JP5978906B2 - 放射能スクリーニング検査装置 - Google Patents

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この発明は、放射線検出器により検査物を測定して得た放射線の計数率と、バックグラウンド計数率と、検査物に対する放射能の基準値とを用いて放射能スクリーニングを実行する放射能スクリーニング検査装置に関する。
例えば、食品の放射能スクリーニング検査を行うときには、厚生労働省の「放射性セシウム・スクリーニング検査マニュアル」等に従って、NaI(ヨウ化ナトリウム)を用いた放射能スクリーニング検査装置が使用されている。この放射能スクリーニング検査装置においては、検査物を測定した測定値と基準値(Bq/kg)とを比較して検査が行われている。
なお、特許文献1には、施設の放射線レベルを監視あるいは管理する放射線モニタが開示されている。この放射線モニタにおいては、縦軸を放射線レベル(CPS)とし、横軸を時間としたグラフを表示している。そして、特許文献1に記載の放射線モニタにおいては、上昇レベル計数率を利用したデータ処理を行うことにより、放射線レベルの異常上昇を初期段階で早期に検知する構成を採用している。
特開平6−324150号公報
このような放射能スクリーニング検査を行うときには、バックグラウンド計数率を正確に認識することが必要となる。すなわち、放射能スクリーニング検査を行うときには、自然界や測定環境周辺のノイズ成分を考慮することが必要であり、検査物を測定した測定値(放射線の計数率)からこれらのノイズ成分であるバックグラウンド計数率を除外する必要がある。ここで、このバックグラウンド計数率は、地域、装置の設置環境、時間帯、天候等の各種の要因によって変化する。このため、放射能スクリーニング検査を行うときには、バックグラウンド計数率の変動を常に考慮する必要がある。
このバックグラウンド計数率は、通常は、放射能スクリーニング検査を開始する前に予め測定され、この測定値に基づいてバックグラウンド計数率の基準レベルが設定される。このため、検査中にバックグラウンド計数率が変化すると、正しい検査値を得ることができなくなる。また、正しいバックグラウンド計数率を使用している場合であっても、バックグラウンド計数率の値が大きければ大きいほどその誤差も大きくなることから、検査値の誤差も大きくなる。従って、常に、バックグラウンド計数率を低いレベルで維持できるように、清掃、除染、遮蔽等を実行する必要がある。このため、バックグラウンド計数率を正確に把握することが要請されている。
しかしながら、特許文献1に記載されたように、放射線検出器により検出された放射線レベルを単純に経時的に表示しただけでは、バックグラウンド計数率や、バックグラウンド計数率の基準レベルと検査物の測定時における放射線の計数率の関係を容易に認識することは困難である。
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、放射線検出器により検出した放射線の計数率とバックグラウンド計数率の基準レベルとの関係を容易に認識することが可能な放射能スクリーニング検査装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、放射線検出器により検査物を測定して得た放射線の計数率と、バックグラウンド計数率と、検査物に対する放射能の基準値とを用いて放射能スクリーニングを実行する放射能スクリーニング検査装置において、放射線の計数率とスクリーニング結果とを表示する表示部を備え、当該表示部には、前記放射線検出器により検出した放射線の計数率を、前記バックグラウンド計数率の基準レベルに対する相対値で表示し、この相対値で表示した放射線の計数率と、予め設定したバックグラウンド計数率の基準レベルとを、互いに直交する二軸のうちの一方の軸を放射線の計数率とし、他方の軸を時間とした状態で、経時的にグラフとして表示することを特徴とする。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフとともに、前記放射線検出器により検出した現在の放射線の計数率を数字で表示する。
請求項に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、検査物を測定しているときの前記放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフと、それ以外のときの前記放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフとを、グラフを表す線の表現を異ならせて表示する。
請求項1に記載の発明によれば、放射線検出器により検出した放射線の計数率と、予め設定したバックグラウンド計数率の基準レベルとを、互いに直交する二軸のうちの一方の軸を放射線の計数率とし、他方の軸を時間とした状態で経時的にグラフとして表示することから、放射線検出器により検出した放射線の計数率とバックグラウンド計数率の基準レベルとの関係を容易に認識することが可能となる。
また、放射線検出器により検出した放射線の計数率をバックグラウンド計数率の基準レベルに対する相対値で表示することから、バックグラウンド計数率の基準レベルが変化した場合においても、放射線検出器により検出した放射線の計数率を一定の状態で表示することが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフとともに現在の放射線の計数率を数字で表示することから、放射線の計数率が表示レンジ外となった場合においても、現在の計数率を認識することが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、検査物を測定しているときに検出した放射線の計数率とそれ以外のときの放射線の計数率とを、線の表現が異なるグラフとして表示することから、検査物に対応する放射線の計数率を容易に認識することが可能となる。
この発明に係る放射能スクリーニング検査装置の概要を示す斜視図である。 この発明に係る放射能スクリーニング検査装置の主要な制御系を示すブロック図である。 画像処理部21のブロック図である。 画像処理部21により画像処理されてモニタ画面13に表示される表示画面を示す概要図である。 画像処理部21により画像処理されてモニタ画面13に表示される表示画面を示す概要図である。 画像処理部21により画像処理されてモニタ画面13に表示される表示画面を示す概要図である。 画像処理部21により画像処理されてモニタ画面13に表示される表示画面を示す概要図である。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係る放射能スクリーニング検査装置の概要を示す斜視図である。また、図2は、この発明に係る放射能スクリーニング検査装置の主要な制御系を示すブロック図である。
この放射能スクリーニング検査装置は、本体11と、検査物50を搬送して開口部15から本体11内に搬入し、また、本体11から搬出するためのコンベア12と、放射線の計数率とスクリーニング結果とを表示するためのこの発明に係る表示部としてのモニタ画面13とを備える。図2に示すように、コンベア12内には、近接センサ等から構成され、コンベア12により搬送される検査物50を検出するための一対のセンサ14が配設されている。
図2に示すように、この放射能スクリーニング検査装置は、本体11内に、コンベア12により搬送される検査物50と対向する位置に配設された放射線検出器25と、この放射線検出器25により検出された放射線をカウントするカウンタ23を備える。また、この放射能スクリーニング検査装置は、本体11内に、検査物50に対する放射線の基準値と、この基準値と検査物50を測定したときの検査物50による放射線の計数率との関係を示す関係式とを、テーブル等の形式で記憶した記憶部24を備える。さらに、この放射能スクリーニング検査装置は、比較部22と、画像処理部21とを備える。
ここで、検査物50に対する放射線の基準値は、検査物50の種類によって予め設定された値であり、その単位は(Bq/kg)となっている。そして、記憶部24には、この基準値の他に、検査物50を測定したときの検査物50による放射線の計数率(Count per second/CPS)と、この計数率に相当する基準値との関係が記憶されている。放射線検出器25により検出され、カウンタ23でカウントされることにより得られた放射線の計数率と記憶部24に記憶された基準値とは、比較部22により比較され、計数率が基準値に対応する値より大きいか否かにより、スクリーニング結果が判定される。
図3は、図2に示す画像処理部21のブロック図である。
この画像処理部21は、バックグラウンド計数率の基準レベルを表示するためのバックグラウンド計数率表示部31と、放射線検出器25により検出した放射線の計数率を表示するための検出計数率表示部32とを備える。これらの計数率とバックグラウンド計数率の基準レベルは、縦軸を放射線の計数率とし横軸を時間とした状態で経時的にグラフとして表示される。
また、この画像処理部21は、放射線検出器25により検出した現在の放射線の計数率を数字で表示するための現在計数率表示部33を備える。さらに、この画像処理部21は、スクリーニング結果を表示するためのスクリーニング結果表示部34を備える。この画像処理部21により画像処理されたデータは、モニタ画面13に送信され、モニタ画面13上に画像が表示される。
図4から図7は、画像処理部21により画像処理されてモニタ画面13に表示される表示画面を示す概要図である。
図4に示すように、モニタ画面13に表示される表示画面においては、縦軸を放射線の計数率とし、横軸を時間とした状態のグラフが表示される。このグラフにおいては、放射線検出器25により検出した放射線の計数率が折線101として経時的に表示される。また、そのときのバックグラウンド計数率の基準レベルが直線102として経時的に表示される。これらのグラフは、時間の経過とともに、図4に示す左側に移動する。この折線101は画像処理部21における検出計数率表示部32の作用により表示され、直線102は画像処理部21におけるバックグラウンド計数率表示部31により表示される。
なお、この実施形態においては、放射線検出器25により検出した放射線を計数率として表示している。このため、表示を行う時間幅にかかわらず、放射線の検出結果を一定に表現することができる。この時、測定された放射線の計数率は統計誤差を含むことから、所定の時間間隔で平均化(スムージング)を実行した後の結果を表示するようにしてもよい。
上述した、バックグラウンド計数率の基準レベルは、検査物50が存在しない状態における放射線検出器25の測定値に基づいて予め設定される。そして、放射線検出器25により検出した放射線の計数率は、バックグラウンド計数率の基準レベルに対する相対値で表示される。図4に示す実施形態においては、バックグラウンド計数率の基準レベルが200CPSに設定されている。そして、表示画面における縦軸は、このバックグラウンド計数率の基準レベルを基準とし、その90%〜150%の範囲、すなわち、180CPS〜300CPSの範囲を表示するようにしている。このような表示方法を採用することにより、バックグラウンド計数率の基準レベルが変化した場合においても、放射線検出器25により検出した放射線の計数率を一定の状態で表示することができる。このため、装置の異常や、バックグラウンド環境の変化を容易に認識することが可能となる。
また、このときにモニタ画面13に表示される表示画面においては、放射線検出器25により検出した放射線の計数率を示す折線101とともに、放射線検出器25により検出した現在の放射線の計数率を数字で表示するエリア103が設定されている。このため、現在の放射線の計数率が一時的に激しく変化して、放射線の計数率が表示レンジ外となった場合においても、このエリア103に表示された数字に基づいて、現在の計数率を認識することが可能となる。このエリア103は、画像処理部21における現在計数率表示部33により表示される。
図5は、時間の経過とともに放射線検出器25により検出した放射線の計数率が高くなる状態を示している。例えば、装置や測定用の容器が汚染した場合には、放射線の計数率が上昇する。このような場合には、予め設定したバックグラウンド計数率の基準レベルを設定時の値より大きなものとする必要が生ずる。この発明に係る放射能スクリーニング検査装置においては、放射線検出器25により検出した放射線の計数率とバックグラウンド計数率の基準レベルとを、同時に経時的にグラフとして表示することから、予め設定されたバックグラウンド計数率の基準レベルと放射線検出器25により検出された放射線の計数率との関係、すなわち、現在のバックグラウンド計数率に相当する計数率と予め設定したバックグラウンド計数率の基準レベルとの関係を容易に認識することができる。従って、除染作業の必要性等を容易に認識することが可能となる。
図6は、除染作業を行った後の状態を示している。汚染領域に対して清掃等の除染作業を実行した場合には、放射線検出器25により検出した放射線の計数率が低くなり、バックグラウンド計数率に相当する計数率が低くなることになる。これにより、放射線検出器25により検出された放射線の計数率を、予め設定されたバックグラウンド計数率の基準レベルに近づけることができる。
図7は、図2に示すように、コンベア12により検査物50を放射線検出器25と対向する位置に搬送して、検査物50のスクリーニング検査を実行する状態を示している。このとき、検査物50が放射能により汚染されていた場合においては、放射線検出器25により検出した放射線の計数率が高くなる。この場合においても、放射線検出器25により検出した放射線の計数率とバックグラウンド計数率の基準レベルとを、同時に経時的にグラフとして表示することから、予め設定されたバックグラウンド計数率の基準レベルと放射線検出器25により検出された放射線の計数率との関係を容易に認識することができる。
なお、図7に示すように、放射線検出器25により検査物50を測定する場合において、検出時の領域Eにおいては、放射線検出器25により検出した放射線の計数率を表す折線101は破線で表示され、それ以外の領域においては、放射線の計数率を表す折線101は実線で表示される。このように、検査物50を測定しているときと測定していないときとでグラフを表す線の表現を異ならせて表示することにより、検査物50に対応する放射線の検出値を容易に認識することが可能となる。
なお、図5に示す実施形態においては、破線と実線とを使用することによりグラフを表す線の表現を異ならせて表示しているが、線の色を変更することによりグラフを表す線の表現を異ならせて表示してもよい。
ここで、上述した検査物50の測定中であるか否かの判定は、一対のセンサ14による検査物50の認識状態により行う。なお、一対のセンサ14を使用する代わりに、単一のセンサの信号とコンベア12の搬送速度に基づいて、検査物50の測定中であるか否かを判定するようにしてもよい。
検査物50を測定したときに放射線検出器25により検出された放射線は、カウンタ23によりカウントされ比較部22に送られる。比較部22においては、記憶部24に記憶した検査物50に対する放射線の基準値と、この基準値と検査物50を測定したときの検査物50による放射線の計数率との関係を示す関係式とを利用して、検査物50に対する放射能の汚染度が基準値を超えているか否かを判断する。この時には、検査物50に対する放射能の汚染度として、予め設定されたバックグラウンド計数率の基準レベルと放射線検出器25により検出された放射線の計数率との差が利用される。そして、その判断結果に基づいて、画像処理部21におけるスクリーニング結果表示部34により、モニタ画面13に対してスクリーニング結果が表示される。このスクリーニング結果の表示は、例えば、画面上に「○」または「×」を表示することにより行われる。
なお、上述した実施形態に係る放射能スクリーニング検査装置においては、検査物50に対する放射線の基準値と、検査物50を測定したときの検査物50による放射線の計数率との関係を示す関係式が予め特定されていない場合には、スクリーニング検査を行うことはできないが、この場合においても、放射線検出器25により検出した放射線の計数率を表す折線101の変化に基づいて、おおよその検査物50の汚染度を判断することが可能となる。
また、上述した実施形態に係る放射能スクリーニング検査装置においては、放射線検出器25により検出した放射線の計数率を折線101により表現しているが、折線101よりも下方の領域を塗りつぶすようにして放射線検出器25により検出した放射線の計数率を表現してもよい。
11 本体
12 コンベア
13 モニタ画面
14 センサ
21 画像処理部
22 比較部
23 カウンタ
24 記憶部
25 放射線検出部
31 バックグラウンド計数率表示部
32 検出計数率表示部
33 弁財計数率表示部
34 スクリーニング結果表示部
50 検査物

Claims (3)

  1. 放射線検出器により検査物を測定して得た放射線の計数率と、バックグラウンド計数率と、検査物に対する放射能の基準値とを用いて放射能スクリーニングを実行する放射能スクリーニング検査装置において、
    放射線の計数率とスクリーニング結果とを表示する表示部を備え、
    当該表示部には、前記放射線検出器により検出した放射線の計数率を、前記バックグラウンド計数率の基準レベルに対する相対値で表示し、この相対値で表示した放射線の計数率と、予め設定したバックグラウンド計数率の基準レベルとを、互いに直交する二軸のうちの一方の軸を放射線の計数率とし、他方の軸を時間とした状態で、経時的にグラフとして表示することを特徴とする放射能スクリーニング検査装置。
  2. 請求項に記載の放射能スクリーニング検査装置において、
    前記放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフとともに、前記放射線検出器により検出した現在の放射線の計数率を数字で表示する放射能スクリーニング検査装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の放射能スクリーニング検査装置において、
    検査物を測定しているときの前記放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフと、それ以外のときの前記放射線検出器により検出した放射線の計数率のグラフとを、グラフを表す線の表現を異ならせて表示する放射能スクリーニング検査装置。
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