JP5973835B2 - 粉体溶融成型法 - Google Patents

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Description

本発明は鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合方法及び接合体に関し、より詳細には粉体ポリアミド樹脂を使用した鉄鋼材へのポリアミド樹脂のコーティング及び成形に関する。
ポリアミド樹脂(以下PA樹脂)、特にそのうちのナイロン11(PA11)は、機械的特性(引張・圧縮・曲げ・衝撃)・耐摩耗性・耐摩擦性・耐環境性(低吸水性・防錆能力・寒耐衝撃性)に優れており、トラック等の大型輸送機器部品(リバースシャフトやデファレンシャルギア)にコーティングされている。
このように多くの利点を持つPA樹脂(PA11)は、輸送用部品関連以外にも、風力発電用シャフトや洋上発電部品、衛生機能材、食品機械部品などの多くの新分野への利用が期待されている。
ここで、大型輸送機器部品等のコーティング(成形)には、粉体プラスチック(粉体PA樹脂)が主に使用される。プラスチックは熱履歴により性質に変化が生じ、過大な熱量を掛けると変色や分解を起こしてしまう。したがって、特にペレットからの成形と粉体からの成形では、成形後のプラスチックの性質が異なる。特に輸送用機器部品のような耐久性を求められる部分に使用するプラスチックについては、熱の加えられていない粉体プラスチックをコーティングするのが最適である。したがって、ペレットから成形したプラスチックを、粉体から成形したプラスチックと同様の部品に使用しても同様の効果を発揮できない場合が生じる。
図1は、輸送機器部品である鉄鋼材(特に炭素鋼:S45C)に粉体のPA樹脂(PA11)をコーティングする従来の粉体流動浸漬法の工程を示す図である。以下、各工程について説明する。
機械加工工程(ステップ101)では、鉄鋼材部品の機械加工を行なう。この工程において、炭素鋼を機械加工により所望の形状に加工する。
洗浄工程(ステップ102)では、鉄鋼材部品(ワーク)の洗浄を行う。機械加工により付着した油分の脱脂等を行なう。洗浄は、主に塩化メチルにより行われる。鉄鋼材部品のコーティングにおいて、脱脂は重要であり、その後のプライマー処理において接着剤の食い付きを良くする効果がある。
サンドブラスト工程(ステップ103)では、加工された鉄鋼材部品(ワーク)のサンドブラスト及びエアーブロー洗浄を行なう。サンドブラストにより表面を粗し、細かい凹凸形状(ポーラス)をつけることにより表面の粗面化を行なっている。凹凸形状をつけることにより、鉄鋼材表面と、PA樹脂との接着面積が増えるため、鉄鋼材の表面が平滑である場合よりもPA樹脂の接着強度が向上する。サンドブラストの後、エアーブロー洗浄を行い、サンドブラストにより付着した砂を除去する。
プライマー処理工程(ステップ104)では、洗浄した鉄鋼材部品(ワーク)に接着剤(プライマー)塗布を行なう。金属表面にプラスチック等の樹脂を直接接着した場合、樹脂は簡単にはがれてしまうことが多い。そのため、接着剤(プライマー)を使用することにより、鉄鋼材部品とPA樹脂との接着力が強固になる。
加熱工程(ステップ105)では、次なる粉体流動浸漬を行うために、被着材となる鉄鋼材部品を加熱する。加熱温度は、粉体PA樹脂が十分に溶融可能な温度であり、鉄の変体点を超えない温度で、一般には鉄鋼材(ワーク)表面が220℃〜から230℃程度である。被着材が加熱されることにより、粉体PA樹脂が被着材に付着した際に溶融し、PA樹脂が被着材にコーティングされる。
粉体流動浸漬工程(ステップ106)では、PA樹脂のコーティングを行なう。図2は、粉体流動浸漬工程の様子を表した図である。粉体流動浸漬法は、空気圧により流動炉203内にいれた粉体PA樹脂202を流動させ、浮遊する粉体中に予熱された被着物(ワーク201)を浸漬し、ワーク201表面に付着した粉体を溶融流動させて連続したPA樹脂の皮膜204を形成する方法である。この方法では、複雑な形状の素材にも容易にコーティングでき、場合によっては膜厚もコントロールできる。
冷却工程(ステップ107)では、被着物(ワーク)表面に付着したPA樹脂を固着させる。PA樹脂が固着することにより、鉄鋼材部品にPA樹脂が強固に接着される。
成形(バイスブローチ加工)工程(ステップ108)では、鉄鋼材部品(ワーク)にPA樹脂をコーティングしたのち、所望の形状を得るために、PA樹脂表面のバイスブローチ加工(成形加工)を行なう。図3は、成形工程の様子を表した図である。ワーク301のPA樹脂の皮膜(コーティング部分)表面を、バイス303で削り出して成型を行う。
PA樹脂を鉄鋼材部品(ワーク)にコーティングする場合、又はPA樹脂を鉄鋼材上に成形する場合、PA樹脂と鉄鋼との間の接着強度が重要となってくる。特に高加重製品や長寿命製品においては、接着強度を向上させ、PA樹脂をはがれにくくしなければならない。また、風力発電シャフトに使用する場合、20〜30年の耐久性が必要となる。
しかしながら、従来の鉄鋼材にPA樹脂をコーティングする粉体流動浸漬法では、金属との接着強度やコーティング表面の加工性等に問題があり、また、コーティングと成形を別々に行なうため、多くの工程が必要となる。
特に成形工程(ステップ108)では、バイス(303)でPA樹脂の成形を行うため、バイトの刃の耐久性が問題となる。バイス303は薄肉で繊細な工具であり、切削力が落ちると交換し、刃を研いで再び使用するが、加工するワークの量が多いと(月産数千〜数万本)一月のうちに相当回数交換が行なわれる。
また、コーティングしたPA樹脂を切削するため、大量の削り滓が生じる。例えば、シャフトの全周コーティングで、0.4mm程度の樹脂の厚さが必要な場合、粉体流動浸漬法の自由噴流による片肉を見込んで0.8mmほどの厚さにコーティングした樹脂を、バイスにより削って所望の厚さに成形するため、大量の削り滓が発生する。また、削り滓については、一度熱が加えられているため、初期状態と性質が異なり、再使用することは不可能であることが多い。
一方で、プラスチックの成型法には、ペレットを溶融させる射出成型がある。しかし、前述のようにペレットを溶融させて成型する射出成型により成型した部品と、粉体を試用して成型した部品とでは、プラスチックの性質に差が生じる。したがって、射出成形により鉄鋼材等の部品(ワーク)にPA樹脂をコーティング・成形した部品は、粉体を溶融させてコーティング・成形をした部品と同等の性質を発揮できないことがある。したがって、粉体を利用した溶融による成形法が必要となる。
本発明の鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合体を製造する方法は、下地処理した前記鉄鋼材を第一の型の中に挿入するステップであって、前記第一の型は、ポリアミド樹脂を溶融する際に前記ポリアミド樹脂を前記鉄鋼材に吸着させる型である、ステップと、前記鉄鋼材が挿入された前記第一の型に、粉体のポリアミドを充填させるステップと、前記粉体のポリアミドが充填された前記型と前記ワークを一体で加熱して、前記粉体のポリアミドを溶融するステップと、前記粉体のポリアミドの溶融後、前記ポリアミド樹脂を前記第一の型とは別の第二の型をかぶせて成形するステップとを備えることを特徴とする。
また、本発明の鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合体を製造する方法の前記第一の型は、前記接合体に必要な量の前記粉体のポリアミド樹脂のすべてが、前記第一の成形用の型の内部に収まるように設計されることを特徴とする。
また、本発明の第二の型は、ポリアミド樹脂の引けを計算して、所望の仕上げ寸法に成型品が出来上がるように設計されることを特徴とする。
また、本発明の鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合体を製造する方法の前記ポリアミド樹脂はナイロン11又は12であることを特徴とする。
従来、ワーク加熱、粉体付着、冷却、成型と行なっていた鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合の工程を、粉体充填、加熱、成形と簡略化することができる。また、バイスブローチ加工で全周行なう成形工程を成形型で発生するパーティライン切削だけで済むようになり、切削加工刃具のコスト削減ができる。また、PA樹脂の削りカスはパーティライン部分だけしか生じないため、粉体材料を有効に使用することができ、余分な粉体PA樹脂の量を減らすことができる。更に、本発明によれば、鉄鋼材部品とPA樹脂とがより強固に接着される。
従来の粉体流動浸漬法により、鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合する工程を示すフロー図である。 従来の粉体流動浸漬工程の様子を表した図である。 成形工程の様子を表した図である。 本発明に係る、粉体溶融成形法により鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合の工程を示すフロー図である。 本発明に係る、粉体溶融成形法により全周コーティングを行なう場合の各工程におけるワークの状態を示す図である。 本発明に係る、粉体溶融成形法により片面成形を行なう場合の各工程におけるワークの状態を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図4は、本発明の粉体溶融成形法を実施するための工程を示す図である。本発明に係る粉体溶融成形法は、下地処理した鉄鋼材部品(ワーク)を、第一の型(溶融型)に入れ、更に、粉体PA樹脂を充填し、型ごと熱して粉体PA樹脂を溶融させ、ワークに吸着させる。その後、溶融状態のまま、第二の型(成形型)でPA樹脂を成形する。冷却により常温に戻した後、仕上げの加工を行なう。
本発明において、被着材として使用される材料は、一般的には炭素鋼(S45C、S43C等)、合金鋼(SA材等)および非調質鋼等が使用される。しかし、鉄鋼材であれば特に制限はない。
また、本発明で鉄鋼材部品にコーティング、接着するPA樹脂としては、一般的にはナイロン樹脂、特にナイロン11(PA11)が使用される。また、部品によってナイロン12(PA12)が使用されることもある。特にナイロンは200nmのサイズのポーラス(金属表面の凹凸)に侵出できるので、表面粗面化において鉄鋼材表面に200nm以上のサイズのポーラスが形成されれば、ナイロンはポーラスに進出し、強固に接着される。ただし、PA樹脂についても本発明では特に制限はない。
以下、図面を参照しながら、各工程について詳細に説明する。
[機械加工工程]
ステップ401で、炭素鋼を、機械加工により所望の形状に加工する。
[下地処理工程]
下地処理に関しては、さまざまな方法が存在する。一般的には、サンドブラスト処理を行い(ステップ402)、その後、脱脂洗浄を行なう(ステップ403)。サンドブラスト処理に関しては、ブラストにより鉄鋼材部品(ワーク)の表面を荒らし、表面に凹凸(ポーラス)をつけることにより粗面化を行なう。サンドブラスト処理により形成される凹凸のサイズは、約20μmである。
脱脂に関しては、機械加工により付着した油分を取り除くことにより、鉄鋼材部品[ワーク]表面へのPA樹脂の食いつきが良くなる。一般的には、洗浄液として塩化メチルが使われているが、より強力な脱脂を行なう場合には、アルカリ水洗浄、トリクロールエチレン、苛性ソーダ水溶液等を使用する。
その後、従来工程ではステップ404でプライマーを塗布する。プライマーは、鉄鋼材部品とPA樹脂を接着する役割があるため、その後、鉄鋼材部品の表面上にPA樹脂を成形したときに、部品からPA樹脂がはがれにくくなる。
ここで、本発明では、プライマー塗布を省略することもできる。プライマーを塗布しない場合であっても、本発明による溶融後の成形型による圧力によって、PA樹脂の鉄鋼材表面に形成されたポーラスへの進出が起こることにより、鉄鋼材部品とPA樹脂の接着強度が増す。この場合、プライマーの接着力を超える接着力が得られる。
また、鉄鋼材部品の粗面化については、サンドブラスト処理のほかに、化学エッチング等により粗面化加工を行なうこともできる。鉄鋼材表面に化学エッチング、特に熱硫酸エッチングを行なうと、サンドブラスト処理を行なった場合より細かいがPA11が侵出可能な凹凸(ポーラス:約200nmのサイズ)が形成され、PA樹脂の吸着面積が増大することにより、アンカー効果が向上する。したがって、化学エッチングを行なった場合、サンドブラスト処理よりも鉄鋼材表面へのプラスチックの食いつきが良くなる。この場合においても、プライマーの塗布を行なわないことにより、鉄鋼材部品とPA樹脂との接着強度を向上させることができる。
化学エッチングを行なう場合、機械加工後、所望の形状に成形した鉄鋼材部品を脱脂洗浄し(ステップ405)、脱脂洗浄した部品に化学エッチングを施す(ステップ406)。この工程においては、プライマー塗布を行う必要がない。
[粉体溶融成形工程]
次に、粉体溶融成形を行なう。粉体溶融成形は、溶融型内にワークを固定し、ワークを固定した溶融型内に粉体PA樹脂を充填させ(ステップ407)、ワークとPA樹脂を溶融型ごとそのまま電気炉で加熱をする(ステップ408)。加熱後、PA樹脂が可塑性を有しているうちに、成形型を使用してPA樹脂部分を成形(ステップ410)して、完全に冷却して(ステップ411)、鉄鋼材部品とPA樹脂との接合体を製造する方法である。
ここで、溶融型は、PA樹脂を成形するものではなく、粉体PA樹脂を充填し、加熱により粉体PA樹脂を溶融させ、同じく過熱したワークに粉体PA樹脂を吸着させるために使用するものであり、粉体溶融成形の第一の型となる。したがって、所望の形状に成形するための型ではない(ワークから溶融型を取り外した時点で、所望の形状の成形が完了しているわけではない)。一方で、成形型は、軟化したPA樹脂にかぶせて圧力をかけ、ワークを所望の形状に成形することにより、最終的な製品の形状を得るものであり、粉体溶融成形の第二の型となる。また、成形型は、冷却によるポリアミド樹脂の引けを計算して、所望の仕上げ寸法に成型品(製品)が出来上がるように設計される。
溶融型及び成形型の双方は、アルミやステンレスの板を加工したもの、アルミやステンレスパイプ等を加工したもの等、簡易型で十分である。一般的にはアルミが使われるが、射出成形法のように強い圧力をかけて成形するものでないため、射出成形等に使用される耐圧型のような大きく高価な型は必要ない。また、型は離型をよくすることが必要であるため、表面が適度に荒れたものが必要である。具体的には、PA11を溶融する場合、型の内部は、20nmサイズ以下のポーラスを有する程度に粗面化された表面が必要である。これは、PA樹脂は20nmサイズ以下のポーラスには侵出しないためにPA樹脂が浮いた状態で接触面が小さくなる理由による。
粉体溶融成形の工程は、ワークの種類、及び成形後のPA樹脂部分の形の違いを考慮し、いくつかの実施の形態に分けて説明する必要がある。
1.全周コーティング成形
まず、第一の実施形態は、輸送用機器のシャフト等の周りにPA樹脂をコーティングする、全周コーティングである。この方法は、従来の粉体流動浸漬法で行っていた、シャフト等のコーディングを粉体溶融成形法で行なうものである。図4は全周コーティングを行なう場合の各工程におけるワークの状態を図で表したものである。
まず、図4(a)のような溶融型502の内部にワーク501を固定し、粉体PA樹脂503を、溶融型502とワーク501との隙間に充填させる(ステップ407)。ここで、粉体プラスチックは、溶融して固体となったプラスチックよりも体積が大きいので、充填させる粉体PA樹脂503の量は、溶融により減少する体積の分(いわゆるヒケの分)を考慮して、減少分だけ多く溶融型502に充填しなければならない。また、溶融型502は、シャフトの下端から、シャフトがコーティングされる位置の上端(公差があればその上限504)の位置まで粉体PA樹脂503が充填されるようにし、かつ、溶融により減少する体積の分だけ多めに粉体PA樹脂503を充填しなければならないため、成形型よりも内径を大きく作成する必要がある。
次に、ワーク501を固定し、粉体PA樹脂を充填した溶融型502を、電気炉に入れて、全体を過熱する(ステップ408)。鉄鋼材のシャフト(約25φ)にPA11のナイロンコーティングを行なう場合には、電気炉は約220℃〜230℃に保ち、約20分間加熱するのがよい。ただし、電気炉の温度及び加熱時間は、ワーク(鉄鋼材)や成形するプラスチックの種類によって異なるため、本発明では温度及び時間は上記に限定されない。特に、電気炉の温度は、ワークの変体点を超えない温度であることが必要である。溶融型502内で、ワーク501および粉体PA樹脂503は加熱され、また、粉体PA樹脂503は溶融し、ワーク表面に吸着してコーティングされることによりPA樹脂の皮膜が形成される。図4(b)は、電気炉での溶融の後、溶融型を外した図であるが、粉体PA樹脂は粉体PA樹脂が充填された上端、つまりワークのコーティングが行なわれる部分の上端(公差の上限504)まで吸着する。
その後、溶融型を電気炉から取り出し、ワークにコーティングされたPA樹脂がやわらかいうち(可塑性を有しているうち)にワークから溶融型502を外す。
溶融型502から取り出したワークは、成形型507により成形される(ステップ409)。図4(c)のように、溶融した粉体PA樹脂の皮膜506がまだ可塑性を有しているうちに、2つ又はそれ以上に分割した成形型507を、成形したいPA樹脂の皮膜506にかぶせて、圧力をかけることで所望の形のPA樹脂508に成形する。具体的には、外径25φのシャフト(ワーク)を、PA樹脂が可塑性を有しているうちに、シャフトの側面左右両側から成形型をかぶせ、型締め圧5kgfで圧力をかける。また、成形型507は、シャフト下端からPA樹脂をコーティングする上限の位置(公差があればその下限505)の位置までにPA樹脂がコーティングされるように設計する。
PA樹脂部分506が完全に冷却されておらず、変形が可能であるうちに成形型507をかぶせことにより、PA樹脂508の肉厚を一定化させることができる。これにより溶融時に起こったヒケ等の修正を行なうことができる。
その後、ワークの冷却を行なう(ステップ410)。成形により使用した成形型506は、複数に分離しているので、成形型507により成形すると、図4(d)のように、PA樹脂コーティング部分の表面にパーティライン509が生じる。このパーティライン509は、冷却後、バイスにより除去する。
2.片面成形
第二の実施形態は、複数のワーク表面のうち一の表面にPA樹脂を成形する、片面成形である。特に板状のワークの片側の面にPA樹脂を成形する場合に有利であり、複雑な形状を簡易な押し型で成形できる。また、射出成形と異なり、肉厚が不均一でも成形が可能である。図5は片面成形を行なう場合の各工程におけるワークの状態を図で表したものである。
まず、図5(a)のように、枡状に作られた溶融型602の底面にワーク601を置き、その上に粉体PA樹脂603を充填させる(ステップ407)。粉体PA樹脂603の分量は、全周コーティングの場合と同じく、溶融により減少する体積の分を考慮して決める。
次に、ワーク601と粉体PA樹脂603を入れた溶融型602を、電気炉に入れて、全体を過熱する(ステップ408)。上記全周コーティングと同様に、電気炉は約220℃〜230℃に保ち、約20分間加熱するのがよい。ただし、本発明では温度及び時間は上記に限定されないことは前に述べた通りである。図5(b)は、電気炉での溶融が終了した時点の様子であり、粉体PA樹脂603の体積が、溶融により減少し、ヒケが生じている。その後、溶融型602を電気炉から取り出す。
次に、図5(c)のように、溶融型602に入れたままのワークを、成形型605により成形する(ステップ409)。溶融した粉体PA樹脂604がまだ可塑性を有しているうちに、成形型605を、溶融型602上面から成形したい部分にかぶせて、圧力をかけることで所望の形に成形する。
PA樹脂部分604が完全に冷却されておらず、変形が可能であるうちに成形型をかぶせことにより、PA樹脂606の肉厚を一定化させることができる。溶融型601の上から成形型605をかぶせるので、その隙間にはパーティラインが生じる。このパーティラインは、冷却後、ブローチ加工時に、バイスにより除去する。
但し、パーティラインをエッジに設けることにより、ブローチ加工を行なわなくともよい場合もある。
最後に冷却を行なう(ステップ410)。冷却は、溶融型602、成形型605ともに、水槽607の中に入れ、ワークの温度を常温(水温)まで下げるという方法がある。二次冷却後、ワーク601から溶融型602及び成形型605を取り外し、ワーク601およびPA樹脂606を常温になるまで冷却する。
[加工工程]
最後にバイスブローチ加工を行なう(ステップ411)。バイスブローチ加工では、成形型(507,606)による成形時に生じたパーティラインの除去を、バイスで切削すること等により行なう。
本発明の粉体溶融成形を行なって、鉄鋼材等の金属とPA樹脂との接合体を製造することにより、従来、ワーク加熱、粉体付着、冷却、成型と行なっていた工程を、粉体充填、加熱、成形と簡略化することができる。特に、従来の粉体付着工程では、所望のコーティングの厚さを得るために数回、粉PA樹脂への浸漬を行なっていたところ、本発明の粉体溶融成形法工程では1度の加熱で成形できる。また、成形工程は、加熱後、完全冷却以前に行なうため、加熱工程直後に行なうことができる。更に、加工工程(ブローチ加工)でのコスト削減ができる。
また、本発明によれば、ブローチ加工はパーティラインの除去程度で足りるため、切削用バイトの消耗が激しいワーク全体の切削工程を行なわなくとも良い。また、溶融と成形が一体となり、PA樹脂の削り滓はパーティライン部分だけしか生じないため、粉体材料を有効に使用することができる。従来は、PA樹脂をコーティングしてから切削を行なっていたため、大量のPA樹脂の削りカスが生じた。しかし、本発明では粉体PA樹脂の量を調整して溶融から成形まで行ってしまうため、溶融、成形の段階で所望のサイズを得ることができ、余分な粉体PA樹脂の量を減らすことができる。
更に、本発明によれば、PA樹脂を溶融後、PA樹脂を成形する際、圧力を加えて生成系を行うため、鉄鋼材部品とPA樹脂とが強固に接着される。特に鉄鋼材部品に化学エッチングの下地処理を施した場合、鉄鋼材部品表面とPA樹脂との接着面積が増大するため、従来よりも飛躍的に接着強度が上がる。
本発明に係るそれぞれの実施形態の工程のうち、電気炉を使用した溶融法以外にも粉体の溶融を行なうことができる。例えば、近赤外線による過熱を利用した溶融ができる。この場合、溶融型をステンレスで作成、近赤外線を照射、ステンレスが過熱されることにより、型内部の粉体およびワークも過熱され溶融により成形される。
本発明のPA樹脂をコーティングした鉄鋼材部品は、トラック等の大型輸送機器部品(リバースシャフトやデファレンシャルギア等)、さらには、輸送用部品関連以外にも、風力発電用シャフトや洋上発電部品、衛生機能材、食品機械部品などの多くの分野の機械部品に使用される。
201、301、501、601 ワーク
202、503、603 粉体PA樹脂
203 流動炉
204、302、506、604 PA樹脂の皮膜
303 バイス
502、602 溶融型
503 粉体PA樹脂
504 公差(上限)
505 公差(下限)
507、605 成形型
508、606 PA樹脂
509 パーティライン
607 水槽

Claims (4)

  1. 鉄鋼材とポリアミド樹脂の接合体を製造する方法において、
    下地処理した前記鉄鋼材を第一の型の中に挿入するステップであって、前記第一の型は、ポリアミド樹脂を溶融する際に前記ポリアミド樹脂を前記鉄鋼材に吸着させる型である、ステップと、
    前記鉄鋼材が挿入された前記第一の型に、粉体のポリアミドを充填させるステップと、
    前記粉体のポリアミドが充填された前記第一の型と前記鉄鋼材を一体で加熱して、前記粉体のポリアミドを溶融するステップと、
    前記粉体のポリアミドの溶融後、前記ポリアミド樹脂を前記第一の型とは別の第二の型をかぶせて成形するステップと、
    を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記第一の型は、前記接合体に必要な量の前記粉体のポリアミド樹脂のすべてが、成形用の前記第一の型の内部に収まるように設計されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記第二の型は、ポリアミド樹脂の引けを計算して、所望の仕上げ寸法に成型品が出来上がるように設計されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記ポリアミド樹脂はナイロン11又は12であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
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