JP5978088B2 - 無効電力補償装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電力系統に無効電力を出力して系統電圧を調整する無効電力補償装置に関する。
一般に電力が大きく変動する負荷が接続されている電力系統においては、その電力系統の電圧が負荷に流れる電流に応じて変動する。このような電圧動を抑制するために設置される装置の一つに無効電力補償装置がある。この無効電力補償装置は、系統電圧が低下しているときには進み無効電力を電力系統に出力し、一方、系統電圧が上昇しているときには遅れ無効電力を電力系統に出力することで、電圧変動を調整する(例えば、特許文献1参照)。無効電力補償装置は、系統電圧と設定電圧との差に応じて常に動作しながら定常的な電圧変動を抑制している。
特開2001−268805号公報
ところで、無効電力補償装置が配電系統に対して力率一定制御を行う場合、電力系統の電圧変動に応じて力率を一定にするよう制御するため、電圧変動の最大に合わせて補償容量(インバータ容量)が必要となり、装置が大型となっている。また、無効電力補償装置は、今後大規模な普及が望まれる設備であるが、既存の設備と併設するには設置スペースが限られている。そこで、無効電力補償装置の補償容量及び装置の小型化が望まれている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補償容量及び装置の小型化ができる無効電力補償装置を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決する無効電力補償装置は、電力系統の系統電圧を安定させるために電力系統に無効電力を出力する力率一定制御方式の無効電力補償装置において、前記系統電圧の制御範囲は、電圧制御範囲上限値を上限とするとともに、電圧制御範囲下限値を下限とする範囲に設定し、前記電力系統の負荷有効電力の上下に有効電力上限値と有効電力下限値とを設定するとともに、前記有効電力上限値を上限、前記有効電力下限値を下限とする不感帯域を設定し、前記負荷有効電力が不感帯域内であるか否かを判断する前に、前記系統電圧が制御範囲内であるか否かを判断し、前記系統電圧が電圧制御範囲上限値を超えた場合には、前記系統電圧が電圧制御範囲上限値となるように無効電力を出力させて電圧制御を行い、前記系統電圧が電圧制御範囲下限値未満の場合には、前記系統電圧が電圧制御範囲下限値となるように無効電力を出力させて電圧制御を行い、前記負荷有効電力が前記不感帯域内である場合には力率一定制御を行わず、前記電力系統への出力無効電力が遅れと進みとのいずれかに常に偏っている場合には、固定値を設定し、前記無効電力の出力値に前記固定値を付加することで、無効電力の補償範囲をずらして、前記固定値の分だけ補償範囲を増やすようにし、前記制御範囲内の前記不感帯域外に、出力する前記無効電力が連続するように前記負荷有効電力に応じて設定力率と前記固定値とを複数設定し、前記無効電力の出力値に前記固定値を付加することで、前記負荷有効電力に応じて前記設定力率を変更する場合にも補償範囲を増やすようにし、前記系統電圧が前記制御範囲内となるよう前記無効電力を出力することをその要旨としている。
同構成によれば、有効電力上限値と有効電力下限値とによって設定された不感帯域内では力率一定制御を行わず、不感帯域外において力率一定制御を行う。ここで、電圧変動が小さく、電力会社等による電圧変動の許容範囲内であれば、電圧変動が許容される。このため、力率一定制御を行わない範囲を設定することで最大無効電力が抑制されて、ひいては補償容量を抑制することができる。よって、補償容量、すなわちインバータ容量を小さくできるので、無効電力補償装置を小型化できる。
効電力補償装置が設置される電力系統への出力無効電力が遅れと進みとのいずれかに予め偏っている場合に、偏りを加味して固定値を設定することで固定値の分だけ見かけ上の補償範囲を増やすことができる。ひいては、無効電力の補償容量を変更することなく、補償可能な範囲をより広く設定できる。よって、補償容量、すなわちインバータ容量を小さくできるので、無効電力補償装置を小型化できる。
荷有効電力に応じて設定力率を変更する必要がある場合にも補償範囲を増やすことができる。よって、補償容量、すなわちインバータ容量を小さくできるので、無効電力補償装置を小型化できる。
設定力率に基づいて系統電圧そのものが許容範囲から逸脱することを防止しながら、力率一定制御を行い、系統電圧を安定させることができる。
本発明によれば、補償容量及び装置の小型化ができる。
無効電力補償装置の概略構成を示すブロック図。 無効電力補償装置の出力無効電力を示す図。 第1の実施形態の無効電力補償装置の制御を示すフローチャート。 従来の無効電力補償装置の出力無効電力を示す図。 第1の実施形態の無効電力補償装置の出力無効電力を示す図。 無効電力補償装置の出力無効電力を示す図。 第2の実施形態の無効電力補償装置の制御を示すフローチャート。 第3の実施形態の無効電力補償装置の制御を示すフローチャート。 無効電力補償装置の出力無効電力を示す図。 従来の無効電力補償装置の出力無効電力を示す図。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図5を参照して、無効電力補償装置の第1の実施形態について説明する。
図1に示されるように、無効電力補償装置10は、電力系統1に対して開閉器2及び変圧器3を介して並列接続されている。無効電力補償装置10は、電力系統1に接続された負荷4やメガソーラ等の発電施設によって電圧変動が発生する際に、無効電力を供給することにより電力系統1の系統電圧、例えば6600Vを調整する装置である。
無効電力補償装置10は、主回路にインバータ11を備え、同インバータ11には連系リアクトル12が接続されている。連系リアクトル12は、変圧器3に接続され、開閉器2を介して電力系統1に接続されている。インバータ11には、電位確立用のコンデンサ13が接続されている。開閉器2には、電力系統1の電流を検出する2つの電流センサCTと、電力系統1の電圧(以下、系統電圧という)を検出する電圧センサPTが設けられている。また、無効電力補償装置10には、制御装置14が設けられている。同制御装置14には、2つの電流センサCT及び電圧センサPTが接続されている。無効電力補償装置10は、系統電圧とインバータ出力電圧との電圧差で連系リアクトル12に流れる無効電力を調整しながら、連続的に出力を可変することで電力系統1の電圧を調整する。なお、本実施例の無効電力補償装置10は、SVG(Static Var Generator)方式の装置である。
無効電力補償装置10は、インバータ11の出力電圧を系統電圧の位相と同期させ、大きさを変化させることにより、系統電圧から90度遅れ、進みの電流が連系リアクトル12に流れる。すなわち、無効電力補償装置10は、電力系統1から見ると、可変の進相コンデンサや分路リアクトルが接続されているように動作する。例えば、負荷4の変動により電力系統1の電圧が低下した場合には、電力系統1から見て進相コンデンサと同様な動作をして電圧を持ち上げる。また、電力系統1の電圧が上昇した場合には、電力系統1から見て分路リアクトルと同様な動作をして電圧を下げる。
無効電力補償装置10は、連系点の力率を一定に管理する「力率一定制御」を行う。力率一定制御は、連系点の負荷側の有効電力(負荷有効電力)及び無効電力(負荷無効電力)を検出し、電源側の力率が設定力率に一定となるように無効電力を連続的に発生させる。そして、無効電力補償装置10は、力率一定制御によって電圧変動を抑制する。
図2に示されるように、無効電力補償装置10は、電力系統1の負荷有効電力及び負荷無効電力に応じて力率が設定力率cosθに一定となるように制御を行う。なお、無効電力補償装置10は、負荷有効電力が0kWを含む所定範囲である不感帯域DZ(Dead Zone)では力率一定制御を行わない。すなわち、無効電力補償装置10は、不感帯域DZ外では力率一定制御を行う。不感帯域DZは、有効電力上限値Aを上限とするとともに、有効電力下限値Bを下限とする範囲である。
ここで、電力系統1では、電力会社等によって電圧変動幅が一定範囲、例えば3%で許容されている。このため、無効電力補償装置10は、系統電圧が変動許容幅内となる有効電力上限値Aと有効電力下限値Bとを設定している。無効電力補償装置10の補償容量CC(Compensation capacitance)は、遅れ無効電力の最大値である最大無効電力と進み無効電力の最大値である最小無効電力との差に相当する。
また、無効電力補償装置10は、電力系統1への出力無効電力が遅れと進みとのいずれかに常に偏っている場合には、固定値Xを設定して、無効電力の出力値に固定値Xを付加して出力する。このため、無効電力補償装置10が設置される電力系統1に合わせて無効電力の補償範囲をずらすことで、固定値Xの分だけ見かけ上の補償範囲を増やすことができる。
次に、図3を参照して、無効電力補償装置10の制御装置14による無効電力の出力制御を説明する。
まず、図3に示されるように、制御装置14は、負荷有効電力が有効電力上限値AkW以下であるか否かを判断する(ステップS11)。制御装置14は、負荷有効電力が有効電力上限値AkW以下でないと判断した場合(ステップS11:NO)には、無効電力を以下の式(1)によって算出して出力させる(ステップS14)。
出力無効電力=tanθ×(負荷有効電力−A)−負荷無効電力+固定値X…(1)
一方、制御装置14は、負荷有効電力が有効電力上限値AkW以下であると判断した場合(ステップS11:YES)には、負荷有効電力が有効電力下限値BkW以上であるか否かを判断する(ステップS12)。制御装置14は、負荷有効電力が有効電力下限値BkW以上でないと判断した場合(ステップS12:NO)には、無効電力を以下の式(2)によって算出して出力させる(ステップS15)。
出力無効電力=tanθ×(負荷有効電力+B)−負荷無効電力+固定値X…(2)
一方、制御装置14は、負荷有効電力が有効電力下限値BkW以上であると判断した場合(ステップS12:YES)には、無効電力として固定値Xのみを出力させる(ステップS13)。
続いて、図4及び図5を参照して、発電施設としてメガソーラが接続された電力系統1における無効電力補償について説明する。一般的なメガソーラは、発電電力が全て負荷有効電力であって、負荷無効電力は0kVarであり、電圧上昇を抑制するために無効電力を出力する必要がある。そこで、無効電力補償装置10は、固定値Xを0kVarとする。
図4に示されるように、従来の無効電力補償装置であれば、負荷有効電力が0kW以上となると設定力率cosθとなるように無効電力を継続して出力する。このため、例えば負荷有効電力が1200kWである場合に設定力率80%とするには、出力無効電力=tan(cos−1(80%))×1200kWより、出力無効電力は900kVarとなる。
一方、図5に示されるように、本実施例の無効電力補償装置10であれば、負荷有効電力が不感帯域DZである600kWまでは無効電力を出力せず、600kW以上では設定力率cosθとなるように無効電力を継続して出力する。このため、負荷有効電力が1200kWである場合に設定力率80%とするには、式(1)より出力無効電力=tan(cos−1(80%))×(1200kW−600kW)となり、出力無効電力は450kVarとなる。このため、遅れ無効電力における最大無効電力を抑制することができる。なお、進み無効電力においても同様であって最小無効電力を抑制できるので、最大無効電力と最小無効電力との差である補償容量CCを抑制することができる。
次に、図6を参照して、負荷無効電力において遅れ無効電力が常に発生している場合について説明する。
図6に示されるように、無効電力補償装置10は、固定値Xとして−150kVarを設定する。すなわち、無効電力補償装置10は、負荷有効電力が不感帯域DZである600kWまでは−150kVarの無効電力を出力して、600kW以上では設定力率cosθとなるように無効電力を継続して出力する。このため、負荷有効電力が1200kWである場合に設定力率80%とするには、式(1)より出力無効電力={tan(cos−1(80%))×(1200kW−600kW)}−150kVarとなり、出力無効電力は300kVarとなる。このため、遅れ無効電力における最大無効電力をさらに抑制することができ、補償容量CCを抑制することができる。
以上、説明した実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)有効電力上限値Aと有効電力下限値Bとによって設定された不感帯域DZ内では力率一定制御を行わず、不感帯域DZ外において力率一定制御を行う。このため、力率一定制御を行わない範囲を設定することで最大無効電力が抑制されて、ひいては補償容量CCを抑制することができる。よって、補償容量CC、すなわちインバータ容量を小さくできるので、無効電力補償装置10を小型化できる。
また、電力会社等においては、不要な無効電力を供給すことが無くなる。さらに、同一の電力系統に無効電力補償装置10が複数台設置されている場合でも、それぞれの装置の出力無効電力に影響を及ぼすことはなくなる。
(2)無効電力補償装置10における電力系統1への出力無効電力に基づいて設定した固定値Xを無効電力の出力値に付加した。このため、無効電力の補償容量CCを変更することなく、補償可能な範囲をより広く設定できる。
(第2の実施形態)
以下、図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。この実施形態の無効電力補償装置10は、電力系統1の電圧が一定範囲となるように無効電力を出力する点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の無効電力補償装置10は、図1に示す第1の実施形態の無効電力補償装置10と同様の構成を備えている。
無効電力補償装置10は、電圧センサPTによって検出された系統電圧Vが制御範囲となるように無効電力を出力する。制御範囲は、電圧制御範囲上限値Vmaxを上限とするとともに、電圧制御範囲下限値Vminを下限とする範囲である。
次に、図7を参照して、無効電力補償装置10の制御装置14による無効電力の出力制御を説明する。無効電力補償装置10は、負荷有効電力が不感帯域DZ内であるか否かを判断する前に、系統電圧Vが電圧制御範囲内であるか否かを判断して、出力無効電力を制御する。
まず、図7に示されるように、無効電力補償装置10の制御装置14は、系統電圧Vが電圧制御範囲上限値Vmax以下であるか否かを判断する(ステップS1)。制御装置14は、系統電圧Vが電圧制御範囲上限値Vmax以下でないと判断した場合(ステップS1:NO)には、系統電圧Vが電圧制御範囲上限値Vmaxとなるように無効電力を出力させて、電圧制御を行う(ステップS3)。
一方、制御装置14は、系統電圧Vが電圧制御範囲上限値Vmax以下であると判断した場合(ステップS1:YES)には、系統電圧Vが電圧制御範囲下限値Vmin以上であるか否かを判断する(ステップS2)。制御装置14は、系統電圧Vが電圧制御範囲下限値Vmin以上でないと判断した場合(ステップS2:NO)には、系統電圧Vが電圧制御範囲下限値Vminとなるように無効電力を出力させて、電圧制御を行う。
一方、制御装置14は、系統電圧Vが電圧制御範囲下限値Vmin以上であると判断した場合(ステップS2:YES)には、系統電圧Vが制御範囲内である判断して、第1の実施形態で説明したステップS11に移行する。以下、第1の実施形態と同様であるので、説明を割愛する。
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(3)系統電圧そのものが一定範囲内となるように無効電力を出力する。このため、設定力率に基づいて系統電圧そのものが許容範囲から逸脱することを防止しながら、力率一定制御を行い、系統電圧を安定させることができる。
(第3の実施形態)
以下、図8〜図10を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。この実施形態の無効電力補償装置は、負荷有効電力に応じて複数の設定力率cosθ1,cosθ2を設定した点、及び出力無効電力が連続するように固定値X1,X2,X3を設定した点が上記第2の実施形態と異なっている。以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の無効電力補償装置は、図1に示す第1の実施形態の無効電力補償装置と同様の構成を備えている。
無効電力補償装置10は、負荷有効電力に応じて複数の設定力率cosθ1,cosθ2が設定されている。例えば、cosθ1を第1設定力率とし、cosθ2を第2設定力率とする。また、無効電力補償装置10は、不感帯域DZ及び上記の設定力率cosθ1とする範囲を含む範囲と、遅れ側の設定力率cosθ2となる範囲と、進み側の設定力率cosθ2となる範囲とにおいて無効電力が連続するよう第1固定値X1、第2固定値X2、第3固定値X3が設定されている。なお、本実施例の無効電力補償装置10は、不感帯域DZの上限値を第1有効電力上限値Cとし、下限値を第1有効電力下限値Eとする。また、異なる設定力率の境界となる遅れ側の境界値を第2有効電力上限値Dとして、進み側の境界値を第2有効電力下限値Fとする。
次に、図8を参照して、無効電力補償装置10の制御装置14による無効電力の出力制御を説明する。無効電力補償装置10は、系統電圧Vが電圧制御範囲内であるか否かを判断して、負荷有効電力が不感帯域DZ内であるか否かを判断して出力無効電力を制御する。
まず、図8に示されるように、無効電力補償装置10の制御装置14は、第2の実施形態と同様に、系統電圧Vが電圧制御範囲内となるように無効電力の出力制御をステップS1及びステップS2により行う。
続いて、制御装置14は、負荷有効電力が第2有効電力上限値DkW未満であるか否かを判断する(ステップS21)。制御装置14は、負荷有効電力が第2有効電力上限値DkW未満でないと判断した場合(ステップS21:NO)には、無効電力を以下の式(3)によって算出して出力させる(ステップS26)。
出力=tanθ2×(負荷有効電力−D)−負荷無効電力+第2固定値X2…(3)
一方、制御装置14は、負荷有効電力が第2有効電力上限値DkW未満であると判断した場合(ステップS21:YES)には、負荷有効電力が第1有効電力上限値CkW以下であるか否かを判断する(ステップS22)。制御装置14は、負荷有効電力が第1有効電力上限値CkW以下でないと判断した場合(ステップS22:NO)には、無効電力を以下の式(4)によって算出して出力させる(ステップS27)。
出力=tanθ1×(負荷有効電力−C)−負荷無効電力+第1固定値X1…(4)
一方、制御装置14は、負荷有効電力が第1有効電力上限値CkW以下であると判断した場合(ステップS22:YES)には、負荷有効電力が第2有効電力下限値FkWより大きいか否かを判断する(ステップS23)。制御装置14は、負荷有効電力が第2有効電力下限値FkW以下でないと判断した場合(ステップS23:NO)には、無効電力を以下の式(5)によって算出して出力させる(ステップS28)。
出力=tanθ2×(負荷有効電力+F)−負荷無効電力+第3固定値X3…(5)
一方、制御装置14は、負荷有効電力が第2有効電力下限値FkWより大きいと判断した場合(ステップS23:YES)には、負荷有効電力が第1有効電力下限値EkW以上であるか否かを判断する(ステップS24)。制御装置14は、負荷有効電力が第1有効電力下限値EkW以上でないと判断した場合(ステップS24:NO)には、無効電力を以下の式(6)によって算出して出力させる(ステップS29)。
出力=tanθ1×(負荷有効電力+E)−負荷無効電力+第1固定値X1…(6)
一方、制御装置14は、負荷有効電力が第1有効電力上限値EkW以上であると判断した場合(ステップS24:YES)には、無効電力として第1固定値X1のみを出力させる(ステップS25)。
続いて、図9及び図10を参照して、発電施設としてメガソーラが接続された電力系統1における無効電力補償について説明する。メガソーラは、発電電力が全て負荷有効電力であって、電圧上昇を抑制するために無効電力を出力する必要がある。ここで、電力系統1には、自動電圧調整器SVR(Step Voltage Regulator)が接続されている。また、メガソーラは、日射変動の影響によって発電電力が大きく変わる。このため、無効電力補償装置10は、自動電圧調整器SVRと協調させるために、発電電力に応じて設定力率を変更するよう電力会社等に求められることがある。
例えば、図9に示されるように、ここでは、負荷有効電力が600kW以上900kW未満では第1設定力率cosθ1が求められ、負荷有効電力が900kW以上1200kW以下では第2設定力率cosθ2が求められたとする。また、無効電力補償装置10は、不感帯域DZ(負荷有効電力が−600kWより大きく600kW未満)では第1固定値X1を0kVarとし、負荷有効電力が600kW以上900kW未満では第1固定値X1を0kVarとし、負荷有効電力が900kW以上1200kW以下では第2固定値X2を225kVarとする。そして、負荷有効電力が−900kWより大きく−600kW以下では第1固定値X1を0kVarとし、負荷有効電力が−1200kW以上−900kW以下では第3固定値X3を−225kVarとする。
無効電力補償装置10は、負荷有効電力が不感帯域DZである600kWまでは無効電力を出力せず、600kW以上900kW未満では第1設定力率cosθ1となるように無効電力を継続して出力し、900kW以上1200kW以下では第2設定力率cosθ2となるように無効電力を継続して出力する。
無効電力補償装置10は、例えば負荷有効電力が900kW、設定力率80%の時には、出力無効電力=tan(cos−1(80%))×(900kW−600kW)より、無効電力225kVarを出力する。
また、無効電力補償装置10は、例えば負荷有効電力が1200kW、設定力率60%の時には、出力無効電力=tan(cos−1(60%))×(1200kW−900kW)−225kVarより、無効電力625kVarを出力する。
なお、図10に示されるように、負荷有効電力に応じて複数の設定力率が設定され、不感帯域DZを設けず、無効電力の固定値Xを設定しなかった場合に、設定力率となるように力率一定制御を行うとすると、負荷有効電力が1200kWであるときに無効電力は最大で1600kVar必要となる。すなわち、図9と比較すると、1600kVar−625kVar=975kVarの遅れ無効電力を減らすことができる。進みと遅れを足すと、1950kVarの補償容量CCを減らすことができる。
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)の効果、第2の実施形態の(3)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(4)電力系統1における負荷有効電力に応じて複数の設定力率cosθ1,cosθ2と複数の固定値X1,X2,X3を設定した。このため、負荷有効電力に応じて設定力率を変更する必要がある場合にも補償範囲を増やすことができる。
(5)出力無効電力が連続するように負荷有効電力に応じて第1固定値X1、第2固定値X2、第3固定値X3を設定した。このため、出力無効電力の容量を抑制することとなり、ひいては補償容量CCを抑制することができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記第3の実施形態において、ステップS1及びステップS2の電圧制御を省略してもよい。
・上記第3の実施形態において、負荷有効電力の最大値を1200kW、最小値を−1200kWとしたが、設置する電力系統1に応じて適宜変更可能である。また、負荷有効電力の最大値と最小値とにおける制御では、最大値と最小値との含む(以下・以上)としてもよく、最大値と最小値とを含まない(未満・より大きい)としてもよい。
・本発明をパワーコンディショナーに採用して、無効電力補償を行なわせてもよい。
・上記実施形態では、発電施設として有効電力のみを出力するメガソーラが接続された電力系統1に本発明の無効電力補償装置10を適用したが、無効電力も出力するメガソーラが接続された電力系統に本発明の無効電力補償装置10を適用してもよい。
・上記実施形態では、発電施設としてメガソーラが接続された電力系統1に本発明の無効電力補償装置10を適用したが、発電施設として風力発電、小水力発電、バイオマス発電等が接続された電力系統に本発明の無効電力補償装置10を適用してもよい。
1…電力系統、2…開閉器、3…変圧器、4…負荷、10…無効電力補償装置(SVG)、11…インバータ、12…連系リアクトル、13…コンデンサ、14…制御装置、CT…電流センサ、PT…電圧センサ、A…有効電力上限値、B…有効電力下限値、CC…補償容量、cosθ…設定力率、DZ…不感帯域、V…系統電圧、Vmax…電圧制御範囲上限値、Vmin…電圧制御範囲下限値、cosθ1…第1設定力率、cosθ2…第2設定力率、C…第1有効電力上限値、D…第2有効電力上限値、E…第1有効電力下限値、F…第2有効電力下限値、X…固定値、X1…第1固定値、X2…第2固定値、X3…第3固定値。

Claims (5)

  1. 電力系統の系統電圧を安定させるために電力系統に無効電力を出力する力率一定制御方式の無効電力補償装置において、
    前記系統電圧の制御範囲は、電圧制御範囲上限値を上限とするとともに、電圧制御範囲下限値を下限とする範囲に設定し、
    前記電力系統の負荷有効電力の上下に有効電力上限値と有効電力下限値とを設定するとともに、前記有効電力上限値を上限、前記有効電力下限値を下限とする不感帯域を設定し、
    前記負荷有効電力が不感帯域内であるか否かを判断する前に、前記系統電圧が制御範囲内であるか否かを判断し、
    前記系統電圧が電圧制御範囲上限値を超えた場合には、前記系統電圧が電圧制御範囲上限値となるように無効電力を出力させて電圧制御を行い、
    前記系統電圧が電圧制御範囲下限値未満の場合には、前記系統電圧が電圧制御範囲下限値となるように無効電力を出力させて電圧制御を行い、
    前記負荷有効電力が前記不感帯域内である場合には力率一定制御を行わず、
    前記電力系統への出力無効電力が遅れと進みとのいずれかに常に偏っている場合には、固定値を設定し、前記無効電力の出力値に前記固定値を付加することで、無効電力の補償範囲をずらして、前記固定値の分だけ補償範囲を増やすようにし、
    前記制御範囲内の前記不感帯域外に、出力する前記無効電力が連続するように前記負荷有効電力に応じて設定力率と前記固定値とを複数設定し、前記無効電力の出力値に前記固定値を付加することで、前記負荷有効電力に応じて前記設定力率を変更する場合にも補償範囲を増やすようにし、
    前記系統電圧が前記制御範囲内となるよう前記無効電力を出力する
    ことを特徴とする無効電力補償装置。
  2. 請求項1に記載の無効電力補償装置において、
    前記電力系統への出力無効電力に基づいて固定値を設定し、前記無効電力の出力値に前記固定値を付加する
    ことを特徴とする無効電力補償装置。
  3. 請求項2に記載の無効電力補償装置において、
    前記負荷有効電力に応じて設定力率と前記固定値とを複数設定する
    ことを特徴とする無効電力補償装置。
  4. 請求項3に記載の無効電力補償装置において、
    出力する前記無効電力が連続するように前記負荷有効電力に応じて前記固定値を設定する
    ことを特徴とする無効電力補償装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の無効電力補償装置において、
    前記系統電圧が制御範囲内となるよう前記無効電力を出力する
    ことを特徴とする無効電力補償装置。
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