JP5981064B1 - 精密バイス用ブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】被加工物を所望位置で水平及び垂直を正確に挟持できる精密バイス用ブロック。【解決手段】磁性体からなるブロック本体34の垂直背面31からの厚み0.4〜1.0mmを残して穿設した第1挿入孔33に、第1強磁性体36を取付けた厚み0.5乃至2.5mmの筒体内に非磁性体の第1筐体35を挿入し、第1筐体35の筒体内に非磁性体の第1筐体35を挿入し、第1強磁性体36の離脱を防止する非磁性体からなる第1離脱防止体37によってブロック本体34と一体化したものである。また、磁性体で形成されたブロック本体34の水平面38からの厚みδを残して穿設した第2挿入孔に、第2強磁性体76を取付けた厚み0.5乃至2.5mmの筒体内に非磁性体の第2筐体75を挿入し、第2筐体75及び第2強磁性体76の離脱を防止する非磁性体からなる第2離脱防止体77によってブロック本体34と一体化したものである。【選択図】図3

Description

本発明は、工作機械に被加工物を正確に取付ける精密バイスに使用される精密バイス用ブロックに関するもので、特に、被加工物の工作機械で加工しても、その取付け状態が安定する精密バイス用ブロックに関するものである。
従来、被加工物を工作機械で加工する場合、工作機械のテーブル面に被加工物を取付けるとか、工作機械のテーブル上にバイスを取付けて、そのバイスに被加工物を保持させて加工するのが一般的である。また、精度を要する部品等を加工する場合には、工作機械のテーブル面に対し、被加工物を保持する平面度が確保されている精密バイスが用いられ、被加工物の角度、加工面等の精度維持が図られてきた。
例えば、図1は公知の精密バイスの斜視図で、図2はその中央の垂直断面図である。
図において、基体11の両端側に併設させられた内面を有する保持ブロック12及び保持ブロック13は、基体11及び保持ブロック12及び保持ブロック13によってバイス本体10を構成している。保持ブロック12及び保持ブロック13の内側の面は並行面となっている。また、基体11の上面は、可動壁16の底面が摺動する摺動面14となっている。その底面15側は摺動面14と並行する水平面となっている。
可動壁16は、ボールネジ18の先端に取付けられ、往復移動するように構成されている。ボールネジ18の他端は、調整摘17によって回転自在になっている。特に、調整摘17に配設されたレバー17aは、締付力を必要な場合に使用される。可動壁16を底面15より抜け止めする離脱防止片16aが往復動する移動溝19は、略T字状の可動壁16の足部に対して2本のボルト16bで固着している。可動壁16とボールネジ18との接続は、ボールネジ18の先端の溝部18aが、可動壁16の上部から打ち込まれたピン16cの先端で保持され、回動自在で離脱防止となっている。
したがって、可動壁16の隙間は殆どなく、移動溝19とボールネジ18によって移動自在となっている。よって、ボールネジ18の端部に配設された調整摘17を回転させることによって、可動壁16が移動し、バイスブロック3とバイスブロック4が被加工物5を挟持するから、その状態で精密バイスを移動させれば、その状態で複数種類の機械加工ができる。
ところが、保持ブロック12側にはバイスブロック3を、保持ブロック13側にはバイスブロック4を配設し、被加工物5を安定した保持状態に維持できるようにしている。例えば、図2に示すように、被加工物5の面がテーパーになっているとか、被加工物5が薄く保持できる範囲が限られている場合には、希望する垂直面がでない可能性がある。
図2で具体的に説明すると、被加工物5の可動壁16側の面が角度θで垂直でないとき、バイスブロック4は、ボールネジ18の締付けによって被加工物5の可動壁16側の面に密着しようとし、被加工物5とバイスブロック3及びバイスブロック4との間の垂直面、水平面が異なってくる。
特許文献1は、回転モーメントθを如何に少なくして加工精度を維持するかを検討し、被加工物5が小物部品であるときには、その回転モーメントθで被加工物5の加工精度が得られず、また薄板等を保持する場合には、薄板の上面には引張り力が働くとともに底面には圧縮力が働くことになり、薄板としては上に凸の曲がりが発生することになり、この状態で加工して平面が得られても精密バイスから取外した段階では、その加工面は凹面となる等の問題点を検討している。
特開平9−108969
その結果、特許文献1では、工作機械のテーブル上で被加工物5を保持する精密バイスであって、被加工物5を保持する保持ブロック13側のバイスブロック3は、保持ブロック13と被加工物5の接触面との間で平行であり、他の一方の可動壁16側のバイスブロック4の上端部は、被加工物5を保持する上端部と平行に形成されている。そして、可動壁16との接触面においてバイスブロック4にほぼ平行で、かつ可動壁16側の保持部分の上部が狭小、下部が拡大するテーパー面で接する構造としている。
一般に、上記構造によって、小物部品とか、薄板状の加工部品等を精密バイスで所定の位置に保持する方法として木槌等で叩いたりして回転モーメントθによる被加工物5の浮き上がりがなくなるようにしていた。しかし、本発明では木槌等で打つ必要はなく、可動壁16とバイスブロック4との間に設けた可動側保持ブロックのテーパーにより下方向にベクトル力が発生するから、被加工物5の浮き上がりがなくなり、よって、加工精度の維持が確保される。
このように、特許文献1は、バイスブロック3とバイスブロック4間で被加工物5を挟持できるが、ボールネジ18が締付けられることにより、例えば、被加工物5の底部が先に当接したとすると、その底部に締付けによる反力が付与される。
このとき、被加工物5が小物部品であったり、また薄板であったりした場合には、ボールネジ18の中心軸に対し、被加工物5の底部に反力が発生することになり、図2に示す回転モーメントθが働くことになる。
即ち、この回転モーメントθを如何に少なくして加工精度を維持するかが問題となるが、被加工物5が小物部品であるときには、その回転モーメントθによって被加工物5の底部が精密バイスの底面15に対し平行にならず、加工精度が得られない。また、薄板等を保持する場合には、薄板の上面には引張り力が働くとともに、その底面には圧縮力が働く。このため、薄板としては上に凸の曲がりが発生することになり、この状態で加工して平面が得られても精密バイスから取外すと、その加工面は凹面となる。
これに対して特許文献1は、可動壁16と、可動壁16側のバイスブロック3との間にテーパーを形成することによりボールネジ18の回動による圧縮力がテーパー部分で分力となり、被加工物5を精密バイスの底面15側に押し下げることになる。
可動壁16とバイスブロック3のテーパーにより下方にベクトル分力が発生することから、被加工物5の浮き上がりがなくなり、加工精度の維持が確保される。
しかし、特許文献1の技術は、テーパーが機能するように木槌等で叩くことにより修正できる被加工物5の取付状態であればよいが、被加工物5自体の面が歪んでいる場合には、バイスブロック3も、バイスブロック4もその角度に従ってしまう可能性がある。また、特定の部品の形状を整える場合には、バイスブロック3及びバイスブロック4で正確に被加工物5を挟持しないで水平、垂直がでない状態となる可能性も有る。特に、何らかの要因で、特定の箇所で接触抵抗が高くなると、そこが起点で被加工物5が保持されるようになり、結果、加工精度の維持ができなくなる。
そこで、本発明は、かかる従来の問題点を解消し、被加工物が小さくても、薄くても、また、その被加工物の面にテーパーが付与されていても、精密バイスの保持ブロックと同様に精密バイスの保持ブロックと一体に動き、被加工物を所望の位置で垂直及び水平を正確に挟持できる精密バイス用ブロックの提供を課題とするものである。
請求項1の発明にかかる精密バイス用ブロックは、磁性体金属で形成されたブロック本体の吸引する垂直背面からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第1挿入孔と、前記第1挿入孔に挿入した反磁性体または非磁性体の第1筐体と、前記第1筐体に挿入された第1強磁性体と、前記第1筐体及び前記第1強磁性体の前記第1筐体からの離脱を防止すべく前記ブロック本体と一体化した反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体と、また、前記ブロック本体の前記垂直背面と直角の水平面からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第2挿入孔と、前記第2挿入孔に挿入した反磁性体または非磁性体の第2筐体と、前記第2筐体に挿入された第2強磁性体と、前記第2筐体及び前記第2強磁性体の離脱を防止すべく前記ブロック本体と一体化した反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体とを具備するものである。
このように、本発明にかかる精密バイス用ブロックは、前記第1強磁性体によって垂直背面方向に磁界を出して吸引し、また、前記第2強磁性体によって前記ブロック本体34の前記垂直背面と直角の水平方向に磁界を出して吸引するものであるから、前記ブロック本体の垂直方向及び水平方向に移動できなくなり、安定した取付け状態が維持できる。
ここで、上記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体は、ブロック本体が鉄またはステンレス(SUS304等を除く)等のような、強磁性体であればよい。
また、上記第1挿入孔は、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の垂直背面から吸引させる側の厚みδ=0.4〜mmを残して穿設した孔であればよい。そして、上記第2挿入孔は、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の水平面からの厚みδが、好ましくは、0.4〜1.0mmを残して穿設した穴であればよい。
但し、ブロック本体の垂直背面または水平面からの厚みδが0.4mm以下であると、仕上げ加工する場合に、削りしろが確保できなくなるし、また、削って調整する場合には、肉厚が薄くなりすぎ、誤差が生ずる。そして、厚みが1.0mm以上とは、そのブロック本体側の磁気抵抗が低くなり、当該磁気抵抗が磁路となりブロック本体の垂直背面の磁界がブロック本体から外に出難くなる。
発明者らの実験によれば、厚みδ=0.4〜1.0mmは好ましくは、δ=0.4〜0.8が公的であり、厚みδ=0.5〜0.6mmが理想的である。
更に、上記反磁性体または非磁性体の第1筐体または第2筐体は、前記第1挿入孔または前記第2挿入孔に挿入した、好ましくは、厚み0.5乃至2.5mmの箱体からなるものである。
ここで、前記第1挿入孔に挿入した厚み0.5mm以下の第1筐体または第2筐体とは、肉厚が少ないので第1強磁性体または前記第2強磁性体を包み込むのに不足となったり、筒体に破れが生じたりするから、厚み0.5mm以上の筐体が望ましい。また、前記第1挿入孔または第2挿入孔に挿入した厚み2.5mm以上の筐体では、外部の磁界が弱くなり、磁気シールドが強くなっているから2.5mm以下の厚みが望ましい。
更にまた、上記第1強磁性体または第2強磁性体は、非磁性体の前記第1筐体または前記第2筐体に挿入されたものであり、1面は非磁性体から露出するものであればよい。また、前記第1強磁性体または前記第2強磁性体が6面体からなる場合には、4面が非磁性体の筒体、残りの1面が非磁性体の第1離脱防止体または第2離脱防止体で覆われていればよい。
加えて、第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体及び第2挿入孔と、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体は、第1強磁性体または第2強磁性体が発生する磁界は、特定方向のみ磁路を形成するものである。
なお、本発明を実施する場合の前記強磁性体とは、隣り合うスピンが同一の方向を向いて整列し、全体として大きな磁気モーメントを持つことができる鉄、コバルト、ニッケル、ネオジム等の物質で、外部磁場が無くても自発磁化を持つことができる。非磁性体とは、強磁性体でない物質で、常磁性体、反磁性体、反強磁性体がこれに該当する。反磁性体は、磁場をかけたとき、物質が磁場の逆向きに磁化され、磁場とその勾配の積に比例する力が、磁石に反発する方向に生ずる磁性である。反磁性体としては、ビスマス、炭素、銅、鉛、金、銀である。
特に、本発明で第1強磁性体、第2強磁性体にネオジムを使用すると、一般に、ネオジムは錆びやすいがニッケルメッキの表面処理によって更には、第1離脱防止体及び第2離脱防止体で酸素を遮断して覆うことにより、錆を防止できる。
厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の第1筐体は、先に、磁界が垂直背面側に形成されるように前記第1筐体内に第1強磁性体を配設し、それを前記第1挿入孔内に配設してもよいし、前記第1挿入孔内に厚み0.5〜2.5mmの反磁性体または非磁性体の第1筐体を配設し、その後、前記第1筐体の筒体内に第1強磁性体を配設してもよい。
また、厚み0.5〜2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体は、先に、磁界が水平面側に形成されるように前記第2筐体内に第2強磁性体を配設し、それを前記第2挿入孔内に配設してもよいし、前記第2挿入孔内に厚み0.5〜2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体を配設し、その後、前記第2筐体の筒体内に第2強磁性体を配設してもよい。
請求項2の発明にかかる精密バイス用ブロックの前記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体には、両側に第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体及び第2挿入孔、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体を配設したものである。
このように、前記磁性体金属で形成されたブロック本体の両側に配設することにより、精密バイス用ブロックの配設を安定化するものである。そのためには、両端側が好ましいが、この両端側とは端部付近を意味し、先端部を限定する意味ではない。
請求項3の発明にかかる精密バイス用ブロックの前記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体は、両側に第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体によって水平方向の磁界が生じ、第2挿入孔、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体によって第2方向の磁界が生じるものである。
ここで、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体は、両側に水平方向の磁界、第2方向の磁界が生じるものであり、直角で交わる面に吸着させることができる。
請求項4の発明にかかる精密バイス用ブロックの前記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の両側に配設された第1強磁性体は、互いに垂直背面側の磁極を異にするように配設したものである。
ここで、ブロック本体の両側に配設された第1強磁性体の垂直背面側の磁極を互いに逆としたものであるから、保持ブロックまたは可動壁側に磁路を形成することができる。
請求項5の発明にかかる精密バイス用ブロックの前記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の両側に配設された第2強磁性体は、互いに水平面側の磁極を異にするように配設したものである。
ここで、ブロック本体の両側に配設された第2強磁性体の水平面側の磁極を互いに逆としたものであるから、ブロック本体の外に磁路を形成することができる。
請求項1の発明の精密バイス用ブロックは、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の垂直背面からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第1挿入孔に、第1強磁性体を取付けた厚み0.5〜2.5mmに反磁性体または非磁性体の第1筐体を挿入し、前記第1筐体内に反磁性体または非磁性体の前記第1筐体を挿入し、前記第1強磁性体の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体によって前記ブロック本体と一体に固着したものである。したがって、本発明にかかる精密バイス用ブロックは、前記第1強磁性体によって垂直背面方向に吸引し、また、前記第2強磁性体によって前記ブロック本体の前記垂直背面と直角の水平方向に吸引するものであるから、前記ブロック本体の垂直方向及び水平方向に移動できなくなり、安定した取付け状態が維持できる。
そして、第1強磁性体で垂直背面にある固定ブロック側に水平方向の磁路が形成され、固定ブロックとの吸引がなされ、精密バイスの固定ブロックと一体に吸引されるから、ブロック本体が傾動することがない。同時に、第2強磁性体で水平面にある基体にブロック本体の底面が垂直方向に吸引されるから、精密バイスの基体と一体に吸引され、ブロック本体が浮き上がることがない。結果的に、互いに、前記第1強磁性体と前記第2強磁性体は磁界が水平方向を軸とするものと、垂直方向を軸とするものとの両方が同時に作用し、本発明の精密バイス用ブロックは、精密バイスの一部として機能し、所望位置で被加工物の水平及び垂直を正確に挟持できる。
また、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の水平面からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第2挿入孔に、第2強磁性体を取付けた厚み0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体を挿入し、前記第2筐体及び前記第2強磁性体の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体によって前記ブロック本体と一体化したものである。
したがって、第1強磁性体が配設されたブロック本体の垂直背面に吸引する面側は、厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第1挿入孔に、0.5〜2.5mmの反磁性体または非磁性体の第1筐体内に第1強磁性体を配設し、第1強磁性体の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体で前記第1挿入孔に封止したものである。よって、第1挿入孔に第1筐体内に第1強磁性体を配設し、第1筐体及び第1離脱防止体を外部から圧縮力を付与することにより、前記第1挿入孔を封止すれば、強磁性体からの磁界はブロック本体中を磁路とするだけでなく、垂直背面にある固定ブロック側にも水平方向の磁路が形成され、固定ブロックとの吸引がなされる。
同時に、第2強磁性体が配設されたブロック本体の水平面に吸引する面側は、厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第2挿入孔に、0.5〜2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体内に第2強磁性体を配設し、第2強磁性体の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体で前記第2挿入孔に封止したものである。したがって、第2挿入孔に第2強磁性体を第2筐体内に入れて配設し、第2筐体及び第2離脱防止体を圧縮することにより前記第2挿入孔を封止すれば、強磁性体からの磁界はブロック本体中を磁路とするだけでなく、垂直背面にある固定ブロック側にも第2方向の磁路が形成され基体との吸引がなされる。
また、第1強磁性体で垂直背面にある固定ブロック側にも水平方向の磁路が形成され、固定ブロックとの吸引がなされる。同時に、第2強磁性体で水平面にある基体にブロック本体の底面が垂直方向に吸引される。このとき、互いに、前記第1強磁性体と前記第2強磁性体は磁界が水平方向を軸とするものと、第2垂直方向を軸とするものとの両方が同時に形成される。しかも、厚みδ=0.4〜1.0mmの肉厚を残して前記第1強磁性体と前記第2強磁性体が配設されており、前記第1強磁性体と前記第2強磁性体は反磁性体または非磁性体で閉じられているから、ブロック本体の随所で磁界のない部位が形成され、精密バイス用ブロック自体に鉄粉が付着しても、ウエスで簡単に除去できる。
請求項2の発明の精密バイス用ブロックは、前記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の両側には、第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体及び第2挿入孔、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体を配設したものであるから、請求項1の効果に加えて、ブロック本体の両側の垂直背面側とブロック本体の両側の底面側に吸引できるので、垂直方向の移動及び水平方向の移動に対して固定でき、高い精度を維持できる。
請求項3の発明の精密バイス用ブロックの前記磁性体からなる金属で形成されたブロック本体の両側には、第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体によって水平方向の磁界が生じ、同様に、第2挿入孔、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体によって第2方向の磁界が生じるものであるから、請求項1または請求項2の効果に加えて、ブロック本体が倒れ難くするには、片側でもよいが、精密バイスとして垂直及び水平面が出ているから、それを利用した方が安定度は高い。
請求項4の発明の精密バイス用ブロックの前記ブロック本体の両側に配設された第1強磁性体は、互いに垂直背面側の磁極を異にするように配設したものであるから、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の1つの効果に加えて、互いに垂直背面側の磁極を異にすることにより、互いに垂直背面側が磁束の通過となり、吸引力の強い精密バイス用ブロックが得られる。
請求項5の発明の精密バイス用ブロックの前記ブロック本体の両側に配設された第2強磁性体は、互いに底面側の磁極を異にするように配設したものであるから、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の1つの効果に加えて、互いに水平面側の磁極を異にすることにより、互いに水平面側が磁束の通過となり、吸引力の強い精密バイス用ブロックが得られる。
図1は従来の精密バイスの斜視図である。 図2は図1の従来の精密バイスの中央縦断面図である。 図3は本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの斜視図である。 図4は本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの中央横断面図である。 図5は本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの他の事例の斜視図である。 図6は本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの他の事例の中央横断面図である。 図7は本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの要部断面図である。 図8は図7の実施の形態に替わる精密バイス用ブロックの要部断面図である。 図9は図8の実施の形態に替わる精密バイス用ブロックの要部断面図である。 図10は図9を用いた本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの全体斜視図である。 図11は本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの全体斜視図である。 図12は図7及び図8を用いた本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの全体斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
なお、本実施の形態を通して、「第1・・」はブロック本体34の垂直背面31に直角に磁束が出る側を、また、「第2・・」はブロック本体34の水平の底面38に対し直角に磁束が出る側をいう。
[実施の形態]
まず、本発明の実施の形態について、図3の本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックを用いた精密バイスの斜視図、同じく、図4の精密バイス用ブロックを用いた精密バイスの中央横断面図について説明する。
図3及び図4において、基体11の両端側に並設させられた内面を有する保持ブロック12及び保持ブロック13は、基体11及び保持ブロック12及び保持ブロック13によってバイス本体10を構成している。保持ブロック12及び保持ブロック13の内側の面は互いに並行する面となっている。また、基体11の上面は、可動壁16が摺動する摺動面14となっている。その底面15側は水平面となっている。よって、摺動面14は底面15と共に水平面となっている。
可動壁16は、ボールネジ18の先端に取付けられ、往復移動するように構成されている。ボールネジ18の他端は、調整摘17によって回転自在になっている。特に、調整摘17のレバー17aは締付力が必要な場合に使用される。可動壁16を底面15より抜け止めする離脱防止片16aが往復動する移動溝19は、略T字状の可動壁16の足部に対して2本のボルト16bで固着している。可動壁16とボールネジ18との接続は、ボールネジ18の先端の溝部18aが、可動壁16の上部から打ち込まれたピン16cによって回動自在で、離脱防止となっている。
したがって、可動壁16は、遊び(ガタツキ)は殆どなく、移動溝19とボールネジ18によって垂直状態で移動自在となっている。よって、ボールネジ18の端部に配設された調整摘17を回転させることによって、可動壁16が移動し、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40が被加工物50を挟持するから、その状態で精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40を締付ければ、精密バイスの単位で移動自在な複数種類の機械加工ができる。
次に、精密バイス用ブロック30,40について説明する。
なお、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40(以下、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の区別のないときには、『精密バイス用ブロック30,40』と記す)は、下側に位置する厚肉部32と上に位置する薄肉部39でブロック本体34が形成されている。厚肉部32及び薄肉部39の裏面は、保持ブロック13と垂直方向に吸引し、面接触するブロック本体34の垂直背面31となっている。また、底面38は垂直背面31に対して直角な面、即ち、水平面となっている。
厚肉部32の中間部分の高さの中央付近に第1挿入孔33を設ける。この第1挿入孔33の深さは、ブロック本体34の垂直背面31からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設する。この厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設するのは、磁性体金属から形成されたブロック本体34は、その磁性体の機械的強度から、この厚みδに設定すれば、表面を切削加工することができるし、外力を加えて磨き加工する場合にも窪みや、突起ができない。厚み0.4mmがその最低の厚さδであり、また、厚みδの1.0mmはその最大の厚さであり、厚み1.0mm以上の厚みに増加させると、磁気抵抗が低下し、ブロック本体34内に磁路ができてしまう。
第1挿入孔33には、厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の第1筐体35に挿入された第1強磁性体36を有する。厚み0.5〜2.5mmからなる反磁性体または非磁性体の第1筐体35とは、厚みが0.5以下であると、第1強磁性体36を巻き込むだけの材料の余裕がなく、磁気抵抗の低い磁気回路がブロック本体34内に形成されるから、厚み0.5〜2.5mmからなる反磁性体または非磁性体の第1筐体35が望ましい。また、第1強磁性体36がガタツク要因になり、重心移動が生じて安定した特性が生じ難い。そこで、厚み0.5〜2.5mmの反磁性体または非磁性体の材料で第1強磁性体36を巻き込み、押圧力を加えるだけで収まるようにしたものである。
なお、本実施の形態では第1筐体35として筒体を使用したが、本発明を実施する場合には、筒体でなくて、特定の面のみを露出させ、それ以外を閉じる筐体であればよい。特に、本実施の形態では、筒体に第1強磁性体36が嵌合する規格があったので、それを採用した。
第1筐体35及び第1強磁性体36の離脱を防止すべくブロック本体34と一体化した反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体37は、第1筐体35及び第1強磁性体36の離脱の防止だけでなく、内部でそれらが移動することもないように一体に固着するものである。
本発明を実施する場合の第1強磁性体36としては、円柱状のネオジム磁石を使用した。しかし、第1強磁性体36としては、円柱状に限定されるものではなく、四角柱状、サイコロ状等を使用することもできるし、ネオジム磁石以外のKS鋼、MK鋼、フェライト磁石としてもよいし、他の磁石を用いてもよい。
このように、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の垂直背面31からの厚みδ=0.4〜1.0mmとして穿設した第1挿入孔33に対して、厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の第1筐体35を挿入する。厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる第1筐体35には第1強磁性体36が挿入される。または、第1筐体35で第1強磁性体36を包み込み、それを第1挿入孔33に挿入する。
第1挿入孔33に第1筐体35及び第1強磁性体36を挿入した後、反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体37を挿入してブロック本体34と一体化する。
第1挿入孔33に第1離脱防止体37を挿入してブロック本体34と一体化するには、第1挿入孔33に第1筐体35及び第1強磁性体36を挿入し、次いで、第1離脱防止体37を挿入して押圧力を加え、第1筐体35及び第1離脱防止体37を変形させて、ブロック本体34と一体化し、表面を工作機械で切削加工する。
上記精密バイス用ブロック30,40は、第1強磁性体36から水平方向に磁界が生じる事例で説明したが、垂直方向に磁界が発生する構成とすることもできる。
図7に示す第1強磁性体36は、垂直背面31に対して直角に磁界を発生するもので、両磁極を平行位置に配置している。即ち、ブロック本体34の垂直背面31に対して水平方向に磁極を設けたものである。しかし、図8に示すように、ブロック本体34の底面38に対して垂直に磁界を発生させるように垂直に磁極を配設してもよい。なお、実施の形態において、図示の同一記号及び同一符号は、同一または相当する機能部分であるから、ここではその重複する説明を省略する。
図8において、金属で形成されたブロック本体34は垂直背面31を底面側とし、厚みδ=0.4〜1.0mmを残してエンドミルで長方形の孔、即ち、直方体の孔を形成した。ブロック本体34を構成する磁性体の機械的強度から、底面38を切削加工することができるし、外力を加えて磨き加工する場合にも、窪みや、凹凸ができない。このとき、厚み0.4mmがその最低の厚さδであり、また、厚みδの1.0mmはその最大の厚さであり、厚みδ=1.0mm以上の厚みに増加させると、磁気抵抗が低下し、ブロック本体34内に磁路ができてしまう。
この第2挿入孔73の深さは、ブロック本体34の傾動を防止する主旨で、図8に示す厚肉部32の中心部分に、第2強磁性体76の中心が位置するのが望ましい。
磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の底面38側(第2挿入孔73の底面側)に厚みδ=0.4〜1.0mmとして穿設した第2挿入孔73に対して、厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の第2筐体75を挿入する。厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる第2筐体75には第2強磁性体76が挿入される。または、第2筐体75で第2強磁性体76を包み込み、磁極を垂直方向として、それを第2挿入孔73に挿入する。
第2挿入孔73に第2筐体75及び第2強磁性体76を挿入した後、反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体77を挿入してブロック本体74と一体化する。
エンドミルで形成した第2挿入孔73に第2離脱防止体77を挿入してブロック本体34と一体化するには、第2挿入孔73に第2筐体75及び第2強磁性体76を挿入し、次いで、第2離脱防止体77を挿入して押圧力を加え、第2筐体75及び第2離脱防止体77を変形させて、ブロック本体34と一体化し、表面を工作機械で切削加工する。
この実施の形態の場合は、第2強磁性体76によって生じる磁界が底面38側に形成されるように第2筐体75内に配設したものである。ブロック本体34の垂直背面31と直角の底面38を有し、厚み0.4乃至1.0mmの範囲を底面38側に残して形成した第2挿入孔73は、第2挿入孔73内に配設した0.5乃至2.5mmからなる厚みの反磁性体または非磁性体の第2筐体75は、垂直方向に磁極を有し、底面38が基体11に吸引することにより、ブロック本体34が傾かないようにしている。即ち、第2挿入孔73野長さ方向に対して垂直方向に第2強磁性体76の磁極を設定している。また、第2強磁性体76の磁路は上にも下にも形成されるが、好ましくは、第2強磁性体76の上面も0.5乃至2.5mmからなる厚みの反磁性体または非磁性体で磁路を抑制するのが好ましい。発明者らの実験によれば、第2強磁性体76の上面も0.5乃至2.5mmからなる厚みの反磁性体または非磁性体で磁路を遮蔽すると、底面38側の磁界が大きくなり、吸引力が増加する。しかし、第2強磁性体76の上面側の磁路を形成しても、使用できることを確認した。
図9に示すように、厚肉部32の厚みの中央付近に上からエンドミル等で第2挿入孔83を設けることもできる。
この第2挿入孔83の深さは、ブロック本体34の底面38からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残してエンドミルで穿設する。この厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設するのは、金属で形成されたブロック本体34は磁性体からなり、その磁性体の機械的強度から、この厚みδに設定すれば、表面を切削加工することができるし、外力を加えて磨き加工する場合にも窪みや、突起ができない。厚み0.4mmがその最低の厚さδであり、また、厚みδの1.0mmはその最大の厚さであり、厚み1.0mm以上の厚みに増加させると、磁気抵抗が低下し、ブロック本体34内に磁路ができてしまう。
第2挿入孔83には、厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の第2筐体85に挿入された第2強磁性体86を有する。厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の第2筐体85とは、厚み0.5以下であると、第2強磁性体86を巻き込むだけの材料がないので、第2強磁性体86が移動したり、重心移動があったりして安定な特性が生じる。そこで、厚み0.5〜2.5mmの筒体からなる反磁性体または非磁性体の材料で第2強磁性体86を巻き込み、押圧力を加えて収まるようにしたものである。
第2筐体85及び第2強磁性体86の離脱を防止すべくブロック本体34と一体化した反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体87は、第2筐体85及び第2強磁性体86の離脱を防止だけでなく、内部でそれらが移動することもないように一体に固着するものである。
ここで、本発明を実施する場合の第2強磁性体86としては、円柱状のネオジム磁石を使用した。しかし、第2強磁性体86としては、円柱状に限定されるものではなく、四角柱状、サイコロ状等を使用することもできるし、ネオジム磁石以外の他の磁石としてもよい。
図10は図9に示した第2筐体85及び第2強磁性体86の離脱を防止すべくブロック本体34と一体に固着した反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体87の上面から押圧力を加えて、切削した精密バイス用ブロックの事例を示すものである。図11は図10の垂直背面31側から見た斜視図である。
そして、図12は図7及び図8を用いて押圧力を加えて、切削した事例の精密バイス用ブロックを示すものである。
このように、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の底面38からの厚みδ=0.4〜1.0mmとして穿設した第2挿入孔83に対して、厚み0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体85を挿入する。厚み0.5乃至2.5mmの筒体からなる第2筐体85には第2強磁性体86が挿入される。または、第2筐体85で第2強磁性体86を包み込み、それを第2挿入孔83に挿入する。
第2挿入孔83に第2筐体85及び第2強磁性体86を挿入した後、反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体87を挿入してブロック本体34と一体化する。
第2挿入孔83に第1離脱防止体37を挿入してブロック本体34と一体化するには、第2挿入孔83に第2筐体85及び第2強磁性体86を挿入し、次いで、第1離脱防止体37を挿入して押圧力を加え、第2筐体85及び第2離脱防止体87を変形させて、ブロック本体34と一体化し、表面を工作機械で切削加工する。
図5及び図6は、本発明の実施の形態の精密バイス用ブロックの他の事例の斜視図である。本実施の形態では、被加工物50が薄く、外力を付与しない場合の事例である。
被加工物50が、本実施の形態の精密バイス用ブロック30,40の上端に載置できるように、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の位置をボールネジ18の回転により定める。そして、可動壁16はボールネジ18の先端に取付けられ、ボールネジ18の回転により往復移動する。したがって、可動壁16は遊び(ガタツキ)が殆どなく、移動溝19とボールネジ18によって垂直状態で移動自在となっている。よって、ボールネジ18の端部に配設された調整摘17を回転させることによって、可動壁16が移動し、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40が被加工物50の載置を自在に間隔を狭くでき、その状態で精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40を所定の位置に配設すれば、精密バイスの単位で移動自在な複数種類の機械加工ができる。
このとき、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40とを跨いで、所定の位置に被加工物50を配設すれば、落下することなく、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40との上面で被加工物50を加工できる。ここでは、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40は、精密バイス用ブロック30の垂直背面31側に電界を生じさせる第1強磁性体36を保持ブロック13に吸引させ、また、同様に、精密バイス用ブロック40の底面38側に電界を生じさせる第2強磁性体76,86を可動壁16に吸引させるから、ボールネジ18によって設定した精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40を固定できる。
また、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40を一旦、取り外しても、底面38に吸着させた後、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の間隔を拡張すればよいから、この場合でも、保持ブロック13と可動壁16で設定した感覚を精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40で写し取ることができる。
図5及び図6の事例では、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の位置が安定して固定され、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40とが衝突した状態でも、両者間に隙間が生じていても、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の位置は、精密バイス用ブロック30の第1強磁性体36の垂直背面31側は保持ブロック13に吸引し、また、精密バイス用ブロック40の底面38が第2強磁性体76,86に吸引するから、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40を付け加えることになり、保持ブロック13の位置及び可動壁16の位置も固定できる。
また、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の上端によって水平出しをして常に精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の上端で被加工物50を水平保持できる。勿論、保持ブロック13及び可動壁16の上端を水平としてもよいが、精密バイス用ブロック30と精密バイス用ブロック40の上端を水平とすることもできる。
上記実施の形態の精密バイス用ブロックは、磁性体金属で形成されたブロック本体34と、ブロック本体34の垂直背面31からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して形成してなる第1挿入孔33と、第1挿入孔33内に配設した厚み0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第1筐体35と、磁界が垂直背面31側に形成されるように第1筐体35内に配設した第1強磁性体36と、第1筐体35及び第1強磁性体36の離脱を防止すべくブロック本体34と一体に固着した反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体37と、ブロック本体34の垂直背面31と直角の底面38を有し、厚みδ=0.4〜1.0mmを残して形成した第2挿入孔73,83と、第2挿入孔73,83内に配設した厚み0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体75,85と、磁界が底面38側に形成されるように第2筐体75,85内に配設した第2強磁性体76,86と、第2筐体75,85及び第2強磁性体76,86の離脱を防止すべくブロック本体34と一体に固着した反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体77,87とを具備するものである。
したがって、本実施の形態の精密バイス用ブロック30,40は、第1強磁性体36によって垂直背面31方向に磁界を出して吸引し、また、第2強磁性体76,86によってブロック本体34の垂直背面31と直角の水平方向に磁界を出して吸引するものであるから、ブロック本体34の垂直方向及び水平方向に移動できなくなり、安定した取付け状態が維持できる。
本実施の形態の精密バイス用ブロック30,40は、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の垂直背面31からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第1挿入孔33に、第1強磁性体36を取付けた厚み0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第1筐体35を挿入し、第1筐体35内に反磁性体または非磁性体の第1筐体35を挿入し、第1強磁性体36の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体37によってブロック本体34と一体に固着したものである。
また、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の水平面からの厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第2挿入孔73,83に、第2強磁性体76,86を取付けた厚み0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体75,85を挿入し、第2筐体75,85及び第2強磁性体76,86の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体77,87によってブロック本体34と一体化したものである。
したがって、第1強磁性体36が配設されたブロック本体34の垂直背面31に吸引する面側は、厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第1挿入孔33に、0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第1筐体35内に第1強磁性体36を配設し、第1強磁性体36の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体37で第1挿入孔33に封止したものである。よって、第1挿入孔33に第1筐体35内に第1強磁性体36を配設し、第1筐体35及び第1離脱防止体37に押圧力を加えることにより第1挿入孔33を封止すれば、強磁性体からの磁界はブロック本体34中を磁路とするだけでなく、垂直背面31にある固定ブロック13側にも水平方向の磁路が形成され、固定ブロック13との吸引がなされる。
同時に、第2強磁性体76,86が配設されたブロック本体34の水平面に吸引する面側は、厚みδ=0.4〜1.0mmを残して穿設した第2挿入孔73,83に、0.5乃至2.5mmの反磁性体または非磁性体の第2筐体75,85に第2強磁性体76,86を配設し、第2強磁性体76,86の離脱を防止する反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体77,87で第2挿入孔73,83に封止したものである。したがって、第2挿入孔73,83に第2筐体75,85内に第2強磁性体76,86を配設し、第2筐体75,85及び第2離脱防止体77,87に押圧力を加え前記第2挿入孔73,83を封止すれば、第2強磁性体76,86からの磁界はブロック本体34中を磁路とするだけでなく、垂直背面31にある固定ブロック34側にも垂直方向の磁路が形成され基体11との吸引がなされる。
また、第1強磁性体36で垂直背面31にある固定ブロック13側にも水平方向の磁路が形成され、保持ブロック13との吸引がなされる。同時に、第2強磁性体76,86で水平面にある基体11にブロック本体34の水平面も吸引される。このとき、互いに、第1強磁性体36と第2強磁性体76,86は磁界が水平方向を軸とするものと、垂直方向を軸とするものとの両方が同時に形成される。しかも、厚さδ=0.4〜1.0mmの肉厚を残して第1強磁性体36と第2強磁性体76,86が配設されており、第1強磁性体36と第2強磁性体76,86は反磁性体または非磁性体で閉じられているから、ブロック本体34の随所で磁界のない部位が形成され、精密バイス用ブロック自体に鉄粉が付着しても、ウエスで簡単に除去できる。
また、前記磁性体金属で形成されたブロック本体34の両側には、第1挿入孔33、第1筐体35、第1強磁性体36、第1離脱防止体37及び第2挿入孔73,83、第2筐体75,85、第2強磁性体76,86、第2離脱防止体77,87を配設したものである。
この精密バイス用ブロックは、磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の両側には、第1挿入孔33、第1筐体35、第1強磁性体36、第1離脱防止体37及び第2挿入孔73,83、第2筐体75,85、第2強磁性体76,86、第2離脱防止体77,87を配設したものであるから、ブロック本体34の両側の垂直背面31側とブロック本体34の両側の底面38側に吸引できるので、垂直方向の移動及び水平方向の移動に対して固定できる。
そして、磁性体金属で形成されたブロック本体34の両側には、第1挿入孔33、第1筐体35、第1強磁性体36、第1離脱防止体37によって水平方向の磁界が生じ、同様に、第2挿入孔73,83、第2筐体75,85、第2強磁性体76,86、第2離脱防止体77,87によって水平方向の磁界が生じる。
請求項3の発明の精密バイス用ブロックの磁性体からなる金属で形成されたブロック本体34の両側には、第1挿入孔33、第1筐体35、第1強磁性体36、第1離脱防止体37によって水平方向の磁界が生じ、同様に、第2挿入孔73,83、第2筐体75,85、第2強磁性体76,86、第2離脱防止体77,87によって垂直方向の磁界が生じるものであるから、ブロック本体34を倒れ難くするには、片側でもよいが、精密バイスとして垂直面及び水平面が出ているから、それを利用した方が安定度が高い。
更に、ブロック本体34の両側に配設された第1強磁性体36は、互いに垂直背面31側の磁極を異にするように配設したものである。
したがって、ブロック本体34の両側に配設された第1強磁性体36は、互いに垂直背面31側の磁極を異にするように配設したものであるから、互いに垂直背面31側の磁極を異にすることにより、互いに垂直背面31側が磁束の通過となり、吸引力の強い精密バイス用ブロック30,40が得られる。
本実施の形態のブロック本体34の両側に配設された第2強磁性体76,86は、互いに底面38側の磁極を異にするように配設したものである。
したがって、ブロック本体34の両側に配設された第2強磁性体76,86は、互いに底面38側の磁極を異にするように配設したものであるから、互いに水平面側が磁束の通過となり、吸引力の強い精密バイス用ブロック30,40が得られる。
本実施の形態の精密バイス用ブロック30,30は、水平に磁極を設ける事例を図7で実施の形態として記載し、垂直に磁極を設ける事例を図8及び図9で実施の形態として記載した。しかし、本発明を実施する場合には、水平方向に磁極を設ける事例と垂直方向に磁極を設ける事例との組み合わせであればよい。
なお、本発明の実施の形態では、第1強磁性体36によって垂直背面31方向に磁界を出して吸引し、また、第2強磁性体76,86によってブロック本体34の垂直背面31と直角の水平方向に磁界を出して吸引するものであるから、ブロック本体34の垂直方向及び水平方向に移動できなくなり、安定した取付け状態が維持できる。
また、本発明を実施する場合に、第1強磁性体36によって垂直背面31方向に磁界を出して吸引するもの、第2強磁性体76,86によってブロック本体34の底面38に磁界を出して吸引するものにより、直角に交差する磁極が形成できればよいから、第1強磁性体36と第2強磁性体76,86が、任意の直角に交差する磁極を形成すればよい。
11 基体
12 保持ブロック
13 保持ブロック
16 可動壁
18 ボールネジ
30 精密バイス用ブロック
31 垂直背面
33 第1挿入孔
34 ブロック本体
35 第1筐体
36 第1強磁性体
37 第1離脱防止体
38 底面
40 精密バイス用ブロック
50 被加工物
73,83 第2挿入孔
75,85 第2筐体
76,86 第2強磁性体
77,87 第2離脱防止体

Claims (5)

  1. 磁性体金属で形成されたブロック本体と、
    前記ブロック本体の垂直背面からの厚み0.4乃至1.0mmの範囲を残して形成してなる第1挿入孔と、
    前記第1挿入孔内に配設した反磁性体または非磁性体の第1筐体と、
    磁界が前記垂直背面側に形成されるように前記第1筐体内に配設した第1強磁性体と、
    前記第1筐体及び前記第1強磁性体の離脱を防止すべく前記ブロック本体と一体に固着した反磁性体または非磁性体からなる第1離脱防止体と、
    前記ブロック本体の前記垂直背面と直角の底面からの厚み0.4乃至1.0mmの範囲を残して形成した第2挿入孔と、
    前記第2挿入孔内に配設した反磁性体または非磁性体の第2筐体と、
    磁界が前記底面側に形成されるように前記第2筐体内に配設した第2強磁性体と、
    前記第2筐体及び前記第2強磁性体の離脱を防止すべく前記ブロック本体と一体に固着した反磁性体または非磁性体からなる第2離脱防止体と
    を具備したことを特徴とする精密バイス用ブロック。
  2. 前記磁性体金属で形成されたブロック本体の両側には、第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体及び第2挿入孔、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体を配設したことを特徴とする請求項1に記載の精密バイス用ブロック。
  3. 前記磁性体金属で形成されたブロック本体の両側には、第1挿入孔、第1筐体、第1強磁性体、第1離脱防止体によって水平方向の磁界が生じ、同様に、第2挿入孔、第2筐体、第2強磁性体、第2離脱防止体によって垂直方向の磁界が生じることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の精密バイス用ブロック。
  4. 前記ブロック本体の両側に配設された第1強磁性体は、互いに垂直背面側の磁極を異にするように配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の精密バイス用ブロック。
  5. 前記ブロック本体の両側に配設された第2強磁性体は、互いに底面側の磁極を異にするように配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の精密バイス用ブロック。
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