以下、図1〜図13を参照して、この発明を指針式の電子腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この電子腕時計は、図1および図2に示すように、腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1の上部開口部には、時計ガラス2がパッキン2aを介して取り付けられており、この腕時計ケース1の下部には、裏蓋3が防水リング3aを介して取り付けられている。
また、この腕時計ケース1の上部外周部には、図1および図2に示すように、ベゼル4が設けられている。さらに、この腕時計ケース1の12時と6時とに位置する箇所の側壁面には、バンド取付部5が側方に突出して設けられており、また3時に位置する箇所の側壁面には、スイッチ保護部6が側方に突出して設けられている。
一方、この腕時計ケース1の内部には、図2に示すように、時計モジュール7が設けられている。この時計モジュール7は、ハウジング8を備えている。このハウジング8には、指針を運針する時計ムーブメント(図示せず)と、時刻を修正するためのスイッチ装置10とが設けられている。
この場合、指針は、図示しないが、時針、分針、秒針、機能針を有し、これらが同一軸上に位置する各指針軸に取り付けられ、これら各指針軸の回転に伴ってそれぞれ運針するように構成されている。また、時計モジュール7のハウジング8の下面には、図2に示すように、時計全体の駆動およびその制御をする電子回路を搭載するための回路基板9が配置されている。
スイッチ装置10は、図1に示すように、腕時計ケース1の3時位置に設けられている。このスイッチ装置10は、図2に示すように、巻真11と、押圧操作部材12と、回転操作部材13と、ガイドパイプ14とを備えている。巻真11は、その内端部(図2では左端部)が時計モジュール7のハウジング8内に回転可能で且つスライド可能な状態で配置され、外端部(図2では右端部)がガイドパイプ14内に挿入されて押圧操作部材12に取り付けられるように構成されている。
押圧操作部材12は、図2に示すように、その内端部側(図2では左端部側)がガイドパイプ14内に挿入され、外端部側(図2では右端部側)が腕時計ケース1の外部に突出している。回転操作部材13は、腕時計ケース1の外部に突出した押圧操作部材12の外周部に、その軸方向に沿ってスライド可能で且つ押圧操作部材12と共に一体的に回転可能な状態で、取り付けられるように構成されている。
ガイドパイプ14は、図2および図3に示すように、腕時計ケース1の側壁部1a内にその内部と外部とに貫通するパイプ本体15と、このパイプ本体15の外周面に設けられて腕時計ケース1の側壁部1aの外面に当接するフランジ部16とを備えている。この場合、パイプ本体15は、その内側端部が腕時計ケース1の側壁部1aの内面から少し突出し、外側端部が腕時計ケース1の側壁部1aの外面から長く突出して形成されている。
このガイドパイプ14のパイプ本体15内には、図2に示すように、押圧操作部材12の内端部側(図2では左端部側)が挿入されている。この押圧操作部材12は、図2および図5に示すように、その外径がパイプ本体15の内径とほぼ同じ大きさに形成された軸部17と、この軸部17の外端部(図2では右端部)に設けられて軸部17よりも大きい径の頭部18とを備えている。
この押圧操作部材12の軸部17は、図2に示すように、防水性を確保するための一対の防水リング20を介してガイドパイプ14のパイプ本体15内にスライド可能で且つ回転可能な状態で取り付けられている。この場合、一対の防水リング20は、図3に示すように、ガイドパイプ14のパイプ本体15における内周面の外部側に埋め込まれた状態で設けられている。
また、この押圧操作部材12の内端部には、図2に示すように、巻真11の外端部が連結されている。すなわち、押圧操作部材12の内端部には、図5(a)および図6(a)に示すように、ねじ穴21が軸方向に沿って設けられており、巻真11の外端部には、図4(a)に示すように、押圧操作部材12のねじ穴21に螺合するねじ部22が設けられている。
これにより、押圧操作部材12は、図2に示すように、軸部17の内端部のねじ穴21に巻真11の外端部のねじ部22が螺着することにより、ガイドパイプ14内において軸部17の内端部に巻真11の外端部が取り付けられ、この状態で巻真11と一体的に軸方向に沿ってスライドすると共に回転するように構成されている。
一方、回転操作部材13は、図2および図5に示すように、ほぼ円筒形状に形成され、その内部に腕時計ケース1の外部に位置する押圧操作部材12およびガイドパイプ14のフランジ部16が挿入するように構成されている。この回転操作部材13の外周面には、図8(a)および図8(b)に示すように、滑り止め用の溝部13aが円周方向に沿って等間隔で多数設けられている。
また、この回転操作部材13は、図2および図8に示すように、その内径がガイドパイプ14のフランジ部16の外径とほぼ同じ大きさの貫通孔23が軸方向に貫通して形成されている。この貫通孔23の外部側(図8(a)では右側)の開口には、図5および図8(a)に示すように、押圧操作部材12が貫通孔23から腕時計ケース1の外部側(図2では右側)に向けて抜け出すのを阻止する抜止め鍔部24が設けられている。
この抜止め鍔部24は、図2および図5(a)に示すように、押圧操作部材12の頭部18に設けられた後述するストッパ部28aが内側から当接することにより、押圧操作部材12が貫通孔23から腕時計ケース1の外部側(図5(a)では右側)に向けて抜け出さないように構成されている。
また、この回転操作部材13は、図2に示すように、押圧操作部材12と共に押し込まれた状態で、ロック部25によってガイドパイプ14にロックされるように構成されている。すなわち、このロック部25は、図8(a)に示す回転操作部材13の貫通孔23における内部側(図8(a)では左側)に位置する開口の内周面に設けられた雌ねじ部25aと、図3に示すガイドパイプ14のフランジ部16の外周面に設けられた雄ねじ部25bとを備え、図2に示すように、ガイドパイプ14の雄ねじ部25bに回転操作部材13の雌ねじ部25aが着脱可能に螺合するように構成されている。
また、この回転操作部材13の貫通孔23内には、図5(a)に示すように、連動パイプ27が嵌め込まれている。この連動パイプ27は、回転操作部材13の回転を押圧操作部材12に伝達するためのものであり、回転操作部材13の貫通孔23内に固定されている。すなわち、この連動パイプ27は、その外径が回転操作部材13の貫通孔23の内径とほぼ同じ大きさに形成されている。
また、この連動パイプ27は、図5(a)に示すように、その軸方向の長さが回転操作部材13のほぼ半分程度の長さに形成され、その内端部にリング状の鍔部27bが設けられた構成になっている。さらに、この連動パイプ27の内周面には、図9(a)および図9(b)に示すように、凹凸部27aが設けられている。これに伴って、押圧操作部材12の頭部18におけるストッパ部28aの外周面には、図6(b)に示すように、連動パイプ27の凹凸部27aに係合する後述する凹凸部28bが設けられている。
この場合、押圧操作部材12の頭部18は、図2および図5に示すように、回転操作部材13の抜止め鍔部24内に挿入して外部に向けて出没する突起部28と、この突起部28に取り付けられた操作部29とを有している。突起部28の外周面における内端部(図5(a)では左端部)には、図5および図6に示すように、回転操作部材13の抜止め鍔部24の内壁面に当接するストッパ部28aが設けられている。
この突起部28におけるストッパ部28aの外周面には、図6(a)および図6(b)に示すように、連動パイプ27の凹凸部27aに係合する凹凸部28bが設けられている。これにより、突起部28は、その外周部の凹凸部28bが連動パイプ27の凹凸部27aに係合することにより、連動パイプ27内に軸方向に沿ってスライドすると共に、連動パイプ27と一体的に回転するように構成されている。
また、操作部29は、図5および図7に示すように、突起部28の外端面に取り付けられる取付凸部29aと、この取付凸部29aに設けられた連動突起部29bとを備えている。取付凸29aは、突起部28の外端面に設けられた取付凹部28cに圧入により嵌着固定されている。連動突起部29bは、押圧操作部材12が外部から押された際に、回転操作部材13の外端部に当接するものであり、回転操作部材13の外周部とほぼ同じ大きさか、それよりも少し小さい大きさに形成されている。
これにより、押圧操作部材12は、図2および図5に示すように、回転操作部材13の外部に露出した頭部18の操作部29が押圧操作されると、突起部28のストッパ部28aの凹凸部28bが連動パイプ27の凹凸部27aに係合した状態で、連動パイプ27内を軸方向に沿ってスライドするように構成されている。
また、この押圧操作部材12は、図2および図5に示すように、回転操作部材13の回転操作に伴って連動パイプ27が回転すると、この連動パイプ27の凹凸部27aに突起部28のストッパ部28aの凹凸部28bが係合していることにより、空転することなく、連動パイプ27と共に一体的に回転するように構成されている。
さらに、この押圧操作部材12は、図11に示すように、回転操作部材13が引き出され、この引き出された回転操作部材13を押し込んでロックする際に、回転操作部材13を摘む指が操作部29の連動突起部29bの外周部に当接して、この操作部29が押し込まれ、この状態で回転操作部材13と共に押し込まれるように構成されている。
ところで、この押圧操作部材12は、図2に示すように、第1コイルばね30によって回転操作部材13の貫通孔23における外端部側(図2では右側)の開口に向けて付勢されている。すなわち、この第1第1コイルばね30は、腕時計ケース1の外部に突出した押圧操作部材12の軸部17の外周に配置された状態で、押圧操作部材12の頭部18とガイドパイプ14のフランジ部16との間に配置されている。
この場合、第1コイルばね30は、図2および図5に示すように、その内端部(図2では左端部)がガイドパイプ14のフランジ部16の外側面に当接し、外端部(図2では左端部)が押圧操作部材12の頭部18の内面に設けられた第1装着溝31内に第1滑り部材32を介して弾力的に挿入されるように構成されている。
この第1コイルばね30は、図2および図5に示すように、押圧操作部材12の頭部18の内面に設けられた第1装着溝31によって、押圧操作部材12の頭部18とガイドパイプ14のフランジ部16との間における所定位置に規制されている。また、この第1滑り部材32は、円板状のワッシャーであり、フッ素系、ポリエチレン系などの表面摩擦抵抗が小さい滑り性を有する合成樹脂によって形成されている。
これにより、押圧操作部材12は、図2に示すように、回転操作部材13の回転操作に伴って連動パイプ27が回転する際に、第1コイルばね30のばね力によって押圧操作部材12の頭部18が腕時計ケース1の外部側(図2では右側)に向けて付勢されていても、第1コイルばね30の外端部(図2では右端部)が第1滑り部材32に弾接した状態で、回転方向に沿って滑ることにより、連動パイプ27と共に円滑に回転するように構成されている。
また、回転操作部材13は、図2に示すように、第2コイルばね33によって腕時計ケース1の側壁部1aの外端部側(図2では右側)に向けて付勢されている。すなわち、この第2コイルばね33は、第1コイルばね30の外周に配置された状態で、連動パイプ27とガイドパイプ14のフランジ部16との間に配置されている。
この場合、第2コイルばね33は、図2および図5に示すように、その内端部(図2では左端部)がガイドパイプ14のフランジ部16の外側面(図2では右側面)に設けられた第2装着溝34内に挿入され、外端部(図2では左端部)が連動パイプ27の内部側の端面に第2滑り部材35を介して弾接するように構成されている。
この第2コイルばね33は、図2および図5に示すように、ガイドパイプ14のフランジ部16の外側面に設けられた第2装着溝34によって、連動パイプ27とガイドパイプ14のフランジ部16との間における所定位置に規制されている。この第2滑り部材35も、第1滑り部材32と同様、円板状のワッシャーであり、フッ素系、ポリエチレン系などの表面摩擦抵抗が小さい滑り性を有する合成樹脂によって形成されている。
これにより、回転操作部材12は、図2に示すように、その回転操作に伴って雌ねじ部26がガイドパイプ14のフランジ部16に設けられた雄ねじ部25から螺脱すると、図11に示すように、第2コイルばね33のばね力によって連動パイプ27が押し出され、これに伴って押圧操作部材12と共に押し出されるように構成されている。
また、この回転操作部材12は、図11に示すように、回転操作に伴って回転する際に、第2コイルばね33のばね力によって連動パイプ27が腕時計ケース1の外部側(図11では右側)に向けて付勢されていても、第2コイルばね33の外端部(図11では右端部)が第2滑り部材35に弾接した状態で、回転方向に沿って滑ることにより、連動パイプ27と共に円滑に回転するように構成されている。
ところで、巻真11は、図2および図4に示すように、時計モジュール7のハウジング8内に配置された箇所の内部側(図2では左側)に磁石37が設けられ、この磁石37が巻真11と共に回転することにより、磁石37で発生した磁界の変化を磁気センサ38で検出するほか、図10に示すように、巻真11の軸方向のスライド位置が位置規制部材40によって規制されると共に、そのスライド位置に応じてスイッチが切り替わるように構成されている。
すなわち、ハウジング8内に位置する箇所の巻真11には、図2および図4に示すように、その内端部側(図2では左端部側)から順に、ガイド軸部41、スライド軸部42、係合溝部43が設けられている。ガイド軸部41は、ハウジング8内に設けられたガイド孔44内にスライド可能で、且つ回転可能な状態で配置されている。
スライド軸部42は、図4(a)および図4(b)に示すように、断面四角形状の角棒状に形成され、磁石37が軸方向に沿ってスライド可能に取り付けられていると共に、磁石37がスライド軸部42と共に一体的に回転するように構成されている。係合溝部43は、巻真11に設けられた環状の凹溝であり、位置規制部材40の後述するオシドリ45を巻真11のスライド動作に応じて回転させるように構成されている。
磁石37は、図2および図4に示すように、その中心に四角形状の孔37aが設けられ、この孔37aに巻真11のスライド軸部42がスライド可能に挿入された状態で、ハウジング8によって軸方向への移動が規制されている。すなわち、この磁石37は、巻真11がスライドしても、スライド軸部42が磁石37に対してスライドすることにより、スライド軸部42の軸方向における位置がハウジング8によって規制されて常に所定位置で回転するように構成されている。
磁気センサ38は、図2に示すように、ハウジング8の下面に設けられた回路基板9の上面に磁石37と対応して設けられている。この磁気センサ38は、2つの磁気検出素子、例えば磁気抵抗素子(MR素子:Magneto Resistance 素子)と、その出力をデジタル化するICとを1つのパッケジに収めたものであり、2つの磁気抵抗素子で磁石37の回転に伴う磁界の変化を検出して、高い(ハイ:H)、低い(ロウ:L)の2種類の検出信号を出力するように構成されている。
すなわち、この磁気センサ38は、2つの磁気抵抗素子の設置位置が異なっていることにより、磁石37の回転に伴う磁界の変化を検出した際に、出力に位相差が生じ、この位相差によって2種類の検出信号を出力することにより、磁石37の回転を検出するように構成されている。この場合、回路基板9に組み付けられたマイコン(図示せず)は、2種類の検出信号を解析して、磁石37の回転角度(回転量)を算出するように構成されている。
また、この磁気センサ38は、磁石37の回転方向(正回転であるか逆回転であるか)を検出すると共に、磁石37の正回転または逆回転が連続しているか否かをも検出する。これにより、回路基板9のマイコンは、磁気センサ38で検出された回転方向の検出信号により、指針を正方向(時計回り)または逆方向(反時計回り)に回転させると共に、磁気センサ38で検出された磁石37の回転が連続しているか否かの検出信号により、回転が連続している場合に、指針を早送りで正方向(時計回り)または逆方向(反時計回り)に回転させる。
一方、巻真11を位置規制する位置規制部材40は、図10に示すように、オシドリ45、オシドリばね46、スイッチ板47、および押え板48を備えている。オシドリ45は、図10に示すように、平板状に形成され、ハウジング8に回転可能に取り付けられ、巻真11の軸方向への移動に応じて回転するように構成されている。すなわち、このオシドリ45は、ハウジング8に起立して設けられた支持軸50にハウジング8の面方向に回転可能に取り付けられている。
このオシドリ45には、図10に示すように、巻真11の係合溝部43内に配置される連動アーム部45aと、オシドリばね46によって弾力的に位置規制される連動ピン45bと、スイッチ板47をオシドリ45と共に回転させる連結ピン45cとが設けられている。これにより、オシドリ45は、図10に示すように、巻真11が軸方向に移動すると、巻真11の係合溝部43の移動に伴って連動アーム部45aが揺動することにより、支持軸50を中心に回転するように構成されている。
オシドリばね46は、図10に示すように、板ばねであり、オシドリ45の近傍に位置する箇所のハウジング8に固定され、オシドリ45の連動ピン45bを弾力的に保持して位置規制することにより、オシドリ45の回動位置を弾力的に規制して巻真11の軸方向の移動位置を規制するように構成されている。すなわち、このオシドリばね46は、図10に示すように、その先端部にオシドリ45の連動ピン45bを弾力的に保持する位置規制部51が設けられている。
この位置規制部51には、図10に示すように、連動ピン45bを弾力的に係止する複数の係止凹部51aが設けられている。これにより、オシドリばね46は、図10に示すように、巻真11が押し込まれた第1の位置(通常運針状態)のときに、オシドリ45の連動ピン45bを位置規制部51のいずれかの係止凹部51aで弾力的に係止することにより、巻真11を第1の位置に規制するように構成されている。
また、このオシドリばね46は、図12に示すように、巻真11が軸方向に引き出された第2の位置(時刻修正状態の位置)に移動するときに、オシドリ45が回転し、その回転に伴って連動ピン45bが回転移動して位置規制部51を弾性変形させ、この弾性変形した位置規制部51のいずれかの係止凹部51aがオシドリ45の連動ピン45bを弾力的に係止することにより、巻真11を第2の位置に規制するように構成されている。
さらに、このオシドリばね46は、図10に示すように、巻真11が押し込まれた第1の位置(通常運針状態)から、図13に示すように、巻真11が更に押し込まれた第3の位置(他の機能状態)に移動する際に、オシドリ45の回転に伴って連動ピン45bが回転移動して位置規制部51を弾性変形させ、この弾性変形した位置規制部51がオシドリ45の連動ピン45bを弾力的に係止することにより、巻真11を第3の位置に規制するように構成されている。
スイッチ板47は、金属板からなり、図10に示すように、オシドリ45と共に支持軸50に回転可能に取り付けられている。このスイッチ板47には、図10に示すように、回路基板9の上面に接触して摺動する接触ばね部47aが、オシドリ45の連動アーム部45aと反対側に向けて延設されている。このスイッチ板47の所定箇所には、オシドリ45の連結ピン45cが挿入されている。
これにより、スイッチ板47は、図10に示すように、接触ばね部47aの先端部が回路基板9の上面に接触した状態で、オシドリ45と共に回転移動し、この接触ばね部47aの先端部が回路基板9の上面に設けられた接点部9a、9bのいずれかに接触することにより、接触位置が切り替わるように構成されている。
すなわち、このスイッチ板47は、図10に示すように、巻真11が第1の位置(通常運針状態)に押し込まれてオシドリ45が回転したときに、このオシドリ45と共に回転移動し、接触ばね部47aが回路基板9の上面に設けられた接点部9a、9b間に位置して、その接点部9a、9bのいずれにも接触しないことにより、通常運針モードを維持するように構成されている。
また、このスイッチ板47は、図12に示すように、巻真11が第2の位置(時刻修正状態)に引き出されてオシドリ45が回転したときに、このオシドリ45と共に回転移動し、接触ばね部47aが回路基板9の上面に設けられた1つの接点部9aに接触することにより、通常運針モードから時刻修正モードに切り替えるように構成されている。
さらに、このスイッチ板47は、図13に示すように、巻真11が第3の位置(他の機能状態)に押し込まれてオシドリ45が回転したときに、このオシドリ45と共に回転移動し、接触ばね部47aが回路基板9の上面に設けられた他の接点部9bに接触することにより、通常運針モードから他の機能モードに切り替えるように構成されている。
なお、押え板48は、図10に示すように、オシドリばね46と共にハウジング8にねじ48aによって取り付けられて、オシドリばね46およびスイッチ板47を押え付けることにより、オシドリ45をハウジング8に対して回転可能な状態で押えるように構成されている。
次に、この電子腕時計におけるスイッチ装置10の作用について説明する。
まず、スイッチ装置10の回転操作部材13を操作しない通常運針状態について説明する。この通常運針状態では、図2に示すように、回転操作部材13が腕時計ケース1内に向けて押し込まれてロック部25によってガイドパイプ14にロックされている。すなわち、この回転操作部材13は、その雌ねじ部25aがガイドパイプ14の雄ねじ部25bに螺着してロックされている。
このため、回転操作部材13は、図2に示すように、その内部に設けられた連動パイプ27のリング状の鍔部27bが第2滑り部材35を介して第2コイルばね33を圧縮させた状態で、腕時計ケース1の内部側に向けて押し込まれている。この状態では、回転操作部材13の抜止め鍔部24が押圧操作部材12の頭部18に設けられた突起部28のストッパ部28aに外側から当接していることにより、押圧操作部材12が腕時計ケース1の内部側に向けて押し込まれている。
すなわち、この押圧操作部材12は、図2に示すように、その頭部18が第1滑り部材32を介して第1コイルばね30を圧縮させた状態で、腕時計ケース1の内部側に向けて押し込まれている。このため、押圧操作部材12は、その軸部17がガイドパイプ14内における腕時計ケース1の内部側に向けて押し込まれている。
また、この状態では、図10に示すように、巻真11が位置規制部材40のオシドリ45によって第1の位置(通常運針状態)に位置規制されていると共に、この位置規制部材40のスイッチ板47が回路基板9の接点部9a、9b間に位置して、そのいずれも接触しないオフ状態になっている。
次に、巻真11を回転させて時刻を修正する場合について説明する。
この場合には、まず、図11に示すように、回転操作部材13を回転させてガイドパイプ14に対する回転操作部材13のロックを解除する。すなわち、回転操作部材13を回転させると、ガイドパイプ14のフランジ部16の雄ねじ部25bに対する回転操作部材13の雌ねじ部25aの螺着が解除される。
このときには、回転操作部材13がそのロックを解除する回転操作に伴って腕時計ケース1から離れる方向(図11では右側)に移動すると共に、第2コイルばね33のばね力によって押し出される。また、このときには、回転操作部材13の移動に伴って押圧操作部材12が第1コイルばね30のばね力によっても押し出されることにより、回転操作部材13と同じ方向にスライドする。
また、このときには、押圧操作部材12の軸部17に設けられたねじ穴21に巻真11のねじ部22が螺合して、押圧操作部材12に巻真11が連結されていることにより、押圧操作部材12のスライド動作に伴って巻真11が引き出される方向にスライドする。すると、図12に示すように、巻真11の係合溝部43に係合している位置規制部材40のオシドリ45が、巻真11のスライドに伴って回転し、スイッチ板47を回転させて、スイッチ板47の接触ばね部45aを1つの接点部9aに接触させる。
これにより、スイッチがオン状態になり、モードが通常運針モードから時刻修正モードに切り替わる。このため、磁気センサ38がオンして巻真11に設けられた磁石37の磁界を検出可能な状態になる。この状態で、回転操作部材13を回転させると、これに伴って押圧操作部材12が回転し、この押圧操作部材12の回転が巻真11に伝達され、この巻真11が押圧操作部材12と共に回転する。すると、巻真11と共に磁石37が回転するので、この磁石37の回転に伴う磁界の変化を磁気センサ38で検出し、その検出結果に基づいて指針を運針させて時刻を修正する。
この状態のときに、押圧操作部材12を外部から押圧操作しても、スイッチがオフ状態になるだけで、モードが切り替わることはない。すなわち、押圧操作部材12を第1コイルばね30のばね力に抗して押圧操作すると、これに伴って巻真11が押し込まれる方向にスライドする。すると、図10に示すように、巻真11の係合溝部43に係合している位置規制部材40のオシドリ45が、巻真11のスライドに伴って回転し、スイッチ板47を回転させる。このため、図10に示すように、スイッチ板47の接触ばね部45aが回路基板9の接点部9a、9b間に移動し、そのいずれにも接触しないオフ状態になり、モードが切り替わることはない。
このように時刻を修正した後には、スイッチ装置10の回転操作部材13を再び押し込んで通常運針状態に戻し、回転操作部材13が操作できない通常運針状態にロックする。この場合、図11に示す状態で、回転操作部材13を腕時計ケース1側に押し込む際には、指先が押圧操作部材13の頭部18における操作部29の連動突起部29bに当接し、この連動突起部29bを押しながら回転操作部材13が腕時計ケース1側に押し込まれる。
このときには、連動突起部29bが押されることにより、巻真11の係合溝部43に係合している位置規制部材40のオシドリ45が、巻真11のスライドに伴って回転し、スイッチ板47を回転させ、図10に示すように、スイッチ板47の接触ばね部45aが回路基板9の接点部9a、9b間に移動し、そのいずれにも接触しないオフ状態になる。このため、誤って回転操作部材13を回転させても、磁気センサ38が磁石37の回転に伴う磁界の変化を検出することがないので、誤動作を起すことがない。
次に、このスイッチ装置10の押圧操作部材12を押圧操作して他の機能に切り替える場合について説明する。
この場合には、図2に示したように、スイッチ装置10の回転操作部材13が操作できない通常運針状態にロックし、図10に示すように、スイッチ板47の接触ばね部45aが回路基板9の接点部9a、9b間に移動し、そのいずれにも接触しないオフ状態、つまり通常運針状態にする。
このような通常運針状態において、押圧操作部材12が外部から押圧操作されると、図2に示す押圧操作部材12が第1コイルばね30のばね力に抗して腕時計ケース1の内部側(図2では左側)に向けてスライドし、この押圧操作部材12のスライドに伴って巻真11が押し込まれる。このときには、図13に示すように、巻真11の係合溝部43に係合している位置規制部材40のオシドリ45が、巻真11のスライドに伴って回転し、スイッチ板47を回転させる。このため、スイッチ板47の接触ばね部47aが他の接点部9bに接触してオン状態になり、スイッチが通常運針モードから他の機能モードに切り替わる。
このように、この電子腕時計のスイッチ装置10によれば、軸方向に貫通孔23が形成された回転操作部材13と、この回転操作部材13の貫通孔23内に移動可能で、貫通孔23の一方の開口から押圧操作可能で、且つ貫通孔23の一方の開口から抜け出さないように設けられていると共に、回転操作部材13を回転させた際に回転操作部材13と共に一体的に回転する押圧操作部材12と、回転操作部材13の貫通孔23内に配置され、押圧操作部材12を一方の開口方向に向けて付勢する第1コイルばね30と、回転操作部材13の貫通孔23内に配置され、回転操作部材13を一方の開口方向に向けて付勢する第2コイルばね33とを備えているので、安定したスイッチ動作ができ、スイッチ操作性の向上を図ることができる。
すなわち、このスイッチ装置10では、回転操作部材13を引き出して回転させる際に、第2コイルばね33のばね力によって回転操作部材13を安定して保持した状態で回転させることができると共に、第1コイルばね30のばね力によって押圧操作部材12を安定して保持した状態で連動させて回転させることができる。このため、スイッチ操作時にガタツキがなく、安定した状態でスイッチ動作することができ、これにより円滑に且つ良好にスイッチ操作ができるので、スイッチ操作性の向上を図ることができる。
また、このスイッチ装置10によれば、第1滑り部材32が、第1コイルばね30の外端部側に位置する端部が当接する箇所である押圧操作部材12の頭部18における内面に設けられ、回転操作部材13を回転させた際に、第1滑り部材32が第1コイルばね30を回転方向に滑らせる構成であるから、押圧操作部材12が第1コイルばね30のばね力によって外端部側に向けて付勢されていても、第1コイルばね30が第1滑り部材32によって回転方向に沿って滑ることにより、回転操作部材13を回転操作する際に、回転操作部材13を押圧操作部材12と共に円滑に回転させることができる。このため、第1コイルばね30を備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材13および押圧操作部材12を円滑に回転させることができる。
同様に、このスイッチ装置10によれば、第2滑り部材35が、第2コイルばね33の外端部側に位置する端部が当接する箇所である回転操作部材13の連動パイプ27における鍔部27bの内端面に設けられ、回転操作部材13を回転させた際に、第2滑り部材35が第2コイルばね33を回転方向に滑らせる構成であるから、回転操作部材13が第2コイルばね33のばね力によって外端部側に向けて付勢されていても、第2コイルばね33が第2滑り部材35によって回転方向に沿って滑ることにより、回転操作部材13を回転操作する際に、回転操作部材13を押圧操作部材12と共に円滑に回転させることができる。このため、第2コイルばね33を備えていても、回転操作性が良く、回転操作部材13および押圧操作部材12を円滑に回転させることができる。
この場合、第1、第2の各コイルばね30、33のうち、第2コイルばね33における一方の開口に位置する端部および他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所、つまりガイドパイプ14のフランジ部16の所定箇所に、第2コイルばね33を位置決めする位置決め部である第2装着溝34が設けられているので、第2コイルばね33を回転操作部材13の貫通孔23内に正確に位置決めして配置することができ、これにより回転操作部材13を第2コイルばね33のばね力によって安定した状態で良好に保持することができる。
同様に、第1、第2の各コイルばね30、33のうち、第1コイルばね30における一方の開口に位置する端部および他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所、つまり押圧操作部材12の頭部18における内面の所定箇所に、第1コイルばね30を位置決めする位置決め部である第1装着溝31が設けられているので、第1コイルばね30を回転操作部材13の貫通孔23内に正確に位置決めして配置することができ、これにより押圧操作部材12を第1コイルばね30のばね力によって安定した状態で良好に保持することができる。
また、このスイッチ装置10によれば、回転操作部材13と押圧操作部材12とを連動させる連動パイプ27を備え、この連動パイプ27は、押圧操作部材12が第1コイルばね30のばね力によって押し出された状態のときに回転操作部材13の回転操作に応じて押圧操作部材12を連動させて回転させ、この状態で押圧操作部材12が第1コイルばね30のばね力に抗して押圧操作された際に、この押圧操作部材12をスライドさせる構成であるから、スイッチ操作性が良い。
すなわち、この連動パイプ27は、回転操作部材13を引き出した状態で、回転操作部材13を回転操作すると、回転操作部材13の凹凸部27aと押圧操作部材12の凹凸部28bとが係合していることにより、その回転を押圧操作部材12に伝達して、この押圧操作部材12を確実に且つ良好に回転させることができる。また、この状態で押圧操作部材12を押圧操作すると、回転操作部材13の凹凸部27aと押圧操作部材12の凹凸部28bとが係合していることにより、第1コイルばね30のばね力に抗して押圧操作部材12を円滑にスライドさせて確実に且つ良好に押し込むことができる。
さらに、このスイッチ装置10によれば、回転操作部材13を押圧操作部材12と共に第1、第2の各コイルばね30、33のばね力に抗して押し込んだ状態で、回転操作部材13をロックするロック部25を備えているので、通常の運針状態のときに、不用意にスイッチ動作するのを確実に防ぐことができる。
すなわち、このロック部25は、腕時計ケース1の側壁部1aに設けられたガイドパイプ14のフランジ部16の外周部に設けられた雄ねじ部25bと、回転操作部材13の貫通孔23の毎週面に設けられた雌ねじ部25aとを備えた構成であるから、回転操作部材13を回転させて雌ねじ部25aをガイドパイプ14のフランジ部16の雄ねじ部25bに螺合させて締め付けることにより、回転操作部材13を腕時計ケース1に対して確実に且つ良好に固定してロックすることができる。
なお、上述した実施形態では、第1コイルばね30の外端部側が対応する押圧操作部材12における頭部18の内面に第1滑り部材32を配置した場合について述べたが、これに限らず、第1コイルばね30の内端部側が対応するガイドパイプ14におけるフランジ部16に第1滑り部材32を配置しても良い。また、これに限らず、第1滑り部材32は、第1コイルばね30の外端部側が対応する押圧操作部材12における頭部18の内面と、第1コイルばね30の内端部側が対応するガイドパイプ14のフランジ部16との両方に配置しても良い。
同様に、第2コイルばね33の外端部側が対応する回転操作部材13における連動パイプ27の内側部の端面に第2滑り部材35を配置した場合について述べたが、これに限らず、第2コイルばね33の内端部側が対応するガイドパイプ14におけるフランジ部16に設けられた装着溝34内に第2滑り部材35を配置しても良い。また、これに限らず、第2滑り部材33も、第2コイルばね33の外端部側が対応する連動パイプ27の内側部の端面と、第2コイルばね33の内端部側が対応するガイドパイプ14のフランジ部16の装着溝34との両方に配置しても良い。
また、上述した実施形態では、第1コイルばね30の外端部側が対応する押圧操作部材12における頭部18の内面にワッシャー形状の第1滑り部材32を配置した場合について述べたが、第1滑り部材32は必ずしもワッシャー形状である必要はなく、例えば、第1コイルばね30の外端部側が対応する押圧操作部材12における頭部18の内面に設けられたテフロン(登録商標)層やめっき層などの摩擦抵抗の小さい表面処理層であっても良い。
この場合にも、表面処理層は、第1コイルばね30の内端部側が対応するガイドパイプ14のフランジ部16に設けた構成でも良く、また第1コイルばね30の外端部側が対応する押圧操作部材12の頭部18の内面と、第1コイルばね30の内端部側が対応するガイドパイプ14のフランジ部16との両方に設けた構成であっても良い。
同様に、第2コイルばね33の外端部側が対応する回転操作部材13における連動パイプ27の内側部の端面にワッシャー形状の第2滑り部材35を配置した場合について述べたが、第2滑り部材35は必ずしもワッシャー形状である必要はなく、例えば、第2コイルばね33の外端部側が対応する連動パイプ27の内側部の端面に設けられたテフロン(登録商標)層やめっき層などの摩擦抵抗の小さい表面処理層であっても良い。
この場合にも、表面処理層は、第2コイルばね33の内端部側が対応するガイドパイプ14のフランジ部16に設けた構成でも良く、また第2コイルばね33の外端部側が対応する連動パイプ27の内側部の端面と、第2コイルばね33の内端部側が対応するガイドパイプ14のフランジ部16との両方に設けた構成であっても良い。
なおまた、上述した実施形態およびその各変形例では、指針式の電子腕時計に適用した場合について述べたが、必ずしも電子腕時計である必要はなく、例えばトラベルウオッチ、目覚まし時計、置き時計、掛け時計などの各種の指針式の電子時計に広く適用することができる。あた、必ずしも指針式の電子時計である必要はなく、時刻などの情報を電気光学的に表示する表示パネルを備えたデジタル式の電子時計にも適用することができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、これに限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲を含むものである。
以下に、本願の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
(付記)
請求項1に記載の発明は、軸方向に貫通孔が形成された回転操作部材と、この回転操作部材の前記貫通孔内に移動可能で、前記貫通孔の一方の開口から押圧操作可能で、且つ前記貫通孔の前記一方の開口から抜け出さないように設けられていると共に、前記回転操作部材を回転させた際に前記回転操作部材と共に一体的に回転する押圧操作部材と、前記回転操作部材の前記貫通孔内に配置され、前記押圧操作部材を前記一方の開口方向に向けて付勢する第1コイルばねと、前記回転操作部材の前記貫通孔内に配置され、前記回転操作部材を前記一方の開口方向に向けて付勢する第2コイルばねと、を備えていることをスイッチ装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスイッチ装置において、前記第1、第2の各コイルばねにおける前記一方の開口に位置する端部および他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所にそれぞれ設けられ、前記回転操作部材を回転させた際に前記コイルばねを回転方向に滑らせる第1、第2の各滑り部材を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のスイッチ装置において、前記第1、第2の各コイルばねのうち、少なくとも前記第2コイルばねにおける前記一方の開口に位置する端部および他方の開口に位置する端部の少なくとも一方が対応する箇所に前記第2コイルばねを位置決めする位置決め部が設けられていることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記回転操作部材と前記押圧操作部材とを連動させる連動部材を備え、この連動部材は、前記押圧操作部材が前記第1コイルばねのばね力によって押し出された状態のときに前記回転操作部材の回転操作に応じて前記押圧操作部材を連動させて回転させ、且つ前記押圧操作部材が前記第1コイルばねのばね力に抗して押圧操作された際に、この押圧操作部材をスライドさせることを特徴とするスイッチ装置である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のスイッチ装置において、前記回転操作部材を前記押圧操作部材と共に前記第1、第2の各コイルばねのばね力に抗して押し込んだ状態で、前記回転操作部材をロックするロック部を備えていることを特徴とするスイッチ装置である。