JP5973609B1 - 無人作業車の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業領域を満遍なく走行することが可能な無人作業車の制御装置を提供する。【解決手段】無人作業車の制御装置は、複数のセル200を配列してなる作業領域ARのマップMP上における作業車の位置に基づき、作業車がセル200を通過した回数であるカウント値をセル200毎に記憶する記憶部と、記憶されたカウント値に基づき、複数のセル200の中から目標セルを選択し、設定する目標セル設定部と、作業車が作業領域ARの境界線L0に到達するまでは、作業車が作業領域AR内を走行し、作業車が境界線L0に到達すると、作業車が目標セル設定部により設定された目標セルに向けて旋回した後、直進走行するように走行モータを制御する走行制御部とを備える。【選択図】図7
Description
本発明は、作業領域を自律走行して芝刈りなどの作業を行う無人作業車の制御装置に関する。
従来、エリアワイヤによって画定された作業領域を自律走行しつつ作業を行うように無人作業車の走行動作を制御する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の装置は、作業車が直進走行してエリアワイヤに到達する度に、作業車の進行方向をランダムな方向に変更し、作業車により作業領域内で作業を行わせる。
しかしながら、上記特許文献1記載の装置のように作業車をランダムな方向に旋回させて作業を行う場合、作業領域における作業頻度の高い箇所と低い箇所とのばらつきが生じやすく、作業領域全体で均一に作業を行うことが困難である。
本発明の一態様は、作業領域を自律走行するように走行手段を有する作業車を制御する無人作業車の制御装置であって、複数のセルを配列してなる作業領域のマップを生成するマップ生成手段と、マップ上における作業車の位置とともに作業領域の境界線に対する作業車の位置を検出する位置検出手段と、位置検出手段により検出されたマップ上における作業車の位置に基づき、作業車がセルを通過した回数であるカウント値をセル毎に記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶されたカウント値に基づき、複数のセルの中から目標セルを選択し、設定する目標セル設定手段と、位置検出手段により検出された作業領域の境界線に対する作業車の位置に基づき、作業車が境界線に到達したか否かを判定し、作業車が境界線に到達したと判定するまでは、作業車が作業領域内を走行し、作業車が境界線に到達したと判定すると、作業車が目標セル設定手段により設定された目標セルに向けて旋回した後、直進走行するように走行手段を制御する走行制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、作業車がセルを通過した回数であるカウント値に基づいて作業領域マップ内の目標セルを設定し、目標セルに向けて作業車を旋回させるので、作業車が作業頻度の低い箇所の作業を行うことができる。その結果、作業頻度のばらつきが減少し、作業領域全体での均一な作業が可能となる。
以下、図1〜図9を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る無人作業車の構成を概略的に示す側面図であり、図2は平面図である。本発明の制御装置は、種々の無人作業車(以下、単に作業車と呼ぶ場合もある)に適用することができるが、本実施形態では、特に芝刈り作業を行う移動式芝刈り機に適用する。なお、以下では、平面視における作業車の直進方向(長さ方向)および直進方向に垂直な車幅方向を、それぞれ前後方向および左右方向と定義するとともに、作業車の高さ方向を上下方向と定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
図1,2に示すように、無人作業車1は、シャシ11とフレーム12とを有する車体10と、車体10を接地面GRから走行可能に支持する左右一対の前輪13および左右一対の後輪14とを備える。前輪13は、ステー11aを介してシャシ11の前側に回転可能に取り付けられる。後輪14は、前輪13よりも大径であり、シャシ11の後側に直接、回転可能に取り付けられる。作業車1は、ユーザ自身が搬送可能な重量および寸法を有する。一例を挙げると、作業車1の全長(前後方向長さ)は500mm程度、全幅は300mm程度、高さは300mm程度である。
シャシ11とフレーム12とで包囲された作業車1の内部空間15には、作業機16と、作業機駆動用の作業モータ17と、後輪駆動用の走行モータ18と、充電ユニット19と、バッテリ20とが配置される。
作業機16は、回転体と回転体に取り付けられた芝刈り用のブレードとを有し、全体が略円盤形状を呈する。作業機16は、回転体中央の回転軸を上下方向に向けて配置され、高さ調節機構21により接地面GRからのブレードの高さを調整可能に構成される。高さ調節機構21は、例えばユーザにより操作可能なねじを備える。作業モータ17は、作業機16の上方に配置された電動モータにより構成され、その出力軸が回転体の回転軸に連結され、回転体と一体にブレードを回転駆動する。
走行モータ18は、左右の後輪14の左右内側に配置された一対の電動モータ18L,18Rにより構成される。走行モータ18L,18Rの出力軸は、左右の後輪14の回転軸にそれぞれ連結され、走行モータ18L,18Rは、左右の後輪14を互いに独立に回転駆動する。すなわち、作業車1は、前輪13を従動輪、後輪14を駆動輪として構成され、走行モータ18L,18Rは、左右の後輪14を互いに独立に正転(前進方向への回転)または逆転(後進方向への回転)させる。左右の後輪14の回転に速度差を生じさせることで、作業車1は任意の方向に旋回することができる。
例えば、左右の後輪14をそれぞれ正転させた際に、右後輪14の回転速度が左後輪14の回転速度よりも速いと、その速度差に応じた旋回角で作業車1は左方に旋回する。一方、左後輪14の回転速度が右後輪14の回転速度よりも速いと、その速度差に応じた旋回角で作業車1は右方に旋回する。左右の後輪14を互いに同一速度で一方を正転、他方を逆転させると、作業車1はその場で旋回する。
充電ユニット19は、AC/DC変換器を含み、フレーム12の前端部に設けられた端子22に配線を介して接続されるとともに、バッテリ20に配線を介して接続される。端子22は、接点22aを有し、端子22が接点22aを介して充電ステーション3(図4参照)に接続することで、バッテリ20に充電することができる。バッテリ20は、配線を介して作業モータ17と走行モータ18とに接続され、作業モータ17と走行モータ18とは、ドライバを介してバッテリ20から供給される電力により駆動する。
作業車1の前部には、左右方向に離間して一対の磁気センサ51(磁気センサ51L,51R)が配置される。より具体的には、図2に示すように、作業車1の車幅方向中心を通り、かつ、直進方向に向かう中心線CLに対して左右対称に、一対の磁気センサ51L,51Rが配置される。
図3は、本発明の実施形態に係る無人作業車の制御装置の構成を示すブロック図である。図3において、作業車1に搭載されたECU(電子制御ユニット)40は、CPU,ROM,RAM、その他の周辺回路などを有する演算処理装置を含んで構成されるマイクロコンピュータである。
ECU40には、作業車1の各種状態を検出するセンサ群50と、充電ユニット19と、バッテリ20と、入力部25と、表示部26と、作業モータ17と、左右一対の走行モータ18(18L,18R)とが接続される。センサ群50は、左右一対の磁気センサ51(51L,51R)と、Yawセンサ52と、Gセンサ53と、方位センサ54と、GPSセンサ55と、接触センサ56と、左右一対の車輪速センサ57(57L,57R)と、電圧センサ58とを含む。
磁気センサ51は、磁界の大きさ(磁界強度)を示す信号を出力する。Yawセンサ52は、作業車1の高さ方向の軸線(Z軸)回りに生じる角速度(ヨーレート)を示す信号を出力する角速度センサであり、Yawセンサ52からの信号により作業車1のZ軸回りの旋回角を検出することができる。Gセンサ53は、作業車1に作用する直交3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度を示す信号を出力する。方位センサ54は、地磁気に応じた信号を出力する2軸または3軸構造の地磁気センサであり、方位センサ54からの信号により所定方位(例えば北)に対する作業車1の向きを検出することができる。
GPSセンサ55は、GPS衛星からの電波を受信し、作業車1の現在位置(緯度、経度)を検出する。接触センサ56は、作業車1が障害物等に接近または接触するとオン信号を出力する。車輪速センサ57L,57Rは、左右の後輪14の車輪速を示す信号をそれぞれ出力し、車輪速センサ57からの信号により、作業車1の走行距離を算出することができる。電圧センサ58は、バッテリ20の残電圧を検出する。
入力部25は、ユーザにより操作される各種スイッチ、例えば作業車1の動作開始等を指令するメインスイッチおよび非常停止を指令する非常停止スイッチと、ユーザにより操作されるテンキーおよびカーソルキーとを含む。表示部26は、ユーザに提供するための各種情報を表示するディスプレイにより構成される。
以上のように構成された作業車1は、予め定められた作業領域内を自律走行して作業を行う。図4は、作業領域ARの一例を示す図である。作業領域ARは、予め敷設(例えば接地面GRから所定深さに埋設)されたエリアワイヤ2によって画定される。エリアワイヤ2には電流が流され、これにより作業領域ARに磁界が発生する。なお、エリアワイヤ2上には、バッテリ20を充電するための充電ステーション3が配置される。作業領域ARは、作業車1の走行範囲を規定し、作業予定領域の他、作業を行わない非作業の領域を含んでもよい。
図5は、エリアワイヤ2からの距離dと磁界強度Hとの関係を示す図である。図5に示すように、磁界強度Hは、エリアワイヤ2からの距離dに応じて変化する。すなわち、磁界強度Hは、エリアワイヤ2上において0となり、作業領域ARの内側でプラス、外側でマイナスの値となる。作業時には、ECU40が磁気センサ51L,51Rからの検出値を読み込み、検出値がマイナスになると、例えばYawセンサ52の検出値に基づき作業車1を作業領域ARの内側に向けてランダムな角度に旋回させる。これにより作業領域ARの内側で作業車1を走行(例えばランダムに直進走行)させながら作業を行うことができる。
本実施形態では、ECU40からの指令により、作業車1を作業モードとトレースモードと帰還モードとで動作させる。作業モードは、作業車1が作業領域AR内を自律走行しながら作業(芝刈り作業)を行うモードである。帰還モードは、バッテリ20への充電が必要になったときに、作業車1を充電ステーション3まで帰還させるモードである。トレースモードは、エリアワイヤ2に沿って作業車1を走行させるモードである。トレースモードは、作業モードの前に実行され、トレースモードにおいて作業領域ARを把握する。作業領域ARを把握した後は、作業モードの度にトレースモードを実行する必要はない。
図6は、トレースモード時の作業車1の動作を示す図である。図6に示すように、トレースモードにおいては、一対の磁気センサ51R,51Lのうち一方の磁気センサ(例えば51L)をエリアワイヤ2の内側に位置させた状態で、他方の磁気センサ(例えば51R)がエリアワイヤ2上を矢印A方向に移動するように、ECU40の指令によりエリアワイヤ2に沿って作業車1を周回走行させる。すなわち、ECU40が磁気センサ51Rの出力を監視し、磁気センサ51Rによって検出される磁界強度Hが0となるように走行モータ18L,18Rを制御する。
例えば、磁気センサ51Rによって検出される磁界強度Hがプラスになると、右側の走行モータ18Rを減速かつ左側の走行モータ18Lを増速させ、作業車1を右側に旋回させる。一方、磁気センサ51Rによって検出される磁界強度Hがマイナスになると、右側の走行モータ18Rを増速かつ左側の走行モータ18Lを減速させ、作業車1を左側に旋回させる。これにより、磁気センサ51Rをエリアワイヤ2に近づけ、磁気センサ51Rにより検出される磁界強度Hを0に維持する。
トレースモードは、作業車1の端子22が充電ステーション3の端子に接続した状態から開始され、作業車1がエリアワイヤ2に沿って周回走行した後、端子22が再度端子に接続したときに終了する。トレース走行開始から終了までの作業車1の位置は、GPSセンサ55により検出される。ECU40は、GPSセンサ55からの信号に基づき、充電ステーション3を基準(原点)とした作業領域ARの境界線(図7のL0)の位置座標を特定する。
ところで、作業モードには、一般に、ランダム走行モードとパラレル走行モードとがある。図4に示すように、ランダム走行モードは、作業車1がエリアワイヤ2に到達する度に、作業車1をランダムな角度に旋回させ、作業領域AR内で作業車1をランダムな方向に直進走行(ランダム走行)させるモードである。パラレル走行モードは、作業車1がエリアワイヤ2に到達する度に、作業車1を所定方向に所定ピッチだけずらし、作業領域AR内で作業車1を所定方向に往復走行(パラレル走行)させるモードである。
パラレル走行モードによれば、作業車1は作業領域AR内を万遍なく走行することができるが、所定方向に往復走行するため、作業領域ARに轍が生じやすく、見栄えを損なう。したがって、作業領域AR内で芝刈り作業を行う場合、作業車1をランダム走行モードで走行させることが好ましい。しかしながら、ランダム走行モードで走行させると、作業頻度の高い箇所と低い箇所とのばらつきが生じ、芝の刈り取り高さに場所毎の高低差が生じやすい。また、所定高さ以上の芝を刈り取る場合、作業機16(作業モータ17)に作用する負荷が増大し、作業を行うこと自体困難となるおそれがある。そこで、本実施形態では、ランダム走行モードにおいて作業領域AR内で均一に作業を行わせるため、以下のように無人作業車の制御装置を構成する。
図3に示すように、ECU40は機能的構成として、マップ生成部41と、記憶部42と、目標セル設定部43と、走行制御部44とを有する。
マップ生成部41は、トレースモードにおいて作業車1をトレース走行させた際のGPSセンサ55の検出値に基づき、作業領域ARのマップ(作業領域マップMP)を生成する。なお、トレースモードによる走行は、エリアワイヤ2を敷設した後に一度だけ行えばよく、このときに得られた作業領域マップMPは、ECU40の記憶部(例えば記憶部42あるいは他のメモリ)に記憶される。
図7は、作業領域マップMPの一例を示す図である。なお、図7において、作業領域マップMP上のエリアワイヤ2の位置は、作業領域ARの境界線L0によって表す。作業領域マップMPは、GPSセンサ55により検出されたエリアワイヤ2の位置(緯度、経度)と充電ステーション3の位置(緯度、経度)とを用いて形成される。
具体的には、トレース走行開始時の充電ステーション3の位置を原点とし、かつ、方位センサ54により規定される所定方向を基準とした直交2軸座標の平面(XY平面)上において、境界線L0の内側の作業領域ARを格子状に等間隔に分割する。これにより作業領域ARに複数のセル200を配列し、作業領域マップMPを形成する。このようにして形成された作業領域マップMPの各セル200は、それぞれ固有の位置座標(X座標、Y座標)を有する。なお、境界線L0の内側の作業領域ARを等間隔に分割するのではなく、所定位置(例えば充電ステーション3の位置)を起点としてX方向およびY方向に所定ピッチ毎にセル200を形成してもよい。セル200の寸法は適宜変更可能であり、例えば作業機16の作業幅(ブレード最外径)に一致するように寸法を設定してもよい。
記憶部42は、各々のセル200の固有のセル情報を記憶する。セル情報は、セル200の位置情報と、作業モード時に作業車1が通過した回数の情報、すなわち各々のセル200に対する作業回数を表すカウント値nとを含む。記憶部42は、GPSセンサ55の検出値に基づいて作業モード時に作業車1が通過した作業領域マップMP上のセル200を特定し、作業車1が通過する度にそのセル200のカウント値nに1を加算してカウント値nを更新する。
例えば、図7の矢印に示すように作業領域ARを作業車1が走行した場合、作業車1が通過した作業領域マップMP上のセル201(斜線)のカウント値nは1だけ増加する。セル202については、作業車1が2回通過するため、カウント値nは2だけ増加する。このように記憶部42がセル200毎の作業回数の情報を記憶することで、各セル200における作業頻度を特定することができる。
目標セル設定部43は、記憶部42で記憶したカウント値nの情報に基づき、作業領域AR内のセル200の中から作業を行うべきセル200を選択し、これを目標セル210として設定する。目標セル210は、例えば作業領域マップMP全体におけるカウント値nの平均(平均カウント値)に基づいて設定される。平均カウント値は、作業領域マップMP全体における各セル200のカウント値nの合計(総和)を、作業領域マップMP全体のセル200の個数で除算することにより得られる。
したがって、目標セル設定部43は、平均カウント値を算出するとともに、作業領域AR内のセル200のうち、記憶部42に記憶されたカウント値nが平均カウント値よりも所定値(例えば5)以上小さいセル200を目標セル210に設定する。所定値は0以上の整数であり、入力部25を介してユーザが適宜指定することができる。ただし、作業車1はエリアワイヤ2(境界線L0)を乗り越えることができないため、セル200と作業車1との間に境界線L0がないことを目標セル210の設定の条件とする。なお、平均カウント値に基づいて目標セル210を設定するのではなく、記憶部42に記憶されたカウント値nが所定値(例えば5)以下のセル200を目標セル210に設定することもできる。この場合もユーザは、入力部25を介して0以上の整数を所定値として適宜入力することができる。
走行制御部44は、作業モードにおいて、作業領域AR内を作業車1がランダムに直進走行するように走行モータ18を制御する。また、磁気センサ51の検出値に基づき作業車1が境界線L0(エリアワイヤ2)に到達したか否かを判定し、境界線L0に到達したと判定すると、方位センサ54の検出値に基づき作業車1を目標セル210に向けて旋回させる。
図8は、作業モードにおけるECU40で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば充電ステーション3から作業車1が離脱すると開始される。
まず、ステップS1で、走行モータ18に制御信号を出力し、作業領域AR内で作業車1を直進走行させる。次いで、ステップS2で、GPSセンサ55により作業車1の位置情報(緯度、経度)を取得し、その位置情報に基づき、作業領域マップMP上における作業車1の位置を検出する。次いで、ステップS3で、記憶部42での処理により、作業車1が位置する作業領域マップMP上のセル200を特定し、そのセル200のセル情報に含まれるカウント値nに1を加算して、カウント値nを更新する。
次いで、ステップS4で、走行制御部44での処理により、磁気センサ51の検出値に基づき作業車1が境界線L0に到達したか否かを判定する。ステップS4で肯定されるとステップS5に進み、否定されるとステップS1に戻る。ステップS5では、走行制御部44での処理により、走行モータ18に制御信号を出力して作業車1の走行を停止させる。
次いで、ステップS6で、目標セル設定部43での処理により、記憶部42に記憶されたカウント値nから平均カウント値を算出し、作業領域マップMP全体のセル200のうち、平均カウント値よりも所定値(例えば5)以上小さいカウント値nを有するセル200が存在するか否かを判定する。ステップS6で否定されるとステップS7に進み、肯定されるとステップS8に進む。
ステップS7では、走行制御部44での処理により、走行モータ18に制御信号を出力し、作業車1を作業領域ARの内側に向けてランダムな角度分、旋回させる。すなわち、この場合には、セル200毎のカウント値nのばらつきが少ないため、目標セル210を設定することなく、作業車1をランダムな角度分、旋回させる。例えば、乱数発生器を用いて作業領域ARの内側に向かうランダムな旋回角を算出し、Yawセンサ52の出力に基づいて作業車1をその旋回角だけ旋回させる。次いで、ステップS1に戻る。
一方、ステップS8では、目標セル設定部43での処理により、作業領域マップMP全体のセル200からカウント値nが最小のセル200を選択し、これを目標セル210に設定する。この場合、カウント値nが最小のセル200が複数ある場合には、作業車1とセル200との間に境界線L0が存在するセル200を除外し、残りのセル200から目標セル210を選択する。すなわち、作業車1の現在位置とセル200とを直線で結んだ線分が境界線L0に交差するか否かを判定し、境界線L0に交差する場合には、そのセル200を目標セル210の候補から除外する。カウント値nが最小であるセル200を全て目標セル210の候補から除外する場合には、カウント値nが次に小さいセル200の中から目標セル210を選択する。
次いで、ステップS9で、走行制御部44での処理により、目標セル210に向かう作業車1の向き(目標向き)を算出する。さらに、走行モータ18に制御信号を出力し、方位センサ54の出力に基づいて作業車1の向きがこの目標向きとなるように作業車1を目標セル210に向けて旋回させる。次いで、ステップS1に戻る。これにより作業車1が目標セル210に向けて直進走行し、目標セル210上で作業を行うことができる。
本実施形態に係る無人作業車の制御装置の動作をより具体的に説明する。
図9は、作業領域マップMPの他の例(図7の変形例)を示す図である。図中、作業領域マップMPの周縁の領域MP1は、エリアワイヤ2が敷設された境界線L0の領域に相当する。なお、図9では、作業領域マップMPの個々のセル200の図示を省略している。
図9は、作業領域マップMPの他の例(図7の変形例)を示す図である。図中、作業領域マップMPの周縁の領域MP1は、エリアワイヤ2が敷設された境界線L0の領域に相当する。なお、図9では、作業領域マップMPの個々のセル200の図示を省略している。
作業モードにおいて作業領域ARを直進走行中の作業車1が、位置Aにおいてエリアワイヤ2(境界線L0)に到達したと仮定する。このとき、目標セル設定部43は、各セル200のカウント値nを平均した平均カウント値を算出し、カウント値nが平均カウント値よりも所定値以上小さいセル200があるか否かを判定する(ステップS6)。そのようなセル200がない場合には、各セル200の作業回数の差が少なく、芝の高さの高低差も少ない。この場合、作業車1はランダムな角度で旋回する(ステップS7)。
一方、カウント値nが平均カウント値よりも所定値以上小さいセル200があると、目標セル設定部43は、その条件を満たすセル200のうち、作業車1とセル200との間に境界線L0がないセル200を目標セル210に設定する(ステップS8)。例えば、図9のセル210a,210bはともに、カウント値nが平均カウント値よりも所定値以上小さいという条件を満たし、セル210aのカウント値nの方がセル210bのカウント値nよりも小さいとする。
この場合、作業車1とセル210aとの間には境界線L0が存在するため、作業車1はセル210aの方向(矢印A1方向)に走行することができない。したがって、目標セル設定部43は、目標セル210の候補からセル210aを除外し、セル210bを目標セル210として設定する。目標セル210の設定が完了すると、作業車1は目標セル210に向かって旋回し(ステップS9)、その後、矢印A2方向に直進走行する(ステップS1)。これにより作業車1はカウント値nの小さいセル210b上を通過する。したがって、作業頻度の低い箇所における芝刈り作業を行うことができ、作業領域AR内で均一な芝刈り作業を実現できる。
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)作業領域ARを自律走行するように走行モータ18(走行手段の一例)を有する作業車1を制御する無人作業車の制御装置は、複数のセル200を配列してなる作業領域ARのマップMPを生成するマップ生成部41(マップ生成手段の一例)と、作業領域マップMP上における作業車1の位置とともに作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置を検出するGPSセンサ55および磁気センサ51(位置検出手段の一例)と、GPSセンサ55により検出された作業領域マップMP上における作業車1の位置に基づき、作業車1がセル200を通過した回数であるカウント値nをセル200毎に記憶する記憶部42(記憶手段の一例)と、記憶部42に記憶されたカウント値nに基づき、複数のセル200の中から目標セル210を選択し、設定する目標セル設定部43(目標セル設定手段の一例)と、磁気センサ51により検出された作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置に基づき、作業車1が境界線L0に到達したか否かを判定し、作業車1が境界線L0に到達したと判定するまでは、作業車1が作業領域AR内を走行し、作業車1が境界線L0に到達したと判定すると、作業車1が目標セル設定部43により設定された目標セル210に向けて旋回した後、直進走行するように走行モータ18を制御する走行制御部44(走行制御手段の一例)とを備える。
(1)作業領域ARを自律走行するように走行モータ18(走行手段の一例)を有する作業車1を制御する無人作業車の制御装置は、複数のセル200を配列してなる作業領域ARのマップMPを生成するマップ生成部41(マップ生成手段の一例)と、作業領域マップMP上における作業車1の位置とともに作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置を検出するGPSセンサ55および磁気センサ51(位置検出手段の一例)と、GPSセンサ55により検出された作業領域マップMP上における作業車1の位置に基づき、作業車1がセル200を通過した回数であるカウント値nをセル200毎に記憶する記憶部42(記憶手段の一例)と、記憶部42に記憶されたカウント値nに基づき、複数のセル200の中から目標セル210を選択し、設定する目標セル設定部43(目標セル設定手段の一例)と、磁気センサ51により検出された作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置に基づき、作業車1が境界線L0に到達したか否かを判定し、作業車1が境界線L0に到達したと判定するまでは、作業車1が作業領域AR内を走行し、作業車1が境界線L0に到達したと判定すると、作業車1が目標セル設定部43により設定された目標セル210に向けて旋回した後、直進走行するように走行モータ18を制御する走行制御部44(走行制御手段の一例)とを備える。
このように作業車1がセル200を通過した回数であるカウント値nに基づいて作業領域マップMP内の目標セル210を設定し、目標セル210に向けて作業車1を旋回させることで、作業頻度の低い箇所に作業車1を導いて作業を行わせることができる。その結果、作業頻度のばらつきが小さくなり、作業領域AR全体で均一に作業を行うことができる。すなわち、ランダム走行によって作業車1を作業領域AR内で満遍なく走行させることができ、芝の高低差が小さくなり、作業領域AR全体の見栄えが向上する。
(2)目標セル設定部43は、複数のセル200のカウント値nの合計をセル200の個数で除算した平均カウント値を算出するとともに、記憶部42に記憶されたカウント値nが平均カウント値よりも所定値以上小さいセル200を目標セル210に設定する(ステップS8)。このように平均カウント値との差が大きいセル200を目標セル210に設定することで、作業頻度が最も少ない箇所を検索して作業を行わせることができ、効率的な作業が可能である。
(3)目標セル設定部43は、記憶部42に記憶されたカウント値nが所定値以下のセル200を目標セル210に設定することもできる。この場合、目標セル210の設定が容易である。
(4)目標セル設定部43は、複数のセル200から、走行制御部44により作業車1が境界線L0に到達したと判定されたときの作業車1とセル200との間に境界線L0が存在するセル200を除外して、目標セル210を設定する(ステップS8)。したがって、作業車1と目標セル210との間に境界線L0は存在しないため、作業車1は目標セル210に容易に到達することができ、目標セル210での確実な作業が可能である。
(5)作業領域ARはエリアワイヤ2により画定され、エリアワイヤ2を流れる電流によって生じる磁界を検出する磁気センサ51(磁気検出器の一例)により、作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置を検出する。これにより作業車1が境界線L0に到達したか否かを精度よく検出することができ、作業車1をタイミングよく旋回させることができる。
−変形例−
上記実施形態は、例えば以下のような変形が可能である。上記実施形態では、エリアワイヤ2によって作業領域ARを画定したが、エリアワイヤ2を用いずに作業領域ARを画定してもよい。エリアワイヤ2の内側の全域ではなく、一部の領域に作業領域ARを設定してもよい。例えば、作業領域マップMP上のエリアワイヤ2の内側に、ユーザが任意に仮想境界線を設定し、仮想境界線を介して作業領域ARを画定してもよい。したがって、作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置を磁気センサ51(磁気検出器)以外、例えばGPSセンサ55、カメラ、障害物検出器等により検出してもよい。上記実施形態では、マップMP上における作業車1の位置と作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置とを別々の検出器(GPSセンサ55、磁気センサ51)により検出するようにしたが、同一の検出器により検出してもよい。上記実施形態では、GPSセンサ55により作業車1の位置を検出したが、Yawセンサ52と車輪速センサ57との検出値により作業車1の位置を検出することもできる。したがって、位置検出手段の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態は、例えば以下のような変形が可能である。上記実施形態では、エリアワイヤ2によって作業領域ARを画定したが、エリアワイヤ2を用いずに作業領域ARを画定してもよい。エリアワイヤ2の内側の全域ではなく、一部の領域に作業領域ARを設定してもよい。例えば、作業領域マップMP上のエリアワイヤ2の内側に、ユーザが任意に仮想境界線を設定し、仮想境界線を介して作業領域ARを画定してもよい。したがって、作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置を磁気センサ51(磁気検出器)以外、例えばGPSセンサ55、カメラ、障害物検出器等により検出してもよい。上記実施形態では、マップMP上における作業車1の位置と作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置とを別々の検出器(GPSセンサ55、磁気センサ51)により検出するようにしたが、同一の検出器により検出してもよい。上記実施形態では、GPSセンサ55により作業車1の位置を検出したが、Yawセンサ52と車輪速センサ57との検出値により作業車1の位置を検出することもできる。したがって、位置検出手段の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、ECU40のマップ生成部41が、複数のセル200を配列してなる作業領域ARのマップMPを生成したが、マップ生成手段の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、ECU40の記憶部42が、GPSセンサ55により検出された作業領域マップMP上における作業車1の位置に基づき、作業車1がセル200を通過した回数であるカウント値nをセル200毎に記憶したが、記憶手段の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態では、ECU40の目標セル設定部43が、複数のセル200のカウント値nの合計をセル200の個数で除算した平均カウント値を算出するとともに、記憶部42に記憶されたカウント値nが平均カウント値よりも所定値以上小さいセルを目標セル210に設定するようにした。あるいは記憶部42に記憶されたカウント値nが所定値以下のセル200を目標セル210に設定するようにした。さらに、目標セル設定部43は、複数のセル200から、走行制御部44により作業車1が境界線L0に到達したと判定されたときの作業車1とセル200との間に境界線L0が存在するセル200を除外して、目標セル210を設定するようにした。しかしながら、記憶部42に記憶されたカウント値nに基づき複数のセル200の中からセル200を選択し、これを目標セル210として設定するのであれば、目標セル設定手段の構成はいかなるものでもよい。
上記実施形態では、磁気センサ51により検出された作業領域ARの境界線L0に対する作業車1の位置に基づき、作業車1が境界線L0に到達したか否かを判定し(ステップS4)、作業車1が境界線L0に到達するまでは、作業車1が作業領域AR内を直進走行し(ステップS4→ステップS1)、作業車1が境界線L0に到達したと判定すると、作業車1が目標セル設定部43により設定された目標セル210に向けて旋回した後、直進走行するように(ステップS9→ステップS1)走行モータ18を制御したが、走行制御手段の構成は上述したものに限らない。例えば、作業車1が境界線L0に到達するまでの作業車1の走行は、直進走行に限らない。
上記実施形態では、左右一対の走行モータ18L,18Rにより作業車1を走行かつ旋回させるようにしたが、走行手段の構成はこれに限らない。例えば、前輪13あるいは後輪14を操舵可能なアクチュエータを作業車1に搭載し、アクチュエータの駆動により作業車(前輪13、後輪14)を旋回させるようにしてもよい。作業車1に、左右一対の磁気センサ51L,51Rではなく、単一の磁気センサ51を設けるようにしてもよい。したがって、作業車1の構成は上述したものに限らない。
上記実施形態は、芝刈り作業車に適用したが、本発明は、これに限らず種々の無人作業車に適用可能である。したがって、作業機16の構成は上述したものに限らない。
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態および変形例の構成要素には、発明の同一性を維持しつつ置換可能かつ置換自明なものが含まれる。すなわち、本発明の技術的思想の範囲内で考えられる他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。また、上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能である。
1 無人作業車、2 エリアワイヤ、18 走行モータ、40 ECU、41 マップ生成部、42 記憶部、43 目標セル設定部、44 走行制御部、52 Yawセンサ、54 方位センサ、55 GPSセンサ、61 セル、200 セル、210 目標セル、n カウント値
Claims (5)
- 作業領域を自律走行するように走行手段を有する作業車を制御する無人作業車の制御装置であって、
複数のセルを配列してなる前記作業領域のマップを生成するマップ生成手段と、
前記マップ上における前記作業車の位置とともに前記作業領域の境界線に対する前記作業車の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段により検出された前記マップ上における前記作業車の位置に基づき、前記作業車が前記セルを通過した回数であるカウント値を前記セル毎に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記カウント値に基づき、前記複数のセルの中から目標セルを選択し、設定する目標セル設定手段と、
前記位置検出手段により検出された前記作業領域の境界線に対する前記作業車の位置に基づき、前記作業車が前記境界線に到達したか否かを判定し、前記作業車が前記境界線に到達したと判定するまでは、前記作業車が前記作業領域内を走行し、前記作業車が前記境界線に到達したと判定すると、前記作業車が前記目標セル設定手段により設定された前記目標セルに向けて旋回した後、直進走行するように前記走行手段を制御する走行制御手段とを備えることを特徴とする無人作業車の制御装置。 - 請求項1に記載の無人作業車の制御装置において、
前記目標セル設定手段は、前記複数のセルの前記カウント値の合計をセルの個数で除算した平均カウント値を算出するとともに、前記記憶手段に記憶された前記カウント値が前記平均カウント値よりも所定値以上小さいセルを前記目標セルに設定することを特徴とする無人作業車の制御装置。 - 請求項1に記載の無人作業車の制御装置において、
前記目標セル設定手段は、前記記憶手段に記憶された前記カウント値が所定値以下のセルを前記目標セルに設定することを特徴とする無人作業車の制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の無人作業車の制御装置において、
前記目標セル設定手段は、前記複数のセルから、前記走行制御手段により前記作業車が前記境界線に到達したと判定されたときの前記作業車とセルとの間に前記境界線が存在するセルを除外して、前記目標セルを設定することを特徴とする無人作業車の制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の無人作業車の制御装置において、
前記作業領域はエリアワイヤにより画定され、
前記位置検出手段は、前記エリアワイヤを流れる電流によって生じる磁界を検出する磁気検出器を含み、該磁気検出器により前記作業領域の境界線に対する前記作業車の位置を検出することを特徴とする無人作業車の制御装置。
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