JP5977479B2 - 硬質発泡合成樹脂用組成物、それを用いた硬質発泡合成樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、硬質発泡合成樹脂用減粘剤、該減粘剤を含む硬質発泡合成樹脂用組成物、および該組成物を用いた硬質発泡合成樹脂の製造方法に関する。
ポリオール等の活性水素化合物とポリイソシアネート化合物とを整泡剤、触媒および発泡剤の存在下に反応、発泡させて、硬質ポリウレタンフォーム、硬質ポリイソシアヌレートフォーム等の硬質発泡合成樹脂(以下まとめて、硬質フォームという。)を製造することは広く行われている。該硬質フォームは成形の自由度が高く断熱性能にも優れることから、各種の装置または建築物の断熱材として好適に採用されている。
特に、建築現場等において、断熱材として硬質フォームを製造する際にはスプレー法が多く採用される。該スプレー法とは、例えばポリオールおよび発泡剤等を含むポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物を含む液とをそれぞれ高圧で送液し、スプレーガンから施工対象となる壁面等に吹き付けながら反応させ、その壁面等上で発泡させて断熱材等とする方法である。
スプレー法の利点は、施工の対象となる壁面等の形状に左右されず、所望の厚さの断熱材を施工できる点である。また、スプレー法の中でも多層吹き付け法によれば、2回以上吹き付けることで硬質フォームを積層し、高い断熱性能を有する厚い断熱層を形成することができる。
スプレー法による硬質フォームの製造においては、現在、発泡剤としてハイドロフルオロカーボン(HFC、例えばHFC−245fa、HFC−365mfc等)が主に用いられている。しかし環境への負荷を考慮するとこれらHFCの使用を削減することが望ましい。そこでHFCの使用量を削減し、それを補うために、発泡剤として水を使用する技術が検討されてきた。しかし、同等の発泡状態を得るために必要なHFCの使用量と水の使用量とでは水の使用量の方が少ないため、HFCに代えて水を用いると、HFCによる希釈効果が低減してポリオールシステム液の粘度が増大し、スプレー法により硬質フォームを製造する際に施工性が悪化する問題がある。また、ポリオールシステム液中の水の含有率が高くなるにつれて、疎水性の高いポリイソシアネート化合物との混合性が悪化し、成形不良が発生しやすくなるという問題もある。これら発泡剤として水を使用した際の課題解決が強く望まれている。
一方、フェノール類、アルデヒド類およびアルカノールアミン類をマンニッヒ縮合反応させて得られる反応生成物を利用して製造されるポリエーテルポリオール類は、その機械的強度と難燃性という2つの利点から高く評価されている。しかし、これらマンニッヒ縮合反応を利用して製造されるポリエーテルポリオール類は、粘度が高い傾向にある。発泡時に原料の混合性不良が生じて施工性が悪い問題があり、課題解決が強く望まれている。
かかる課題に対し、これまでに、ジベンジルエーテルを必須成分とする減粘剤を添加する方法(特許文献1)やポリエステルポリオールを用いて減粘する方法(特許文献2)、特定のフェノール類、アルデヒド類およびアルカノールアミン類の組成で低粘度ポリエーテルポリオールを製造する方法(特許文献3)等、種々の方法が報告されている。
特開2001−011227号公報 特開平11−060672号公報 特開2007−326953号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法では反応性の低下が著しいためスプレー法での施工をすることは実質困難である。これに対して、仮に、一般的な方法として多量の触媒を添加して反応活性を向上させる方法を用いたとしても、ジベンジルエーテルの可塑効果が高いため充分な強度が得られず、フォームが収縮しやすい、又は割れやすいなどの問題が生ずる。
上記特許文献2または3に記載の方法では、水を用いたスプレー法に適用するにはポリオールの粘度が高すぎるため、作業性や施工性に問題が生じる。作業性の問題とは、例えばポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物を含む液とに粘度差があることで、スプレーガンの混合部において圧力差を生じ、詰まりが発生しやすく、作業が中断したりする点が挙げられる。施工性の問題とは、ポリオールシステム液の粘度が高すぎるため、スプレーのミスト状態が悪く、微細で均一なセル径が得られなかったり、平滑に施工できないために、断熱層としての硬質フォームの厚さが不均一になる点などが挙げられる。その結果、断熱性にバラつきが生じたり、あるいはカットして厚みを均一化する手間がかかるなどの問題点が挙げられる。また、ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物を含む液との混合不良も発生しやすく、充分なフォーム強度が得られない問題点もあった。すなわち特許文献2または3に記載の方法では、スプレー法で要求される作業性や施工性を満足させるだけの高度な低粘度とすることは困難であった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、発泡剤として水を用いた際のポリオールシステム液の粘度増加を充分に抑制でき、ポリオールシステム液の粘度が低いことが好ましいスプレー法などの施工方法においても作業性や施工性に問題が生じることなく、強度および寸法安定性に優れた硬質フォームを形成できるようにすることを目的とする。
前記課題を解決するために本発明は、フェノール類、アルデヒド類、およびアルカノールアミン類を反応させて得られるマンニッヒ縮合物からなる開始剤(S1)にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基価が200〜500mgKOH/gのポリエーテルポリオール(A)、およびフェノール類からなる開始剤(S2)にアルキレンオキシドを開環付加させて得られる、水酸基価が50〜500mgKOH/gのヒドロキシエーテル(B)を含むことを特徴とする硬質発泡合成樹脂用組成物(P)を提供する。
該硬質発泡合成樹脂用組成物(P)は、さらに、多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合して得られる、水酸基価が100〜400mgKOH/gのポリエステルポリオール(C)を含んでもよい。
さらに本発明は、ポリエーテルポリオール(A)、およびヒドロキシエーテル(B)、およびポリマー分散ポリオールを含む硬質発泡合成樹脂用組成物(P)の製造方法であって、前記ポリマー分散ポリオールを、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、および末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマーからなる群から選ばれる1種以上のポリオール(W’)中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させてポリマー微粒子を析出させて得る、または溶媒中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させてポリマー微粒子を析出させた後、前記ポリオール(W’)と溶媒を置換して得る、硬質発泡合成樹脂用組成物(P)の製造方法を提供する。また、前記硬質発泡合成樹脂用組成物(P)が、さらに、ポリエステルポリオール(C)を含む、硬質発泡合成樹脂用組成物(P)の製造方法を提供する。
また本発明は、本発明の硬質発泡合成樹脂用組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)とを、水を含む発泡剤、整泡剤および触媒の存在下で反応させて硬質発泡合成樹脂を製造することを特徴とする硬質発泡合成樹脂の製造方法を提供する。
発泡剤としては水を単独で用いることが好ましい。
また、硬質発泡合成樹脂の製造方法としてはスプレー法を用いることが好ましい。
本発明の硬質発泡合成樹脂用組成物(P)を用いることにより、発泡剤として水を用いた際のポリオールシステム液の粘度増加を充分に抑制でき、スプレー法など高度の低粘度が要求される施工方法においても、作業性や施工性に問題が生じることなく、強度および寸法安定性に優れた硬質フォームを形成できる。
本発明の硬質発泡合成樹脂の製造方法によれば、発泡剤として水を用いた際のポリオールシステム液の粘度増加が充分に抑制される。したがって、スプレー法など、ポリオールシステム液の粘度が低いことが好ましい施工方法に好適に用いることができ、作業性や施工性に問題が生じることなく、強度および寸法安定性に優れた硬質フォームを形成できる。
本発明の硬質発泡合成樹脂用減粘剤はヒドロキシエーテル(B)からなり、これを硬質発泡合成樹脂用組成物に含有させることにより、ポリオールシステム液の粘度を低減でき、スプレー法など高度の低粘度が要求される施工方法においても、作業性や施工性に問題が生じることなく、強度および寸法安定性に優れた硬質フォームを形成できる。
<硬質発泡合成樹脂用組成物(P)>
本発明の硬質発泡合成樹脂用組成物(P)(以下、「組成物(P)」ということもある。)は、ポリエーテルポリオール(A)(「ポリオール(A)」ということもある。)と、ヒドロキシエーテル(B)を含む。また、任意にポリオール(C)、ポリマー微粒子、またはその他のポリオール(D)を含むことができる。組成物(P)はヒドロキシエーテル(B)の他に減粘作用を有する成分を含んでいてもよい。
組成物(P)全体としての水酸基価は100〜450mgKOH/gが好ましく、150〜350mgKOH/gがより好ましい。組成物(P)の水酸基価が上記範囲であれば、得られる硬質フォームの強度が充分高くなるため好ましい。
組成物(P)の粘度はポリイソシアネート化合物(I)との混合性の観点から、極力低いことが好ましいが、混合装置としてのスプレーガンの詰まり、あるいは混合比の異常変動を防止する目的のみを考慮すれば、ポリイソシアネート化合物(I)を含む液との粘度差が極力小さいことが好ましい。したがって、より低粘度であって、かつポリイソシアネート化合物(I)との粘度差が小さい組成物(P)が好ましい。
[ポリオール(A)]
ポリオール(A)は、開始剤(S1)にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基価が200〜500mgKOH/gのポリエーテルポリオールである。
開始剤(S1)は、フェノール類、アルデヒド類、およびアルカノールアミン類を反応させて得られるマンニッヒ縮合物である。
フェノール類としては、フェノール、ノニルフェノール、クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール等が挙げられる。これらのうち、ノニルフェノールが、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(I)との相溶性を向上させ、セル外観を向上させる点で好ましい。
アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等が挙げられる。これらのうちで、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドがフォームの接着性を向上させる点で好ましい。
アルカノールアミン類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、アミノエチルエタノールアミン等が挙げられる。これらのうちで、ジエタノールアミンが、得られる硬質フォームの強度向上とポリオール(A)の粘度低減のバランスを取る上で好ましい。
開始剤(S1)を得る際の原料の割合は、フェノール類の1モルに対し、アルデヒド類が1〜3モル、アルカノールアミン類が1〜3モルであることが好ましい。この範囲であれば、硬質フォームを製造する際の臭気の発生が抑制される、粘度が低く抑制される、得られる硬質フォームの接着性が良好になりやすい等の点で好ましい。
上記原料の割合において、フェノール類の1モルに対するアルデヒド類の割合は、1.2〜2.5モルがより好ましく、1.4〜2.3モルがさらに好ましい。また同じくフェノール類の1モルに対するアルカノールアミン類の割合は、1.2〜2.5モルがより好ましく、1.4〜2.3モルがさらに好ましい。
開始剤(S1)に開環付加重合させるアルキレンオキシド(AOと記載することもある。)としては、エチレンオキシド(EOと記載することもある。)、プロピレンオキシド(POと記載することもある。)、ブチレンオキシド等が挙げられる。
ポリオール(A)において、開始剤(S1)に開環付加重合させるアルキレンオキシドに占めるエチレンオキシドの割合(EO/AO)は、90質量%以下が好ましく、10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることがより好ましく、20〜70質量%であることがさらに好ましい。
ポリオール(A)として、複数種のポリエーテルポリオールを組み合わせて用いる場合、該エチレンオキシドの割合(EO/AO)は、ポリオール(A)全体としての値であり、具体的には各ポリエーテルポリオールにおける全アルキレンオキシドに対するエチレンオキシドの割合と、ポリオール(A)全体に対する各ポリエーテルポリオールの使用割合とから求められる値である。
該エチレンオキシドの割合を上記の範囲内とすることで、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(I)との混合性が良好となり、得られる硬質フォームの接着性向上、外観向上、機械的特性の向上に効果がある。
エチレンオキシド以外のアルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシドを用いることが好ましい。
プロピレンオキシドとエチレンオキシドとを併用する場合、アルキレンオキシドを開環付加重合させる順序は、プロピレンオキシドを先にし、エチレンオキシドを後にすることが好ましい。
この順番で開環付加重合することで、ポリオール(A)の水酸基の多くは一級水酸基となり、ポリオール(A)とポリイソシアネート化合物(I)との反応性が高くなる。その結果、得られる硬質フォームの外観が良好になりやすく好ましい。また得られる硬質フォームの接着性の向上にも効果がある。併用するエチレンオキシドとプロピレンオキシドの質量比、エチレンオキシド/プロピレンオキシドは10/90〜90/10の範囲が好ましい。
ポリオール(A)の水酸基価は200〜500mgKOH/gであり、250〜480mgKOH/gであることが好ましい。
ポリオール(A)として、複数種のポリエーテルポリオールを組み合わせて用いる場合は、各ポリエーテルポリオールの水酸基価がそれぞれ上記の範囲内であればよい。
ポリオール(A)の水酸基価が500mgKOH/g以下であると、ポリオール(A)中に存在するアルキレンオキシド由来のオキシアルキレン鎖の量が増え、ポリオール(A)の粘度が下がりやすくなり好ましい。また、製造される硬質フォームの脆さが少なくなり接着性が出やすい。また、水酸基価が200mgKOH/g以上であると、得られる硬質フォームの機械的強度が確保し易く、硬質フォームが収縮しにくくなるため好ましい。
ポリオール(A)は、組成物(P)全体の55〜99質量%が好ましく、60〜99質量%であることがより好ましく、65〜96質量%であることがさらに好ましい。この範囲であれば、得られる硬質フォームの機械的強度、耐熱性、難燃性等の好ましい特徴を備えつつ、割れの発生が抑制される。また、良好な活性を示す点から、スプレー法により硬質フォームを製造する場合の施工性が良好であり、壁面に吹き付ける場合の横流れの発生が抑制される。さらに多層吹き付けを行う場合の硬質フォーム層どうしの接着性も向上する。
[ヒドロキシエーテル(B)]
ヒドロキシエーテル(B)は、開始剤(S2)にアルキレンオキシドを開環付加させて得られるポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールである。ヒドロキシエーテル(B)を組成物(P)に含有させることにより、組成物(P)の粘度を低減させることができる。すなわち、ヒドロキシエーテル(B)は硬質発泡合成樹脂用減粘剤である。
開始剤(S2)は、フェノール類からなる群から選ばれる少なくとも1種である。2種以上を併用してもよい。
フェノール類としては、フェノール、ノニルフェノール、クレゾール、ビスフェノールA、レゾルシノール等が挙げられる。これらのうち、フェノール、ノニルフェノール、クレゾールを開始剤(S2)として用いたポリエーテルモノオールが、ポリオールシステム液の粘度を低減させる効果が高く、また、ポリオールとポリイソシアネート化合物との相溶性を改良し、セル外観を向上させる点で好ましい。
開始剤(S2)の官能基数は1〜2が好ましく、組成物(P)の粘度を低減させる効果が高いことから官能基数は1であるのが特に好ましい。
アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。
開始剤(S2)に開環付加させる全アルキレンオキシドのうち、プロピレンオキシドとエチレンオキシドをそれぞれ単独で用いるか、または併用することが好ましい。
該アルキレンオキシドを用いることによって、充分な減粘効果とフォーム強度が得られる。またスプレー法により硬質フォームを製造する場合に良好な施工性が得られやすい。
ヒドロキシエーテル(B)の水酸基価は、50〜500mgKOH/gであり、50〜350mgKOH/gであることが好ましい。
ヒドロキシエーテル(B)として、複数種のポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールを組み合わせて用いる場合は、ポリエーテルモノオールまたはポリエーテルポリオールの水酸基価がそれぞれ上記の範囲内であればよい。
ヒドロキシエーテル(B)の水酸基価が50mgKOH/g以上であると、マンニッヒ縮合物である開始剤(S1)から得られるポリオール(A)との相溶性がよい。水酸基価が500mgKOH/g以下であると、組成物(P)の粘度を低減させることができる。
ヒドロキシエーテル(B)は、組成物(P)全体の1〜45質量%が好ましく、1〜40質量%であることがより好ましく、4〜35質量%であることがさらに好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。ヒドロキシエーテル(B)の割合がこの範囲であれば、ポリオールシステム液の粘度を充分に低減でき、得られる硬質フォームの強度も維持される。また、組成物(P)の活性もスプレー法で施工するに充分であり、硬質フォームの外観も良好に保つことができる。
ヒドロキシエーテル(B)の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
[ポリオール(C)]
組成物(P)は、さらに多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合して得られる、水酸基価が100〜400mgKOH/gのポリエステルポリオール(C)(「ポリオール(C)」ということもある。)を含んでもよい。
重縮合させる多価カルボン酸と多価アルコールの少なくとも一方は芳香環を有する芳香族化合物であることが好ましい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸またはその無水物が好ましい。芳香環を有するジカルボン酸としては、テレフタル酸等のフタル酸類が挙げられる。芳香環を有しないジカルボン酸としてはマレイン酸、フマル酸等が挙げられる。
多価アルコールとしては、ジオールが好ましい。芳香環を有するジオールとしては、例えば、ビスフェノールAにエチレンオキシドを付加させて得られるジオール等が挙げられる。芳香環を有しないジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
ポリオール(C)の水酸基価は、100〜400mgKOH/gであり、100〜350mgKOH/gが好ましく、100〜300mgKOH/gがより好ましい。
ポリオール(C)として、複数種のポリエステルポリオールを組み合わせて用いる場合は、各ポリエステルポリオールの水酸基価がそれぞれ上記の範囲内であればよい。
ポリオール(C)の水酸基価が400mgKOH/g以下であると、得られる硬質フォームの脆さが少なくなり接着性が出やすい。またポリオール(C)の粘度が下がりやすくなるため、組成物(P)における混合性が良くなり好ましい。さらにスプレー法において、ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物(I)とを所定の体積比で使用して施工する場合のイソシアネート指数を高く設定できる。一方、ポリオール(C)の水酸基価が100mgKOH/g以上であると、得られる硬質フォームが収縮しにくくなり好ましい。すなわち、上記範囲内であれば、原料の混合性を良好に保ちながら、硬質フォームの接着強度、特に初期の接着強度を高くでき好ましい。
組成物(P)にポリオール(C)を含有させる場合、その含有量は、組成物(P)全体の30〜70質量%であることが好ましく、40〜60質量%であることがより好ましい。上記範囲内であれば、硬質フォームの強度向上効果および接着性の向上効果が充分に得られる。
[ポリマー微粒子]
組成物(P)中にポリマー微粒子を含有させることが好ましい。該ポリマー微粒子は組成物(P)中に分散されていることが好ましく、具体的には、ポリオール(W’)中にポリマー微粒子が分散しているポリマー分散ポリオール(W)を調製し、該ポリマー分散ポリオール(W)を組成物(P)に含有させることが好ましい。
ポリマー微粒子は外径が10μm以下であることが好ましい。
組成物(P)全体におけるポリマー微粒子の含有量は0.002〜10質量%が好ましく、0.02〜10質量%がより好ましく、0.5〜7質量%が特に好ましい。上記範囲内であれば、得られる硬質フォームの収縮を効果的に抑制できる。
ポリマー分散ポリオール(W)を製造する方法は公知の方法を用いることができる。例えば以下の2通りが挙げられる。
第1の方法は、必要に応じて溶媒の存在下、ポリオール(W’)中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させて直接ポリマー粒子を析出させる方法である、第2の方法は、必要に応じてポリマー微粒子を安定化させるグラフト化剤の存在下、溶媒中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させてポリマー微粒子を析出させた後、ポリオール(W’)と溶媒を置換して安定な分散体を得る方法である。本発明ではどちらの方法も採用できる。製造時間、経済性の点で前者の方法がより好ましい。
ポリマー微粒子の形成に用いられる、重合性不飽和結合を有するモノマーとしては、通常、重合性不飽和結合を1個有するモノマーが使用されるが、これに限らない。
該モノマーの具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、2,4−ジシアノブテン−1等のシアノ基含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等のスチレン系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのアルキルエステルやアクリルアミド、メタクリルアミド等のアクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;イソプレン、ブタジエン、その他のジエン系モノマー;マレイン酸ジエステル、イタコン酸ジエステル等の不飽和脂肪酸エステル類;塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;およびこれら以外のオレフィン、ハロゲン化オレフィンなどがある。
好ましくはアクリロニトリル20〜90質量%と他のモノマー10〜80質量%の組み合わせであり、他のモノマーとして好ましいのはスチレン、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルおよび酢酸ビニルである。これら他のモノマーは2種以上併用して用いてもよい。
上記モノマーの使用量は特に限定されないが、ポリマー分散ポリオール(W)中におけるポリマー微粒子の含有量が約1〜50質量%、より好ましくは2〜45質量%、さらに好ましくは10〜30質量%となる量であることが好ましい。
重合性不飽和結合を有するモノマーの重合は、遊離基を生成して重合を開始させるタイプの重合開始剤が好適に用いられる。重合開始剤の具体例としては2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、アセチルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過硫酸塩等が挙げられる。特にAMBNが好ましい。
ポリマー分散ポリオール(W)中のポリオール(W’)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等が挙げられる。特にポリオール(W’)は、ポリエーテルポリオールのみからなるか、またはポリエーテルポリオールを主成分として、少量のポリエステルポリオールや末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマー等を併用することが好ましい。
該ポリエーテルポリオールとしては、例えば多価アルコールまたは多価フェノール等のポリヒドロキシ化合物やアミン類等の開始剤に、アルキレンオキシド等の環状エーテルを付加して得られる、ポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリオール(W’)として用いるポリエーテルポリオールは、前記ポリオール(A)またはヒドロキシエーテル(B)と同じであってもよい。またポリオール(W’)として用いるポリエステルポリオールは、前記ポリオール(C)と同じであってもよい。
ポリオール(W’)の水酸基価は200〜800mgKOH/gが好ましく、250〜750mgKOH/gがより好ましい。
ポリオール(W’)として、複数種のポリオールを混合して用いる場合は、該混合物における水酸基価が上記の範囲内であればよい。
ポリオール(W’)の水酸基価が上記範囲の下限値以上であると、他のポリオールとの相溶性が良好であり、上記範囲の上限値以下であると、ポリマー微粒子の分散安定性が良好である。
ポリオール(W’)のうちの5質量%以上が、下記ポリエーテルポリオール(X)であることが好ましい。該ポリエーテルポリオール(X)は、水酸基価が84mgKOH/g以下であり、かつポリエーテルポリオール(X)全体に対するオキシエチレン基含量が40質量%以上であるものをいう。
ポリエーテルポリオール(X)は、開始剤として多価アルコールを使用し、エチレンオキシドまたはエチレンオキシドと他の環状エーテルを付加して得られるものが好ましい。
多価アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等が好ましい。他の環状エーテルとしてはプロピレンオキシド、イソブチレンオキシド、1−ブテンオキシド、2−ブテンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドが特に好ましい。
ポリエーテルポリオール(X)において、水酸基価が84mgKOH/g以下であるとポリマー微粒子が安定に分散したポリマー分散ポリオールを得ることができる。該ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価は、67mgKOH/g以下が好ましく、60mgKOH/g以下が特に好ましい。ポリエーテルポリオール(X)の水酸基価の下限は、ポリマー微粒子の分散安定性の点から、5mgKOH/g以上が好ましく、8mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以上が特に好ましく、30mgKOH/g以上が最も好ましい。
ポリエーテルポリオール(X)において、ポリエーテルポリオール(X)全体に対するオキシエチレン基含量が40質量%以上であると、ポリマー分散ポリオール(W)におけるポリマー微粒子の分散が安定しやすい。該オキシエチレン基含量は50質量%以上がより好ましく、55質量%以上がさらに好ましい。該オキシエチレン基含量の上限は約100質量%、すなわち開始剤にエチレンオキシドのみを付加させたポリエーテルポリオール(X)であってもよい。ポリマー微粒子の分散安定性の点からは、該オキシエチレン基含量が90質量%以下であることがより好ましい。
ポリオール(W’)のうちのポリエーテルポリオール(X)の含有量が5質量%以上であると、分散性のよいポリマー分散ポリオール(W)が得られ易い。該ポリエーテルポリオール(X)の含有量は、10質量%以上がより好ましい。該ポリエーテルポリオール(X)の含有量の上限は特にないが、ポリオール(W’)の水酸基価が200〜800mgKOH/gの範囲となるように設定することが好ましい。
ポリオール(W’)は、上記ポリエーテルポリオール(X)の5〜70質量%と、水酸基価が400〜850mgKOH/gであるポリオール(Z)の30〜95質量%との混合物であることが好ましく、ポリエーテルポリオール(X)の5〜65質量%と、前記ポリオール(Z)の35〜95質量%との混合物であることがより好ましい。ポリオール(Z)の水酸基価は400〜750mgKOH/gがより好ましい。ポリオール(Z)としては、上記ポリオール(W’)のうち水酸基価が400〜750mgKOH/gの範囲であるものが好ましく用いられる。
ポリマー分散ポリオール(W)を用いる場合、組成物(P)全体におけるポリマー分散ポリオール(W)の含有量は、ポリマー微粒子の含有量に応じて、組成物(P)全体におけるポリマー微粒子の含有量が上記の好ましい範囲となるように設定される。例えば組成物(P)全体におけるポリマー分散ポリオール(W)の含有量は0.2〜20質量%の範囲内が好ましく、0.8〜8質量%がより好ましい。
[その他のポリオール(D)]
組成物(P)に、ポリオール(A)、ヒドロキシエーテル(B)、またはポリオール(C)のいずれにも属さないその他のポリオール(D)を含有させてもよい。
ポリオール(D)としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール等が例示できる。ポリオール(D)の水酸基価は10〜600mgKOH/gが好ましい。ポリオール(D)として、複数種のポリオールを組み合わせて用いる場合は、各ポリオールの水酸基価がそれぞれ上記の範囲内であればよい。
組成物(P)全体におけるポリオール(D)の含有量は25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
<硬質発泡合成樹脂の製造方法>
本発明の硬質発泡合成樹脂の製造方法は、本発明の組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)とを、発泡剤、整泡剤および触媒の存在下で反応させて硬質発泡合成樹脂を製造する方法である。発泡剤は水を含む。
具体的には、組成物(P)および発泡剤を含むポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物(I)を含む液を調製し、これらを混合して反応させる方法が好ましい。整泡剤および触媒は、ポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物(I)を含む液のどちらに含有させてもよい。ポリオールシステム液の分離等の問題、すなわち安定的な性能を発揮させる点からは整泡剤および触媒をポリオールシステム液に含有させることが好ましい。
ポリオールシステム液は、ポリイソシアネート化合物(I)との混合性や、スプレー法により硬質フォームを施工したときの平滑性を良好にするために、粘度が低いことが好ましい。また、混合装置としてのスプレーガンの詰まり、あるいは混合比の異常変動を防止するためにポリイソシアネート化合物(I)を含む液との粘度差が極力小さいことが好ましい。したがって、より低粘度であって、かつポリイソシアネート化合物(I)との粘度差が小さいポリオールシステム液が好ましい。
<ポリイソシアネート化合物(I)>
ポリイソシアネート化合物(I)としては、イソシアネート基を2以上有する芳香族系、脂環族系、脂肪族系等のポリイソシアネート;前記ポリイソシアネートの2種類以上の混合物;これらを変性して得られる変性ポリイソシアネート等が挙げられる。
具体例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(通称:クルードMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)等のポリイソシアネートまたはこれらのプレポリマー型変性体、ヌレート変性体、ウレア変性体、カルボジイミド変性体等が挙げられる。このうち、クルードMDI、またはその変性体が好ましく、クルードMDIの変性体が特に好ましい。
通常、ポリイソシアネート化合物(I)は液体である。ポリイソシアネート化合物(I)の25℃における粘度は50〜500mPa・sが好ましく、50〜300mPa・sが特に好ましい。この粘度範囲であれば、得られる硬質フォームに収縮が発生しにくい。また、スプレー法により硬質フォームを製造する際の施工性が良好となり、得られる硬質フォームの外観を良好に保つことができる。
ポリイソシアネート化合物(I)の使用量は、反応系中に存在する、組成物(P)およびその他の活性水素化合物の活性水素の合計数に対するイソシアネート基の数の100倍で表して(以下、この100倍で表した数値を「イソシアネート指数」という)、50〜300が好ましい。
特に、触媒としてウレタン化触媒を主に用いるウレタン処方の場合、ポリイソシアネート化合物(I)の使用量は、前記イソシアネート指数で50〜170が好ましく、70〜150がより好ましい。
また、触媒としてイソシアネート基の3量化反応を促進させる触媒(以下、3量化反応促進触媒ともいう。)を主に用いるイソシアヌレート処方の場合、ポリイソシアネート化合物(I)の使用量は、前記イソシアネート指数で100〜600が好ましく、100〜300がより好ましく、110〜270がさらに好ましい。本発明においてはイソシアヌレート処方を採用することが好ましく、前記イソシアネート指数は100〜600が好ましい。
<触媒>
触媒としては、ウレタン化触媒、3量化反応促進触媒等を用いる。ウレタン化触媒のみ、3量化反応促進触媒のみ、またはウレタン化触媒と3量化反応触媒との組み合わせを用いるのが好ましく、ウレタン化触媒と3量化反応触媒との組み合わせを用いるのがより好ましい。
ウレタン化触媒としては、第3級アミンを用いるのが好ましい。
3量化反応促進触媒等としては、錫、鉛、水銀以外の金属塩または第4級アンモニウム塩を用いるのが好ましい。
第3級アミンとしては、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジメチルピペラジン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、1−ジメチルアミノプロピルイミダゾール、N−メチル−N−(N,N−ジメチルアミノエチル)エタノールアミン等の第3級アミン化合物が挙げられる。第3級アミンとしては、触媒活性に優れ、臭気が少ない等の観点から1,3,5−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、N−メチル−N−(N,N−ジメチルアミノエチル)エタノールアミンが好ましい。またスプレー法による発泡において、コストが安く、触媒活性に優れる等の点からトリエチレンジアミンが好ましく、臭気の点で水酸基を有する第3級アミン化合物(反応型アミン触媒)が好ましい。
錫、鉛、水銀以外の金属塩としては、イソシアネート基の3量化反応を促進させる酢酸カリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム、2−エチルヘキサン酸ビスマス等のカルボン酸金属塩等が好ましい。スプレー法による発泡において、コストが安く、触媒活性に優れる等の観点から、2−エチルヘキサン酸カリウムがより好ましい。
第4級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロライド等のテトラアルキルアンモニウムハロゲン化物、水酸化テトラメチルアンモニウム塩等のテトラアルキルアンモニウム水酸化物、テトラメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩、テトラメチルアンモニウム酢酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムギ酸塩、2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム2−エチルヘキサン酸塩等のテトラアルキルアンモニウム有機酸塩類、N,N,N‘,N’−テトラメチルエチレンジアミン等の第3級アミンと炭酸ジエステル類とを反応して得られる4級アンモニウム炭酸塩を、2−エチルヘキサン酸とアニオン交換反応させることで得られる4級アンモニウム化合物等が挙げられる。イソシアネート基の3量化反応を促進させる点で、テトラアルキルアンモニウム有機酸塩類が好ましい。
触媒の使用量は、組成物(P)の100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。ウレタン化触媒の使用量は、組成物(P)の100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。また、3量化反応促進触媒の使用量は、組成物(P)の100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
また、触媒の使用量を調節することで、組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)、発泡剤、整泡剤の混合の開始時から目視で反応が開始するまでの時間(クリームタイム)、発泡が終了するまでの時間(ライズタイム)を調整することができる。
<発泡剤>
本発明においては、発泡剤として水単独、あるいは水と空気または不活性ガス(二酸化炭素、窒素等)とを組み合わせて用いる。さらに低沸点の含フッ素化合物からなる群から選ばれる1種以上を併用してもよい。
前記の低沸点の含フッ素化合物としては、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルジフルオロメチルエーテル(HFE−236pc)、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−254pc)、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロプロピルメチルエーテル(HFE−347mcc)等が挙げられる。これらのうち、HFC−134a、HFC−245faおよびHFC−365mfcからなる群から選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明において、環境への配慮から特に水のみを発泡剤として使用することが好ましい。発泡剤としての水の使用量は、組成物(P)の100質量部に対し0.5〜10質量部が好ましく、0.5〜7質量部が特に好ましい。
また発泡剤としての低沸点の含フッ素化合物の使用量は、組成物(P)の100質量部に対し5〜60質量部が好ましく、10〜45質量部がより好ましい。
<整泡剤>
本発明においては良好な気泡を形成するため整泡剤を用いる。整泡剤としては例えば、シリコーン系整泡剤、含フッ素化合物系整泡剤が挙げられる。整泡剤の使用量は、適宜選定できるが、組成物(P)の100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましい。
<その他の配合剤>
本発明では、上述した組成物(P)、ポリイソシアネート化合物(I)、触媒、発泡剤、整泡剤の他に、任意の配合剤を使用できる。配合剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の充填剤;酸化防止剤、紫外線吸収剤等の老化防止剤;難燃剤、可塑剤、着色剤、抗カビ剤、破泡剤、分散剤、変色防止剤等が挙げられる。
<施工方法>
本発明の製造方法は、ポリオールシステム液の粘度が低いことが好ましいボード、注入やスプレー法等の施工方法に適用される。なかでもスプレー法に適している。スプレー法は、まず組成物(P)、発泡剤、および整泡剤、触媒等、必要に応じた配合剤を含むポリオールシステム液を調製し、該ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物(I)を含む液とを施工面に吹き付けながら反応させる発泡方法である。
スプレー法は、工事現場にて直接硬質フォームを製造することから、工事コストを抑制できる、凹凸のある施工面にも隙間なく施工できる等の長所を有している。そのためスプレー法は、建築現場において壁、天井等に硬質フォームの断熱材を施工する際に採用されることが多い。具体的な施工例としては、マンション、オフィスビル、プレハブ冷凍倉庫等の断熱材が挙げられる。特に本発明の製造方法はマンション・オフィスビル等の断熱材の施工に好適である。
スプレー法としては種々の方法が知られているが、特にポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物(I)を含む液とをミキシングヘッドで混合して発泡させるエアレススプレー発泡が好ましい。
また本発明の製造方法は、スプレー法以外の施工方法にも適用できる。特に出窓等のサッシ部分にポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物を含む液とを注入し、充填する断熱工法など、ポリオールシステム液の粘度が低いことが好ましい施工方法に適用した場合において、良好な作業性および施工性が得られるとともに、圧縮強さおよび寸法安定性に優れた硬質フォームを製造できる。
<硬質フォーム>
本発明の製造方法により製造される硬質フォームの密度(コア密度)は、15〜40kg/mが好ましい。密度は発泡剤の量により調節可能であり、発泡剤を多く用いれば軽くすることは可能であるが、発泡剤を多く用いると得られた硬質フォームが収縮しやすい傾向がある。
一般に硬質フォームに用いるポリオールは、粘度が高いことが知られている。また、軟質ポリウレタンフォームに用いるポリオールと比較して、平均官能基数が多く、数平均分子量が低いポリオールで構成される。したがって、水酸基同士が近い間隔で存在するため、水素結合性が高くなり、ポリオールの粘度を高める要因と考えられている。本発明によれば、特定のヒドロキシエーテル(B)を硬質発泡合成樹脂用減粘剤として使用することにより、適度に上記の水素結合性を緩和する作用が働き、粘度を低減できる。
また、特定のヒドロキシエーテル(B)自体がポリイソシアネート化合物(I)と反応する水酸基を有するため、得られる硬質フォームの圧縮強さも維持できる。さらに、特定のヒドロキシエーテル(B)は芳香環を有することから、硬質フォームとして重要な難燃材料としての性能を満たすことが可能となる。
本発明によれば、特定のヒドロキシエーテル(B)(硬質発泡合成樹脂用減粘剤)を組成物(P)に含有させることにより、発泡のための反応に悪影響を与えることなく、組成物(P)の粘度を低減できる。したがって、発泡剤として水を用いた場合の、ポリオールシステム液の粘度増加を抑えることができ、良好な施工性および作業性が得られる。またポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物(I)を含む液との粘度の差を小さくできるため、両者の混合性が向上し、強度および寸法安定性に優れた硬質フォームが得られる。したがって高度に低粘度であることが要求されるスプレー法により硬質フォームを良好に形成できるとともに、ハンド発泡によっても良好な硬質フォームが得られる。
またスプレー法においては、ポリオールシステム液が減粘されることにより、スプレー法でのミスト状態が細かくなり、いわゆるミストパターンが広角になる。よって、均一的な吹き付けがし易くなり、表面平滑性が良好になる。
さらに、ヒドロキシエーテル(B)が水酸基を有することでフォーム強度の低下を抑制できることができ、結果としてフォーム収縮等の問題が起こりにくい。
また、ポリオール(A)は、開始剤(S1)がマンニッヒ縮合物であるため、難燃性の向上に寄与する。ヒドロキシエーテル(B)も開始剤(S2)がベンゼン環を有しており、このことが難燃性の向上に寄与すると考えられる。
特にスプレー法においては、施工現場での溶接火花による火災事故防止や建築材料としての防火性の観点から硬質フォームの難燃性が高いことが好ましい。
なお、上記特許文献1に記載の減粘剤はジベンジルエーテルを必須とするもので、これと併用する化合物としてフェノールにEOまたはPOを付加したヒドロキシエーテルが記載されているが、ヒドロキシエーテルを単独で用いることは記載されていない。本発明は、後述の実施例に示されるように、特定のポリエーテルポリオール(A)にヒドロキシエーテル(B)を加えると、該ヒドロキシエーテル(B)を加えない場合に比べて粘度を充分に低減することができる。一方、比較例で示すように、特許文献1に記載されている減粘剤の必須成分であるジベンジルエーテルだけを特定のポリエーテルポリオール(A)に添加してスプレー法により硬質フォームを製造すると、得られた硬質フォームはフォーム内部のスコーチによる着色や強度不足による寸法安定性の悪さが発生する。これはジベンジルエーテルが樹脂骨格に入らず樹脂を可塑化させているためと考えられる。
本発明では、ヒドロキシエーテル(B)が水酸基を有するため、ポリイソシアネート化合物(I)と反応し、ウレタン結合を形成するため、フォーム内部の着色や寸法安定性の問題が発生しないと考えられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。例1〜10は実施例、例11〜12は比較例である。実施例および比較例で用いた原料は、以下のとおりである。
[ポリオール(A)]
・ポリオールA1:ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの1.4モル及びジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られたマンニッヒ縮合物を開始剤として、PO、EOをこの順序で開環付加重合させて得られた水酸基価300mgKOH/gのポリエーテルポリオール。付加させたPOとEOの合計量に対するEOの割合は60質量%である。
・ポリオールA2:ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの1.4モル及びジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られたマンニッヒ縮合物を開始剤として、PO、EOをこの順で開環付加重合させて得られた水酸基価350mgKOH/gポリエーテルポリオール。付加させたPOとEOの合計量に対するEOの割合は60質量%である。
・ポリオールA3: ノニルフェノールの1モルに対し、ホルムアルデヒドの2.2モル及びジエタノールアミンの2.2モルを反応させて得られたマンニッヒ縮合物を開始剤として、PO、EOをこの順で開環付加重合させて得られた水酸基価430mgKOH/gのポリエーテルポリオール。付加させたPOとEOの合計量に対するEOの割合は24質量%である。
[ヒドロキシエーテル(B)]
・ヒドロキシエーテルB1:m−クレゾールの1モルに対し、プロピレンオキシドの1.6モルを反応させて得られた水酸基価280mgKOH/gのヒドロキシエーテル。
・ヒドロキシエーテルB2:フェノールの1モルに対し、プロピレンオキシドの1.6モルを反応させて得られた水酸基価300mgKOH/gのヒドロキシエーテル。
・ヒドロキシエーテルB3:フェノールの1モルに対し、エチレンオキシドの1.0モルを反応させて得られた水酸基価420mgKOH/gのヒドロキシエーテル。
・ヒドロキシエーテルB4:フェノールの1モルに対し、プロピレンオキシドの3.2モルを反応させて得られた水酸基価200mgKOH/gのヒドロキシエーテル。
[ポリオール(C)]
・ポリオールC1:ジエチレングリコールとテレフタル酸とを重縮合して得られた、水酸基価200mgKOH/gのポリエステルポリオール。
[ポリオール(D)]
・ポリオールD1:グリセリンを開始剤として、EOとPOとをランダムに付加させて得られた、水酸基価50mgKOH/gのポリエーテルポリオール。付加させたPOとEOの合計量に対するEOの割合は70質量%である。ポリオールD1の全体におけるEO基の含有量は68質量%である。
・ポリオールD2:モノエタノールアミンを開始剤として、POを付加させて得られた、水酸基価350mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールD3:エチレンジアミンを開始剤として、POとEOとをこの順序で付加させて得られた、水酸基価が450mgKOH/gのポリエーテルポリオール。付加させたPOとEOの合計量に対するEOの割合は45質量%である。
[ポリマー分散ポリオール(W)]
表1に示す配合で、以下の方法によりポリマー分散ポリオールを製造した。表1における配合比の単位は「質量部」である。
ポリオール(W’)としては、前記ポリオールD1、下記ポリオールZ1、ポリオールZ2を用いた。ポリオールD1は水酸基価が84mgKOH/g以下であり、かつオキシエチレン基含量が40質量%以上であるポリエーテルポリオール(X)に該当する。
ポリマー微粒子を形成するための重合性不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリロニトリル(AN)、酢酸ビニル(Vac)、メタクリル酸メチル(MMA)を用いた。
・ポリオールZ1:グリセリンを開始剤として、POを付加して得られた、水酸基価650mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
・ポリオールZ2:エチレンジアミンを開始剤として、POを付加させて得られた、水酸基価が760mgKOH/gのポリエーテルポリオール。
(ポリマー分散ポリオールW1の製造例1)
5L加圧反応槽に、表1に示した配合でポリオール(W’)、モノマー、および重合開始剤としてのAMBNを全て仕込んだ後、撹拌しながら昇温を開始し、反応液を80℃に保ちながら10時間反応させた。モノマーの反応率は80%以上を示した。反応終了後、110℃、20Paで2時間加熱減圧脱気して未反応モノマーを除去し、ポリマー分散ポリオールW1を製造した。
得られたポリマー分散ポリオールW1の水酸基価、25℃における粘度、およびW1中のポリマー微粒子の含有量を表1に示す(以下、同様。)。
[ポリマー分散ポリオールW2及びW3の製造例2、3]
5L加圧反応槽に、表1に示したポリオール(W’)の混合物のうちの70質量%を仕込み、120℃に保ちながら、残りのポリオール(W’)の混合物とモノマーとAMBNとの混合物を撹拌しながら2時間かけてフィードし、全フィード終了後同温度下で約0.5時間撹拌を続けた。製造例2、3のいずれにおいても、モノマーの反応率は80%以上を示した。反応終了後、未反応モノマーを120℃、20Paで2時間加熱減圧脱気にて除去し、ポリマー分散ポリオールW2及びW3を製造した。
Figure 0005977479
[例1〜12:硬質フォームの製造]
表2に示す配合のポリオール(A)、ポリオール(C)、ポリオール(D)、ヒドロキシルエーテル(B)、ポリマー分散ポリオール(W)の混合物、および発泡剤としての水に、下記触媒、下記整泡剤の1.0質量部、および下記難燃剤の40質量部を添加、混合してポリオールシステム液とした。発泡剤としては水のみを用いた。触媒の使用量は、表2に示す通りである。
また、例12においては減粘剤として公知のジベンジルエーテルを添加した。
表2に示す配合比の単位は「質量部」である。
表2には、組成物(P)中におけるポリオール(A)、ポリオール(B)の含有率(単位:質量%)、および組成物(P)全体の水酸基価(単位:mgKOH/g)及びポリオールシステム液の25℃における粘度(単位:mPa・s)を示す。
・減粘剤(比較):ジベンジルエーテル(純正化学社製)。
・難燃剤:トリスクロロプロピルフォスフェート(商品名:ファイロールPCF、スプレスタジャパン社製)。
・整泡剤:シリコーン系整泡剤(商品名:SH−193、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)。
・触媒A:ウレタン化触媒、反応型アミン触媒(商品名:TOYOCAT RX7、東ソー社製)。
・触媒B:ウレタン化触媒、ジプロピレングリコールで希釈したトリエチレンジアミンの33%溶液(商品名:TEDA L33、東ソー社製)。
・触媒C:3量化反応促進触媒、第4級アンモニウム塩とエチレングリコールの混合物(商品名:TOYOCAT-TRX、東ソー社製)。
以下の試験において、硬質フォームの製造に用いるポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物(I)の使用量は、体績比で1/1とした。このときのポリイソシアネート化合物(I)の使用量(単位:質量部)およびイソシアネート指数を表2に示す。
ポリイソシアネート化合物(I)としてはポリメリックMDI(MDIとクルードMDIの混合物、商品名:コロネート1130、日本ポリウレタン工業社製、25℃における粘度:130mPa・s)を用いた。
[ハンド発泡試験]
前記ポリオールシステム液に対して、ポリイソシアネート化合物(I)を、容積比が1/1となる量を用いた。前記ポリオールシステム液と該ポリイソシアネート化合物(I)とを10℃に調整し、ポリエチレン製カップ中に手早く投入し、回転数3,000回転/分で3秒間撹拌し、カップ中で発泡させた。
こうして得られる硬質ポリウレタンフォームの反応性、コア密度を測定し、表3に表記した。ただし、各評価は次のとおりに求めた。
(評価方法)
以下の方法で評価を行った。結果を表3に示す。
反応性:ポリオールシステム液とポリイソシアネート化合物との混合開始時刻を0秒とし、混合液が泡立ちを始めるまでの時間をクリームタイム(秒)、混合液が発泡し始め、フォームの上昇が停止する時間をライズタイム(秒)とした。
コア密度:得られた硬質ポリウレタンフォームのコア部を、縦80mm×横80mm×厚み80mmの立方体に切断し、重量と体積から密度(単位:kg/m)を算出した。
[スプレー法試験]
ハンド発泡と同様の前記ポリオールシステム液と、ポリイソシアネート化合物(I)をガスマー社製スプレー発泡機(商品名:FF−1600)を用いて、液温40℃、室温20℃の条件下で、発泡、反応させて硬質フォームを製造した。
ポリオールシステム液と、前記ポリイソシアネートとの吐出体績比は1/1とした。
施工する基材は、縦が600mm、横が600mm、厚さが5mmのフレキシブル板を用いて、これに対して、吹き付け施工を行った。
吹き付け施工は、厚さ1mmの下吹き層を施工した後に、一層の厚さが25〜30mmとなるように2層吹き付け施工し、合計で3層積層した。
(評価方法)
以下の方法で評価を行った。結果を表3に示す。
混合性:吹き付け直後のフォームを観察し、セルと色相の均一性を目視にて確認した。
評価は以下の通り、3段階評価とした。
3:セルが均一で混合斑がなく、色相が均一な状態。
2:セルの不均一、または混合斑のいずれか一方が確認される状態。
1:セルが不均一であり、かつ混合斑が確認され、色相が不均一な状態。
フォーム内部の状態:施工したフォームの端部をカットし、断面の状態を確認した。
フォーム内部にスコーチ等による着色や割れなどの不良部分があれば×(不良)とし、良好であれば○(良)と評価した。
コア密度・圧縮強さ:前記スプレー法試験で得られた硬質フォームのコア密度及び圧縮強さを、JIS A 9526に準拠して測定した。
高温での寸法変化率(高温での寸法安定性):100mm×100mm×40mmの直方体に切り出した硬質フォームを、70℃、95%RHの環境下に保持し、24時間経過後に、発泡方向に対して垂直方向の寸法変化率を測定した。
難燃性試験:前記スプレー法試験で得られたサンプルをフレキシブル板も含め、厚み20mmとなるようカットし、ISO5660に準拠したコーンカロリーメータ(型式:CONE III)、東洋精機社製)による難燃性試験を実施した。
表3において、HRRは最大発熱速度を示し、THRは総発熱量を示す。ISO5660では、難燃材料の基準である5分間の試験において、HRRが200kW/mを超える状態が、10秒間を超えて継続することがなく、THRが8MJ/m以下であり、かつ防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴がないものが合格となる。亀裂及び貫通については目視による外観で評価し、亀裂及び貫通孔のいずれも無いものは○(良)、亀裂または貫通孔の少なくとも一方があるものは×(不良)とした。
Figure 0005977479
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表2、3に示されるように、実施例である例1〜10においては、ポリオールシステム液の粘度が低減できた。また、スプレー法における混合性において良好な結果が得られ、圧縮強さと高温での寸法安定性、難燃性試験においても良好な結果が得られた。またハンド発泡でも良好な硬質フォームが得られた。
これに対して、ヒドロキシエーテル(B)を用いなかった例11においては、25℃におけるポリオールシステム液の粘度が440mPa・sと高くなり、スプレー法における混合性で不良が発生し、それに伴い、圧縮強さの低下及び高温での寸法安定性も悪化した。また、難燃性試験における最大発熱速度が200kW/mを超える時間が28秒となり、すなわちHRRが200kW/m以上を10秒間以上継続したのでで、難燃材料として不合格になった。ヒドロキシエーテル(B)に代えて公知の減粘剤を用いた例12においては、25℃におけるポリオールシステム液の粘度が240mPa・sと低くなり、スプレー法では、混合性は良好であったが、可塑性が高いため、圧縮強さが低下し、高温での寸法安定性も悪化した。また、フォーム内部の状態観察では、減粘剤が反応性の水酸基をもたず、耐熱性が低下するため、フォーム中心部に褐色の着色部も確認された。一方、実施例である例1〜10では、ヒドロキシエーテル(B)が反応性の水酸基を含むため、公知の減粘剤と比較し、耐熱性が向上したものと考えることができる。
本発明によれば、スプレー法で発泡させて多層の硬質フォームからなる高断熱層を好適に形成でき、建築、建設、住宅用途に適用することができる。

Claims (8)

  1. フェノール類、アルデヒド類、およびアルカノールアミン類を反応させて得られるマンニッヒ縮合物からなる開始剤(S1)にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基価が200〜500mgKOH/gのポリエーテルポリオール(A)、およびフェノール類からなる開始剤(S2)にアルキレンオキシドを開環付加させて得られる、水酸基価が50〜500mgKOH/gのヒドロキシエーテル(B)を含むことを特徴とする硬質発泡合成樹脂用組成物(P)。
  2. さらに、多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合して得られる、水酸基価が100〜400mgKOH/gのポリエステルポリオール(C)を含む、請求項1に記載の硬質発泡合成樹脂用組成物(P)。
  3. フェノール類、アルデヒド類、およびアルカノールアミン類を反応させて得られるマンニッヒ縮合物からなる開始剤(S1)にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基価が200〜500mgKOH/gのポリエーテルポリオール(A)、およびフェノール類からなる開始剤(S2)にアルキレンオキシドを開環付加させて得られる、水酸基価が50〜500mgKOH/gのヒドロキシエーテル(B)、およびポリマー分散ポリオールを含む硬質発泡合成樹脂用組成物(P)の製造方法であって、
    前記ポリマー分散ポリオールを、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、および末端に水酸基を有する炭化水素系ポリマーからなる群から選ばれる1種以上のポリオール(W’)中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させてポリマー粒子を析出させて得る、または溶媒中で重合性不飽和結合を有するモノマーを重合させてポリマー微粒子を析出させた後、前記ポリオール(W’)と溶媒を置換して得る、硬質発泡合成樹脂用組成物(P)の製造方法
  4. 前記硬質発泡合成樹脂用組成物(P)が、さらに、多価カルボン酸と多価アルコールを重縮合して得られる、水酸基価が100〜400mgKOH/gのポリエステルポリオール(C)を含む、請求項3に記載の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載の硬質発泡合成樹脂用組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)とを、水を含む発泡剤、整泡剤および触媒の存在下で反応させて硬質発泡合成樹脂を製造することを特徴とする硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  6. 請求項3または4に記載の方法で硬質発泡合成樹脂用組成物(P)を得て、該硬質発泡合成樹脂用組成物(P)とポリイソシアネート化合物(I)とを、水を含む発泡剤、整泡剤および触媒の存在下で反応させる硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  7. 発泡剤として水を単独で用いる、請求項5または6に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
  8. スプレー法を用いる、請求項5〜7のいずれか一項に記載の硬質発泡合成樹脂の製造方法。
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