JP5982990B2 - 有機エレクトロニクス材料及びその製造方法、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置 - Google Patents

有機エレクトロニクス材料及びその製造方法、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、照明装置、表示素子、並びに表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロニクス材料及びその製造方法、重合開始剤及び熱重合開始剤、インク組成物、有機薄膜及びその製造方法、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子ということもある)、照明装置、表示素子、並びに表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の一例として有機EL素子、有機光電変換素子、有機トランジスタなどが挙げられる。
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
近年、有機EL素子の発光効率・寿命を改善する目的で、電荷輸送性の化合物に電子受容性化合物を混合して用いる試みがなされている。
例えば、特許文献1には、正孔輸送性高分子化合物に、電子受容性化合物としてトリス(4−ブロモフェニルアミニウムヘキサクロロアンチモネート)(tris(4-bromophenylaminium hexachloroantimonate):TBPAH)を混合することで、低電圧駆動が可能な有機電界発光素子が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、正孔輸送性化合物に、電子受容性化合物として塩化鉄(III)(FeCl)を真空蒸着法により混合して用いることが開示されている。
また、特許文献3には、正孔輸送性高分子化合物に、電子受容性化合物としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(tris(pentafluorophenyl)borane:PPB)を、湿式成膜法により混合して正孔注入層を形成することが開示されている。
このように、電荷輸送性化合物へ電子受容性化合物を混合したときに生成する、電荷輸送性化合物のラジカルカチオンと対アニオンからなる化合物を生成させることが重要であると考えられる。
また、特許文献4には、電荷輸送膜用組成物として、特定のアミニウムカチオンラジカルからなる組成物が開示されている。
しかしながら、これら文献において、本発明に係るイオン性化合物を電子受容性化合物として利用した旨については記載されていない。
一方、有機EL素子は、用いる材料及び製膜方法から低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子は、有機材料が高分子材料により構成されており、真空系での成膜が必要な低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子である。
低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子とも、これまで精力的に研究が行われてきたが、未だに発光効率の低さ、素子寿命の短さが大きな問題となっている。この問題を解決する一つの手段として、低分子型有機EL素子では多層化が行われている。
図1に多層化された有機EL素子の一例を示す。図1において、発光を担う層を発光層1、それ以外の層を有する場合、陽極2に接する層を正孔注入層3、陰極4に接する層を電子注入層5と記述する。さらに、発光層1と正孔注入層3の間に異なる層が存在する場合、正孔輸送層6と記述、さらに発光層1と電子注入層5の間に異なる層が存在する場合、電子輸送層7と記述する。なお、図1において、8は基板である。
低分子型有機EL素子は蒸着法で製膜を行うため、用いる化合物を順次変更しながら蒸着を行うことで容易に多層化が達成できる。一方、高分子型有機EL素子は印刷やインクジェットといった湿式プロセスを用いて製膜を行うため、上層を塗布する際に下層が溶解してしまうという課題が生じる。そのため、高分子型有機EL素子の多層化は低分子型有機EL素子に比べ困難であり、発光効率の向上、寿命の改善効果を得ることができなかった。
この問題に対処するために、これまでにいくつかの方法が提案されている。一つは、溶解度の差を用いる方法である。例えば、水溶性であるポリチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)やポリアニリン誘導体からなる正孔注入層、トルエン等の芳香族系有機溶媒を用いて製膜された発光層の2層構造からなる素子である。この場合、PEDOT:PSS層はトルエン等芳香族溶媒に溶解しないため、2層構造を作製することが可能となっている。PEDOTは、PSSのスルホン酸によりPEDOTがドーピングされ、電荷輸送性が向上することが知られている。また、ポリアニリン誘導体に関しては、対アニオンにポリスチレンスルホン酸、BF やPF 等のアニオンを用いて電気化学的にドーピングすることで電荷輸送性を向上可能であることが知られている。これらはいずれも有機溶媒または水系の溶媒への溶解性が乏しく広く水分散系の材料として用いられている。また、前記材料は、水分散系であるため合成上含まれるイオン性不純物の除去が困難である。
また、特許文献5には、湿式塗布したポリアニリンをポリスチレンスルホン酸塩を溶解した溶液に浸漬し、ドーピングする手法が開示されている。
非特許文献1には、溶解度の大きく異なる化合物を利用した3層構造の素子が提唱されている。
また、特許文献6には、PEDOT:PSS上にインターレイヤー層と呼ばれる層を導入した3層構造の素子が開示されている。
また、非特許文献2〜4、特許文献7には多層化の課題を克服するために、シロキサン化合物やオキセタン基、ビニル基などの重合反応を利用して化合物の溶解度を変化させ、薄膜を溶剤に対して不溶化する方法が開示されている。
これらの多層化を図る方法は重要であるが、水溶性のPEDOT:PSSを使用すると薄膜中に残存する水分を除去する必要があることや、溶解度差を利用するには使用できる材料が限られてしまう、シロキサン化合物が空気中の水分に不安定といった問題点や素子特性が十分ではない問題点があった。
上記重合反応を利用するには、光や熱などの刺激により反応・分解して酸や塩基、ラジカル等を発生する適切な重合開始剤を添加する必要がある。
特許文献8、特許文献9、特許文献10にはフッ素を含有した光酸発生剤あるいは開始剤が開示されている。
しかしながら、これら文献においてフッ素を含有した光酸発生剤あるいは開始剤を用いた有機エレクトロニクス材料に関する記載はない。
特許第3748491号公報 特開平11−251067号公報 特許第4023204号公報 特開2006−233162号公報 特開2001−217075号公報 特開2007−119763号公報 国際公開第2008/010487号
Y. Goto, T. Hayashida, M. Noto, IDW ‘04 Proceedings of The 11th International Display Workshop, 1343-1346(2004) H. Yan, P. Lee, N. R. Armstrong, A. Graham, G. A. Evemenko, P. Dutta, T. J. Marks, J. Am. Chem. Soc., 127, 3172-4183(2005) E. Bacher, M.Bayerl, P. Rudati, N. Reckfuss, C. David, K. Meerholz, O. Nuyken, Macromolecules, 38, 1640(2005) M. S. Liu, Y. H. Niu, J. W. Ka, H. L. Yip, F. Huang, J. Luo, T. D. Wong, A. K. Y. Jen, Macromolecules, 41, 9570(2008)
有機EL素子の高効率化、長寿命化のためには、有機層を多層化し、各々層の機能を分離することが望ましいが、大面積でも製膜が容易な湿式プロセスを用いて有機層を多層化するためには、上述のように、下層が上層製膜時に溶解しないようにする必要があり、重合反応を利用した溶剤への溶解度の変化が用いられてきた。
また、有機EL素子の低駆動電圧化のため、電荷輸送性化合物に電子受容性化合物を混合する試みがなされているが、特性はいまだ十分なものではなかった。また、電子受容性化合物の多くは溶剤への溶解度が低く、扱いづらいものであった。
本発明は、上記した問題に鑑み、安定的かつ容易に薄膜を形成、あるいは有機薄膜層の多層化を容易に行うことができ、有機エレクトロニクス素子、特に高分子型有機EL素子の生産性を向上させる上で有用な有機エレクトロニクス材料及び該有機エレクトロニクス材料を容易に製造できる製造方法、該有機エレクトロニクス材料を含むインク組成物、該有機エレクトロニクス材料、及び該インク組成物から形成された有機薄膜を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子、照明装置、表示素子を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、電荷輸送性化合物とイオン性化合物とを含む電解液に電圧を印加することで電荷輸送材料たる有機エレクトロニクス材料を容易に得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。また、併せて、当該有機エレクトロニクス材料、イオン性化合物を含む重合開始剤、さらに該有機エレクトロニクス材料を含むインク組成物、さらに該有機エレクトロニクス材料または該インク組成物を用いて形成された有機薄膜が、有機EL素子の高効率化・長寿命化に有用であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、下記(1)〜(28)の事項をその特徴とするものである。
(1)下記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含むイオン性化合物と、電荷輸送性化合物と、を含む電解液を調製する工程と、
前記電解液に電圧を印加して前記イオン性化合物と、前記電荷輸送性化合物とを反応させる工程と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(式中、Y〜Yはそれぞれ独立に二価の連結基、R〜R10はそれぞれ独立に、電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R4〜R6、又はR〜R10はそれぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Lは一価のカチオンを表す。)
(2)前記イオン性化合物がハロゲン原子を有することを特徴とする前記(1)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(3)前記イオン性化合物が、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状もしくは環状の、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルケニル基、及びパーフルオロアルキニル基からなる群より選択される1種を有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(4)前記Y〜Yが下記一般式(4b)〜(14b)のいずれか1種であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(式中、Rは任意の有機基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよい)を表す。)
(5)前記一般式(1c)〜(4c)におけるLが長周期型周期表の第1属又は第2属に属する元素、又は下記一般式(15b)〜(17b)で表されるカチオンのうちのいずれか1種であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(式中、R11〜R34は、各々独立に、任意の有機基を表す。R11〜R34のうち隣接する2以上の基が、互いに連結して環を形成していてもよい。Aは長周期型周期表の第17族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第16族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。)
(6)前記一般式(15b)〜(17b)におけるR11〜R34が、各々独立に、置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であることを特徴とする前記(5)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(7)前記一般式(15b)におけるAが臭素原子、ヨウ素原子または炭素原子であり、前記一般式(16b)におけるAが酸素原子、炭素原子、硫黄原子またはセレン原子であり、前記一般式(17b)におけるAが窒素原子、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子であることを特徴とする前記(5)又は(6)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(8)前記電荷輸送性化合物が、芳香族アミン、カルバゾールまたはチオフェン化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(9)前記芳香族アミン、カルバゾールまたはチオフェン化合物が、ポリマーまたはオリゴマーであることを特徴とする前記(8)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(10)前記ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が、1,000以上100,000以下であることを特徴とする前記(9)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(11)前記ポリマーまたはオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有することを特徴とする前記(9)又は(10)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(12)前記重合可能な置換基がオキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基のいずれかであることを特徴とする前記(11)に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
(13)前記(1)〜(12)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法により製造されてなる有機エレクトロニクス材料。
(14)下記一般式(1c)〜(4c)で表されるイオン性化合物のうち、少なくとも下記一般式(4c)で表されるイオン性化合物を含むことを特徴とする重合開始剤。
(式中、Y〜Yはそれぞれ独立に二価の連結基、R〜R10はそれぞれ独立に、電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R4〜R6、又はR〜R10はそれぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Lは一価のカチオンを表す。)
(15)下記一般式(1c)〜(4c)で表されるイオン性化合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする熱重合開始剤。
(式中、Y〜Yはそれぞれ独立に二価の連結基、R〜R10はそれぞれ独立に、電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R4〜R6、又はR〜R10はそれぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Lは一価のカチオンを表す。)
(16)前記(14)に記載の重合開始剤又は前記(15)に記載の熱重合開始剤を用いて有機薄膜に耐溶剤性を付与する工程を含むことを特徴とする有機薄膜の製造方法。
(17)前記(13)に記載の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むインク組成物。
(18)前記(13)に記載の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された有機薄膜。
(19)前記(17)に記載のインク組成物を用いて形成された有機薄膜。
(20)前記(18)又は(19)に記載の有機薄膜を含むことを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
(21)前記(18)又は(19)に記載の有機薄膜を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
(22)前記有機薄膜が正孔注入層であることを特徴とする前記(21)に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(23)前記有機薄膜が正孔輸送層であることを特徴とする前記(21)に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(24)基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする前記(21)〜(23)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(25)基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする前記(21)〜(23)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(26)前記(21)〜(23)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
(27)前記(21)〜(25)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
(28)前記(27)に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示装置。
本発明によれば、安定的かつ容易に薄膜を形成でき、また重合反応によって溶解度が変化するため、有機薄膜層の多層化を容易に行うことができ、それゆえ、有機エレクトロニクス素子、特に高分子型有機EL素子の生産性を向上させる上で極めて有用な有機エレクトロニクス材料及び該有機エレクトロニクス材料を容易に製造できる製造方法を提供することができる。
さらには、該有機エレクトロニクス材料がイオン性化合物を含むことにより従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する有機エレクトロニクス素子及び有機EL素子を提供することができる。
多層化された有機EL素子の一例を示す模式図である。 実施例7及び比較例6における、ホールオンリー素子のITOを正極、Auを陰極として電圧を印加した時の印加電圧−電流密度の関係をグラフで示す図である。
<有機エレクトロニクス材料の製造方法>
本発明の有機エレクトロニクス材料の製造方法は、下記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含むイオン性化合物と、電荷輸送性化合物と、を含む電解液を調製する工程と、前記電解液に電圧を印加して前記イオン性化合物と、前記電荷輸送性化合物とを反応させる工程と、を含むことを特徴としている。
(式中、Y〜Yはそれぞれ独立に二価の連結基、R〜R10はそれぞれ独立に、電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R4〜R6、又はR〜R10はそれぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Lは一価のカチオンを表す。)
[電解液を調製する工程]
本発明において、電解液とは、少なくとも、電荷輸送性化合物、イオン性化合物及び溶媒を含むものである。
電荷輸送性化合物の電解液に対する濃度としては、0.001〜40質量%が好ましく、0.1〜30質量%がさらに好ましい。
イオン性化合物の電解液に対する濃度としては、電荷輸送性化合物とのモル比が少なくとも1以上であれば反応の観点から特に制限はないが、0.01〜45質量%が好ましく、0.2〜40質量%がさらに好ましい。
電解に用いる電解液の溶媒としては、電荷輸送性化合物及びイオン性化合物が溶媒と反応せず、電解条件下において安定であれば特に制限はなく、有機電解に用いられる一般的な溶媒が使用可能である。例えば、蟻酸、酢酸、メタノール、エタノール、プロパノール、メチルセロソルブ、セロソルブ、1,4-ジオキサン、モノグリム(1,2-ジメトキシエタン)、アセトン、4-メチル-2-ペンタノン、アセチルアセトン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル、エチレンジアミン、ピリジン、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルプロピオンアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,1,3,3-テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルチオホルムアミド、N-メチルチオピロリドン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロメタン、γ-ブチルラクトン、炭酸プロピレン、炭酸エチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等が挙げられる。中でも、電荷輸送性化合物及びイオン性化合物の溶解性及び電圧に対する安定性の観点から、トルエン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン、ベンゾニトリル等が好ましい。
上記電解液には、電解液の伝導率を増加させるため、必要に応じて支持電解質を添加することも可能である。支持電解質としては、過塩素酸テトラアルキルアンモニウム塩(アルキルは例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、ヘキシル等を示す)、テトラフルオロホウ素テトラアルキルアンモニウム塩、ヘキサフルオロリンテトラアルキルアンモニウム塩トリフルオロメタンスルホン酸テトラアルキルアンモニウム塩、ハロゲン化アルキルアンモニウム塩(ハロゲン化としては、クロロ、ブロモ、ヨード等)、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等が挙げられる。特に、溶解性及び反応性の観点からテトラアルキルアンモニウム塩が好まれる。また、本発明のイオン性化合物が電解液の伝導率を向上させることもあるため、必ずしも支持電解質を必要とはしない場合がある。
また、上記電解液には、副反応を抑制する酸化防止剤等を必要に応じて添加することも可能である。
[電解液に電圧を印加してイオン性化合物と電荷輸送性化合物とを反応させる工程]
電解液にて強制的に電圧を印加する方法としては、少なくとも陽極及び陰極を配置した電解槽にて定電流または定電位酸化させることが挙げられ、電解酸化により得られる電荷輸送材料を制御しやすい観点から、定電位酸化が好ましい。
電解槽としては、陽極及び陰極が同一の容器に配置する方法、陽極、陰極が異なる容器に配置され液絡等により接続される方法が挙げられる。また、電解槽には、必要に応じて複数の陽極及び陰極が配置することも可能である。また、必要に応じて不活性ガス(例えばアルゴン、窒素等)を通気するバブラー、撹拌装置、参照電極等を配置することも可能である。
陽極及び陰極としては、定電位酸化に耐えうる材料であれば特に制限はないが、耐久性の観点から、Pt、Au、カーボン電極が好ましい。特に耐久性及び反応性の観点からPt電極が好ましい。
定電位酸化において設定する電位は、サイクリックボルタグラムから得られる電荷輸送性化合物の酸化電位に設定することが好ましい。ここでの酸化電位は、電荷輸送性化合物、溶媒、支持電解質、電極材料等で変化するため、設定の際は、サイクリックボルタモグラムで酸化電流のピークから求めることが必要である。例えば、Ag/Ag+電極を参照電極に用いて、電荷輸送性化合物にトリフェニルアミン誘導体を用いた場合には、0.5−1.2Vに第一酸化ピークが得られる。
また、サイクリックボルタモグラムにおいて、複数の酸化ピークが得られる場合には、任意の酸化状態の電荷輸送性化合物が得ることが可能である。
定電位酸化を行う時間は、任意に設定することが可能である。通常、電解液に加えた電荷輸送性化合物の酸化可能な電気量を考慮して時間を調整する。なお、定電位酸化に使用された電気量は、流した電流からファラデー電流を差し引き、通電した時間を乗じることで算出可能である。定電位酸化の時間を調整することで得られる電荷輸送性化合物とイオン性化合物からなる電荷輸送材料のドーピング度合いを調整することが可能である。
(イオン性化合物)
本発明において、イオン性化合物としては、前記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含む。「イオン性化合物」とは、より詳細には、カチオンとアニオンからなる化合物であって、アニオンが電子求引性の有機置換基(上記式中のR〜R10)を含むものであり、その例示としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、シアノ基、チオシアノ基、ニトロ基、メシル基等のアルキルスルホニル基、トシル基等のアリールスルホニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等の炭素数が通常1以上12以下、好ましくは6以下のアシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数が通常2以上10以下、好ましくは7以下のアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等の炭素数が通常3以上好ましくは4以上25以下好ましくは15以下の芳香族炭化水素基又は芳香族複素環基を有するアリールオキシカルボニル基、アセトキシ等の炭素数が通常2以上20以下のアシルオキシ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数が通常1以上10以下、好ましくは6以下の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル、アルケニル、アルキニル基にフッ素原子、塩素原子などのハロゲン原子が置換したハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル基、ペンタフルオロフェニル基などの炭素数が通常6以上20以下のハロアリール基などが挙げられる。これらの中でも、負電荷を効率よく非局在化できる観点から、より好ましくは、上記有機基のうち水素原子を有する基の水素原子の一部または全てをフッ素等のハロゲン原子で置換した基、例えば、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状もしくは環状のパーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルケニル基、パーフルオロアルキニル基であり、下記構造式群(1)で表されるが、これに限定されるものではない。
構造式群(1)
また、一般式(1c)〜(4c)におけるY〜Yは2価の連結基を示すが、下記一般式(4b)〜(14b)のいずれか1種であることが好ましい。
(式中、Rは任意の有機基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよい)を表す。)
一般式(10b)〜(14b)におけるRは、電子受容性の向上、溶媒への溶解性の観点から、各々独立に、置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基、芳香族複素環基であることが好ましく、より好ましくは前記置換基のうち、電子求引性の置換基を有する有機基であり、例えば、前記構造式群(1)の基が挙げられる。
また、本発明におけるアニオンは負電荷が主として酸素原子、窒素原子、または炭素原子上にあるものが好ましく、特に限定されないが、より好ましくは窒素原子または炭素原子上にあるものであり、最も好ましくは下記一般式(18b)、(19b)で表されるものである。
(式中、RF1〜RF9はそれぞれ独立に電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、またRF1〜RF9はそれぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表し、特に限定されないが、例えば、前記構造式群(1)で示される基があげられる。)
また、本発明に係るイオン性化合物のカチオン、すなわち一般式(1c)〜(4c)のLは一価のカチオンであり、特に限定されないが、長周期型周期表の第1属又は第2属に属する元素、又は下記一般式(15b)〜(17b)で表されるいずれか1種が好ましい。
(式中、R11〜R34は、各々独立に、任意の有機基を表す。R11〜R34のうち隣接する2以上の基が、互いに連結して環を形成していてもよい。Aは長周期型周期表の第17族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第16族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。)
一般式(15b)〜(17b)におけるR11〜R34は、化合物の安定性、溶媒への溶解性の観点から、各々独立に、置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であることが好ましい。
化合物の安定性、合成及び精製のし易さから、前記一般式(15b)におけるAが臭素原子、ヨウ素原子または炭素原子であり、前記一般式(16b)におけるAが酸素原子、炭素原子、硫黄原子またはセレン原子であり、前記一般式(17b)におけるAが窒素原子、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子であることが好ましい。
すなわち、本発明におけるイオン性化合物のカチオンは、より好ましくは、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム、カルベニウム(トリチル)、アニリニウム、ビスムトニウム、アンモニウム、セレニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム、オキソニウム、キノリニウム、ピロリジニウム、アミニウム、イモニウム、トロピリウムなどである。
例えば、スルホニウムとしては、トリフェニルスルホニウム、トリ−p−トリルスルホニウム、トリ−o−トリルスルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、1−ナフチルジフェニルスルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、トリ−1−ナフチルスルホニウム、トリ−2−ナフチルスルホニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−(4−メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド、ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド、ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、ビス{4−[ビス(4−メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム、4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム、7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム、2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン、2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ−p−トリルスルホニウム、4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム、5−(4−メトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−フェニルチアアンスレニウム、5−トリルチアアンスレニウム、5−(4−エトキシフェニル)チアアンスレニウム、5−(2,4,6−トリメチルフェニル)チアアンスレニウムなどのトリアリールスルホニウム;ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム、ジフェニルベンジルスルホニウム、ジフェニルメチルスルホニウムなどのジアリールスルホニウム;フェニルメチルベンジルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチルベンジルスルホニウム、2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム、フェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルメチルフェナシルスルホニウム、2−ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム、9−アントラセニルメチルフェナシルスルホニウムなどのモノアリールスルホニウム;ジメチルフェナシルスルホニウム、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ベンジルテトラヒドロチオフェニウム、オクタデシルメチルフェナシルスルホニウムなどのトリアルキルスルホニウムなどが挙げられ、これらは以下の文献に記載されている。
トリアリールスルホニウムに関しては、米国特許第4231951号、米国特許第4256828号、特開平7−61964号、特開平8−165290号、特開平7−10914号、特開平7−25922号、特開平8−27208号、特開平8−27209号、特開平8−165290号、特開平8−301991号、特開平9−143212号、特開平9−278813号、特開平10−7680号、特開平10−287643号、特開平10−245378号、特開平8−157510号、特開平10−204083号、特開平8−245566号、特開平8−157451号、特開平7−324069号、特開平9−268205号、特開平9−278935号、特開2001−288205号、特開平11−80118号、特開平10−182825号、特開平10−330353、特開平10−152495、特開平5−239213号、特開平7−333834号、特開平9−12537号、特開平8−325259号、特開平8−160606号、特開2000−186071号(米国特許第6368769号)など;ジアリールスルホニウムに関しては、特開平7−300504号、特開昭64−45357号、特開昭64−29419号など;モノアリールスルホニウムに関しては、特開平6−345726号、特開平8−325225号、特開平9−118663号(米国特許第6093753号)、特開平2−196812号、特開平2−1470号、特開平2−196812号、特開平3−237107号、特開平3−17101号、特開平6−228086号、特開平10−152469号、特開平7−300505号、特開2003−277353、特開2003−277352など;トリアルキルスルホニウムに関しては、特開平4−308563号、特開平5−140210号、特開平5−140209号、特開平5−230189号、特開平6−271532号、特開昭58−37003号、特開平2−178303号、特開平10−338688号、特開平9−328506号、特開平11−228534号、特開平8−27102号、特開平7−333834号、特開平5−222167号、特開平11−21307号、特開平11−35613号、米国特許第6031014号などが挙げられる。
ヨードニウムイオンとしては、ジフェニルヨードニウム、ジ−p−トリルヨードニウム、ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム、(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム、ビス(4−デシルオキシフェニル)ヨードニウム、4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム、4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム、イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウムなどが挙げられ、これらは、Macromolecules,10,1307(1977)、特開平6−184170号、米国特許第4256828号、米国特許第4351708号、特開昭56−135519号、特開昭58−38350号、特開平10−195117号、特開2001−139539号、特開2000−510516号、特開2000−119306号などに記載されている。
セレニウムイオンとしては、トリフェニルセレニウム、トリ−p−トリルセレニウム、トリ−o−トリルセレニウム、トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム、1−ナフチルジフェニルセレニウム、トリス(4−フルオロフェニル)セレニウム、トリ−1−ナフチルセレニウム、トリ−2−ナフチルセレニウム、トリス(4−ヒドロキシフェニル)セレニウム、4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルセレニウム、 4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルセレニウムなどのトリアリールセレニウム;ジフェニルフェナシルセレニウム、ジフェニルベンジルセレニウム、ジフェニルメチルセレニウムなどのジアリールセレニウム;フェニルメチルベンジルセレニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルセレニウム、フェニルメチルフェナシルセレニウム、4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルセレニウム、4−メトキシフェニルメチルフェナシルセレニウムなどのモノアリールセレニウム;ジメチルフェナシルセレニウム、フェナシルテトラヒドロセレノフェニウム、ジメチルベンジルセレニウム、ベンジルテトラヒドロセレノフェニウム、オクタデシルメチルフェナシルセレニウムなどのトリアルキルセレニウムなどが挙げられ、これらは特開昭50−151997号、特開昭50−151976号、特開昭53−22597号などに記載されている。
アンモニウムイオンとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、トリメチル−n−プロピルアンモニウム、トリメチルイソプロピルアンモニウム、トリメチル−n−ブチルアンモニウム、トリメチルイソブチルアンモニウム、トリメチル−t−ブチルアンモニウム、トリメチル−n−ヘキシルアンモニウム、ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム、ジメチルジイソプロピルアンモニウム、ジメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム、メチルトリ−n−プロピルアンモニウム、メチルトリイソプロピルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウム;N,N−ジメチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジエチルピロリジニウムなどのピロリジニウム;N,N'−ジメチルイミダゾリニウム、N,N'−ジエチルイミダゾリニウム、N−エチル−N'−メチルイミダゾリニウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリニウム、1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリニウム、1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウムなどのイミダゾリニウム;N,N'−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム、N,N'−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム、N−エチル−N'−メチルテトラヒドロピリミジニウム、1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウムなどのテトラヒドロピリミジニウム;N,N'−ジメチルモルホリニウム、N−エチル−N−メチルモルホリニウム、N,N−ジエチルモルホリニウムなどのモルホリニウム;N,N−ジメチルピペリジニウム、N−エチル−N'−メチルピペリジニウム、N,N'−ジエチルピペリジニウムなどのピペリジニウム;N−メチルピリジニウム、N−エチルピリジニウム、N−n−プロピルピリジニウム、N−イソプロピルピリジニウム、N−n−ブチルピリジニウム、N−ベンジルピリジニウム、N−フェナシルピリジウムなどのピリジニウム;N,N'−ジメチルイミダゾリウム、N−エチル−N−メチルイミダゾリウム、N,N'−ジエチルイミダゾリウム、1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム、1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリウムなどのイミダゾリウム;N−メチルキノリウム、N−エチルキノリウム、N−n−プロピルキノリウム、N−イソプロピルキノリウム、N−n−ブチルキノリウム、N−ベンジルキノリウム、N−フェナシルキノリウムなどのキノリウム;N−メチルイソキノリウム、N−エチルイソキノリウム、N−n−プロピルイソキノリウム、N−イソプロピルイソキノリウム、N−n−ブチルイソキノリウム、N−ベンジルイソキノリウム、N−フェナシルイソキノリウムなどのイソキノリウム;ベンジルベンゾチアゾニウム、フェナシルベンゾチアゾニウムなどのチアゾニウム;ベンジルアクリジウム、フェナシルアクリジウムなどのアクリジウムが挙げられる。
これらは、米国特許第4069055号、特許第2519480号、特開平5−222112号、特開平5−222111号、特開平5−262813号、特開平5−255256号、特開平7−109303号、特開平10−101718号、特開平2−268173号、特開平9−328507号、特開平5−132461号、特開平9−221652号、特開平7−43854号、特開平7−43901号、特開平5−262813号、特開平4−327574、特開平2−43202号、特開昭60−203628号、特開昭57−209931号、特開平9−221652号などに記載されている。
ホスホニウムイオンとしては、例えば、テトラフェニルホスホニウム、テトラ−p−トリルホスホニウム、テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(3−メトキシフェニル)ホスホニウム、テトラキス(4−メトキシフェニル)ホスホニウムなどのテトラアリールホスホニウム;トリフェニルベンジルホスホニウム、トリフェニルフェナシルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム、トリフェニルブチルホスホニウムなどのトリアリールホスホニウム;トリエチルベンジルホスホニウム、トリブチルベンジルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、テトラヘキシルホスホニウム、トリエチルフェナシルホスホニウム、トリブチルフェナシルホスホニウムなどのテトラアルキルホスホニウムなどが挙げられる。これらは、特開平6−157624号、特開平5−105692号、特開平7−82283号、特開平9−202873号などに記載されている。
オキソニウムイオンとしては、トリメチルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、トリプロピルオキソニウム、トリブチルオキソニウム、トリヘキシルオキソニウム、トリフェニルオキソニウム、ピリリニウム、クロメニリウム、キサンチリウムが挙げられる。
ビスムトニウムイオンとしては、例えば、特開2008−214330に記載されている。
トロピリウムイオンとしては、例えば、J. Polym. Sci. Part A;Polym. Chem.,42,2166(2004)に記載されている。
(電荷輸送性化合物)
本発明において、「電荷輸送性化合物」とは、電荷輸送性ユニットを有する化合物を言う。ここで、本発明において「電荷輸送性ユニット」とは、正孔または電子を輸送する能力を有した原子団であり、以下、その詳細について述べる。
上記電荷輸送性ユニットは、正孔または電子を輸送する能力を有していればよく、特に限定されないが、芳香環を有するアミンやカルバゾール、チオフェンであることが好ましく、例えば、下記一般式(1)〜(58)で表される部分構造を有することが好ましい。
(式中、Eはそれぞれ独立に−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR678または一般式(59)〜(61)(ただし、R〜R11は、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表し、aおよびbおよびcは、1以上の整数を表す。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子一個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子1個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよい。)、または置換基群(A)〜置換基群(N)において表される基のいずれかを表す。Arは、それぞれ独立に炭素数2〜30個のアリーレン基、もしくはヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基とは芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン、ビフェニル−ジイル、ターフェニル−ジイル、ナフタレン−ジイル、アントラセン−ジイル、テトラセン−ジイル、フルオレン−ジイル、フェナントレン−ジイル等が挙げられる。ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団であり置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン−ジイル、ピラジン−ジイル、キノリン−ジイル、イソキノリン−ジイル、アクリジン−ジイル、フェナントロリン−ジイル、フラン−ジイル、ピロール−ジイル、チオフェン−ジイル、オキサゾール−ジイル、オキサジアゾール−ジイル、チアジアゾール−ジイル、トリアゾール−ジイル、ベンゾオキサゾール−ジイル、ベンゾオキサジアゾール−ジイル、ベンゾチアジアゾール−ジイル、ベンゾトリアゾール−ジイル、ベンゾチオフェン−ジイル等が挙げられる。XおよびZはそれぞれ独立に二価の連結基で、特に制限はないが、前記Rのうち水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基や後記連結基群(A)で例示される基が好ましい。xは0〜2の整数を表す。Yは前記三価の連結基であり、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から2つの水素原子を除去した基を表す。)
置換基群(A)
置換基群(B)
置換基群(C)
置換基群(D)
置換基群(E)
置換基群(F)
置換基群(G)
置換基群(H)
置換基群(I)
置換基群(J)
置換基群(K)
置換基群(L)
置換基群(M)
置換基群(N)
連結基群(A)
また、本発明における電荷輸送性化合物は、市販のものでもよく、当業者公知の方法で合成したものであってもよく、特に制限はない。
また、本発明におけるイオン性化合物は、電荷輸送性向上の観点から金属塩またはオニウム塩であることが好ましい。
ここで、本発明において金属塩とは、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、フランシウムイオンのカチオンと対アニオンからなる化合物を言う。アニオンの例としては、F、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオン;OH;ClO ;FSO 、ClSO 、CHSO 、CSO 、CFSO などのスルホン酸イオン類;HSO 、SO 2−などの硫酸イオン類;HCO 、CO 2−などの炭酸イオン類;HPO 、HPO 2−、PO 3−などのリン酸イオン類; PF 、PFOHなどのフルオロリン酸イオン類;BF 、B(C4−、B(CCF4−などのホウ酸イオン類;AlCl ;BiF ;SbF 、SbFOHなどのフルオロアンチモン酸イオン類;AsF 、AsFOHなどのフルオロヒ素酸イオン類などが挙げられる。
オニウム塩とは、例えば、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン、セレニウムイオン、アンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、オキソニウムイオン、ビスムトニウムイオン等のカチオンと対アニオンからなる化合物を言う。アニオンの例としては、F-、Cl-、Br-、I-などのハロゲンイオン;OH-;ClO4 -;FSO3 -、ClSO3 -、CH3SO3 -、C65SO3 -、CF3SO3 -などのスルホン酸イオン類;HSO4 -、SO4 2-などの硫酸イオン類;HCO3 -、CO3 2-などの炭酸イオン類;H2PO4 -、HPO4 2-、PO4 3-などのリン酸イオン類; PF6 -、PF5OH-などのフルオロリン酸イオン類;BF4 -、B(C654 -、B(C64CF34 -などのホウ酸イオン類;AlCl4 -;BiF6 -;SbF6 -、SbF5OH-などのフルオロアンチモン酸イオン類;AsF6 -、AsF5OH-などのフルオロヒ素酸イオン類などが挙げられる。
前記カチオンの例は、既述の式(8b)〜(10b)の例示と同様である。
また、本発明において電荷輸送性化合物は、高効率な電荷輸送性のため芳香族アミン、カルバゾールあるいはチオフェン化合物を少なくとも一つ含むことが好ましい。
また、本発明において、これらの電荷輸送性化合物は溶解度、成膜性の観点からポリマー又はオリゴマーであること、または、ポリマー又はオリゴマーを含むことが好ましい。
また、前記電荷輸送性化合物がポリマー又はオリゴマーである場合、溶剤への溶解性、成膜性の観点から数平均分子量が、1,000以上1,000,000以下であることが好ましい。より好ましくは2,000以上900,000以下、さらに好ましくは3,000以上800,000以下である。1,000より小さいと化合物が結晶化しやすくなり、成膜性に劣ってしまう。また、1,000,000より大きいと溶剤への溶解度が低下し、塗布溶液や塗布インクを作製するのが困難になる。
また、前記ポリマー又はオリゴマーは下記一般式(1a)〜(84a)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
また一つ以上の「重合可能な置換基」を有する上記ポリマー又はオリゴマーを用いることが好ましい。ここで、上記「重合可能な置換基」とは、重合反応を起こすことにより2分子以上の分子間で結合を形成可能な置換基のことであり、以下、その詳細について述べる。
上記重合可能な置換基としては、炭素−炭素多重結合を有する基(例えば、ビニル基、アセチレン基、ブテニル基、アクリル基、アクリレート基、アクリルアミド基、メタクリル基、メタクリレート基、メタクリルアミド基、アレーン基、アリル基、ビニルエーテル基、ビニルアミノ基、フリル基、ピロール基、チオフェン基、シロール基等を挙げることができる)、小員環を有する基(たとえばシクロプロピル基、シクロブチル基、エポキシ基、オキセタン基、ジケテン基、エピスルフィド基等)、ラクトン基、ラクタム基、またはシロキサン誘導体を含有する基等が挙げられる。また、上記基の他に、エステル結合やアミド結合を形成可能な基の組み合わせなども利用できる。例えば、エステル基とアミノ基、エステル基とヒドロキシル基などの組み合わせである。重合可能な置換基としては、特に、オキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基が反応性の観点から好ましく、オキセタン基が最も好ましい。重合性置換基の自由度を上げ、硬化反応を生じさせやすくする観点からは、ポリマー又はオリゴマーの主鎖と重合性置換基が、炭素数1〜8のアルキル鎖で連結されていることがより好ましい。また、ITOなどの親水性電極との親和性を上げる観点からは、前記アルキル鎖がエチレングリコールやジエチレングリコールなどの親水性基であるとより好ましい。また、対応するモノマーの調製が容易になる観点からは、前記アルキル鎖の末端部、すなわち重合性置換基との連結部、ポリマー又はオリゴマー主鎖との連結部において、エーテル結合を有していてもよく、具体的には前記置換基群(A)〜(C)で表される。
また、本発明におけるポリマー又はオリゴマーは、溶解度や耐熱性、電気的特性の調整のため、上記繰り返し単位の他に、上記アリーレン基、ヘテロアリーレン基として下記構造式群(X)で表される構造を共重合繰り返し単位として有する共重合体であってもよい。この場合、共重合体では、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。また、本発明で用いるポリマー又はオリゴマーは、主鎖中に枝分かれを有し、末端が3つ以上あってもよい。
構造式群(X)
<重合開始剤、熱重合開始剤>
また、本発明に係るイオン性化合物は単独で重合開始剤として用いることができる。つまり、本発明の重合開始剤は、既述の本発明に係る一般式(1c)〜(4c)で表されるイオン性化合物のうち、少なくとも下記一般式(4c)で表されるイオン性化合物を含むことを特徴としている。
重合を開始させる契機としては、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線等の印加によって、重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に限定されないが、光照射および/または加熱によって重合を開始させるものであることが好ましく、加熱によることが最も好ましい。すなわち、本発明に係るイオン性化合物は、熱重合開始剤として使用することができ、本発明の熱重合開始剤は、既述の本発明に係る一般式(1c)〜(4c)で表されるイオン性化合物の少なくとも1種を含むことを特徴としている。
<有機薄膜の製造方法>
また、本発明に係るイオン性化合物は、重合反応により有機薄膜に耐溶剤性を付与する重合開始剤として用いることもできる。
この重合開始剤の作用を有機薄膜の製造方法に適用したのが本発明の有機薄膜の製造方法である。すなわち、本発明の有機薄膜の製造方法は、上述の本発明の重合開始剤を用いて有機薄膜に耐溶剤性を付与する工程を含むことを特徴としている。
本発明の有機薄膜の製造方法において、本発明の重合開始剤を用いて有機薄膜に耐溶剤性を付与するに際し、重合開始剤を用いる条件は、電荷輸送性化合物に対し、0.01〜50質量%の重合開始剤を用いて薄膜を形成したのち、真空中、大気下あるいは窒素雰囲気下で加熱すればよい。加熱温度・時間は、重合反応を十分に進行させられればよく、特に制限はないが、温度については、種々の基板を適用できることから、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。時間は、生産性を上げる観点から、好ましくは2時間以下、より好ましくは1時間以下、さらに好ましくは30分以下である。
また、本発明の有機エレクトロニクス材料は、重合反応による溶解度の差を利用するために、重合開始剤を含むことが好ましい。
この重合開始剤としては、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線等の印加によって、重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に限定されないが、光照射および/または加熱によって重合を開始させるものであることが好ましい。
本発明における電荷輸送膜中の重合開始剤の割合は、重合が十分に進行する量であればよく、特に限定されないが、0.1質量%〜50質量%であることが好ましい。これより少ない場合、重合が効率よく進行せず溶解度を十分に変化させることができない。また、これより多い場合には、多量の重合開始剤および/または分解物が残存することで、洗浄による効果が低くなってしまう。
また、本発明の重合開始剤は、上記重合開始剤の他、感光性および/または感熱性を向上させるための増感剤を含んでいてもよい。
また、電荷輸送性向上機能と重合開始機能を持たせられる観点から、本発明における重合開始剤は上記イオン性化合物であることが好ましい。
<インク組成物>
本発明のインク組成物は、既述の本発明の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むことを特徴としており、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。前記溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン、シクロヘキサン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族溶媒、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテルを使用することができる。
本発明のインク組成物において、溶媒に対する有機エレクトロニクス材料の含有量は、種々の塗布プロセスに適用できる観点から0.1〜30質量%とすることが好ましい。
<有機薄膜>
さらに、本発明の有機エレクトロニクス素子は、上記有機エレクトロニクス材料および/または上記インク組成物から形成された有機薄膜を含む。
同様に、本発明の有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)は、上記有機エレクトロニクス材料および/または上記インク組成物から形成された有機薄膜を含む。
いずれの素子も、有機薄膜として、本発明の有機エレクトロニクス材料を用いて形成された優れた有機薄膜を含み、従来よりも駆動電圧が低く、長い発光寿命を有する。
以下に、本発明のEL素子について詳述する。
<有機EL素子>
本発明の有機エレクトロニクス素子は、電荷輸送性化合物とイオン性化合物からなる電荷輸送材料を含む有機エレクトロニクス材料からなる有機薄膜を含むことをその特徴とするものである。本発明の有機EL素子は、発光層、重合層、陽極、陰極、基板を備えていれば特に限定されず、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの他の層を有していてもよい。また、正孔注入層又は正孔輸送層に、本発明の有機薄膜を適用することが好ましい。
以下、各層について詳細に説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
一方、近年有機EL素子の高効率化のため、燐光有機EL素子の開発も活発に行われている。燐光有機EL素子では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用することが可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。燐光有機EL素子では、燐光を発するドーパントとして、白金やイリジウムなどの重金属を含む金属錯体系燐光材料を、ホスト材料にドーピングすることで燐光発光を取り出す(M.A.Baldo et al.,Nature,vol.395,p.151(1998)、M.A.Baldo et al.,Apllied Physics Letters,vol.75,p.4(1999)、M.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000)参照。)。
本発明の有機EL素子においても、高効率化の観点から、発光層に燐光材料を用いることが好ましい。燐光材料としては、IrやPtなどの中心金属を含む金属錯体などが好適に使用できる。具体的には、Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)〔イリジウム(III)ビス[(4,6-ジフルオロフェニル)-ピリジネート-N,C2]ピコリネート〕、緑色発光を行うIr(ppy)〔ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム〕(前記M.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000)参照)又はAdachi etal.,Appl.Phys.Lett.,78no.11,2001,1622に示される赤色発光を行う(btp)Ir(acac){bis〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C3〕イリジウム(アセチル−アセトネート)}、Ir(piq)〔トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム〕等が挙げられる。
Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行う2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ(PtOEP)等が挙げられる。
燐光材料は、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
また、発光層に燐光材料が含まれる場合、燐光材料の他に、ホスト材料を含むことが好ましい。
ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4'-Bis(Carbazol-9-yl)-biphenyl)、mCP(1,3-bis(9-carbazolyl)benzene)、CDBP(4,4'-Bis(Carbazol-9-yl)-2,2’-dimethylbiphenyl)などが、高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレンなどが使用でき、これらの誘導体も使用できる。
発光層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
[陽極]
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole) (PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
[基板]
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはなく、また、透明のものであれば特に制限は無いが、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルム(フレキシブル基板)を用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり、特に好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
また、樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気や酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素や窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色発光素子を形成する方法としては、現在のところ単一の材料で白色発光を示すことが困難であることから、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させることで白色発光を得ている。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色、赤色の3つの発光極大波長を含有するもの、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有するものが挙げられる。また発光色の制御は、燐光材料の種類と量を調整することによって行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の表示素子は、既述の本発明の有機EL素子を備えたことを特徴としている。
例えば、赤・緑・青(RGB)の各画素に対応する素子として、本発明の有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に用いる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として用いられる。
また、本発明の照明装置は、既述の本発明の有機EL素子を備えたことを特徴としている。さらに、本発明の表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えたことを特徴としている。バックライト(白色発光光源)として上述の本発明の照明装置を用い、表示手段として液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置としてもよい。この構成は、公知の液晶表示装置において、バックライトのみを本発明の照明装置に置き換えた構成であり、液晶素子部分は公知技術を転用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<重合可能な置換基を有するモノマーの合成>
(モノマー合成例1)
丸底フラスコに、p-ブロモベンジルアルコール(16.4g, 0.088mol)、3-(6-ブロモヘキシルオキシメチル)-3-エチルオキセタン(22.2g, 0.080mol)をn-ヘキサン320mLに溶解し、ここへテトラブチルアンモニウム-ブロミド(1.29g, 4.0mmol)と45%水酸化ナトリウム水溶液80gを加えて9時間加熱還流を行った。反応終了後、水200mLを加えて有機層を分離し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去し、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(充填剤:ワコーゲル(登録商標)C-300HG, 移動層:n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1)により精製し、無色油状の重合可能な置換基を有するモノマーAを得た(18.4g, 収率60.2質量%)。1H NMRを測定したところ以下の結果が得られた。
1H NMR(300MHz, CDCl3, dppm) ; 0.88(t, 3H), 1.37(m, 4H), 1.59(m, 4H), 1.74(q, 2H)
また、以上の反応の反応式を以下に示す。
<電荷輸送性化合物の合成>
(オリゴマー合成例1)
〈重合可能な置換基を有する電荷輸送性オリゴマーの合成〉
ジムロート冷却管及び3方コックを取り付けた3つ口フラスコに、4,−n−ブチルトリフェニルアミン−4,4’−ジブロニックアシッドビス(ピナコール)エステル(18.2mmol)、4,4’−ジブロモ−4’−n−ブチルトリフェニルアミン(14.5mmol)、重合可能な置換基を有する上記モノマーA(7.3mmol)、Tris(dibenzylideneacetone)- dipalladium(0)(0.125mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.200mmol)、10%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(100mL)、アニソール(60mL)を入れ、窒素雰囲気下、90℃、2時間加熱撹拌した。
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過し、トルエンに溶解し、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(strem chemicals社 、ポリマー100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymerと不溶物をろ過して取り除き、メタノールに滴下し沈殿物を得た。前記の再沈殿を4回繰り返し行って精製することで、重合可能な置換基を有する電荷輸送性オリゴマーAを得た。得られたオリゴマーAの数平均分子量はポリスチレン換算で8300であった。
以上の反応の反応式を以下に示す。
(オリゴマー合成例2)
重合可能な置換基を有するモノマーAを4−オクチルブロモベンゼンに変更した以外はオリゴマー合成例1と同様にしてオリゴマーBを合成した。得られたオリゴマーBの重量平均分子量はポリスチレン換算で2700であった。
(オリゴマー合成例3)
オリゴマー合成例1と同様にして4,−n−ブチルトリフェニルアミン−4,4’−ジブロニックアシッドビス(ピナコール)エステル(5mmol)、トリス(4−ブロモフェニル)アミン(2mmol)、重合可能な置換基を有する上記モノマーA(4mmol)、Tris(dibenzylideneacetone)- dipalladium(0)(0.125mmol)、トリ-t-ブチルホスフィン(0.200mmol)、10%テトラエチルアンモニウムヒドロキシド溶液(100mL)、アニソール(60mL)を入れ、窒素雰囲気下、90℃、2時間加熱撹拌した。反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過し、トルエンに溶解し、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(strem chemicals社 、ポリマー100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymerと不溶物をろ過して取り除き、メタノールに滴下し沈殿物を得た。前記の再沈殿を4回繰り返し行って精製することで、重合可能な置換基を有する電荷輸送性オリゴマーCを得た。得られたオリゴマーCの数平均分子量はポリスチレン換算で24000であった。
<電解液の調製>
(電解液1)
ベンゾニトリル50mLにビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(アルドリッチ製)20gを溶解し、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム飽和溶液を調製した。前記飽和溶液20mLに、合成例1で得たオリゴマーAを100mg溶解し、電解液1を得た。
(電解液2)
ベンゾニトリルをクロロベンゼン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをWPI-169(和光純薬製)に変更した以外は電解液1と同様にして電解液2を得た。
(電解液3)
ビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをセシウムテトラフルオロメチド(三菱マテリアル電子化成製)に変更した以外は電解液1と同様にして電解液3を得た。
(電解液4)
オリゴマーAをオリゴマーBに変更した以外は電解液3と同様にして電解液4を得た。
<定電位酸化>
[実施例1]
30mLのガラス容器に2cm角のPt電極、バブラー(パスツールピベット)、マグネット撹拌子を設置した電解槽に、電解液1を20mLを加え30分間窒素バブリングした。
その後、ポテンシオ/ガルバノスタット(solartron製 1280Z)を用いて、サイクリックボルタモグラム測定を走印速度100mV/sec、走印範囲0-2Vの条件で行ったところ、1.8Vに酸化ピークが得られた。電解液1を窒素バブリングしながら電圧を1.8Vに印加し、4時間定電流酸化した。定電位酸化後、電解液の色は黄色から黒褐色に変化した。
定電位酸化後の電解液1をロータリーエバポレーターにて濃縮し、100mLのトルエンで抽出した。抽出したトルエンに50mLの水を加え、分液洗浄した。分液洗浄を4回繰り返した後、ロータリーエバポレーターで有機層を乾固させ。電荷輸送材料1を得た。
[実施例2]
電解液1を電解液2に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送材料2を得た。
[実施例3]
電解液1を電解液3に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送材料3を得た。
[実施例4]
電解液1を電解液4に変更した以外は実施例1と同様にして電荷輸送材料4を得た。
<インク組成物の調製>
[実施例5]
実施例1で得た電荷輸送材料1(4.5mg)をトルエン(465μL)に溶解し、本発明の有機エレクトロニクス材料を含むインク組成物を調製した。
[比較例1]
合成例1で得たオリゴマーA(4.5mg)をトルエン(400μL)に溶解しビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウム(0.5mg)を加え、インク組成物を調製した。しかしながら、溶け残りが発生して均一な溶液を得ることができず、塗布インクとして適するものではなかった。
実施例5および比較例1の比較により、本発明の有機エレクトロニクス材料は溶剤への溶解度が高く均一な溶液およびインク組成物を調製可能であることがわかる。
<耐溶剤性を有する有機薄膜の作製>
[実施例6]
実施例5で得たインク組成物を用いて、石英ガラス板上に3000min−1でスピンコートし、ホットプレート上で180℃ 10分間加熱して硬化させ、有機薄膜(膜厚:60nm)を形成した。この有機薄膜を石英ガラス板ごとトルエン中でリンスし、リンス前後の薄膜の吸光度の比より薄膜の残存率(残膜率)を求めたところ、残膜率は88%であった。
[比較例2]
比較例1におけるビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをジフェニルヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート(Aldrich製)に変えた以外は同様にして薄膜を作製し、残膜率を求めたところ、10%であった。
[比較例3]
比較例1におけるビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをトリフェニルスルホニウム テトラフルオロボラート(東京化成工業製)に変えた以外は同様にして薄膜を作製し、残膜率を求めたところ、8%であった。
[比較例4]
比較例1におけるビストリフルオロメタンスルホニルイミドリチウムをトロピリウム ヘキサフルオロホスファート(東京化成工業製)に変えた以外は同様にして薄膜を作製し、残膜率を求めたところ、13%であった。
[比較例5]
合成例1で得たオリゴマーA(4.5mg)をトルエン(400μL)に溶解し、イオン性化合物(BBI-103:みどり化学社製、0.5mg)を添加した。この溶液を定電位酸化せず、実施例1と同様にして精製し、電荷輸送材料を得た。この電荷輸送材料4.5mgをトルエン400μLに溶解し、インク組成物を調製した。石英ガラス板上に上記インク組成物を滴下し、3000min−1でスピンコートし、ホットプレート上で180℃ 10分間加熱して硬化させ、有機薄膜(膜厚:60nm)を形成した。この有機薄膜を石英ガラス板ごとトルエン中でリンスし、リンス前後の薄膜の吸光度の比より薄膜の残存率(残膜率)を求めたところ、残膜率は80%であった。
実施例6および比較例2〜4の比較により、本発明の有機エレクトロニクス材料は硬化により耐溶剤性を発現できる。また、本発明のイオン性化合物は低温で硬化可能な重合開始剤として機能していることがわかる。また、これにより、有機薄膜の積層構造を作製可能であることがわかる。
<ホールオンリー素子の作製>
[実施例7]
ITOを1.6mm幅にパターニングしたガラス基板上に、実施例5で得たインク組成物を2000min−1でスピン塗布し、ホットプレート上で180℃、10分間加熱した。次に得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、金(膜厚30nm)を蒸着した。
金を蒸着後、大気開放することなく、乾燥窒素環境中に基板を移動し、0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスとITO基板を、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、ホールオンリー素子を作製した。
[比較例6]
比較例5で得たインク組成物を用いて、実施例7と同様にしてホールオンリー素子を作製した。以後の実験は大気中、室温(25℃)で行った。
これらホールオンリー素子のITOを正極、Auを陰極として電圧を印加した時の印加電圧−電流密度のグラフを図2に示す。図2より、実施例7の素子は、比較例6の素子と比較して正孔電流が著しく流れやすくなっていることがわかる。
1 発光層
2 陽極
3 正孔注入層
4 陰極
5 電子注入層
6 正孔輸送層
7 電子輸送層
8 基板

Claims (26)

  1. 下記一般式(1c)〜(4c)で表される化合物のいずれか1種を含むイオン性化合物と、電荷輸送性化合物と、を含む電解液を調製する工程と、
    前記電解液に電圧を印加して前記イオン性化合物と、前記電荷輸送性化合物とを反応させる工程と、
    を含むことを特徴とする有機エレクトロニクス材料の製造方法。
    (式中、Y〜Yはそれぞれ独立に二価の連結基、R〜R10はそれぞれ独立に、電子求引性の有機置換基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよく、また、R及びR、R4〜R6、又はR〜R10はそれぞれが結合して環状あるいはポリマー状になってもよい。)を表す。Lは一価のカチオンを表す。)
  2. 前記イオン性化合物がハロゲン原子を有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  3. 前記イオン性化合物が、炭素数1〜20のヘテロ原子を含んでもよい直鎖状、分岐状もしくは環状の、パーフルオロアルキル基、パーフルオロアルキルスルホニル基、パーフルオロアルキルオキシスルホニル基、パーフルオロアリールスルホニル基、パーフルオロアリールオキシスルホニル基、パーフルオロアシル基、パーフルオロアルコキシカルボニル基、パーフルオロアシルオキシ基、パーフルオロアリールオキシカルボニル基、パーフルオロアルケニル基、及びパーフルオロアルキニル基からなる群より選択される1種を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  4. 前記Y〜Yが下記一般式(4b)〜(14b)のいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
    (式中、Rは任意の有機基(これらの構造中にさらに置換基、ヘテロ原子をもっていてもよい)を表す。)
  5. 前記一般式(1c)〜(4c)におけるLが長周期型周期表の第1属又は第2属に属する元素、又は下記一般式(15b)〜(17b)で表されるカチオンのうちのいずれか1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
    (式中、R11〜R34は、各々独立に、任意の有機基を表す。R11〜R34のうち隣接する2以上の基が、互いに連結して環を形成していてもよい。Aは長周期型周期表の第17族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第16族または第14族に属する元素を表し、Aは長周期型周期表の第15族に属する元素を表す。)
  6. 前記一般式(15b)〜(17b)におけるR11〜R34が、各々独立に、置換されていてもよい、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基または芳香族複素環基であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  7. 前記一般式(15b)におけるAが臭素原子、ヨウ素原子または炭素原子であり、前記一般式(16b)におけるAが酸素原子、炭素原子、硫黄原子またはセレン原子であり、前記一般式(17b)におけるAが窒素原子、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子であることを特徴とする請求項5又は6に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  8. 前記電荷輸送性化合物が、芳香族アミン、カルバゾールまたはチオフェン化合物を少なくとも1つ含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  9. 前記芳香族アミン、カルバゾールまたはチオフェン化合物が、ポリマーまたはオリゴマーであることを特徴とする請求項8に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  10. 前記ポリマーまたはオリゴマーの数平均分子量が、1,000以上100,000以下であることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  11. 前記ポリマーまたはオリゴマーが一つ以上の重合可能な置換基を有することを特徴とする請求項9又は10に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  12. 前記重合可能な置換基がオキセタン基、エポキシ基、ビニル基、ビニルエーテル基、アクリレート基、メタクリレート基のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  13. 前記一般式(1c)〜(4c)におけるL が長周期型周期表の第1属又は第2属に属する元素であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  14. 前記イオン性化合物が前記一般式(2c)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項13に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法によって有機エレクトロニクス材料を製造することを含む、有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むインク組成物の製造方法
  16. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料の製造方法で製造された有機エレクトロニクス材料を用いて有機薄膜を形成することを含む、有機薄膜の製造方法
  17. 請求項15に記載のインク組成物の製造方法で製造されたインク組成物を用いて有機薄膜を形成することを含む、有機薄膜の製造方法
  18. 請求項16又は17に記載の有機薄膜の製造方法で有機薄膜を製造することを含む有機エレクトロニクス素子の製造方法
  19. 請求項16又は17に記載の有機薄膜の製造方法で有機薄膜を製造することを含む有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法
  20. 前記有機薄膜が正孔注入層であることを特徴とする請求項19に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法
  21. 前記有機薄膜が正孔輸送層であることを特徴とする請求項19に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法
  22. 基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法
  23. 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法
  24. 請求項19〜21のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法で有機エレクトロルミネセンス素子を製造することを含む、有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子の製造方法
  25. 請求項19〜23のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子の製造方法で有機エレクトロルミネセンス素子を製造することを含む、有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置の製造方法
  26. 請求項25に記載の照明装置の製造方法で照明装置を製造することを含む、照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示装置の製造方法
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