以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は、実施形態の構成に限定されない。
基地局(eNode B)に含まれるBBUとRRHとは、一般に、BBU-RRH間
インタフェースの一つであるCPRIに準拠した光インタフェース又は電気インタフェースを介して接続される。BBUは、ベースバンド信号を生成してRRHに伝送し、RRHは、ベースバンド信号を無線信号(RF信号)に変換してアンテナから出力する。
図1は、CPRIプロトコルのレイヤ構成を示す。図1において、レイヤ1は、光信号または電気信号による物理伝送路を定義する。レイヤ2は、レイヤ3のユーザプレーンのデータ(ユーザデータ:ベースバンド信号)と、CPRIリンクの保守監視・制御信号である制御管理(C&M)プレーンのデータ(C&Mデータ)などを割り付けるビットマップを定義している。また、レイヤ3は、アプリケーションレイヤであり、ユーザプレーンや、BBUとRRHとの間の保守監視や制御信号のフォーマット(C&Mプレーン)などが定義される。
CPRIプロトコルのレイヤ2は、次のような構造を有する。すなわち、CPRIでは、BBUとRRHとの間で送受信されるデータは、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)フレームと呼ばれる(CPRIフレームとも呼ばれる)無線フレーム単位で伝送される。CPRIでは、UMTSフレームは、ハイパーフレーム(Hyper Frame)と呼ばれる150個の無線データ(セグメント)に分割される。
ハイパーフレームは、256個の、ベーシックフレームと呼ばれる3.84MHzのフレームが集合することで形成される。なお、ベーシックフレーム、ハイパーフレーム、及びUMTSフレームの長さは、それぞれ、約260ns,66.67μs,10msである。
ハイパーフレームは、ベースバンド信号(ユーザデータ)がIQデータとして記述される(ディジタルマッピングされる)領域(IQデータ領域)と、保守監視・制御信号(C&Mデータ)に相当する制御ワード(Control word)が記述される領域(制御ワード領域)とを含む。制御ワード領域は、CPRIプロトコルを制御及び監視するための制御コマンドを格納する領域や、レイヤ3における保守監視チャネルを形成する領域などを有する。
CPRIプロトコルの制御及び監視は、CPRIリンクのネゴシエーションやレイヤ1の保守監視制御の機能を有する。さらに、ハイパーフレームは、ベンダが自由に使用可能な領域(Vender Specific領域と呼ばれる)を有している。
BBUとRRHとを接続するCPRIプロトコルでは、レイヤ2以上のレイヤがBBUとRRHとの間で終端される。このため、BBUとRRHとの接続関係の変更には、BBUとRRHとの間の全経路の設定変更や物理接続の変更が伴う。これより、以下のような問題があった。
(1)BBUとRRHとの接続関係が固定的であるため、BBUの余剰リソースを他の基地局(セル/セクタ)に融通することができない。
(2)BBUまたはRRHの障害時に、他の装置を用いて運用を代替することができない
。
(3)BBUとRRHとの間に複数の経路を設定しておき、運用中に無線信号の伝送経路を変更する運用ができない。例えば、BBUとRRHとを結ぶ経路上にある伝送装置の故障時に、経路の一部区間を切り替えることができない。
実施形態に係る基地局装置(基地局システム)は、BBUとRRHとの接続に係る運用変更を柔軟に実施するため以下のような構成を採用する。運用変更の柔軟な実施は、システムの運用中におけるBBUとRRHとの間のデータ(信号)の伝送経路の変更や、RRHの接続先のBBUの変更を含む。
<基地局装置(基地局システム)の構成>
図2は、実施形態における基地局装置の全体構成例を示す。基地局装置は、移動通信システム(携帯電話(セルラーフォン)システム)に適用される。実施形態の説明では、移動通信システムの例として、LTEに準拠した移動通信システムを例示するが、他の通信規格に準拠する移動通信システムについても適用可能である。
図2には、実施形態に係る基地局装置として、複数のBBU11と、複数のRRH12と、複数の中継装置13とを備える基地局装置(基地局システム)10が示されている。BBU11は、無線制御装置の一例であり、RRH12は、無線装置の一例である。
図2に示す例では、2つのBBU11(11A,11B)と、3つのRRH12(12A,12B,12C)とが4つの中継装置13(13A,13B,13C,13D)を介して接続されている。
BBU11-中継装置13間、中継装置13間、中継装置13-RRH12間は、BBU-RRH間インタフェースの仕様に応じた物理ケーブル(光ファイバ又は電気ケーブル)
で接続される。
図2に示す例では、BBU11Aは、中継装置13Aに接続されており、BBU11Bは、中継装置13Bに接続されている。中継装置13A〜13Dは、相互に接続されている。RRH12Aは、中継装置13Cに接続されており、RRH12Bは、中継装置13Dに接続されている。BBU11A及びBBU11Bは、保守サーバ15と接続されている。保守サーバ15は、BBU11A及びBBU11Bの保守・管理を行う。
<BBU及びRRHの構成>
<<BBUの構成>>
図3Aは、基地局装置10に含まれるBBU装置としてのBBU11(BBU11A,11B)及びRRH装置としてのRRH12(BBU12A,12B,12C)の機能ブロック構成例を示し、図3Bは、図3Aに示したBBU11及びRRH12のハードウェアブロック構成例を示す。但し、図3A及び図3Bでは、中継装置13は簡略的に図示されている。実施形態に係るBBU11及びRRH12は、BBU−RRH間インタフェースに係る構成を除き、一般的なBBU及びRRHの構成及び機能を有する。
図3Aに示される例では、BBU11は、保守監視制御部111と、呼処理部112と、ベースバンド部113と、CPRI処理部114と、伝送路インタフェース(伝送路IF)115と、光モジュール116とを含む。
伝送路IF115は、イーサネット(登録商標)のようなLAN(Local Area Network)を伝送路として収容する。伝送路上には、基地局装置10とコアネットワーク上の上位装置(MME/UPE(Mobile Management Entity/User Plane Entity):図示せず)と
の接続に使用されるS1インタフェース(S1回線)と、基地局装置10と隣接基地局(図示せず)との接続に使用されるX2インタフェース(X2回線)が形成される。伝送路IF115は、S1及びX2インタフェースの終端処理を行う。BBU11は、伝送路IF115によって、コアネットワークや他基地局との間でIP(Internet Protocol)パ
ケットの送受信を行うことができる。伝送路IF115は、IPパケットに係る処理を行う。
保守監視制御部111は、基地局装置10の全体の制御や、BBU11,RRH12及び中継装置13の監視制御、及びOAM(Operations, Administration, and Maintenance)処理を行う。保守監視制御部111は、監視制御の一つとして、後述するBBU-RRH間インタフェースプロトコルに係る制御を行う。呼処理部112は、基地局装置10と接続された無線端末(User Equipment (UE):図示せず)の発信や、相手方の端末からの着信に係る呼処理を行う。
ベースバンド部113は、主としてIPパケットとベースバンド信号(OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号)との変換(変復調)を行うための多値変調処理及びOFDM処理のようなディジタルベースバンド処理を行う。
CPRIインタフェース部114は、BBU−RRH間インタフェースプロトコル(以下、単に「IFプロトコル」と表記)に従って、ベースバンド信号(ユーザデータ)や制御信号をRRH12(中継装置13)との間でやりとりするためのIFプロトコル処理を行う。CPRIインタフェース部114の詳細は後述する。
また、図3Aに示すように、CPRIインタフェース部114は、保守監視制御部111及び呼処理部112と、制御信号を送受信するための伝送路117を介して接続されている。なお、ユーザデータは、CPRIインタフェース部114-ベースバンド部-伝送路IF115の経路上で送受信される。
<<RRHの構成>>
一方、RRH12は、光モジュール127と、CPRIインタフェース部121と、CPRIインタフェース部121に接続された直交変復調部122と、直交復変調部122に接続された受信アンプ部123及び送信アンプ部124と、CPRIインタフェース部121に接続された保守監視制御部125とを含む。受信アンプ部123及び送信アンプ部124はアンテナ部126に接続されている。
CPRIインタフェース部121は、IFプロトコルに従って、ベースバンド信号(ユーザデータ)や制御信号をBBU11(中継装置13)との間でやりとりするためのIFプロトコル処理を行う。詳細は後述する。
直交変調処理部122は、CPRIインタフェース部121から得られるベースバンド信号(ユーザデータ)を、無線周波数(RF)を有するRF信号(アナログ信号)に変換する直交変調処理と、受信アンプ部123から得られるRF信号をベースバンド信号(ユーザデータ)に変換する直交復調処理とを行う。
送信アンプ部124は、RF信号を電波の周波数にアップコンバートするアップコンバータと電波を増幅する送信増幅器(パワーアンプ)とを含む。受信アンプ部123は、アンテナ部126からの電波を増幅する受信増幅器(例えばローノイズアンプ)と、増幅された電波を直交変復調部122で処理するための周波数に変換するダウンコンバータとを含む。
アンテナ部126は、送受信アンテナと、送信アンプ部124からの電波をアンテナに送り、アンテナから受信された電波を受信アンプ部123に送るデュプレクサとを含む。なお、アンテナ部126は、送信アンプ部124からの電波を放射する送信アンテナと、受信アンプ部123へ供給する移動端末からの電波を受信する受信アンテナとを有していても良い。このように、アンテナ部126で、基地局装置10に接続された移動端末との無線通信(電波の送受信)が行われる。
保守監視制御部125は、RRH12の全体の監視制御を行う。また、保守監視制御部125は、IFプロトコルに係る監視制御を行う。保守監視制御部125は、IFプロトコルに係る監視制御に関して、保守監視制御部111と同等の機能を有する。なお、保守監視制御部111及び125のそれぞれは、制御部又は制御装置の一例である。
<<BBU、RRHのハードウェア構成>>
図3Bに示すように、図3Aに示したBBU11の保守監視制御部111及び呼処理部112は、プロセッサの一例であるMPU(Micro Processing Unit、CPUともいう)
111a及びメモリ111bによって実現することができる。
メモリ111bは、不揮発性記憶媒体(例えば、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、ハードディスクなど)と揮発性記録媒体(RAM、DRAMなど)を含み、MPU111aによって実行される各種のプログラムと、プログラムの実行時に使用されるデータを記憶する。保守監視制御部111及び呼処理部112によって行われる処理は、MPU111aのプログラム実行によって実現される機能である。
伝送路IF115は、ネットワークプロセッサ(NWP)115Aを用いて実現される。伝送路IF115として、LANを収容するNIC(ネットワークインタフェースカード)を適用することもできる。また、ベースバンド部113は、プロセッサの一例であるDSP(Digital Signal Processor)113aと、DSP113aによって実行されるプログラムとプログラム実行時に使用されるデータとを記憶するメモリ113bとを用いて実現することができる。メモリ113bは、上述したような揮発性記録媒体と不揮発性記録媒体とを含む。
CPRIインタフェース部114は、FPGA(Field Programmable Gate Array)1
114aを用いて実現することができる。図3Bでは、MPU111a(保守監視制御部111,呼処理部112),NWP115A(伝送路IF115),DSP113a(ベースバンド部113),FPGA114a(CPRIインタフェース部114)がスイッチ回路(SW)111cを介して接続されている。当該構成により、ユーザデータは、NWP115A-SW111c-DSP113a-FPGA114aの経路上で送受信される
。一方、制御信号は、FPGA114a-SW111c-MPU111aの経路上で送信される。
RRH12に含まれるCPRIインタフェース部121は、FPGA121aを用いて実現される。また、直交変復調部122も、FPGA122aを用いて実現することができる。FPGA121aとFPGA121bとは統合可能である。
そして、保守監視制御部125は、プロセッサの一例であるMPU(CPU)125aとメモリ125bとを用いて実現することができる。メモリ125bは、MPU125aによって実行されるプログラムとプログラム実行時に使用されるデータとを記憶する。メモリ125bは、上述したような揮発性記録媒体と不揮発性記録媒体とを含む。
メモリ111b,113b,125bは、記憶装置の一例である。上記したMPU11
1a,MPU125a,DSP113a,FPGA114a,FPGA121a,FPGA122aのそれぞれによって実現される機能は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)のような専用のハードウェア(電子回路)、或いは専用ハードウェア
と汎用ハードウェアとの組み合わせによって実現されるようにしても良い。
<CPRIインタフェース部の構成>
次に、CPRIインタフェース部114及び121の構成例について説明する。
<<プロトコル構成>>
最初に、BBU11,RRH12,中継装置13でそれぞれ使用されるIFプロトコルについて説明する。図4は、基地局装置10に適用される、BBU-RRH間インタフェ
ースプロトコルのプロトコルスタックの説明図である。図4に示すIFプロトコルは、CPRIプロトコル(図1)の改良に相当する。
図4に示すように、IFプロトコルは、CPRIプロトコルにおけるレイヤ3の下に、レイヤ2の代わりのレイヤ2b,レイヤ2a,及びレイヤ1が配置された構造を有する。レイヤ2bはレイヤ2aの上位に配置される。
レイヤ2bは、レイヤ3(CPRIプロトコルのレイヤ3と同等)の直下に配置される。レイヤ2bは、レイヤ3とのインタフェースとして、CPRIプロトコルのレイヤ2が有するレイヤ3とのインタフェースと同等のインタフェースを有する。
図5は、レイヤ2bの機能を説明する図である。レイヤ2bは、レイヤ3から、1つのUMTSフレーム分のデータ(レイヤ3のデータ(ユーザデータ,C&Mデータなど))を得る。当該データは、150個のハイパーフレーム(#0〜#149)に対応するデータに分割される。ここに、UMTSフレームは、無線フレームの一例である。
レイヤ2bは、所定数(N個)のハイパーフレーム単位でUMTSフレームが分割された複数の分割フレームを生成する。すなわち、レイヤ2bは、150個のハイパーフレームを生成し、ハイパーフレームを所定数Nでまとめることで、基地局10の装置間で送受信される最小伝送単位のフレームを生成する。当該フレームを、本明細書では分割フレームと呼ぶ。分割フレームは無線フレームの等分割により得られたデータブロックの一例である。
分割フレームのサイズ(ハイパーフレームの数N)は、システム(基地局装置10内)で固定される(固定サイズを有する)。Nの値は、1つのUMTSフレームから生成される分割フレームのサイズを均一にするため、ハイパーフレーム数である150を等分可能な150の約数の中から選択される。なお、ユーザデータは、IQデータとして、ハイパーフレーム中のIQデータ領域にディジタルマッピングされ、C&Mデータは、レイヤ2bの制御ワード領域にマッピングされる。
また、レイヤ2bは、分割フレーム中のハイパーフレームの制御ワード領域に含まれるVender Specific領域や予約(Reserve)領域のような、未定義領域(空き領域)に所定データを格納することによって、分割フレームのヘッダを生成する。これによって、空き領域の有効利用を図ることができる。
分割フレームのヘッダは、少なくとも分割フレームの宛先IDを含む。宛先IDとして、分割フレームの宛先に該当するBBU11,RRH12,中継装置13に与えられた固有の識別子(ID)が設定される。
また、分割フレームのヘッダには、制御コマンドが設定される場合もある。制御コマン
ドは、制御種別(制御コマンドID),制御対象の装置ID(宛先ID)を含む。さらに制御コマンドは、制御種別に応じて制御対象の受信ポートの識別子(受信ポート番号)を含むことができる。制御種別は、「リセット(再起動)」,「閉塞」,「振分テーブル書換」を含む。
レイヤ2aは、CPRIプロトコルのレイヤ2と同等の機能と、IFプロトコルにおけるレイヤ1とのインタフェースとして、CPRIプロトコルにおけるレイヤ1とレイヤ2との間のインタフェースと同等のインタフェースを有する。レイヤ2aは、装置間(BBU11-RRH間,BBU11-中継装置13間,RRH12-中継装置13間,中継装置
13間)の接続を終端する。
レイヤ2aでは、一定サイズのデータを格納する枠(スロットと呼ぶ)を装置間のレイヤ1上に生成する。スロットのサイズは、レイヤ2bにおける分割フレームのサイズと同じである。
さらに、レイヤ2aは、所定数(M個)のスロットを1セットとして、スロットセット(コンテナ)と呼ばれる伝送単位に格納する。Mの値は、装置間のレイヤ1における物理回線の帯域に応じて決定される。Mの値は、1つのUMTSフレーム時間間隔(或るUMTSフレームが到達してから次のUMTSフレームが到達するまでの時間)内にIQデータが確実にBBU11とRRH12との間で伝送可能となるように決定される。したがって、Mの値(スロットセット(コンテナ)のサイズ)は、装置間の物理回線の帯域に応じて異なる。
レイヤ1では、コンテナを所定の伝送方式で対向装置へ送出する。本実施形態では、対向装置間が光インタフェースで接続されており、コンテナ(電気信号)は、送信側の光モジュールで光信号に変換されて物理ケーブル(光ファイバ)へ送出される。また、受信側の光モジュールは、物理ケーブル(光ファイバ)から受信される光信号を電気信号(コンテナ)に変換する。
このように、実施形態のIFプロトコルでは、レイヤ2b及びレイヤ2aの機能によって、UMTSフレームに格納されるデータが、N個のハイパーフレームで形成された分割フレームにマッピングされ、M個の分割フレームを格納するコンテナ単位で宛先(対向装置)へ送出される。
上記したIFプロトコルは、ユーザデータに関しては、CPRIプロトコルのレイヤ2以下をIFプロトコルのレイヤ2b以下に置き換えることで実現可能である。
<<CPRIインタフェース部の装置構成>>
図6は、図3Aに示したCPRIインタフェース部114及び121の詳細を示す図である。CPRIインタフェース部114とCPRIインタフェース部121とは同じ構成を有することができる。例として、CPRIインタフェース部114について説明する。CPRIインタフェース部114は、複数の送信ポート21と受信ポート22との組を有している。送信ポート21と受信ポート22との組毎に、送信部23及び受信部24が設けられる。
送信部23は、上述したIFプロトコルのレイヤ2b及びレイヤ2aに係る処理として、UMTSフレームのデータから分割フレームを生成する処理、分割フレームにヘッダを付与する処理,分割フレームをスロットセットに格納する処理を行う。コンテナは、送信ポート21から送出される。宛先IDや制御コマンドは、CPRIの上位アプリケーションに係る処理を実行する保守監視制御部111(125)から、CPRIインタフェース
部114(121)に供給される。送信部23は、供給された宛先IDや制御コマンドをヘッダとして設定する。
送信ポート21と受信ポート22との各組は、光モジュール(E/O変換装置)116(CPRIインタフェース部121の場合は光モジュール127)と接続されている。光モジュール116(光モジュール127)は、送信ポート21及び受信ポート22の組に対応する1以上の光ファイバ(光回線)を収容しており、送信ポート21からのコンテナを光信号に変換する電気-光変換を行い、光信号を光ファイバに送出する。また、光モジ
ュール116(光モジュール127)は、光ファイバから受光された光信号を光-電気変
換により電気信号(スロットセット)に変換し、対応する受信ポート22に送出する。
受信部22は、光モジュール116(光モジュール127)からスロットセットが受信された場合に、スロットセットの各スロットから分割フレームを得る処理、分割フレームからUMTSフレーム分のデータを生成する処理を行う。UMTSフレーム分のデータのうち、ユーザデータはベースバンド部113に送られ、制御信号は伝送路117を介して呼処理部112又は保守監視制御部111に送られる。これに対し、CPRIインタフェース部121の受信部22は、分割フレームの組み立てによってUMTSフレーム分のデータを生成した場合には、UMTSフレーム分のデータのうち、ユーザデータは直交変復調部122に送り、制御信号は保守監視制御部125へ送る。
<中継装置の構成>
図7Aは、中継装置13(13A,13B,13C)の機能ブロック構成例を示し、図7Bは、中継装置13(13A,13B,13C)のハードウェアブロック構成例を示す。 図5Aにおいて、中継装置13は、複数の(2以上の)送受信ポート(#0〜#n)を含んでいる。各送受信ポートは、送信ポートと受信ポートとを含む。各送受信ポートには、所定のポート番号が付与されている。本実施形態では、受信ポート番号と送信ポート番号とは同じ番号を用いる。但し、異なる番号が使用されても良い。
送受信ポート毎に、受信部131,振分処理部132,送信部133,及び振分処理部132によって参照される振分テーブル134が設けられている。各送受信ポートに対応する振分処理部132及び送信部133は、スイッチ(SW)135に接続されている。スイッチ135は、制御部138に接続されている。
各送受信ポートは、IFプロトコルにおけるレイヤ1において、装置間で直接に接続される。具体的には、受信部131及び送信部133の各組は、レイヤ1における光-電気
変換を行う光モジュール137と接続されている。
各受信部132は、対応する受信ポートからスロットセット(コンテナ)を受信する。各受信部132は、スロットセット中の各スロットからM個の分割フレームを取得し、振分処理部132に供給する。
各振分処理部132は、分割フレームに付与されたヘッダの宛先IDと、対応する振分テーブル134とを参照し、ヘッダに含まれた宛先IDに対応する送信ポート番号を得る。各振分処理部132は、送信ポート番号を分割フレームに付与して、スイッチ135に送る。
振分テーブル134は、受信した信号(分割フレーム)の宛先と送信ポートの変換テーブルである。振分テーブル134は、中継装置13の受信ポート毎に用意されることができる。
図8は、振分テーブル134のデータ構造例を示す。振分テーブル134は、宛先IDに対応するエントリを格納する。エントリは、宛先IDに対応する送信ポート番号と、送信ポート番号に対する優先度と、状態とを示す情報を格納する。すなわち、エントリは、宛先ID(分割フレームの宛先)と送信ポート番号(分割フレームの送信ポート)との対応関係を記憶する。
振分テーブル134には、1つの宛先IDに対して複数の送信ポート番号を含むエントリを登録することができる。優先度は、同一の送信ポート番号が登録された複数のエントリに対する使用の優先順位を示す。振分テーブル134に登録された状態が「正常」のエントリに従って送信ポートから分割フレームを転送すれば、物理回線の障害を含むエラーが発生しない限り、下流側の中継装置13(存在する場合)を通じて宛先IDの装置に分割フレームが受信されるようになっている。
例えば、図8の例では、宛先ID“001002”に対して送信ポート番号“ポート#3”のエントリ(第1経路に対応する第1対応関係の一例)と、送信ポート番号“ポート#2”のエントリ(第2経路に対応する第2対応関係の一例)が登録されている。そして、“ポート#3”の優先度は“1”であり、“ポート#2”の優先度は“2”である。この場合、送信ポート番号“ポート#3”を有するエントリが優先的に使用される。
さらに、各エントリは、各送信ポートを管理するために、送信ポートの状態を示すデータが記憶される。送信ポートの状態は、例えば、“正常”,“障害”,“閉塞”のいずれかで定義される。状態“正常”は、同一エントリ中の送信ポート番号で特定される送信ポートが信号を宛先IDを有する装置へ伝送可能な状態を示す。状態“障害”は、当該送信ポートから信号を宛先IDを有する装置へ伝送できない状態を示す。状態“閉塞”は、ユーザデータに関して当該送信ポートの運用を停止している状態を示す。閉塞状態では、ユーザデータは転送できなくなるが、制御コマンドは転送可能な状態となる。
図8に示す例では、例えば、上記した宛先ID“001002”に対応する“ポート#3”のエントリにおける状態として“障害”が格納され、“ポート#2”のエントリにおける状態として“正常”が格納されている。この場合、“ポート#3”のエントリは振分処理で使用されず、“ポート#2”のエントリが振分処理に使用される。
スイッチ135は、分割フレームに付与された送信ポート番号に対応する送信部133へ分割フレームを送る。送信部133は、到達した分割フレームを再びスロット(コンテナ)に収容し、対向装置(次の装置)へ向けて送出する。また、各受信部131及び各送信部133は、各受信ポート及び送信ポートにおいて、アップリンク及びダウンリンクの無線データを同期させるためのタイミング調整を行う。制御部138は、制御信号に基づき、振分テーブル134の書き換えや、伝送路の障害のような各種のエラーを通知する処理を行う。
図7Bに示すように、図7Aに示した中継装置13における受信部131、振分処理部132、及び送信部133としての機能は、例えば、DSP136がメモリ134Aに格納されたプログラムを実行することによって実現される。メモリ134Aは、DSP136によって実行されるプログラムと、プログラムの実行に際して使用されるデータを記憶する。また、振分テーブル134は、メモリ134Aに記憶される。
また、制御部138の機能は、MPU138Aがメモリ139に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。メモリ139は、MPU138Aによって実行されるプログラムと、プログラムの実行に際して使用されるデータを記憶する。なお、メモリ134A及びメモリ139の詳細構成は、上述したメモリ111bと同様の構成を適用可
能である。
図9は、中継装置13での処理の概要説明図である。図9において、或る受信ポートから1スロットセット(コンテナ)に格納された分割フレーム(受信レイヤ2aデータ)が受信されると、受信部131は、各スロットから分割フレームを取り出し、振分委処理部132に供給する(図9(1))。
振分処理部132は、各分割フレームのヘッダに含まれた宛先IDに対応する送信ポート番号を振分テーブル134から取得し、スイッチ135を介して送信ポート番号を有する送信ポートを収容する送信部133に送る。すなわち、分割フレームの宛先IDに応じた送信ポートへの振分が行われる(図9(2))。
各送信部133は、分割フレームを再びスロットに格納し(図9(3))、スロットセット(コンテナ)として送信ポートから対向装置へ送信する(図9(4))。
図9に示したように、中継装置13では、スロットセット(コンテナ)単位で次の装置(対向装置)へ分割フレームが伝送される。このとき、UMTSフレームの送信タイミングとの同期がとられる。また、レイヤ2aパスについて、スロットセットを構成するスロットの数Mより多くのBBU-RRH間のリンクを中継装置13に通すことはできない。
なお、図9の(1)〜(4)に示した1スロットセットに対する処理は、所定の周期Tで繰り返し実施される。周期Tは中継装置13における処理遅延となる。BBU11とRRH12との間で分割フレームが経由する全中継装置における周期Tの合計値は、BBU-RRH間の伝送遅延を除いた遅延時間となる。これに鑑み、周期Tの値は、中継装置1
3毎に、中継装置13の処理性能やBBU-RRH間の経路上に配置された中継装置の数
,及びシステムが許容する無線信号(UMTSフレーム)の遅延量に基づき決定される。
<基地局装置(基地局システム)の設定例>
次に、ここまでに説明した構成を用いて構築された基地局装置(基地局システム)の例について説明する。図10は、基地局システムのレイヤ2aに係る設定例を示す。図10には、図2と異なり、4つのBBU11と、4つのRRH12とが4つの中継装置13を用いて接続された基地局装置(基地局システム)が示されている。図10に示された装置間のリンクの近傍に表記された“P1”〜“P4”は、当該リンクに係る送信ポート番号又は受信ポート番号を示す。
図11Aは、図10に示した中継装置13(中継装置#2)のポート番号“P2”を有する受信ポートに対応する振分テーブル134の登録内容の例を示す。図11Bは、図10に示した中継装置13(中継装置#4)のポート番号“P2”を有する受信ポートに対応する振分テーブル134の登録内容の例を示す。
図11A及び図11Bの登録内容に従えば、BBU11(BBU_ID#4)から送信された分割フレームは、中継装置13(中継装置#2)において、その宛先IDに応じて中継装置#3と中継装置#4とに振り分けられる。すなわち、RRH_ID#3(RRH#3)及びRRH_ID#4(RRH#4)向けの分割フレームは、中継装置#4に送信され、RRH_ID#1(RRH#1)及びRRH_ID#2(RRH#2)向けの分割フレームは、中継装置#3に送信される。
中継装置#4では、分割フレームは、宛先IDに従って、目的のRRH13に到達するように、対応する送信ポート振り分けられる。また、中継装置#3では、図示しない振分テーブルの登録内容に応じて、宛先IDがRRH_ID#1の分割フレームはポート番号
“P3”の送信ポートから送信され、宛先IDがRRH_ID#2の分割フレームはポート番号“P4”から送信される。
このようにして、中継装置13では、レイヤ2aの機能として、分割フレームを宛先IDに応じた送信ポートに振り分けることによって、目的の終端装置(図10の例ではRRH13)に転送される。そして、終端装置間(BBU-RRH)間では、レイヤ2b以上
の処理が行われることで、BBU11とRRH12に論理パスが設定され、直接接続された場合と同様の処理を実行することができる。
<エラー処理>
次に、中継装置13でのレイヤ2aに係る振分処理(分割フレームの転送処理)時に発生するエラーを検出する処理、及びエラーメッセージを分割フレームの送信元の対向装置へ送るための処理について説明する。
以下の説明において、「送信側終端装置」,「受信側終端装置」,「受信側対向装置」,「送信側対向装置」との用語を用いる。本明細書において、「送信側終端装置」は、UMTSフレームから分割フレームを生成する装置を意味し、「受信側終端装置」は、分割フレームからUMTSフレームを組み立てる装置を意味する。従って、分割フレームが或るBBU11で生成されて送信され、或るRRH12が分割フレームを受信しUMTSフレームを組み立てる場合には、或るBBU11が送信側終端装置に相当し、或るRRH12が受信側終端装置に相当する。逆に、或るRRH12が分割フレームを生成及び送信し、或るBBU11が分割フレームを受信してUMTSフレームを組み立てる場合には、或るRRH12が送信側終端装置に相当し、或るBBU11が受信側終端装置に相当する。
また、「受信側対向装置」は、或る中継装置13が分割フレームを受信する場合に、当該中継装置13の上流側において或る中継装置13の直前に位置し、当該或る中継装置13へ分割フレームを直接に送信する他の装置を意味する。また、「送信側対向装置」は、或る中継装置13が分割フレームを送信する場合に、或る中継装置13の下流側において或る中継装置13の直後に位置し、或る中継装置13から分割フレームを直接に受信する他の装置を意味する。
例えば、図2において、中継装置13BがBBU11Bから受信される分割フレームを中継装置13C及び中継装置13Dのそれぞれへ転送する場合、BBU11Bは、中継装置13Bの受信側対向装置に相当する(BBU11Bは分割フレームの送信側終端装置でもある)。一方、中継装置13C及び中継装置13Dのそれぞれは、中継装置13Bの送信側対向装置に相当する。或いは、中継装置13Bが中継装置13C及び中継装置13Dのそれぞれから受信される分割フレームをBBU11Bに転送する場合、中継装置13C及び中継装置13Dのそれぞれは、中継装置13Bの受信側対向装置であり、BBU11Bは、中継装置13Bの送信側対向装置である(BBU11Bは分割フレームの受信側終端装置でもある)。
また、各RRH12(例えばRRH12A)は、直接に接続された中継装置13(例えば、中継装置13C)へ分割フレームを送信する場合、当該中継装置13(中継装置13C)の受信側対向装置となる。これに対し、各RRH12(例えばRRH12A)は、直接に接続された中継装置13(例えば中継装置13C)から分割フレームを受信する場合、当該中継装置13(例えば中継装置13C)の送信側対向装置となる。
図12は、中継装置13にて実行されるエラー検出処理の例を示すフローチャートである。図12に示す処理は、中継装置13において、分割フレームが振分処理部132に供給されることによって開始される。
振分処理部132は、分割フレームから宛先IDの取得を試行し(001)、宛先IDが取得されたか否かを判定する(002)。このとき、宛先IDが取得された場合には、処理が003に進む。これに対し、宛先IDが分割フレームから取得されない場合には、エラーであると判定し、処理が010に進む。このとき、振分処理部132は、分割フレームに宛先IDが含まれていない旨のエラーを制御部138に通知する。
003では、振分処理部132は、振分テーブル134を参照し、振分テーブル134に宛先IDに対応するエントリがあるか否かを判定する(004)。エントリがある場合には、処理が005に進み、エントリがない場合には、エラーであると判定し、処理が010に進む。このとき、振分処理部132は、制御部138に対し、エントリがない旨のエラーを通知する。
005では、振分処理部132は、004で見つかったエントリ中の状態が正常を示すか否かを判定する。このとき、エントリ中の状態が正常を示す場合には、処理が006に進む。これに対し、エントリ中の状態が正常と異なる状態(障害又は閉塞)を示す場合には、処理が009に進む。
009では、振分処理部132は、当該エントリ中の宛先IDと同一の宛先IDを含み、且つ当該エントリ中の優先度の次の優先度を含むエントリを探索する。次の優先度を含むエントリがヒットした場合には、処理が005に戻る。これに対し、次の優先度を含むエントリがヒットしなかった場合には、エラーであると判定され、処理が010に進む。このとき、振分処理部132は、制御部138に対し、宛先IDに対応する全てのエントリが正常でない(異常である)旨を示すエラーを通知する。
005で肯定判定が行われた場合には、分割フレームは宛先IDに対応する送信ポートを収容する送信部133へスイッチ135を介して転送される。分割フレームを受け取った送信部133は、送信ポートのスロットセット(コンテナ)を確認し(006)、分割フレームを格納する空きスロットがあるか否かを判定する(007)。
このとき、空きスロットがあれば、送信部133は、空きスロットに分割フレームを格納し(008)、処理を終了する。分割フレームは、スロットセット(コンテナ)の送信タイミングで送信ポートから送信される。これに対し、空きスロットがない場合には、送信部133は、エラーであると判定し、処理が010に進む。このとき、空きスロットがない旨のエラーが制御部138に通知される。
010では、送信元ポート(エラーが発生した分割フレームを受信した受信ポートに対応する送信ポート)のスロットにエラーメッセージ(エラーメッセージを含む分割フレーム)を格納する。
図13は、エラーメッセージ処理(010の処理)の例を示すフローチャートである。図13の011において、制御部138は、振分処理部132又は送信部133からのエラー通知を受け取ることによって、エラーを検出する。エラー通知には、エラー種別(宛先IDなし、エントリなし、全エントリ異常、空きスロットなし)を示す情報が含まれており、制御部138は、エラー種別を認識することができる。また、エラー通知には、エラーに係る宛先ID(エントリなし、全エントリ異常、空きスロットなし)が含まれる。また、エラー種別“宛先IDなし”の場合には、宛先IDの代わりに、受信ポート番号(メモリ134Aに記憶)が含まれる。
制御部138は、送信元ポートを特定する(012)。図14は、メモリ139(図7
A、図7B)に記憶された管理テーブル139Aのデータ構造例を示す。管理テーブル139Aは、中継装置13の各受信ポートに対応する振分テーブル134の登録内容に加えて、送信元ID(分割フレームの受信側対向装置の装置ID)や、各送信ポートにおける空きスロット数のような、分割フレームの転送に係る管理情報を記憶している。また、図14には図示していないが、分割フレームの送信側終端装置の装置IDも登録されている。
012において、制御部138は、エラー通知に含まれる受信ポート番号及び宛先IDの少なくとも一方に対応するエントリを管理テーブル139Aから特定し、特定されたエントリ中の受信ポート番号を得ることによって、送信元ポート番号を特定する。本実施形態では、受信ポート番号と送信ポート番号とが同じ番号であるため、送信元ポートに相当する送信ポートを受信ポート番号の特定によって特定することができる。
上記の0012の処理は、以下のような変形が可能である。すなわち、各振分処理部132に対応する各メモリ134Aは、自ポートの受信ポート番号(送受信ポート番号)を記憶する。振分処理部132は、宛先IDに対応する送信部133へ分割フレームを転送する場合に、受信ポート番号を付与する。振分処理部132及び送信部133のそれぞれは、受信ポート番号を含むエラー通知を制御部138に与える。このような構成が採用される場合には、制御部138は、受信ポート番号を送信元ポート番号として扱うことができるので、管理テーブル139Aを参照することなく、エラー通知の参照によって、送信元ポートを特定することができる。
次に、制御部138は、012で特定したエントリに含まれた送信元IDを取得することで、分割フレームの受信側対向装置(分割フレームの上流側の対向装置)のIDを特定する(013)。次に、制御部138は、エラーメッセージを生成する(014)。すなわち、制御部138は、例えば、エラー種別、中継装置13の装置ID、分割フレームの宛先ID、及びエラーメッセージの宛先IDである受信側対向装置の装置IDを含むことができる。
次に、制御部138は、エラーメッセージの送信指示を送信元ポートに対応する送信部133に与える(015)。送信部133は、エラーメッセージを含む分割フレームをスロットに格納する(017)。分割フレームのヘッダには、受信側対向装置のIDが宛先IDとして設定される。その後、エラーメッセージを含む分割フレームは、スロットセット単位で対向装置へ送出される。
但し、上述した図13の処理において、エラー種別が「宛先IDなし」である場合には、013において、受信側対向装置の装置IDの代わりに、送信側終端装置の装置IDが取得され、分割フレームのヘッダには、宛先IDとして、送信側終端装置の装置IDが設定される。送信側終端装置(BBU11又はRRH12)では、エラーメッセージはCPRIインタフェース部114又は121から保守監視制御部111又は125に与えられる。すると、保守監視制御部111又は125は、分割フレームに宛先IDを付与するために、CPRIインタフェース部114又は121に宛先IDを通知する。
上記のようなエラーメッセージ処理によれば、分割フレームに宛先IDが含まれていない場合には、エラー種別「宛先IDなし」を示すエラーメッセージが送信側終端装置へ送られる。
また、中継装置13の振分処理部132において、分割フレームに含まれた宛先IDに対応するエントリが振分テーブル134から発見されない場合には、エラー種別「エントリなし」のエラーメッセージが受信側対向装置へ送られる。
また、振分テーブル134中の宛先IDに対応するエントリの全てが送信ポートの障害又は閉塞を示す(正常状態のエントリがない)場合にも、エラー種別「全エントリ異常」のエラーメッセージが受信側対向装置へ送られる。
さらに、分割フレームを格納する空きスロットがない場合にも、エラーメッセージが受信側対向装置へ送られる。中継装置13において、或る送信ポートから送信されるスロットセット(コンテナ)に含まれるスロット数(M)は、当該送信ポートの伝送容量に応じて決定される。したがって、中継装置13内において、スロットセットを形成するスロット数Mが送信ポート毎に異なる場合がある。このため、スロットセットを形成するM個のスロットが全て使用中である場合が起こり得る。エラーメッセージが送信される場合には、エラー検出に使用された分割フレームは破棄される。
なお、図12に示した処理では、送信部133が空きスロットがないことを制御部138に通知している。これに対し、振分処理部132が、分割フレームを送信部133へ送る前に、宛先IDを制御部138に通知して、対応する空きスロットの有無を問い合わせる。制御部138は、管理テーブル139Aを参照して、空きスロットの有無を確認し、その結果を振分処理部132に返す。振分処理部132は、空きスロットがあれば、分割フレームを送信部133に送る。これに対し、空きスロットがなければ、振分処理部132は、分割フレームを破棄する。制御部138は、エラーメッセージを送信元ポートの送信部133に送る。このような構成を適用することもできる。
<中継装置の制御>
次に、中継装置13における制御、及びBBU11又はRRH12による中継装置13の制御について説明する。
<<エラーメッセージ受信時の処理>>
図15は、受信側対向装置としての中継装置13がエラーメッセージを受信した場合における制御動作例を示す図である。最初の021では、中継装置13の制御部138がエラーメッセージを受領する。すなわち、中継装置13の受信部131は、エラーメッセージの分割フレームを取得する。振分処理部132が、分割フレームに付与された宛先IDが自中継装置13の装置IDである場合には、分割フレームの内容(エラーメッセージ)が、SW135を介して制御部138に提供される。
例えば、振分テーブル134に、自中継装置13のIDが登録された特別なエントリが用意され、当該特別なエントリがヒットした場合に、振分処理部132は、分割フレーム内の情報を制御部138に通知する構成を適用することができる。もっとも、当該構成は1つの例であり、宛先IDが自装置のIDであった場合に、振分処理部132が制御部138に分割フレーム内の情報を通知する様々な構成を適用することができる。
エラーメッセージを受領した制御部138は、管理テーブル139Aを参照し、エラーメッセージに含まれた宛先IDに対応する受信ポート番号及び送信ポート番号を管理テーブル139Aから取り出し、当該受信ポート番号に対応する振分処理部132に対し、状態変更指示を与える。状態変更指示は、エラーメッセージに含まれた宛先IDと、管理テーブル139Aから取り出された送信ポート番号とを含む。振分処理部132は、状態変更指示に従って、状態変更指示に含まれた宛先ID及び送信ポート番号が登録された振分テーブル134のエントリにおける状態を「障害」に変更する(022)。
なお、上記した変形例のように、受信ポート番号(受信ポート番号=送信ポート番号)が予めメモリ139などに記憶され、エラーメッセージが制御部138に通知される場合に、受信ポート番号がエラーメッセージとともに制御部138に通知される構成が採用さ
れても良い。この場合、上記の022の処理における、管理テーブル139Aの参照による受信ポート番号の取り出しは省略される。
このとき、管理テーブル139Aに登録された状態情報も、同期をとって更新される。さらに、エラー種別が管理テーブル139A(メモリ139)に記憶され、管理情報として使用されるようにすることもできる。
振分処理部132は、振分テーブル134を参照し、状態を障害に変更したエントリの宛先IDと同一の宛先IDが登録されたエントリであって、次の優先度が登録されたエントリ(状態「正常」)があるか否かを判定する(023)。該当エントリがない場合には、図15に示す処理が終了し、受信ポートから受信される分割フレームについては、次の優先度に係るエントリに登録された送信ポート番号の送信ポートから分割フレームが送信される状態となる。
これに対し、次の優先度のエントリがない場合には、その旨が振分処理部132から制御部138に通知される。すると、制御部138は、宛先IDに関する「全エントリ異常」のエラーメッセージを生成し、受信側対向装置の送信部133にエラーメッセージを与える。送信部133は、当該エラーメッセージを含む分割フレームを受信側対向装置へ送信する(024)。
このようにして、エラーメッセージを受信した受信側対向装置としての中継装置13は、エラーメッセージに対応する振分テーブル134のエントリ中の状態を障害に設定する。このとき、次の優先度に係るエントリがある場合には、中継装置13は、当該エントリに登録された送信ポート番号(エラーに係る送信ポート番号と異なる)の送信ポートから分割フレームを送信する状態となる。これによって、分割フレームを送信するための送信ポートが変更されるため、分割フレームは、異なる経路を辿って受信側終端装置へ到達する状態となる。すなわち、分割フレームの伝送経路が変更される。
なお、024で送信されたエラーメッセージを含む分割フレームを受信する受信側対向装置が中継装置13である場合には、図15の処理が実行される。ここで、宛先IDに対応する次の優先度のエントリ(状態「正常」)がある場合には、そのエントリが使用されることで、分割フレームの経路変更がなされることになる。
<<BBU11又はRRH12による中継装置13の制御>>
次に、エラーメッセージ(を含む分割フレーム)が分割フレームの送信側終端装置(BBU11又はRRH12)に到着した場合における処理(中継装置の制御)について説明する。
送信側終端装置では、分割フレームに格納されたエラーメッセージ(エラー種別「全エントリ異常」又は「空きスロットなし」)が、CPRIインタフェース部114(121)から保守監視制御部111(125)へ送られる。保守監視制御部111(125)は、エラーメッセージに応じて、以下の対応を図ることができる。
(1)終端装置間(BBU11-RRH12間)における分割フレームの転送経路を変更
する。
(2)BBU11とRRH12の組み合わせを変更する。
上記の(1)及び(2)の対応は、終端装置からの中継装置13の制御を通じて行うことができる。上述したように、中継装置13の制御として、「リセット(再起動)」、「閉塞」、「振分テーブルの書換」を実行することができる。以下、上記(1)及び(2)の動作について説明する。
<<分割フレームの伝送経路変更>>
説明のために、図16に示す状況を想定する。図16において、BBU11BとRRH12Bとの間に、BBU11B-中継装置13B-中継装置13D-RRH12Bの分割フ
レームの伝送経路(レイヤ2aパス)が設定されている。この状況で、中継装置13DからRRH12Bへ分割フレームを送信する送信ポートに関して、「空きスロットなし」のエラーが発生した場合には、中継装置13Dから受信側対向装置である中継装置13Bへ、例えばエラー種別「空きスロットなし」のエラーメッセージが送信される。このエラーメッセージによって、中継装置13Bにおいて、エラー種別「全エントリ異常」のエラーが発生した場合には、中継装置13Bから送信側終端装置であるBBU11Bへ、エラー種別「全エントリ異常」のエラーメッセージが送信される。
図17は、中継装置13の制御コマンド送信に係る処理を示すフローチャートである。なお、以下に示す例では、BBU11(BBU11B)での処理について説明するが、同様の状況下で実行されるRRH12の処理も同様である。また、エラーメッセージが保守サーバ15のような保守装置に通知され、保守サーバ15の主導で中継装置13の制御が行われるようにしても良い。この場合、BBU11の制御部111は、保守サーバ15からの指示を受信し、当該指示に従って、中継装置13(場合によってはRRH12)に対する制御を行う。
図17において、BBU11Bの保守監視制御部111(以下、「制御部111」と表記、逆の場合は保守監視制御部125)は、エラーメッセージを受領する(031)。
制御部111は、メモリ111b(逆の場合はメモリ125b)に記憶されている保守監視制御情報を参照する。保守監視制御情報は、BBU11とRRH12との間に設けられた複数の分割フレームの伝送経路情報を含む。
伝送経路情報は、例えば、BBU11とRRH12との間に用意された経路毎に、当該経路上に位置する中継装置13の装置IDと、当該中継装置13が有する振分テーブル134の登録内容と、当該中継装置13の空きポート情報とを含む。また、伝送経路情報は、送信側終端装置及び受信側終端装置のそれぞれの空きポート情報を含むこともできる。
制御部111は、伝送経路情報を用いて、代替経路を決定する(032)。代替経路の決定方法は、特に問わない。制御部111は、代替経路として、例えば、BBU11B→中継装置13B→中継装置13C→RRH12Bの代替経路を決定する。ここで、中継装置13CからRRH12Bの間には、中継装置13Cに到着した分割フレームをRRH12Bに伝送する運用中のレイヤ2aパスがあると仮定する。
この場合、制御部111は、代替経路の設定のために、中継装置13B及び中継装置13Cに対する振分テーブル134の書換制御を決定し、中継装置13B向けの制御コマンド(制御情報)を生成する(033)。
第1に、中継装置13B向けに、制御コマンドとして、制御対象の中継装置13Bの装置IDと、制御コマンド「閉塞」を示す制御コマンドIDと、書換対象の振分テーブル134に係る受信ポート番号と、分割フレームの宛先IDとがCPRIインタフェース部114(逆の場合はCPRIインタフェース部121)に与えられる(033)。
次に、CPRIインタフェース部114は、分割フレームのヘッダに制御コマンドを設定する(034)。そして、CPRIインタフェース部114は、制御コマンドを含む分割フレームを中継装置13Bに送信する(035)。
図18は、中継装置13における制御コマンド受信時の処理例を示すフローチャートである。中継装置13Bでは、振分処理部132が、分割フレームのヘッダに含まれた宛先ID(中継装置13BのID)に基づき、制御コマンドを制御部138に送信する。これによって、制御部138は、制御コマンドを受領する(041)。
次に、制御部138は、制御コマンド中の制御コマンドIDから制御コマンド種別が「閉塞」であるか否かを判定する(042)。ここでは、制御コマンド種別は「閉塞」であるので、受信ポート番号に対応する振分処理部132に対し、宛先IDに対応する振分テーブル134中の全エントリにおける状態を「閉塞」に設定する(043)。「閉塞」状態では、ユーザデータは転送できなくなるが、制御コマンドは転送可能な状態となる。これによって、振分テーブル134の当該宛先IDに対応するエントリの全てが障害状態となるので、エラー種別「全エントリ異常」のエラーメッセージが作成され、受信側対向装置へ送信される(043A、図13参照)。
上記のような制御コマンド「閉塞」に係る処理によって、中継装置13の上流側の装置は、当該中継装置13の該当受信ポート宛てに、通常の分割フレームを送信できない状態となる。図16の例では、中継装置13Bから中継装置13Dへの送信ポートが閉塞された状態となる。
なお、制御部138は、「閉塞」に係る処理が完了した場合には、完了メッセージを送信側終端装置(BBU11B)へ送ることもできるが、このような完了メッセージの返信はオプションである。
第2に、制御部111は、中継装置13B向けに、制御コマンドとして、制御対象の中継装置13Bの装置ID(宛先ID)と、制御コマンド「振分テーブル書換」を示す制御コマンドIDと、書換対象の振分テーブル134に係る受信ポート番号とをCPRIインタフェース部114に与える。
ここで、中継装置13の振分テーブル134の書換が行われる場合には、制御対象の中継装置13で終端される、レイヤ3信号中の制御監視用のチャネル信号を使用して、データ(書換内容)が送信される。
具体的な書換内容としては、例えば、“宛先ID(RRH12BのID),中継装置13Cへの送信ポート番号,優先度1”である。このような書換内容がCPRIインタフェース部114に与えられる。CPRIインタフェース部114は、書換内容と制御コマンドとを含み、中継装置13BのIDが宛先IDとして設定されたCPRI信号を生成し、中継装置13Bへ送信する。このようなCPRI信号(制御信号の一例である)が送信される間、通常の(ユーザデータの)分割フレームが当該レイヤ2aパス上を伝送されないように、「閉塞」処理が実行される。なお、閉塞状態は、別の制御コマンドによって解除される。
中継装置13Bでは、制御コマンド「振分テーブル書換」に係るCPRI信号が受信され、振分処理部132にて、制御コマンド中の宛先IDから、当該制御コマンドが制御部138に与えられる(図18の041)。制御部138は、制御コマンドIDが「振分テーブル書換」を示すので(図18の044のY)、書換内容に従って、対応する振分テーブル134の登録内容を書き換える指示を振分処理部132に与える。
これによって、振分処理部132は、振分テーブル134に、書換内容を書き込む(図18の045)。これによって、振分テーブル134に、中継装置13Cに分割フレーム
を送信するための新たなエントリが登録される。このとき、新たなエントリの状態は「閉塞」に設定される。従って、当該エントリに関して、ユーザデータは転送されないが、制御コマンドは中継装置13Cに転送可能な状態となる。なお、新たなエントリを追加する代わりに、振分テーブル134中の宛先IDに対応する中継装置13D向けの既存エントリの送信ポート番号を中継装置13C向けの送信ポート番号に書き換える処理が実行されるようにしても良い(書き換えられたエントリの状態は「閉塞」に設定される)。このとき、当該振分テーブル134に中継装置13DのIDを宛先IDとするエントリがなければ、中継装置13Dに制御信号(制御コマンド)を送るために当該エントリが追加される。
第3に、制御部111は、中継装置13C向けに、制御コマンドとして、制御対象の中継装置13Cの装置ID(宛先ID)と、制御コマンド「振分テーブル書換」を示す制御コマンドIDと、書換対象の振分テーブル134に係る受信ポート番号と、書換内容とをCPRIインタフェース部114に与える。具体的な書換内容としては、“宛先ID(RRH12BのID),RRH12Bへの送信ポート番号,優先度1”である。
CPRIインタフェース部114は、書換内容と制御コマンドとを含み、中継装置13DのIDが宛先IDとして設定されたCPRI信号を生成し、中継装置13Bへ送信する。CPRI信号は、中継装置13Bを経由して、中継装置13Cに到達する。そして、図18に示した振分テーブル134の書換処理が行われ、中継装置13Bから送信された分割フレームがRRH12Bへ転送されるためのエントリが振分テーブル134に追加される。このとき、追加エントリの状態は「閉塞」に設定される。
以上のような中継装置13B及び中継装置13Cの経路変更に係る処理が完了すると、BBU11Bの制御部111は、中継装置13Cの制御部138に対して、上記したエントリの閉塞状態を解除する(状態を「正常」にする)制御コマンドを送信する。中継装置13Cの制御部138は、制御コマンドを中継装置13B経由で受信し、当該エントリの閉塞状態を解除する。
続いて、BBU11Bの制御部111は、中継装置11Bの制御部138に対して、中継装置13Cへ分割フレームを転送するためのエントリにおける「閉塞」状態を「正常」状態に書き換えるための制御コマンドを送る。これによって、分割フレームは、BBU11B→中継装置13B→中継装置13C→RRH12Bの経路でRRH12Bに到達する(図16の実線矢印参照)。すなわち、分割フレームの伝送経路が切り替えられる。
その後、BBU11BとRRH12Bとの間で確立された分割フレームの伝送経路を用いて、BBU11Bの制御部111からRRH12Bの保守監視制御部125(制御部125)に対し、上り経路を下り経路に合わせて変更する旨の指示が与えられる。当該指示を受けて、RRH12Bの制御部125は、分割フレームが中継装置13C及び13Bを経由してBBU12Bに到達するための、振分テーブル134の書換制御を中継装置13C及び13Bに対して実行する。書換制御の具体的な内容は、図17及び図18を用いて説明した処理とほぼ同じであるので説明を省略する。以上のようにして、BBU-RRH
間でやりとりされるデータの伝送経路を変更することができる。
また、上記のようなRRH12主導での上り経路の設定方法の代わりに、上述したような下り経路に対する伝送経路の切替に係る処理中に、BBU11Bが、上りの経路(RRH12B→中継装置13C→中継装置13B→BBU11B)に係る処理を同時期に実施することができる。すなわち、上述したような、下り経路変更用の制御コマンドとともに、上り経路変更用の制御コマンドを中継装置13C及び中継装置13Bに提供することによって、上り経路に係る振分テーブル134の内容を変更することができる。
なお、図18に示すように、制御部138は、制御部111又は制御部125から発行された制御コマンド「リセット」を受領した場合(044のY)には、自装置の再起動処理を実行する。リセットによる制御は、例えば、中継装置13の装置障害の検出時に実行される。装置障害が所謂ソフトエラーにより発生している場合には、リセット(再起動)によって当該ソフトエラーを解消できる可能性があるからである。
<<伝送路障害発生時における動作(伝送経路変更含む)>>
次に、伝送路障害発生時における中継装置13及び送信側終端装置の動作及び処理について説明する。説明のため、図16に示したように、BBU11BとRRH12Bとの間に、BBU11B-中継装置13B-中継装置13D-RRH12Bの分割フレームの伝送
経路(レイヤ2aパス)が設定されている例を想定する。このような状況で、中継装置13DとRRH12Bとを結ぶ物理回線(光ファイバ)が切断された場合を仮定する。
図19は、伝送路障害時における中継装置での処理例を示すフローチャートである。図19において、中継装置13(例えば、図16における中継装置13D)は、下流側の物理回線が切断されると、例えば、光モジュール137での受光レベルが閾値を下回る。制御部138は、このような受光レベルの低下を検出することによって、物理回線の切断を検出する(051)。
制御部138は、物理回線の切断に関係する送信ポートの状態を「障害」状態として管理する(052)。送信ポートの状態は、例えば管理テーブル139Aにて管理される。
続いて、制御部138は、052にて障害状態とした送信ポートの送信ポート番号を含むエントリが各振分テーブル134に含まれているか否かを判定する(053)。このとき、障害に係る送信ポート番号のエントリがいずれの振分テーブル134にも登録されていなければ、図19の処理が終了する。
これに対し、障害に係る送信ポート番号のエントリがある場合には、制御部138は、当該エントリを含む振分テーブル134のそれぞれに関して、当該エントリの状態を「障害」に変更する(054)。
次に、制御部138は、状態が「障害」に変更されたエントリを含む振分テーブル134に当該エントリの宛先IDと同一の宛先IDが登録された次の優先度のエントリ(状態「正常」)があるか否かを判定する(055)。このとき、状態が「障害」に変更されたエントリを含む全ての振分テーブル134が、次の優先度のエントリを有している場合には、図19の処理が終了する。
これに対し、或る振分テーブル134について、次の優先度のエントリがない場合には、図13に示したエラーメッセージ処理と同様の処理が行われ、エラーメッセージ(障害通知)が、当該振分テーブル134に対応する受信ポートの対向装置に対して送信される。当該エラーメッセージ(障害通知)の送信は、次の優先度のエントリを含まない振分テーブル134毎に実行される。
図20は、伝送路障害時における動作を示すシーケンス図である。RRH12Bと中継装置13Dのポート(図20の例ではポート#2)との間の物理回線が切断されると(図20<1>)、中継装置13Dの制御部138で物理回線の切断が検出される(図20<2>)。
このとき、制御部138は、図19の052〜054の処理を行い、障害に係るエント
リの状態を「障害」に設定する。図20の例では、ポート#1及び#0に係る振分テーブル134に対する状態の変更指示が各振分処理部132に与えられ(図20<3>及び<4>)、各振分処理部132がエントリの状態を書き換える(図20<5>及び<6>)。
ポート#0に係る振分テーブル134では、該当エントリの状態が障害に書き換えられた結果、送信ポート番号(ポート#2)に係るエントリの全てが障害となる(図20<7>)。
この場合、エラーメッセージ処理が実行され、障害通知のエラーメッセージ(障害通知)が中継装置13Bに送信される(図20<8>)。中継装置13Bでは、該当エントリが障害状態に変更される(図20<9>)中継装置13Bでも、当該宛先IDに対応するエントリの全てが障害状態となる場合には(図20<10>)、障害通知がBBU11Bに与えられる(図20<11>)。BBU11Bは、経路変更処理を行う(図20<12>)。
経路変更処理の内容は、図17及び図18を用いて説明した処理と同じであるので説明を省略する。経路変更によって、中継装置13B-中継装置13D-RRH12Bの伝送路(図16の破線矢印参照)が、迂回経路である中継装置13B-中継装置13C-RRH12B(図16の実線矢印参照)に変更される。
エラー検出時との違いは、伝送路障害時では、その影響が複数の送信ポートに及ぶことがあるので、複数の送信ポートが使用不可の場合に、それぞれの送信ポートに対応する振分テーブル134の該当エントリの状態が「障害」に変更されることにある。
<<BBUとRRHとの組み合わせ変更>>
次に、BBU11とRRH12との組み合わせ変更時における処理について説明する。例えば、図2において、RRH12A及びRRH12Bのそれぞれは、中継装置12A及び中継装置13Cを介してBBU11Aとの間で分割フレームを送受信し、RRH12Cは、中継装置13B及び中継装置13Dを介してBBU11Bとの間で分割フレームを送受信する運用がなされていると仮定する。
保守サーバ15が、RRH12Bの接続先(従属先)をBBU11AからBBU11Bに変更する指示がBBU11A及びBBU11Bの各制御部111に与えられた場合には、次のような処理が行われる。
すなわち、BBU11Aの制御部111は、RRH12Bの制御部125に対し、RRH12BとBBU11Aとの接続を解除する指示を与える。すると、RRH12Bの制御部125は、上述した制御コマンド「閉塞」を用いて、中継装置13Cに対し、BBU11AのIDである宛先IDとRRH12Bからの分割フレームを中継装置13Aへ送信する送信ポートの送信ポート番号との対応関係が記憶された全てのエントリの状態を「閉塞」に設定する。或いは、制御部125は、上述した制御コマンド「振分テーブルの書換」を用いて、上記した対応関係が記憶された全てのエントリを削除する。これによって、RRH12BからBBU11Aへ送信された分割フレームがBBU11Aに到達しない状態となる。
一方、BBU11Aは、RRH12BのIDである宛先IDと、分割フレームをRRH12Bへ送信する送信ポートの送信ポート番号との対応関係が記憶されたエントリの全ての状態を「閉塞」に変更するための制御コマンド「閉塞」を中継装置13Cに送る。中継装置13Cは該当エントリの全ての状態を「閉塞」に変更する。或いは、制御コマンド「
振分テーブルの書換」を用いて、上記対応関係が記憶された全てのエントリを削除しても良い。さらに、BBU11Aの制御部は、RRH12Bとの間で送受信されるユーザデータに係るベースバンド処理用のリソースをRRH12Aとの間で送受信されるユーザデータに係るベースバンド用のリソースとして使用する(リソース割当を変更する)ことができる。
一方、BBU11Bは、RRH12Bとの接続関係を構築すべく、制御コマンド「振分テーブルの書換」を用いて、例えば、宛先IDとしてのRRH12BのIDと、分割フレームをRRH12Bへ送信する送信ポートの送信ポート番号とを含むエントリを振分テーブル134に追加するための制御コマンド「振分テーブルの書換」に係るCPRI信号を中継装置13Dに送る。中継装置13Dは該当する振分テーブル134に該当エントリを追加する。これによって、BBU11BからRRH12Bへの分割フレームの伝送経路が形成される。
BBU12Bの制御部111は、さらに、RRH12Bの制御部125に対して、BBU11Aへの分割フレームの伝送経路を形成する旨の指示を与える。すると、制御部125は、制御コマンド「振分テーブルの書換」を用いて、中継装置13Dに対し、BBU11BのID(宛先ID)と分割フレームを中継装置13Bへ送信する送信ポートの送信ポート番号とを含むエントリを所定の振分テーブル134に追加する制御を行う。これによって、RRH12BからBBU11Bへのデータの伝送経路が形成された状態となる。
さらに、BBU11Bの制御部111とRRH12Bの制御部125は、上位アプリケーションの機能として、BBU11BとRRH12Bとの間のCPRIリンクのネゴシエーションを行い、両者間にCPRIリンクを設定する。当該CPRIリンクの設定は既存技術であるため、詳細な説明は省略する。このようにして、基地局装置10では、BBU11とRRH12との接続関係の変更を、振分テーブル134に対するエントリの書換(エントリの削除、エントリの追加)によって実現することができる。
<実施形態の作用効果>
実施形態に係る基地局装置(基地局システム)10によると、振分テーブル134の書換(エントリ追加、エントリ削除、エントリの登録内容の一部変更)によって、分割フレームを送信する送信ポートを変更することができる。これによって、運用中にRRH12の接続先のBBU11を他のBBU11に変更することができる。
例えば、図21に示す例では、日中では、RRH12A及びRRH12Bのユーザ(接続される移動端末)がそれぞれ少なく、RRH12Cに接続される移動端末の数が多いのに対して、夜間では、RRH12Aのユーザ数が増加し、RRH12B及びRRH12Cのユーザ数が減少する。このため、日中では、RRH12A及びRRH12BをBBU11Aに接続し、夜間では、RRH12Bの接続先をBBU11Bに切り替える。例えば、所定の時刻(例:18時及び9時)にRRH12Bが接続されるBBU11の変更処理が実行される。
これによって、ユーザ数の多いRRH12に対して多くのベースバンド処理用のリソースを割り当てることができる。また、イベント、事故、災害などで突発的に或るRRH12に対するユーザリソースの増加が望まれる場合に、接続先のBBU11を切り替えることによって、リソースを増やすことができる。このように、実施形態よれば、複数のBBU11のリソースを有効に利用することができる。
また、BBU11の障害時には、障害の生じたBBU11の配下にある各RRH12が接続先を他のBBUに切り替えることで、通信サービス障害の発生を回避、又は障害範囲
を小さくすることができる。図22に示す例では、BBU11Eが障害により動作を停止した場合には、移動端末は、BBU11Eの配下のRRH12D,RRH12E,RRH12Fを用いて通信を行うことができなくなる。
保守サーバ15は、BBU11Eと、隣接するBBU11D及びBBU11Fを監視している。保守サーバ15は、BBU11Eの障害を検出すると、BBU11Dに対してRRH12Dとの接続を指示し、BBU11Fに対してRRH12E及びRRH12Fとの接続を指示する。これによって、BBU11Dは、上述した「BBUとRRHとの組み合わせ変更」において説明した動作や処理と同様の処理を行うことで、RRH12Dを配下に入れることができる。また、BBU11Fも、RRH12E及びRRH12Fを配下に入れることができる。これによって、BBU11Eの障害に伴うサービス障害を回避又は抑制することができる。なお、図21及び図22では、中継装置13の図示は省略している。
また、図16などを用いて説明したように、BBU-RRH間の物理回線障害時や、エ
ラー発生時において、迂回路(経路変更)によってサービス停止を回避することができる。
さらに、RRH12の接続先のBBU11を変更することによって、省電力を図ることができる。例えば、図2において、RRH12A,12B及び12Cの全てがBBU11AとBBU12Bとの一方に接続されるようにすることで、他方の電源をオフにすることができる。これによって、稼働するBBU数を抑えて省電力を図ることが可能となる。