JP5976732B2 - 神経学的状態のバイオマーカー検出方法およびアッセイ - Google Patents

神経学的状態のバイオマーカー検出方法およびアッセイ Download PDF

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Description

政府の支援
本案件の一部は、米国国防省から、グラントN14-06-1-1029、W81XWH-8-1-0376およびW81XWH-07-01-0701によって支援を受けた。
関連出願の相互参照
本願出願は、2008年8月11日に出願された米国仮出願No. 61/188,554、2008年9月17日に出願された米国仮出願No. 61/097,622、2009年6月19日に出願された米国仮出願No. 61/218,727および2009年7月18日に出願された米国仮出願No. 61/271,135の優先権を主張する。各仮出願の中身を、明確且つ完全に本願明細書に記載されているように、参照によって本願明細書に組み込む。
本発明は、一般的には、個体の神経学的状態の測定、特には、神経学的状態の他のバイオマーカーと組み合わせて、神経保護バイオマーカー、例えばグリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)の量を測定することに関する。
最初の損傷が、迅速に診断され、または進行性疾患の場合は、中枢神経系組織へのストレスの前に事前に選択した閾値に達しさえすれば、最初の損傷への生理反応に関連する中枢神経系組織の二次的損傷を低減しうるという認識は、臨床神経学の分野においては、不満として残っている。外傷性、虚血性、および神経毒性物質による損傷は、遺伝的疾患とともに、全て、脳の損傷の可能性がある。これらの各原因の脳の損傷の重篤な形態の診断は、臨床応答試験、コンピューター断層撮影法(CT)および核磁気共鳴影像法(MRI)を介すれば簡単であるが、イメージング診断法は、分光イメージングの高いコストおよび長い診断時間によって制限されている。行動不能になった個体の臨床応答試験は制限された価値しか有さず、微妙な診断を妨げることが多い。加えて、現存する診断の制限が原因で、対象が神経学的状態にストレスを受けるが、わずかな症状が迅速に解消することが多いため、損傷が生じていることに気付かないことが多いか、治療を求めないことが多い状況が生じている。これらの対象の軽い神経学的状態から中程度の神経学的状態の治療の欠如は、累積的な効果をもたらすか、さもなければ、重篤な脳損傷事象をもたらし、それらはいずれも、臨床的予後不良である。
神経学的状態の分光および臨床応答診断に関連した制限を克服するために、対象の分子または細胞レベルでの健康状態の変化の内部指標としてのバイオマーカーの使用に注目が集まっている。バイオマーカー検出は、対象から得られたサンプル、典型的には脳脊髄液、血液または血漿を使用し、このサンプル中のバイオマーカーを検出するので、バイオマーカー検出は、神経学的状態の安価で迅速で客観的な測定をもたらす可能性がある。神経学的状態の迅速で客観的な指標を得ることにより、以前には実現していない客観性の程度を有して、異常な脳疾患の重篤度を求めることができ、結果を予想することができ、疾患の治療を導くことができ、そして、対象の応答性および回復をモニターすることができるようになる。加えて、多くの対象から得られたこのような情報により、脳損傷のメカニズムにある程度の見解を与えることが可能になる。
自働車衝突および戦闘で負傷した対象においてしばしば見られるように、多くのバイオマーカーが、重篤な外傷性脳損傷と関連しているとして同定されてきた。これらのバイオマーカーには、スペクトリン分解産物、例えば、SBDP150、SBDP150i、SBDP145(カルパイン媒介性急性神経ネクローシス)、SBDP120(カスパーゼ媒介性遅延型神経アポトーシス)、UCH-L1(神経細胞体損傷マーカー)およびMAP2樹状細胞損傷関連マーカーが含まれていた。これらのバイオマーカーの特徴は、米国特許第7,291,710号明細書および第7,396,654号明細書に詳細に記載され、これらの文献の中身は参照によって本願明細書に組み込まれる。
細胞骨格タンパク質ファミリーの一員である、グリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)は、中枢神経系(CNS)の成熟星状膠細胞などの、グリア細胞の基本的には8-9ナノメートルの中間径フィラメントである。GFAPは、40〜53kDaの分子量を有するモノマー分子であり、5.7〜5.8の等電点を有する。GFAPは、非常に脳に特異的なタンパク質であり、CNS以外には見出すことができない。GFAPは、脳損傷の直後に、血液およびCSF中に放出される。損傷後のCNSにおいては、外傷、病気、遺伝的疾患または化学的損傷の結果として、星状膠細胞は、アストログリオーシスまたはグリオーシスと称されるGFAPの迅速な合成によって特徴づけられる方法で、活性化される。しかしながら、GFAPは、標準的には、年齢とともに増加し、脳組織中では、GFAPの濃度および代謝回転は様々に異なる。
米国特許第7,291,710号明細書 米国特許第7,396,654号明細書
それ故、GFAPなどの第一のバイオマーカーを、神経学的状態と関連した他のバイオマーカーと組合せて定量することを介して、神経学的状態の改善した測定を提供するための方法およびアッセイに対する需要が存在する。
対象または対象に由来する細胞の神経学的状態を測定する方法は、対象または対象に由来する細胞から得られたサンプルを、最初に、GFAP、UCH-L1、NSE、MAP2またはSBDPから選択される第一のバイオマーカーの量について測定することを含む。サンプルは、また、少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量についても測定する。第一のバイオマーカーの量および少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量を、各バイオマーカーの正常レベルと比較して、対象の神経学的状態を測定する。対象が、軽度の外傷性脳損傷および中程度の外傷性脳損傷を引き起こしうる事象にさらされたことがあった場合は、UCH-L1およびGFAPの測定方法については、このような損傷者は、UCH-L1およびGFAPについて、血清中で、それぞれミリリットル当り0.39ナノグラム(ng/ml)および1.4ng/mlの検出カットオフを有する。
対象または対象に由来する神経細胞の神経学的状態を測定するためのアッセイも提供する。このアッセイは、(a)対象または細胞から単離したサンプルを保持する物質;(b)GFAP、UCH-L1、NSE、MAP2またはSBDPのうちの1つである第一のバイオマーカーに特異的に結合する物質;(c)(第一のバイオマーカーとして選択されなかった、GFAP、UCH-L1、NSE、MAP2またはSBDPのうちの1つを含む)他の神経活性バイオマーカーに特異的な結合物質;ならびに(d) 対象または対象に由来する細胞の状態に関連して、第一のバイオマーカーに特異的な物質をサンプルの第一の部分と反応させ、前記第一のバイオマーカーの量を検出するための、および前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーに特異的な物質を、サンプル中でサンプルの第二の部分および少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーと反応させ、前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量を検出するための印刷された指示書を含む。
対象が事象において軽度の外傷性脳損傷または中程度の外傷性脳損傷に罹患していたかどうかを求めるための方法を提供し、この方法は、対象または対象に由来する細胞から得られたサンプルを、事象後最初に、GFAPの量について測定することを含む。GFAPの量をコントロール中のGFAPの標準レベルと比較することによって、対象が事情において軽度の外傷性脳損傷または中程度の外傷性脳損傷に罹患したかどうかが求められる。
図1は、MCAO後のラットCSF中のUCH-L1の定量的ウェスタンブロッティングを表す。 図2は、CSFの、偽処理およびCCI処理対象中のUCH-L1レベルを表す。 図3は、偽チャレンジ、軽度のMCAOチャレンジおよび過酷なMCAOチャレンジ後の、CSF中のUCH-L1レベルを表す。 図4は、様々な時点における偽処理またはCCI処理後の血清中のUCH-L1レベルを表す。 図5は、偽チャレンジ、軽度のMCAOチャレンジ(mild MCAO challenge)および過酷なMCAOチャレンジ(severe MCAO challenge)後の血清中のSBDP145レベルを表す。 図6は、偽チャレンジ、軽度のMCAOチャレンジおよび過酷なMCAOチャレンジ後のCSFおよび血清中のSBDP145レベルを表す。 図7は、偽チャレンジ、軽度のMCAOチャレンジ、過酷なMCAOチャレンジ後の、CSFおよび血清中のSBDP120レベルを表す。 図8は、偽チャレンジ、軽度のMCAOチャレンジおよび過酷なMCAOチャレンジ後のCSFおよび血清中のMAP2上昇を表す。 図9は、ヒトコントロールおよび重篤なTBI対象についての、CSFサンプルのGFAPおよび他のバイオマーカーの棒グラフである。 図10は、ヒトコントロールおよび図1の重篤なTBI対象についての、血清サンプルのGFAPおよび他のバイオマーカーの棒グラフである。 図11は、図9および10のデータをまとめる、ヒトコントロールおよび重篤なTBI対象についてのGFAPおよび他のバイオマーカーの棒グラフである。 図12は、一人の外傷性脳損傷のヒト対象についての、時間に対して動脈血圧(MABP)、頭蓋内圧(ICP)および脳かん流圧(CPP)をプロットした結果である。 図13は、時間に対して、図12の一人の外傷性脳損傷のヒト対象に由来するCSFおよび血清サンプルに由来する本発明のバイオマーカーをプロットした結果である。 図14は、時間に対して、外傷性脳損傷の他のヒト対象に由来するCSFおよび血清サンプルに由来する本発明のバイオマーカーをプロットした結果である。 図15は、マウス対象における、重篤な外傷性脳損傷後のCSFおよび血清中に存在するUCH-L1の量をプロットした結果である。 図16は、入院時のおよび入院後24時間での、CTスキャン結果ごとの、コントロールおよび軽度/中程度の外傷性脳損傷集団の個体についてのGFAP濃度の棒グラフである。 図17は、図16で使用したサンプルに由来するUCH-L1バイオマーカーについての並行して行ったアッセイの棒グラフである。 図18は、コントロール、軽度および中程度の外傷性脳損傷の間の損傷程度ごとの、UCH-L1およびGFAPの濃度だけでなく、神経学的状態の診断について選択されていないバイオマーカー、S100ベータの濃度を示す棒グラフである。 図19は、断層撮影における、病変に関する入院の際の最初の徴候についての、図18で記したのと同じマーカーの濃度を示す。 図20は、様々な種類の脳損傷を有するヒト対象中のバイオマーカーレベルを表す。 図21は、損傷後最初の24時間での、ヒトCSF中(重篤TBIvsコントロールA)のUCH-L1、GFAPおよびSBDP145のROC分析をプロットした結果である。 図22は、損傷後15分から14時間35分の範囲で平均3時間35分での、ヒトCSF中(軽度のTBIvs正常のコントロール)のUCH-L1およびGFAPのROC分析をプロットした結果である。 図23は、脳卒中の患者に由来する血漿中の脳損傷バイオマーカー(GFAP、UCH-L1およびMAP2)の上昇を示す棒グラフである。
本発明は、異常な神経学的状態の診断および管理において有用である。追加の神経活性バイオマーカーについて得られた値と組合せた、対象に由来するGAFPなどのバイオマーカーの測定を介して、以前に到達できたものよりも高い特異性で、対象の神経学的状態の測定がもたらされる。本発明は、説明目的のためにのみ、第一のバイオマーカーGFAPを対象とし、本発明の実施または範囲に制限を加えることを意味するものではない。本発明は、例示的にはUCH-L1、NSE、MAP2およびSBDPを含む、幾つかの他の第一および追加のバイオマーカーを包含することは明らかである。当業者ならば、本願明細書に記載の本発明の第一のバイオマーカーとして、全ての本発明のバイオマーカーを完全に包含すると理解する。驚くべきことに、1つ以上のバイオマーカーの検出を組合せることによって、相乗的な結果が得られる。例示的には、UCH-L1およびGFAPなどの2つの神経活性バイオマーカーの検出を組合せることで、対象における異常な神経学的状態のレベルおよび重篤度を予想外に識別できる感度の高い検出がもたらされる。
本発明は、対象中の神経学的状態の検出を提供する。神経学的状態は、例えば、神経組織の遺伝的疾患、損傷または病気によって誘導される異常な神経学的状態でありうる。このように、対象における異常な神経学的状態を検出または診断する手段を提供することが、本発明の更なる目的である。
本発明は、また、対象の神経学的状態を検出または診断するためのアッセイを提供する。神経学的状態は、環境化合物、治療化合物または調査化合物への曝露によるストレスなどのストレスの結果である可能性があるので、対象自身または対象に由来する細胞が候補薬剤または他の可能性のあるストレス要因に曝露したかどうかに関わらず、候補薬剤もしくは他の化合物をスクリーニングするための方法およびアッセイ、または環境汚染物の効果を検出するための方法およびアッセイを提供することが、本発明の更なる態様である。
本発明の目的のためには、脳損傷は、2つのレベル、軽度の外傷性脳損傷(MTBI)および外傷性脳損傷(TBI)に分けられる。中間のレベルの中程度のTBIも本明細書に記載される。MTBIと中程度のTBIを介した進展との間の範囲は、同意語として、軽度から中程度のTBI、または略語MMTBIとしても表される。TBIは、分子マーカーのレベルまたは活性の2倍以上の増加または2倍以下の減少と関連する損傷として定義される。MTBIは、分子マーカーのレベルまたは活性の2倍未満の増加または2倍未満の減少と関連する損傷として定義される。
本発明の方法は、好ましくは、対象に由来するサンプルを最初に第一のバイオマーカーの存在についてアッセイすることによって、対象の神経学的状態を測定することを含む。バイオマーカーは、細胞、タンパク質、核酸、ステロイド、脂肪酸、代謝物または生物学的活性もしくは応答の測定に有用なディファレンシエーター(differentiator)である。本願明細書で動作可能なバイオマーカーは、例示的には、以下を含む:ユビキチンカルボキシル末端エステラーゼ、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼ、スペクトリン分解産物、神経局所性細胞内タンパク質(neuronally-localized intracellular protein)、MAP-タウ、C-タウ、MAP2、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)、コラプシン応答メディエータータンパク質、アネキシンA11、アルデヒドデヒドロゲナーゼファミリー7、コフィリン1、プロフィリン1、α-エノラーゼ(非-神経性エノラーゼ)、エノラーゼ1タンパク質、グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ1、アコニターゼ2、アセチル-CoAシンターゼ2、神経タンパク質22、ホスホグリセレートキナーゼ2、ホスホグリセレートキナーゼ1、Hsc70-ps1、グルタメートデヒドロゲナーゼ1、アルドラーゼA、アルドラーゼC、フルクトース-二リン酸、ジメチルアルギニン ジメチルアミノヒドロラーゼ1、微小管結合タンパク質2、カルボニックアンヒドラーゼ、ADP-リボシル化因子3、トランスフェリン、肝臓再生関連タンパク質、ヘモグロビンα-鎖、ヘモグロビンβ鎖、肝臓再生関連タンパク質、フェチュインβ、3-オキソ酸-CoAトランスフェラーゼ、マレートデヒドロゲナーゼ1、NAD(可溶性)、ラクテートデヒドロゲナーゼB、マレートデヒドロゲナーゼ、カルボキシルエステラーゼE1前駆体、セリンプロテアーゼ阻害剤α1、ハプトグロビン、ユビチキンカルボキシル末端ヒドロラーゼL1、セリンプロテアーゼ阻害剤2a、T-キニノゲン、α1主要急性期タンパク質(α1 major acute phase protein)、アルブミン、α1主要急性期タンパク質プレペプチド、ムリノグロブリン1ホモログ、グループ特異的コンポーネントタンパク質(group-specific comp
onent protein)、グアノシン二リン酸会合阻害剤1(guanosine diphosphate dissociation inhibitor 1)、コラプシン応答メディエータータンパク質2、ムリノグロブリン1ホモログ、フェロオキシダーゼ、セルロプラスミン、スペクトリンα-鎖、脳、C-反応性タンパク質、脳クレアチンキナーゼ、プロテアソームサブユニットα-タイプ7、14-3-3タンパク質、シナプトタグミン、これらのサブタイプ、これらの断片、これらの分解産物またはこれらの組み合わせ。他の有用なバイオマーカーは、例示的には、Kobeissy, FH, et al, Molecular & Cellular Proteomics, 2006; 5:1887-1898(この文献の中身は、参照によって本願明細書に組み込まれる)によって同定されたバイオマーカー、または当該業界で既知の他のバイオマーカーを含む。
第一のバイオマーカーは、好ましくは、神経活性バイオマーカーである。神経活性バイオマーカーの例は、GFAP、ユビチキンカルボキシル末端エステラーゼL1(UCH-L1)、神経特異的エノラーゼ(NSE)、スペクトリン分解産物(SBDP)、好ましくはSBDP150、SBDP150i、SBDP145、SBDP120、S100カルシウム結合タンパク質B(S100b)、微小管結合タンパク質(MAP)、好ましくはMAP2、MAP1、MAP3、MAP4、MAP5、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、タウ、ニューロフィラメントタンパク質(NF)、カンナビノイド受容体(CB)、CAMタンパク質、シナプスタンパク質(synaptic protein)、コラプシン応答メディエータータンパク質(CRMP)、誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)、神経核タンパク質(Neuronal Nuclei protein)(NeuN)、2',3'-サイクリックヌクレオチド-3'-ホスホヒドロラーゼ(CNPase)、ニューロセルピン、アルファ-インターネキシン、微小管結合タンパク質1軽鎖3(LC3)、ニューロファスシン、グルタメートトランスポーター(EAAT)、ネスチン、コルチン-1,2'およびBIII-チューブリンを含む。
本発明の方法は、また、サンプルを、少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーについてアッセイすることを含む。1つの追加の神経活性バイオマーカーは、好ましくは、第一のバイオマーカーと同じバイオマーカーではない。前記した本発明のバイオマーカーのいずれも、追加の神経活性バイオマーカーとして利用可能である。任意の数の、例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上のバイオマーカーを検出することができる。検出は、同時または連続のいずれでもよく、同じ生物学的サンプルから、または同じもしくは異なる対象に由来する複数のサンプルからでもよい。好ましくは、複数のバイオマーカーの検出は、同じアッセイチャンバーで行う。本発明の方法は、第一のバイオマーカーの量および少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量を、第一のバイオマーカーおよび追加の神経活性バイオマーカーのそれぞれの正常なレベルと比較して、対象の神経学的状態を測定する工程を更に含む。
好ましい実施態様においては、バイオマーカーはGFAPである。GFAPは、星状膠細胞などのグリア細胞に会合している。好ましくは、追加の神経活性バイオマーカーは、神経機能と関連する異なるタイプの細胞の健康状態と関連する。例えば、CNPaseは、中枢神経系のミエリン中に存在し、NSEは、主にニューロンに存在する。より好ましくは、他の細胞のタイプは、軸索、ニューロンまたは樹状突起である。
他の好ましい実施態様においては、特にMBTIおよびMMTBIについて、UCH-L1を、GFAPおよびMAP2などの他のバイオマーカーと組合せる。
しかしながら、複数のバイオマーカーは、同じ細胞タイプに対して異なる様式またはタイプの損傷の予測因子となりうることは明らかである。グリア細胞だけでなく少なくとも1つの他のタイプの神経細胞と関連するバイオマーカーを含む本発明のアッセイの使用により、ストレスに曝されるか殺傷した神経細胞のタイプだけでなく、神経学的状態の結果の定量化によって、外傷性脳損傷タイプの迅速かつ確固たる診断方法が提供される。GFAPを、少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーとともに測定し、GFAPおよび追加のバイオマーカーの量を、マーカーの標準レベルと比較することによって、対象の神経学的状態の測定が可能となる。
好ましくは、GFAPと測定した場合に、対象の神経学的状態のより優れた評価をもたらす特定のバイオマーカーのレベルには、SBDP 150、SBDP150i、SBDP145(カルパイン媒介性急性神経ネクローシス)およびSBDP120(カスパーゼ媒介性遅延型神経アポトーシス)の組合せ、UCH-L1(神経細胞体損傷マーカー)、ならびにMAP2が含まれる。これは、特に、MMTBIを測定し、細胞培養物を用いて薬剤候補または他の神経細胞ストレス要因化合物をスクリーニングする際に価値がある。
サンプルは、好ましくは生物学的サンプルである。生物学的サンプルの好ましい例は、例示的には、細胞、組織、脳脊髄液(CSF)、人工的CSF、全血、血清、血漿、細胞質液(cytosolic fluid)、尿、排泄物、胃液、消化液、唾液、鼻もしくは他の気道の液、膣液、精液、緩衝食塩水、生理的食塩水、水、または当該業界で認識されている他の生物学的液体である。最も好ましくは、生物学的サンプルはCSFまたは血液の血清である。2つ以上の別々の生物学的サンプルを任意にアッセイし、対象の神経学的状態を解明できることは明らかである。
細胞での発現が増すことに加えて、バイオマーカーは、また、損傷細胞と情報交換して、生物学的液体にも表れる。脳脊髄液(CSF)、血液、血漿、血清、唾液および尿などの生物学的液体を、対象から入手することは、典型的には、固形組織の生検サンプルを入手することほど、侵襲的ではなく、損傷を与えない。それ故、生物学的液体であるサンプルは、本発明の使用に好ましい。特に、CSFは、直接神経系に接しており、容易に入手できるので、対象における神経の損傷を検出するのに好ましい。血清は、容易に入手でき、提供した対象への更なる損傷または悪影響のリスクが少ないので、好ましい生物学的サンプルである。
神経学的状態とGFAPおよび他の神経活性バイオマーカーの測定した量との間の相関関係を得るために、GFAPおよび他の神経活性バイオマーカーの測定に供するサンプルを用いて、CSFまたは血清サンプルを、対象から回収する。対象は、神経学的状態が異なる。GFAPおよび他の神経活性バイオマーカーの検出したレベルは、その後、任意に、CTスキャン結果およびGCSスコアと相関させる。これらの結果に基づき、本発明のアッセイを開発し有効性を確認する(Lee et al., Pharmacological Research 23:312-328, 2006)。GFAPおよび他の神経活性バイオマーカーが、CSFおよび血清から入手されることに加えて、血液、血漿、唾液、尿および固形組織生検からも容易に入手されることは明らかである。CSFは、直接神経系に接触しているので、好ましいサンプル液体であるが、他の生物学的液体は、他の目的のためにサンプリングされる点で有用であり、それ故、血液、血漿、血清、唾液または尿などの単一のサンプルで実施した一連の試験の一部として、本発明の神経学的状態の測定を可能とすることは明らかである。
生物学的サンプルは、一般的な手法によって、対象から得られる。例えば、CSFは、好ましくは、腰椎穿刺によって得られる。血液は、好ましくは、静脈穿刺によって得られるのに対して、血漿および血清は、全血を既知の方法に従って分画することによって得られる。固形組織サンプルを得るための手術手法は、当該業界においてよく知られている。例えば、神経系組織サンプルを得るための方法は、標準的な神経外科テキスト、例えば、Atlas of Neurosurgery: Basic Approaches to Cranial and Vascular Procedures, by F. Meyer, Churchill Livingstone, 1999; Stereotactic and Image Directed Surgery of Brain Tumors, 1st ed., by David G. T. Thomas, WB Saunders Co., 1993; およびCranial Microsurgery: Approaches and Techniques, by L. N. Sekhar and E. De Oliveira, 1st ed., Thieme Medical Publishing, 1999に記載されている。脳組織を得て分析するための方法も、Belay et al., Arch. Neurol. 58: 1673-1678 (2001); およびSeijo et al., J. Clin. Microbiol. 38: 3892-3895 (2000)に記載されている。
損傷後、in vitro培養液中のまたは対象中のin situの神経細胞は、損傷に供されなかった細胞と比較して、1つまたは複数のタンパク質のレベルまたは活性の変化を発現する。それ故、神経細胞、例えば、中枢神経系または末梢神経系組織の生検は、例示的には、本発明の使用に適した生物学的サンプルである。しかしながら、神経細胞に加えて、例えば、心筋細胞、骨格筋中の筋細胞、幹細胞、腎臓細胞および睾丸中の細胞を含む他の細胞も、例示的には、αII-スペクトリンを発現する。このような細胞またはこれらの細胞から分泌した液体を含む生物学的サンプルは、また、本発明の方法を、このような非-神経細胞への損傷を測定および/または特徴付けることへ適合するのに使用しうる。
対象は、例示的には、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、非-ヒトの霊長類、ヒト、ラットおよびマウスを含む。本発明によって最も利益を受ける対象は、異常な神経学的状態を有する疑いがある、または異常な神経学的状態を発病するリスクを有する対象、例えば、外傷(例えば、銃撃による負傷、自動車事故、スポーツ事故、揺さぶられっ子症候群)、虚血性イベント(例えば、脳卒中、脳出血、心停止)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病およびパーキンソン病;プリオン関連疾患;他の形態の認知症)、てんかん、薬物乱用(例えば、アンフェタミン、エクスタシー/MDMAまたはエタノール)ならびに末梢神経系の病変、例えば、糖尿病性神経障害、化学療法-誘導性神経疾患および神経障害性の痛みによって誘発された脳損傷の被害者である。
幾つかのバイオマーカーのベースラインレベルは、既知の神経学的状態を有さない望む対象の種の標的生物学的サンプル中で得られるレベルである。これらのレベルは、高い濃度で発現している必要は無いが、その代わりに、並行するコントロール実験から知ることができ、蛍光単位、密度単位等の単位として発現される。典型的には、神経学的状態が存在しなければ、SBDPは、生物学的サンプル中で、無視できる量で存在する。しかしながら、UCH-L1は、神経に非常に豊富なタンパク質である。特定の種の神経中のUCH-L1のベースラインレベルを求めることは、当該業界の範囲内で良く行われる。同じように、MAP2、GFAP、NSEまたは他のバイオマーカーのベースラインレベルの濃度を求めることは、当該業界の範囲内で良く行われる。
本願明細書で使用される場合、単語「診断する」は、神経学的状態または他の状態、例えば損傷または疾患の存否を評価することを意味する。診断は、任意に、バイオマーカーの特定の比率またはレベルが検出された、または存在しないというアッセイの結果を参照する。
本願明細書で使用される場合、「比率」は、標的のレベルが、第二のサンプル中の標的よりも、または、同じ標的の既知のもしくは認識されているベースラインレベルに対してよりも多い陽性の比率である。陰性の比率は、標的のレベルが、第二のサンプル中の標的よりも、または、同じ標的の既知のもしくは認識されているベールラインレベルに対してよりも少ないことを表す。中立の比率は、標的バイオマーカーに変化が観察されなかったことを表す。
本願明細書で使用される場合、損傷は、細胞または分子の完全性、活性、レベル、構造安定性、状態への変化、またはイベントに対して追跡可能な他の変化である。損傷は、例示的には、身体的、機械的、化学的、生物学的、機能的、感染による損傷、または他の細胞もしくは分子の特徴のモジュレーターを含む。イベントは、例示的には、身体的外傷、例えば、衝突(衝撃)または生物学的異常、例えば、血管の遮断もしくは血液の漏出を原因とする脳卒中である。イベントは、任意に、感染因子による感染である。当業者は、用語「損傷」または「イベント」に含まれる多くの等価なイベントを認識する。
損傷は、任意に、身体的イベント、例えば衝突衝撃である。衝突は、衝突損傷のようなもの、例えば、頭蓋構造をインタクトにするまたは裂け目をもたらす頭部への殴打をもたらす衝突損傷である。例示的には、ヒトで重篤なTBIと同等な、1.6mmの窪みの深さでのcontrolled cortical impact(CCI)を含む、幾つかの衝突方法を実験的には使用する。この方法は、詳細に、Cox, CD, et al., J Neurotrauma, 2008; 25(11):1355-65に記載されている。衝突外傷を誘導する他の実験方法は、同じように操作可能であることは明らかである。
TBIは、また、脳卒中に由来する可能性がある。虚血性脳卒中は、任意に、げっ歯類では、中大脳動脈閉塞(MCAO)によってモデル化されている。UCH-L1タンパク質レベルは、例えば、軽度のMCAO後に増加し、更に、過酷なMCAOチャレンジ後に更に増加する。軽度のMCAOチャレンジは、一時的に2時間以内でタンパク質レベルの増加をもたらす可能性があり、24時間にコントロールレベルに戻る。対照的に、過酷なMCAOチャレンジは、損傷後2時間以内でタンパク質レベルの増加がもたらされ、非常により継続的でありえ、72時間以上の統計学的に有意なレベルが実証されている。
生物学的サンプル中のGFAPおよび1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーの存否を検出するための例示的な方法は、対象、例えばヒトから生物学的サンプルを入手する工程、生物学的サンプルを、分析すべきマーカーを検出できる化合物または物質(例示的には抗体またはアプタマー)と接触させること、および、洗浄後に前記化合物または物質のサンプルへの結合を分析することを含む。特異的に結合した前記化合物または物質を有するサンプルは、分析すべきマーカーを発現する。
本発明の方法は、生物学的サンプル中のGFAPおよび1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーを、in vitroおよびin vivoで検出するために使用することができる。サンプル中の、GFAPおよび1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーの量を、適切なコントロール、例えば、検出可能なレベルの分析すべきマーカーを発現することが知られている第一のサンプル(ポジティブコントロール)および検出可能なレベルの分析すべきマーカーを発現しないことが知られている第二のサンプル(ネガティブコントロール)と比較する。例えば、マーカーをin vitroで検出する手法は、例示的には、酵素結合免疫吸着法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、ラジオアッセイ、ウェスタンブロット、サザンブロット、ノザンブロット、免疫沈降、免疫蛍光、質量分析、RT-PCR、PCR、液体クロマトグラフィー、高性能液体クロマトグラフィー、酵素活性アッセイ、細胞アッセイ、ポジトロン放出断層撮影法、質量分析、これらの組み合わせ、または当該業界の既知の他の手法を含む。更にその上、マーカーをin vivoで検出する手法は、標識した、マーカーに特異的に結合する物質を生物学的サンプルまたはテスト対象へと導入することを含む。例えば、前記物質は、生物学的サンプルまたはテスト対象中の存在および位置が標準的なイメージング手法によって検出することが出来る放射性マーカーで標識することができる。任意に、第一のバイオマーカーに特異的に結合する物質および少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーに特異的に結合する物質は、両方が、基体に結合する。結合した物質のアッセイは、容易に、空間的に重複して結合する物質を用いて形成され、検出が、第一のバイオマーカーおよび少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーのそれぞれについて目に見えて異なる検出を介して生じることは明らかである。色の濃さに基づく、それぞれの空間的に重複して結合したバイオマーカーの定量は、このような手法の代表的なものである。
GFAPに特異的に結合することができる任意の適切な分子および1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーに特異的に結合する任意の適した分子は、本発明において有効であり、相乗的なアッセイを達成する。GFAPまたは1つもしくは複数の他の神経活性バイオマーカーを検出する好ましい物質は、分析すべきバイオマーカーに結合することができる抗体である。好ましくは、抗体は、検出可能な標識でコンジュゲートされている。このような抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルとしうる。インタクトな抗体、その断片(例えばFabもしくはF(ab')2)またはその改変したバリアント(例えばsFv)も使用することができる。このような抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびこれらの任意のサブクラスを含む、任意のイムノグロブリンクラスとしうる。多くの本発明のバイオマーカーについての抗体は、当業者に知られた製造供給者から購入可能である。例示的には、本発明のバイオマーカーに対する抗体は、Santa Cruz Biotechnology (Santa Cruz, CA)から購入可能である。本願明細書で第一のバイオマーカーを検出するのに有効な例示的抗体は、抗-GFAP抗体、抗-UCH-L1抗体、抗-NSE抗体、抗-MAP2抗体、または抗-SBDP抗体を含む。第一のバイオマーカーと異なる本発明のアッセイの一部として標的化する他のバイオマーカーは、GFAP、NSE、SBDP、SBDP150、SBDP145、SBDP120、S100b、MAP2、MAP1、MAP3、MAP4、MAP5、MBP、タウ、ニューロフィラメントタンパク質(NF)、カンナビノイド受容体CB、CAM、シナプスタンパク質、CRMP、iNOS、NeuN、CSPase、ニューロセルピン、アルファ-インターネキシン、LC3、ニューロファスシン、EAAT、ネスチン、コルチン-1またはBIII-チューブリンを含む。
抗体は、任意に標識されている。当業者は、本願明細書において操作可能な多くの標識を認識する。標識および標識化キットは、任意に、Invitrogen Corp, Carlsbad, CAから購入可能である。標識は、例示的には、蛍光ラベル、ビオチン、ペルオキシダーゼ、放射性核種(radionucleotide)、または当該業界で既知の他の標識を含む。代替的には、当該業界で既知の他の抗体または化合物の検出種は、抗体が結合したバイオマーカーの形態検出として利用される。
抗体に基づくアッセイは、生物学的サンプルをGFAPおよび1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーの存在についての分析に関して好ましい。適したウェスタンブロッティング方法を、以下に、実施例のセクションで記す。より迅速な分析については(緊急の医学的状況において重要であろう)、免疫吸着アッセイ(例えばELISAおよびRIA)ならびに免疫沈降アッセイを使用しうる。1つの例としては、生物学的サンプルまたはその一部を、基体(例えば、ニトロセルロースもしくはPVDFで作られた膜)上に、またはポリスチレンもしくは他のプラスチックポリマーで作られた硬い基体(例えばマイクロタイタープレート)上に固相化し、基体を、GFAPまたは他の神経活性バイオマーカーの1つに特異的に結合する抗体と、分析すべきバイオマーカーへの抗体の結合を可能とする条件下で接触させる。洗浄後、基体上の抗体の存在は、サンプルが評価すべきマーカーを含んでいたことを示す。抗体が、検出可能な標識、例えば、酵素、フルオロフォアまたは放射性同位体と直接コンジュゲートしているならば、標識の存在は、任意に、基体を検出可能な標識について試験することによって、検出される。代替的に、マーカー-特異的抗体に結合する、検出可能に標識された二次抗体を、基体に加える。洗浄後の基体上の検出可能な標識の存在は、サンプルがマーカーを含んでいたことを示す。
これらの基本的なイムノアッセイの多くの置換も、本発明において操作可能である。これらは、サンプルが基体に固相化されることとは対照的に、バイオマーカー-特異的抗体を含み、基体は、検出可能な標識とコンジュゲートしたGFAPまたは他の神経活性バイオマーカーと、標識したマーカーへの抗体の結合を誘導する条件下で接触させる。その後、基体を、サンプルと、抗体への分析すべきマーカーの結合を可能とする条件下で接触させる。洗浄後に基体上の検出可能な標識の量の減少は、サンプルがマーカーを含んでいたことを示す。
抗体は、豊富な特徴が原因で本発明の使用に好ましいが、GFAPまたは他の神経活性バイオマーカーに特異的に結合する任意の他の適した物質(例えば、ペプチド、アプタマー、有機小分子)を、任意に、前記したイムノアッセイにおいて、抗体の代わりに使用する。例えば、αIIスペクトリンおよび/または1つもしくは複数のSBDPに特異的に結合するアプタマーを使用しうる。アプタマーは、特定のリガンドに結合する核酸に基づく分子である。特定の結合特異性を有するアプタマーを製造する方法は、米国特許第5,475,096; 5,670,637; 5,696,249; 5,270,163; 5,707,796; 5,595,877; 5,660,985; 5,567,588; 5,683,867; 5,637,459;および6,011,020号明細書において詳細に記載されているように、知られている。
バイオマーカー発現のための診断アッセイにおいて有効な多種多様な検出可能な標識が、当該業界において知られている。GFAPまたは他の神経活性バイオマーカーを検出する方法で使用される物質は、検出可能な標識、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼなどの酵素にコンジュゲートしている。ホースラディッシュペルオキシダーゼで標識した物質は、ホースラディッシュペルオキシダーゼの存在下で色の変化を生じる適切な基質を添加することによって、検出することができる。これらの共通な例は、アルカリホスファターゼ、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、蛍光化合物、発光化合物、コロイド金、磁気粒子、ビオチン、放射性同位体、および他の酵素を含む。一次/二次抗体システムは、任意に、1つまたは複数のバイオマーカーを検出するのに使用されることは明らかである。1つまたは複数のバイオマーカーを特異的に認識する一次抗体を、対象とするバイオマーカーを含む可能性のある生物学的サンプルに曝露する。一次抗体の種またはアイソタイプを認識する、適切な標識を有する二次抗体を、その後、サンプルと接触させて、サンプル中の1つまたは複数のバイオマーカーの特異的検出を達成させる。
本発明は、生物学的サンプル中のGFAP単独の存在または量を、または1つもしくは複数の他の神経活性バイオマーカーとともに、神経細胞損傷の重篤度および/またはタイプと相関させる工程を使用する。GFAP測定単独は、本願明細書において、MMTBIを検出するのに非常に有効であることが示されている。生物学的サンプル中のGFAPおよび1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーの量は、実施例において詳細に示すように、外傷性脳損傷などの神経学的状態と相関している。本発明のアッセイのGFAPおよび1つまたは複数の他の神経活性バイオマーカーを相乗的に測定した結果は、医者または獣医が、傷ついた細胞のタイプを推測して、損傷のタイプおよび重篤度を求めるのに役立ちうる。これらの結果は、CTスキャンおよびGCSの結果と一致し、その上、定量的であり、より迅速に、はるかにより安いコストで得られる。
本発明は、GFAPの量および少なくとも1つの他の神経活性バイオマーカーの量を、標準のレベルと比較し、対象の神経学的状態を測定する工程を提供する。追加のバイオマーカー(すなわちSBDP)の選択によって、異常な神経学的状態だけでなく、軸索傷害マーカーの場合における細胞死の特性に関与する細胞のタイプを同定することが可能となることが明らかである。本発明の方法の実施により、医者が、対象の最適な利益のために投与するのに適した治療を求めるのに役立ちうる試験が提供される。本願明細書の実施例で提供されるデータが、完全な範囲の外傷性脳損傷に関して提供されるが、これらの結果は、虚血性イベント、神経変性疾患、プリオン関連疾患、てんかん、化学的な病気の原因(chemical etiology)および末梢神経系の病変に適用可能であることは明らかである。以下に提供する実施例のデータにおいて示すように、予期できないことに、性別の差が、異常な対象の神経学的状態において注目される。
対象またはそこから単離した細胞培養液における細胞の損傷を分析するためのアッセイも提供する。アッセイは、(a)損傷を受けた神経細胞を有する疑いがある対象から単離したサンプルであって、対象から単離する前に対象の神経系と情報交換する液体であるサンプルを維持するための基体;(b)GFAP(または他のバイオマーカー)に特異的に結合する物質;(c)他の神経活性バイオマーカーに特異的な結合物質;および(d)例示的に、反応のためにアッセイを実施するための印刷した指示書(バイオマーカーの存在または量を検出するための、生物学的サンプルまたは生物学的サンプルの一部と特異的に結合する物質、および生物学的サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの存在または量を検出するための、他の神経活性バイオマーカーについての、生物学的サンプルまたは生物学的サンプルの一部と特異的に結合する物質)を含む。本発明のアッセイは、経済的な理由のために、神経学的状態を検出するために使用することができる。
アッセイは、任意に、検出可能な標識、例えば、前記剤にコンジュゲートした標識または前記物質に特異的に結合する物体、例えば二次抗体にコンジュゲートした標識を含む。
本発明の方法は、例示的に、対象中の神経学的状態を診断すること、神経学的状態を有する対象を治療すること、またはその両方を含む。好ましい実施態様においては、本発明の方法は、例示的に、対象から生物学的サンプルを入手することを含む。生物学的サンプルを、当該業界で既知のメカニズムによって、生物学的サンプルに存在する1つまたは複数のバイオマーカーの存在を検出または同定するためにアッセイする。生物学的サンプル中の標的バイオマーカーの量または存在に基づいて、1つまたは複数のバイオマーカーの比率を任意に計算する。比率は、任意に、同一もしくは並行サンプル中の他のバイオマーカーのレベルに対する1つもしくは複数のバイオマーカーのレベル、または、病的な神経学的状態が存在しないことが知られていた対象中の、測定したもしくは以前に確立した同じバイオマーカーのベースラインレベルに対する、バイオマーカーの量の比率である。この比率によって、対象中の神経学的状態の診断が可能になる。本発明の方法は、また、任意に、対象に、直接または間接的に1つまたは複数のバイオマーカーの比率を変更する治療を施す。
本発明の方法を、多臓器損傷を診断、または任意には多臓器損傷を治療するために提供する。多臓器は、例示的には、神経学的組織のサブセット、例えば、脳、脊髄等、または脳の特異的な領域、例えば、大脳皮質、海馬等を含む。多臓器損傷は、例示的には、カスパーゼ誘導性SBDPの存在によって検出可能であるアポトーシス性細胞死、およびカルパイン誘導性SBDPの存在によって検出可能であるオンコシス性細胞死を含む。本発明の方法は、例示的には、対象から得られた生物学的サンプル中の複数のバイオマーカーについてアッセイ(このアッセイにおいては、生物学的サンプルを対象から入手した時に、生物学的サンプルを、任意に、損傷を被った恐れがある組織、またはコントロール組織と流体接触させる)することを含む。本発明の方法は、複数のバイオマーカーの最初の比率に基づいて、組織損傷の最初のサブタイプを求める。本発明の方法は、また、生物学的サンプル中の複数のバイオマーカーの第二の比率に基づいて、第二の組織損傷の第二のサブタイプを求める。比率は、例示的には、本願明細書に記載の方法または当該業界で既知の方法によって求める。
本発明は、例示的には、対象における神経学的状態の程度を区別する為の組成物を含む。本発明の組成物は、物質そのものまたは複数の物質の混合物のいずれかである。好ましい実施態様においては、組成物は混合物である。混合物は、任意に、対象に由来する生物学的サンプルを含む。対象は、任意に、神経学的状態を有する恐れがある。生物学的サンプルは、対象から単離される前に、対象の神経系と情報交換する。本発明の組成物は、また、生物学的サンプルに存在する可能性がある少なくとも2つのバイオマーカーに特異的かつ独立して結合する、少なくとも2つの主要な物質、好ましくは抗体を含む。好ましい実施態様においては、第一の主要な物質は、GFAPに特異的に結合する抗体である。第二の主要な物質は、好ましくは、ユビキチンカルボキシル末端ヒドロラーゼ、好ましくはUCH-L1、またはスペクトリン分解産物に特異的に結合する抗体である。
本発明の組成物の物質は、任意に、基体に固相化され、さもなければ基体に接触している。本発明の教示は、また、好ましくは、少なくとも1つの検出可能な標識で標識される。好ましい実施態様においては、各物質上の検出可能な標識は特徴的であり、同じアッセイチャンバーまたは別のチャンバーのいずれかで独立して検出可能である。任意に、一次物質を検出する、または一次物質に結合するための特異的な二次物質は、少なくとも1つの検出可能な標識で標識される。非制限的な例においては、一次物質は、ウサギに由来する抗体である。二次物質は、任意に、ウサギに由来する一次抗体に特異的な抗体である。抗原に結合する抗体を検出するメカニズムは、当該業界で良く知られており、当業者は、生物学的サンプル中の抗原またはバイオマーカーを検出するのに適した多くの方法および物質を容易に想像する。
本発明は、生物学的サンプル中のバイオマーカーの存在または量を、神経細胞(または他のバイオマーカー-発現細胞)損傷の重篤度および/またはタイプと相関させる工程を使用する。より重篤な損傷は、より多くの神経細胞に損傷を与え、より多くの量のバイオマーカーを生物学的サンプル(例えば、CSF、血清)中に蓄積させるので、生物学的サンプル中のバイオマーカーの量は、直接、神経組織損傷の重篤度に関連する。神経細胞の損傷が、アポトーシス型および/またはネクローシス型の細胞死を誘導するかどうかは、生物学的サンプル中に存在するSBDPを調べることによっても求まる。ネクローシス性細胞死は、選択的に、カルパインを活性化するのに対して、アポトーシス性細胞死は、選択的に、カスパーゼ-3を活性化する。カルパインおよびカスパーゼ-3 SBDPは区別することができるので、これらのマーカーの測定は、対象中の細胞損傷のタイプを示す。例えば、ネクローシス誘導性カルパイン活性化は、SBDP150およびSBDP145の産生をもたらし、アポトーシス誘導性カスパーゼ-3活性化は、SBDP150iおよびSBDP120の産生をもたらし、両方の経路の活性化は、全ての4つのマーカーの産生をもたらす。また、生物学的サンプルに存在するUCH-L1のレベルまたはカイネティクスの程度は、任意に、より重篤な損傷から軽度の損傷を区別しうる。例示的な例においては、過酷なMCAO(2時間)は、CSFおよび血清の両方において、軽度のチャレンジ(30分)に対してLCH-L1が増加するのに対して、両方は、非損傷対象を越えたUCH-L1のレベルを生じる。更にその上、生物学的サンプル中のマーカーの持続またはカイネティクスの程度は、損傷の重篤度の指標であり、より重大な損傷は、本発明の方法によって、損傷後の幾つかの時点で取り出した生物学的サンプルにおいて測定される、対象中のGFAP、UCH-L1またはSBDPの増加の継続を示す。
このような試験の結果は、医者が、特定の治療、例えばカルパインおよび/もしくはカスパーゼ阻害剤またはムスカリン性コリン受容体アンタゴニストの投与を行うことが、患者に有効でありうるかを求めるのに役立ちうる。この方法は、特に、細胞死のメカニズムにおける年齢および性別の差異を検出するのに重要であろう。
他の試薬、例えば、アッセイグレードの水、緩衝剤、膜、アッセイプレート、二次抗体、塩、および他の補助試薬は、当業者に既知の製造供給者から購入可能である。例示的には、アッセイプレートは、Corning, Inc. (Corning, NY)から購入でき、試薬は、Sigma-Aldrich Co. (St. Louis, MO)から購入できる。
一般的な生物学的手法を含む方法は、本願明細書に記載されている。このような手法は、一般的に、当該業界で知られており、方法論の論文、例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., vol. 1-3, ed. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989;およびCurrent Protocols in Molecular Biology, ed. Ausubel et al., Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York, 1992(定期的なアップデート)に詳細に記載されている。免疫学方法(例えば、抗原-特異的抗体の調製、免疫沈降およびイムノブロッティング)は、例えば、Current Protocols in Immunology, ed. Coligan et al., John Wiley & Sons, New York, 1991;およびMethods of Immunological Analysis, ed. Masseyeff et al., John Wiley & Sons, New York, 1992に記載されている。
本発明の様々な態様を、以下の非制限的な実施例によって例示する。実施例は、例示を目的とし、本発明の如何なる実行も制限するものではない。変更および修飾を、本発明の精神および範囲から逸脱することなく加えることができることは理解されるであろう。実施例は、一般的に、哺乳類の組織、特にマウス組織の分析を対象とするが、当業者ならば、同じ手法および当該業界で既知の他の手法により、実施例を、ヒトなどの他の哺乳類に容易に変換することを認識するであろう。本願明細書で例示した試薬は、共通して、哺乳類種間で交差反応し、または、類似の特性を有する代替的な試薬は購入可能であり、当業者ならば、このような試薬をどこで入手しうるか容易に理解するであろう。本発明の概念の範囲内の変更は、当業者によって明らかである。
(実施例1:バイオマーカー分析のための物質)
本発明を実施するのに使用される例示的な試薬は、重炭酸ナトリウム(Sigma Cat#: C-3041)、ブロッキングバッファー(Startingblock T20-TBS)(Pierece Cat#: 37543)、Twenn20を含むトリス緩衝生理食塩水(TBST; Sigma Cat#: T-9039)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS; Sigma Cat#: P-3813)、Tween20(Sigma Cat#: P5927)、Ultra TMB ELISA(Pierce Cat#: 34028)およびNunc maxisorp ELISAプレート(Fisher)を含む。モノクローナルおよびポリクローナルGFAPおよびUCH-L1抗体は、組織内で調製され、または、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CAから購入する。α-IIスペクトリンおよび分解産物ならびにMAP2に対する抗体は、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CAから購入可能である。多くのサブタイプの抗体についての標識は、Invitrogen, Corp., Carlsbad, CAから購入可能である。生物学的サンプル中のタンパク質濃度は、アルブミンスタンダードを用いたビシンコニン酸マイクロプロテインアッセイ(Pierce Inc., Rockford, IL, USA)を使用して求める。全ての他の必要な試薬および物質は、当業者に知られており、容易に確認可能である。
(実施例2:バイオマーカーアッセイの開発)
抗-バイオマーカー特異的ウサギポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を、研究室で産生する。標的バイオマーカーに対する抗体の反応特異性を求めるために、単離したまたは部分的に単離したバイオマーカーの既知の量を分析し、または組織パネルをウェスタンブロットによって調べる。間接的ELISAを、ELISAプレートに結合させたリコンビナントバイオマーカータンパク質を用いて使用し、アッセイで使用する抗体の最適な濃度を求める。マイクロタイタープレートのウェルを、ウサギのポリクローナル抗-ヒトバイオマーカー抗体でコーティングする。ウサギ抗-ヒトバイオマーカー抗体の濃度を最大シグナルについて求めた後で、各抗体について間接的ELISAのより低い検出限界を求める。適切に希釈したサンプルを、ウサギポリクローナル抗-ヒトバイオマーカー抗体と、2時間インキュベートし、その後洗浄する。ビオチンで標識化したモノクローナル抗-ヒトバイオマーカー抗体を、その後、添加し、捕捉されたバイオマーカーとインキュベートする。洗浄後、ストレプトアビジン ホースラディッシュペルオキシダーゼ コンジュゲートを加える。1時間のインキュベーションおよび最後の洗浄工程の後、残ったコンジュゲートを、基質である過酸化水素、テトラメチルベンジジンと反応させる。反応を、酢酸溶液の添加によって停止し、得られた黄色の反応産物の吸光度を450ナノメートルで測定する。吸光度は、バイオマーカーの濃度に比例する。標準曲線を、キャリブレーターサンプルを使用して、バイオマーカー濃度の関数として吸光度の値をプロットすることによって構築し、未知サンプルの濃度を、標準曲線を使用して求める。
(実施例3:TBI損傷モデルのin vivoモデル)
controlled cortical impact(CCI)デバイスを、以前に記載されたように(Pike et al, 1998)、ラットにTBIをモデル化するのに使用する。大人のオスの(280-300g)Sprague-Dawleyラット(Harlan: Indianapolis, IN)を、4%イソフルランを用いて、1:1 O2/N2Oのキャリアーガス内で(4分)麻酔をかけ、2.5%イソフルランで同じキャリアーガス中で維持する。中核体温を、連続して、直腸サーミスタープローブによってモニターし、ラットの下に調節できる温度制御過熱バッドを置いて、37±1℃で維持する。動物を、定位固定フレームにうつぶせの状態で取り付け、ear barおよびincisor barによって固定する。正中線頭蓋切開および軟組織の反転後に、片側(衝撃の側と同側)開頭術(直径7mm)を、ブレグマおよびラムダとの間の中途に、中央縫合線付近で実施する。硬膜を大脳皮質上でインタクトに保つ。右の(同側の)大脳皮質を、(空気圧シリンダーで保管した)直径5mmのアルミニウムインパクターチップを用いて、3.5m/sの速度、1.6mmの圧縮および150ms dwell timeで、衝撃を与えることによって、脳の外傷を生じさせた。偽損傷コントロール動物は、同一の外科手順に供するが、衝撃損傷を与えない。適切な損傷前および損傷後の管理を実施し、University of Florida Institutional Animal Care and Use Committeeで定められたガイドライン、およびGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsに詳細に記されたNational Institutes of Healthガイドラインを用いてコンプライアンスを守る。加えて、研究を、Animal Welfare Actならびに動物および動物が関与する実験に関する他の連邦法規および規制に従って、実施し、「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals, NRC Publication, 1996 edition」で述べられた原則に対して着実に実行する。
(実施例4:中大脳動脈閉塞術(MCAO)損傷モデル)
ラットを、イソフラン麻酔下(インキュベーションチャンバーを介して5%イソフランに続き、ノーズコーンを介して2%イソフラン)でインキュベートし、ラットの右総頚動脈(CCA)を、外頚動脈および内頚動脈(ECAおよびICA)分岐レベルで、正中首切開(midline neck incision)を用いて曝露する。ICAの後を、吻方に、翼突口蓋分枝(pterygopalatine branch)へと続き、ECAを結紮し、その舌枝および上顎分枝で切断する。3-0ナイロン縫合糸を、その後、ICAへと、ECA断端(ECA stump)(縫合糸のコースを、血管壁を介して視覚的にモニターした)上の切開を介して導入し、頸動脈管を介して約20mm頸動脈分岐部から、中大脳脈の起点を阻害する前大脳動脈の狭窄に詰まらせるようになるまで、進ませる。皮膚の切開を、その後に閉じて、血管内の縫合糸をその場所で30分間または2時間置く。その後、ラットを簡単に再度麻酔にかけ、縫合糸のフィラメントを引っ込め、再灌流させる。偽MCAO手術については、同じ手法に従ったが、フィラメントを内部-外部頚動脈分岐部を越えて10mmしか進ませず、ラットをと殺するまで、その場所に置く。全ての外科的手法の間、動物は、37±1℃で、恒温性加熱ブランケット(Harvard Apparatus, Holliston, MA, U.S.A.)によって維持する。各実験の結論において、ラットの脳が、解剖によって、くも膜下出血の病理学的証拠を示すならば、試験から除外することに着目することは重要である。適切な損傷前および損傷後の管理を実施し、全ての動物のケアおよび使用ガイドラインを用いたコンプライアンスを守る。
(実施例5:組織およびサンプル調製)
損傷後適切な時点で(2、6、24時間後および2、3、5日後)、動物に麻酔をかけ、骨頭切除術によって直接と殺する。脳を素早く取り除き、氷冷したPBSでリンスし、半分にする。右脳半球(衝撃領域周辺の大脳皮質および海馬)を迅速に解剖し、氷冷したPBSでリンスし、液体窒素中でsnap-frozenし、使用するまで-80℃で保存する。免疫組織学については、脳を素早くドライアイススラリー中で凍結し、クリオスタット(20μm)を介し、SUPERFROST PLUS GOLD(登録商標)(Fisher Scientific)スライド上で薄片にし、その後、使用するまで-80℃で保存する。左脳半球については、右側と同じ組織を回収する。ウェスタンブロット分析については、脳サンプルを、小さなすり鉢で細かく砕き、ドライアイス上で、細かい粉末へとすりつぶす。細かく砕いた脳組織の粉末を、その後、90分間4℃で、50mM Tris (pH7.4)のバッファー、 5mM EDTA、1% (v/v) Triton X-100、1mM DTT、1xプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Biochemicals)中で溶解する。脳溶解液を、その後、15,000xgで5分間4℃で遠心し、不溶性の細片を取り除いて除去し、snap-frozenし、使用するまで-80℃で保存する。
ゲル電気泳動および電気ブロッティングについては、不溶性の細片を除去したCSFサンプル(7μl)を、蒸留したH2O中に0.25M Tris(pH 6.8)、0.2M DTT、8% SDS、0.02%ブロモフェノールブルーおよび20%グリセロールを含む2Xローディングバッファーを用いた、ドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)のために調製する。レーン当り20マイクログラム(20μg)のタンパク質を、通常の方法で、SDS-PAGEによって、10-20%トリス/グリシンゲル(Invitrogen, Cat#EC61352)上で、130Vで2時間分離する。電気泳動後、分離したタンパク質を、水平方向に、39mMグリシン、48mM Tris-HCl(pH8.3)および5%メタノールを含む転写バッファー中で、20Vの定電圧で2時間室温で、セミ-ドライ転写ユニット(Bio-Rad)中で、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜に転写する。電気転写の後、膜を、1時間室温で、TBS中の5%脱脂乳および0.05% Tween-2(TBST)中でブロッキングし、その後、5%脱脂乳を含むTBST中の1:2000希釈した一次ポリクローナルUCH-L1抗体で、製造者によって推奨されるように、4℃で一晩インキュベートする。この後に、TBSTを用いた3回の洗浄、室温でのビオチン結合二次抗体(Amersham, Cat#RPN1177v1)を用いた2時間のインキュベーション、およびストレプトアビジン-コンジュゲートアルカリフォスファターゼ(BCIP/NBT試薬:KPL, Cat#50-81-08)を用いた30分のインキュベーションを行う。インタクトなバイオマーカータンパク質の分子量を、レインボーカラー分子量スタンダード(Amersham, Cat#RPN800V)を使用して評価する。インタクトなGFAP、UCH-L1またはSBDPタンパク質レベルの半定量的評価を、コンピューターを使用したデンシトメトリックスキャニング(Epson XL3500 scanner)およびImageJソフトウェア(NIH)を用いたイメージ分析を介して、実施する。
(実施例6:UCH-L1は、CSF中で、MCAOチャレンジ後に増加する)
対象をMCAOチャレンジに供し、CSFアンプルを定量的ウェスタンブロッティングによって分析した。UCH-L1タンパク質は、損傷後に、統計学的に有意なレベルで、偽処理サンプルにおけるUCH-L1の量を超えて、容易に検出可能であった(図1AおよびB)。これらのUCH-L1レベルは、一時的に、軽度の虚血(30分のMCAO)に続く再かん流後(6時間で)、上昇したのに対して、このレベルは、より過酷な虚血(2時間のMCAO)後では、6から7時間維持した(図1AおよびB)。
(実施例7:ELISAは、容易に、CSFおよび血清中の両方で、UCH-L1レベルを同定する)
ELISAを使用して、生物学サンプル中のUCH-L1をより迅速かつ容易に検出および定量した。UCH-L1サンドイッチELISA(swELISA)については、96穴のプレートを、0.1M重炭酸ナトリウム、pH9.2中の100μl/ウェルの捕捉抗体(500ng/ウェルの精製したウサギ抗-UCH-L1、一般的な手法によって組織内で調製)を用いて被覆した。プレートを一晩4℃でインキュベートし、ウェルの中身を捨て、300μl/ウェルのブロッキングバッファー(Staringblock T20-TBS)を加え、30分間室温でゆっくりと攪拌しながらインキュベートした。この後に、標準曲線のために抗原スタンダード(リコンビナントUCH-L1)(0.05-0.5ng/ウェル)か、サンプル希釈液中のサンプル(3-10μl CSF)(総ボリューム100μl/ウェル)かのいずれかを添加した。プレートを2時間室温でインキュベートし、その後、自動化プレート洗浄機を用いて洗浄した(洗浄バッファーTBSTで、5×300μl/ウェル)。ブロッキングバッファー中の、検出抗体であるマウス抗-UCH-L1-HRPコンジュゲート(組織内で調製、50μg/ml)を、その後、ウェルに、100μl/ウェルで加え、1.5時間室温でインキュベートした後に、洗浄した。増幅が必要な場合は、ビオチン-チアミン溶液(Perkin Elmer Elast Amplification Kit)を加えて、15分間室温で静置し、その後、洗浄した後で、0.02% Tween-20および1% BSAを含むPBS中の100μl/ウェルのストレプトアビジン-HRP(1:500)を30分間反応させ、その後、洗浄した。最後に、ウェルを、100μl/ウェルのTMB基質溶液(Ultra-TMB ELISA, Pierce#34028)を用いて、5-30分間のインキュベーション時間で発色させた。シグナルを、652nmで、96穴分光光度計(Molecular Device Spectramax 190)を用いて読み込んだ。
swELISAによって測定した場合、TBIグループ(衝撃損傷)のUCH-L1レベルは、偽コントロールおよびナイーブコントロール(naive control)よりも有意に高く(p<0.01、ANOVA分析)、UCH-L1は、早期に、CSF中で(損傷後2時間)上昇し、その後、損傷後24時間あたりまで下落し、その後、損傷後48時間で再度上昇することが実証された(図2)。
MCAOチャレンジ後に、CSF中のUCH-L1の程度は、過酷な(2時間)チャレンジで、より軽度な(30分)チャレンジと比較して、劇的に上昇した(図3)。より過酷な2時間のMCAOグループでは、UCH-L1タンパク質レベルは、30分MCAOよりも2-5倍高かった(p<0.01、ANOVA分析)。偽コントロールについてのUCH-L1タンパク質レベルは、実質的には、ナイーブコントロールと比較できなかった。
類似の結果が、血清中のUCH-L1について得られた。血液(3-4ml)を、各実験期間の最後に、心臓から直接、ポリプロピレンチューブに入れられた21ゲージの針を備えたシリンジを使用して回収し、45分から1時間室温で静置させ、塊を形成させた。チューブを20分間3000xgで遠心し、血清を取り除き、ELISAによって分析した(図4、5)。
TBIグループのUCH-L1レベルは、偽グループよりも有意に高く(p<0.001、ANOVA分析)、試験した2時間から24時間の各時点について、偽グループの同じ時点と比較して、高かった(p<0.005、Studentのt検定)。UCH-L1は、血清中で、損傷後早くも2時間で有意に上昇した。過酷なMCAOチャレンジでは、軽度なチャレンジに比べて、上昇した血清UCH-L1をもたらした。軽度および過酷なチャレンジの両方が、偽処理動物よりも有意に高くなり、このことは、UCH-L1の血清での検出は、確固たる診断であり、そのレベルが、軽度の損傷を重篤な損傷から十分に区別できることを示している。
(実施例8:スペクトリン分解産物の分析)
スペクトリン分解産物を、米国特許第7,291,710号明細書(この文献の中身は参照によって本願明細書に組み込まれる)に記載の類似の方法によって、ラットでのMCAOチャレンジ後に分析した。図6は、血清およびCSFの両方中のSBDP145のレベルは、軽度の(30分)チャレンジと比較して、過酷な(2時間)MCAOチャレンジ後に試験した全ての時点で、有意に増加した(p<0.05)ことを示す。同じように、SBDP120は、過酷なMCAOを行うと、CSF中で、損傷後24から72時間の間に有意な上昇を示した(図7)。しかしながら、血清中のSBDP120のレベルは、軽度のチャレンジと比較して、過酷なチャレンジを行うと、2から120時間の間で増加した。CSFおよび血清の両方においては、軽度および過酷なMCAOチャレンジの両方は、偽処理対象と比較して、SPBP120と140が増加した。
(実施例9:MAP2の分析)
微小管結合タンパク質2(MAP2)を、バイオマーカーとして、CSFおよび血清の両方において、軽度(30分)および過酷(2時間)なMCAOチャレンジ後に、対象中で、ELISAまたはウェスタンブロッティングによって、基本的には本願明細書に記したようにアッセイした。MAP(MAP-2(E-12))に対する抗体を、Santa Cruz Biotechnology, Santa Cruz, CAから入手した。これらの抗体は、ELISAおよびウェスタンブロッティング手法に適し、マウスおよびヒトMAP2に交差反応した。MAP2のレベルは、ナイーブコントロールの動物と比較して、軽度のMCAO後の対象において、CSFおよび血清の両方で、有意に増加した(p<0.05)(図8)。UCH-L1およびSBDPと同じように、過酷なチャレンジ(2時間)により、両方のサンプルにおいては、軽度のチャレンジ(30分)よりも非常に高いMAP2レベルがもたらされた。
(実施例10:重篤な外傷性脳損傷試験)
重篤な外傷性脳損傷に罹患した46人のヒト対象が関与する試験を実施した。これらの対象のそれぞれは、18歳を超え、8以下のGCSを有し、通常の治療の一部として脳室造瘻術および神経モニタリングを必要とするという特徴を有した。コントロールグループA(同意語として、CSFコントロールとして記される)は、18歳以上であり、損傷を有さない10人の個人を含ませた。サンプルを、通常の手術手法のための、または、水頭症または髄膜炎の治療に関与したCSFへのアクセスのための脊髄麻酔の間に入手した。コントロールグループB(同意語として、正常のコントロールとして記される)は、18歳以上であり、脳損傷を有さない多発損傷を経験した64人の個人とした。試験に参加した層の更なる詳細を、表1に示す。
試験で得られた第一に利用可能なCSFおよび血清サンプルに存在するバイオマーカーのレベルを、図9および10にそれぞれ示す。図9に詳細に記す、回収された平均的な最初のCSFサンプルが11.2時間であったのに対して、図10に示す、損傷後の血清サンプルの回収についての平均時間は10.1時間であった。UCH-L1、MAP2、SBDP145、SBDP120およびGFAPの各バイオマーカーの量を、コントロールグループと比較して、外傷性脳損傷の患者のコホートの各サンプルについて、示す。CSFおよび血清データの解析に基づく、損傷後最初の12時間以内の様々なバイオマーカーの診断的有用性を、図11に示し、特に、GFAPの値だけでなく、更なるマーカーUCH-L1およびスペクトリン分解産物の値が指摘された。上昇したレベルのUCH-L1は、神経細胞体損傷の指標であるのに対して、対応するSBDP120の減少を伴うSPDP145の増加は、急性の軸索ネクローシスを示唆するものである。
外傷性脳損傷のコホートに由来する1人の対象は、ヘルメットを着用していないオートバイ事故に遭った52歳の白人女性であった。緊急治療室へ入院した時、彼女のGCSは3であったが、外傷後の最初の24時間の間の最良のGCSは8であった。10日後に、彼女のGCSは11になった。CTスキャンにより、SAHおよび顔面骨折が明らかなとなり、マーシャルスコアが11でありロッテルダムスコアが2であった。脳室フィステル形成を、5年後に取り除き、完全に良好な結果を得た。この外傷性脳損傷患者の動脈血圧(MABP)、頭蓋内圧(ICP)および脳かん流圧(CPP)を、時間の関数として、図12に示す。二回目の損傷の可能性が、損傷後約40時間で、MABPおよびCPPの低下によって示されるように、指摘された。本発明のバイオマーカーの、この個人に由来するCSFおよび血清サンプル当りの濃度の変化を、図13に示す。これらの結果は、CSFおよび血清の両方におけるGFAPの急激な増加だけでなく、図13で示す他のバイオマーカーの変化を含み、損傷の性質および関与する細胞のタイプだけなく、スペクトリン分解産物に関連する細胞死の様式に関する、臨床上重要な情報を提供する。
重篤な外傷性脳損傷のコホートの他の個人には、馬が上に落ちてきたことに関連する挫滅外傷に遭った51歳の白人女性が含まれていた。緊急治療室へ入院した時のGCSは3であり、イメージング分析は最初はさほど取り立てるものでもなく、軽度の皮質および皮質下挫傷であった。5日目のMRIで、後方窩において重度の挫傷が明らかになった。この時点でのマーシャルスコアは、11と計算され、ロッテルダムスコアは3であった。患者は衰弱し、治療は、損傷後10日間引き伸ばされた。この個人のこの期間のCSFおよび血清の値を、図14に示す。
サンドイッチELISA試験に基づき、時間の関数としてのGFAPの値は、正常なコントロール(コントロールグループB)と比較して、時間の関数として、非常に上昇することが示された。
スペクトリン分解産物、MAP2およびUCH-L1の、外傷性脳損傷後の時間の関数としての濃度は、米国特許第7,291,710号明細書および第7,396,654号明細書に例示されているように(これらの文献の中身は、参照によって本願明細書に組み込まれる)、他の文献で報告されている。
血清中で測定したバイオマーカーの、TBIの結果を予測する能力を評価するために、分析を実施した。stepwise regressionは、年齢および性別因子とともに、独立予測因子として、各バイオマーカーを、ならびに因子間の交互作用を評価するために使用される統計学的手法である。交互作用により、関連する因子間の重要な予測可能性が求まる。例えば、バイオマーカーと結果との間の関係が、男性と女性とについて異なる場合は、このような関係は、バイオマーカーの交互作用によって、性別として定義される。
結果分析によって、バイオマーカーUCH-L1、MAP2およびGFAPが、GCSの統計学的に有意な予測因子として同定された(表2、3)。更に、GFAPは、UCH-L1と性別との交互作用において評価した場合、改善された予測可能性を有することが示された(表4、5)。
(実施例11)
実施例10の試験を、9から11のGCSスコアよって特徴付けられる中程度の外傷性脳損傷コホート、および、12から15のGCSスコアによって特徴付けられる軽度の外傷性脳損傷コホートを用いて繰り返した。血液サンプルを、損傷の2時間以内に病院の緊急治療室に到着した各患者から入手し、GFAPのミリリットル当りナノグラムのレベルについてELISAによって測定した。結果を、損傷の如何なる形態も経験していないコントロールグループのデータと比較した。二次アウトカムは、頭部のCTスキャンでの頭蓋内病巣の存在を含んでいた。
3ヶ月を越える、53人の患者を登録した:35人の患者がGCS 13-15を有し、4人の患者がGCS 9-12を有し、14人がコントロールであった。平均年齢は、37歳(幅18-69)であり、66%が男性であった。平均のGFAP血清レベルは、コントロール患者では0であり、GCS 13-15を有する患者では0.107(0.012)であり、GCS 9-12を有する患者では0.366(0.126)であった(p<0.001)。GCS 13-15とコントロールとの間の差異は、p<0.001で有意であった。CTで頭蓋内病巣を有する患者において、GFAPレベルは、病巣を有さない患者における0.085(0.003)と比較して、0.234(0.055)であった(p<0.001)。軽度と中程度のグループの両方において、損傷を有さないコントロールと比較して、MTBI後に、血清中のGFAPが有意に増加した。GFAPは、また、CTでの頭蓋内病巣の存在とも有意に関連していた。
図16は、コントロールおよび軽度/中程度の外傷性脳損傷コホートの個人のGFAP濃度を、入院の際の、および24時間後のCTスキャン結果ごとに、示す。同時アッセイを、UCH-L1バイオマーカーについてのこの試験の経過において実施した。GFAPを求めるために使用したサンプルと同じサンプルに由来するUCH-L1濃度を、図17に提供する。UCH-L1およびGFAPだけでなく、神経学的状態の診断について選択しないバイオマーカー、S100bの濃度を、コントロール、軽度および中程度の外傷性脳損傷の間の損傷の程度ごとに、図18に示すように、提供する。これらの患者に由来するUCH-L1およびGFAPの同時の分析により、本発明の方法の相乗的効果が示され、研究者が、同時に、外傷性脳損傷を診断し、軽度と中程度の重篤度レベルの間の外傷性脳損傷のレベルを差異化することが可能となった。図19は、図18に示したものと同じマーカーの濃度を、断層撮影での病巣に関する入院の際の最初の兆候について示すものであり、この結果により、本発明の方法の予測結果の高い信頼性が示された。図20は、NSEおよびMAP2の両方が、MTBIの患者において、入院時および24時間フォローアップの両方における血清中で上昇したことを示す。これらのデータは、患者中の、複数のバイオマーカー、例えばGFAP、UCH-L1、NSEおよびMAP2を測定することによってもたらされる相乗的な診断効果を実証するものである。
複数のバイオマーカー、例えばUCH-L1、GFAP、NSEおよびMAP2の同時測定を介して、脳損傷の重篤度に関する迅速かつ定量化可能な測定が、GSCスコアおよびCTスキャンと一致して、驚くべきことに、より定量化可能で、迅速でおよび経済性の高い方法において、得られた。加えて、神経学的状態の指標であるバイオマーカーについて組合せたアッセイを用いて、神経学的異常の特徴が評価され、特定の試験において、神経細胞体損傷が示唆された。重篤な外傷性脳損傷のように、性別による変動が指摘され、ホルモン性の抗-炎症因子の治療候補としての役割が示唆された。TBI後のUCH-L1、GFAPおよびSBDP145の受信者操作特性曲線(ROC)モデルは、更に、図21、22に示すように、これらのバイオマーカーの同時測定の値を裏付ける。
加えて、図22は、脳卒中患者の血漿中の幾つかの脳バイオマーカー(GFAP、UCH-L1およびMAP2)を示す。サンプルを、損傷後平均して24.2時間後(幅18-30時間)に回収した。上のパネルは、脳卒中(n=11)と正常なコントロール(n=30)のGFAP、UCH-L1およびMAP2を示す。下のパネルは、更に、UCH-L1が、正常なコントロール血漿と比較して、出血性および虚血性脳卒中集団の両方で上昇していることを示す。
本願明細書に言及した特許文献および出版物は、本発明が属する分野の当業者のレベルの指標となる。これらの文献および出版物は、本願明細書に、参照によって、各文献または出版物が特別かつ個別に参照によって本願明細書に組み込まれるように、組み込まれる。
前述の記載は、本発明の特定の実施態様を例示するものであるが、その実施に制限を課すことを意味するものではない。全ての均等物を含む、以下の請求項は、本発明の範囲を定義することを意図する。

Claims (6)

  1. 最初に、外傷性脳損傷を有する恐れがある対象から得た脳脊髄液(CSF)、血液、血漿または、血清から選択される生物学的サンプルを得る工程;
    前記サンプルを、GFAPである第一のバイオマーカーの量、および、UCH-L1である少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量について測定する工程;ならびに
    前記第一のバイオマーカーの量および前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量を、前記第一のバイオマーカーおよび前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの標準レベルと比較し、そして、前記第一のバイオマーカーの量および前記少なくとも1つの追加の神経学的バイオマーカーの量をそれぞれ比較して、対象の外傷性脳損傷の重症度を測定する工程
    を含む、軽度の外傷性脳損傷と中程度の外傷性脳損傷差異化する方法。
  2. 前記第一のバイオマーカーの第二の量および前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの第二の量を、二回目に測定し、前記第一のバイオマーカーおよび前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーについて動力学的プロファイルを得る工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 対象中の標準レベルの間の前記第一のバイオマーカーの量および前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量を、対象と同じ性別の他の個人と比較する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  4. 対象または細胞から単離した、脳脊髄液(CSF)、血液、血漿または、血清から選択されるサンプルを維持するための基体;
    GFAPである第一のバイオマーカーに特異的に結合する物質;
    UCH-L1である少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーに特異的に結合する物質;および
    前記第一のバイオマーカーに特異的な物質をサンプルの第一の部分と反応させて、前記第一のバイオマーカーの量を検出し、ならびに、前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーに特異的な物質を、サンプルの第二の部分およびサンプル中の前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーと反応させて、前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーの量を検出し、請求項1に記載の方法に従って対象の外傷性脳損傷の重症度を測定するための印刷した指示書
    を含む、軽度の外傷性脳損傷と中程度の外傷性脳損傷差異化するためのアッセイ。
  5. バイオマーカーに特異的な物質が、抗-GFAP抗体または抗-UCH-L1抗体である、請求項4に記載のアッセイ。
  6. 前記第一のバイオマーカーに特異的に結合する物質および前記少なくとも1つの追加の神経活性バイオマーカーに特異的に結合する物質が、両方、基体に結合する、請求項4に記載のアッセイ。
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