JP5983839B2 - 光変調器 - Google Patents
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Description
本発明は、光変調器に関するものであり、特に、光ファイバの波長分散を補償する光変調器に関する。
光通信分野や光計測分野において、光変調器で変調した光波を光ファイバで伝送することが行われている。光ファイバでは、光の伝搬速度や伝搬経路の長さが波長により異なるため、波長分散が発生し、光信号の波形が歪むこととなる。このため、40Gbpsを超える高速通信や波長多重の高速伝送システムなどにおいては、光ファイバの波長分散を補償する技術が不可欠となる。
分散補償方法としては、光信号の受信器の直前に分散補償ファイバを配置したり、特許文献1のようなファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)やエタロンなどの光デバイスを用いる方法、さらには、特許文献2や非特許文献1のようなデジタル信号処理回路を利用するものなどがある。デジタル信号処理回路では、波長分散に係る実部や虚部の変化に対応し、デジタルシグナルプロセッサーで補償するインパルス応答を生成している。
分散補償ファイバでは、その補償量の最小単位によって補償精度が限られ、また、波長分割多重(WDM)光などの波長分散補償には、WDM光などを分波するため、FBG等の波長分散補償器となる光デバイスも別途必要となる。しかも、FBG等の光デバイスは、取り扱う波長帯域に制限があるだけでなく、光損失も大きい。さらに、デジタル信号処理回路では、40Gbpsを超える高速処理は技術的にも難しいという問題を生じていた。
Robert I.Kelley, et al.," Electronic Dispersion Compensation by Signal Predistortion Using Digital Processing and a Dual-Drive Mach-Zehnder Modulator ",IEEE Photonics Technology letters, Vol.17, No.3, pp714-716, 2005
本発明が解決しようとする課題は、光ファイバの波長分散を補償可能であり、数10Gbpsを超える高速伝送にも適用可能な光変調器を提供することである。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、電気光学効果を有する材料で構成される基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極とを有する光変調器において、該光導波路から出射する出射光を光ファイバで導波し、該光ファイバの波長分散特性と逆の特性の波形歪を有するように、該光導波路に沿って該基板を所定のパターンで分極反転することで該光ファイバの波長分散特性を補償しており、さらに、該変調電極の近傍に誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置すると共に、該調整部材と該変調電極との相対的な位置の調整を行うことで、該変調電極を伝搬するマイクロ波の実効屈折率を変化させ、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整していることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の光変調器において、該変調電極が、信号電極の幅をSとし、該信号電極と接地電極との間隔をGとしたコプレーナー電極を有し、該調整部材の幅は、「S+2G」の3倍よりも小さいことを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の光変調器において、該光導波路が2つの分岐導波路を持つマッハツェンダー型導波路を有し、一方の分岐導波路に形成される分極反転のパターンは、該光ファイバのインパルス応答h(t)を補償するインパルス応答1/h(t)の実部応答性に対応するパターンであり、他方の分岐導波路に形成される分極反転のパターンは、前記インパルス応答1/h(t)の虚部応答性に対応するパターンであり、前記2つの分岐導波路を通過した光波を所定の位相差で合波するよう構成されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の光変調器において、該光ファイバのインパルス応答h(t)は以下の式で与えられることを特徴とする。
ただし、H(ω)は光ファイバの伝達関数であり、H(ω)=exp(jβ(ω)L)となる。β(ω)は、光ファイバ中を伝搬する光波の位相定数であり、Lは光ファイバの長さである。
ただし、H(ω)は光ファイバの伝達関数であり、H(ω)=exp(jβ(ω)L)となる。β(ω)は、光ファイバ中を伝搬する光波の位相定数であり、Lは光ファイバの長さである。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器において、該調整部材は誘電体材料で構成し、該調整部材の温度を調整することで、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整していることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の光変調器において、少なくとも該誘電体材料の温度を調整する機構が具備されていることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器において、該調整部材は誘電体材料で構成し、該誘電体材料の比誘電率が100以上であることを特徴とする。
請求項1に係る発明により、電気光学効果を有する材料で構成される基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極とを有する光変調器において、該光導波路から出射する出射光を光ファイバで導波し、該光ファイバの波長分散特性と逆の特性の波形歪を有するように、該光導波路に沿って該基板を所定のパターンで分極反転することで該光ファイバの波長分散特性を補償しており、さらに、該変調電極の近傍に誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置することで、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整しているため、光変調器によって電気信号を光信号に変換する際に、予め光ファイバの波長分散による波形歪の逆の特性を持たせることで、光ファイバによる波長分散が発生しても特性劣化を補償することが可能となる。しかも波長に依存せず波形劣化を補償することが可能であり、デジタル信号処理技術も使用しないため、数10Gbpsを超える高速伝送にも適用可能な光変調器を提供することができる。
また、変調電極の近傍に誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置すると共に、該調整部材と該変調電極との相対的な位置の調整を行うことで、変調電極を伝搬するマイクロ波の実効屈折率を変化させることが可能となる。これにより、光ファイバの波長分散特性に対する補償を、所定のレベルに調整することが可能となる。
以下、本発明を好適例を用いて詳細に説明する。
本発明は、図1に示すように、電気光学効果を有する材料で構成される基板1と、該基板に形成された光導波路2と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極3とを有する光変調器において、該光導波路から出射する出射光L2を光ファイバ(不図示)で導波し、該光ファイバの波長分散特性と逆の特性の波形歪を有するように、該光導波路に沿って該基板を所定のパターンで分極反転10することで該光ファイバの波長分散特性を補償しており、さらに、該変調電極の近傍に誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置することで、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整していることを特徴とする。
本発明は、図1に示すように、電気光学効果を有する材料で構成される基板1と、該基板に形成された光導波路2と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極3とを有する光変調器において、該光導波路から出射する出射光L2を光ファイバ(不図示)で導波し、該光ファイバの波長分散特性と逆の特性の波形歪を有するように、該光導波路に沿って該基板を所定のパターンで分極反転10することで該光ファイバの波長分散特性を補償しており、さらに、該変調電極の近傍に誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置することで、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整していることを特徴とする。
本発明の電気光学効果を有する材料を用いた基板としては、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、PLZT(ジルコン酸チタン酸鉛ランタン)、及びこれらの材料を組み合わせた基板が利用可能である。特に、電気光学効果の高く、任意の分極反転構造を形成し易い材料であることが好ましい。具体的には、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、電気光学ポリマーである。
基板に光導波路2を形成する方法としては、Tiなどを熱拡散法やプロトン交換法などで基板表面に拡散させることにより形成することができる。また、光導波路以外の基板をエッチングしたり、光導波路の両側に溝を形成するなど、基板に光導波路に対応する部分を凸状としたリッジ形状の導波路を利用することも可能である。
基板1上には、信号電極3や接地電極などの変調電極が形成されるが、このような電極は、Ti・Auの電極パターンの形成及び金メッキ方法などにより形成することが可能である。さらに、必要に応じて光導波路形成後の基板表面に誘電体SiO2等のバッファ層を設け、バッファ層の上に変調電極を形成することも可能である。図1の符号Sは、変調信号である。
本発明の光変調器には光ファイバが光学的に結合されている。電気光学効果を有する基板にキャピラリ等を利用して光ファイバを直接接合する方法や、電気光学効果を有する基板に、光導波路を形成した石英基板等を接合し、該石英基板等に光ファイバを接合することも可能である。さらに、電気光学効果を有する基板や石英基板等に空間光学系を介して出射光を光ファイバに導入するよう構成することも可能である。
本発明の光変調器においては、図1のような、電気光学効果を有する材料の基板を使用し、基板の一部を分極反転10している。矢印P1,P2は基板の分極方向を示している。このような分極反転構造を進行波電極型光変調器に適用すると、擬似速度整合や完全ゼロチャープ強度変調、光SSB変調などの有用な特性を得ることができる。本発明者は、分極反転構造を持つ進行波電極型光変調器の変調周波数特性は、分極反転パターンに直接的に対応するインパルス応答のフーリエ変換で与えられることに着目し、本発明を完成するに至ったものである。
つまり、本発明のように、この特性を利用することで、プリイコライジング機能を兼ね備えた光変調器を実現可能である。しかも、本発明の光変調器は、通常のベースバンド変調器と異なり、変調光の群速度と変調信号の位相速度を合わせる必要が無いため、断面積を大きくした超低損失な進行波型電極を用いることにより、数10GHzを超える超高速応答が可能である。また、従来のデジタル信号処理回路のように、高速A/D変換技術を用いた電気的イコライジング技術の限界を超えた動作も可能となる。本発明の光変調器では、高速なデジタル信号処理回路が不要となり、低消費電力の駆動も可能となる。さらに、ファイバーの波長分散による伝送信号の位相回転補償をはじめ種々の応用も期待できる。
以下では、光ファイバーの分散補償を行う光変調器を中心に説明する。本発明の光変調器は、分極反転を用いた電気光学変調技術を用いることにより、電気信号を光信号に変換する際に、あらかじめ光ファイバーの波長分散による波形歪の逆の特性を持たせることで、特性劣化を補償するものである。
本発明の光変調器は、数10Gbps以上、さらには100Gbpsを超える高速伝送の場合にも適用可能である。しかも、波長によらず波形劣化を補償することができる。このため、本発明は、従来の分散補償技術を凌駕する画期的な技術でもある。本発明が利用する分散補償技術の特徴は、以下のような点が列挙できる。
(1)デジタル信号処理技術では対応が困難な40Gbpsを超える高速電子に対応可能
(2)FBG方式のような、波長帯域の制限がない
(3)データ変調器との集積が可能
(1)デジタル信号処理技術では対応が困難な40Gbpsを超える高速電子に対応可能
(2)FBG方式のような、波長帯域の制限がない
(3)データ変調器との集積が可能
上記(1)及び(2)を兼ね備える特徴は、これまでの分散補償技術にはないものであり、本発明の技術は、特に、波長多重の高速伝送システムにおける分散補償技術として非常に優れている。
本発明の光変調器における分散補償技術について、詳細に説明する。
光ファイバ中を伝搬する光波の位相定数をβ(ω)とすると、長さLの光ファイバの伝達関数H(ω)は、以下の式となる。
H(ω)=exp(jβ(ω)L)
光ファイバ中を伝搬する光波の位相定数をβ(ω)とすると、長さLの光ファイバの伝達関数H(ω)は、以下の式となる。
H(ω)=exp(jβ(ω)L)
さらに、分散補償において、β(ω)をキャリア角周波数ω=ω0の周りでテーラー展開した時の2次の項を考えればよく、以下のように変形できる。
H(ω)=exp(jβ2ω2L/2)
ここで、β2は、テーラー展開の2次の項を意味し、群速度分散を表す。
H(ω)=exp(jβ2ω2L/2)
ここで、β2は、テーラー展開の2次の項を意味し、群速度分散を表す。
光ファイバの分散を補償するには、光ファイバの分散補償するための伝達関数は1/H(ω)=H*(ω)であるため、光変調器において、分散補償のインパルス応答であるh*(t)(=1/h(t))に対応する変調を行えばよい。具体的には、図1に示すマッハツェンダー型導波路を持つ、MZ干渉型光変調器を用いる場合、一方の分岐導波路21でh*(t)の実部応答性Re{h*(t)}の変調を行い、他方の分岐導波路で虚部応答性Im{h*(t)}の変調を行い、両者を所定の位相差で合成すればよい。位相差は、90°となるように設定することが最も好ましい。
図2は、分散補償のためのインパルス応答h*(t)の実部応答性Re{h*(t)})と虚部応答性Im{h*(t)}を示すグラフである。
一般には、インパルス応答性を自在に設定することは難しいが、強誘電体材料のように一次の電気光学効果を有する材料に分極反転構造をもちいれば、このインパルス応答を容易に実現することが可能である。
具体的には、図1のように、光導波路2が2つの分岐導波路(21,22)を持つマッハツェンダー型導波路を有し、一方の分岐導波路に形成される分極反転10のパターンは、上述した光ファイバのインパルス応答h(t)を補償するインパルス応答h*(t)(=1/h(t))の実部応答性に対応するパターンとし、他方の分岐導波路に形成される分極反転のパターンは、分散補償のインパルス応答h*(t)の虚部応答性に対応するパターンを施せば良い。
2つの分岐導波路を通過した光波は、所定の位相差で合成される。この位相差を発生する方法としては、各分岐導波路の長さを調整する方法や、分岐導波路に沿って配置した信号電極又はDCバイアス電極を用いて、分岐導波路の屈折率を調整する方法などが利用可能である。
図1のような光変調器は、プリイコライジング機能を備えた分散補償変調器として動作する。さらに、Double MZ 変調器を用いると、より高精度な分散補償が可能である。しかも、QPSK変調、デュオバイナリー変調との併用も可能である。
図1では、変調電極として、信号電極3のみを示し、接地電極の図示を省略しているが、本発明の光変調器は、図1に示したものに限らず、例えば図6乃至図8に示す種々の配置・構成を採用することが可能である。
図6に示す光変調器においては、基板1上に、マッハツェンダー型導波路の2つの分岐導波路21、22のそれぞれに対応する2つの信号電極31、32が形成されている。各信号電極の入力端は、交流電源5に接続されており、変調信号S,S’が各々に入力されている。なお、図6では、図1と同様に接地電極は省略されている。
図7に示す光変調器においては、単一の信号電極3が、マッハツェンダー型導波路の2つの導波路を全て覆うように形成されている。そして、基板1の裏面に接地電極4が形成されている。
さらに、図7の光変調器においては、基板1に薄板を使用する場合には、必要に応じて基板1の裏面と接地電極4との間に誘電体SiO2等のバッファ層を設けこともできる。
図1及び図6乃至7では、光変調器の基板1としてZ板を用いており、従って分極処理の方向は基板表面に垂直方向であったが、図8に示す光変調器のように、基板としてX板(Y板)を用いて、分極処理の方向を基板表面に並行な方向にすることもできる。図8の符号3は信号電極であり、符号4は接地電極を示している。
次に、本発明の光変調器の特徴である、光ファイバの波長分散特性を補償するレベルを調整する構成について説明する。
図3は、図1の光変調器で示した変調電極の近傍に、誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置した様子を示す図である。このように、光変調器を構成する変調器チップに調整部材を装荷することで、変調電極を伝搬する変調信号であるマイクロ波の実効屈折率を大きく変化させることが可能となる。これにより、分散補償量を大幅に調整することができる。
図1又は図3の調整部材が無い場合には、以下のようなパラメータにおいて、実効屈折率が4.256、補償可能な光ファイバ長は10km程度である。
・基板材料:タンタル酸リチウム
・基板の厚さ(b):0.4mm
・基板の幅(c):2mm
・バッファ層の材料:酸化シリコン
・バッファ層の厚さ(a):0.3μm
・変調電極の材料:アルミニウム
・変調電極(信号電極,接地電極)の高さ(h0):2μm
・信号電極の幅(S):33μm
・信号電極と接地電極との間隔(W):46.5μm
・光(搬送波)の屈折率(ng):2.409
・基板材料:タンタル酸リチウム
・基板の厚さ(b):0.4mm
・基板の幅(c):2mm
・バッファ層の材料:酸化シリコン
・バッファ層の厚さ(a):0.3μm
・変調電極の材料:アルミニウム
・変調電極(信号電極,接地電極)の高さ(h0):2μm
・信号電極の幅(S):33μm
・信号電極と接地電極との間隔(W):46.5μm
・光(搬送波)の屈折率(ng):2.409
図3のように、調整部材としてタンタル酸リチウムの高誘電体を装荷した場合と、アルミニウムの金属を装荷した場合について、実効屈折率や補償可能な光ファイバ長の変化を調べた。シミュレーションの結果を、図4及び図5に示す。図4は、調整部材に誘電体材料を用いた場合を示しており、変調電極と調整部材との距離(h1)に対する、実効屈折率(nm)及び補償可能な光ファイバ長(L)の変化の様子を示している。また、図5は、調整部材に金属材料を用いた場合の同様の結果である。調整部材の厚さは0.5mmとし、幅は基板と同様に2mmとした。
タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウムの誘電率異方性が大きいため、正確な特性シミュレーションの為には、その異方性も考慮する必要があるが、ここでは、シミュレーションを簡単にするために、高誘電体タンタル酸リチウムの比誘電率εrを42として計算してある。誘電率は高いほど、屈折率の変化量、つまり分散補償量の調整量の増大についての効果は高い。デバイスの高周波特性の確保のためには、高周波における誘電損失(tan δ)が小さ材料が望ましい。一方、金属を装荷する場合、その金属材料がアルミニウムであっても金、銀や銅であっても良導体であれば実効屈折率の変化、つまり補償可能の範囲はほぼ同じ特性を示す。ここではシミュレーション実行上の都合により、アルミニウムの値を示したが、装荷した金属も電極の一部として作用するため、デバイスの高周波特性の確保のためには、金、銀や銅のように高周波における導電性の高い金属を用いる方が望ましい。
また、装荷する材料の厚さを0.5mmとしてシミュレーションを行っているが、装荷する材料が誘電体の場合と金属の場合では、厚さの効果が異なる。誘電体の場合は、信号の電界が誘電体内部に入るため、厚さが厚いほど、屈折率の変化量、つまり分散補償量の調整量の増大に対する効果は高い。装荷する誘電体材料の比誘電率と目的の分散補償量に応じて厚さを設定する。一方、金属の場合は、金属内部電界がほぼゼロになるため、厚さを厚くしても屈折率の変化量、つまり分散補償量の増大の効果はない。使用する信号の周波数帯において表皮損失による信号減衰、劣化が許容できる範囲で厚さを薄くすることができる。
図4を見ると、誘電体を装荷した場合で、装荷した誘電体との距離を小さくすると電気信号に対する屈折率が大きく増大し分散補償量を0%〜+40%程度の範囲で調整が可能となる。また、図5を見ると、金属を装荷した場合では、装荷した金属との距離を小さくすると電気信号に対する屈折率が大きく減少し分算補償量を−50%程度〜0%の範囲で調整が可能となることが容易に理解できる。このことから、本発明の光変調器において、調整部材を用いることで、光ファイバの波長分散特性を補償するレベルを大幅に変更することが可能となる。誘電体を装荷した場合も金属を装荷した場合も、屈折率変化とともにインピーダンスも変化するが、電極構成の設計、駆動回路の選定、インピーダンス整合回路の使用などで、設計対応や対処する。
調整部材は、予め設定した分散補償量となるように所定の位置に固定配置するだけでなく、位置調整できるよう構成し、分散補償量を変更可能にすることも可能である。
図3に示した例では、変調器基板上のコプレーナー電極の幅(=S+2W)に対し、十分に広い高誘電体材料を装荷している。この場合、変調器と装荷する高誘電体のギャップhが位置調整の実効的パラメータとなる。高誘電体の幅がコプレーナー電極の幅(=S+2W)の3倍程度より小さい場合には、高誘電率体材料を図3の左右方向に位置調整することによって、大きな分散補償量の調整量が得られる。この場合、装荷する高誘電率材料の幅は小さいほど、誘電率は高いほど、大きな調整量が得られる。この構成には、高誘電率材料として、100以上の大きな比誘電率をもつPLZT、PZTやKTNなどの材料を選ぶのが良い。また、KTN等のように誘電率の温度依存性が非常に高い材料を用いる場合には、温度によっても大きな分散補償量の調整量が得られる。金属を装荷する場合、装荷する金属の幅と位置の調整量に対する効果は、高誘電率材料の場合と同様である。ただし、金属の場合、温度による分散補償量の調整量はきわめて小さい。なお、装荷する材料が高誘電率材料の場合も金属の場合も、位置の調整は、高さ方向、水平方向各々を調整しても良く、両方を調整しても良いし、誘電率の温度依存性が大きい高誘電率材料を用いる場合には、温度による調整と併用しても良い。
以上の説明では、コプレーナ電極の事例で説明したが、コプレーナー電極と同様に基板の表面に信号電極が配置されるマイクロストリップ型の電極やスロット型の電極を用いた構成においても同様の効果がある。電極が誘電体の中に埋没している構成の場合、効果が薄れるが、埋没の深さが電極間隔に対して十分薄い場合(電極間隔の半分程度以下)は実用的な効果がある。
以上のように、本発明に係る光変調器によれば、光ファイバの波長分散を補償可能であり、数10Gbpsを超える高速伝送にも適用可能な光変調器を提供することが可能となる。
1 電気光学効果を有する材料を用いた基板
2 光導波路
21,22 分岐導波路
3,31,32 信号電極
4 接地電極
10 分極反転パターン
L1 入射光
L2 出射光
S 変調信号
2 光導波路
21,22 分岐導波路
3,31,32 信号電極
4 接地電極
10 分極反転パターン
L1 入射光
L2 出射光
S 変調信号
Claims (7)
- 電気光学効果を有する材料で構成される基板と、該基板に形成された光導波路と、該光導波路を伝搬する光波を変調するための変調電極とを有する光変調器において、
該光導波路から出射する出射光を光ファイバで導波し、該光ファイバの波長分散特性と逆の特性の波形歪を有するように、該光導波路に沿って該基板を所定のパターンで分極反転することで該光ファイバの波長分散特性を補償しており、
さらに、該変調電極の近傍に誘電体材料又は金属材料からなる調整部材を配置すると共に、該調整部材と該変調電極との相対的な位置の調整を行うことで、該変調電極を伝搬するマイクロ波の実効屈折率を変化させ、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整していることを特徴とする光変調器。 - 請求項1に記載の光変調器において、該変調電極が、信号電極の幅をSとし、該信号電極と接地電極との間隔をGとしたコプレーナー電極を有し、該調整部材の幅は、「S+2G」の3倍よりも小さいことを特徴とする光変調器。
- 請求項1又は2に記載の光変調器において、該光導波路が2つの分岐導波路を持つマッハツェンダー型導波路を有し、
一方の分岐導波路に形成される分極反転のパターンは、該光ファイバのインパルス応答h(t)を補償するインパルス応答1/h(t)の実部応答性に対応するパターンであり、
他方の分岐導波路に形成される分極反転のパターンは、前記インパルス応答1/h(t)の虚部応答性に対応するパターンであり、
前記2つの分岐導波路を通過した光波を所定の位相差で合波するように構成されていることを特徴とする光変調器。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器において、該調整部材は誘電体材料で構成し、該調整部材の温度を調整することで、前記波長分散特性の補償を所定のレベルに調整していることを特徴とする光変調器。
- 請求項5に記載の光変調器において、少なくとも該誘電体材料の温度を調整する機構が具備されていることを特徴とする光変調器。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の光変調器において、該調整部材は誘電体材料で構成し、該誘電体材料の比誘電率が100以上であることを特徴とする光変調器。
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