以下、一実施形態の金型幅検出装置及び方法について、添付図面を参照して説明する。以下詳述する構成例においては、金型装着部に装着した金型の位置を検出し、金型の幅も検出することができる金型位置・幅検出装置を一実施形態の金型幅検出装置としている。一実施形態の金型幅検出装置及び方法を説明する前に、まず、金型位置・幅検出装置を搭載した曲げ加工装置やラック装置の構成について説明する。
<曲げ加工装置の第1例>
図1に示す第1例の曲げ加工装置100は、後に詳述するように、金型位置・幅検出装置を搭載している。曲げ加工装置100を説明するのに併せて、金型の具体的構成を説明することとする。
図1において、左右のサイドフレーム1L,1Rには、上部テーブル2と下部テーブル3とが取り付けられている。上部テーブル2は、左右に設けた油圧シリンダ4によって上下動するようになっている。上部テーブル2は、図1に示す位置を上端の位置とし、下部テーブル3の方向へと移動する。上部テーブル2を上下動させる代わりに、下部テーブル3を上下動させてもよい。
上部テーブル2の下端部には、パンチ金型TPを装着するための上部金型ホルダ5が取り付けられている。下部テーブル3の上端部には、ダイ金型TDを装着するための下部金型ホルダ6が取り付けられている。上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6は、パンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着する金型装着部の一例である。
上部金型ホルダ5には、上部金型ホルダ5の長手方向に沿って、パンチ金型TPの一部である端部を収納する溝状の凹部51が形成されている。上部金型ホルダ5には、上部金型ホルダ5の長手方向に沿って、スケール52が形成されている。作業者は、スケール52を、パンチ金型TPを上部金型ホルダ5の長手方向のどの位置に装着するかの目安とすることができる。
下部金型ホルダ6には、下部金型ホルダ6の長手方向に沿って、ダイ金型TDの一部である端部を収納する溝状の凹部61が形成されている。下部金型ホルダ6には、下部金型ホルダ6の長手方向に沿って、スケール62が形成されている。作業者は、スケール62を、ダイ金型TDを下部金型ホルダ6の長手方向のどの位置に装着するかの目安とすることができる。
スケール52,62は、例えば、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向の中央を0とし、正面から見て右方向をプラス(+)方向の距離、左方向をマイナス(−)方向の距離とする。上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の左側端部を0としてもよい。
上部テーブル2及び下部テーブル3の奥側には、板材を曲げ加工する際に板材を突き当てるためのバックゲージ7が設けられている。バックゲージ7は、上部テーブル2及び下部テーブル3の長手方向と直交する方向に装着された突き当て部材71,72を有する。
バックゲージ7は、上部テーブル2及び下部テーブル3に近付く方向及び離れる方向に移動自在となっている。突き当て部材71,72は、上部テーブル2及び下部テーブル3の長手方向に移動自在となっている。板材を曲げ加工する際に、板材を突き当て部材71,72に突き当てることができるよう、後述するNC装置10によってバックゲージ7を移動させるようになっている。
バックゲージ7は、上部金型ホルダ5にパンチ金型TPを装着し、下部金型ホルダ6にダイ金型TDを装着する際に、上部テーブル2及び下部テーブル3の長手方向に対するパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置を決めるためにも用いられる。即ち、板材の突き当て部材であるバックゲージ7は、パンチ金型TP及びダイ金型TDの位置決め機構としても利用される。バックゲージ7は、パンチ金型TP及びダイ金型TDの位置決め機構の一例である。
図1は、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の双方に、互いに対向するように3つのパンチ金型TPと3つのダイ金型TDを装着している例を示している。パンチ金型TP及びダイ金型TDには幅や形状が異なる複数種類があり、曲げ加工する板材の折り曲げる部分の長さや加工の仕方に応じた種類のパンチ金型TP及びダイ金型TDが選択して使用される。
また、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6に装着するパンチ金型TP及びダイ金型TDの数と、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向に対するパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置は、曲げ加工する板材や加工の仕方に応じて適宜設定される。
曲げ加工装置100は、曲げ加工装置100全体を制御するNC装置10を備える。NC装置10は、各種の情報を表示したり、曲げ加工装置100を操作したりするための操作・表示パネル8を有する。操作・表示パネル8はタッチパネルを有し、作業者はタッチパネルによって各種の操作入力を行うことができるようになっている。NC装置10は、例えばネットワークによって、曲げ加工装置100を設置している場所と離間した場所に設置されている各種のデータベースと接続されている。
図2を用いて、パンチ金型TP及びダイ金型TDの具体的構成を説明する。パンチ金型TP及びダイ金型TDは、金型の一実施形態である。図2では複数種類の形状のうちの1つを例とし、最も幅の狭いパンチ金型TP及びダイ金型TDを示している。
図2の(a)に示すように、パンチ金型TPの先端P00は所定の角度で尖った形状となっている。パンチ金型TPには、上部金型ホルダ5に装着する側の端部の近傍にV字状の凹部P01が形成されている。凹部P01は、対向する2つの面に形成されている。
対向する2つの面の一方を表面、他方を裏面とすると、表面及び裏面の双方に凹部P01を形成しているのは、パンチ金型TPの表面を図1の手前側にして上部金型ホルダ5に装着する場合と、パンチ金型TPの裏面を図1の手前側にして上部金型ホルダ5に装着する場合とがあるからである。
パンチ金型TPは、パンチ金型TPを上部金型ホルダ5に装着したときに落下を防止するための落下防止ピンP02と、落下防止ピンP02を引っ込ませるための操作部P03とを有する。落下防止ピンP02を設けている側を表面とする。
落下防止ピンP02及び操作部P03は、パンチ金型TPから常に突出する方向へ付勢されている。上部金型ホルダ5の凹部51にパンチ金型TPにおける端部を係合させ、落下防止ピンP02を上部金型ホルダ5の凹部51の長手方向全長に設けた溝に係止させることができる。この状態においては、パンチ金型TPを凹部51に沿って長手方向へ移動させることができる。
パンチ金型TPを上部金型ホルダ5に装着すると、上部金型ホルダ5内に設けられたクランパが凹部P01と係合して、上部金型ホルダ5に対してパンチ金型TPを固定するようになっている。
クランパと凹部P01との係合を解除した状態において、付勢力に抗して操作部P03を押圧移動させて、落下防止ピンP02と凹部51の溝との係止状態を解除することができる。すると、パンチ金型TPを凹部51から取り外すことができ、別のパンチ金型TPと交換することができる。
パンチ金型TPには、上部金型ホルダ5に装着する側の端部に、後述する電極が形成されており、絶縁膜Tinsが電極を覆っている。電極及び絶縁膜Tinsは、パンチ金型TPの表面及び裏面の双方に形成されている。
パンチ金型TPは、それぞれのパンチ金型TPを識別するための識別情報の一例として2次元コードCtdを有する。2次元コードCtdは、例えばレーザ刻印によってパンチ金型TPに形成されている。2次元コードCtdも、パンチ金型TPの表面及び裏面の双方に形成されている。
パンチ金型TPに設けた識別情報は、同じ種類のパンチ金型TPであっても全て識別情報が異なるように、個々のパンチ金型TPに対して1つの識別情報を割り当ててもよいし、パンチ金型TPの種類ごとに1つの識別情報を割り当ててもよい。個々のパンチ金型TPに対して1つの識別情報を割り当てると、個々のパンチ金型TPの使用期間を管理することが可能となる。
図2の(b)に示すように、ダイ金型TDの先端D00は、パンチ金型TPの先端P00の形状に対応して、V字状の凹部となっている。ダイ金型TDには、下部金型ホルダ6に装着する側の端部の近傍に凹部D01が形成されている。凹部D01も表面及び裏面の双方に形成されている。
ダイ金型TDを下部金型ホルダ6に装着すると、下部金型ホルダ6内に設けられたクランパが凹部D01と係合して、下部金型ホルダ6に対してダイ金型TDを固定するようになっている。
ダイ金型TDには、下部金型ホルダ6に装着する側の端部に、後述する電極が形成されており、絶縁膜Tinsが電極を覆っている。電極及び絶縁膜Tinsは、ダイ金型TDの表面及び裏面の双方に形成されている。
ダイ金型TDは、それぞれのダイ金型TDを識別するための識別情報の一例として2次元コードCtdを有する。同様に、2次元コードCtdは、例えばレーザ刻印によってダイ金型TDの表面及び裏面の双方に形成されている。
ダイ金型TDに設けた識別情報は、同じ種類のダイ金型TDであっても全て識別情報が異なるように、個々のダイ金型TDに対して1つの識別情報を割り当ててもよいし、ダイ金型TDの種類ごとに1つの識別情報を割り当ててもよい。個々のダイ金型TDに対して1つの識別情報を割り当てると、個々のダイ金型TDの使用期間を管理することが可能となる。
図1に戻り、曲げ加工装置100は、2次元コードCtdを読み取るための2次元コードリーダ9を備える。2次元コードリーダ9はNC装置10に接続されている。作業者またはロボット(ATCを含む)は、例えば、2次元コードリーダ9でパンチ金型TPやダイ金型TDに形成された2次元コードCtdを読み取った後に、パンチ金型TPやダイ金型TDを上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着する。
図1に示すように、2次元コードCtdは、パンチ金型TPとダイ金型TDを上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6に装着した状態で、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6に隠れない位置に形成することが好ましい。2次元コードCtdを読み取らずパンチ金型TPやダイ金型TDを上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着しても、装着した状態で2次元コードCtdを読み取ることが可能である。
2次元コードCtdを読み取る構成を上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6内に設けることも考えられるが、パンチ金型TPやダイ金型TDを装着する可能性がある全ての位置に2次元コードリーダ9に相当する構成を設けることは困難である。2次元コードCtdを読み取る構成を上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6の外部に設けることが好ましい。
また、パンチ金型TPやダイ金型TDに、2次元コードCtdの代わりに金型情報を記憶させたIC(集積回路)を装着して、ICを読み取る構成を上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6内に設けることも考えられる。しかしながら、パンチ金型TP及びダイ金型TDの上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6の凹部51,61に収納される部分には、かなりの衝撃が加わる。
従って、パンチ金型TPやダイ金型TDの凹部51,61に収納される部分である端部には、ICのような精密な構成を設けることは好ましくない。
このような点からも、パンチ金型TPやダイ金型TDを識別するための例えば2次元コードCtdである識別情報は、凹部51,61に収納される端部ではない、上部金型ホルダ5や下部金型ホルダ6から突出する部分に設けることが好ましい。また、構成の簡略化のために、識別情報を読み取る構成を上部金型ホルダ5や下部金型ホルダ6の外部に設けることが好ましい。
図3を用いて、曲げ加工装置100の全体的なシステム構成について説明する。図3において、NC装置10は曲げ加工装置100の全体を制御する。NC装置10は、操作・表示パネル8に後述する段取り情報等の各種の情報を表示する。NC装置10は、作業者によってなされた操作・表示パネル8に対する操作入力に応じた動作をさせるよう、曲げ加工装置100を制御する。2次元コードリーダ9によって読み取られたパンチ金型TPまたはダイ金型TDの2次元コードCtdの情報はNC装置10に入力される。
NC装置10には、金型位置・幅検出ユニット11が接続されている。金型位置・幅検出ユニット11は、後に詳述するように、上部金型ホルダ5に装着されたパンチ金型TPの位置及び幅と、下部金型ホルダ6に装着されたダイ金型TDの位置及び幅とを検出する。パンチ金型TP及びダイ金型TDの位置とは、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向の長さLに対する長手方向の装着位置である。金型位置・幅検出ユニット11によって検出されたパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置情報は、NC装置10に入力される。
NC装置10には、保有金型データベース(以下、保有金型DB)21と、金型情報データベース(以下、金型情報DB)22と、段取り情報データベース(以下、段取り情報DB)23と、加工情報データベース(以下、加工情報DB)24とが接続されている。前述のように、これらの保有金型DB21,金型情報DB22,段取り情報DB23,加工情報DB24は、ネットワークによってNC装置10と接続されている。
保有金型DB21には、曲げ加工装置100が保有しているパンチ金型TP及びダイ金型TDの情報が記憶されている。なお、パンチ金型TP及びダイ金型TDは、図1に示す曲げ加工装置100とは別体のラック装置に収納されており、それぞれの曲げ加工で必要とするパンチ金型TP及びダイ金型TDがラック装置から取り出されて上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6に装着される。
従って、曲げ加工装置100が保有しているパンチ金型TP及びダイ金型TDとは、ラック装置に収納されていて、曲げ加工装置100が使用することがあるパンチ金型TP及びダイ金型TDということである。
金型情報DB22には、それぞれのパンチ金型TP及びダイ金型TDがどのような金型であるかを示す情報が記憶されている。金型の情報とは、パンチ金型TP及びダイ金型TDの幅、パンチ金型TP及びダイ金型TDの長さ、先端P00,D00の角度等である。
段取り情報DB23には、板材に対して所定の曲げ加工をする際に、どのパンチ金型TP及びダイ金型TDを用いるのかを示す選択金型情報と、用いるパンチ金型TP及びダイ金型TDを上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向に対してどの位置に装着するのかを示す装着位置情報とを少なくとも含む段取り情報が記憶されている。加工情報DB24には、どのような加工をするのかを示す情報が記憶されている。
図3において、パンチ金型TPが上部金型ホルダ5に装着されるか、ダイ金型TDが下部金型ホルダ6に装着されると、金型位置・幅検出ユニット11はパンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置及び幅を検出する。まず、図4〜図17を用いて、パンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置検出方法について説明する。
図4に示すように、金型位置・幅検出ユニット11は、位置・幅検出演算部111と増幅器114とを有する。位置・幅検出演算部111は、特性情報保持部112とA/D変換器113とを有する。ここでは、位置・幅検出演算部111が特性情報保持部112とA/D変換器113とを内蔵しているが、特性情報保持部112とA/D変換器113とを位置・幅検出演算部111の外部に設けてもよい。位置・幅検出演算部111は、マイクロコンピュータによって構成することができる。
図4を用いて、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6が備える構成について説明する。上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6は、図4に示すホルダ給電電極31を有する。ホルダ給電電極31は、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向の長さLと同じ長さを有する。また、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6は、ホルダ給電電極31の近傍に、図4に示す複数のホルダ検出電極32を有する。
長さLは例えば2〜4mであり、ここでは4mであるとする。最も幅の狭いパンチ金型TP及びダイ金型TDの幅が10mmであるとき、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6には最大で400個のパンチ金型TP及びダイ金型TDが装着されることになる。そこで、長さLが4m、最も幅の狭いパンチ金型TP及びダイ金型TDの幅が10mmの場合、ホルダ検出電極32を400個設ける。
このように、ホルダ検出電極32は、金型装着部に最も幅の狭い金型を装着したときの装着可能な最大数だけ設けることが好ましい。
個々のホルダ検出電極32をホルダ検出電極321〜32400とし、ホルダ検出電極321〜32400のいずれかを特定しない場合をホルダ検出電極32と称することとする。
図4に示すように、ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32とはわずかな距離だけ離間しており、互いに絶縁されている。ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32のそれぞれを例えばレジストを用いた絶縁膜によって覆って、ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32とを絶縁することが好ましい。
ホルダ検出電極32には、電圧情報取り出し部330が接続されている。電圧情報取り出し部330は次のように構成されている。電圧情報取り出し部330は、Dフリップフロップ331〜33400よりなるシフトレジスタSRを有する。Dフリップフロップ331〜33400のいずれかを特定しない場合をDフリップフロップ33と称することとする。
電圧情報取り出し部330は、さらに、ホルダ検出電極321〜32400のそれぞれに接続された増幅器341〜34400と、増幅器341〜34400のそれぞれに接続されたスイッチ351〜35400とを有する。増幅器341〜34400のいずれかを特定しない場合を増幅器34、スイッチ351〜35400のいずれかを特定しない場合をスイッチ35と称することとする。
図4において、位置・幅検出演算部111は交流波形信号を発生し、増幅器114は交流波形信号を増幅して、交流の給電信号Sfacをホルダ給電電極31に供給する。給電信号Sfacは正弦波信号でもよいし矩形波信号でもよい。金型位置・幅検出ユニット11は、ホルダ給電電極31に交流の給電信号Sfacを供給する給電信号供給部となっている。
位置・幅検出演算部111は、全てのDフリップフロップ33のクロック(C)端子にハイ(H)とロー(L)とが交互に切り換わる切換制御信号Scswを供給する。位置・幅検出演算部111は、電圧情報取り出し部330のDフリップフロップ331のD端子に対して、初期入力信号Siniを供給する。初期入力信号SiniはHの1パルスであるパルス信号でよい。
Dフリップフロップ331にHの切換制御信号Scswと初期入力信号Siniとが入力されると、Q端子の出力がHとなり、スイッチ351がオンとなる。すると、ホルダ検出電極321からの電圧情報は増幅器341で増幅され、スイッチ351を介して電圧情報信号Siecとして位置・幅検出演算部111へと入力される。ホルダ検出電極32から電圧情報が得られる理由については後述する。
Dフリップフロップ331のQ端子の出力がHとなると、Dフリップフロップ332のD端子にHが入力される。切換制御信号Scswが次にHとなると、同様にして、Dフリップフロップ332のQ端子の出力がHとなり、スイッチ352がオンとなる。すると、ホルダ検出電極322からの電圧情報は増幅器342で増幅され、スイッチ352を介して電圧情報信号Siecとして位置・幅検出演算部111へと入力される。
このようにして、シフトレジスタSRのDフリップフロップ33は、Dフリップフロップ331からDフリップフロップ33400へと、切換制御信号Scswの1クロック毎に順次Q端子の出力がHとなる。Q端子の出力がHとなるDフリップフロップ33に接続されているスイッチ35のみがオンとなるので、スイッチ35は、スイッチ351からスイッチ35400へと順次オンしていく。
従って、ホルダ検出電極321からホルダ検出電極32400までのそれぞれの電圧情報が順次取り出されて、位置・幅検出演算部111に電圧情報信号Siecとして入力される。
Dフリップフロップ33400のQ端子の出力がHとなったら、再びDフリップフロップ331のD端子に初期入力信号Siniを供給して、同じ動作を繰り返す。初期入力信号Siniは、電圧情報取り出し部330が全てのホルダ検出電極32を順次切り換える1周期で1回Hとなるパルス信号とすればよい。
シフトレジスタSRは、電圧情報を取り出す対象とするホルダ検出電極32を、ホルダ検出電極321〜32400のうちから択一的に選択して順次切り換える電極切り換え回路として動作している。
位置・幅検出演算部111に入力された電圧情報信号Siecは、A/D変換器113によってデジタル信号に変換される。位置・幅検出演算部111は、電圧情報信号Siecがどのホルダ検出電極32から得られたかに基づいて、また、電圧情報信号Siecをデジタル信号に変換した電圧値を参照することによって、上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着されているパンチ金型TPやダイ金型TDの位置を検出する。位置検出の演算方法については後述する。
図5及び図6を用いて、ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32と電圧情報取り出し部330が上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6にどのように取り付けられているかについて説明する。
図5及び図6は、図1における凹部51,61の手前側の端部で上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6を切断した切断部分斜視図である。図5に示すように、凹部51,61の側壁には金属板36が取り付けられており、金属板36には回路基板37が取り付けられている。回路基板37は、内部構成として、ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32と電圧情報取り出し部330とを有する。回路基板37の表面には、ホルダ給電電極31を覆う絶縁膜31insとホルダ検出電極32を覆う絶縁膜32insとが形成されている。
図6に示すように、凹部51,61の側壁には金属板36を収納する凹部40が形成されている。凹部51,61の側壁は、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6の内壁である。凹部40には、1つの金属板36を装着する範囲に2つの金属ピン41が埋め込まれている。金属板36には、金属ピン41と対応する孔36aが形成されている。金属ピン41を孔36aに挿入させるよう金属板36を凹部40に収納させれば、金属板36は凹部40に位置決めされる。
凹部40には、1つの金属板36を装着する範囲に、内部にめねじが形成された3つの孔42が形成されている。金属板36には、3つの孔42と対応する孔36bが形成されている。金属板36が凹部40に位置決めされる状態で、孔36bを通しておねじ43を孔42に締め付ければ、金属板36は凹部40に強固に固定される。図6に示す凹部40に対する金属板36の固定方法は単なる一例であり、図6に示す固定方法に限定されるものではない。
図5,図6に示す例では、1つの金属板36に2枚の回路基板37が装着される。金属板36は、図5,図6の上下方向の端部に8つの突部36cを有する。回路基板37の図5,図6の上下方向の端部には、半円状の切り欠き37cが形成されている。切り欠き37cを突部36cに係合させることによって、回路基板37は金属板36に固定される。図6に示す金属板36に対する回路基板37の固定方法は単なる一例であり、図6に示す固定方法に限定されるものではない。
次に、図7,図8を用いて、パンチ金型TP及びダイ金型TDのさらに詳細な構成について説明する。図2で説明したように、パンチ金型TPとダイ金型TDとは形状が異なるものの、図7,図8では、パンチ金型TP及びダイ金型TDの概略的な形状を示している。
図7に示すように、パンチ金型TP及びダイ金型TDは、金型受電電極T31と金型変位電極T32を有する。金型受電電極T31と金型変位電極T32とは、それぞれの幅方向の中央部に設けた信号線で連結されている。金型受電電極T31及び金型変位電極T32の全体を例えばレジストを用いた絶縁膜Tinsで覆っている。絶縁膜Tinsを設けることは必須ではないが、設けることが好ましい。
金型受電電極T31の図7の上下方向の長さは、図4で説明したホルダ給電電極31の短手方向の長さと略同一となっている。ホルダ給電電極31の短手方向は、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6の凹部51,61の奥行き方向である。金型変位電極T32の図7の上下方向の長さは、図4で説明したホルダ検出電極32における凹部51,61の奥行き方向の長さと略同一となっている。
ホルダ検出電極32の幅は、金型変位電極T32の幅と略同一であることが好ましい。ホルダ検出電極32の幅と金型変位電極T32の幅とを完全に一致させることはさらに好ましい。当然のことながら寸法は誤差を含むので、同一とは略同一の状態を含むものとする。
図7に示す例では、金型受電電極T31と金型変位電極T32の幅を同じにしているが、金型受電電極T31の幅を金型変位電極T32の幅よりも広くしてもよい。
図8の(a),(b),(c)は、幅の異なる3種類のパンチ金型TPとダイ金型TDを示している。図8の(a)は、最も幅の狭い幅10mmのパンチ金型TPとダイ金型TDである。金型受電電極T31及び金型変位電極T32は、パンチ金型TPとダイ金型TDがどのような幅であっても、固定の1つの幅で、パンチ金型TPとダイ金型TDの幅方向の中心に設けることが好ましい。最も幅の狭いパンチ金型TP及びダイ金型TDの幅が10mmであるので、金型受電電極T31及び金型変位電極T32の幅を例えば5mmとする。
2次元コードCtdもパンチ金型TPとダイ金型TDの幅方向の中心に設けることが好ましい。
図9の(a)に示すように、パンチ金型TPを金型受電電極T31及び金型変位電極T32が形成されている側から上部金型ホルダ5の凹部51に挿入して、パンチ金型TPを上部金型ホルダ5に装着すると、図9の(b)に示すように、金型受電電極T31がホルダ給電電極31と対向し、金型変位電極T32がホルダ検出電極32と対向する。
同様に、ダイ金型TDを金型受電電極T31及び金型変位電極T32が形成されている側から下部金型ホルダ6の凹部61に装着すると、金型受電電極T31がホルダ給電電極31と対向し、金型変位電極T32がホルダ検出電極32と対向する。
なお、図9では、簡略化のため、図6で説明した金属板36の図示を省略し、ホルダ給電電極31及びホルダ検出電極32のみを示している。また、図9では、絶縁膜Tinsの図示を省略している。
図9の(b)に示すように、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とが明確に離間していれば、また、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とが明確に離間していれば、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とが接触することはなく、また、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とが接触することはない。従って、絶縁膜31ins,32ins,Tinsは必ずしも必要はない。
しかしながら、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31との距離、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との距離が比較的短い場合には、絶縁膜31ins,32ins,Tinsを設けることが必要となる。
ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とは、互いに接触することなく近接して対向していればよい。ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とは、互いに接触することなく近接して対向していればよい。絶縁膜31ins,32ins,Tinsを設けた場合には、絶縁膜31ins,32insと絶縁膜Tinsとが接触してもよい。この場合でも、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とが互いに接触することなく近接して対向し、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とが互いに接触することなく近接して対向していることになる。
図10は、3つのパンチ金型TPを上部金型ホルダ5に装着したときの、ホルダ給電電極31及びホルダ検出電極32と、金型受電電極T31及び金型変位電極T32のみを図示している。ダイ金型TDを下部金型ホルダ6に装着した場合には、上下関係が図10とは逆になる。パンチ金型TPとダイ金型TDは上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6に対して、段取り情報に従った長手方向の位置に装着される。
従って、金型変位電極T32がホルダ検出電極32とちょうど一致するように対向することもあるし、2つのホルダ検出電極32にまたがるように対向することもある。
図10では、ホルダ検出電極32とちょうど一致するように対向する金型変位電極T32と、2つのホルダ検出電極32に均等にまたがるように対向する金型変位電極T32と、2つのホルダ検出電極32の一方側にずれた状態で対向する金型変位電極T32とが存在している例を示している。
図11を用いて、互いに対向するホルダ給電電極31と金型受電電極T31及びホルダ検出電極32と金型変位電極T32の作用について説明する。図11では理解を容易にするために、金型変位電極T32がちょうど1つのホルダ検出電極32に一致して対向しているとする。
図11に示すように、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とが互いに接触することなく近接して対向していることから、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31との対は、平行平板コンデンサC31を形成することになる。平行平板コンデンサC31は、第1のキャパシタである。
また、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とが互いに接触することなく近接して対向していることから、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との対は、平行平板コンデンサC32を形成することになる。平行平板コンデンサC32は、第2のキャパシタである。
前述のようにホルダ給電電極31に交流の給電信号Sfacが供給されると、平行平板コンデンサC31には電荷が蓄えられる。金型受電電極T31と金型変位電極T32とが接続されていることから、平行平板コンデンサC32にも電荷が蓄えられる。すると、ホルダ検出電極32から、交流信号の電圧情報を取り出すことが可能となる。ホルダ検出電極32より取り出された交流信号は、増幅器34で増幅されて電圧情報信号Siecとなる。
ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とで構成されるコンデンサC31のキャパシタ容量は、金型の位置が変化しても対向する面積は増減しないので変化しない。一方、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とで構成されるコンデンサC32のキャパシタ容量は、金型の位置が変化するのに応じて大きく変化する。
ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とで構成されるコンデンサC31と、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とで構成されるコンデンサC32とは、直列のキャパシタ回路を形成している。このキャパシタ回路のキャパシタ容量は、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との相対的な位置関係に応じて増減する。
図12を用いて、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との相対的な位置関係の違いによって電圧情報信号Siecがどのように得られるかについて説明する。
図12において、(a)は図10の平面図に相当する。最も左側の金型変位電極T32は、ホルダ検出電極322とちょうど一致するように対向している。左から2番目の金型変位電極T32は、ホルダ検出電極324とホルダ検出電極325とに均等にまたがるように対向している。左から3番目の金型変位電極T32は、ホルダ検出電極327側にずれた状態でホルダ検出電極327,328に対向している。
図12において、(b)は、金型変位電極T32が図12の(a)のように存在しているときにそれぞれのホルダ検出電極32によって検出される電圧情報を示している。図12の(b)における横軸は位置を示している。位置p1,p2,p3…のそれぞれにおいて、順次選択されるホルダ検出電極32から電圧情報が得られる。図12の(b)における縦軸は電圧情報を示しており、電圧情報信号SiecをA/D変換器113によってデジタル信号に変換したデジタル値である。位置・幅検出演算部111は、順次得られる電圧情報を記憶する。
図12の(b)に示すように、金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32から得られる電圧情報は、上述したコンデンサコンデンサC31とコンデンサC32とが形成されないため、非常に小さなレベルとなる。即ち、金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32からは、所定レベル以上の電圧情報が出力されない。以下説明する位置・幅検出演算部111によるパンチ金型TPやダイ金型TDの位置検出においては、金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32から得られる非常に小さなレベルの電圧情報を0とみなすこととする。
ホルダ検出電極322は金型変位電極T32とちょうど一致するように対向しているので、ホルダ検出電極322に接続された増幅器342からは最大の電圧情報信号Siecが得られることになる。従って、位置p2においてホルダ検出電極322に対応して得られる電圧情報は所定の最大値Vmaxとなる。
ホルダ検出電極324,325においては、金型変位電極T32がそれぞれ部分的に均等に対向しているので、ホルダ検出電極324に接続された増幅器344と、ホルダ検出電極325に接続された増幅器345からは最大の電圧情報信号Siecよりも小さく同じ値の電圧情報信号Siecが得られることになる。従って、位置p4においてホルダ検出電極324に対応して得られる電圧情報と位置p5においてホルダ検出電極325に対応して得られる電圧情報とは同じ値となる。
ホルダ検出電極327,328においては、金型変位電極T32がホルダ検出電極327に対して多く、ホルダ検出電極328に対して少ない状態で不均等に対向しているので、ホルダ検出電極327に接続された増幅器347から得られる電圧情報信号Siecの方が大きい値となり、ホルダ検出電極328に接続された増幅器348から得られる電圧情報信号Siecの方が小さい値となる。増幅器347,348から得られる電圧情報信号Siecはいずれも最大の電圧情報信号Siecよりも小さい値である。
従って、位置p7においてホルダ検出電極327に対応して得られる電圧情報と位置p8においてホルダ検出電極328に対応して得られる電圧情報とは、図12の(b)に示すような関係となる。
位置・幅検出演算部111は、図12の(b)に示すような電圧情報の値に基づいて、または、位置に応じた電圧情報の値の変化に基づいて、パンチ金型TPとダイ金型TDが上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向のどの位置に装着されているかを検出する。
位置・幅検出演算部111は、図12の(b)に示す電圧情報の大きさに基づいて、パンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置を大まかに把握することができる。そして、以下に説明する位置検出の演算によって、パンチ金型TPまたはダイ金型TDの細かく厳密な位置を求めることができる。一例としてノギスに例えると、前者はノギスの主尺に相当し、後者はノギスの副尺に相当する。
まず、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31との間の間隔、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との間隔が一定である場合の位置検出方法の例について説明する。凹部51,61の間隔とパンチ金型TP及びダイ金型TDの厚さとに差が少なく、回路基板37とパンチ金型TPまたはダイ金型TDとの間隔がほぼ一定となる場合には、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31との間の間隔、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との間隔を一定とみなすことができる。
電圧情報信号Siecをデジタル信号に変換したデジタル値である電圧情報は、図13に示すように、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とがちょうど一致して対向している場合に最大値Vmaxとなり、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とのずれ量に応じて順次小さくなっていく特性を有する。金型変位電極T32がホルダ検出電極32に対して図12の(a)における左方向にずれている場合をマイナス(−)のずれ、右方向にずれている場合をプラス(+)のずれとする。
ホルダ給電電極31と金型受電電極T31との間の間隔、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との間隔が一定であれば、電圧情報の値は、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とのずれ量に応じて絶対的に決まることになる。
特性情報保持部112は、図13に示すずれ量と電圧情報との関係を示す特性を特性情報として保持する。例えば電圧情報として所定の電圧値の最大値Vmaxが得られた場合、位置・幅検出演算部111は、金型変位電極T32がホルダ検出電極32とちょうど一致した位置にあることを検出することができる。
金型変位電極T32がホルダ検出電極327側にずれた状態でホルダ検出電極327,328に対向している場合を例にする。位置・幅検出演算部111は、電圧情報として得られる電圧値V1,V2に基づいて、金型変位電極T32の幅方向の中央とホルダ検出電極327の幅方向の中央とのずれ量L1と、金型変位電極T32の幅方向の中央とホルダ検出電極328の幅方向の中央とのずれ量L2とを求めることができる。
位置・幅検出演算部111は、ずれ量L1,L2によって金型変位電極T32の位置(即ち、パンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置)を検出することができる。
次に、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31との間の間隔、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との間隔が一定とは限らない場合の位置検出方法の例について説明する。回路基板37とパンチ金型TPまたはダイ金型TDとの間隔が一定でない場合には、図13に示す特性は間隔に応じて変化することになる。この場合、電圧情報の値は絶対的には決まらない。
そこで、位置・幅検出演算部111は、次のようにして金型変位電極T32の位置を検出する。位置・幅検出演算部111は、図12の(b)に示す電圧情報の値の変化によって、金型変位電極T32の大まかな位置を検出することができる。位置p1〜p3のように、電圧情報が0,最大値Vmax,0のように変化すれば、位置・幅検出演算部111は、金型変位電極T32はホルダ検出電極322とちょうど一致するように対向していることを検出することができる。
位置p4,p5や位置p7,p8のように、隣り合う2つのホルダ検出電極32において0を超える所定の電圧値が得られた場合、位置・幅検出演算部111は、金型変位電極T32は2つのホルダ検出電極32にまたがっていることを検出することができる。そして位置・幅検出演算部111は、隣り合う2つのホルダ検出電極32に対応した電圧値V1,V2の相対的な関係に基づいて、金型変位電極T32の位置を特定する。
位置・幅検出演算部111は、例えば、次の式(1)
(V1−V2)/(V1+V2) …(1)
を計算することによって、金型変位電極T32が隣り合う2つのホルダ検出電極32にまたがっているときの位置を求めることができる。式(1)の分子は(V2−V1)であってもよい。
最大値Vmaxが10mV、位置p4,p5で得られた電圧値が5mV、位置p7で得られた電圧値が8mV、位置p8で得られた電圧値が2mVであるとする。これらの数値は単なる例である。金型変位電極T32がホルダ検出電極324,325に均等にまたがっている場合、式(1)を用いて、(5−5)/(5+5)より0となる。即ち、式(1)の計算式で計算した値が0であれば、金型変位電極T32は隣り合う2つのホルダ検出電極32に均等にまたがる位置にあるということなる。
金型変位電極T32がホルダ検出電極327側にずれた状態でホルダ検出電極327,328にまたがっている場合、式(1)を用いて、(8−2)/(8+2)より0.6となる。式(1)の計算式では、計算した値が0より大きい正の大きな値ほど、隣り合う2つのホルダ検出電極32のうち、図12の(a)における左側方向にずれていることになる。また、計算した値が0より小さい負の大きな値ほど、隣り合う2つのホルダ検出電極32のうち、図12の(a)における右側方向にずれていることになる。
このようにして、位置・幅検出演算部111は、隣り合う2つのホルダ検出電極32において0を超える所定の電圧値が得られた場合には、式(1)の計算式を用いることによって、金型変位電極T32が隣り合う2つのホルダ検出電極32に対して相対的にどの位置にあるかを検出することができる。
金型変位電極T32が隣り合う2つのホルダ検出電極32に対してどの位置にあるかを検出する方法は、以上説明した演算を用いて検出する方法に限定されない。次のようにして位置を検出してもよい。
図14は、隣接する2つのホルダ検出電極32と金型変位電極T32との位置関係を示している。図14では、理解を容易にするため、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とを上下方向にずらして図示している。2つのホルダ検出電極32のうち、左側のホルダ検出電極32をホルダ検出電極32a、右側のホルダ検出電極32をホルダ検出電極32bと称することとする。
ホルダ検出電極32aと金型変位電極T32とがちょうど対向しているとき、両者のずれ量は0である。金型変位電極T32がホルダ検出電極32b側へと順次ずれていくと、ずれ量はL1,L2,L3,L4,…Lxと増大していく。
図15は、ホルダ検出電極32aに対する金型変位電極T32のずれ量に応じて、ホルダ検出電極32a,32bから得られる電圧値の例を示している。図15に示す電圧値の数値は単なる例である。図15に示すように、ホルダ検出電極32a,32bから得られる電圧値を合計した合計電圧はずれ量にかかわらず一定であり、合計電圧は最大値Vmaxと同じとなる。図15に、ホルダ検出電極32aからの電圧値を最大値Vmaxで除算したVmax比を示している。
図16は、横軸をずれ量、縦軸をVmax比としたときの特性を示している。図16に示すように、Vmax比を求めれば、基準とするホルダ検出電極32(図14ではホルダ検出電極32a)からのずれ量を求めることができる。
回路基板37とパンチ金型TPまたはダイ金型TDとの間隔が一定でなければ、図16に示す特性は変化する。個々の曲げ加工装置で、上部金型ホルダ5とパンチ金型TPとの相対的な関係、下部金型ホルダ6とダイ金型TDとの相対的な関係はほぼ一定に決まる。個々の曲げ加工装置で、Vmax比とずれ量との関係を予め測定しておく。
特性情報保持部112は、図17に示すような、Vmax比とずれ量との関係を示すテーブルを特性情報として保持する。位置・幅検出演算部111は、隣接する2つのホルダ検出電極32からの電圧情報信号Siecをデジタル信号に変換した電圧値に基づいてVmax比を求める。位置・幅検出演算部111は、図17に示すようなテーブルを参照することによってずれ量を求める。
このようにして、位置・幅検出演算部111は、金型変位電極T32((即ち、パンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置))が隣り合う2つのホルダ検出電極32に対して相対的にどの位置にあるかを細かく厳密に検出することができる。
特性情報保持部112に、図17に示すようなテーブルの代わりに、図16に示すVmax比とずれ量との関係を表す近似式を保持させてもよい。位置・幅検出演算部111は、近似式に基づいてずれ量を求めてもよい。
以上のようにして、金型位置・幅検出ユニット11が検出した、上部金型ホルダ5と下部金型ホルダ6の長手方向におけるパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置情報は、NC装置10に入力される。NC装置10は、パンチ金型TP及びダイ金型TDが、段取り情報で指示した正しい位置に装着されているかを判断することができる。
図18を用いて、操作・表示パネル8に表示される段取り情報を概念的に説明する。図19のフローチャートを用いて、図18に示す段取り情報に基づいてパンチ金型TP及びダイ金型TDを上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6に装着し、板材を曲げ加工処理する際の曲げ加工装置100の動作の例を説明する。
曲げ加工装置100によって板材に対して所定の曲げ加工を施す際、作業者が操作・表示パネル8によって段取り情報を読み出すよう操作すると、NC装置10は段取り情報DB23より段取り情報を読み出す。NC装置10は、操作・表示パネル8の画面に、図18に示すように段取り情報を表示させる。
図18に示すように、段取り情報は、パンチ金型TP及びダイ金型TDのどこにパンチ金型TP及びダイ金型TDを装着するのかを示す画像Im0を含む。画像Im0は、上部金型ホルダ5を示す上部金型ホルダ画像Im5、下部金型ホルダ6を示す下部金型ホルダ画像Im6、パンチ金型TPを示すパンチ金型画像ImTP、ダイ金型TDを示すダイ金型画像ImTDを含む。
図18は、ハッチングを付している1つのダイ金型画像ImTDを選択した状態を示している。選択したダイ金型画像ImTDをダイ金型画像ImTDsとする。段取り情報は、ダイ金型画像ImTDsの型番“D-0001”を示す型番表示画像Im1を含む。型番“D-0001”は単なる例である。型番は、複数のパンチ金型TP及びダイ金型TDそれぞれを識別するものであればよい。
また、段取り情報は、ダイ金型画像ImTDsの金型情報を示す金型情報表示画像Im2と、ダイ金型画像ImTDsをどの位置に装着するかを示す位置情報表示画像Im3とを含む。位置情報表示画像Im3は、ダイ金型画像ImTDsとして表示している最も左側のダイ金型TDを、-450.00(ミリメートル)の位置、即ち、下部金型ホルダ6の長手方向の中央から左側に450ミリメートルの位置に装着することを示している。位置“-450.00”は単なる例である。
それぞれのパンチ金型TPやダイ金型TDを示すパンチ金型画像ImTPやダイ金型画像ImTDを選択すれば、それぞれのパンチ金型TPやダイ金型TDに対応した型番表示画像Im1と金型情報表示画像Im2と位置情報表示画像Im3とが表示される。
図18は、操作・表示パネル8の画面に表示する段取り情報を概念的に示しており、型番表示画像Im1と金型情報表示画像Im2と位置情報表示画像Im3とが1つの画面に同時に表示されていなくてもよい。それぞれの画像を表示する操作がなされたときに、型番表示画像Im1と金型情報表示画像Im2と位置情報表示画像Im3とのうちの1または複数を選択的に表示するようにしてもよい。
作業者またはNC装置10によって制御されるロボット(ATCを含む)は、段取り情報に基づいて、パンチ金型TP及びダイ金型TDをそれぞれ上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6に装着する。
図19に示すフローチャートは基本的にはNC装置10による処理を示しており、部分的に作業者によってなされる作業を含むことがある。図19において、板材を曲げ加工処理するための処理が開始されると、NC装置10は、ステップS01にて、操作・表示パネル8の画面に段取り情報を表示させる。
パンチ金型TP及びダイ金型TDをラック装置より作業者が取り出す場合には、作業者は、ステップS02にて、段取り情報で指示されたパンチ金型TPまたはダイ金型TDをラック装置より取り出す。ロボットを用いる場合には、NC装置10は、ステップS02にて、ロボットによって段取り情報で指示されたパンチ金型TPまたはダイ金型TDをラック装置より取り出す。
作業者が、パンチ金型TPまたはダイ金型TDに形成された2次元コードCtdに対して2次元コードリーダ9を近接させると、NC装置10は、ステップS03にて、2次元コードリーダ9が読み取った2次元コードCtdを解析する。ロボットを用いる場合、2次元コードリーダ9をロボットの手の先端に設けることが好ましい。この場合、NC装置10は、ステップS03にて、ロボットの手に設けた2次元コードリーダ9によって2次元コードCtdを読み取らせ、読み取った2次元コードCtdを解析する。
NC装置10は、ステップS04にて、2次元コードCtdが示す金型情報と段取り情報で指示されたパンチ金型TPまたはダイ金型TDの金型情報とを照合して、一致するか否かを判定する。
金型情報が一致する場合(ステップS04でYES)、作業者は、ステップS05にて、ラック装置より取り出したパンチ金型TPまたはダイ金型TDを上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着する。ロボットを用いる場合、NC装置10は、ステップS05にて、ロボットによって、ラック装置より取り出したパンチ金型TPまたはダイ金型TDを上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着させる。
NC装置10は、ステップS06にて、上述した金型位置・幅検出装置によって、パンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着した長手方向の位置を検出させる。金型位置・幅検出装置は、曲げ加工装置100の電源を投入している状態で常時検出動作を行っている。従って、パンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着した位置のホルダ検出電極32からの電圧情報が電圧情報取り出し部330から金型位置・幅検出ユニット11へと入力されれば、装着位置が検出されることになる。
NC装置10は、ステップS07にて、金型位置・幅検出ユニット11(位置・幅検出演算部111)が検出したパンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置と段取り情報で指示された位置とが一致するか否かを判定する。
位置が一致する場合(ステップS07でYES)、NC装置10は、ステップS08にて、段取り情報で指示された全てのパンチ金型TPとダイ金型TDとを装着したか否かを判定する。全てのパンチ金型TPとダイ金型TDとを装着していなければ(ステップS08でNO)、処理をステップS02に戻す。
段取り情報で指示された順に全てのパンチ金型TPとダイ金型TDとを装着すれば、全てのパンチ金型TPとダイ金型TDとを装着したと判定される(ステップS08でYES)。
NC装置10は、ステップS9にて、クランパによってパンチ金型TP及びダイ金型TDをクランプさせる。
作業者が操作・表示パネル8を操作して、曲げ加工処理を開始する指示をしたら、NC装置10は、ステップS10にて、曲げ加工処理を実行させて終了する。
一方、2次元コードCtdが示す金型情報と段取り情報で指示されたパンチ金型TPまたはダイ金型TDの金型情報とが一致しない場合(ステップS04でNO)には、段取り情報で指示されたパンチ金型TPまたはダイ金型TDではない誤った金型を取り出したということである。そこで、NC装置10は、ステップS11にて、所定の警告処理を実行させる。
ステップS11での警告処理は、例えば、段取り情報で指示されたパンチ金型TPまたはダイ金型TDではないことを作業者に知らせ、段取り情報で指示された正しいパンチ金型TPまたはダイ金型TDを改めて取り出すよう通知する処理である。これはステップS02を作業者が行う場合には特に有効である。
作業者は、必要に応じて正しいパンチ金型TPまたはダイ金型TDをラック装置より取り出し、2次元コードCtdを2次元コードリーダ9によって読み取らせればよい。
NC装置10は、ステップS12にて、作業継続の指示があったか否かを判定する。例えば、NC装置10は、操作・表示パネル8に“継続”と“中止”とを選択するボタンを表示させ、いずれが選択されたかを判定する。“継続”のボタンが操作されることによって、作業継続の指示がなされたら(ステップS12でYES)、NC装置10は、ステップS13にて、曲げ加工可能か否かを判定する。
曲げ加工可能であると判定されたら(ステップS13でYES)、NC装置10は、段取りを再計算して、ステップS14にて、段取り情報を更新する。段取り情報を更新したら、作業者またはNC装置10は、処理を上記のステップS05に移行させる。
“中止”のボタンが操作されることによって、作業中止の指示がなされたら(ステップS12でNO)、また、曲げ加工可能であると判定されなかったら(ステップS13でNO)、NC装置10は、処理を終了させる。
金型位置・幅検出ユニット11が検出したパンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置と段取り情報で指示された位置とが一致しない場合(ステップS07でNO)には、パンチ金型TPまたはダイ金型TDが段取り情報で指示された正しい位置に装着されていないということである。そこで、NC装置10は、ステップS15にて、所定の警告処理を実行させる。
ステップS15での警告処理は、例えば、パンチ金型TPまたはダイ金型TDが段取り情報で指示された正しい位置に装着されていないことを作業者に知らせ、段取り情報で指示された正しい位置となるようパンチ金型TPまたはダイ金型TDの装着位置を修正するよう通知する処理である。これはステップS05を作業者が行う場合には特に有効である。
作業者は、必要に応じてパンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置を修正する。
NC装置10は、ステップS12と同様に、ステップS16にて、作業継続の指示があったか否かを判定する。作業継続の指示がなされたら(ステップS16でYES)、NC装置10は、ステップS17にて、曲げ加工可能か否かを判定する。
曲げ加工可能であると判定されたら(ステップS17でYES)、NC装置10は、段取りを再計算して、ステップS18にて、段取り情報を更新する。段取り情報を更新したら、NC装置10は、処理を上記のステップS08に移行させる。
作業中止の指示がなされたら(ステップS16でNO)、また、曲げ加工可能であると判定されなかったら(ステップS17でNO)、NC装置10は、処理を終了させる。
図19より分かるように、ステップS09にて、パンチ金型TP及びダイ金型TDをクランプさせる前に、パンチ金型TPまたはダイ金型TDが段取り情報で指示された正しい位置に装着されているか否かが判定される。パンチ金型TP及びダイ金型TDがクランパによってクランプされていないので、パンチ金型TPまたはダイ金型TDが正しい位置に装着されていなければ、装着位置を容易に修正可能である。
図20,図21を用いて、上記のステップS13で曲げ加工可能と判定されて、ステップS14にて段取り情報が更新される例について説明する。ここでは、2次元コードCtdが示す識別情報には、個々の金型に対して1つの識別情報が割り当てられ、同じ種類の金型であっても互いに識別可能であるとする。
図20の(a)は、段取り情報で指示されているパンチ金型TPである。段取り情報では、“P-0001”なる識別番号を有するパンチ金型TPを左側に、“P-0002”なる識別番号を有するパンチ金型TPを右側に装着するよう指示している。この2つのパンチ金型TPは同じ種類のパンチ金型TPである。
図20の(b)に示すように、“P-0001”なる識別番号を有するパンチ金型TPと“P-0002”なる識別番号を有するパンチ金型TPとの左右の位置を入れ替えることが可能である。このような場合には、上記のステップS13で曲げ加工可能と判定される。
図21の(a)は、段取り情報で指示されているパンチ金型TPである。段取り情報では、“P-0020”なる識別番号を有するパンチ金型TPを装着するよう指示している。
図21の(b)に示す“P-0015”なる識別番号を有するパンチ金型TPと“P-0011”なる識別番号を有するパンチ金型TPと“P-0012”なる識別番号を有するパンチ金型TPは、“P-0020”なる識別番号を有するパンチ金型TPと先端P00の形状が互いに同じであり、幅のみが異なる。
“P-0020”なる識別番号を有するパンチ金型TPの代わりに、“P-0011”,“P-0012”,“P-0015”なる識別番号を有する3つのパンチ金型TPを組み合わせても、曲げ加工が可能である。このような場合には、上記のステップS13で曲げ加工可能と判定される。
図19に示すフローチャートでは、パンチ金型TPまたはダイ金型TDを1つずつ上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着する際に2次元コードCtdを読み取り、パンチ金型TPまたはダイ金型TDの装着位置を1つずつ検出している。
図22に示すように、全てのパンチ金型TP及びダイ金型TDをそれぞれ上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6に装着した後に、2次元コードCtdを読み取り、装着位置を検出するようにしてもよい。
図22におけるステップS21,S22,S23,S24は、ステップS01,S02,S05,S08と実質的に同じである。図22においては、全てのパンチ金型TP及びダイ金型TDがそれぞれ上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6に装着されれば、全てのパンチ金型TPとダイ金型TDとを装着したと判定される(ステップS24でYES)。
NC装置10は、ステップS25にて、2次元コードリーダ9が読み取った全てのパンチ金型TP及びダイ金型TDそれぞれの2次元コードCtdを解析する。NC装置10は、ステップS26にて、上述した金型位置・幅検出装置によって、全てのパンチ金型TP及びダイ金型TDそれぞれの位置を検出させる。ステップS25とステップS26との順番を逆にしてもよい。
NC装置10は、ステップS27にて、それぞれの2次元コードCtdが示す金型情報と段取り情報で指示されたパンチ金型TP及びダイ金型TDの金型情報とを照合して、一致するか否かを判定する。
金型情報が一致する場合(ステップS27でYES)、NC装置10は、ステップS28にて、金型位置・幅検出ユニット11が検出したパンチ金型TP及びダイ金型TDそれぞれの位置と段取り情報で指示された位置とが一致するか否かを判定する。
位置が一致する場合(ステップS28でYES)、NC装置10は、ステップS29にて、クランパによってパンチ金型TP及びダイ金型TDをクランプさせる。作業者が操作・表示パネル8を操作して、曲げ加工処理を開始する指示をしたら、NC装置10は、ステップS30にて、曲げ加工処理を実行させて終了する。
一方、金型情報が少なくとも一部で一致しない場合(ステップS27でNO)、また、位置が少なくとも一部で一致しない場合(ステップS28でNO)には、NC装置10は、ステップS31にて、図19のステップS11,S15と同様の警告処理を実行させる。
作業者は、必要に応じて正しいパンチ金型TPまたはダイ金型TDをラック装置より取り出し、2次元コードCtdを2次元コードリーダ9によって読み取らせる。また、作業者は、必要に応じてパンチ金型TPまたはダイ金型TDの位置を修正する。
NC装置10は、ステップS32にて、作業継続の指示があったか否かを判定する。作業継続の指示がなされたら(ステップS32でYES)、NC装置10は、ステップS33にて、曲げ加工可能か否かを判定する。曲げ加工可能であると判定されたら(ステップS33でYES)、NC装置10は、段取りを再計算して、ステップS34にて、段取り情報を更新する。
段取り情報を更新したら、NC装置10は、上記のステップS29に移行させる。
作業中止の指示がなされたら(ステップS32でNO)、また、曲げ加工可能であると判定されなかったら(ステップS33でNO)、NC装置10は、処理を終了させる。
図22においても、ステップS29にて、パンチ金型TP及びダイ金型TDをクランプさせる前に、パンチ金型TP及びダイ金型TDが段取り情報で指示された正しい位置に装着されているか否かが判定される。パンチ金型TP及びダイ金型TDがクランパによってクランプされていないので、パンチ金型TP及びダイ金型TDが正しい位置に装着されていなければ、装着位置を容易に修正可能である。
ところで、パンチ金型TP及びダイ金型TDをラック装置より取り出し、それぞれ上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6に装着し、板材を曲げ加工する一連の動作を全てロボットが行う場合、パンチ金型TPやダイ金型TDの誤選択、誤った位置へのパンチ金型TPやダイ金型TDの装着は、曲げ加工装置の故障を招く可能性がある。図19,図22に示す処理によって、曲げ加工装置の故障を防ぐこともできる。
以上説明した金型位置・幅検出装置は、次のような利点を有する。前述のように、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6に装着されたパンチ金型TP及びダイ金型TDは、クランパによって固定される。金型位置・幅検出装置は、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とが非接触の状態、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とが非接触の状態で、金型の位置を検出する。
即ち、金型位置・幅検出装置によれば、上部金型ホルダ5及び下部金型ホルダ6にパンチ金型TP及びダイ金型TDを装着して、クランパによって固定する前に即座にパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置が検出されることになる。装着位置の修正が必要な場合には、クランパによって固定していないので、容易に装着位置の修正が可能である。
また、クランパによって固定する前のパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置と、クランパによって固定した後のパンチ金型TP及びダイ金型TDの位置とを比較することにより、クランパによって固定する際のパンチ金型TP及びダイ金型TDの微小な位置ずれを検出することも可能である。
従って、ホルダ給電電極31と金型受電電極T31とが非接触の状態、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32とが非接触の状態で、金型の位置を検出することができる金型位置・幅検出装置は極めて好ましい検出方法を採用していると言える。構成が簡単であるため、コストアップが最小限に抑えられるという点でも好ましい。
<曲げ加工装置の第2例>
曲げ加工装置は、図1に示す第1例の曲げ加工装置100のように、上部金型ホルダ5が、上部テーブル2の下端部の全長に渡って一体的に取り付けられるタイプ(モジュラータイプ)と、上部テーブル2の下端部の長手方向に分割して取り付けられるタイプ(中間板タイプ)とがある。
図23に示す第2例の曲げ加工装置200は、中間板タイプの曲げ加工装置の場合の構成例である。図23は、上部テーブル2側の一部のみを示している。第1例の曲げ加工装置100と第2例の曲げ加工装置200とは、中間板を用いるか否かの相違点以外は実質的に同じ構成である。従って、曲げ加工装置200における曲げ加工装置100と共通部分の図示及び説明を省略することとする。
図23において、上部テーブル2には、図示していないクランプジョーを介して、複数の中間板55が装着されている。上部テーブル2の長手方向(図23の左右方向)に対する中間板55の装着位置は調整可能である。中間板55の装着位置は曲げ加工する板材や加工の仕方に応じて適宜設定される。一部の中間板55には、パンチ金型TPが装着されている。どの中間板55にパンチ金型TPを装着し、中間板55のどの位置にパンチ金型TPを装着するかは、曲げ加工する板材や加工の仕方に応じて適宜設定される。
第2例の曲げ加工装置200は、上述した金型位置・幅検出装置を搭載している。即ち、それぞれの中間板55は、図4で説明したホルダ給電電極31と同様、内壁に、中間板55の長手方向の長さと同じ長さの給電電極を有する。中間板55は、図4で説明したホルダ検出電極32と同様、給電電極に対して絶縁され、給電電極の長手方向に並べられた複数の検出電極を有する。中間板55は、図4で説明した電圧情報取り出し部330と同様の回路を有する。
図23では図示していないが、下部テーブル3の上端部には下部金型ホルダ6が装着されている。下部金型ホルダ6も、中間板55と同様、給電電極及び複数の検出電極を有する。
第2例の曲げ加工装置200においては、上述した金型位置・幅検出装置による位置検出方法によって、上部テーブル2に装着した中間板55及び下部テーブル3に装着した下部金型ホルダ6のそれぞれのどの位置にパンチ金型TP及びダイ金型TDが装着されているかを検出する。
上部テーブル2に装着した中間板55及び下部テーブル3に装着した下部金型ホルダ6は、パンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着する金型装着部の他の一例である。
<ラック装置>
複数のパンチ金型TP及びダイ金型TDを収納するラック装置は、曲げ加工装置100の上部金型ホルダ5と実質的に同一の上部金型ホルダに複数のパンチ金型TPを収納し、下部金型ホルダ6と実質的に同一の下部金型ホルダに複数のダイ金型TDを収納する。そこで、ラック装置にも上述した金型位置・幅検出装置を搭載することが可能である。
図24は、ラック装置の一構成例であるラック装置300を示している。図24に示すように、ラック装置300は、複数の下部金型ホルダ60を備える。それぞれの下部金型ホルダ60には、複数のダイ金型TDが装着されている。曲げ加工装置100,200によって板材を曲げ加工する際に、曲げ加工に使用するダイ金型TDを作業者またはロボットがラック装置300より取り出す。また、曲げ加工終了後に使用したダイ金型TDを作業者またはロボットがラック装置300へと戻す。
図24では図示していないが、ラック装置300は複数の上部金型ホルダを備え、それぞれの上部金型ホルダには、複数のパンチ金型TPが装着されている。曲げ加工装置100,200によって板材を曲げ加工する際に、曲げ加工に使用するパンチ金型TPを作業者またはロボット(ATCを含む)がラック装置300より取り出す。また、曲げ加工終了後に使用したパンチ金型TPを作業者またはロボットがラック装置300へと戻す。
ラック装置300は、上述した金型位置・幅検出装置を搭載している。ラック装置300においては、上述した金型位置・幅検出装置による位置検出方法によって、図示していない上部金型ホルダのどの位置にパンチ金型TPが装着されているか、下部金型ホルダ60のどの位置にダイ金型TDが装着されているかを検出する。
ラック装置300を制御するNC装置は、複数の上部金型ホルダ及び下部金型ホルダ60それぞれに装着するパンチ金型TP及びダイ金型TDの種類を管理している。ラック装置300にパンチ金型TPやダイ金型TDを戻す際には、2次元コードCtdを読み取った後に所定の位置に戻す。
ラック装置300は、複数のパンチ金型TP及びダイ金型TDのそれぞれが、上述した金型位置・幅検出装置による位置検出方法によって、上部金型ホルダまたは下部金型ホルダ60の予め定められた正しい位置に装着されているかを検出することができる。
ラック装置300が、パンチ金型TP及びダイ金型TDを上部金型ホルダ及び下部金型ホルダ60の予め定められた正しい位置に装着していれば、曲げ加工装置100,200によって板材を曲げ加工する際に、パンチ金型TP及びダイ金型TDの種類の選択間違いを防止することができる。
ラック装置300における上部金型ホルダ及び下部金型ホルダ60は、パンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着する金型装着部のさらに他の一例である。
<被装着装置に対する装着部材の位置検出方法>
以上説明した各構成例では、金型を金型装着部に装着したときの装着位置を検出している。図4で説明した金型位置・幅検出装置は、任意の被装着装置に、金型以外の他の工具、さらには、工具以外の任意の装着部材を装着したときの装着位置を検出する場合にも利用することが可能である。被装着装置とは、装着部材が装着される装置を意味する。
そこで、被装着装置に対する装着部材の位置検出方法をまとめると次のような手順となる。被装着装置の長手方向に給電電極を設け、被装着装置の長手方向に、給電電極に対して絶縁された複数の検出電極を並べて設ける。装着部材には、互いに接続された受電電極と変位電極とを設ける。
ステップS101:装着部材が被装着装置の長手方向のいずれかの位置に装着されたとき、受電電極を給電電極と非接触の状態で対向させ、変位電極を、複数の検出電極のうちのいずれかと非接触の状態で対向させる。
ステップS102:互いに対向する給電電極と受電電極との対と、互いに対向する検出電極と変位電極との対とによって、装着部材の被装着装置の長手方向に対する位置に応じて容量が変化するキャパシタ回路を形成させる。
ステップS103:給電電極に交流の給電信号を供給する。
ステップS104:給電電極に給電信号を供給されている状態で、キャパシタ回路の容量に応じて変化する電圧情報を検出電極より取り出す。
ステップS105:複数の検出電極のうちの電圧情報が取り出された検出電極の位置に基づいて、装着部材が被装着装置の長手方向のどの位置に装着されているかを検出する。
<一実施形態の金型幅検出装置及び方法>
次に、以上説明した金型位置・幅検出装置を利用した一実施形態の金型幅検出装置及び方法について説明する。上述したパンチ金型TPやダイ金型TDの位置検出においては、図12の(b)における金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32から得られる非常に小さなレベル電圧情報を0とみなして位置を求めた。
実際には、上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6にパンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着していない状態では、ホルダ給電電極31に供給した給電信号Sfacがホルダ給電電極31からホルダ検出電極32へと漏れ出る漏れ信号によって、全てのホルダ検出電極32からはわずかな電圧情報が発生する。
上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6にパンチ金型TPまたはダイ金型TDを装着すると、金型変位電極T32がホルダ検出電極32に対向していれば、図12で説明したように、金型変位電極T32と対向しているホルダ検出電極32からは所定レベルの電圧情報信号Siecが得られる。このとき、金型変位電極T32と対向しているホルダ検出電極32の左右に位置する、金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32から得られる電圧情報に次のような変化が現れる。
図25の(b)に示す幅15mmのパンチ金型TPを、金型変位電極T32が図25の(a)に示すホルダ検出電極323とちょうど一致するように対向させたとすると、電圧情報信号Siecは図25の(c)に示すように得られる。図25の(c)は、電圧情報信号Siecの電圧波形を概念的に示している。図25〜図28では、理解を容易にするために、(a)のホルダ給電電極31及びホルダ検出電極32と、(b)のパンチ金型TPとを上下方向にずらした状態を示している。
図25の(c)に示すように、ホルダ検出電極323からは所定のスレッショルドレベルL2を超える最大の電圧情報信号SiecXが得られる。最大の電圧情報信号SiecXをデジタル値に変換したのが図12の(b)の最大値Vmaxに相当する。パンチ金型TPから離れたホルダ検出電極321及び325以降からは、漏れ信号によって、漏れ信号レベルL1の電圧情報信号Siec1が得られる。ホルダ検出電極323の左右に位置するホルダ検出電極322,324からは、実質的にレベル0の電圧情報信号Siec0が得られる。
図26において、(b)に示す幅15mmのパンチ金型TPを、金型変位電極T32が(a)に示すホルダ検出電極323,324にまたがるように対向させたとすると、電圧情報信号Siecは(c)に示すように得られる。ここでは、金型変位電極T32は、わずかにホルダ検出電極324側に寄っている。この場合の電圧波形は、図26の(c)に示すようになる。
図26の(c)に示すように、ホルダ検出電極323,324からはスレッショルドレベルL2を超え、最大の電圧情報信号SiecXよりも小さいレベルの電圧情報信号SiecMが得られる。ホルダ検出電極323,324の左右に位置するホルダ検出電極322,325からは、0より大きく漏れ信号レベルL1よりも小さいレベルの電圧情報信号Siec01が得られる。なお、電圧情報信号Siec01は一定値ではなく変動するものの、0より大きく漏れ信号レベルL1よりも小さいレベルとなる。
金型変位電極T32がホルダ検出電極323側に寄っているとすれば、ホルダ検出電極323からの電圧情報信号SiecMの方が、ホルダ検出電極324からの電圧情報信号SiecMよりも大きくなる。金型変位電極T32がホルダ検出電極323,324と均等に対向していれば、ホルダ検出電極323,324からの電圧情報信号SiecMは同じレベルとなる。
図27,図28を用いて、幅20mmのパンチ金型TPの場合について説明する。図27の(b)に示す幅20mmのパンチ金型TPを、金型変位電極T32が図27の(a)に示すホルダ検出電極324とちょうど一致するように対向させたとすると、電圧情報信号Siecは図27の(c)に示すように得られる。
図27の(c)に示すように、ホルダ検出電極324からは最大の電圧情報信号SiecXが得られる。パンチ金型TPから離れたホルダ検出電極321及び327からは、漏れ信号によって、漏れ信号レベルL1の電圧情報信号Siec1が得られる。ホルダ検出電極323の左右に位置するホルダ検出電極323,325からは、実質的にレベル0の電圧情報信号Siec0が得られる。さらに、ホルダ検出電極323,325の左右に位置するホルダ検出電極322,326からは、0より大きく漏れ信号レベルL1よりも小さいレベルの電圧情報信号Siec01が得られる。
図28の(b)に示す幅20mmのパンチ金型TPを、金型変位電極T32が図28の(a)に示すホルダ検出電極324,325にまたがるように対向させたとすると、電圧情報信号Siecは図28の(c)に示すように得られる。ここでは、金型変位電極T32は、わずかにホルダ検出電極325側に寄っている。この場合のオシロスコープ波形は、図28の(c)に示すようになる。
図28の(c)に示すように、ホルダ検出電極324,325からは最大の電圧情報信号SiecXよりも小さいレベルの電圧情報信号SiecMが得られる。ホルダ検出電極324,325の左右に位置するホルダ検出電極323,326からは、実質的にレベル0の電圧情報信号Siec0が得られる。
図25〜図28では、パンチ金型TPを上部金型ホルダ5に装着する場合を示しているが、ダイ金型TDを下部金型ホルダ6に装着する場合も同様である。
ところで、レベル0の電圧情報信号Siec0や、0より大きく漏れ信号レベルL1よりも小さいレベルの電圧情報信号Siec01が得られるのは次の理由による。パンチ金型TP及びダイ金型TD自体は金属で形成されている。従って、ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32にパンチ金型TP(またはダイ金型TD)が対向すると、ホルダ給電電極31とパンチ金型TPとの間、ホルダ検出電極32とパンチ金型TPとの間には、大きなコンデンサ(キャパシタ)が形成されることになる。パンチ金型TPは接地された状態となっていることから、漏れ信号がグランドへと流れて漏れ信号レベルL1より小さなレベルの電圧情報信号Siec0またはSiec01が得られることになる。
図29〜図32を用いて、各種の電圧情報信号が得られる理由について改めて説明する。図29の(a)は、パンチ金型TPを装着していない状態のホルダ給電電極31及びホルダ検出電極32の状態を示している。ホルダ給電電極31とホルダ検出電極32との間には、非常に小さなコンデンサCLが形成される。図29の(b)は、(a)の等価回路である。この状態で、ホルダ検出電極32からは漏れ信号によって電圧情報信号Siec1が出力される。この場合の電圧情報信号Siec1のレベルが漏れ信号レベルL1である。
図30の(a),(b)は、ホルダ検出電極32がパンチ金型TPの金型変位電極T32が存在していない部分に対向している状態を示している。図30において、(a)は金型変位電極T32の位置でパンチ金型TPを切断した模式的な断面図、(b)は図11における金型受電電極T31と金型変位電極T32をパンチ金型TPの金属に置換した状態を示す図、(c)は(a),(b)の等価回路である。この状態では、ホルダ検出電極32とパンチ金型TPとの間にはコンデンサCeが形成される。
図30の(c)の等価回路に示すように、コンデンサCLとコンデンサCeとの接続点より電圧情報が出力される。電圧情報は、コンデンサCLとコンデンサCeと分圧比とで決まる。コンデンサCeの容量はコンデンサCLの容量と比較すると圧倒的に大きい。よって、ホルダ検出電極32からは実質的にレベル0の電圧情報信号Siec0が得られる。
図31の(a),(b)は、ホルダ検出電極32がパンチ金型TPの金型変位電極T32にちょうど対向している状態を示している。図31において、(a)は図29の(a)と同様の模式的な断面図、(b)は図11と実質的に同じである。図31の(b)においては、図11では省略されていたコンデンサCLが図示されている。図31の(c)は(a),(b)の等価回路である。この状態では、コンデンサCLの容量は非常に小さいため、ほぼ、直列接続されたコンデンサC31,C32の合成容量によって決まる最大の電圧情報信号SiecXが得られる。
図32の(a)は、ホルダ検出電極32の一部が金型変位電極T32に対向している状態を示している。この状態では、ホルダ検出電極32と金型変位電極T32との間にはコンデンサC32が形成され、ホルダ検出電極32とパンチ金型TPの金属との間にはコンデンサCeが形成される。図32の(a)の場合の等価回路は、図32の(b)となる。この状態では、ホルダ検出電極32からの電圧情報は、コンデンサC31,C32,CL,Ceの分圧の仕方によって決まる。
金型変位電極T32がホルダ検出電極32に対向している部分が多ければ、スレッショルドレベルL2を超え、最大の電圧情報信号SiecXよりも小さいレベルの電圧情報信号SiecMが得られる。金型変位電極T32がホルダ検出電極32に対向している部分が少なくなれば、0より大きく漏れ信号レベルL1よりも小さいレベルの電圧情報信号Siec01が得られる。
図25〜図28のそれぞれのホルダ検出電極32から得られる電圧情報は、金型変位電極T32とホルダ検出電極32との位置関係が図29〜図32のいずれであるかによって決まることになる。
上部金型ホルダ5または下部金型ホルダ6に装着しているパンチ金型TPまたはダイ金型TDの幅を、以下のようにして計算式によって求めることができる。図25〜図28の(a)に示すように、隣接する2つのホルダ検出電極32間の距離をWsとする。ここでは、Wsは5mmである。
図25〜図28の(c)で説明したスレッショルドレベルL2を超えた電圧情報信号Siec(SiecX,SiecM)が取り出された1つのホルダ検出電極32に対して“1”を割り当てる。スレッショルドレベルL2を超えた電圧情報信号Siecが取り出されたホルダ検出電極32の数だけ“1”を加算した値をNsとする。レベル0の電圧情報信号Siec0が取り出された1つのホルダ検出電極32に対して“1”を割り当てる。
電圧情報信号Siec0が取り出されたホルダ検出電極32の数だけ“1”を加算した値をNg0とする。0より大きく漏れ信号レベルL1よりも小さいレベルの電圧情報信号Siec01が取り出された1つのホルダ検出電極32に対して“0.5”を割り当てる。電圧情報信号Siec01が取り出されたホルダ検出電極32の数だけ“0.5”を加算した値をNg01とする。なお、電圧情報信号Siecがどのレベルであるかは電圧情報信号SiecをA/D変換器113によってデジタル信号に変換した電圧値に基づいて判断すればよい。
パンチ金型TPまたはダイ金型TDの幅Wtは、次の式(2)により求めることができる。
Wt=(Ns+Ng0+Ng01)×Ws …(2)
図25の場合、式(2)より、パンチ金型TPの幅Wtは、Wt=(1+2+0)×5より、15mmとなる。図26の場合にも、式(2)より、パンチ金型TPの幅Wtは、Wt=(2+0+1)×5より、15mmとなる。図27の場合、式(2)より、パンチ金型TPの幅Wtは、Wt=(1+2+1)×5より、20mmとなる。図28の場合にも、式(2)より、パンチ金型TPの幅Wtは、Wt=(2+2+0)×5より、20mmとなる。
図25〜図28に示す幅15mm,20mm以外のパンチ金型TPまたはダイ金型TDにおいても同様に、式(2)に基づいて幅Wtを求めることができる。
パンチ金型TP(ダイ金型TD)が例えば2つ連続して互いに接触した状態で装着されている場合、それぞれのパンチ金型TPの幅は次のようにして求めることが可能である。図33に示すように、パンチ金型TP1,TP2が接触した状態で上部金型ホルダ5に装着されているとする。パンチ金型TP1の金型変位電極T321はホルダ検出電極326とちょうど対向し、パンチ金型TP2の金型変位電極T322はホルダ検出電極3211,3212にまたがるように対向している。
この状態で、ホルダ検出電極322,3213から電圧情報信号Siec01が取り出され、ホルダ検出電極323〜325,327〜3210から電圧情報信号Siec0が取り出されたとする。また、ホルダ検出電極326からは電圧情報信号SiecXが取り出され、ホルダ検出電極3211,3212からは電圧情報信号SiecMが取り出されたとする。
式(2)より、パンチ金型TP1,TP2全体の幅W0は、(3+7+1)×5より、55mmとなる。パンチ金型TP1の幅W1の半分であるW1/2は、ホルダ検出電極326の電圧情報信号SiecXに割り当てる“1”を1/2にして“0.5”の割り当てと考え、電圧情報信号Siec01と等価であるとすれば、(0+3+1)×5より、20mmとなる。よって、パンチ金型TP1の幅W1は40mmであり、パンチ金型TP2の幅W2は15mmとなる。
このように、複数のパンチ金型TPまたはダイ金型TDが接触した状態で装着されている場合においても、式(2)を応用することによって、複数のパンチ金型TPまたはダイ金型TDそれぞれの幅Wtを求めることができる。
一実施形態の金型幅検出装置及び方法をまとめると次のようになる。図4において、給電信号供給部である金型位置・幅検出ユニット11によってホルダ給電電極31に給電信号Sfacを供給したとき、電圧情報取り出し部330は、所定のスレッショルドレベルL2を超えるレベルを有し、上述したキャパシタ回路の容量に応じて変化する電圧情報信号SiecX,SiecM(第1の電圧情報)を金型変位電極T32と対向するホルダ検出電極32より取り出す。
電圧情報取り出し部330は、スレッショルドレベルL2より小さい所定の漏れ信号レベルL1を有し、給電信号Sfacがホルダ給電電極31からホルダ検出電極32へと漏れ出る漏れ信号による電圧情報信号Siec1(第2の電圧情報)を、金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32より取り出す。電圧情報取り出し部330は、漏れ信号レベルL1より小さいレベルを有する電圧情報信号Siec0,Siec01(第3の電圧情報)を、金型変位電極T32と対向していないホルダ検出電極32のうち、金型変位電極T32と対向するホルダ検出電極32に隣接する1または複数のホルダ検出電極32より取り出す。
電圧情報信号Siec0またはSiec01が取り出されるホルダ検出電極32の数は、パンチ金型TPやダイ金型TDの幅が広くなれば増える。従って、電圧情報信号Siec0またはSiec01が取り出されるホルダ検出電極32は、金型変位電極T32と対向するホルダ検出電極32に隣接する1または複数のホルダ検出電極32となる。ここでの隣接するホルダ検出電極32とは、金型変位電極T32と対向するホルダ検出電極32のすぐ隣に位置するホルダ検出電極32だけではなく、1つ以上離れたホルダ検出電極32も含む。
位置・幅検出演算部111は、電圧情報取り出し部330が取り出した電圧情報信号SiecX,SiecMと電圧情報信号Siec0,Siec01に基づいて、パンチ金型TPやダイ金型TDの幅を検出する。具体的には、位置・幅検出演算部111は、電圧情報信号SiecX,SiecMと電圧情報信号Siec0,Siec01がどのようなパターンでホルダ検出電極32から取り出されているかによってパンチ金型TPやダイ金型TDの幅を算出する。
本実施形態においては、金型位置・幅検出ユニット11によって金型装着部に装着したパンチ金型TPやダイ金型TDの位置と幅を検出する構成としたが、パンチ金型TPやダイ金型TDの幅のみを検出すればよい場合には、上述したパンチ金型TPやダイ金型TDの位置検出動作を実行させる必要はない。パンチ金型TPやダイ金型TDの幅のみを検出する金型幅検出ユニット(幅検出演算部)を設ければよい。
本発明は以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。