JP5972804B2 - ダイナミックダンパ装置及びトルクコンバータのロックアップ装置 - Google Patents

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本発明は、ダイナミックダンパ装置、特に、ロックアップ装置のピストンと流体式動力伝達装置のタービンハブとの間に配置されたダイナミックダンパ装置に関する。また、本発明は、ロックアップ装置、特に、フロントカバーからタービンハブに機械的に動力を伝達するためのトルクコンバータのロックアップ装置に関する。
トルクコンバータにおいては、燃費低減のためにロックアップ装置が設けられている。ロックアップ装置は、タービンとフロントカバーとの間に配置されており、フロントカバーとタービンとを機械的に連結して両者の間でトルクを直接伝達するものである。
ロックアップ装置は、一般に、ピストンとダンパ機構とを有している。ピストンは、油圧の作用によってフロントカバーに押し付けられ、フロントカバーからトルクが伝達される。また、ダンパ機構は複数のトーションスプリングを有しており、この複数のトーションスプリングによって、ピストンとタービンに連結された出力側の部材とが弾性的に連結されている。このようなロックアップ装置では、ピストンに伝達されたトルクは、複数のトーションスプリングを介して出力側の部材に伝達され、さらにタービンに伝達される。
また、特許文献1には、出力側の部材にイナーシャ部材を装着することにより、エンジンの回転変動を抑えるようにしたロックアップ装置が示されている。この特許文献1に示されたロックアップ装置は、タービンに固定された出力部材に相対回転可能にイナーシャ部材が装着されている。また、出力部材とイナーシャ部材との間には弾性部材としてのトーションスプリングが設けられている。
この特許文献1のロックアップ装置では、出力部材にトーションスプリングを介してイナーシャ部材が連結されているため、イナーシャ部材及びトーションスプリングがダイナミックダンパとして機能し、これらによって出力側の部材(タービン)の回転速度変動が減衰される。
特開2009−293671号公報
最近の乗用車においては、燃費向上のために、フロントカバーとタービンとが連結される回転数(以下、「ロックアップ回転数」と記す)を、より低い回転数にすることが求められている。しかし、一般にエンジン回転数が低い領域ではエンジンの回転速度変動が大きいので、ロックアップ回転数を低い回転数にすると、出力側の回転速度変動がより大きくなってしまう。そこで、特許文献1に示すようなイナーシャ部材を有するロックアップ装置を用いることにより、ロックアップ回転数を例えば1200rpm程度にしても、回転変動を抑えることができる。
しかし、例えば1200rpm付近で出力側の回転速度変動が最小になるような仕様にした場合、1600rpm付近で回転速度変動が大きくなるという問題がある。この回転速度変動の特性、すなわちどの回転数付近で回転速度変動が最小になり、また最大になるかは、主に、出力部材とイナーシャ部材との間で発生するヒステリシストルクの大小に起因している。
特許文献1に示されたロックアップ装置においては、ヒステリシストルク発生機構が設けられているが、広い回転数域において出力側の回転速度変動を抑えることはできない。
本発明の課題は、ロックアップ回転数を低い回転数に設定した場合でも、広い回転数域において出力側の回転変動を抑えることができるようにするとともに、装置全体をコンパクトにすることにある。
本発明の第1側面に係るダイナミックダンパ装置は、ロックアップ装置のピストンとトルクコンバータのタービンハブとの間に配置されたダイナミックダンパ装置であって、環状の1対のプレートと、環状のハブフランジと、イナーシャ部材と、弾性部材と、ヒステリシストルク発生機構と、を備えている。1対のプレートはピストンからトルクが入力されるとともにタービンハブに連結可能である。ハブフランジは、1対のプレートの間に1対のプレートに対して相対回転可能に配置され、複数の開口を有する。イナーシャ部材はハブフランジに固定されている。弾性部材は1対のプレートとハブフランジとを回転方向に弾性的に連結する。ヒステリシストルク発生機構は、ハブフランジの開口に収容され、1対のプレートとハブフランジとの間で可変のヒステリシストルクを発生する。
この装置では、トルクは、ピストンを介して1対のプレートに入力され、1対のプレートが連結されるタービンハブに出力される。1対のプレートの間には、弾性部材を介してイナーシャ部材が固定されたハブフランジが配置されている。このイナーシャ部材によって回転速度変動が抑えられる。
ここで、1対のプレートとハブフランジとは相対回転しており、両者の間にはヒステリシストルク発生機構によって発生したヒステリシストルクが作用している。このヒステリシストルクの大きさによって、出力側の回転速度変動の特性が変化する。
そこで、この発明では、回転数域によってヒステリシストルクを変化させ、広い回転数域において出力側の回転速度変動が小さくなるようにしている。したがって、ロックアップ回転数を低い回転数に設定した場合でも、広い回転数領域において回転速度変動を抑えることができる。
また、ヒステリシストルク発生機構は、ハブフランジに形成された開口に収容されているので、ヒステリシストルク発生機構を設けたことによって軸方向寸法が長くなるのを抑えることができる。さらに、ハブフランジの開口を形成するために切り抜かれた部材を、ヒステリシストルク発生機構の構成部材とすることができ、材料の歩留まりを向上させることができる。
本発明の第2側面に係るダイナミックダンパ装置は、第1側面の装置において、ヒステリシストルク発生機構は、低回転数域では第1ヒステリシストルクを発生し、中回転数域から高回転数域では第1ヒステリシストルクよりも大きな第2ヒステリシストルクを発生する。
出力側の回転速度変動は、1対のプレートとハブフランジとの間のヒステリシストルクが小さい場合には低回転数域で小さくなり、逆に大きい場合には中回転数域で小さくなる。そこで、この発明では、低回転数域では第1ヒステリシストルクを発生し、中回転数域から高回転数域ではより大きな第2ヒステリシストルクを発生するようにしている。したがって、広い回転数域で出力側の回転速度変動を抑えることができる。
本発明の第3側面に係るダイナミックダンパ装置は、第1又は第2側面の装置において、ヒステリシストルク発生機構は、1対のプレートを相対回転不能に連結するストップピンと、スライダと、を有している。スライダは、ハブフランジの開口に沿って径方向に移動自在であり、ハブフランジに対して1対のプレートが相対回転した際にストップピンが摺動可能な溝を有する。
ここでは、1対のプレートを連結するストップピンとスライダによってヒステリシストルク発生機構を構成でき、ヒステリシストルク発生機構の構成を簡単にすることができる。また、スライダは、ハブフランジの開口を形成する際に抜き取った部材で構成でき、材料の歩留まりが向上する。
本発明の第4側面に係るダイナミックダンパ装置は、第3側面の装置において、ヒステリシストルク発生機構は、スライダを径方向内方に付勢する付勢部材をさらに有している。また、スライダは、遠心力で付勢部材の付勢力に抗して径方向外方に移動した際に、ストップピンに当接して1対のプレートとハブフランジとの相対回転を禁止するロック部を有している。
ここでは、エンジン回転数が高い領域では、ロック部によって1対のプレートとハブフランジとの相対回転が確実に禁止される。
本発明の第5側面に係るロックアップ装置は、フロントカバーから流体式動力伝達装置のタービンハブに機械的に動力を伝達するためのロックアップ装置であって、フロントカバーに押し付けられるピストンと、第1から第4側面のいずれかに記載のダイナミックダンパ装置と、ピストンとダイナミックダンパ装置とを回転方向に弾性的に連結する弾性部材と、を備えている。
以上のような本発明では、ロックアップ回転数をより低い回転数に設定でき、しかも広い回転数域においてタービン回転変動を抑えることができる。このため、低燃費の実現が可能になる。また、コンパクトな構成でヒステリシストルク発生機構を実現することができる。
本発明の一実施形態によるロックアップ装置を備えたトルクコンバータの断面構成図。 前記ロックアップ装置の断面構成図。 図1のダイナミックダンパ装置を抽出して示す図。 ダイナミックダンパ装置の正面図。 図4のスライダの一部を拡大して示す図。 スライダの拡大部分図。 エンジン回転数と回転速度変動の特性図。 ヒステリシストルク発生機構の動作を説明するための図。 ヒステリシストルク発生機構の動作を説明するための図。
[全体構成]
図1に、本発明の一実施形態によるトルクコンバータを示す。図1の左側にはエンジンが配置され、図1の右側にはトランスミッションが配置されている。図1に示す線O−Oはトルクコンバータの回転軸線である。なお、トルクコンバータの本体部分については、一部を省略して示している。
トルクコンバータ1は、エンジンのクランクシャフトからトランスミッションの入力シャフトに動力を伝達するための装置であり、主に、動力が入力されるフロントカバー2と、インペラ3と、タービン4と、ステータ5と、ロックアップ装置6と、を備えている。
フロントカバー2とインペラ3とは互いの外周部が溶接されており、フロントカバー2とインペラ3とにより流体室が形成されている。タービン4は流体室内でインペラ3に対向するように配置されている。タービン4は、タービンシェル8と、タービンシェル8の内部に固定された複数のタービンブレード9と、タービンシェル8の内周部に固定されたタービンハブ10と、を有している。タービンハブ10は、軸方向に延びる筒状部10aと、筒状部10aから径方向外方に延びる円板状のフランジ10bと、を有している。そして、フランジ10bの外周部に、タービンシェル8の内周部がリベット11により固定されている。なお、タービンハブ10の内周部にはスプライン孔10cが形成されている。そして、スプライン孔10cに、図示しないトランスミッションの入力シャフトが連結されている。また、ステータ5は、タービン4からインペラ3への作動油の流れを調節するための機構であり、インペラ3の内周部とタービン4の内周部との間に配置されている。
[ロックアップ装置6]
図2にロックアップ装置6の一部を拡大して示している。ロックアップ装置6は、エンジン回転数が所定の回転数(ロックアップ回転数)に到達したときに、フロントカバー2とタービン4とを機械的に連結するための装置であり、図1に示すようにフロントカバー2とタービン4との間に配置されている。このロックアップ装置6は、図1及び図2に示すように、ピストン15と、ダイナミックダンパ装置16と、複数の第1トーションスプリング17と、を有している。
<ピストン15>
ピストン15は、内周部にトランスミッション側に折り曲げられて形成された筒状部15aを有している。そして、この筒状部15aが、タービンハブ10の筒状部10aの外周面に、軸方向及び回転方向に摺動自在に支持されている。また、ピストン15の外周部15bには、フロントカバー2の側面に押し付けられる環状の摩擦部材18が固定されている。
<ダイナミックダンパ装置16>
図3にダイナミックダンパ装置16を抽出して示している。図1〜図3に示すように、ダイナミックダンパ装置16は、第1プレート21及び第2プレート22と、ハブフランジ23と、イナーシャ部材24と、複数の第2トーションスプリング25と、ヒステリシストルク発生機構26と、を有している。
−第1及び第2プレート21,22−
第1プレート21は、円板状の部材であって、内周側から順に、固定部21aと、支持部21bと、円板部21cと、複数の係合突起21dと、を有している。
固定部21aはリベット11によってタービンシェル8とともにタービンハブ10のフランジ10bに固定されている。支持部21bは、円筒状に形成され、ハブフランジ23の内周端を支持している。円板部21cはハブフランジ23を挟んで第2プレート22と対向する部分である。円板部21cの外周部には、複数のストップピン用孔21eが形成され、さらにその内周側には第2トーションスプリング25を収納するための複数の収納部21fが形成されている。複数の係合突起21dは、第1プレート21の外周部をエンジン側に折り曲げられて形成されており、これらの係合突起21dの間に複数の第1トーションスプリング17が配置されている。すなわち、複数の係合突起21dの周方向端面は第1トーションスプリング17の周方向の端部に係合することが可能である。
第2プレート22は、円板状の部材であって、前述のように、ハブフランジ23を挟んで第1プレート21と対向して配置されている。第2プレート22の内周端は第1プレート21の支持部21bに支持されている。第2プレート22の外周部には、複数のストップピン用孔22eが形成され、さらにその内周側には第2トーションスプリング25を収納するための複数の収納部22fが形成されている。
第1プレート21及び第2プレート22は互いのストップピン用孔21e,22eを貫通して設けられた複数のリベット28によって相対回転不能に、かつ軸方向移動不能に固定されている。また、両プレート21,22の収納部21f,22f内に、第2トーションスプリング25が収納されている。
−ハブフランジ23及びイナーシャ部材24−
ハブフランジ23は、図3及び図4に示すように、中心部の孔23aを有する円板状の部材である。なお、図4は、第2プレート22を取り外してタービン側から視た図である。ハブフランジ23の外周部は、軸方向においてタービン側にオフセットされており、この外周部の端部に環状のイナーシャ部材24が複数のリベット30により固定されている。
また、ハブフランジ23において、径方向の中間部には、3つの開口32が円周方向に等角度間隔で形成されている。各開口32は、スライダ収納部32aと、第1及び第2ストップピン摺動部32b,32cと、を有している。
スライダ収納部32aは円弧状に形成されている。また、スライダ収納部32aの円周方向の両端面は、回転中心とスライダ収納部32aの円周方向の中心とを結んだ直線と平行に形成されている。
第1ストップピン摺動部32bは、スライダ収納部32aの一方の端面の径方向の中心部から円周方向に延びるように形成されている。第1ストップピン摺動部32bの径方向の幅は、スライダ収納部32aのそれより小さい。また、第2ストップピン摺動部32cは第1ストップピン摺動部32cと対称に形成されている。これらのストップピン摺動部32b,32cには、ストップピン28の胴部が貫通している。
−ヒステリシストルク発生機構26−
ヒステリシストルク発生機構26は、ハブフランジ23の開口32に収容されている。このヒステリシストルク発生機構26は、第1及び第2プレート21,22とハブフランジ23との間で可変のヒステリシストルクを発生するものである。ヒステリシストルク発生機構26は、ストップピン28(正確にはストップピン28の胴部であるが、以下、単に「ストップピン」と記す)と、スライダ34と、を有している。
スライダ34はハブフランジ23の開口32におけるスライダ収納部32aに径方向に摺動自在に配置されている。また、円周方向において、スライダ34の両端面と、スライダ収納部32aの対向する各壁面との間には、若干の隙間が形成されている。スライダ34は、ハブフランジ23の開口32を形成する際に得られた抜き部材、すなわち、円板状部材から開口32を形成する際に抜き加工によって得られた部材から形成されたものである。
図4及び図4の一部を拡大して示す図5に示すように、スライダ34は、円弧状の部材であって、径方向の中間部に、円周方向の両端から内方に向かって所定の長さで形成された第1溝34a及び第2溝34bを有している。言い換えれば、スライダ34は、内周部に左右方向に突出する第1内周突起34c及び第2内周突起34dを有し、外周部に左右後方に突出する第1外周突起34e及び第2外周突起34fを有している。後述するように、第1内周突起34c及び第2内周突起34dはロック部として機能している。また、図5の拡大部分図である図6に示すように、第1及び第2内周突起34c,34dの先端部外周面には、円周方向の外側に向かって径方向内方に傾斜するテーパ部34g,34h(図6では第1内周突起34cのテーパ部34gのみが表れている)が形成されている。
また、スライダ34の外周側には、スライダ34を径方向内方に向かって付勢するスプリング35が配置されている。スライダ34の外周面には、図5に示すように、円周方向の中央部に内方に凹む第1凹部34iが形成され、さらに、凹部34iの左右両側には、所定の範囲で内方に凹むス第2凹部34jが形成されている。スプリング35の一部は第1凹部34iに収容され、またスライダ34が遠心力によって外周側に移動した際に、スプリング35の他の部分が第2凹部34jに収容される。
なお、前述のように、ハブフランジ23の内周端は、第1プレート21の支持部21bの外周面に支持されており、これによりダイナミックダンパ装置16の径方向の位置決めがなされている。
<第1トーションスプリング17>
複数の第1トーションスプリング17は、図1及び図2に示すように、ピストン15に固定されたドライブプレート40と第1プレート21とを回転方向に弾性的に連結するための部材である。なお、複数の第1トーションスプリング17の外周部及びトランスミッション側の側部を覆うように、中間部材42が設けられている。複数の第1トーションスプリング17は、ピストン15及び中間部材42によって軸方向及び径方向の移動が規制されている。
また、中間部材42はドライブプレート40及び第1プレート21に対して相対回転自在である。そして、複数の第1トーションスプリング17のうちの1組2つのトーションスプリングを直列的に作用させるための部材である。
[動作]
まず、トルクコンバータ本体の動作について簡単に説明する。
フロントカバー2及びインペラ3が回転している状態では、インペラ3からタービン4へ作動油が流れ、作動油を介してインペラ3からタービン4へ動力が伝達される。タービン4に伝達された動力はタービンハブ10を介してトランスミッションの入力シャフト(図示せず)に伝達される。
入力シャフトの回転数がある一定の回転数になると、ロックアップ装置6がオンとなり、フロントカバー2からロックアップ装置6を介して機械的にタービンハブ10に動力が伝達される。具体的には、油圧の変化によりピストン15がエンジン側へ移動し、ピストン15の摩擦材18がフロントカバー2に押し付けられる。この結果、ピストン15がフロントカバー2と一体回転し、フロントカバー2からピストン15、第1トーションスプリング17、ダイナミックダンパ装置16を介してタービンハブ10に動力が伝達される。
[ダイナミックダンパ装置の動作]
ダイナミックダンパ装置16では、第1及び第2プレート21,22に入力された動力はタービンハブ10に伝達される。このとき、第1及び第2プレート21,22には第2トーションスプリング25を介してハブフランジ23及びイナーシャ部材24が設けられているので、エンジンの回転変動を効果的に抑制することができる。以下。この点について詳細に説明する。
図7に示すように、一般に、エンジンの回転数が低くなると、燃焼変動により発生するエンジンの回転変動は増加する(特性E1)。このとき、イナーシャ部材24がない場合、すなわちダイナミックダンパ装置16がない場合は、エンジン回転数が低くなると、トルクコンバータから出力される回転速度変動が徐々に大きくなる。一方、本実施形態のようにダイナミックダンパ装置16が設けられている場合は、特定のエンジン回転数付近(図7の例では1200rpm付近)において、出力側であるタービンの回転速度変動を低減することができる(特性E2,E3)。
ここで、低回転数域における特性E2,E3の相違は、ヒステリシストルク発生機構26におけるヒステリシストルクの大小に起因するものである。すなわち、特性E2はヒステリシストルクが比較的大きい場合であり、特性E3はヒステリシストルクが比較的小さい場合である。特性E2においては、タービンの回転速度変動は、エンジン回転数が1200rpmより低い回転数付近で小さくなり、1500rpm付近で最大になってそれより高い回転数域では徐々に小さくなる。一方で、特性E3では、タービンの回転速度変動は、エンジン回転数が1200rpmを越えたあたりで特性E2より小さい最小値を示し、1600rpm付近で特性E2を越えて最大となる。
これらの特性から明らかなように、タービンの回転速度変動は、エンジン回転数が低い回転数域ではヒステリシストルクが小さい方が小さく、中間の回転数域ではヒステリシストルクが大きい方が小さい。また、高回転数域では、ヒステリシストルクの大小によるタービン回転速度変動への影響は少ない。
そこでこの実施形態によるヒステリシストルク発生機構26は、回転数域によってヒステリシストルクが変化するように構成されている。具体的には、ヒステリシストルク発生機構26によって発生されるヒステリシストルクは、エンジン回転数が低い領域では小さく、中間及び高い回転数域では大きくなる。
[ヒステリシストルク発生機構の動作]
図8及び図9を用いて、回転数域によってヒステリシストルクが変化する動作について説明する。
まず、低回転数域では、スライダ34に作用する遠心力が比較的小さい。このため、図8(a)に示すように、スライダ34はスプリング35の付勢力によって径方向内方に付勢されている。このような状態において、ダイナミックダンパ装置16が作動し、第1及び第2プレート21,22とハブフランジ23とが相対回転すると、第1及び第2プレート21,22に固定されたストップピン28は、ハブフランジ23の第1及び第2ストップピン摺動部32b,32cと、スライダ34の第1及び第2溝34a,34bと、の内部をスムーズに摺動する。この場合のヒステリシストルクは小さい。
回転数が高くなると、スライダ34に作用する遠心力が大きくなる。スライダ34に大きい遠心力が作用すると、図8(b)に示すように、スライダ34はスプリング35の付勢力に抗して外周側に移動する。このような状態では、スライダ34が外周側に移動しているが、スライダ34の各内周突起34c,34dの先端部にはテーパ部34g,34hが形成されているので、図8(b)に示す例では、両プレート21,22とストップピン28とが相対回転しても、ストップピン28はテーパ部34hから第2溝34b内に進入することが可能である。
しかし、ストップピン28が第2溝34b内のある位置まで進入すると、スライダ34が外周側に移動しているために、ストップピン28が第2溝34bの外周側の壁と第2内周突起34dとの間に噛み込む。円周方向において、スライダ34とスライダ収納部32aとの間には若干の隙間が存在するので、スライダ34が遠心力を受け続けると、図9(a)に示すように、スライダ34は、噛み込んだストップピン28を中心に時計回りに回転する。この状態では、スライダ34の第1外周突起34eの外周面が、スライダ収納部32aの外周壁に当接する。この場合は、低回転数域でのヒステリシストルクよりも大きいヒステリシストルクが発生する。
そしてさらに回転数が高くなると、スライダ34は、スプリング35の付勢力に抗して、図9(b)に示すように、スライダ34の第1及び第2外周突起34e,34fの両方がスライダ収納部32aの外周側の壁に当接する。このような状態では、スライダ34の第1及び第2内周突起34c,34dがハブフランジ23の第1及び第2ストップピン摺動部32b,32cの位置まで移動している。このため、スライダ34の2つの内周突起34c,34dがそれぞれストップピン28に当接する。このような状態では、第1及び第2プレート21,22とストップピン28(すなわちハブフランジ23)とは相対回転不能となる。すなわち、第1及び第2内周突起34c,34dはストップピン28に当接して、第1及び第2プレート21,23とハブフランジ23との相対回転を禁止するロック部として機能する。このため、図9(b)に示す状態では、ダイナミックダンパ装置16におけるヒステリシストルクは無限大となる。
以上のような構成では、タービン回転速度変動の特性は、図6に示すように、低回転数域では特性E3となり、中回転数域〜高回転数域では特性E2となる。このため、全エンジン回転数域において、タービン回転速度変動を小さく抑えることができる。
[特徴]
(1)低回転数域では小さいヒステリシストルクを発生し、中回転数域から高回転数域ではより大きなヒステリシストルクを発生するので、広い回転数域でタービンの回転速度変動を抑えることができる。
(2)ヒステリシストルク発生機構26がハブフランジ23の内部に配置されているので、装置の軸方向寸法をコンパクトにすることができる。
(3)スライダ34に作用する遠心力を利用して、ヒステリシストルクを変化させているので、簡単な構成で回転数域によって異なるヒステリシストルクを発生することができる。
(4)スライダ34をハブフランジ23の開口を形成した際に得られた抜き部材によって形成することができる。このため、材料の歩留まりを向上することができる。
(5)ハブフランジ23を第1及び第2プレート21,22により挟持することによってダイナミックダンパ装置16の軸方向の移動を規制している。また、ハブフランジ23の内周端を第1プレート21の支持部21bに当接させて径方向の位置決めを行なっている。したがって、少ない部品点数でダイナミックダンパ装置16の軸方向及び径方向の位置決めを行うことができる。
(6)スライダ34とストップピン28とを回転方向において当接させることによって、ダイナミックダンパ装置16のヒステリシストルクを無限大にしている。このため、簡単な機構で大きなヒステリシストルクを発生することができる。
[他の実施形態]
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形又は修正が可能である。
前記実施形態では、流体式動力伝達装置としてトルクコンバータを例に説明しているが、流体式動力伝達装置は、ステータを有していないフルードカップリングであってもよい。
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
3 インペラ
4 タービン
6 ロックアップ装置
10 タービンハブ
15 ピストン
16 ダイナミックダンパ装置
17 第1トーションスプリング
21 第1プレート
22 第2プレート
23 ハブフランジ
24 イナーシャ部材
25 第2トーションスプリング
26 ヒステリシストルク発生機構
28 ストップピン
32 開口
32a スライダ収納部
32b,32c 第1,第2ストップピン摺動部
34 スライダ
34c,34d 第1,第2内周突起(ロック部)

Claims (4)

  1. ロックアップ装置のピストンとトルクコンバータのタービンハブとの間に配置されたダイナミックダンパ装置であって、
    前記ピストンからトルクが入力されるとともに前記タービンハブに連結可能な環状の1対のプレートと、
    前記1対のプレートの間に前記1対のプレートに対して相対回転可能に配置され、複数の開口を有する環状のハブフランジと、
    前記ハブフランジに固定されたイナーシャ部材と、
    前記1対のプレートと前記ハブフランジとを回転方向に弾性的に連結する弾性部材と、
    前記ハブフランジの開口に収容され、前記1対のプレートと前記ハブフランジとの間で可変のヒステリシストルクを発生するヒステリシストルク発生機構と、
    を備え、
    前記ヒステリシストルク発生機構は、低回転数域では第1ヒステリシストルクを発生し、中回転数域から高回転数域では前記第1ヒステリシストルクよりも大きな第2ヒステリシストルクを発生する、
    ダイナミックダンパ装置。
  2. 前記ヒステリシストルク発生機構は、
    前記1対のプレートを相対回転不能に連結するストップピンと、
    前記ハブフランジの開口に沿って径方向に移動自在であり、前記ハブフランジに対して前記1対のプレートが相対回転した際に前記ストップピンが摺動可能な溝を有するスライダと、
    を有している、
    請求項1に記載のダイナミックダンパ装置。
  3. 前記ヒステリシストルク発生機構は、
    前記スライダを径方向内方に付勢する付勢部材をさらに有し、
    前記スライダは、遠心力で前記付勢部材の付勢力に抗して径方向外方に移動した際に、前記ストップピンに当接して前記1対のプレートと前記ハブフランジとの相対回転を禁止するロック部を有している、
    請求項に記載のダイナミックダンパ装置。
  4. フロントカバーから流体式動力伝達装置のタービンハブに機械的に動力を伝達するためのロックアップ装置であって、
    前記フロントカバーに押し付けられるピストンと、
    請求項1からのいずれかに記載のダイナミックダンパ装置と、
    前記ピストンと前記ダイナミックダンパ装置とを回転方向に弾性的に連結する弾性部材と、
    を備えた流体式動力伝達装置のロックアップ装置。
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