JP5981165B2 - 銅箔、二次電池の負極電極、二次電池、並びにプリント回路基板 - Google Patents

銅箔、二次電池の負極電極、二次電池、並びにプリント回路基板 Download PDF

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Description

本発明は、プリント回路やリチウムイオン二次電池などの非水電解液二次電池等に特に好ましく用いられる銅箔に関するものである。
正極と、両面が平滑な銅箔からなる負極集電体の表面に負極活物質層としてカーボン粒子を塗布、乾燥し、さらにプレスした負極と、非水電解質を備える非水電解液二次電池、特にリチウムイオン二次電池は現在、携帯電話、ノートタイプパソコン等に使用されている。この非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)の負極集電体には、電解析出法により製造された、いわゆる「未処理電解銅箔」に防錆処理を施したものが使用されている。
前記リチウムイオン二次電池用負極集電体としての銅箔に、特許文献1に示すように、光沢面と粗面(銅箔の両面)の間における表面粗さの差を小さくした銅箔を用いることにより、電池の充放電効率の低下を抑えている。
上記のような光沢面と粗面との表面粗さの差を小さくした電解銅箔は、硫酸銅−硫酸電解液に各種水溶性高分子物質、各種界面活性剤、各種有機イオウ系化合物、塩化物イオンなどを適宜選定して添加することによって製造されている。
例えば、特許文献1には、硫酸銅−硫酸電解液にメルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加したものにより製造した電解銅箔を用いた負極集電体が開示されている。
上記製造方法で製造した電解銅箔は、その銅箔の表面にカーボン粒子が塗布、乾燥された後、さらにプレスされて負極となる。
この電解銅箔は前記カーボン粒子を活物質とした負極用銅箔として使用する場合には適度な引張強さと伸びとを併せもち好適な材料である。
ところで、非水電解液二次電池の代表であるリチウムイオン二次電池の高容量化を目的として、充電の際に電気化学的にリチウムと合金化するスズやシリコンなどの金属系負極を負極活物質として用いるリチウムイオン二次電池が特許文献2に開示されている。
高容量化を目的としたリチウムイオン二次電池用負極電極は、蒸着法やスパッタリング法、CVD法等により、銅箔などの集電体の上に、例えばシリコンを非晶質シリコン薄膜や微結晶シリコン薄膜として堆積し形成している。このような方法で作成した活物質の薄膜層は集電体に密着するため、良好な充放電サイクル特性を示すことが見出されている(特許文献3参照)。
また、粉末シリコンあるいはシリコン化合物をイミド系のバインダーと有機溶媒によりスラリー状にして銅箔上に塗布、乾燥し、プレスする方法も特許文献4に開示されている。
しかし、このようなリチウムイオン二次電池用電極においては、例えばシリコン活物質は充電時にリチウムイオンを電気化学的に合金化して体積が2〜4倍程度に膨張し、さらにリチウムイオンを放出する放電時には収縮する。
こうした充放電に伴う活物質層の体積膨張及び収縮により、活物質が微粉化して集電体から剥離する現象が見られる。
また該活物質層が集電体と密着しているため、充放電の繰り返しにより活物質層の体積が膨張及び収縮すると、電極の塗膜と集電体の間に大きな応力が働き、塗膜と集電体界面に剥離が生じたり、塗膜の一部が脱離したりする。また、集電体にしわが発生する場合もあり、多数回充放電を繰り返すと、最悪の場合には集電体である箔が破断する問題もある。
集電体にしわなどの変形が生じると、正極と負極が短絡しやすくなる。また、集電体の破断が起こると長時間安定した電池性能を維持することができなくなる。
従来こうした課題に対して、引張強さが高く、破断伸びが大きい銅箔を使うことが提案されている。即ち、引張り強さが400N/mm以上または破断伸びが7%以上ある電解金属箔を集電体として用いたリチウムイオン二次電池が特許文献5に開示されている。
前記特許文献5では活物質にカーボンを使用している例が記載されている。カーボン活物質の場合は、充電時に10%程度の体積膨張が生じるが、シリコン活物質等に比較すると小さい。従って特許文献5に記載されている性能の銅箔はシリコン活物質等に使用した場合充分とは言えない。
特許第3742144号公報 特開平10−255768号公報 特開2002−083594号公報 特開2007−227328号公報 特開2001−189154号公報
リチウムイオン二次電池用電極として上述したようにグラファイトなどのカーボン、スズやシリコンを主成分とする活物質層を集電体上に形成した負極電極を用いた場合、充放電反応に伴い活物質層の体積が膨張・収縮し、集電体に大きな応力が働き、集電体にしわなどの変形を生じさせる場合がある。さらに多数回充放電を繰り返すと集電体としての箔が破断するという課題があった。
集電体にしわなどの変形が生じると、活物質が脱離し、充放電可能な容量が小さくなって、電池の寿命が低下するという課題が生じる。また、集電体が破断すると導電パスが切れて、充電・放電の基本電池性能や電極特性が急激に低下することになる。
本発明は、例えばスズやシリコンを主成分とする活物質層を集電体である銅箔上に形成した負極電極を用いたリチウムイオン二次電池において、充放電サイクル効率に優れ、さらに集電体にしわが発生せず、また集電体の破断も起こらない長時間安定した性能を維持できるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とし、該二次電池用の電極、ならびに該電極の集電体を構成する電解銅箔を提供することを目的とする。また、プリント回路用、特にはフレキシブルプリント回路やファインパターン回路用途に優れる電解銅箔を提供することも目的とする。
本発明は、銅箔に含まれるカーボン、及び塩素、酸素、硫黄、窒素の量により、銅箔の常温における引張り強度、0.2%耐力、200〜400℃で30分〜1.5時間加熱後の引張り強度、0.2%耐力が左右されることを見出し、本発明に至った。
本発明は、95〜99.999質量%の銅純度を有する銅箔である。本発明の銅箔は、周囲のCu濃度に比較してCu成分の検出割合が小さい析出相(ドメイン)を有し、該析出相の最大幅が1〜500nmである銅箔である。なお、析出相のより好ましい大きさは最大幅が1〜150nmである銅箔である。
また、好ましくは、前記析出相またはドメインが1μm 2 あたり20〜5000個存在する
前記周囲のCu濃度に比較してCu成分の検出割合が小さい析出相は、カーボン(C)を主に含むか、カーボンとさらに硫黄(S)、または/及び塩素(Cl)、または/及び窒素(N)を含んでいる。
また、前記銅箔の厚み方向断面観察結晶粒径が3500nm未満、好ましくは2500nm以下であり、より好ましくは2000nm以下が90%以上含有されている銅箔である。
前記銅箔は、200〜400℃で0.5〜1.5時間加熱処理後の0.2%耐力が250N/mmより大きいことが好ましい。
前記銅箔は電解銅箔、または電解銅箔を更に圧延した圧延電解銅箔であることが好ましい。
本発明の負極電極は、前記銅箔を集電体とする負極電極であって、前記銅箔の少なくとも一方の表面を防錆処理し、該防錆処理がなされた面に活物質層が形成されている。
また、本発明の負極電極は、前記銅箔を集電体とする負極電極であって、前記銅箔の少なくとも一方の表面を粗化処理し、該粗化処理表面を防錆処理し、該防錆処理がなされた面に活物質層が形成されている。
前記負極を構成する活物質層は、カーボン、シリコン、スズ、アルミニウム、マグネシウム、またはカルシウムのいずれかを主成分とする活物質で形成することが好ましい。
本発明の二次電池は前記負極電極を組み込んだ電池である。
本発明のプリント、またはフレキシブルプリント回路基板は前記本発明の銅箔を絶縁基板と積層してなるものである。
本発明の銅箔を集電体とし、該集電体上に例えばスズやシリコンを主成分とする活物質層を形成して負極電極とし、該負極電極で二次電池を構成することで、充放電サイクル効率に優れ、さらに長時間に亘り集電体にしわが発生せず、また集電体の破断も起こらない長時間安定した性能を維持できる二次電池を提供することができる。
また、本発明の銅箔はプリント回路用、特にはフレキシブルプリント回路やファインパターン回路用途に優れる電解銅箔である。
銅箔の深さ方向断面を撮影したSIM断面観察像である。 結晶粒界の大きさを定義する模式図である。 銅箔中に存在する析出相(ドメイン)のTEM像である。 TEM像とEDX元素(分布)分析を示すチャートである。 STEM像とEELS元素分析を示す写真である。
本発明は、全体平均として95〜99.999質量%の銅純度を有する銅箔であって、周囲(母相)のCu濃度に比較してCu成分の検出割合が小さい、最大幅が1〜500nm、好ましくは最大幅が1〜150nmの析出相(ドメイン)を有することを特徴とする銅箔である。好ましくは、前記析出相またはドメインが1μm 2 あたり20〜5000個存在する。
なお、析出相はTEM(透過型電子顕微鏡)像またはSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像観察によって検出できる。
また、前記Cu濃度が周囲に比べて低い析出相が、Cを主に含むか、CとさらにSまたは/及びClまたは/及びNを含む析出相である。
前記銅箔は、200〜400℃で30分〜1.5時間加熱処理後の0.2%耐力が250N/mmより大きい機械特性を有し、従って係る銅箔を集電体として用いた場合、リチウムの吸蔵・放出に伴う活物質層の膨張・収縮による応力を受けても、集電体にしわ等の変形、破断等が生じない。
本発明の銅箔は、特に膨張・収縮の大きい活物質を堆積する二次電池(例えば非水系二次電池)の電極用集電体とし優れた効果を発揮する。
従来のカーボン系の負極構成活物質層を形成する場合は、負極活物質であるカーボン、バインダーであるポリフッ化ビニリデン樹脂、溶媒であるN−メチルピロリドンからなるペーストを作り銅箔の両面に塗布、乾燥を行う。
この場合は、集電体に堆積した活物質を150℃前後の温度で乾燥する。この150℃前後の温度では電解銅箔の引張強さ、0.2%耐力、伸びはほとんど変化しない。例えば前述した特許文献1に記載されている、硫酸銅−硫酸電解液にメルカプト基を持つ化合物、塩化物イオン、並びに分子量10000以下の低分子量膠及び高分子多糖類を添加した電解液を使って製造した厚さ10μmの電解銅箔は、室温での引張強さは300〜350N/mm2であり、150℃前後の温度で乾燥を行ってもその性能はほとんど変化しない。
さらに前記のようにカーボン活物質の場合は充放電時にその体積膨張がせいぜい10%程度であるため、充放電サイクル効率が著しく小さくなったり、充放電による集電体の変形が起こったり破断したりするというようなことはない。
これに対して活物質としてシリコン(ケイ素)系を使う場合は、充放電時の活物質の膨張、収縮を防ぐためにバインダーにポリイミド系の樹脂を使う場合がある。この場合乾燥、キュア温度はカーボン系の活物質を使う場合より高く、200℃〜400℃程度の温度で0.5〜1.5時間乾燥、キュアを行う。
こうした高温で加熱を行うと、前記特許文献1及び特許文献2に開示されている電解銅箔では箔が焼鈍され軟化して、充放電サイクル効率が著しく小さくなり、充放電時の活物質の膨張収縮により箔に変形、破断が発生しやすくなる。
箔が変形する場合、箔には降伏点以上の応力がかかったと考えることができる。降伏点とは弾性から塑性に変わるところの応力である。箔に弾性領域の応力がかかっても変形が起こることはない。しかし、塑性領域の応力がかかった場合は変形する。
従って、乾燥、キュアにより箔が加熱された後であっても、降伏点が大きい箔の場合は、充放電によりケイ素系活物質が膨張収縮し、集電体である箔に応力がかかった場合でも、変形の発生を抑えることができる。
従って、特許文献5に記載されているように、室温において引張り強さが400N/mm以上または破断伸びが7%以上あり、かつ、引張強さと破断伸びとの積が2800N/mm・%以上の電解金属箔を用いてリチウムイオン二次電池を構成することが、充放電による箔変形を起こさないことに効果があるのではなく、乾燥、キュアによる加熱後でも降伏点が大きい箔こそ箔変形を起こさない箔であると言える。
ここで、降伏点は引張試験により測定を行うが、電解銅箔の場合はこの点がはっきりしない。こうした場合、通常0.2%ひずみが発生したときの値をとり降伏点に代用する。これを0.2%耐力と定義する。
電解銅箔の場合、室温において大きな0.2%耐力をもつことが、加熱後でも大きな降伏点をもつことと必ずしも一致するわけではない。例えば後述する比較例6に示した箔は、室温では高い引張強さ(639N/mm)と0.2%耐力(438N/mm)を持つが、加熱後には焼鈍され軟化して引張り強さ(285N/mm)、0.2%耐力(206N/mm)と機械的特性に劣る箔になってしまう。
特許文献5に記載されている室温における引張強さが400N/mm2以上ある材料でも、加熱により焼鈍され0.2%耐力が小さくなる材料では意味がない。
加熱した後の0.2%耐力がある一定の値以上を示すことが重要である。また伸びが小さい場合には充放電サイクルを多数回繰り返すうちに集電体(箔)に破断が発生する。
集電体(銅箔)に破断を発生させないためには加熱後の0.2%耐力が250N/mm2より大きく、伸びが2.5%以上必要である。
本発明において、引張強さ、0.2%耐力、伸びは、日本工業規格(JIS K 6251)に定められた方法により、測定した値である。
また、表面粗さRz、Raは、日本工業規格(JIS B 0601−1994)に定められた十点平均粗さであり、例えば触針式表面粗さ計により測定した値である。
本発明の電解銅箔は、例えば硫酸−硫酸銅水溶液を電解液とし、白金属元素又はその酸化物元素で被覆したチタンからなる不溶性陽極と該陽極に対向させて設けられたチタン製陰極ドラムとの間に該電解液を供給し、陰極ドラムを一定速度で回転させながら、両極間に直流電流を通電することにより陰極ドラム表面上に銅を析出させ、析出した銅を陰極ドラム表面から引き剥がし、連続的に巻き取る方法により製造される。
本発明の電解銅箔は、硫酸−硫酸銅電解液にチオ尿素類、高分子多糖類、及び塩化物イオンを添加し製造することができる。
製造された電解銅箔は、クロメート処理等の無機防錆処理、ベンゾトリアゾール等の有機防錆処理、シランカップリング剤処理等が必要により施されて製品となる。
上記無機防錆処理、有機防錆処理、シランカップリング剤処理は銅箔表面の防錆、絶縁樹脂基板との接着性向上、活物質との密着強度向上、電池の充放電時の容量維持率の低下防止等の役割を果たす。
また電解銅箔表面の表面粗さを、例えばシリコン系活物質を積層する場合に適するRz=0.8〜2.8μmとする。表面粗さは、その表面を粗面化処理することで調整する。この粗面化処理としては、めっき法、エッチング法等が好適に採用できる。
めっき法は、電解銅箔の表面に凹凸を有する薄膜層を形成することにより表面を粗面化する方法である。めっき法としては、電解めっき法または無電解めっき法を採用することができる。
めっき法による粗面化としては、銅や銅合金などの銅を主成分とするめっき膜を、電解銅箔表面に形成する方法が好ましい。
電気めっきにより粗面化する方法としては、例えば、特公昭53−39376号公報に開示された、プリント回路用銅箔に対し一般的に用いられているめっきによる粗面化方法が好ましく用いられる。すなわち、いわゆる「やけめっき」により、粒粉状銅めっき層を形成した後、この粒粉状銅めっき層の上に、その凹凸形状を損なわないように「カプセルめっき」を行い、実質的に平滑なめっき層を堆積させて粒粉状銅をいわゆるコブ状銅とする粗面化方法である。
エッチング法による粗面化としては、物理的エッチングや化学的エッチングによる方法が適している。物理的エッチングにはサンドブラスト等でエッチングする方法があり、化学エッチングには処理液として、無機または有機酸と酸化剤と添加剤を含有する液が用いられている。例えば特許2740768号公報には、無機酸+過酸化水素+トリアゾールなどの腐食防止剤+界面活性剤が記載されている。また、特開平10−96088号公報には、無機酸+過酸化物+アゾール+ハロゲン化物を含有する液が開示されている。
通常は酸と酸化剤にキレート剤などの添加剤を付与した浴であり、銅の結晶粒界を優先的に溶解するものである。例えば、前記特許文献に開示されている液組成の他に、メック株式会社のCZ−8100、同8101、三菱ガス化学株式会社のCPE−900などの市販品が採用できる。
図1は本発明の一実施形態の表面処理が施された銅箔の深さ方向を撮影した断面写真である。また図2はこの断面写真の結晶粒径dを測定するため、結晶粒径dを定義する模式図で、このような写真から結晶粒径dを測定すると本発明の結晶粒径はほとんどが20nm以上3500nm未満の範囲に含まれている。
図3は本発明の一実施形態の銅箔のTEM像で、周囲の銅濃度(白く見える部分)に比較して銅成分の検出割合が低い箇所(析出相)が黒く映し出されている。本発明の銅箔はかかる析出相が1μm当たり20〜5000個存在する。
図4は前記析出相の部分の元素を分析したEDX(エネルギー分散型X線分析)のチャートの一例で、該分析結果から析出相にはカーボン、塩素他が含まれていることが検出されている。図5は析出相部分を鮮明に映し出した写真である。
本発明の銅箔をリチウムイオン二次電池の集電体として使用する場合について説明する。
集電体表面に堆積する活物質層は、リチウムを吸蔵・放出する物質であり、リチウムを合金化することにより吸蔵する活物質であることが好ましい。このような活物質材料としては、シリコン、ゲルマニウム、錫、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、などが挙げられる。これらの中でも、シリコン、及びスズがその高い理論容量から好ましく用いられる。従って、本発明において用いる活物質層は、シリコン、またはスズを主成分とする層であることが好ましく、特に好ましくはシリコン層である。なお、活物質としてカーボンを使用できることは勿論である。
活物質層は、活物質をバインダー、溶剤とともにスラリー状にして、塗布、乾燥、プレスすることにより形成する方法が望ましい。
集電体は厚みの薄いものであることが好ましく、活物質層は、集電体の片面または両面上に堆積することができる。
活物質層には、予めリチウムが吸蔵または添加されていてもよい。リチウムは、活物質層を形成する際に添加してもよい。すなわち、リチウムを含有する活物質層を形成することにより、活物質層にリチウムを含有させる。また、活物質層を形成した後に、活物質層にリチウムを吸蔵または添加させてもよい。活物質層にリチウムを吸蔵または添加させる方法としては、電気化学的にリチウムを吸蔵または添加させる方法が挙げられる。
リチウムイオン二次電池において用いる非水電解質は、溶媒に溶質を溶解した電解質である。非水電解質の溶媒としては、リチウムイオン二次電池に使用される溶媒であれば特に限定されないが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネートなどの環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの鎖状カーボネートが挙げられる。好ましくは、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合溶媒が用いられる。また、上記環状カーボネートと、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル系溶媒や、γ−ブチロラクトン、スルホラン、酢酸メチル等の鎖状エステル等との混合溶媒を用いてもよい。
非水電解質の溶質としては、リチウムイオン二次電池に用いられる溶質であれば特に限定されるものではなく、例えば、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(CF3SO23、LiC(C25SO23、LiAsF6、LiClO4、Li210Cl10、Li212Cl12などが挙げられる。特に、LiXFy(式中、XはP、As、Sb、B、Bi、Al、Ga、またはInであり、XがP、AsまたはSbのときyは6であり、XがB、Bi、Al、Ga、またはInのときyは4である。)と、リチウムペルフルオロアルキルスルホン酸イミドLiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(式中、m及びnはそれぞれ独立して1〜4の整数である。)またはリチウムペルフルオロアルキルスルホン酸メチドLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(式中、p、q及びrはそれぞれ独立して1〜4の整数である。)との混合溶質が好ましく用いられる。これらの中でも、LiPF6とLiN(C25SO22との混合溶質が特に好ましく用いられる。
また、非水電解質として、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマー電解質に電解液を含浸したゲル状ポリマー電解質や、LiI、Li3Nなどの無機固体電解質を用いることができる。
リチウムイオン二次電池の電解質は、イオン導電性を発現させる溶質としてのLi化合物とこれを溶解・保持する溶媒が電池の充電時や放電時あるいは保存時の電圧で分解しない限り、制約なく用いることができる。
また、正極に用いる正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiMnO2、LiCo0.5Ni0.52、LiNi0.7Co0.2Mn0.12などのリチウム含有遷移金属酸化物や、MnO2などのリチウムを含有していない金属酸化物が例示される。また、この他にも、リチウムを電気化学的に挿入・脱離する物質であれば、制限なく用いることができる。
本発明の銅箔を集電体とすることで、充放電により集電体にしわ等の変形、あるいは破断が発生するのを抑制することができ、長期間安定した電池性能、電極特性を維持する非水電解液二次電池(リチウムイオン二次電池)を提供することができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体例を説明する。但し、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することができる。
[実施例1〜7、比較例1〜4]
[銅箔の製造]
銅70〜130g/1−硫酸80〜140g/1の酸性銅電解浴に表1に示す組成の添加剤を添加した。表中、添加剤Aの種類は、チオ尿素、N,N−ジメチルチオ尿素、テトラメチルチオ尿素、エチレンチオ尿素であり、添加剤Bの種類はポリアクリルアミド、ポリエチレンイミン、ゼラチン、ポリエチレングリコール、デンプンである。また、塩化物イオン濃度を30ppmに調整したが、塩化物イオン濃度は電解条件により適宜変更するものであり、この濃度に限定されるものではない。
比較例の添加剤では、MPS(1−メルカプト3−プロパンスルホン酸ナトリウム)、HEC(ヒドロキシエチルセルロース)、塩化物イオンを表1に示す濃度となるように添加し製箔用電解液を調製した。
調製した電解液を用い、アノードには貴金属酸化物被覆チタン電極、カソードにはチタン製回転ドラムを用いて表1に示す電解条件(電流密度、液温)の下に、18μm厚みの未処理銅箔を電解製箔法によって実施例1〜4、比較例1の銅箔を製造した。同様にして実施例5〜7については、厚さ20μmの未処理銅箔を製造した。
また比較例2〜4も表1に示す組成の電解液により20μmとなるように未処理銅箔の製造を行った。
〔実施例8〜14、比較例5〜8〕
[銅箔の製造]
銅70〜130g/l−硫酸80〜140g/1の酸性銅電解浴に表1に示す組成の添加剤を添加した。表中、チオ尿素類として、エチレンチオ尿素、高分子多糖類としてヒドロキシエチルセルロース、及び塩化物イオンを表1に示す濃度となるように、それぞれ添加し製箔用電解液を調製した。なお、塩化物イオン濃度を30ppmに調整したが、塩化物イオン濃度は電解条件により適宜変更するものであり、この濃度に限定されるものではない。
比較例の添加剤では、MPS、低分子ニカワ、塩化物イオンを表1に示す濃度となるように添加し製箔用電解液を調製した。
調製した電解液を用い、アノードには貴金属酸化物被覆チタン電極、カソードにはチタン製回転ドラムを用いて表1に示す電解条件(電流密度、液温)の下に、約10μm厚みの未処理銅箔を電解製箔法によって実施例8〜11、比較例5の銅箔を製造した。同様にして実施例12〜14については、重量厚さとして12μmの未処理銅箔を製造した。また比較例6〜8も表1に示す組成の電解液により12μmとなるように未処理銅箔の製造を行った。
作成した実施例1〜7、比較例1〜4の銅箔につき、TEM(透過型電子顕微鏡)像またはSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像による直接観察と、観察した析出相(ドメイン)のEDX(エネルギー分散型X線分析)またはEELS(電子エネルギー損失分光法)による定性分析を実施した。また、析出相につきTEM(透過型電子顕微鏡)像またはSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像観察を行い、周囲のCu濃度に比較してCu成分の検出割合が小さい析出相の成分を分析した。その結果を表2に示す。
観察されたいずれの析出相もCu成分が周囲の銅相(純度99%以上)よりも銅検出量が小さく、表2に示すように検出された成分は主にカーボン(C)であり、カーボン以外の検出元素は析出相によって検出元素が相違し、塩素や硫黄または酸素が検出された。窒素は定性分析での検出力は小さく、SIMS(二次イオン質量分析計)によってその存在が確認された。また、いずれの銅箔もICP発光分光分析により銅純度が99%以上であることを確認した。
作成した実施例8〜14、比較例5〜8の銅箔の一部を採取し、FIB断面SIM像観察による結晶粒径を測定し、その結果を表3に示した。併せて、EBSDによる結晶粒径測定解析結果として、結晶粒径が3.5μm以下と2μm以下の結晶粒割合と全計測数に対する割合を算出し、表3に示した。
また、いずれの銅箔もICP発光分光分析により銅純度が99%以上であることを確認した。
また、作成した各実施例、比較例の表面粗さ(実施例1〜7、比較例1〜4についてはRa、Rzを、実施例8〜14、比較例5〜8についてはRz)、常温での引張強さ、0.2%耐力、及び伸び、表1に示す加熱処理後の引張強さ、0.2%耐力、及び伸びを測定した。その結果を表4に示す。
なお、引張強さ、0.2%耐力、伸びは、引張試験機(インストロン社製1122型)を用いて測定した値である。また、表面粗さは、触針式表面粗さ計(小坂研究所製SE−3C型)により測定した値である。
[負極集電体の作成]
実施例1〜14(表1)の未処理電解銅箔の表面に電気めっきにより銅のやけめっきを施し、粒粉状銅めっき層を形成した。さらに、該粒粉状銅めっき層の上にその凹凸形状を損なわないように、平滑な銅めっき(カプセルめっき)を行い、粒粉状銅と銅箔との密着性を向上させた粗面化銅箔を作成した。
実施例1〜4、比較例1(厚さ18μm)の未処理銅箔については、厚さが20μm厚さになるように電気めっきによる銅のやけめっき、カプセルめっきを施し粗面化電解銅箔を作成し、クロメート処理を施した後、集電体とした。
これに対して実施例5〜7及び比較例2〜4(厚さ20μm)の未処理銅箔については、銅のやけめっき、カプセルめっきは施さず、クロメート処理のみを施して集電体とした。
すなわち、実施例1〜7、比較例1〜4は集電体になる時には全て20μmになるように厚さを合わせた。
実施例8〜12、比較例5(厚さ10μm)の未処理銅箔については、12μm厚さになるように電気めっきによる銅のやけめっき、カプセルめっきを施し粗面化電解銅箔を作成し、クロメート処理を施した後、集電体とした。
これに対して実施例12〜14及び比較例6〜8(厚さ12μm)の未処理銅箔については、銅のやけめっき、カプセルめっきは施さず、クロメート処理のみを施して集電体とした。
すなわち、実施例8〜14、比較例5〜8は集電体になる時には全て12μmになるように厚さを合わせた。
なお銅箔表面粗面化のためのやけめっき(粒粉状めっき)条件、カプセルめっき(平滑な銅めっき)、クロメート処理の条件は以下のようである。
[やけめっき(粒粉状めっき)条件]
硫酸銅 80〜140g/L
硫酸 110〜160g/L
添加剤 適量
液温 30〜60℃
電流密度 10〜50A/dm2
処理時間 2〜20秒
[カプセル(平滑な銅めっき)条件]
硫酸銅 200〜300g/L
硫酸 90〜130g/L
液温 30〜60℃
電流密度 10〜30A/dm2
処理時間 2〜20秒
[クロメート処理条件]
重クロム酸カリウム 1〜10g/L
浸漬処理時間 2〜20秒
[負極の作成]
負極活物質粒子として平均粒径が15μmのシリコン粉末(純度99.9%)を使用し、バインダーにポリイミドを用いて、上記の負極活物質粒子とバインダーとが9:1の重量比になるようにしてN−メチル−2−ピロリドンに加え、これらを混合させて負極合剤スラリーを調製した。
次に、集電体となる銅箔上に上記負極合剤スラリーを塗布し、これを乾燥させて負極集電体の両面に負極合剤層を形成した。この時点の電極厚みは85μmであった。
この後、圧延ローラを用いて電極厚み60μmになるまで圧延した後、これをアルゴン雰囲気下において表1に示す各温度で1時間焼結させて負極を作成した。
[正極の作成]
正極活物質を作成するにあたっては、LiCoとCoCoとを用い、Li:Coの原子比が1:1になるように秤量して、これらを乳鉢で混合し、これを直径17mmの金型でプレスして加圧成形した後、これを空気中において、800℃の温度で24時間焼成してLiCoOの焼成体を製造し、このLiCoOの焼成体を乳鉢で粉砕して、平均粒径が20μmになったLiCoO粉末を得た。
そして、このLiCoO粉末からなる正極活物質粒子90重量部に対して、導電剤の人工黒鉛粉末5重量部と、結着剤のポリフッ化ビニリデンを3重量部含む5重量%のN−メチル−2−ピロリドン溶液を混合させて、正極合剤スラリーを調製した。
次いで、この正極合剤スラリーを15μmのアルミニウム箔からなる正極集電体に塗布し、これを乾燥させて圧延し、正極集電体の両面に正極合剤層が形成された正極を作成した。
[非水電解液の作成]
非水電解液を作成するにあたっては、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとを3:7の体積比で混合させた混合溶媒に、LiPFを1モル/リットルの濃度になるように溶解させ、さらに25℃において10分間二酸化炭素を吹き込み、二酸化炭素を飽和量となるまで溶解させた。
[電池充放電特性評価]
上記負極、正極、非水電解液を使いリチウムイオン二次電池を作成し、充放電特性評価を行った。
リチウムイオン二次電池を作成するにあたっては、上記の正極にアルミニウムからなる正極集電タブを取り付けると共に、上記の負極にニッケルからなる負極集電タブを取り付け、この正極と負極とがポリエチレン製多孔質体からなるセパレータを介して対向するように捲回して電極体を作成した。
次いで、上記の電極体をアルミニウムラミネートフィルムで構成された外装体内に挿入させると共に、この外装体内に上記の非水電解液を加え、その後、上記の正極集電タブと負極集電タブとを外部に取り出すようにして、上記の外装体の開口部を封口させた。
次に、上記のようにして作成した実施例1〜14、及び比較例1〜8の各リチウムイオン二次電池を、25℃の雰囲気中において、電流値1000mAで4.2Vまで充電させた後、電流値1000mAで2.75Vまで放電し、これを1サイクルとして充放電を繰り返して行い、放電容量が1サイクル目の放電容量の70%に達するまでのサイクル数を測定した。そして、実施例8のリチウムイオン二次電池のサイクル数を100とした指数で、その結果を表5に示した。
また、サイクル後における実施例1〜14及び比較例1〜8の各リチウム二次電池を解体して、各負極の負極集電体におけるしわの発生の有無を調べ、その結果を表5に示した。
更に、実施例1〜7、及び比較例1〜4の銅箔を集電体として、放電容量保持率を三極式セルにて測定した。
[三極セル用対極および参照極の作製]
対極と参照極はリチウム箔をステンレスメッシュ網に圧着させて作製した。
[負極の作成]
負極活物質粒子として平均粒径が15μmのシリコン粉末(純度99.9%)を使用し、バインダーにポリイミドを用いて、上記の負極活物質粒子とバインダーとが9:1の重量比になるようにしてN−メチル−2−ピロリドンに加え、これらを混合させて負極合剤スラリーを調製した。
次に、集電体となる銅箔の両面に上記負極合剤スラリーを塗布し、乾燥して負極合剤層を85μm厚さに形成し、圧延ローラを用いて電極厚み60μmになるまで圧延した後、これをアルゴン雰囲気下において表1に示す各温度で1時間焼結させて負極を作成した。
[非水電解液]
非水電解液は、エチレンカーボネートとジエチレンカーボネートとを3:7の体積比で混合させた混合溶媒を主成分とし、LiPFを1モル/リットルの濃度になるように溶解させた、宇部興産製非水電解液(パワーライト)を用いた。
[電池充放電特性評価]
作成した負極(試験極)および対極、参照極、並びに非水電解液を用いた三極式セルをアルゴン雰囲気で非水環境のグローボックス内にて組み立て配線し密閉容器に封止した後に、大気中に取り出して、充放電特性試験を行った。
試験は、初回に0.1C試験レートによる充電、放電を行った後に、0.2Cによる充放電サイクル試験50回を繰り返し行った。充電はLiの標準単極電位基準に対して0.02VまでCC(定電流)で行い、その後はCV(定電位)のまま推移し電流が0.05Cまで低下した時点で終了とした。放電はCCにて1.5V(Li基準)まで行った。50サイクル後の放電容量値の1回目放電容量値に対する維持率を算出し、放電容量保持率として表6に示した。
実施例1〜14は、TEM(透過型電子顕微鏡)像またはSTEM(走査型透過電子顕微鏡)像観察によって、周囲のCu濃度に比較してCu成分の検出割合が小さい、1〜500nm寸法大の析出相を有する銅箔である。また、前記Cu濃度が周囲に比べて低いドメインは、カーボンを主に含み、またはカーボンと硫黄または/及び塩素または/及び窒素を含む銅箔を集電体として用いていることにより、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらずまた、充放電により集電体にしわが発生するのを抑制することができた。
また銅箔が200〜400℃で30分〜1.5時間加熱処理後の0.2%耐力が250N/mmより大きく、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらず、また、充放電により集電体にしわが発生するのを抑制することができた。
上述したように実施例1〜14の銅箔は200〜400℃で30分〜1.5時間加熱処理後の0.2%耐力が250N/mmより大きく、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらず、また、充放電により集電体にしわが発生するのを抑制することができた。
銅箔の機械的特性(引張強度や耐力等)は銅箔に引張応力が付加された時に破断するときの応力や歪で評価される。銅箔に引張応力が付加されると通常は結晶粒間の粒界で破断していく場合が多い。製箔プロセスにおいて、銅箔結晶粒の粒界に添加剤成分が電析により取り込まれ、これが結晶粒間を結合する接着剤の役割を果たし、耐破断の強度や耐力などの機械的特性を発現していると従来箔では考えられていた。
しかし、本発明の銅箔が有するナノスケールからサブミクロンオーダーの極微小析出相は、粒界ばかりではなく、結晶粒内にも存在し、純銅マトリクス中にも第二相として析出分散している。このナノスケールからサブミクロンオーダーの極微小析出相が結晶粒間を結合する接着剤の役割を果たし、強度を発現すると観察される。
さらに、ナノスケール相はあたかも固溶しているかのような作用をすることにより機械的強度を強化していると観察される。即ち、極微小析出相がそれぞれマトリクスを複合的に強化する結果、引張破断への耐性を大幅に高める効果を発揮するものと考察できる。析出相は炭化物や窒化物、硫化物、或いは塩化物で、単独乃至は混合混成物として存在するので、本発明の銅箔は常態での引張強度や耐力値が大きく向上し、加熱による強度や耐力値の低下も抑制され、従来箔に比べ大幅に高い値を維持している。
さらには、集電体に、SIM像による銅箔厚み方向の断面観察結晶粒径が20〜3500nmの範囲にある実施例の銅箔を用いることで、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらず、充放電により集電体にしわが発生するのを抑制することができた。
表5に示したように、実施例の銅箔を用いると、充放電により集電体にしわが発生するのを防止することができた。また、表6に示すように、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下割合が小さく、従来銅箔を用いた電極の電池よりも長く充放電を繰り返すことができ、かつ電池の長寿命化が可能になる。
また銅箔が、常態での引っ張り強度が400N/mmより大きく、且つ0.2%耐力が300N/mmより大きく、200〜400℃の加熱処理後の引っ張り強度が250N/mmより大きく、且つ前記加熱処理後の0.2%耐力が250N/mmより大きい銅箔を用いると、充放電により集電体にしわが発生するのを防止することができた。また、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらない。
なお、常態での引っ張り強度の上限が1000N/mm、且つ0.2%耐力の上限が800N/mm、200〜400℃の加熱処理後の引っ張り強度の上限が800N/mm、前記加熱処理後の0.2%耐力の上限が600N/mmである銅箔を用いることが好ましく、該銅箔を使用することで充放電により集電体にしわが発生するのを防止することができ、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらない集電体を提供することができる。
さらには、銅箔が、SIM像による銅箔厚み方向の断面観察結晶粒径が3.5μm未満である銅箔を用いると、充放電により集電体にしわが発生するのを抑制することができ、2μm以下の粒径を有する銅箔を用いると、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が小さくなり、電池の長寿命化に繋がる。
比較例1は前記特許文献1に示した電解銅箔を負極集電体に使用した例であるが、加熱前後の0.2%耐力が比較的大きいが250N/mm以下で、充放電を繰り返すと集電体にしわが発生した。
さらに、比較例2〜4は室温での引張強さが大きく、0.2%耐力が小さい箔であり、加熱により軟化してしまい、0.2%耐力が小さく、充放電を繰り返すと集電体にしわが発生した。
また、比較例5、6は、加熱前の引張強度と0.2%耐力は比較的大きいが、加熱後の各特性値は300または250N/mm2以下で、充放電を繰り返すと集電体にしわも発生した。
さらに、比較例7、8は室温、加熱後共に引張強度と0.2%耐力が小さい箔であり、充放電を繰り返すと集電体にしわが発生した。
以上のように、常態での引張強度が400N/mmより大きく、且つ0.2%耐力が300N/mmより大きく示し、200〜400℃の加熱処理後の引張強度が250N/mmより大きく、且つ前記加熱処理後の0.2%耐力が250N/mmより大きい銅箔を用い、該銅箔の少なくとも一方の面を防錆処理し、あるいは粗化し、防錆処理した表面処理銅箔を負極集電体とすることで、充放電により集電体にしわ等の変形が発生するのを抑制することができ、リチウムイオン二次電池の正極と負極の短絡を防ぐことができ、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらない高寿命で、小型化可能なリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池を提供することができる。
なお、本実施例は活物質がシリコンの場合について記載したが、シリコンの酸化物、カーボン、スズ、アルミニウム、マグネシウムまたはカルシウムを主成分とする活物質を使った場合でも、充放電により集電体にしわ等の変形が発生するのを抑制することができ、リチウムイオン二次電池の正極と負極の短絡を防ぐことができ、充放電サイクルを繰り返しても容量の低下が起こらない高寿命で、小型化可能なリチウムイオン二次電池を提供することができた。
本発明の銅箔はリジットまたはフレキシブル絶縁基板と積層し、プリント回路基板として採用することも有効である。

Claims (13)

  1. 周囲のCu濃度に比較してCu成分の検出割合が小さい析出相(またはドメイン)を有する銅箔であって、
    該析出相の最大幅が、1nm〜500nmであり、
    前記析出相またはドメインが1μm2あたり20〜5000個存在する、
    銅箔。
  2. 前記析出相の最大幅が1〜150nmである請求項1に記載の銅箔。
  3. 前記析出相が、カーボン(C)を主に含むことを特徴とする請求項1または2に記載の銅箔。
  4. 前記析出相が、カーボン(C)を主に含み、さらに硫黄(S)、または/及び塩素(Cl)、または/及び窒素(N)を含む請求項3に記載の銅箔。
  5. 前記銅箔厚み方向の断面観察結晶粒径が3500nm未満であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の銅箔。
  6. 前記銅箔厚み方向の断面観察結晶粒径が2500nm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の銅箔。
  7. 前記銅箔厚み方向の断面観察結晶粒径が2000nm以下である粒子を90%以上含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の銅箔。
  8. 前記銅箔が、200〜400℃で加熱処理後の0.2%耐力が250N/mm2より大きいことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の銅箔。
  9. 前記銅箔が電解銅箔、または圧延電解銅箔である請求項1〜8のいずれかに記載の銅箔。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の銅箔を集電体とする負極電極であって、前記銅箔の少なくとも一方の表面に防錆処理面を有し、当該防錆処理面に活物質層を有する二次電池の負極電極。
  11. 前記負極電極を構成する活物質層が、カーボン、シリコン、スズ、アルミニウム、マグネシウム、またはカルシウムのいずれかを主成分とする活物質の層を有する請求項10に記載の二次電池の負極電極。
  12. 請求項10または11に記載の負極電極を有する二次電池。
  13. 積層された、請求項1〜9のいずれかに記載の銅箔と絶縁基板とを有してなるプリント回路基板またはフレキシブルプリント回路基板。
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