JP5974724B2 - アスパラガス用発泡合成樹脂製容器 - Google Patents
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Description
このような発泡合成樹脂製容器に収容する収容物の内で、アスパラガス、ねぎ、ウド等のごとく、水分を多く含んで傷みやすく、長尺で、横に寝かせて置いておくと、穂先部(先端部、頭部)が起き上がってくる性質を有する野菜類が存在する。また、このような野菜類は、長尺であるだけでなく、様々な太さのものが存在するとともに、例えば穂先部が細く根元部が太くなっており、すなわち長手方向で太さに大きな差異があることが多い。
そこで、このような長尺の野菜類を収容するための発泡合成樹脂製容器として、先ず、容器本体の開口を上方に向け、前記野菜類の上下方向を揃えて横に寝かせた状態で順次収容して行き、所要数量や所要重量分を収容した後に予冷操作を行なう等して冷却し、次いで蓋体により容器本体の開口を閉止した後、前記野菜類を立てた状態にするように容器の向きを変えてから、保管、運搬又は輸送に供するとともに、前記野菜類を立てた状態で容器の対向する内面の間隔が下方よりも上方が小さくなるように容器内面を傾斜させることにより、前記野菜類の長手方向での太さの差異に対応するようにしたものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
しかしながら、前記長尺の野菜類には様々な形状や太さのものがあるとともに、長手方向の太さの変化率も様々であることから、前記容器内面の傾斜が合わない場合があるため、蓋体により容器本体の開口を閉止すると、収容物が押圧されて傷つく場合があるとともに、隙間が大きくなって輸送の際等の振動や衝撃により収容物が傷つく場合があるという問題点がある。
その上、アスパラガス等においては、複数本を束ねて一束とし、これらの複数束(例えば20ないし50束程度)を発泡合成樹脂製容器に収容して保管、運搬又は輸送するのが一般的であることから、容器本体の開口を上方に向けて一束ずつ積層して収容した状態で、その表面(上面)には比較的大きな凹凸が形成されて平滑にならすことができないため、蓋体により容器本体の開口を閉止した際に収容物が押圧されて傷つくことが多くなる。
よって、従来の前記長尺の野菜類を収容するための発泡合成樹脂製容器は、前記特徴があるものではあるが、前記問題点も存在するため、改良の余地があるものである。
本願の発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を行った結果、蓋体の内面に、アスパラガスを立てた状態で上下方向に長く内方へ突出する複数の突条を設け、隣り合う突条間の空間にもアスパラガスを収容するように構成することにより、
(ア)アスパラガスを容器本体内に収容した状態で表面(上面)に凹凸が形成されて平滑にならすことができない場合であっても、隣り合う突条間に形成されたアスパラガスを収容する空間があることから、この空間内へ表面の凸部が納まるようにアスパラガスの並びを整えて、蓋体によりアスパラガスを押圧しないようにすることにより、蓋体で容器本体の開口を閉止した際にアスパラガスを傷つけにくくすること、
(イ)突条間に形成された前記空間にアスパラガス表面の凸部が納まるため、アスパラガスを運搬又は輸送する際の振動や衝撃等による押圧力や相互摩擦力を緩和してアスパラガスを傷つけにくくすること、
を着想し、試作評価等による具体化を進めることにより本発明を完成するに至った。
その上、アスパラガスの束群の一部が前記空間に収容された状態で運搬又は輸送されるので、運搬又は輸送する際の振動や衝撃等によりアスパラガス自体の慣性力に基づいて生じる押圧力や相互摩擦力を緩和することができるため、アスパラガスを傷つけにくくすることができる。
このような構成によれば、蓋体側に形成されたアスパラガスの一束を収容する空間に加え、収容容器側にもアスパラガスの一束を収容する空間が形成されることから、アスパラガスの一束を収容する空間の数が多くなり、前記空間に収容されるアスパラガスの束群の一部の割合が大きくなるので、容器本体内に収容されたアスパラガス自体の慣性力に基づいて生じる押圧力や相互摩擦力をさらに緩和することができるため、アスパラガスの損傷防止効果がより大きくなる。
その上、アスパラガスの一束が入る大きさに前記空間を形成し、前記突条の突出長さを前記一束の径よりも大きく形成してなることから、突条の突出長さが前記一束の径よりも大きいので、前記一束が前記空間に入った状態で、前記空間に入っていない束群の一部が突条に当接することから、突条に当接する前記空間に入っていない束自体の慣性力に基づく負荷を突条が分担するため、アスパラガスの束群を運搬又は輸送する際の振動や衝撃等により容器本体内に収容された前記束群の慣性力に基づいて生じる押圧力や相互摩擦力の緩和効果がより大きくなる。
このような構成によれば、突条により形成されるアスパラガスを収容する空間が、内方へ行くにしたがって広くなるので、前記空間へアスパラガスを入れやすくなるとともに、前記空間に入ったアスパラガスと前記突条の側面との隙間が小さくなるため、アスパラガスが前記空間にしっくり納まってガタつきにくい。
このような構成によれば、突条の先端部に角がないので、容器本体の開口を上方に向けてアスパラガスを横に寝かせた状態で収容した後に蓋体により容器本体の開口を閉止する際におけるアスパラガスの損傷防止効果がより大きくなる。
このような構成によれば、突条により形成されるアスパラガスを収容する空間が、アスパラガスを立てた状態で下方へ行くにしたがって広くなるので、穂先部(先端部、頭部)が細く根元部が太いアスパラガスを収容する際に、前記空間に入ったアスパラガスと前記突条の側面との隙間が小さくなるため、アスパラガスが前記空間にしっくり納まってガタつきにくい。
このような構成によれば、アスパラガスを立てた状態で、蓋体の内面及び蓋体に対向する容器本体の底板の内面が上方へ行くにしたがって内方へ傾斜しているので、穂先部(先端部、頭部)が細く根元部が太いアスパラガスを収容する際に、アスパラガスが容器内の収容空間にしっくり納まってガタつきにくい。
その上、アスパラガスの一束が入る大きさに前記空間を形成し、前記突条の突出長さを前記一束の径よりも大きく形成してなることから、突条の突出長さが前記一束の径よりも大きいので、前記一束が前記空間に入った状態で、前記空間に入っていない束群の一部が突条に当接することから、突条に当接する前記空間に入っていない束自体の慣性力に基づく負荷を突条が分担するため、アスパラガスの束群を運搬又は輸送する際の振動や衝撃等により容器本体内に収容された前記束群の慣性力に基づいて生じる押圧力や相互摩擦力の緩和効果がより大きくなる。
添付図面において、容器本体の開口を上方に向けてアスパラガスの上下方向を揃えて横に寝かせて順次収容した状態で前記アスパラガスの根元側から見た図を正面図とする。
ここで、容器本体2及び蓋体3は、軽量であるとともに断熱性に優れた発泡合成樹脂製であり、発泡合成樹脂としては、例えば、発泡ポリスチレン系樹脂、発泡ポリエチレン系樹脂、発泡ポリプロピレン系樹脂等の発泡ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン変性発泡ポリエチレン等のポリスチレン変性発泡ポリオレフィン系樹脂、硬質発泡ウレタン系樹脂等を用いることができるが、中でも発泡ポリスチレンが強度やコスト等の点から好ましい。
ここで、アスパラガスA,A,…を立てた状態で上下方向に長く内方へ突出する突条11は、一体のものでなくてもよく、断続的なもの、すなわち上下方向に複数に分割されたもの(例えば、上下方向の中間部分にスリットが形成されたもの)等であってもよい。
さらに、容器本体2の傾斜面9の反対側(外側)の面には凹部2Dが形成され、蓋体3の突条11,11,…の反対側(外側)の面には凹部3D,3D,…が形成されるため、容器本体2単体若しくは蓋体3単体又はアスパラガス用発泡合成樹脂製容器1を操作する際の指掛け部になるとともに、アスパラガスA,A,…の上下方向の識別が容易になる。
このように蓋体3により容器本体2の開口Cを閉止する際、容器本体2内に収容されたアスパラガスA,A,…の束B,B,…の表面(上面)には凹凸が形成されており、平滑にすることができないのが通常である。
そこで、隣り合う突条11,11により形成される空間S1をアスパラガスA,A,…の束B,B,…の一束Bが入る大きさにしておき、突条11,11,11により形成される空間S1,S1にアスパラガスA,A,…の束B,Bが入るように並びを整えてから、蓋体3により容器本体2の開口Cを閉止する。
また、図5に示すように、突条11の内方への突出長さLは、アスパラガスA,A,…の束Bの径Dよりも大きくなるように設定される。
図7の縦断正面図はこのような例を示しており、蓋体3に対向する、容器本体2の底板4の内面4A(傾斜面9)にも、アスパラガスA,A,…を立てた状態で上下方向に長く内方へ突出する複数(本実施の形態では2個)の突条12,12が設けられており、隣り合う突条12,12の間は、アスパラガスA,A,…を立てた状態で上下方向にのびる、アスパラガスA,A,…の束Bを収容する空間S2とされ、突条12,12と容器本体2(側壁7,8)の内壁面7A,8Aとの間も、アスパラガスA,A,…を立てた状態で上下方向にのびる、アスパラガスA,A,…の束Bを収容する空間S3,S3とされる。
なお、蓋体3に形成する突条11,11と容器本体2(側壁7,8)の内壁面7A,8Aとの間をアスパラガスA,A,…の束Bを収容する空間とするように構成してもよい。
ここで、アスパラガスA,A,…の束B,B,…群表面の凸部が空間S1に納まるように並びをきっちりと整えなくても、閉蓋時に、アスパラガスA,A,…の束B,B,…群表面を必要以上に長い時間にわたって強く圧迫しない状態でありさえすれば、アスパラガスA,A,…を立てた状態にするようにアスパラガス用発泡合成樹脂製容器1の向きを変えることで、アスパラガスA,A,…の束B,B,…の相互位置の自由度が増して自然に調整され、アスパラガスA,A,…の束B,B,…は良好な納まり具合に落ち着く。特に、アスパラガスA,A,…の束B,B,…を立てた状態で輸送の際等に衝撃や振動が加わると、アスパラガスA,A,…の束B,B,…の相互位置を調整する程度はさらに向上することになる。したがって、空間S1を形成する突条11,11間の距離や突条11の内方への突出長さL等の寸法は、アスパラガスA,A,…の束Bに合わせた厳密なものとする必要はなく、かなりの自由度がある。よって、複数の突条11,11,…を備えた本発明のアスパラガス用発泡合成樹脂製容器1は、アスパラガスAの太さや、それらの束の寸法等の広い範囲に対して適用可能であるため、実用面でのメリットが非常に大きいものである。
また、アスパラガスA,A,…の束B,B,…群の一部が空間S1,S1に収容された状態で運搬又は輸送されるので、運搬又は輸送する際の振動や衝撃等によりアスパラガスA,A,…自体の慣性力に基づいて生じる押圧力や相互摩擦力を緩和することができるため、アスパラガスA,A,…を傷つけにくくすることができる。
また、突条11,12の先端部11C,12Cを、丸みを帯びた形状としており、突条11,12の先端部に角がないので、容器本体2の開口Cを上方に向けてアスパラガスA,A,…の束B,B,…を横に寝かせた状態で収容した後に蓋体3により容器本体2の開口Cを閉止する際におけるアスパラガスA,A,…の損傷防止効果がより大きくなる。
さらにまた、蓋体3の内面3A及び蓋体3に対向する容器本体2の底板4の内面4Aを、アスパラガスA,A,…を立てた状態で上方へ行くにしたがって内方へ傾斜する傾斜面10,9としているので、穂先部(先端部、頭部)が細く根元部が太いアスパラガスAを収容する際に、アスパラガスA,A,…の束Bが容器1内の収容空間にしっくり納まってガタつきにくい。
B アスパラガスの束
C 開口
D 一束の径
L 突出長さ
S1,S2,S3 空間
1 アスパラガス用発泡合成樹脂製容器
2 容器本体
2B 係合凸部
2C 係合段部
2D 凹部
3 蓋体
3A 内面
3B 係合凹部
3C 係合段部
3D 凹部
4 底板
4A 内面
5,6,7,8 側壁
7A,8A 内壁面
9,10 傾斜面
11,12 突条
11A,11B,12A,12B 側面
11C,12C 先端部
Claims (6)
- 一面が開口した容器本体とこの容器本体の開口を閉止する蓋体とからなる、アスパラガスの方向を揃えて前記容器本体内に収容した状態で閉蓋し、保管、運搬又は輸送を行う、アスパラガス用発泡合成樹脂製容器であって、
前記蓋体の内面に、アスパラガスを立てた状態で上下方向に長く内方へ突出する複数の突条を設け、前記突条の隣り合うものの間及び前記突条と前記容器本体の側壁の内壁面との間の少なくともどちらかに、アスパラガスを立てた状態で上下方向にのびる、アスパラガスの複数本を束ねた一束が入る大きさの、アスパラガスを収容する空間を形成するとともに、前記突条の突出長さを前記一束の径よりも大きく形成してなることを特徴とするアスパラガス用発泡合成樹脂製容器。 - 前記蓋体に対向する前記容器本体の底板の内面に、アスパラガスを立てた状態で上下方向に長く内方へ突出する複数の突条を設け、前記突条の隣り合うものの間及び前記突条と前記容器本体の側壁の内壁面との間の少なくともどちらかに、アスパラガスを立てた状態で上下方向にのびる、前記一束が入る大きさの、アスパラガスを収容する空間を形成するとともに、前記突条の突出長さを前記一束の径よりも大きく形成してなる請求項1記載のアスパラガス用発泡合成樹脂製容器。
- 前記突条の側面を、前記突条の幅が内方へ行くにしたがって小さくなるように傾斜させてなる請求項1又は2記載のアスパラガス用発泡合成樹脂製容器。
- 前記突条の先端部を、丸みを帯びた形状としてなる請求項1〜3の何れか1項に記載のアスパラガス用発泡合成樹脂製容器。
- 前記突条の側面を、アスパラガスを立てた状態で下方へ行くにしたがって前記空間が広くなるように傾斜させてなる請求項1〜4の何れか1項に記載のアスパラガス用発泡合成樹脂製容器。
- 前記蓋体の内面及び前記蓋体に対向する前記容器本体の底板の内面を、アスパラガスを立てた状態で上方へ行くにしたがって内方へ傾斜させてなる請求項1〜5の何れか1項に記載のアスパラガス用発泡合成樹脂製容器。
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