JP5977190B2 - 表面改質部材およびその製造方法、並びにマイクロ流路装置およびその製造方法 - Google Patents

表面改質部材およびその製造方法、並びにマイクロ流路装置およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、表面に改質層を備える表面改質部材およびその製造方法に関する。また、本発明は、微細な流路を備えるマイクロ流路装置およびその製造方法に関する。
一つの基板に微細な流路、ポンプ、反応室などを集積したマイクロ・トータル・アナリシス・システム(μTAS)が、医療分野における検査や診断の手段、化学分野における合成や分析の手段として、注目を集めている。例えば、基板内に微細な流路が形成されたマイクロ流路装置によると、反応、抽出、分離、測定などの各種操作を、極めて少量の試料で短時間に行うことができる。基板の材料としては、ガラスや樹脂が知られている。なかでも、シリコーンゴムは、微細加工が容易であり、光透過性、耐薬品性に優れるという理由から、有用である。
特開2006−205055号公報 特開2006−292472号公報 特公昭61−36783号公報 国際公開第2010/032728号
シリコーンゴム製の基板は、水に対する親和性が低い。このため、流路に水を含む液体を流した場合、流れ性の悪さから、所望の操作を正確に行えないおそれがある。また、試薬や検体液中の物質が、流路の表面に吸着されるおそれもある。この場合、吸着物により流路が狭まる他、試薬などのロスにより、分析精度が低下してしまう。したがって、流路表面を親水化することが必要になる。
例えば、特許文献1には、基板に形成された流路に誘電体を介して一対の電極を配置して、電極間に高周波電圧を印加して生成したプラズマを流路内へ供給することにより、流路表面を親水化する方法が、開示されている。また、特許文献2には、親水性ポリマーなどを含む溶液を流路に流すことにより、流路表面をブロッキング処理する方法が開示されている。
特許文献1の方法においては、流路表面に水酸基やアミノ基を生成して、親水化する。しかし、親水性は充分とは言えない。また、親水化処理直後は親水性を示すものの、時間の経過と共に親水性が失われ、疎水性に戻ってしまう。同様に、特許文献2の方法においても、親水性が持続しにくい。また、特許文献2の方法においては、流路を形成した後に溶液を流して親水化処理を行う。このため、流路表面に形成される膜厚の制御が難しい。例えば、膜厚が大きくなると、その分、流路体積が減少するため、分析などの正確性が低下する。
一方、マイクロ流路装置以外にも、水との親和性が低い材料から製造された部材に対して、親水性を付与したい場合がある。例えば、特許文献3には、シリコーン樹脂成形品を親水化する方法として、低温プラズマに曝した後、界面活性剤含有水溶液で処理する方法が開示されている。しかし、この方法によると、処理が煩雑であり、親水性も持続しにくい。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、親水性が高く、かつ、その親水性が長期間持続する改質層を備える表面改質部材、およびその製造方法を提供することを課題とする。また、流路の親水性が高く、かつ、その親水性が長期間持続するマイクロ流路装置、およびその製造方法を提供することを課題とする。
(1)上記課題を解決するため、本発明の表面改質部材は、部材本体と、該部材本体の表面に配置され親水性を有する改質層と、を備え、該改質層は、C−N結合およびC=O結合を有することを特徴とする。
本発明の表面改質部材は、表面に親水性を有する改質層を有する。改質層は、C−N結合およびC=O結合を有する。C−N結合だけでなくC=O結合も有するため、水酸基やアミノ基を有する従来の親水化処理層とは異なり、親水性が高く、かつ、その持続性も高い。よって、本発明の表面改質部材によると、時間が経過しても、改質層において高い親水性が維持される。なお、C−N結合およびC=O結合は、別々に存在してもよく、アミド結合(O=C−N)の形態で存在してもよい。
改質層におけるC−N結合およびC=O結合の有無については、X線光電子分光測定を行い、C1s準位スペクトルのピーク強度から判断すればよい(後述する(3)の構成のマイクロ流路装置においても同様)。C1s準位スペクトルにおいて、C=O結合に起因するピークは288eVの位置に現れ、C−N結合に起因するピークは286eVの位置に現れる。
(2)本発明の表面改質部材の製造方法は、上記(1)の構成の表面改質部材の製造方法であって、前記部材本体の表面を、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理して、前記改質層を形成する改質層形成工程を有することを特徴とする。
部材本体の表面を、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理すると、C−N結合およびC=O結合を有する改質層を形成することができる。したがって、本発明の製造方法によると、上記本発明の表面改質部材を、容易かつ短時間に、製造することができる。また、表面を親水性ポリマーなどで被覆する方法では実現しにくい、ナノメートルオーダーの厚さの改質層を形成することができる。また、形成される改質層は透明に近く、光透過性に優れる。
(3)本発明のマイクロ流路装置は、シリコーンゴム製の本体部と、該本体部の内部に配置される流路と、を備えるマイクロ流路装置であって、該流路の表面には、C−N結合およびC=O結合を有する親水性の改質層が配置されることを特徴とする。
本発明のマイクロ流路装置は、表面に親水性の改質層が形成された流路を備える。改質層は、C−N結合およびC=O結合を有する。C−N結合だけでなくC=O結合も有するため、水酸基やアミノ基を有する従来の流路とは異なり、流路の親水性が高く、かつ、その親水性が持続する。なお、C−N結合およびC=O結合は、別々に存在してもよく、アミド結合(O=C−N)の形態で存在してもよい。
流路の表面に改質層が形成されているため、本発明のマイクロ流路装置においては、本体部がシリコーンゴム製であっても、水を含む液体が流路を流れやすい。したがって、所望の操作を正確に行うことができる。また、試薬や検体液中の物質が、流路表面に吸着しにくい。これにより、流路の狭小化が抑制され、試薬などのロスも低減される。その結果、分析精度が向上する。
(4)本発明のマイクロ流路装置の製造方法は、二つのシート部材を積層して前記本体部を構成する上記(3)の構成のマイクロ流路装置の製造方法であって、シリコーンゴム製の第一シート部材と、該第一シート部材との接合面に凹設された溝部を有するシリコーンゴム製の第二シート部材と、を準備するシート部材準備工程と、該第二シート部材を窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理することにより、該接合面および該溝部にC−N結合およびC=O結合を有する親水性の改質層を形成する改質層形成工程と、該改質層が形成された該溝部をマスクするマスキング工程と、該第二シート部材をプラズマ処理することにより、該接合面の該改質層を除去する改質層除去工程と、該溝部の該マスクを除去するマスク除去工程と、該第二シート部材の該接合面に該第一シート部材を重ね合わせて、該第一シート部材と該第二シート部材とを接着する接着工程と、を有することを特徴とする。
本発明のマイクロ流路装置の製造方法によると、まず、第二シート部材の接合面よび溝部に改質層を形成し(改質層形成工程)、その後、第二シート部材の接合面に形成された改質層のみを除去する(改質層除去工程)。こうすることにより、第二シート部材の溝部のみを親水化することができる。そして、第一シート部材と第二シート部材とを積層させることにより、親水化された流路を備える上記本発明のマイクロ流路装置を、製造することができる。
上述したように、窒素およびアミンを含むガスを用いたプラズマ処理により、C−N結合およびC=O結合を有する改質層を、容易かつ短時間に形成することができる。また、表面を親水性ポリマーなどで被覆する方法では実現しにくい、ナノメートルオーダーの厚さの改質層を形成することができる。このため、断面積が250μm以下という極めて微細な流路においても、流路を狭めることなく、親水化することができる。また、形成される改質層は、透明に近く、光透過性に優れる。このため、本発明の製造方法により製造されたマイクロ流路装置は、光学検査などの用途にも好適に使用することができる。
本発明の表面改質部材の一実施形態の斜視図である。 マイクロ波プラズマ処理装置の前後方向断面図である。 同マイクロ波プラズマ処理装置におけるプラズマ生成部の斜視図である。 本発明のマイクロ流路装置の一実施形態の平面図を示す。 図4のV−V断面図である。 シート部材準備工程における第一シート部材および第二シート部材の断面図である。 改質層形成工程における第二シート部材の断面図である。 マスキング工程における第二シート部材の断面図である。 改質層除去工程における第二シート部材の断面図である。 マスク除去工程における第二シート部材の断面図である。 接着工程における第一シート部材および第二シート部材の断面図である。 X線光電子分光測定により得られたC1s準位スペクトルである。 水接触角の経時変化を示すグラフである。
以下にまず、本発明の表面改質部材およびその製造方法の実施の形態について説明する。次に、本発明のマイクロ流路装置およびその製造方法の実施の形態について説明する。
<表面改質部材>
表面改質部材は、部材本体と、該部材本体の表面に配置され親水性を有する改質層と、を備える。部材本体の形状、材質は特に限定されない。例えば、樹脂やエラストマーなどから適宜選択すればよい。部材本体を、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの疎水性の材料から形成した場合には、改質層が配置された部分とそれ以外の部分とにおいて、水に対する親和性の違いが大きくなる。これにより、親水性を示す部分と疎水性を示す部分との両方を具備する部材を、実現することができる。
改質層は、C−N結合およびC=O結合を有する。上述したように、C−N結合およびC=O結合の有無については、X線光電子分光測定によるC1s準位スペクトルのピーク強度から判断すればよい。なお、C1s準位スペクトルにおいては、測定状態などにより、ピーク強度の絶対値が変化しやすい。このため、X線光電子分光測定により、C、N、O、F、Siの定量分析を行うことが望ましい。定量分析において、C、N、O、F、SiのうちのN原子の含有割合(NAC)と、O原子の含有割合(OAC)と、を算出し、両者の比(NAC/OAC)が0.60以上であることが望ましい。NAC/OACが1.00以上であると、より好適である。この場合、親水性をより高くすることができ、かつ、その持続性をより高めることができる。
改質層の親水性については、例えば、水接触角の値により判断することができる。水接触角は、JIS R3257:1999に準じて測定すればよい。水接触角が50°以下の場合には、親水性が高いと判断することができる。水接触角が30°以下、さらには20°以下であると、より好適である。
図1に、本発明の表面改質部材の一実施形態の斜視図を示す。図1においては、透過した部位を細線で示す。図1に示すように、表面改質部材10は、部材本体11と、改質層12と、を備えている。部材本体11は、シリコーンゴム製であり、長方形板状を呈している。部材本体11の上面には、溝部110が凹設されている。溝部110は、左右方向に伸びる直線状を呈している。改質層12は、溝部110の表面を被覆するように配置されている。改質層12の厚さは、30nm以下である。改質層12は、C−N結合およびC=O結合を有している。改質層12におけるNAC/OACは、1.32である。改質層12の水接触角は、4.2°である。したがって、表面改質部材10によると、溝部110は親水性を示し、それ以外の部材本体11の表面は疎水性を示す。
<表面改質部材の製造方法>
上記本発明の表面改質部材を製造するための本発明の表面改質部材の製造方法は、部材本体の表面を、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理して、改質層を形成する改質層形成工程を有する。
プラズマの発生方法は、特に限定されない。例えば、高周波(RF)電源を用いたRFプラズマや、マイクロ波電源を用いたマイクロ波プラズマなどを採用すればよい。プラズマ処理に用いるガス種としては、原料ガスとして、窒素(N)およびアミンを用いる。アミンとしては、エチレンジアミン(EDA)、ジエチルアミン、アンモニアなどが挙げられる。また、原料ガスの他、キャリアガスとしては、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの希ガスを用いればよい。
以下に、プラズマ処理の一実施形態として、マイクロ波プラズマ処理の実施の形態を説明する。まず、本実施形態のマイクロ波プラズマ処理装置の構成を説明する。図2に、本実施形態のマイクロ波プラズマ処理装置の前後方向断面図を示す。図3に、同マイクロ波プラズマ処理装置におけるプラズマ生成部の斜視図を示す。図2に示すように、マイクロ波プラズマ処理装置2は、チャンバー8と、支持台85と、マイクロ波プラズマ照射手段4と、を備えている。
チャンバー8は、アルミニウム製であって、直方体箱状を呈している。チャンバー8の左壁には、キャリアガス供給孔と、二つの原料ガス供給孔と、が穿設されている。キャリアガス供給孔には、アルゴンガスをチャンバー8内に供給するためのアルゴンガス供給管の下流端が接続されている。二つの原料ガス供給孔のうち、一方は窒素ガス供給孔であり、他方はエチレンジアミンガス供給孔である。窒素ガス供給孔には、窒素ガスをチャンバー8内に供給するための窒素ガス供給管の下流端が接続されている。エチレンジアミンガス供給孔には、エチレンジアミンガスをチャンバー8内に供給するためのエチレンジアミンガス供給管の下流端が接続されている。チャンバー8の下壁には、排気孔が穿設されている。排気孔には、チャンバー8の内部のガスを排出するための真空排気装置が接続されている。チャンバー8の後壁には、導波孔が穿設されている。導波孔には、マイクロ波プラズマ照射手段4の管体部51の下流端が、挿通されている。
支持台85は、ステンレス鋼製であって、長方形板状を呈している。支持台85の前面には、左右方向(紙面手前から奥方向)に一対の脚部850が配置されている。一対の脚部850は、各々、ステンレス鋼製であって、円柱状を呈している。一対の脚部850の外周面は、絶縁層で被覆されている。支持台85は、一対の脚部850を介して、チャンバー8の前壁に取り付けられている。
支持台85の後面には、被処理物(本実施形態においては、前出図1に示した部材本体11)が配置されている。部材本体11は、溝部110が凹設されている面が、チャンバー8の後壁に設置されているプラズマ生成部40に対向するように、配置されている。
マイクロ波プラズマ照射手段4は、プラズマ生成部40と、マイクロ波伝送部50と、を備えている。マイクロ波伝送部50は、管体部51と、マイクロ波電源52と、マイクロ波発振器53と、アイソレータ54と、パワーモニタ55と、EH整合器56と、を有している。マイクロ波発振器53、アイソレータ54、パワーモニタ55、およびEH整合器56は、管体部51により連結されている。管体部51は、チャンバー8の後壁に穿設された導波孔を通って、プラズマ生成部40の導波管41の後側に接続されている。
図2および図3に示すように、プラズマ生成部40は、導波管41と、誘電体部43と、誘電体部固定板44と、を有している。導波管41は、アルミニウム製であって、断面矩形の長尺管状を呈している。導波管41は、左右方向に延在している。導波管41の前面には、スロットアンテナ42が配置されている。スロットアンテナ42は、アルミニウム製であって、長方形板状を呈している。スロットアンテナ42は、導波管41の前壁を形成している。スロットアンテナ42は、導波管41のH面に配置されている。スロットアンテナ42には、スロット420が四つ形成されている。スロット420は、左右方向に伸びる長孔状を呈している。スロット420は、電界が強い位置に配置されている。導波管41は、本発明における矩形導波管に含まれる。
誘電体部43は、石英製であって、直方体状を呈している。誘電体部43は、スロットアンテナ42の上面前側に配置されている。誘電体部43は、スロット420を上方から覆っている。誘電体部43の前面430は、本発明におけるプラズマ生成面に含まれる。
誘電体部固定板44は、ステンレス鋼製であって、平板状を呈している。誘電体部固定板44は、スロットアンテナ42の上面後側に配置されている。誘電体部固定板44は、誘電体部43を後方から支持している。
次に、マイクロ波プラズマ処理方法について説明する。まず、真空排気装置を作動させて、チャンバー8の内部のガスを排出し、チャンバー8の内部を減圧状態にする。次に、キャリアガスのアルゴンガスをチャンバー8内へ供給する。続いて、原料ガスの窒素ガスおよびエチレンジアミンガスをチャンバー8内へ供給する。これにより、チャンバー8内の圧力を、6Paにする。それから、マイクロ波電源52をオンにする。マイクロ波電源52をオンにすると、マイクロ波発振器53が周波数2.45GHzのマイクロ波を発生する。発生したマイクロ波は、管体部51内を伝播する。ここで、アイソレータ54は、プラズマ生成部40から反射されたマイクロ波が、マイクロ波発振器53に戻るのを抑制する。パワーモニタ55は、発生したマイクロ波の出力と、反射したマイクロ波の出力と、をモニタリングする。EH整合器56は、マイクロ波の反射量を調整する。
管体部51内を通過したマイクロ波は、導波管41の内部を伝播する。導波管41の内部を伝播するマイクロ波は、スロットアンテナ42のスロット420に進入する。そして、図3中白抜き矢印Y1で示すように、スロット420を通過して、誘電体部43に入射する。誘電体部43に入射したマイクロ波は、同図中白抜き矢印Y2で示すように、主に誘電体部43の前面430に沿って伝播する。このマイクロ波の強電界により、チャンバー8内のガスが電離して、誘電体部43の前方にマイクロ波プラズマP1が生成される。このようにして、部材本体11にマイクロ波プラズマP1を照射することにより、部材本体11の溝部110を含む後面に、C−N結合およびC=O結合を有する改質層が形成される。
以上、マイクロ波プラズマ処理の実施の形態について説明した。しかしながら、マイクロ波プラズマ処理の実施の形態は、上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
例えば、上記実施形態のマイクロ波プラズマ処理装置において、チャンバーや支持台の材質や形状については、特に限定されない。また、プラズマ生成部の構成も、特に限定されない。上記実施形態においては、誘電体部のプラズマ生成面と、誘電体部に入射するマイクロ波の入射方向と、を平行にした。しかし、例えば、誘電体部のプラズマ生成面に直交するように、マイクロ波を入射させてもよい。なお、本実施形態のように、生成したマイクロ波プラズマに沿うようにマイクロ波を入射させると、マイクロ波がマイクロ波プラズマに伝播しやすくなる。このため、生成されるマイクロ波プラズマのエネルギーが、大きくなる。したがって、例えば1Pa以下の低圧下であっても、安定したプラズマを生成することができる。これにより、不純物の混入を抑制して、純度の高い改質層を形成することができる。
スロットアンテナの材質、スロットの数、形状、配置なども、特に限定されない。例えば、スロットは、一列、二列の他、三列以上に配置されていてもよい。スロットの数は、奇数個でも偶数個でもよい。また、スロットの配置角度を変えて、ジグザグ状に配置してもよい。誘電体部の材質、形状についても、特に限定されない。誘電体部の材質としては、誘電率が低く、マイクロ波を吸収しにくい材料が望ましい。例えば、石英の他、酸化アルミニウム(アルミナ)などが好適である。マイクロ波の周波数も特に限定されない。8.35GHz、1.98GHz、915MHzなどであってもよい。
上記実施形態においては、長尺状の矩形導波管を用いて、長手方向にスロットを配置することにより、長尺状のプラズマを生成させた。これにより、広範囲に亘って改質層を形成することができるため、生産性が高い。また、マイクロ波プラズマを用いると、改質層におけるC−N結合が切断されにくい。このため、例えばRFプラズマを用いた場合と比較して、原料ガスのアミン量を少なくしても、所望の親水性を有する改質層を形成することができる。
また、前出図1に示した表面改質部材10のように、表面の一部(溝部110)にのみ改質層12を形成したい場合には、改質層形成工程の後、さらに、プラズマ処理を行って、形成された改質層のうち不要な改質層を除去すればよい。すなわち、本発明の表面改質部材の製造方法を、改質層形成工程の後、さらにプラズマ処理を行うことにより、形成された改質層のうち不要な改質層を除去する改質層除去工程を有するよう、構成すればよい。
改質層除去工程においては、例えば、残したい改質層をマスクして、プラズマ処理を行えばよい。マスキングの方法は、特に限定されない。例えば、金属、ガラスなどで被覆する方法、フォトレジストなどを用いてパターニングする方法などが挙げられる。また、表面に凹設された部位をマスクする場合には、当該部位に液体を注入して行うことができる。液体としては、シランカップリング剤、エタノール、水、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノールなどが挙げられる。なかでも、プラズマ処理後に除去しやすいという理由から、エタノールなどの揮発性溶剤を含むことが望ましい。
本工程においても、プラズマ処理の方法は、特に限定されない。例えば、RFプラズマやマイクロ波プラズマなどを用いればよい。また、先の改質層形成工程におけるプラズマ処理の方法と、同じでも異なっていてもよい。プラズマ処理は、アルゴン、窒素、酸素などを含むガス雰囲気で、1〜100Pa程度の圧力下で行えばよい。マイクロ波プラズマを用いる場合には、先の改質層形成工程と同様、前出図2、図3に示したマイクロ波プラズマ処理装置2を用いることが望ましい。
本構成の製造方法によると、まず、部材本体11の溝部110を含む上面全体に改質層を形成した後、溝部110を除いた上面の改質層を除去することにより、溝部110のみに改質層12が形成された表面改質部材10を、容易かつ短時間に製造することができる(前出図1参照)。
<マイクロ流路装置>
以下に、本発明のマイクロ流路装置の一実施形態を説明する。図4に、本実施形態のマイクロ流路装置の平面図を示す。図5に、図4のV−V断面図を示す。図4においては、透過した部位を細線で示す。
図4、図5に示すように、マイクロ流路装置6は、本体部60と、流路63と、を備えている。本体部60は、第一シート部材61と、第二シート部材62と、からなる。第一シート部材61は、シリコーンゴム製であり、長方形板状を呈している。第一シート部材61は、一対の孔部610a、610bを有している。一対の孔部610a、610bは、各々、円筒形状を呈しており、第一シート部材61を上下方向に貫通している。
第二シート部材62は、シリコーンゴム製であり、長方形板状を呈している。第二シート部材62の上面、すなわち第一シート部材との接合面には、流路63が凹設されている。流路63は、左右方向に延びる直線状を呈している。流路63の幅は40μm、深さは20μmである。流路63の表面には、改質層64が配置されている。改質層64の厚さは、30nm以下である。改質層64は、C−N結合およびC=O結合を有している。改質層64におけるNAC/OACは、1.32である。改質層64の水接触角は、4.2°である。すなわち、改質層64は、親水性に優れる。
第一シート部材61の孔部610aの下端開口は、流路63の左端部に連なっている。第一シート部材61の孔部610bの下端開口は、流路63の右端部に連なっている。試料などの液体は、孔部610a、610bの一方から注入され、流路63を流動し、孔部610a、610bの他方から取り出される。
マイクロ流路装置6は、表面が親水性の改質層64で覆われた流路63を備える。改質層64は、C−N結合およびC=O結合を有する。このため、水酸基やアミノ基を有する従来の流路とは異なり、流路63の親水性が高く、かつ、その親水性が持続する。このため、マイクロ流路装置6においては、本体部60がシリコーンゴム製であっても、水を含む液体が流路63を流れやすい。したがって、所望の操作を正確に行うことができる。また、試薬や検体液中の物質が、流路63の表面に吸着しにくい。これにより、流路63の狭小化が抑制され、試薬などのロスも低減される。その結果、分析精度が向上する。
本発明のマイクロ流路装置においても、上述した本発明の表面改質部材と同様に、改質層のX線光電子分光測定によるC、N、O、F、Siの定量分析において、C、N、O、F、SiのうちのN原子の含有割合(NAC)と、O原子の含有割合(OAC)との比(NAC/OAC)が0.60以上であることが望ましい。NAC/OACが1.00以上であると、より好適である。また、改質層の水接触角は、50°以下、30°以下、さらには20°以下であることが望ましい。
<マイクロ流路装置の製造方法>
本発明のマイクロ流路装置の製造方法は、二つのシート部材を積層して本体部が構成される上記本発明のマイクロ流路装置の製造方法であって、シート部材準備工程と、改質層形成工程と、マスキング工程と、改質層除去工程と、マスク除去工程と、接着工程と、を有する。以下、本発明のマイクロ流路装置の製造方法の一実施形態として、上記実施形態のマイクロ流路装置を製造する方法を説明する。
(1)シート部材準備工程
本工程は、シリコーンゴム製の第一シート部材と、該第一シート部材との接合面に凹設された溝部を有するシリコーンゴム製の第二シート部材と、を準備する工程である。図6に、本工程における第一シート部材および第二シート部材の断面図を示す。図6中、図5と対応する部材については、同じ符合で示す。
図6に示すように、第一シート部材61は、一対の孔部610a、610bを有している。一対の孔部610a、610bは、各々、円筒形状を呈しており、第一シート部材61を上下方向に貫通している。第二シート部材65は、第一シート部材61が積層される接合面650を有している。接合面650には、溝部651が凹設されている。溝部651は、左右方向に延びる直線状を呈している。溝部651の幅は40μm、深さは20μmである。
(2)改質層形成工程
本工程は、第二シート部材を、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理することにより、第二シート部材の接合面および溝部に、C−N結合およびC=O結合を有する親水性の改質層を形成する工程である。図7に、本工程における第二シート部材の断面図を示す。
図7に示すように、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中で、第二シート部材65の上面にプラズマPを照射する。こうすることにより、第二シート部材65の接合面650および溝部651の表面に、C−N結合およびC=O結合を有する改質層64を形成する。
プラズマ処理の方法は、特に限定されない。例えば、RFプラズマやマイクロ波プラズマなどを用いればよい。プラズマ処理には、原料ガスとして、窒素およびアミンを用いる。マイクロ波プラズマを用いると、改質層におけるC−N結合が切断されにくい。このため、原料ガスのアミン量を少なくしても、所望の親水性を有する改質層を形成することができる。アミンとしては、エチレンジアミン、ジエチルアミン、アンモニアなどが挙げられる。また、原料ガスの他、キャリアガスとしては、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノンなどの希ガスを用いればよい。プラズマ処理の圧力は、1〜100Pa程度にすればよい。
マイクロ波プラズマを用いる場合、プラズマ生成部の構成は、特に限定されない。例えば、マイクロ波を伝送し、該マイクロ波が通過するスロットが形成されたスロットアンテナを有する矩形導波管と、該スロットを覆うように配置され、該スロットを通過して入射する該マイクロ波の入射方向に平行なプラズマ生成面を有する誘電体部と、を備えるマイクロ波プラズマ処理装置を用いて行うことが望ましい。当該構成のマイクロ波プラズマ処理装置の実施形態は、前出図2、図3に示した通りである。この場合、支持台85の後面に、第二シート部材65を配置すればよい。
(3)マスキング工程
本工程は、改質層が形成された溝部をマスクする工程である。図8に、本工程における第二シート部材の断面図を示す。
図8に示すように、第二シート部材65の溝部651に、液体67を注入する。液体67は、エタノールである。これにより、溝部651における改質層64の表面のみをマスクすることができる。
マスキングの方法は、特に限定されない。微細な溝部のみを容易にマスキングできるという理由から、本実施形態のように、溝部に液体を注入して行うことが望ましい。液体としては、エタノールの他、シランカップリング剤、水、IPA、メタノールなどが挙げられる。なかでも、後のマスク除去工程において除去しやすいという理由から、エタノールなどの揮発性溶剤を含むことが望ましい。
(4)改質層除去工程
本工程は、第二シート部材をプラズマ処理することにより、接合面の該改質層を除去する工程である。図9に、本工程における第二シート部材の断面図を示す。
図9に示すように、溝部651に液体67が充填された状態で、改質層64が形成された接合面650にプラズマPを照射する。すると、接合面650に形成されていた改質層64は除去される。一方、溝部651に形成されている改質層64は、液体67によるマスキング効果により、保持される。
本工程におけるプラズマ処理の方法は、特に限定されない。例えば、RFプラズマやマイクロ波プラズマなどを用いればよい。また、先の改質層形成工程におけるプラズマ処理の方法と、同じでも異なっていてもよい。プラズマ処理は、アルゴン、窒素、酸素などを含むガス雰囲気で、1〜100Pa程度の圧力下で行えばよい。マイクロ波プラズマを用いる場合には、先の改質層形成工程と同様、前出図2、図3に示したマイクロ波プラズマ処理装置2を用いることが望ましい。
(5)マスク除去工程
本工程は、第二シート部材の溝部のマスクを除去する工程である。図10に、本工程における第二シート部材の断面図を示す。
図10に示すように、第二シート部材65を加熱することにより、溝部651に充填された液体67を気化して除去する。これにより、溝部651の改質層64が表出する。
マスクを除去する方法は、マスキングの方法に応じて、適宜選択すればよい。例えば、液体を充填した場合には、液体の種類に応じて、加熱、拭き取り、真空引きなどの方法を選択すればよい。
(6)接着工程
本工程は、第二シート部材の接合面に第一シート部材を重ね合わせて、第一シート部材と第二シート部材とを接着する工程である。図11に、本工程における第一シート部材および第二シート部材の断面図を示す。図11中、図5と対応する部材については、同じ符合で示す。
図11中白抜き矢印で示すように、第二シート部材65の接合面650に、第一シート部材61を重ねて積層する。二つのシート部材61、65の接着方法は、特に限定されない。例えば、接着剤などを用いて接着すればよい。あるいは、二つのシート部材61、65を積層させるだけでもよい。このように、第一シート部材61と、第二シート部材65(図5における第二シート部材62に相当)と、を接着することにより、前出図5に示したマイクロ流路装置6が製造される。
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
<改質層の形成>
主にガス種が異なる四つの条件下にて、ジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーンゴム製の基板を、マイクロ波プラズマ処理した。マイクロ波プラズマ処理は、前出図2、図3に示したマイクロ波プラズマ処理装置を用いて行った。マイクロ波プラズマ処理においては、マイクロ波の出力電力を2kWとし、処理時間を1分間とした。使用したガスの種類を、表1にまとめて示す。なお、比較例1は、マイクロ波プラズマ処理を行う前の基板であるため、表1において「未処理」と示した。
Figure 0005977190
<評価方法>
[X線光電子分光測定]
マイクロ波プラズマ処理後の基板表面を、X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ(株)製「PHI5000 VersaProbeII)を用いて分析した。
[水接触角の測定]
マイクロ波プラズマ処理後の基板表面の水接触角を、JIS R3257:1999に準じて測定した。まず、マイクロ波プラズマ処理直後の基板に、液量2μlの水を滴下して、水が基板表面に接触してから1分以内の水接触角を測定した。それから、所定の日数が経過するごとに、同じ方法で水接触角を測定した。
<評価結果>
図12に、X線光電子分光測定により得られたC1s準位スペクトルを示す。また、表2に、同測定により得られたC、N、O、F、Siの定量分析結果を示す。表2においては、C、N、O、F、Siの合計を100at%とした場合の各原子の含有割合(at%)を示す。
Figure 0005977190
図12に示すように、アルゴン(Ar)、窒素(N)、エチレンジアミン(EDA)からなるガス雰囲気中でプラズマ処理した実施例1の基板においては、C−N結合に起因する286eVの位置のピークだけでなく、C=O結合に起因する288eVの位置のピークも大きくなった。また、表2に示すように、NAC/OACは1.32であった。これにより、実施例1の基材の表面には、C−N結合およびC=O結合を有する親水性の高い改質層が形成されていることが確認された。一方、窒素を含まず、アルゴンおよびエチレンジアミンからなるガス雰囲気中でプラズマ処理した比較例4の基板においては、C−N結合に起因する286eVの位置のピーク、およびC=O結合に起因する288eVの位置のピークのいずれも小さかった。特に、C=O結合に起因する288eVの位置のピークは、未処理の比較例1の基板のそれとほとんど変わらなかった。比較例4の基板のNAC/OACは0.58であった。
図13に、実施例1、および比較例1、3、4の基板における水接触角の経時変化をグラフで示す。図13に示すように、実施例1の基板の水接触角は、処理後においては4.2°、28日経過後においては5.3°であり、1ヶ月経過しても小さな値のままであった。一方、エチレンジアミンを含まず、アルゴンおよび窒素からなるガス雰囲気中でプラズマ処理した比較例3の基板の水接触角は、処理後においては30.3°と比較的小さかったが、1日後には急激に大きくなり、5日経過後には未処理の比較例1の基板の水接触角と、ほとんど変わらなくなった。また、窒素を含まず、アルゴンおよびエチレンジアミンからなるガス雰囲気中でプラズマ処理した比較例4の基板の水接触角は、処理後においても58.9°と大きかった。
以上より、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理することにより、C−N結合およびC=O結合を有する改質層を形成することができることが確認された。また、形成された改質層の水接触角は小さく、かつ、時間が経過してもほとんど変化しないことが確認された。これにより、本発明の表面改質部材およびマイクロ流路装置における改質層においては、高い親水性が持続することが確認された。
10:表面改質部材、11:部材本体、12:改質層、110:溝部。
2:マイクロ波プラズマ処理装置、4:マイクロ波プラズマ照射手段、40:プラズマ生成部、41:導波管、42:スロットアンテナ、43:誘電体部、44:誘電体部固定板、420:スロット、430:前面(プラズマ生成面)、50:マイクロ波伝送部、51:管体部、52:マイクロ波電源、53:マイクロ波発振器、54:アイソレータ、55:パワーモニタ、56:EH整合器。
6:マイクロ流路装置、60:本体部、61:第一シート部材、62:第二シート部材、63:流路、64:改質層、65:第二シート部材、67:液体、610a、610b:孔部、650:接合面、651:溝部。
8:チャンバー、85:支持台、850:脚部。
P:プラズマ、P1:マイクロ波プラズマ。

Claims (14)

  1. シリコーンゴム製の部材本体と、
    該部材本体の表面に配置され親水性を有する改質層と、を備え、
    該改質層は、C−N結合およびC=O結合を有することを特徴とする表面改質部材。
  2. 前記改質層のX線光電子分光測定によるC、N、O、F、Siの定量分析において、N原子の含有割合(NAC)とO原子の含有割合(OAC)との比(NAC/OAC)は0.60以上である請求項1に記載の表面改質部材。
  3. 前記改質層の水接触角は、50°以下である請求項1または請求項2に記載の表面改質部材。
  4. 材本体の表面を、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でマイクロ波プラズマ処理して、C−N結合およびC=O結合を有し親水性を有する改質層を形成する改質層形成工程を有することを特徴とする表面改質部材の製造方法。
  5. 前記マイクロ波プラズマ処理は、
    マイクロ波を伝送し、該マイクロ波が通過するスロットが形成されたスロットアンテナを有する矩形導波管と、
    該スロットを覆うように配置され、該スロットを通過して入射する該マイクロ波の入射方向に平行なプラズマ生成面を有する誘電体部と、
    を備えるマイクロ波プラズマ生成装置を用いて行う請求項4に記載の表面改質部材の製造方法。
  6. 前記改質層形成工程の後、さらにプラズマ処理を行うことにより、形成された前記改質層のうち不要な改質層を除去する改質層除去工程を有する請求項4または請求項5に記載の表面改質部材の製造方法。
  7. 部材本体の表面を、窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理して、C−N結合およびC=O結合を有し親水性を有する改質層を形成する改質層形成工程と、
    該改質層形成工程の後、さらにプラズマ処理を行うことにより、形成された該改質層のうち不要な改質層を除去する改質層除去工程と、を有することを特徴とする表面改質部材の製造方法。
  8. シリコーンゴム製の本体部と、該本体部の内部に配置される流路と、を備えるマイクロ流路装置であって、
    該流路の表面には、C−N結合およびC=O結合を有する親水性の改質層が配置されることを特徴とするマイクロ流路装置。
  9. 前記改質層のX線光電子分光測定によるC、N、O、F、Siの定量分析において、N原子の含有割合(NAC)とO原子の含有割合(OAC)との比(NAC/OAC)は0.60以上である請求項8に記載のマイクロ流路装置。
  10. 前記改質層の水接触角は、50°以下である請求項8または請求項9に記載のマイクロ流路装置。
  11. 前記本体部は二つのシート部材が積層されてなる請求項8ないし請求項10のいずれかに記載のマイクロ流路装置の製造方法であって、
    シリコーンゴム製の第一シート部材と、該第一シート部材との接合面に凹設された溝部を有するシリコーンゴム製の第二シート部材と、を準備するシート部材準備工程と、
    該第二シート部材を窒素およびアミンを含むガス雰囲気中でプラズマ処理することにより、該接合面および該溝部にC−N結合およびC=O結合を有する親水性の改質層を形成する改質層形成工程と、
    該改質層が形成された該溝部をマスクするマスキング工程と、
    該第二シート部材をプラズマ処理することにより、該接合面の該改質層を除去する改質層除去工程と、
    該溝部の該マスクを除去するマスク除去工程と、
    該第二シート部材の該接合面に該第一シート部材を重ね合わせて、該第一シート部材と該第二シート部材とを接着する接着工程と、
    を有することを特徴とするマイクロ流路装置の製造方法。
  12. 前記マスキング工程は、前記溝部に液体を注入して行う請求項11に記載のマイクロ流路装置の製造方法。
  13. 前記改質層形成工程および前記改質層除去工程における前記プラズマ処理は、マイクロ波プラズマ処理である請求項11または請求項12に記載のマイクロ流路装置の製造方法。
  14. 前記マイクロ波プラズマ処理は、
    マイクロ波を伝送し、該マイクロ波が通過するスロットが形成されたスロットアンテナを有する矩形導波管と、
    該スロットを覆うように配置され、該スロットを通過して入射する該マイクロ波の入射方向に平行なプラズマ生成面を有する誘電体部と、
    を備えるマイクロ波プラズマ生成装置を用いて行う請求項13に記載のマイクロ流路装置の製造方法。
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