を行う場合、吸着されている還元物質などにより、カラムからの流出液の電位が低下したときは、再度処理原液の電位を上記範囲に上昇させて通液することにより、吸着率を向上させることが好ましい。なお、本発明における酸化還元電位は、銀/塩化銀電極を規準(参照)電極に用いた場合の電位で表示した。
また、吸着工程での処理温度は、特に限定されないが、工業的に実現される室温から、樹脂の劣化を防止するため90℃以下の範囲で行うことが好ましい。
(3) 第二の工程(洗浄工程)
本発明の第二の工程の洗浄工程は、第一工程(吸着工程)での吸着処理後の含アミンポリマーアロイを、洗浄液を用いて洗浄する工程である。
吸着処理後の樹脂には、銅イオンなどのカチオン、及びセレン、テルルのオキソ酸イオンなどの強酸型陰イオンは殆ど吸着しないが、溶液が樹脂内部に物理的に含浸されて不純物成分が存在している。したがって、第二の工程における溶離液として高い品質の白金族元素溶液を回収し、また、吸着後液と溶離液が混合して副反応が進行しないようにするため、溶離前にイオン交換樹脂を洗浄して物理的に含まれている含浸液を除去する必要がある。
洗浄に用いる溶液(洗浄液)としては、水が使用可能であるが、共存する不純物元素に加水分解しやすい元素が存在する場合は、塩酸を含有させた方が加水分解による沈澱生成を防止することができ効果的である。
しかし、塩酸濃度が過度に上昇するとイオン交換樹脂に吸着された白金族元素が溶離する割合が増加し、洗浄液中に白金族の損失となるので、洗浄液としては希塩酸が好ましく、その塩素イオン濃度は、4mol/L未満が好ましく、1mol/L以下が特に好ましい。
また、洗浄液として塩酸を使用した場合、次工程の溶離工程で塩酸と溶離液とが反応する恐れがあるため、水による再洗浄をおこなって、樹脂表面の残留塩酸分を置換除去しておくことが好ましい。
さらに、第二の工程における洗浄剤の液温は、特に限定されないが、工業的に実現される常温から樹脂の劣化を防止するため90℃以下の範囲で行うことが好ましい。
(4)第三の工程(溶離工程)
本発明の第三の工程は、第二の工程で洗浄処理されたイオン交換樹脂から白金族元素を溶離剤(溶離液)を用いて脱着する溶離工程である。使用する溶離剤としては、例えばチオ尿素の水溶液が効果的に使用できる。
溶離剤にチオ尿素水溶液を用いる場合、チオ尿素は、白金族元素と強力かつ安定した錯形成能力があるため、その広い濃度範囲で溶離が可能である。
そのチオ尿素水溶液の濃度は限定されないが、水への溶解度や樹脂内に僅かに残存した酸により分解されても溶離への影響を防げること、さらに経済性などを配慮すると、2.5〜10重量%程度の濃度とすることが好ましい。
また、第三の工程での溶離温度は、常温でも行えるが、樹脂の溶離反応は拡散律速であり、高い温度ほど溶離が迅速に行われるので、工業的には、60℃以上で溶離することが望ましい。しかしながら90℃を超えると樹脂の劣化が促進され、分解する懸念も高まるため、溶離工程の液温度は60〜90℃の範囲とすることが好ましい。
さらに第三の工程においては、樹脂を充填したカラムに溶離剤を通液した際、流出開始初期に白金族元素を含有する濃厚な液が得られ、その後急激に白金族元素の濃度が低下し、mg/Lオーダーの液がしばらく流出する状態となる。この後半の液を次回の溶離液として使用すれば経済的かつ高濃度の溶離液を得ることが可能である。
イリジウムなどの特にチオ尿素で溶離が不十分な元素は、塩酸により追加溶離することにより、さらに回収率を高めることができる。
吸着された元素の内、一部の金属錯体は樹脂中で水酸化物やポリマーに変化しており、これらはチオ尿素では溶離困難であるが、塩酸により水酸化物やポリマーが分解し、また、新たにクロロ錯体を形成する。塩酸濃度が高いほどクロロ錯体を形成しやすくなり、かつ、クロロ錯体が樹脂へ吸着するよりも水溶液に存在しやすくなるため、溶離率を高めることができる。
したがって、2mol/L以上の塩酸を使用することが望ましい。また、チオ尿素溶離後、直ちに塩酸を使用すると、両者が混合して一部のチオ尿素が分解するため、樹脂を水で洗浄後、塩酸を使用することが望ましい。
以下に、本発明の実施例、比較例について説明するが、本発明は、この実施例によって何ら限定されるものではない。
金属イオンの分析法はICP発光分析法により定量分析した。
(1)樹脂前処理工程
吸着剤としては、エチレン含有量44mol%のエチレン−ビニルアルコール共重合体と重量平均分子量15000のポリアリルアミンとをN品位6.2%になるように調合し、加熱、融解することにより製造した含アミンポリマーアロイを使用した。
使用する前に、400〜700μmまで粉砕し、さらに、100gの樹脂を1Lの2mol/L塩酸で処理することにより樹脂の末端の官能基をCl型とし、水洗後、乾燥した。
(2)吸着工程
原液として、表1に示す組成及び塩化物イオン濃度132g/L、塩酸濃度80g/Lの水溶液100mlを用いた。
まず、原液に、亜塩素酸ナトリウムを添加して、酸化還元電位を1013mV(銀/塩化銀電極規準、以下同じ)に調整した後、上記(1)で準備したCl型の含アミンポリマーアロイ10g(乾燥重量)を投入し、25℃にて1時間攪拌混合した。混合の途中、酸化還元電位は945〜1014mVを維持した。
吸着処理後、吸引濾過にて樹脂を分離し、濾液(吸着後液)を分析した。
Figure 0005984020
(3)洗浄工程
(2)の工程で回収した吸着処理後の樹脂と、100mlの1mol/Lの塩酸とを25℃にて10分間攪拌しながら混合後、吸引濾過して樹脂と吸着後酸洗液とを分離し、濾液(吸着後酸洗液)を分析した。
塩酸洗浄後の樹脂は、さらに脱イオン水100mlと10分間攪拌しながら混合し、やはり吸引濾過にて樹脂を分離し、濾液(溶離前水洗液)を分析した。
(4)溶離工程
(3)の工程で回収した洗浄後の樹脂と、2.5%チオ尿素水溶液を混合し、80℃に昇温した後、1時間攪拌混合した。
混合物は吸引濾過にて樹脂を分離し、濾液(溶離回収(80℃)液)を分析した。
また、さらに溶離後の樹脂は、濾過器内で25℃の水100mlにて掛水法で洗浄、吸引脱水し、樹脂は25℃の水100mlを加えて10分間攪拌混合し、この混合物を吸引濾過し、再び濾過器内で25℃の水50mlにて掛水法で洗浄、吸引することにより洗浄した。各水洗浄液は合併し、溶離後水洗液として分析した。
水洗後の樹脂は、2mol/Lの濃度の塩酸100mlと10分間攪拌して混合し、樹脂内部の水を塩酸に置換し、吸引濾過後に得た酸置換液を分析した。
以上の(2)〜(4)の吸着〜溶離工程を1サイクルとし、このサイクルを計6回反復した。
また、各サイクルの各工程で発生した水溶液の分析値から含有する元素の重量を求め、表1の原液100ml中に存在する元素重量に対する比率(分配:%)を求めた。
その結果を図1〜14に示す。
なお、図1〜図14において、「A」は吸着後液、「B」は吸着後酸洗液、「C」は溶離前水洗液、「D」は溶離回収液(80℃)、「E」は溶離後水洗液、「F」は酸置換液である。
従来の陰イオン交換樹脂でも吸着、溶離が良好なPt、Pdについては、図1(Pt)、図2(Pd)に示すように、「D」の溶離回収液に各サイクル毎に80%を超える分配率でPt、Pdが回収されており、本発明の含アミンポリマーアロイを使用することで問題なく、かつ、再現性良く吸着溶離できている。
一方、従来からの樹脂を用いた特に溶離が困難であったIrについても、図3に示すように、チオ尿素溶離後に塩酸溶離(置換)を併用する方法を用いて、100%近く回収ができた。
またRuは、図4に示すように、チオ尿素水溶液のみでも70〜80%を回収できた。
図5、図6に示すようにRh、Auはチオ尿素のみでほぼ100%の回収が可能であった。
一方、不純物に関しては、下記の通りである。
図7よりPbは、一時的に吸着されるものの最終的には約75%を回収できた。
図12のBiも類似であるが、回を重ねる度に溶離率が改善され傾向があり、6サイクルでは75%が回収できた。
Sbは図8に示すように吸着自体が抑制され、一部吸着された部分も洗浄や酸置換で回収されるので、80%がPGMを含む溶離液から分離されて回収できた。
図10に示すようにSnはSbと挙動が類似しているが、ほぼ100%がPGMから分離され回収できた。
図9、図11、図13、図14より、As、Te、Se、Cuについては吸着自体がほとんどなく、選択的に白金族元素から分離できた。
以上のように、表1に示す不純物としてCu、Se、As、Teを含んだ白金族水溶液から、本発明の含アミンポリマーアロイ樹脂を使用することにより、白金族元素と主なマトリックス成分とをシャープに分離することができ、かつ、吸着された白金族を樹脂から効率よく溶離回収可能であることが確認できた。

Claims (7)

  1. 白金族元素と不純物元素を含む酸性溶液から白金族元素を回収する方法において、
    下記工程を順に経ることを特徴とする白金族元素の分離回収方法。
    (記)
    ・Cl型の官能基を末端に有する水に不溶な含アミンポリマーアロイからなる樹脂と前記酸性溶液を接触させ、前記樹脂に前記酸性溶液に含まれる白金族元素を吸着処理する第一の工程。
    ・前記吸着処理後の樹脂を洗浄処理する第二の工程。
    ・前記洗浄処理後の樹脂に液温度が60〜90℃であるチオ尿素を含有する水溶液を接触させて白金族元素を溶離処理する第三の工程。
  2. 前記第一工程において白金族元素を吸着する樹脂が、アミノ基を含む重合体とエチレン−ビニルアルコール共重合体から構成されるポリマーアロイの末端の官能基をCl型とした水に不溶な含アミンポリマーアロイであることを特徴とする請求項1に記載の白金族元素の分離回収方法。
  3. 前記第一の工程における前記酸性溶液の酸化還元電位(ORP)が、銀/塩化銀電極を規準(参照)電極とする電位として700〜1100mVに維持することを特徴とする請求項1又は2に記載の白金族元素の分離回収方法。
  4. 前記第二の工程における洗浄処理が、前記吸着処理後の樹脂に塩酸溶液と水を順次接触させて、前記樹脂を洗浄処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の白金族元素の分離回収方法。
  5. 前記塩酸溶液の塩素イオン濃度が、4mol/L未満であることを特徴とする請求項4に記載の白金族元素の分離回収方法。
  6. 前記第三の工程における溶離が、前記洗浄処理後の樹脂にチオ尿素を含有する水溶液を接触させた後、濃度が2mol/L以上の塩酸を前記樹脂の接触させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の白金族元素の分離回収方法。
  7. 前記酸性溶液が、
    白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウムの群から選ばれる少なくとも1種の白金族元素と、
    銅、ニッケル、金、銀、セレン、テルル、ビスマス、アンチモン、ヒ素から選ばれる少なくとも1種の不純物元素を含む塩酸酸性もしくは塩化物溶液から構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の白金族元素の分離回収方法。
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