本発明は、複動形の流体圧式アクチュエータの動作を流体の流量調節により自在に制御できるようにするものである。
本発明は、流体の圧力により作動する、流体を出し入れするための第1流体ポートおよび第2流体ポートの二つのポートを有する複動形のアクチュエータの動作制御器に関するものである。この動作制御器は、アクチュエータへ流体を供給するための第1制御器と、アクチュエータからの流体を排出するための第2制御器とを備えている。
第1制御器は、流体の導入ポート、導入ポートからの流体を第1流体ポートへ送るための第1供給ポート、導入ポートからの流体を第2流体ポートへ送るための第2供給ポート、第1通気孔および第2通気孔を有し、第1供給ポートおよび第2供給ポートにそれぞれ個別に連絡する第1環状溝および第2環状溝が内周面に設けられた筒状の第1ケースと、第1ケース内に収容された、導入ポートと第1通気孔との間で第1ケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、導入ポートからの流体を第1供給ポートへ案内するための、第1環状溝に連絡可能な第1供給流路を外周部に有する、導入ポートと第1供給ポートとの連絡を遮断可能な第1弁体と、第1ケース内に収容された、導入ポートと第2通気孔との間で第1ケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、導入ポートからの流体を第2供給ポートへ案内するための、第2環状溝に連絡可能な第2供給流路を外周部に有する、導入ポートと第2供給ポートとの連絡を遮断可能な第2弁体と、第1ケースから少なくとも一部が突出する、第1弁体および第2弁体を連動して第1ケースの軸方向へ移動させるための第1操作桿とを備えている。
ここで、第1供給流路は、第1弁体が第1通気孔側へ移動するに従って第1環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第1弁体が導入ポート側へ移動するに従って第1環状溝への流体の流量が減少するよう形成されている。第2供給流路は、第2弁体が第2通気孔側へ移動するに従って第2環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第2弁体が導入ポート側へ移動するに従って第2環状溝への流体の流量が減少するよう形成されている。そして、第1弁体と第2弁体とは、第1操作桿により移動させることで、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝とが連絡した状態、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝との連絡が断たれた状態、および、第2供給流路と第2環状溝とが連絡しかつ第1供給流路と第1環状溝との連絡が断たれた状態のいずれかに設定可能である。
第2制御器は、第1流体ポートからの流体を導入するための第1流入ポート、第1流入ポートから導入された流体を排出するための第1排出ポート、第2流体ポートからの流体を導入するための第2流入ポート、第2流入ポートから導入された流体を排出するための第2排出ポートおよび通気ポートを有し、第1流入ポートおよび第2流入ポートにそれぞれ個別に連絡する第3環状溝および第4環状溝が内周面に設けられた筒状の第2ケースと、第2ケース内に収容された、第1排出ポートと通気ポートとの間で第2ケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、第1流入ポートから導入された流体を第1排出ポートへ案内するための、第3環状溝に連絡可能な第1排出流路を外周部に有する、第1流入ポートと第1排出ポートとの連絡を遮断可能な第3弁体と、第2ケース内に収容された、第2排出ポートと通気ポートとの間で第2ケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、第2流入ポートから導入された流体を第2排出ポートへ案内するための、第4環状溝に連絡可能な第2排出流路を外周部に有する、第2流入ポートと第2排出ポートとの連絡を遮断可能な第4弁体と、第2ケースから少なくとも一部が突出する、第3弁体を第2ケースの軸方向へ移動させるための第2操作桿と、第2ケースから少なくとも一部が突出する、第4弁体を第2ケースの軸方向へ移動させるための第3操作桿とを備えている。
ここで、第1排出流路は、第3弁体が通気ポート側へ移動するに従って第3環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第3弁体が第1排出ポート側へ移動するに従って第3環状溝への流体の流量が減少するよう形成されており、第2排出流路は、第4弁体が通気ポート側へ移動するに従って第4環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第4弁体が第2排出ポート側へ移動するに従って第4環状溝への流体の流量が減少するよう形成されている。
この動作制御器の第1制御器において、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝とが連絡した状態に第1弁体と第2弁体とが第1ケース内で位置するとき、導入ポートから第1ケースに導入される流体は、第1供給流路から第1環状溝へ流れ、同時に第2供給流路から第2環状溝へ流れる。これにより、第1供給ポートからアクチュエータの第1流体ポートへ流体が流れ、同時に第2供給ポートからアクチュエータの第2流体ポートへ流体が流れる。このとき、第2制御器において、第1流入ポートと第1排出ポートとの連絡が遮断されるよう第2操作桿により第3弁体を移動し、かつ、第2流入ポートと第2排出ポートとの連絡が遮断されるよう第2操作桿により第4弁体を移動すると、アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートからの流体の漏出が阻止される。
第1操作桿を操作することで、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝との連絡が断たれた状態になるよう第1弁体と第2弁体とを移動し、この状態が維持される範囲で第1操作桿により第1弁体と第2弁体とを移動すると、その移動量および移動速度に応じて第1供給流路から第1環状溝へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従して第1供給ポートからアクチュエータの第1流体ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
このとき、第2制御器において、第3操作桿の操作により第2排出流路と第4環状溝とが連絡する状態になるよう第4弁体を移動すると、アクチュエータの第2流体ポートからの流体が第2流入ポートから第4環状溝へ流入する。そして、この流体は、第4環状溝から第2排出流路へ流れ、さらに第2排出ポートを通じて第2ケース外へ排出される。第4弁体は、第3操作桿の移動量および移動速度に応じて移動することから、その移動量および移動速度に応じて第4環状溝から第2排出流路へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従してアクチュエータの第2流体ポートから第2流入ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
このように、第1操作桿を操作することで第1制御器からアクチュエータの第1流体ポートへ流れる流体の流量および流速を調節し、また、第3操作桿を操作することでアクチュエータの第2流体ポートから第2制御器の第2流入ポートへ流れる流体の流量および流速を調節すると、これに追従してアクチュエータの動作が変化する。このとき、第1操作桿と第3操作桿とを独立して操作することができることから、第1制御器からアクチュエータの第1流体ポートへ流れる流体の流量および流速並びにアクチュエータの第2流体ポートから第2制御器の第2流入ポートへ流れる流体の流量および流速をそれぞれ独立して調節することができ、それによってアクチュエータの動作を微妙に制御することができる。
一方、第1操作桿の操作により第2供給流路と第2環状溝とが連絡しかつ第1供給流路と第1環状溝との連絡が断たれた状態になるよう第1弁体と第2弁体とを移動し、この状態が維持される範囲で第1操作桿により第1弁体と第2弁体とを移動すると、その移動量および移動速度に応じて第2供給流路から第2環状溝へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従して第2供給ポートからアクチュエータの第2流体ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
このとき、第2制御器において、第2操作桿の操作により第1排出流路と第3環状溝とが連絡する状態になるよう第3弁体を移動すると、アクチュエータの第1流体ポートからの流体が第1流入ポートから第3環状溝へ流入する。そして、この流体は、第3環状溝から第1排出流路へ流れ、さらに第1排出ポートを通じて第2ケース外へ排出される。第3弁体は、第2操作桿の移動量および移動速度に応じて移動することから、その移動量および移動速度に応じて第3環状溝から第1排出流路へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従してアクチュエータの第1流体ポートから第1流入ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
このように、第1操作桿を操作することで第1制御器からアクチュエータの第2流体ポートへ流れる流体の流量および流速を調節し、また、第2操作桿を操作することでアクチュエータの第1流体ポートから第2制御器の第1流入ポートへ流れる流体の流量および流速を調節すると、これに追従してアクチュエータの動作が変化する。このとき、第1操作桿と第2操作桿とを独立して操作することができることから、第1制御器からアクチュエータの第2流体ポートへ流れる流体の流量および流速並びにアクチュエータの第1流体ポートから第2制御器の第1流入ポートへ流れる流体の流量および流速をそれぞれ独立して調節することができ、それによってアクチュエータの動作を微妙に制御することができる。
以上のように、この動作制御器によれば、第1操作桿、第2操作桿および第3操作桿の操作を組合せることで、アクチュエータの動作を制御することができる。
本発明の動作制御器の一例において、第1供給流路および第2供給流路は、それぞれ第1弁体および第2弁体の外周面に形成された、それぞれ第1弁体および第2弁体の導入ポート側の端面から他方側の端面方向へ延びる溝であり、第1排出流路および第2排出流路は、それぞれ第3弁体および第4弁体の外周面に形成された、それぞれ第3弁体の第1排出ポート側の端面および第4弁体の第2排出ポート側の端面から他方側の端面方向へ延びる溝である。
この場合、第1弁体および第2弁体は、それぞれ複数の第1供給流路および第2供給流路を有していてもよく、また、第3弁体および第4弁体は、それぞれ複数の第1排出流路および第2排出流路を有していてもよい。
また、本発明の動作制御器の他の一例において、第1供給流路および第2供給流路は、それぞれ第1弁体および第2弁体の導入ポート側の端面から他方側の端面方向に向けて径が拡大するテーパー状にそれぞれ第1弁体および第2弁体の外周面を成形することで形成されており、また、第1排出流路および第2排出流路は、それぞれ第3弁体および第4弁体のそれぞれ第1排出ポート側の端面および第2排出ポート側の端面から他方側の端面方向に向けて径が拡大するテーパー状にそれぞれ第3弁体および第4弁体の外周面を成形することで形成されている。
本発明の動作制御器の第1制御器において、第1弁体および第2弁体は、第1ケースの軸方向の相互の間隔を調節可能に設定することができる。
他の観点に係る本発明は、流体の圧力により作動する、流体を出し入れするための第1流体ポートおよび第2流体ポートの二つのポートを有する複動形のアクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートへの流体の供給を制御するための供給制御器に関するものである。
この供給制御器は、流体の導入ポート、導入ポートからの流体を第1流体ポートへ送るための第1供給ポート、導入ポートからの流体を第2流体ポートへ送るための第2供給ポート、第1通気孔および第2通気孔を有し、第1供給ポートおよび第2供給ポートにそれぞれ個別に連絡する第1環状溝および第2環状溝が内周面に設けられた筒状のケースと、ケース内に収容された、導入ポートと第1通気孔との間でケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、導入ポートからの流体を第1供給ポートへ案内するための、第1環状溝に連絡可能な第1供給流路を外周部に有する、導入ポートと第1供給ポートとの連絡を遮断可能な第1弁体と、ケース内に収容された、導入ポートと第2通気孔との間でケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、導入ポートからの流体を第2供給ポートへ案内するための、第2環状溝に連絡可能な第2供給流路を外周部に有する、導入ポートと第2供給ポートとの連絡を遮断可能な第2弁体と、ケースから少なくとも一部が突出する、第1弁体および第2弁体を連動してケースの軸方向へ移動させるための操作桿とを備えている。
ここで、第1供給流路は、第1弁体が第1通気孔側へ移動するに従って第1環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第1弁体が導入ポート側へ移動するに従って第1環状溝への流体の流量が減少するよう形成されており、第2供給流路は、第2弁体が第2通気孔側へ移動するに従って第2環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第2弁体が導入ポート側へ移動するに従って第2環状溝への流体の流量が減少するよう形成されている。第1弁体と第2弁体とは、操作桿により移動させることで、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝とが連絡した状態、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝との連絡が断たれた状態、および、第2供給流路と第2環状溝とが連絡しかつ第1供給流路と第1環状溝との連絡が断たれた状態のいずれかに設定可能である。
この供給制御器において、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝とが連絡した状態に第1弁体と第2弁体とがケース内で位置するとき、導入ポートからケースに導入される流体は、第1供給流路から第1環状溝へ流れ、同時に第2供給流路から第2環状溝へ流れる。これにより、第1供給ポートからアクチュエータの第1流体ポートへ流体が流れ、同時に第2供給ポートからアクチュエータの第2流体ポートへ流体が流れる。
操作桿を操作することで、第1供給流路と第1環状溝とが連絡しかつ第2供給流路と第2環状溝との連絡が断たれた状態になるよう第1弁体と第2弁体とを移動し、この状態が維持される範囲で操作桿により第1弁体と第2弁体とを移動すると、その移動量および移動速度に応じて第1供給流路から第1環状溝へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従して第1供給ポートからアクチュエータの第1流体ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
一方、操作桿の操作により第2供給流路と第2環状溝とが連絡しかつ第1供給流路と第1環状溝との連絡が断たれた状態になるよう第1弁体と第2弁体とを移動し、この状態が維持される範囲で操作桿により第1弁体と第2弁体とを移動すると、その移動量および移動速度に応じて第2供給流路から第2環状溝へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従して第2供給ポートからアクチュエータの第2流体ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
このように、この供給制御器によれば、操作桿の操作により、アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートへの流体の供給を制御することができる。
さらに他の観点に係る本発明は、流体の圧力により作動する、流体を出し入れするための第1流体ポートおよび第2流体ポートの二つのポートを有する複動形のアクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートから排出される流体を制御するための排出制御器に関するものである。
この排出制御器は、第1流体ポートからの流体を導入するための第1流入ポート、第1流入ポートから導入された流体を排出するための第1排出ポート、第2流体ポートからの流体を導入するための第2流入ポート、第2流入ポートから導入された流体を排出するための第2排出ポートおよび通気ポートを有し、第1流入ポートおよび第2流入ポートにそれぞれ個別に連絡する第1環状溝および第2環状溝が内周面に設けられた筒状のケースと、ケース内に収容された、第1排出ポートと通気ポートとの間でケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、第1流入ポートから導入された流体を第1排出ポートへ案内するための、第1環状溝に連絡可能な第1排出流路を外周部に有する、第1流入ポートと第1排出ポートとの連絡を遮断可能な第1弁体と、ケース内に収容された、第2排出ポートと通気ポートとの間でケースの軸方向へ移動可能であり、かつ、第2流入ポートから導入された流体を第2排出ポートへ案内するための、第2環状溝に連絡可能な第2排出流路を外周部に有する、第2流入ポートと第2排出ポートとの連絡を遮断可能な第2弁体と、ケースから少なくとも一部が突出する、第1弁体をケースの軸方向へ移動させるための第1操作桿と、ケースから少なくとも一部が突出する、第2弁体をケースの軸方向へ移動させるための第2操作桿とを備えている。
ここで、第1排出流路は、第1弁体が通気ポート側へ移動するに従って第1環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第1弁体が第1排出ポート側へ移動するに従って第1環状溝への流体の流量が減少するよう形成されており、また、第2排出流路は、第2弁体が通気ポート側へ移動するに従って第2環状溝への流体の流量が増加し、かつ、第2弁体が第2排出ポート側へ移動するに従って第2環状溝への流体の流量が減少するよう形成されている。
この排出制御器において、第1操作桿の操作により第1排出流路と第1環状溝とが連絡する状態になるよう第1弁体を移動すると、アクチュエータの第1流体ポートからの流体が第1流入ポートから第1環状溝へ流入する。そして、この流体は、第1環状溝から第1排出流路へ流れ、さらに第1排出ポートを通じてケース外へ排出される。第1弁体は、第1操作桿の移動量および移動速度に応じて移動することから、その移動量および移動速度に応じて第1環状溝から第1排出流路へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従してアクチュエータの第1流体ポートから第1流入ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
一方、第2操作桿の操作により第2排出流路と第2環状溝とが連絡する状態になるよう第2弁体を移動すると、アクチュエータの第2流体ポートからの流体が第2流入ポートから第2環状溝へ流入する。そして、この流体は、第2環状溝から第2排出流路へ流れ、さらに第2排出ポートを通じてケース外へ排出される。第2弁体は、第2操作桿の移動量および移動速度に応じて移動することから、その移動量および移動速度に応じて第2環状溝から第2排出流路へ流れる流体の流量および流速が増減する。これに追従してアクチュエータの第2流体ポートから第2流入ポートへ流れる流体の流量および流速が増減する。
このように、この排出制御器によれば、第1操作桿および第2操作桿の操作により、アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートからの流体の排出を個別に制御することができる。
本発明の動作制御器は、複動形の流体圧式アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートに供給する流体並びにこれらのポートから排出する流体の流量や流速を調節することができるため、複動形の流体圧式アクチュエータの動作を自在に制御することができる。
本発明の供給制御器は、複動形の流体圧式アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートに供給する流体の流量を調節することができる。
本発明の排出制御器は、複動形の流体圧式アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートから排出する流体の流量を個別に調節することができる。
図1を参照し、本発明の実施の一形態に係る動作制御器を用いた複動形アクチュエータ装置を説明する。図1において、複動形アクチュエータ装置100は、複動形アクチュエータである複動形のエアシリンダ110、このエアシリンダ110の動作を制御するための動作制御器120並びにエアシリンダ110と動作制御器120との間で圧縮空気を流通するための第1経路130および第2経路140を備えている。
エアシリンダ110は、円筒状のシリンダ111およびシリンダ111内を第1空圧室112と第2空圧室113とに区画するピストン114を主に備えている。第1空圧室112は、端面の中心部に開口116を有し、また、外周部の端面付近に圧縮空気の第1出入りポート117を有している。第2空圧室113は、外周部の端面付近に圧縮空気の第2出入りポート118を有している。ピストン114は、シリンダ111の軸方向に移動可能であり、中心部からシリンダ111の軸方向に延びるロッド119を有している。ロッド119は、第1空圧室112の開口116から出入り可能に一部が突出している。
動作制御器120は、エアシリンダ110に対して供給する圧縮空気を制御するための供給制御器200と、エアシリンダ110から排出される圧縮空気を制御するための排出制御器300とを備えている。
供給制御器200は、プレッシャセンタ式のものであり、第1ケース210、弁体220および第1操作桿230を主に備えている。第1ケース210は、円筒状に形成されており、その外周面に設けられた導入ポート211、第1供給ポート212および第2供給ポート213、その一方の端面に設けられた第1通気孔214並びにその他方の端面に設けられた第2通気孔215を有している。導入ポート211は、第1供給ポート212および第2供給ポート213と対面する側において、第1供給ポート212と第2供給ポート213とに挟まれた位置関係であって第1ケース210の軸方向の中央部に設けられている。
導入ポート211は、圧縮空気を第1ケース210内に導入するための入り口であり、コンプレッサー等の圧縮空気の供給源(図示省略)に連絡している。第1供給ポート212は、エアシリンダ110の第1出入りポート117へ圧縮空気を供給するための出口である。第2供給ポート213は、エアシリンダ110の第2出入りポート118へ圧縮空気を供給するための出口である。導入ポート211、第1供給ポート212および第2供給ポート213は、いずれも、内周面側の開口径が小さく設定され、外周面側の開口径が大きく設定されている。
第1通気孔214は、第1ケース210の第1供給ポート212側の端面の中心に設けられており、第1ケース210の内外での通気を確保するためのものである。第2通気孔215は、第1ケース210の第2供給ポート213側の端面の中心に設けられており、第1ケース210の内外での通気を確保するためのものである。
第1ケース210の内周面には、第1ケース210の軸を中心とする第1環状溝216および第2環状溝217の二つの環状溝が間隔を設けて形成されている。そして、第1供給ポート212は第1環状溝216の幅方向の中央部で開口し、第2供給ポート213は第2環状溝217の幅方向の中央部で開口している。
弁体220は、第1ケース210内に収容された、第1ケース210の軸方向に移動可能な円柱状のものであり、第1弁体221、第2弁体222および連結体223を有している。
第1弁体221は、導入ポート211と第1通気孔214との間で移動可能であり、外周面が第1環状溝216と対面している。また、第1弁体221は、導入ポート211からの圧縮空気を第1供給ポート212へ案内するための第1供給流路221aを外周部に有している。
第1供給流路221aは、第1弁体221の導入ポート211側の端面から他方の端面方向(第1通気孔214方向)へ延び、かつ、導入ポート211側の端面が開口し、第1弁体221が導入ポート211と第1通気孔214との中間に位置するときに頂点部分が第1環状溝216と連絡するよう形成された、深さを一定にして切り欠いた二等辺三角形状の溝である。このため、第1供給流路221aは、第1弁体221が第1通気孔214方向へ移動するに従って、第1環状溝216と対面する面積が大きくなり、逆に、第1弁体221が導入ポート211方向へ移動するに従って、第1環状溝216と対面する面積が小さくなる。また、第1供給流路221aは、第1弁体221がさらに導入ポート211方向へ移動することで第1環状溝216との連絡が断たれる。このとき、第1弁体221は、導入ポート211と第1供給ポート212との連絡を遮断した状態になる。
第2弁体222は、導入ポート211と第2通気孔215との間で移動可能であり、外周面が第2環状溝217と対面している。また、第2弁体222は、導入ポート211からの圧縮空気を第2供給ポート213へ案内するための第2供給流路222aを外周部に有している。
第2供給流路222aは、第2弁体222の導入ポート211側の端面から他方の端面方向(第2通気孔215方向)へ延び、かつ、導入ポート211側の端面が開口し、第2弁体222が導入ポート211と第2通気孔215との中間に位置するときに頂点部分が第2環状溝217と連絡するよう形成された、深さを一定にして切り欠いた二等辺三角形状の溝である。このため、第2供給流路222aは、第2弁体222が第2通気孔215方向へ移動するに従って、第2環状溝217と対面する面積が大きくなり、逆に、第2弁体222が導入ポート211方向へ移動するに従って、第2環状溝217と対面する面積が小さくなる。また、第2供給流路222aは、第2弁体222がさらに導入ポート211方向へ移動することで第2環状溝217との連絡が断たれる。このとき、第2弁体222は、導入ポート211と第2供給ポート213との連絡を遮断した状態になる。
なお、第2供給流路222aは、大きさおよび容量が第1供給流路221aと同じに設定されている。
連結体223は、第1弁体221および第2弁体222より小径に形成されており、第1弁体221と第2弁体222とを連結している。ここで、連結体223は、図1に示すように、第1弁体221の第1供給流路221aがその頂点部分において第1環状溝216と対面することで連絡するとき、第2弁体222の第1供給流路222aもその頂点部分において第2環状溝217と対面するよう、第1弁体221と第2弁体222との間隔を設定している。
第1操作桿230は、弁体220を第1ケース210内で移動させるためのものであり、第1弁体221および第2弁体222と同軸の棒状であって第1弁体221と一体化している。第1操作桿230は、第1通気孔214から第1ケース210の外部へ一部が突出しており、第1ケース210に対して出し入れすることで第1ケース210内で弁体220を移動させることができる。したがって、第1操作桿230を出し入れすることで、第1弁体221および第2弁体222は、第1ケース210内で同方向へ連動して移動する。
排出制御器300は、第2ケース310、第3弁体320および第4弁体330を主に備えている。第2ケース310は、円筒状に形成されており、その外周面に設けられた第1流入ポート311、第2流入ポート312および通気ポート313、その一方の端面に設けられた第1排出ポート314並びにその他方の端面に設けられた第2排出ポート315を有している。
通気ポート313は、第2ケース310の内外での通気を確保するためのものであり、第1流入ポート311および第2流入ポート312と対面する側において、第1流入ポート311と第2流入ポート312とに挟まれた位置関係であって第2ケース310の軸方向の中央部に設けられている。第1流入ポート311は、エアシリンダ110の第1出入りポート117からの圧縮空気を導入するための入り口である。第2流入ポート312は、エアシリンダ110の第2出入りポート118からの圧縮空気を導入するための入り口である。通気ポート313、第1流入ポート311および第2流入ポート312は、いずれも、内周面側の開口径が小さく設定され、外周面側の開口径が大きく設定されている。
第1排出ポート314は、第2ケース310の第1流入ポート311側の端面の中心に設けられており、第1流入ポート311から第2ケース310内に導入された圧縮空気を排出するためのものである。第2排出ポート315は、第2ケース310の第2流入ポート312側の端面の中心に設けられており、第2流入ポート312から第2ケース310内に導入された圧縮空気を排出するためのものである。
第2ケース310の内周面には、第2ケース310の軸を中心とする第3環状溝316および第4環状溝317の二つの環状溝が間隔を設けて形成されている。そして、第1流入ポート311は第3環状溝316の幅方向の中央部で開口し、第2流入ポート312は第4環状溝317の幅方向の中央部で開口している。
第3弁体320は、第2ケース310内に収容された円柱状のものであり、通気ポート313と第1排出ポート314との間で第2ケース310の軸方向に移動可能であって、外周面が第3環状溝316と対面している。また、第3弁体320は、第1流入ポート311からの圧縮空気を第1排出ポート314へ案内するための第1排出流路320aを外周部に有している。
第1排出流路320aは、第3弁体320の第1排出ポート314側の端面から他方の端面方向(通気ポート313方向)へ延び、かつ、第1排出ポート314側の端面が開口し、頂点部分が第3弁体320の軸方向の中央部近傍に位置するよう形成された、深さを一定にして切り欠いた二等辺三角形状の溝である。このため、第1排出流路320aは、第3弁体320が通気ポート313方向へ移動するに従って、第3環状溝316と対面する面積が大きくなり、逆に、第3弁体320が第1排出ポート314方向へ移動するに従って、第3環状溝316と対面する面積が小さくなる。また、第1排出流路320aは、第3弁体320がさらに第1排出ポート314方向へ移動することで第3環状溝316との連絡が断たれる。このとき、第3弁体320は、第1流入ポート311と第1排出ポート314との連絡を遮断した状態になる。
第3弁体320は、第2操作桿340を有している。第2操作桿340は、第3弁体320を第2ケース310内で移動させるためのものであり、第3弁体320と同軸の棒状であって第3弁体320と一体化している。第2操作桿340は、第1排出ポート314から第2ケース310の外部へ一部が突出しており、第2ケース310に対して出し入れすることで第2ケース310内において第3弁体320を移動させることができる。
第4弁体330は、第3弁体320とは独立して第2ケース310内に収容された円柱状のものであり、通気ポート313と第2排出ポート315との間で第2ケース310の軸方向に移動可能であって、外周面が第4環状溝317と対面している。また、第4弁体330は、第2流入ポート312からの圧縮空気を第2排出ポート315へ案内するための第2排出流路330aを外周部に有している。
第2排出流路330aは、第4弁体330の第2排出ポート315側の端面から他方の端面方向(通気ポート313方向)へ延び、かつ、第2排出ポート315側の端面が開口し、頂点部分が第4弁体330の軸方向の中央部近傍に位置するよう形成された、深さを一定にして切り欠いた二等辺三角形状の溝である。このため、第2排出流路330aは、第4弁体330が通気ポート313方向へ移動するに従って、第4環状溝317と対面する面積が大きくなり、逆に、第4弁体330が第2排出ポート315方向へ移動するに従って、第4環状溝317と対面する面積が小さくなる。また、第2排出流路330aは、第4弁体330がさらに第2排出ポート315方向へ移動することで第4環状溝317との連絡が断たれる。このとき、第4弁体330は、第2流入ポート312と第2排出ポート315との連絡を遮断した状態になる。
なお、第2排出流路330aは、大きさおよび容量が第1排出流路320aと同じに設定されている。
第4弁体330は、第3操作桿350を有している。第3操作桿350は、第4弁体350を第2ケース310内で移動させるためのものであり、第4弁体330と同軸の棒状であって第4弁体330と一体化している。第3操作桿350は、第2排出ポート315から第2ケース310の外部へ一部が突出しており、第2ケース310に対して出し入れすることで第2ケース310内において第4弁体330を移動させることができる。
第1経路130は、エアシリンダ110の第1出入りポート117から延びて二股に分岐しており、一方の分岐路が供給制御器200の第1供給ポート212に連絡し、他方の分岐路が排出制御器300の第1流入ポート311に連絡している。
第2経路140は、エアシリンダ110の第2出入りポート118から延びて二股に分岐しており、一方の分岐路が供給制御器200の第2供給ポート213に連絡し、他方の分岐路が排出制御器300の第2流入ポート312に連絡している。
動作制御器120の供給制御器200および排出制御器300において、それぞれ第1弁体221、第2弁体222、第3弁体320および第4弁体330が図1に示すように位置しているとき、供給制御器200の導入ポート211へ供給される圧縮空気は、第1弁体221の第1供給流路221aから第1環状溝216へ流れ、さらに第1供給ポート212から第1経路130へ流れる。そして、この圧縮空気は、第1出入りポート117からシリンダ111の第1空圧室112内へ供給される。同時に、導入ポート211へ供給される圧縮空気は、第2弁体222の第2供給流路222aから第2環状溝217へ流れ、さらに第2供給ポート213から第2経路140へ流れる。そして、この圧縮空気は、第2出入りポート118からシリンダ111の第2空圧室113内へ供給される。
一方、排出制御器300は、第3弁体320が第1流入ポート311と第1排出ポート314との連絡を遮断し、また、第4弁体330が第2流入ポート312と第2排出ポート315との連絡を遮断した状態にあることから、第1経路130および第2経路140が排出制御器300に対して不通状態になる。
この結果、第1空圧室112と第2空圧室113とで内圧が釣り合い、ピストン114はシリンダ111の略中央部に位置する中立状態に維持される。
供給制御器200において、第1操作桿230を突出方向(図1の矢印A方向)へ操作すると、第1ケース210内で弁体220が第1通気孔214方向へ移動する。このとき、第1弁体221の移動に従って第1環状溝216に対する第1供給流路221aの対面面積が無段階に増加し、導入ポート211から第1供給流路221aを通じて第1環状溝216へ流れる圧縮空気の流量が滑らかに増加する。そして、これに追従して第1供給ポート212、第1経路130および第1出入りポート117を通じてシリンダ111の第1空圧室112内へ流れる圧縮空気の流量が増加し、第1空圧室112の内圧が滑らかに上昇する。
一方、第2弁体222は、第1弁体221と連動して第1通気孔214方向へ移動し、第2供給流路222aと第2環状溝217との連絡を遮断する。これにより、導入ポート211と第2供給ポート213との連絡が断たれ、シリンダ111の第2空圧室113への圧縮空気の供給が止まる。
上述のように第1操作桿230を突出方向に操作したとき、併せて、排出制御器300において第3操作桿350を押し込み方向(図1の矢印C方向)へ操作すると、第4弁体330が通気ポート313方向へ移動し、第2排出流路330aが第4環状溝317と対面する。これにより、シリンダ111の第2空圧室113内の圧縮空気が第2出入りポート118から第2経路140を通じて第2流入ポート312へ流れ、第2排出流路330aおよび第4環状溝317を通じて第2排出ポート315から第2ケース310の外部へ排出される。
このとき、第4弁体330の移動に従って第4環状溝317に対する第2排出流路330aの対面面積が無段階に増加し、第2流入ポート312から第2排出流路330aを通じて第4環状溝317へ流れる圧縮空気の流量が滑らかに増加する。そして、これに追従して第2空圧室113から第2出入りポート118を通じて排出される圧縮空気の流量が増加し、第2空圧室113の内圧が滑らかに低下する。
以上のように第1操作桿230と第3操作桿350とを操作すると、シリンダ111の第1空圧室112の内圧が上昇するのに対して第2空圧室113の内圧が低下することから、ピストン114は第2空圧室113方向へ移動する。この結果、エアシリンダ110において、ロッド119が進入方向(図1の矢印X方向)へ移動する。
上述のような第1操作桿230と第3操作桿350との操作時に、併せて第2操作桿340を操作することもできる。すなわち、第2操作桿340を押し込み方向(図1の矢印E方向)に操作すると、第3弁体320が通気ポート313方向へ移動し、第1排出流路320aが第3環状溝316と対面する。これにより、供給制御器200の第1供給ポート212から第1経路130へ流れる圧縮空気は、一部が排出制御器300の第1流入ポート311へ流れ、第1排出流路320aおよび第3環状溝316を通じて第1排出ポート314から第2ケース310の外部へ排出される。
このとき、第3弁体320の移動に従って第3環状溝316に対する第1排出流路320aの対面面積が無段階に増加し、第1流入ポート311から第1排出流路320aを通じて第3環状溝316へ流れる圧縮空気の流量が滑らかに増加する。これに追従し、供給制御器200の第1供給ポート212から第1経路130へ流れる圧縮空気のうち、排出制御器300へ流れて第1排出ポート314から排出される圧縮空気の量が増加する。一方、第2操作桿340を突出方向(図1の矢印F方向)に操作すると、第3弁体320が第1排出ポート314方向へ移動し、それに従って第3環状溝316に対する第1排出流路320aの対面面積が無段階に減少する。これに追従し、排出制御器300の第1ポート314から排出される圧縮空気の量が減少する。
したがって、排出制御器300の第1排出ポート314から排出される圧縮空気の量は、第2操作桿340を押し込み方向または突出方向のいずれかに操作することで増減することができる。
このように第2操作桿340を併せて操作することで、供給制御器200の第1供給ポート212から第1経路130へ流れる圧縮空気の量、すなわち、シリンダ111の第1空圧室112へ供給する圧縮空気の量をより微妙に制御することができ、それによってロッド119の動作をより微妙に制御することができる。
供給制御器200において、第1操作桿230を逆方向、すなわち、第1ケース210への押し込み方向(図1の矢印B方向)へ操作すると、第1ケース210内で弁体220が第2通気孔235方向へ移動する。このとき、第1弁体221の移動に従って第1環状溝216に対する第1供給流路221aの対面面積が無段階に減少し、それによって導入ポート211から第1供給流路221aを通じて第1環状溝216へ流れる圧縮空気の流量が徐々に減少する。これに追従して第1供給ポート212、第1経路130および第1出入りポート117を通じてシリンダ111の第1空圧室112内へ流れる圧縮空気の流量が減少する。
第1操作桿230をさらに押し込み方向へ操作すると、第1弁体221と連動する第2弁体222の第2供給流路222aが第2環状溝217と連絡する。これにより、導入ポート211へ供給される圧縮空気は、第2供給流路222aから第2環状溝217へ流れ、第2供給ポート213および第2経路140を経て第2出入りポート118からシリンダ111の第2空圧室113内へ供給され始める。
第1操作桿230をさらに押し込み方向へ操作すると、第2弁体222の移動に従って第2環状溝217に対する第2供給流路222aの対面面積が無段階に増加し、導入ポート211から第2供給流路222aを通じて第2環状溝217へ流れる圧縮空気の流量が滑らかに増加する。そして、これに追従して第2供給ポート213から第2経路140および第2出入りポート118を通じてシリンダ111の第2空圧室113内へ流れる圧縮空気の流量が増加し、第2空圧室113の内圧が滑らかに上昇する。また、第1弁体221において、第1供給流路221aと第1環状溝216との連絡が断たれる。これにより、導入ポート211と第1供給ポート212との連絡が断たれ、シリンダ111の第1空圧室112への圧縮空気の供給が止まる。
上述のように、第2供給流路222aと第2環状溝217とが対面するよう第1操作桿230を押し込み方向に操作したとき、併せて、排出制御器300において第2操作桿340を押し込み方向(図1の矢印E方向)へ操作すると、第3弁体320が通気ポート313方向へ移動し、第1排出流路320aが第3環状溝316と対面する。これにより、シリンダ111の第1空圧室112内の圧縮空気が第1出入りポート117から第1経路130を通じて第1流入ポート311へ流れ、第1排出流路320aおよび第3環状溝316を通じて第1排出ポート314から第2ケース310の外部へ排出される。
このとき、第3弁体320の移動に従って第3環状溝316に対する第1排出流路320aの対面面積が無段階に増加し、第1流入ポート311から第1排出流路320aを通じて第3環状溝316へ流れる圧縮空気の流量が滑らかに増加する。そして、これに追従して第1空圧室112から第1出入りポート117を通じて排出される圧縮空気の流量が増加し、第1空圧室112の内圧が滑らかに低下する。
以上のように第1操作桿230と第2操作桿340とを操作すると、シリンダ111の第2空圧室113の内圧が上昇するのに対して第1空圧室112の内圧が低下することから、ピストン114は第1空圧室112方向へ移動する。この結果、エアシリンダ110において、ロッド119が突出方向(図1の矢印Y方向)へ移動する。
上述のような第1操作桿230と第2操作桿340との操作時に、併せて第3操作桿350を操作することもできる。すなわち、第3操作桿350を押し込み方向(図1の矢印C方向)に操作すると、第4弁体330が通気ポート313方向へ移動し、第2排出流路330aが第4環状溝317と対面する。これにより、供給制御器200の第2供給ポート213から第2経路140へ流れる圧縮空気は、一部が排出制御器300の第2流入ポート312へ流れ、第2排出流路330aおよび第4環状溝317を通じて第2排出ポート315から第2ケース310の外部へ排出される。
このとき、第4弁体330の移動に従って第4環状溝317に対する第2排出流路330aの対面面積が無段階に増加し、第2流入ポート312から第2排出流路330aを通じて第4環状溝317へ流れる圧縮空気の流量が滑らかに増加する。これに追従し、供給制御器200の第2供給ポート213から第2経路140へ流れる圧縮空気のうち、排出制御器300へ流れて第2排出ポート315から排出される圧縮空気の量が増加する。一方、第3操作桿350を突出方向(図1の矢印D方向)に操作すると、第4弁体330が第2排出ポート315方向へ移動し、それに従って第4環状溝317に対する第2排出流路330aの対面面積が無段階に減少する。これに追従し、排出制御器300の第2排出ポート315から排出される圧縮空気の量が減少する。
したがって、排出制御器300の第2排出ポート315から排出される圧縮空気の量は、第3操作桿350を押し込み方向または突出方向のいずれかに操作することで増減することができる。
このように第3操作桿350を併せて操作することで、供給制御器200の第2供給ポート213から第2経路140へ流れる圧縮空気の量、すなわち、シリンダ111の第2空圧室113へ供給する圧縮空気の量をより微妙に制御することができ、それによってロッド119の動作をより微妙に制御することができる。
第1操作桿230、第2操作桿340および第3操作桿350の操作において、各操作桿を任意の位置で停止すると、それぞれ対応する弁体220、第3弁体320および第4弁体330の移動が止まり、第1環状溝216に対する第1供給流路221aの対面面積、第2環状溝217に対する第2供給流路222aの対面面積、第3環状溝316に対する第1排出流路320aの対面面積および第4環状溝317に対する第2排出流路330aの対面面積が固定される。これにより、シリンダ111の第1空圧室112および第2空圧室113の内圧は、変動が停止して安定することから、ピストン214の移動が止まり、それによってロッド219の動きも停止する。再度、第1操作桿230、第2操作桿340および第3操作桿350を操作すると、それぞれ対応する弁体220、第3弁体320および第4弁体330の移動に従って第1環状溝216に対する第1供給流路221aの対面面積、第2環状溝217に対する第2供給流路222aの対面面積、第3環状溝316に対する第1排出流路320aの対面面積および第4環状溝317に対する第2排出流路330aの対面面積が無段階に変動し、それによって第1空圧室112の内圧と第2空圧室113の内圧とに差が生じることから、それに追従してロッド119が動作する。
以上のように、動作制御器120は、供給制御器200の第1操作桿230と、排出制御器300の第2操作桿340および第3操作桿350とを操作することで、その操作方向および操作量(各操作桿230、340、350の出し入れ方向への移動量)に応じてエアシリンダ110のロッド119を突出方向または進入方向へ滑らかに動作させることができ、また、各操作桿230、340、350の操作を任意の位置で停止することにより、ロッド119の動作を任意の位置で停止することができる。
また、動作制御器120では、第1供給流路221aから第1環状溝216へ流れる圧縮空気、第2供給流路222aから第2環状溝217へ流れる圧縮空気、第1排出流路320aから第3環状溝316へ流れる圧縮空気および第2排出流路330aから第4環状溝317へ流れる圧縮空気の流速が対応する第1弁体221、第2弁体222、第3弁体320または第4弁体330の移動速度に応じて増減するため、各操作桿230、340、350の出し入れ方向への操作速度を調節すると、ロッド119の動作速度(シリンダ111からの出入り速度)を制御することができる。
本実施の形態において、供給制御器200は、基本的に、第1操作桿230を第1ケース210への押し込み方向へ操作したときにエアシリンダ110のロッド119を突出方向に動作させることができ、逆に、第1操作桿230を第1ケース210から突出する方向へ操作したときにエアシリンダ110のロッド119を進入方向に動作させることができるが、第1供給ポート212側に第2経路140を接続し、第2供給ポート213側に第1経路130を接続すると、第1操作桿230の操作方向に対するエアシリンダ110でのロッド119の移動方向を逆方向に変更することができる。
他の実施の形態
(1)本発明の動作制御器は、空気以外の流体、例えば油や水を用いる油圧シリンダや水圧シリンダなどの各種の複動形の流体圧式アクチュエータの制御においても同様に実施することができる。
(2)上述の実施の形態では、各弁体の外周面に二等辺三角形状の切り欠き溝を形成することで流体の供給流路および排出流路を形成しているが、この溝の形状は、正三角形状、矩形状、多角形状、半円状または半楕円状などに変更することもできる。
また、流体圧式アクチュエータが大容量の場合など、流体圧式アクチュエータと動作制御器との間で効率的に多量の流体を交流する必要がある場合などは、各弁体において、切り欠き溝による複数条の供給流路および排出流路を設けることもできる。この場合、複数条の供給流路および排出流路は、各弁体の外周面上に等間隔に設けるのが好ましい。
(3)各弁体の供給流路および排出流路は、弁体の外周面をテーパー状に成形することで形成することもできる。図2を参照し、上述の実施の形態に係る動作制御器120においてこの変形例を適用した場合の例を説明する。
第1弁体221は、導入ポート211側の端面から軸方向の中央部方向に向けて径が拡大するテーパー状に成形されており、このテーパー面が第1ケース210の内周面との隙間により第1供給流路221aを形成している。また、第2弁体222は、導入ポート211側の端面から軸方向の中央部方向に向けて径が拡大するテーパー状に成形されており、このテーパー面が第1ケース210の内周面との隙間により第2供給流路222aを形成している。
第3弁体320は、第1排出ポート314側の端面から軸方向の中央部方向に向けて径が拡大するテーパー状に成形されており、このテーパー面が第2ケース310の内周面との隙間により第3供給流路320aを形成している。また、第4弁体330は、第2排出ポート315側の端面から軸方向の中央部方向に向けて径が拡大するテーパー状に成形されており、このテーパー面が第2ケース310の内周面との隙間により第4供給流路330aを形成している。
図2に示す状態において、第1弁体221は、軸方向の中央部が第1環状溝216と対面しており、この状態で第1供給流路221aと第1環状溝216とが連絡している。また、第2弁体222は、軸方向の中央部が第2環状溝217と対面しており、この状態で第2供給流路222aと第2環状溝217とが連絡している。一方、同状態において、第3弁体320は、軸方向の中央部が第3環状溝316と対面しており、第1排出流路320aと第3環状溝316との連絡が遮断されている。また、第4弁体330は、軸方向の中央部が第4環状溝317と対面しており、第1排出流路330aと第4環状溝317との連絡が遮断されている。
この変形例の供給制御器200では、図2に示す状態から第1操作桿230を突出方向(図2の矢印A方向)へ操作すると、第1ケース210内で弁体220が第1通気孔214方向へ移動する。このとき、第1弁体221の移動に従って第1環状溝216と第1供給流路221aとの隙間が無段階に拡大し、導入ポート211から第1供給流路221aを通じて第1環状溝216へ流れる流体の流量が滑らかに増加する。同時に、第1弁体221と連動して第2弁体222が移動することで、第2弁体222の外周面が第2環状溝217部分で第1ケース220の内周面と当接し、第2環状溝217と第2供給流路222aとの連絡が遮断される。
一方、図2に示す状態から第1操作桿230を押し込み方向(図2の矢印B方向)へ操作すると、第1ケース210内で弁体220が第2通気孔215方向へ移動する。このとき、第2弁体222の移動に従って第2環状溝217と第2供給流路222aとの隙間が無段階に拡大し、導入ポート211から第2供給流路222aを通じて第2環状溝217へ流れる流体の流量が滑らかに増加する。同時に、第2弁体222と連動して第1弁体221が移動することで、第1弁体221の外周面が第1環状溝216部分で第1ケース210の内周面と当接し、第1環状溝216と第1供給流路221aとの連絡が遮断される。
また、排出制御器300では、図2に示す状態から第2操作桿340を押し込み方向(図2の矢印E方向)へ操作すると、第2ケース310内で第3弁体320が通気ポート313方向へ移動する。これにより、第3環状溝316が第1排出流路320aと連絡し、第1流入ポート311からの流体が第3環状溝316および第1排出流路320aを通じて流れ、第1排出ポート314から排出される。また、第2操作桿340をさらに押し込み方向へ操作すると、第3環状溝316と第1排出流路320aとの隙間が無段階に拡大し、第1排出流路320aから第3環状溝316へ流れる流体の流量が滑らかに増加する。この状態から第2操作桿340を突出方向(図2の矢印F方向)へ操作すると、第3環状溝316部分で第3弁体320の外周面が第2ケース310の内周面と当接し、第3環状溝216と第1排出流路320aとの連絡が遮断される。
一方、図2に示す状態から第3操作桿350を押し込み方向(図2の矢印C方向)へ操作すると、第2ケース310内で第4弁体330が通気ポート313方向へ移動する。これにより、第4環状溝317が第2排出流路330aと連絡し、第2流入ポート312からの流体が第4環状溝317および第2排出流路330aを通じて流れ、第2排出ポート315から排出される。また、第3操作桿350をさらに押し込み方向へ操作すると、第4環状溝317と第2排出流路330aとの隙間が無段階に拡大し、第2排出流路320aから第4環状溝317へ流れる流体の流量が滑らかに増加する。この状態から第3操作桿350を突出方向(図2の矢印D方向)へ操作すると、第4環状溝317部分で第4弁体330の外周面が第2ケース310の内周面と当接し、第4環状溝317と第2排出流路330aとの連絡が遮断される。
(4)上述の実施の形態に係る動作制御器120では、供給制御器200の弁体220において、第1弁体221と第2弁体222とを連結体223により一体的に固定しているが、図3に示すように、連結体223側におねじ部224を設けるとともに第1弁体221側の中心部にめねじ部225を設け、連結体223に対して第1弁体221をねじ止めすることもできる。
この場合、連結体223に対する第1弁体221のねじ止め量を変更することで第1弁体221と第2弁体222との間隔Xを任意に調節することができる。間隔Xを調節すると、第1弁体221側での流体の流れに対し、第2弁体222側での流体の流れを調節することができ、それによってアクチュエータの応答性等を調節することができる。例えば、エアシリンダ110において、ピストン114は、ロッド119の断面積分、第1空圧室112側の受圧面積が第2空圧室113側の受圧面積より小さいため、中立状態であっても徐々に第1空圧室112側へ移動するが、間隔Xの調節により第1空圧室112側への流量を第2空圧室113側への流量よりも増加すると、中立状態で安定に保持され得る。
この変形例では、通常、第2通気孔215の径を拡大するとともに第2弁体222に第2通気孔215から突出する同軸のロッド226を設けるのが好ましい。この場合、ロッド226を固定することで連結体223の回転を抑えることができるため、第1操作桿230の回転により第1弁体230を回転させて間隔Xを調節することができる。
なお、間隔Xの調節のために、連結体223と第1弁体221とを固定し、連結体223に対して第2弁体222をねじ止めすることもでき、また、連結体223に対して第1弁体221および第2弁体222の両方をねじ止めすることもできる。
(5)上述の実施の形態に係る動作制御器120の排出制御器300は、圧縮空気を排出するための第1排出ポート314および第2排出ポート315を通じ、それぞれ第2操作桿340および第3操作桿350を出し入れしているが、流体として油や水等の液体を用いる場合や回収を要する気体を用いる場合は、図4に示すように、流体を排出するための専用のポートを設けることもできる。すなわち、第2ケース310において、第2操作桿340および第3操作桿350を出入りさせる開口部分を液密化し、第2ケース310から排出される流体の回収流路を接続するための第1排出ポート314および第2排出ポート315をそれぞれ第2ケース310の両端部付近に別途設けることができる。
用途
本発明の動作制御器は、電気制御等の複雑な制御機構を必要としない簡単な構成でありながら、供給制御器側の操作桿および排出制御器側の各操作桿の操作に追従して複動形の流体圧式アクチュエータの第1流体ポートおよび第2流体ポートの二つの各ポートとの間での流体の交流を無段階的に制御することができることから、サーボ機構で制御する場合のように複動形の流体圧式アクチュエータを無段階的に滑らかに動作させることができる。
本発明の動作制御器は、このような特性を有することから、例えば、図5に示すように、遠隔操作式クランプ装置の制御器として用いることができる。具体的には、遠隔地のクランプ10を複動形のエアシリンダ20で開閉操作する場合、エアシリンダ20の動作を本発明の動作制御器30で制御することができる。この場合、動作制御器30において、供給制御器31側の第1操作桿31aと、排出制御器32側の第2操作桿32aおよび第3操作桿32bとを適宜出し入れ方向に操作すると、この操作に追従してエアシリンダ20のロッド21が出入りし、クランプ10が図5に矢印で示すように開閉する。ここでは、各操作桿31a、32a、32bの微妙な操作がエアシリンダ20でのロッド21の出入りに反映されることから、クランプ10の開閉を微妙に制御することができる。
なお、本発明の動作制御器は、電気制御を必要としないことから、エアシリンダのような空圧式アクチュエータを防爆環境で制御する必要がある場合に特に適している。