JP5982990B2 - 有機エレクトロニクス材料及びその製造方法、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置 - Google Patents
有機エレクトロニクス材料及びその製造方法、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置 Download PDFInfo
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Description
また、特許文献5には、湿式塗布したポリアニリンをポリスチレンスルホン酸塩を溶解した溶液に浸漬し、ドーピングする手法が開示されている。
しかしながら、これら文献においてフッ素を含有した光酸発生剤あるいは開始剤を用いた有機エレクトロニクス材料に関する記載はない。
さらに、本発明は、従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、照明装置、表示素子を提供することを目的とするものである。
(1)下記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含むイオン性化合物と、電荷輸送性化合物と、を含む電解液を調製する工程と、
前記電解液に電圧を印加して前記イオン性化合物と、前記電荷輸送性化合物とを反応させる工程と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロニクス材料の製造方法。
さらには、該有機エレクトロニクス材料がイオン性化合物を含むことにより従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子を提供することができる。
本発明の有機エレクトロニクス材料の製造方法は、下記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含むイオン性化合物と、電荷輸送性化合物と、を含む電解液を調製する工程と、前記電解液に電圧を印加して前記イオン性化合物と、前記電荷輸送性化合物とを反応させる工程と、を含むことを特徴としている。
本発明において、電解液とは、少なくとも、電荷輸送性化合物、イオン性化合物及び溶媒を含むものである。
電荷輸送性化合物の電解液に対する濃度としては、0.001〜40質量%が好ましく、0.1〜30質量%がさらに好ましい。
イオン性化合物の電解液に対する濃度としては、電荷輸送性化合物とのモル比が少なくとも1以上であれば反応の観点から特に制限はないが、0.01〜45質量%が好ましく、0.2〜40質量%がさらに好ましい。
また、上記電解液には、副反応を抑制する酸化防止剤等を必要に応じて添加することも可能である。
電解液にて強制的に電圧を印加する方法としては、少なくとも陽極及び陰極を配置した電解槽にて定電流または定電位酸化させることが挙げられ、電解酸化により得られる電荷輸送材料を制御しやすい観点から、定電位酸化が好ましい。
また、サイクリックボルタモグラムにおいて、複数の酸化ピークが得られる場合には、任意の酸化状態の電荷輸送性化合物が得ることが可能である。
本発明において、イオン性化合物としては、前記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含む。「イオン性化合物」とは、より詳細には、カチオンとアニオンからなる化合物であって、アニオンが電子求引性の有機置換基(上記式中のR1〜R10)を含むものであり、その例示としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基、メシル基等のアルキルスルホニル基、トシル基等のアリールスルホニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数が通常1以上12以下、好ましくは6以下のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数が通常2以上10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の炭素数が通常3以上好ましくは4以上25以下好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシカルボニル基、アセトキシ等の炭素数が通常2以上20以下のアシルオキシ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数が通常1以上10以下、好ましくは6以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル、アルケニル、アルキニル基にフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子が置換したハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル基、ペンタフルオロフェニル基などの炭素数が通常6以上20以下のハロアリール基などが挙げられる。これらの中でも、負電荷を効率よく非局在化できる観点から、より好ましくは、上記有機基のうち水素原子を有する基の水素原子の一部または全てをフッ素等のハロゲン原子で置換した基、例えば、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状もしくは環状のパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロアルキニル基であり、下記構造式群(1)で表されるが、これに限定されるものではない。
化合物の安定性、合成及び精製のし易さから、前記一般式(15b)におけるA1が臭素原子、ヨウ素原子または炭素原子であり、前記一般式(16b)におけるA2が酸素原子、炭素原子、硫黄原子またはセレン原子であり、前記一般式(17b)におけるA3が窒素原子、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子であることが好ましい。
すなわち、本発明におけるイオン性化合物のカチオンは、より好ましくは、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、カルベニウム(トリチル)、アニリニウム、ビスムトニウム、アンモニウム、セレニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、オキソニウム、キノリニウム、ピロリジニウム、アミニウム、イモニウム、トロピリウムなどである。
本発明において、「電荷輸送性化合物」とは、電荷輸送性ユニットを有する化合物を言う。ここで、本発明において「電荷輸送性ユニット」とは、正孔または電子を輸送する能力を有した原子団であり、以下、その詳細について述べる。
前記カチオンの例は、既述の式(8b)〜(10b)の例示と同様である。
また、本発明において、これらの電荷輸送性化合物は溶解度、成膜性の観点からポリマー又はオリゴマーであること、または、ポリマー又はオリゴマーを含むことが好ましい。
また、前記電荷輸送性化合物がポリマー又はオリゴマーである場合、溶剤への溶解性、成膜性の観点から数平均分子量が、1,000以上1,000,000以下であることが好ましい。より好ましくは2,000以上900,000以下、さらに好ましくは3,000以上800,000以下である。1,000より小さいと化合物が結晶化しやすくなり、成膜性に劣ってしまう。また、1,000,000より大きいと溶剤への溶解度が低下し、塗布溶液や塗布インクを作製するのが困難になる。
また、本発明に係るイオン性化合物は単独で重合開始剤として用いることができる。つまり、本発明の重合開始剤は、既述の本発明に係る一般式(1c)〜(4c)で表されるイオン性化合物のうち、少なくとも下記一般式(4c)で表されるイオン性化合物を含むことを特徴としている。
また、本発明に係るイオン性化合物は、重合反応により有機薄膜に耐溶剤性を付与する重合開始剤として用いることもできる。
この重合開始剤の作用を有機薄膜の製造方法に適用したのが本発明の有機薄膜の製造方法である。すなわち、本発明の有機薄膜の製造方法は、上述の本発明の重合開始剤を用いて有機薄膜に耐溶剤性を付与する工程を含むことを特徴としている。
本発明の有機薄膜の製造方法において、本発明の重合開始剤を用いて有機薄膜に耐溶剤性を付与するに際し、重合開始剤を用いる条件は、電荷輸送性化合物に対し、0.01〜50質量%の重合開始剤を用いて薄膜を形成したのち、真空中、大気下あるいは窒素雰囲気下で加熱すればよい。加熱温度・時間は、重合反応を十分に進行させられればよく、特に制限はないが、温度については、種々の基板を適用できることから、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。時間は、生産性を上げる観点から、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、さらに好ましくは30分以下である。
本発明のインク組成物は、既述の本発明の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むことを特徴としており、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。前記溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン、シクロヘキサン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族溶媒、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテルを使用することができる。
本発明のインク組成物において、溶媒に対する有機エレクトロニクス材料の含有量は、種々の塗布プロセスに適用できる観点から0.1〜30質量%とすることが好ましい。
さらに、本発明の有機エレクトロニクス素子は、上記有機エレクトロニクス材料および/または上記インク組成物から形成された有機薄膜を含む。
同様に、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)は、上記有機エレクトロニクス材料および/または上記インク組成物から形成された有機薄膜を含む。
いずれの素子も、有機薄膜として、本発明の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された優れた有機薄膜を含み、従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する。
以下に、本発明のEL素子について詳述する。
本発明の有機エレクトロニクス素子は、電荷輸送性化合物とイオン性化合物からなる電荷輸送材料を含む有機エレクトロニクス材料からなる有機薄膜を含むことをその特徴とするものである。本発明の有機EL素子は、発光層、重合層、陽極、陰極、基板を備えていれば特に限定されず、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの他の層を有していてもよい。また、正孔注入層又は正孔輸送層に、本発明の有機薄膜を適用することが好ましい。
以下、各層について詳細に説明する。
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
燐光材料は、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole) (PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq3))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはなく、また、透明のものであれば特に制限は無いが、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルム(フレキシブル基板)を用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり、特に好ましい。
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
本発明の表示素子は、既述の本発明の有機EL素子を備えたことを特徴としている。
例えば、赤・緑・青(RGB)の各画素に対応する素子として、本発明の有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に用いる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として用いられる。
(モノマー合成例1)
丸底フラスコに、p-ブロモベンジルアルコール(16.4g, 0.088mol)、3-(6-ブロモヘキシルオキシメチル)-3-エチルオキセタン(22.2g, 0.080mol)をn-ヘキサン320mLに溶解し、ここへテトラブチルアンモニウム-ブロミド(1.29g, 4.0mmol)と45%水酸化ナトリウム水溶液80gを加えて9時間加熱還流を行った。反応終了後、水200mLを加えて有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲル(登録商標)C-300HG, 移動層:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、無色油状の重合可能な置換基を有するモノマーAを得た(18.4g, 収率60.2質量%)。1H NMRを測定したところ以下の結果が得られた。
1H NMR(300MHz, CDCl3, dppm) ; 0.88(t, 3H), 1.37(m, 4H), 1.59(m, 4H), 1.74(q, 2H)
また、以上の反応の反応式を以下に示す。
(オリゴマー合成例1)
〈重合可能な置換基を有する電荷輸送性オリゴマーの合成〉
ジムロート冷却管及び3方コックを取り付けた3つ口フラスコに、4,−n−ブチルトリフェニルアミン−4,4’−ジブロニックアシッドビス(ピナコール)エステル(18.2mmol)、4,4’−ジブロモ−4’−n−ブチルトリフェニルアミン(14.5mmol)、重合可能な置換基を有する上記モノマーA(7.3mmol)、Tris(dibenzylideneacetone)- dipalladium(0)(0.125mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.200mmol)、10%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(100mL)、アニソール(60mL)を入れ、窒素雰囲気下、90℃、2時間加熱撹拌した。
以上の反応の反応式を以下に示す。
重合可能な置換基を有するモノマーAを4−オクチルブロモベンゼンに変更した以外はオリゴマー合成例1と同様にしてオリゴマーBを合成した。得られたオリゴマーBの重量平均分子量はポリスチレン換算で2700であった。
オリゴマー合成例1と同様にして4,−n−ブチルトリフェニルアミン−4,4’−ジブロニックアシッドビス(ピナコール)エステル(5mmol)、トリス(4−ブロモフェニル)アミン(2mmol)、重合可能な置換基を有する上記モノマーA(4mmol)、Tris(dibenzylideneacetone)- dipalladium(0)(0.125mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.200mmol)、10%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(100mL)、アニソール(60mL)を入れ、窒素雰囲気下、90℃、2時間加熱撹拌した。反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過し、トルエンに溶解し、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(strem chemicals社 、ポリマー100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymerと不溶物をろ過して取り除き、メタノールに滴下し沈殿物を得た。前記の再沈殿を4回繰り返し行って精製することで、重合可能な置換基を有する電荷輸送性オリゴマーCを得た。得られたオリゴマーCの数平均分子量はポリスチレン換算で24000であった。
(電解液1)
ベンゾニトリル50mLにビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(アルドリッチ製)20gを溶解し、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム飽和溶液を調製した。前記飽和溶液20mLに、合成例1で得たオリゴマーAを100mg溶解し、電解液1を得た。
ベンゾニトリルをクロロベンゼン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをWPI-169(和光純薬製)に変更した以外は電解液1と同様にして電解液2を得た。
ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをセシウムテトラフルオロメチド(三菱マテリアル電子化成製)に変更した以外は電解液1と同様にして電解液3を得た。
オリゴマーAをオリゴマーBに変更した以外は電解液3と同様にして電解液4を得た。
[実施例1]
30mLのガラス容器に2cm角のPt電極、バブラー(パスツールピベット)、マグネット撹拌子を設置した電解槽に、電解液1を20mLを加え30分間窒素バブリングした。
その後、ポテンシオ/ガルバノスタット(solartron製 1280Z)を用いて、サイクリックボルタモグラム測定を走印速度100mV/sec、走印範囲0-2Vの条件で行ったところ、1.8Vに酸化ピークが得られた。電解液1を窒素バブリングしながら電圧を1.8Vに印加し、4時間定電流酸化した。定電位酸化後、電解液の色は黄色から黒褐色に変化した。
定電位酸化後の電解液1をロータリーエバポレーターにて濃縮し、100mLのトルエンで抽出した。抽出したトルエンに50mLの水を加え、分液洗浄した。分液洗浄を4回繰り返した後、ロータリーエバポレーターで有機層を乾固させ。電荷輸送材料1を得た。
電解液1を電解液2に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送材料2を得た。
電解液1を電解液3に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送材料3を得た。
電解液1を電解液4に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送材料4を得た。
[実施例5]
実施例1で得た電荷輸送材料1(4.5mg)をトルエン(465μL)に溶解し、本発明の有機エレクトロニクス材料を含むインク組成物を調製した。
合成例1で得たオリゴマーA(4.5mg)をトルエン(400μL)に溶解しビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(0.5mg)を加え、インク組成物を調製した。しかしながら、溶け残りが発生して均一な溶液を得ることができず、塗布インクとして適するものではなかった。
[実施例6]
実施例5で得たインク組成物を用いて、石英ガラス板上に3000min−1でスピンコートし、ホットプレート上で180℃ 10分間加熱して硬化させ、有機薄膜(膜厚:60nm)を形成した。この有機薄膜を石英ガラス板ごとトルエン中でリンスし、リンス前後の薄膜の吸光度の比より薄膜の残存率(残膜率)を求めたところ、残膜率は88%であった。
比較例1におけるビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート(Aldrich製)に変えた以外は同様にして薄膜を作製し、残膜率を求めたところ、10%であった。
比較例1におけるビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをトリフェニルスルホニウム テトラフルオロボラート(東京化成工業製)に変えた以外は同様にして薄膜を作製し、残膜率を求めたところ、8%であった。
比較例1におけるビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをトロピリウム ヘキサフルオロホスファート(東京化成工業製)に変えた以外は同様にして薄膜を作製し、残膜率を求めたところ、13%であった。
合成例1で得たオリゴマーA(4.5mg)をトルエン(400μL)に溶解し、イオン性化合物(BBI-103:みどり化学社製、0.5mg)を添加した。この溶液を定電位酸化せず、実施例1と同様にして精製し、電荷輸送材料を得た。この電荷輸送材料4.5mgをトルエン400μLに溶解し、インク組成物を調製した。石英ガラス板上に上記インク組成物を滴下し、3000min−1でスピンコートし、ホットプレート上で180℃ 10分間加熱して硬化させ、有機薄膜(膜厚:60nm)を形成した。この有機薄膜を石英ガラス板ごとトルエン中でリンスし、リンス前後の薄膜の吸光度の比より薄膜の残存率(残膜率)を求めたところ、残膜率は80%であった。
[実施例7]
ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、実施例5で得たインク組成物を2000min−1でスピン塗布し、ホットプレート上で180℃、10分間加熱した。次に得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、金(膜厚30nm)を蒸着した。
比較例5で得たインク組成物を用いて、実施例7と同様にしてホールオンリー素子を作製した。以後の実験は大気中、室温(25℃)で行った。
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板
Claims (26)
- 下記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含むイオン性化合物と、電荷輸送性化合物と、を含む電解液を調製する工程と、
前記電解液に電圧を印加して前記イオン性化合物と、前記電荷輸送性化合物とを反応させる工程と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記イオン性化合物がハロゲン原子を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記イオン性化合物が、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状もしくは環状の、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルケニル基、及びパーフルオロアルキニル基からなる群より選択される1種を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記Y1〜Y6が下記一般式(4b)〜(14b)のいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記一般式(1c)〜(4c)におけるL+が長周期型周期表の第1属又は第2属に属する元素、又は下記一般式(15b)〜(17b)で表されるカチオンのうちのいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記一般式(15b)〜(17b)におけるR11〜R34が、各々独立に、置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記一般式(15b)におけるA1が臭素原子、ヨウ素原子または炭素原子であり、前記一般式(16b)におけるA2が酸素原子、炭素原子、硫黄原子またはセレン原子であり、前記一般式(17b)におけるA3が窒素原子、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子であることを特徴とする請求項5又は6に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記電荷輸送性化合物が、芳香族アミン、カルバゾールまたはチオフェン化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記芳香族アミン、カルバゾールまたはチオフェン化合物が、ポリマーまたはオリゴマーであることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が、1,000以上100,000以下であることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記ポリマーまたはオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記重合可能な置換基がオキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記一般式(1c)〜(4c)におけるL + が長周期型周期表の第1属又は第2属に属する元素であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 前記イオン性化合物が前記一般式(2c)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法によって有機エレクトロニクス材料を製造することを含む、有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むインク組成物の製造方法。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法で製造された有機エレクトロニクス材料を用いて有機薄膜を形成することを含む、有機薄膜の製造方法。
- 請求項15に記載のインク組成物の製造方法で製造されたインク組成物を用いて有機薄膜を形成することを含む、有機薄膜の製造方法。
- 請求項16又は17に記載の有機薄膜の製造方法で有機薄膜を製造することを含む、有機エレクトロニクス素子の製造方法。
- 請求項16又は17に記載の有機薄膜の製造方法で有機薄膜を製造することを含む、有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
- 前記有機薄膜が正孔注入層であることを特徴とする請求項19に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
- 前記有機薄膜が正孔輸送層であることを特徴とする請求項19に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
- 基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
- 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法。
- 請求項19〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法で有機エレクトロルミネセンス素子を製造することを含む、有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子の製造方法。
- 請求項19〜23のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法で有機エレクトロルミネセンス素子を製造することを含む、有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置の製造方法。
- 請求項25に記載の照明装置の製造方法で照明装置を製造することを含む、照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示装置の製造方法。
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