JP5975055B2 - 検査チップ - Google Patents
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本発明の第一実施形態を説明する。図1を参照して、検査システム3の概略構造について説明する。本実施形態の検査システム3は、液体である検体及び試薬を収容可能な検査チップ2と、検査チップ2を用いて検査を行う検査装置1とを含む。検査装置1が検査チップ2から離間した垂直軸線A1を中心として検査チップ2を回転させると、遠心力が検査チップ2に作用する。検査装置1が水平軸線A2を中心に検査チップ2を回転させると、検査チップ2に作用する遠心力の方向である遠心方向が切り替えられる。尚、本実施形態の検査システム3及び検査装置1は、特開2012−78107号公報に記載されているように周知の構造であるので、以下の説明では、検査装置1の構造の概略について説明する。
図1を参照して、検査装置1の構造について説明する。以下の説明では、図1の上方、下方、右方、左方、紙面手前側、及び紙面奥側を、それぞれ、検査装置1の前方、後方、右方、左方、上方、及び下方とする。本実施形態では、垂直軸線A1の方向は検査装置1の上下方向であり、水平軸線A2の方向は、検査チップ2が垂直軸線A1を中心として回転される際の速度の方向である。なお、図1は検査装置1の上部筐体30の天板が取り除かれた状態を示す。
図1を参照して、制御装置90の電気的構成について説明する。制御装置90は、検査装置1の主制御を司るCPU91と、各種データを一時的に記憶するRAM92と、制御プログラムを記憶したROM93とを有する。CPU91には、ユーザが制御装置90に対する指示を入力するための操作部94と、各種データ、及びプログラムを記憶するハードディスク装置95と、各種情報を表示するディスプレイ96とが接続されている。制御装置90としては、パーソナルコンピュータを用いてもよいし、専用の制御装置を用いてもよい。
図2〜図8を参照して、本実施形態に係る検査チップ2の詳細構造を説明する。以下の説明では、図2の上方、下方、右下方、左上方、左下方、及び右上方を、それぞれ、検査チップ2の上方、下方、前方、後方、左方、及び右方とする。
図4に示すように、試験片40は、支持体401、点着部402及び着色部403を備える。支持体401は、PET、PSなどの有機材料からなる透明の板状の部材である。点着部402は、図2、および図3に示す液体流路25を通過し、開口303において吐出された検体17を保持するためのろ紙、または不織布などの吸収部材であり、支持体401の表面に備えられる。
図1に示すように、L型プレート60から延びる支軸46は、図示外の装着用ホルダを介して板材20の後面中央に垂直に連結される。支軸46の回転に伴って、検査チップ2が支軸46を中心に自転する。検査チップ2は図2及び図3に示す定常状態である場合、板材20の上辺部21及び下辺部24が重力Gの方向と直交し、右辺部22及び左辺部23が重力Gの方向と平行、且つ、左辺部23が右辺部22よりも主軸57側に配置される。
検査装置1及び検査チップ2を用いた検査方法について説明する。ユーザは試薬18が点着部402に固定された試験片40を、開口301を介して凹部302に挿入する。検査チップ2の流路形成面はシート291で覆われているため、試験片40は側面405がシート291に接触することで前後方向に、下面404が凹部302の下面に接触することで上下方向に位置決めされる。また、図5に示すように検体注入部10を介して、検体17が注入され重力により供給部111に保持される。検体17の注入方法は限定されない。例えば、シート291における保持部111に対応する位置に穴が開いており、ユーザが穴から、検体17を注入し、さらにシールをして封止してもよい。
まず、主軸モータ35が制御装置90のCPU91の指示に基づき、ターンテーブル33の駆動を開始する。この結果、自転角度が0度の検査チップ2が公転する。主軸モータ35は、CPU91の指示に基づき、ターンテーブル33の回転速度を上げる。一例として、回転速度が3000rpmに達すると、主軸モータ35はこの回転速度を保持する。尚、ターンテーブル33の回転速度は、3000rpmに限られず、他の回転速度でもよい。この状態で、図6に示すように、左辺部23から右辺部22に向けて、検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により検体17は保持部111から供給部112に移動する。この状態での公転時間は、検体17が、上述した移動を行うのに十分な時間としてHDD95に予め記憶されている。
次に、CPU91の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図7に示すように、高速駆動により公転中の検査チップ2が前方からみて反時計回りに90度自転される。これにより、検査チップ2の自転角度が90度に変化する。この結果、図7の矢印F方向に遠心力Fが作用する。この自転による遠心力Fの作用方向は、上辺部21から下辺部24に向かう方向となる。従って、遠心力Fの作用により検体17は、供給部112から注入部113を介して定量部114に注入される。ここで、定量部114の体積が注入される検体17の体積より少ないと、検体17は定量部114から溢れ、あふれた液体が第2案内部117を介して余剰部116に貯留される。
次に、CPU91の指示に基づくステッピングモータ51の駆動制御により、図8に示すように、公転中の検査チップ2が前方からみて時計回りに90度自転される。これにより検査チップ2の自転角度が0度に戻り、左辺部23から右辺部22に向けて検査チップ2に遠心力Fが作用する。遠心力Fの作用により、定量部114において定量された検体11が、第1案内部115を介して点着流路81に移動し、遠心力Fの作用により、試験片40の点着部402に点着される。
次に、CPU91の指示に基づく主軸モータ35の駆動制御により、主軸モータ35が減速駆動され、主軸モータ35が停止する。故に、検査チップ2の公転が終了する。
上記遠心処理の実行後、主軸モータ35の駆動制御により、検査チップ2をチップ取り出し位置の角度まで回転移動させる。ユーザは検査チップ2を装置から取り出し、検査チップ2から試験片40を取り出す。取り出した試験片40をスキャナなどの読取装置にセットし、点着部402の全領域および着色部403の画像を読み取る。読取装置は、光源から発せられる光が点着部402の全領域、および着色部403において反射された反射光に基づき、反射光強度を取得できればよい。また、スキャナ以外にも例えば分光測色計やデジタルカメラなどにより、点着部402の全領域、および着色部403の画像が読み取られてもよい。また、検査装置1に読取装置が一体化されていてもよく、公転終了後検査チップ2を読取位置まで移動させ、点着部402の全領域、および着色部403が読み取られてもよい。
読み取られた点着部402の全領域、および着色部403の画像を画像解析ソフトにより処理することで点着部402の色の変化が取得される。取得されたデータに基づいて検体17の測定結果を算出する。一例として、画像解析ソフトウエア(ImageJ 1.46r, National Institutes of Health)を用いた場合について測定結果の算出方法を記載する。画像解析ソフトでは画像の選択領域のグレースケール値が算出される。始めに読取ステップにおいて読み取った画像をRGB画像に分割する。分割した画像をそれぞれR画像、G画像、B画像とする。R画像、G画像、B画像のグレースケール値が算出されて分析種濃度が算出され、測定結果として示される。
また、図11に示すように検査チップ2Aは検体17と第一試薬181の混合により呈色した混合液を点着する点着部402を備えていてもよい。第一試薬181を検査チップ2の試薬注入部801に、検体17を検体注入部113に、それぞれピペットなどを用いて滴下する。検査チップ内2の混合部802で検体17と第一試薬181とを混合し、呈色した混合液を点着部402に点着してもよい。第一試薬181と検体17との混合を検査チップ2に形成された流路内で行うことで、均一に反応を進行させることができる。点着部402は別の試薬である第二試薬182を含んでいてもよい。例えばグリセロール測定試薬のように検体17と第一試薬181を混合後に、混合液と第二試薬182を混合させる場合、検体17と第一試薬181を検査チップ2に形成された流路内で混合し、第二試薬182を点着部402に保持しておく。検体17と第一試薬181の混合時には第二試薬182は点着部402に保持されている。検体17と第一試薬181の混合液に第二試薬182が流入しないように、別の場所に分離して保持しておくための分離壁などの構造が不要で検査チップの前後方向の大型化を抑制できる。
図12に示すように、検査チップ2Bの1つの注入部10に対して、試験片40に複数の点着部402A、402B、402Cが設けられる。検体17を一つの注入部10に注入するだけで複数の検査を行うことができる。検査項目毎に複数の注入部10を設ける必要がないので、検査チップ2の大型化を抑制できる。また、図11に示すように、1つの注入部10に対して3つの定量部114A、114B、114Cが並んでいる。それぞれの定量部114A、114B、114Cにて定量された検体は対応する点着流路81A、81B、81Cを経由して、点着部402A、402B、402Cに点着される。点着部402A、402B、402Cにはそれぞれ異なる試薬が含有されている。例えば点着部402AはpH指示薬、点着部402Bは塩化第二鉄、点着部402Cはグルタミン酸検出試薬が含有されている。
検体17は、突出部115Aの先端115Bから吐出されなくてよい。例えば、図13に示すように、第2壁面W2Cは、突出部115Aよりも下方向に位置する端点W2CPを備える。従って、下方向である凹み方向に凹む定量部114において定量された検体17は、端点W2CPから右方向に吐出される。この軌跡A1と着色部402の中心C1とが一致する。よって、より確実に点着部402に検体17を点着させることが出来る。
点着部402は検体17との点着による反応により沈殿を生成する試薬を含有していてもよい。反応により沈殿を生成し、沈殿の呈色により測定を行う試薬として、例えばタンニンを検出するための塩化第二鉄がある。沈殿を生成する試薬が点着部402に含有されている。この結果、点着部402内に沈殿を留めることが出来る。従って、沈殿を留めるための構造を設ける必要がない。故に、検査チップ2が流路形成面に平行な方向に大型化することを低減できる。
検査チップ2、2A〜2Cは、処理部として、定量部114を備えていたが、これに限られず、処理部として、例えば、検体17が分離される分離部であってもよい。分離部は、例えば、特開2013−79812号に開示されている構成であればよい。また、処理部として、例えば、検体17が試薬と混合される混合部であってもよい。混合部は、例えば、例えば、特開2013−79812号に受け部として開示されている構成であればよい。
3 検査システム
17 検体
181 第一試薬
182 第二試薬
10 検体注入部
11 検体定量流路
111 保持部
112 供給部
113 注入部
114 定量部
115 第一案内部
115A 突出部
115B 先端
116 余剰部
117 第二案内部
121 第一端部
122 第二端部
20 板材
25 液体流路
301 開口
302 凹部
303 開口
40 試験片
401 支持体
402 点着部
403 着色部
81 点着流路
801 試薬注入流路
802 混合部
W1 第1壁面
W2、W2C 第2壁面
W2CP 先端
W3 第3壁面
Claims (7)
- 検体が注入される注入部と、
前記注入部と流路を介して接続されると共に、凹部から形成され、前記注入部に注入された検体が定量される定量部と、
前記定量部よりも前記流路の下流に配置され、前記定量部により定量された検体の点着により呈色する試薬を含有する吸水性の点着部と、
前記定量部から溢れた検体を貯留する余剰部とを備える検査チップであって、
前記定量部は、前記凹部の開口の前記点着部側の端部である第1端部と、前記開口の前記余剰部側の端部である第2端部を備え、
前記定量部から前記定量部において定量された検体が吐出される開口部までの流路は、前記定量部を形成する前記凹部と前記第1端部において接続する第1壁面と、前記第1壁面と対向する第2壁面とを備え、
前記定量部から前記余剰部までの流路は、前記定量部を形成する前記凹部と前記第2端部において接続する第3壁面を備え、
前記第1壁面は、前記第2壁面に向かって突出する突出部を備え、
前記点着部の中心は、前記第2端部から前記第1端部へ向かう方向において、前記突出部の先端と一致するように配置されること
を特徴とする検査チップ。 - 検体が注入される注入部と、
前記注入部と流路を介して接続されると共に、凹部から形成され、前記注入部に注入された検体が定量される定量部と、
前記定量部よりも前記流路の下流に配置され、前記定量部により定量された検体の点着により呈色する試薬を含有する吸水性の点着部と、
前記定量部から溢れた検体を貯留する余剰部とを備える検査チップであって、
前記定量部は、前記凹部の開口の前記点着部側の端部である第1端部と、前記開口の前記余剰部側の端部である第2端部を備え、
前記定量部から前記定量部において定量された検体が吐出される開口部までの流路は、前記定量部を形成する前記凹部と前記第1端部において接続する第1壁面と、前記第1壁面と対向する第2壁面とを備え、
前記定量部から前記余剰部までの流路は、前記定量部を形成する前記凹部と前記第2端部において接続する第3壁面を備え、
前記第1壁面は、前記第2壁面に向かって突出する突出部を備え、
前記第2壁面は、最も前記凹部の凹み方向に位置する端点を備え、
前記端点は、前記突出部の先端よりも前記凹み方向に位置し、
前記点着部の中心は、前記第2端部から前記第1端部へ向かう方向において、前記端点と一致するように配置されること
を特徴とする検査チップ。 - 前記点着部を有する試験片と、
前記試験片を着脱可能に保持する保持部と、を備え、
前記保持部に前記試験片が保持された状態において、前記点着部は、前記開口部に対向すること
を特徴とする請求項1または2記載の検査チップ。 - 前記点着部は前記検体との点着による反応により沈殿を生成する試薬を含有すること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の検査チップ。 - 前記点着部の周囲に試薬により呈色される色の補色に着色された着色部を備えること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の検査チップ。 - 前記点着部を形成する表面の全領域に前記試薬が含有されること
を特徴とする請求項5に記載の検査チップ。 - 異なる試薬をそれぞれ含有する複数の前記点着部を備える試験片を備え、
1つの前記注入部から、各前記点着部までに、凹部から形成され、前記検体が定量される前記定量部をそれぞれ備えること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の検査チップ
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