JP5971184B2 - イメージング質量分析データ処理方法及びイメージング質量分析装置 - Google Patents

イメージング質量分析データ処理方法及びイメージング質量分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、試料上の特定の質量電荷比又は質量電荷比範囲のイオンの信号強度分布を示すイメージング画像を取得可能であるイメージング質量分析装置に好適なデータ処理方法、及び該データ処理方法を用いたイメージング質量分析装置に関する。
質量分析イメージングは、生体組織切片などの試料の2次元領域内の複数の測定点(微小領域)に対しそれぞれ質量分析を行うことにより、特定の質量を有する物質の分布を調べる手法であり、創薬やバイオマーカ探索、各種疾病・疾患の原因究明などへの応用が進められている。質量分析イメージングを実施するための質量分析装置は一般にイメージング質量分析装置と呼ばれている。また、通常、試料上の任意の2次元領域について顕微観察を行い、その顕微観察画像に基づいて分析対象領域を定めて該領域のイメージング質量分析を実行することから顕微質量分析装置や質量顕微鏡などと呼ばれることもあるが、本明細書では「イメージング質量分析装置」と呼ぶこととする。例えば非特許文献1、2には、一般的なイメージング質量分析装置の構成や分析例が開示されている。
イメージング質量分析装置では、試料上の2次元領域内の多数の測定点においてそれぞれ所定の質量電荷比範囲のマススペクトルデータが取得される。高い質量分解能を実現するために、通常、質量分析器としては飛行時間型質量分析器(TOFMS)が利用され、1測定点当たりのマススペクトルデータ(又は飛行時間スペクトルデータ)のデータ量は例えば四重極型質量分析装置などによるマススペクトルデータのデータ量に比べるとかなり多くなる。また、精緻なイメージング画像を得る(つまり空間分解能を上げる)ためには測定点の間隔を狭める必要があり、そうすると一つの試料に対する測定点の数が多くなる。そのため、高質量分解能、高空間分解能の質量分析イメージングを行おうとすると、試料当たりのデータの総量は膨大になる。
一般的なパーソナルコンピュータを用いたデータ処理によってイメージング画像を作成・表示したり統計解析を行ったりするためには、該コンピュータのメインメモリ(一般的にはRAM)に処理対象の全データを読み込む必要がある。しかしながら、一般的なパーソナルコンピュータで実質的に使用できるメインメモリの記憶容量には限界があり、上述したような高精細のイメージング質量分析データを全て読み込むことは困難である。そうした場合、メインメモリに読み込むことが可能なデータ量の制約に合わせて作成・表示可能なイメージング画像の範囲を制限したり、或いは、処理速度が低下することを許容しつつハードディスクドライブ等の外部記憶装置の一部を仮想的なメインメモリとして使用した処理を行ったりする必要があった。
こうした課題に対し、特許文献1〜3には、イメージング質量分析装置で得られたマススペクトルデータを圧縮して保存する技術が開示されている。このようなデータ圧縮技術を利用することで、処理対象であるイメージング質量分析データのデータサイズを縮小しメインメモリに読み込むことが可能である。また、特許文献1に記載の手法では、圧縮前の原マススペクトルデータの配列上の位置と圧縮データの配列上の位置とを対応付けたインデクスを作成し、これを圧縮データとともに又は圧縮データとは別に記憶しておく。そして、或る質量電荷比に対応したデータ(イオン強度値)を読み出す必要がある場合に、インデクス情報を参照することで目的のデータに対応する圧縮データを見つけそれを復号する。このようにすることで、データ圧縮を行いながらも、迅速に目的のデータを取得することが可能となっている。
イメージング質量分析装置に通常利用されるMALDIイオン源は生体試料に適したイオン化法であるものの、測定毎(つまりはレーザ光照射毎)のイオン強度のばらつきが比較的大きいという欠点がある。こうした欠点を補うために、一つの測定点に対するマススペクトルを取得する際に、同一測定点に対して実行された多数回の測定のイオン強度信号を積算するようにしている。しかしながら、そうした積算を行っても測定点毎のイオン強度のばらつきの影響を十分に解消できないことがある。そのため、測定点毎に得られた特定の質量電荷比に対するイオン強度値からそのままイメージング画像を作成しても、必ずしも物質の分布を正確に反映しているとは限らない。そこで、イメージング画像を作成する際に、各測定点のイオン強度値をそのまま用いるのではなく所定の基準に従って規格化したイオン強度値を用いることが従来提案されている。
例えば非特許文献1には、イメージング質量分析データに対しTIC規格化やXIC規格化を行ったうえでイメージング画像の作成・表示を行ったり統計解析を行ったりすることが有効であることが示されている。ここで、TICは「Total Ion Current」の略称であり、各測定点で取得したマススペクトルにおける全質量電荷比範囲のイオン強度値の和のことである。TIC規格化を行えば、各測定点のTICが同じになるように各質量電荷比における強度値が規格化されることになる。一方、XICは「Extract Ion Current」の略称であり、各測定点で取得したマススペクトルにおける指定された質量電荷比のイオン強度又は指定された質量電荷比範囲のイオン強度の和のことである。XIC規格化を行えば、各測定点のXICが同じになるように各質量電荷比における強度値が規格化されるから、特定の質量電荷比に対するピークの高さを各測定点において揃えることができる。
また、イメージング画像として表示したい質量電荷比や質量電荷比範囲をオペレータ(ユーザ)が決めるために、全測定点或いはオペレータが着目している関心領域内の測定点における平均マススペクトルが参照されることが多いが、平均マススペクトルについてもTIC規格化又はXIC規格化がなされたイオン強度値に基づいて作成すると有効である。
ところで、質量分析イメージングでは、異なる試料から得られたイメージング質量分析データ同士を比較する解析がよく行われる。例えば癌などの疾患・疾病の診断等のためには、健常体から採取した生体組織断片に対して得られたイメージング質量分析データと被検体から採取した生体組織断片に対して得られたイメージング質量分析データとを比較し、その類似性や相違性を評価したり差異部分を詳細に分析したりすることが有効である。そうした比較のための客観的な解析には、異なる試料から得られたイメージング質量分析データについて主成分分析などの統計解析の手法が用いられる。
例えば非特許文献1には、異なる試料のイメージング質量分析データそれぞれに対してピーク行列データを生成し、その複数のピーク行列データを一つに統合したうえで統計解析を行うと、複数の試料を比較するのに有効であることが示されている。具体的には、まず、比較対象であるイメージング質量分析データに対して統計解析を行いたい複数のピークの質量電荷比を予め決定しておく。例えば、比較対象のイメージング質量分析データの全測定点のマススペクトルを積算し平均をとった平均マススペクトル、又は全測定点に亘ってマススペクトルの質量電荷比毎に最大強度を求め、その最大強度値をスペクトルとして再構築した最大強度マススペクトルから、特定の複数のピークの質量電荷比を選出しておく。そして、試料毎に各測定点において得られたマススペクトルからその質量電荷比値に対応するイオン強度値を求め、測定点毎に質量電荷比値とイオン強度値とをセットとしたピーク行列を作成する。その後、複数の試料における複数の測定点に関するピーク行列データを統合して一つのピーク行列データを作成する。
また非特許文献1に記載の統計解析では、異なる試料のピーク行列データを統合する際には、上述のTICに基づく強度値の規格化が行われる。上述したように、TIC規格化によって、試料、前処理、測定日、測定条件などが異なることに起因する、試料毎のイオン強度値のばらつきやMALDIイオン源による測定点毎の生成イオン量のばらつき等に起因するばらつきの影響が軽減され、有効な統計解析を行うことができる。
上述したように、異なる試料のイメージング質量分析データから作成されるピーク行列を統合するためには、比較対象であるイメージング質量分析データに対して全測定点又は特定の複数の測定点の平均マススペクトルや最大強度マススペクトルを計算し、そこから統計解析を行いたい複数のピークの質量電荷比を予め決定する必要がある。この処理は、その比較対象であるイメージング質量分析データに含まれる複数のマススペクトルデータにおける質量電荷比値が全て一致している、換言すれば、マススペクトルを構成する多数のデータ点それぞれの質量電荷比値が全てのマススペクトルに共通であることを前提としている。
ところが、実際には、比較したい複数の試料に対する質量分析イメージングは同一測定条件の下で行われているとは限らず、場合によっては、異なる装置で得られたイメージング質量分析データ同士が比較されることもある。例えば飛行時間型質量分析装置で取得したマススペクトルの場合、測定対象である質量電荷比範囲の下限のイオンの検出器への到達時刻から一定の時間間隔で検出器からイオンの信号強度を取得し、その各時刻を、相当する質量電荷比値に置き換えてマススペクトルデータとするが、たとえ同一の装置であっても、周囲温度などの環境要因によるイオンの飛行距離の変化を補正するために、イオンの飛行時間に対応する質量電荷比値を随時変化させる必要がある。そうした場合、比較対象である複数のイメージング質量分析データのデータ点の質量電荷比値が一致していないことも多い。また、質量分析イメージングの際の試料上の測定点の間隔(換言すると、一つのマススペクトルデータに対する実質的な微小測定領域のサイズ)が試料毎に異なることもある。
このように、マススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値が試料毎に相違していたり、或いは、マススペクトルに対する微小測定領域のサイズが試料毎に相違したりする場合、上述した従来の方法によっては、複数の試料のイメージング質量分析データからそれぞれ求まるピーク行列を統合することはできない。そのため、統計解析を用いて複数の試料を比較したい場合には、例えば、試料毎のイメージング質量分析データからそれぞれ求めたピーク行列について統計解析を実行し、そうして得られた複数の統計解析結果を比較可能であるように調整した上で比較する必要がある。そうした作業は大変煩雑であるのみならず、比較評価の正確性を欠くおそれがある。
また、上述したように複数の試料の比較を行う場合には、オペレータ(ユーザ)が着目している特定の質量電荷比や質量電荷比範囲におけるイメージング画像を同時に表示させ、それをオペレータが目視で確認して類似性などを主観的に評価することも重要である。しかしながら、マススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値が試料毎に相違していたり、或いは、マススペクトルに対する微小測定領域のサイズが試料毎に相違したりすると、たとえその複数の試料において目的物質の2次元分布が同一であったとしても見え方が相違することがある。その結果、オペレータが主観的な判断や評価を誤るおそれがある。
さらにまた、通常は一つの試料に対するイメージング質量分析データにおいては測定点毎にマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値は揃っているものの、上述の飛行時間型質量分析装置において随時、温度変化等によるイオンの飛行距離の変化を測定中に随時補正した場合や、測定条件の設定の仕方などによっては、測定点毎にマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値が相違する場合も考えられる。例えば、測定時間を短縮するために、一つの試料の測定領域の中でオペレータが指定した関心領域のみを高い質量分解能で測定し、その関心領域以外の領域については低い質量分解能で測定するような測定手法を採る場合が考えられる。このような条件の下で収集されたイメージング質量分析データでは、上述したように複数のイメージング質量分析データからそれぞれ生成されたピーク行列を統合するか否かに関わらず、統計解析のためのピーク行列を作成すること自体が困難である。
特開2012−169979号公報 特開2012−038459号公報 米国特許公開2012/0133532号明細書
小河、ほか5名、「顕微質量分析装置の開発」、島津評論、第62巻、第3・4号、2006年3月31日発行、p.125−135 原田、ほか8名、「顕微質量分析装置による生体組織分析」、島津評論、第64巻、第3・4号、2008年4月24日発行、p.139−145 杉浦(Y. Sugiura)ほか6名、「ビジュアライゼイション・オブ・ザ・セル-セレクティブ・ディストリビューション・オブ・ピーユーエフエー-コンテイニング・フォスファティダイルコリンズ・イン・マウス・ブレイン・バイ・イメージング・マス・スペクトロメトリ(Visualization of the cell-selective distribution of PUFA-containing phosphatidylcholines in mouse brain by imaging mass spectrometry)」、ジャーナル・オブ・リピッド・リサーチ(Journal of Lipid Research)、Vol.50、2009年、pp.1766-1788
本発明は上記課題に鑑みて成されたものであり、その主たる目的とするところは、複数の試料のイメージング質量分析データを比較するために統計解析を実行したりイメージング画像を同時に表示したりしたい場合に、試料毎に測定点の間隔が相違したり試料毎にマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値が相違したりしても、そうした相違の影響を排して、簡便に正確な統計解析やイメージング画像の同時表示を実施することができるイメージング質量分析データ処理方法及びイメージング質量分析装置を提供することにある。
また本発明の他の目的は、一つの試料のイメージング質量分析データの中で測定点の間隔が相違したり測定点毎にマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値が相違したりしていても、そうした相違の影響を排して、簡便に正確な統計解析やイメージング画像の同時表示を実施することができるイメージング質量分析データ処理方法及びイメージング質量分析装置を提供することにある。
上記課題を解決するために成された本発明の第1の態様は、試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することにより収集されたマススペクトルデータが前記測定点の空間位置情報に関連付けられてなるイメージング質量分析データを処理するイメージング質量分析データ処理方法であって、
a)複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける空間的な測定点間隔を基準として、他のイメージング質量分析データの測定点間隔を該基準に揃えたときの仮想的な測定点位置それぞれにおけるマススペクトルデータを、該仮想的な測定点位置の周囲にある複数の測定点のマススペクトルデータを用いた内挿又は外挿により求める空間的補正処理ステップと、
b)前記複数のイメージング質量分析データにおけるマススペクトルの質量電荷比範囲の共通部分を抽出し、該複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける抽出された前記共通の質量電荷比範囲内のデータ点における質量電荷比値を基準として、他のイメージング質量分析データのデータ点における質量電荷比値を該基準に揃えたときの仮想的な質量電荷比値それぞれにおける強度値を、該仮想的な質量電荷比値の前後にある実測した質量電荷比値における強度値を用いた内挿又は外挿により求める質量電荷比補正処理ステップと、
c)前記空間的補正処理ステップ及び前記質量電荷比補正処理ステップを実行することにより測定点間隔及び質量電荷比値が揃った複数のイメージング質量分析データを一つのイメージング質量分析データとして取り扱い得るように統合する統合ステップと、
を有することを特徴としている。
なお、飛行時間型の質量分析装置ではイオン検出器で得られる信号に基づいて飛行時間スペクトルが作成され、該飛行時間スペクトル上の各イオンの飛行時間が質量電荷比に換算されることでマススペクトルが作成される。したがって、上記本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法において「マススペクトル」は、質量電荷比に換算する前の飛行時間で表された「飛行時間スペクトル」も含むものとする。
本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法では、複数の試料のイメージング質量分析データが与えられ、そのイメージング質量分析データにおいて試料毎に測定点間隔が異なる場合に、その試料毎に相違する測定間隔を揃える補正処理が空間的補正処理ステップにおいて実施される。即ち、一つのイメージング質量分析データにおける空間的な測定点間隔を基準とし、それ以外のイメージング質量分析データの測定点間隔を該基準に揃えたときの仮想的な測定点位置を求め、その仮想的な測定点それぞれにおけるマススペクトルデータを、該仮想的な測定点位置の周囲にある複数の実測の測定点のマススペクトルデータを用いた内挿又は外挿により計算する。内挿又は外挿の手法は特に限定されず、単純な1次関数のほか、高次関数、スプライン関数などを用いたものでもよい。
また、複数のイメージング質量分析データにおいて試料毎にマススペクトルを構成するデータ点に対する質量電荷比値が異なる場合には、その試料毎に相違する質量電荷比値を揃える補正処理が質量電荷比補正処理ステップにおいて実施される。即ち、まず、マススペクトルの質量電荷比範囲を揃えるために、複数の試料のイメージング質量分析データにおけるマススペクトルの質量電荷比範囲の共通部分が抽出される。そのあと、一つのイメージング質量分析データにおける上記共通の質量電荷比範囲内のデータ点における質量電荷比値を基準として、それ以外のイメージング質量分析データのデータ点における質量電荷比値を該基準に揃えたときの仮想的な質量電荷比値それぞれにおけるイオン強度値を、その仮想的な質量電荷比値の前後に位置する実測した質量電荷比値における強度値を用いた内挿又は外挿により計算する。測定点の補正と同様に、内挿又は外挿の手法は特に限定されず、単純な1次関数のほか、高次関数、スプライン関数などを用いたものでもよい。
以上の処理により、複数の試料のイメージング質量分析データにおける測定点間隔及び各マススペクトルの質量電荷比値配列が揃う。測定点の補正と質量電荷比の補正とはいずれを先に実行してもよい。また、複数の試料の比較を行う際に、物質の拡がりの程度、具体的には面積やサイズなどを比較する必要がなく、空間分布状況をのみを比較すればよい場合には、試料毎に測定点間隔が相違していても、単にいずれか一つのイメージング質量分析データの測定点間隔を基準とし他のイメージング質量分析データの測定点間隔を拡大又は縮小することによって、測定点間隔を揃えることができる。この場合には、上記空間的補正処理ステップで実施したような強度値の変換(補正)は不要である。
即ち、本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法における空間的補正処理ステップを、複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける空間的な測定点間隔を基準として、他のイメージング質量分析データの測定点間隔を拡大又は縮小することにより該基準に揃える空間的補正処理ステップとすればよい。
さらに、測定点間隔及び質量電荷比値が揃った複数のイメージング質量分析データを、統合ステップにおいて、一つのイメージング質量分析データとして取り扱い得るように統合する。ここでいう統合とは、それぞれ異なる空間位置情報に関連付けられてなる複数の試料のイメージング質量分析データを、あたかも一つの試料のイメージング質量分析データであるように空間位置情報との対応付けを変更する処理である。一般に、イメージング質量分析データが得られる試料上の測定領域の形状やサイズは様々であるが、データを統合したときに元の測定領域の間に空白部分が存在していると一つのイメージング質量分析データとして取扱いにくい。そこで、例えば測定領域全体の外形に接する矩形状の領域を想定し、該領域内で空白部分の測定点にはダミーデータとして強度値ゼロのデータを挿入するとよい。或いは、測定点毎にデータの有効/無効を示すフラグを用意し、何らかのデータ処理の際に、そのフラグによって領域中の測定点のデータの有効・無効を判定するようにしてもよい。
本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法では、好ましくは、
d)前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データに基づいて、指定された又は特定の複数の測定点におけるマススペクトルの積算マススペクトル、平均マススペクトル、又は最大強度マススペクトルである演算マススペクトルを算出するスペクトル作成ステップと、
e)前記演算マススペクトルに対しピーク検出を行ってピークの質量電荷比値のリストを作成し、各測定点のマススペクトルデータから前記リスト中の質量電荷比に対応する強度値を求め、その強度値を質量電荷比値に応じて配列したピーク行列を作成するピーク行列作成ステップと、
f)前記ピーク行列に対して統計解析を実行する統計解析ステップと、
をさらに有するものとするとよい。
ここで、最大強度マススペクトルとは、全測定点のマススペクトルにおいて質量電荷比毎に最大強度であるピークを抽出して再構成したマススペクトルである。
上述したように、ここでは複数の試料から得られたイメージング質量分析データが統合されてあたかも一つのイメージング質量分析データとして取扱い可能となっており、上述したように、測定点間隔、マススペクトルの質量電荷比配列ともに揃っているので、スペクトル作成ステップにおける演算マススペクトルの算出、ピーク行列作成ステップにおけるピーク行列の作成ともに、何ら支障なく行うことができる。一方、統計解析ステップにおいて得られる統計解析結果は複数の試料から得られたイメージング質量分析データに対する解析結果であるので、その解析結果に基づいて複数の試料の比較等を簡単に行うことができる。
また本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法では、好ましくは、
g)前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データに基づいて、指定された又は特定の質量電荷比又は質量電荷比範囲に対する規格化されていない強度値の2次元分布を示すイメージング画像を作成する画像作成ステップ、
をさらに有するものとするとよい。
これにより、複数の試料に対するイメージング画像を同時に作成・表示することができ、しかも同時に表示される複数のイメージング画像の測定点間隔及び質量電荷比は揃っているので、オペレータが目視で比較するのに好適である。
また本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法では、
各測定点のマススペクトルデータにおける強度値を所定の基準に従って規格化するための規格化係数を測定点毎に計算して、その結果を記憶しておく規格化係数作成ステップをさらに有し、
前記画像作成ステップは、イメージング画像の各測定点の強度値を前記規格化係数を用いて規格化して規格化されたイメージング画像を作成するものとすることができる。
或いは、本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法では、
各測定点のマススペクトルデータにおける強度値を所定の基準に従って規格化するための規格化係数を測定点毎に計算して、その結果を記憶しておく規格化係数作成ステップをさらに有し、
前記スペクトル作成ステップは、前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データに基づいて、指定された又は特定の複数の測定点におけるマススペクトルを前記規格化係数を用いて規格化し、規格化されたマススペクトルから積算マススペクトル、平均マススペクトル、又は最大強度マススペクトルの少なくともいずれか一つを算出するものとすることができる。
上記規格化係数作成ステップでは、各測定点のマススペクトルデータにおける強度値を所定の基準に従って規格化するための係数を測定点毎に計算して、その結果を例えば記憶部に格納する。ここで、規格化の手法は例えば上述したTIC規格化、又はXIC規格化とすることができる。
このように規格化係数を予め作成して記憶しておくことで、或る質量電荷比におけるイメージング画像について規格化された強度値に基づくイメージング画像を取得したい場合に、各測定点の強度値に単に規格化係数を乗じるだけでよいので、きわめて迅速に規格化されたイメージング画像を作成して表示することが可能である。また、規格化された平均マススペクトル等を表示したい場合にも同様に、迅速に平均マススペクトルを計算し直して表示することができる。
また本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法では、
前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データについて、各測定点のマススペクトルデータに対し所定のアルゴリズムに従って圧縮処理を実行し、得られた圧縮データを記憶部に格納する圧縮処理ステップをさらに有し、
前記記憶部に格納された圧縮データのうち必要なデータを前記記憶部から読み出し伸張して演算マススペクトル、ピーク行列、イメージング画像のいずれかを作成する処理を実行するようにするとよい。
ここで、圧縮の符号化方法は特に問わないが、例えばランレングス符号化、エントロピー符号化、又はそれらを組み合わせた符号化などを用いることができる。
複数の試料のイメージング質量分析データを統合すると、測定点間隔を揃えることによって測定点数が増え、そのためにデータ量がそれぞれのイメージング質量分析データのデータ量を加算したものよりも多くなることがある。その場合であっても、データを圧縮することにより、イメージング画像の作成や統計解析などに必要なデータをコンピュータのメインメモリなどに格納することができる。それによって、試料比較のためのイメージング画像の作成や統計解析などの際に、必要なイメージング質量分析データをいちいちハードディスクドライブなどの外部記憶装置から読み込んでくる必要がなくなり、処理の高速化と装置の負担軽減が図れる。
なお、圧縮されたデータはそのデータのみで伸張可能であるものの、データ圧縮方法によっては、特定の質量電荷比に対応した強度値を求めるのに時間が掛かることがある。そこで、好ましくは、圧縮したデータに加え、該圧縮データと元データの配列における強度値の位置情報とを関連付けたインデクス情報を前記記憶部の第3領域に格納し、該インデクス情報を参照して特定の質量電荷比に対応する強度値を取得するようにするとよい。
これによって、圧縮データから任意の質量電荷比に対する強度値を求める伸張処理が高速に行えるので、圧縮データを利用したイメージング画像や平均マススペクトルの表示、或いは、ピーク行列の作成処理などがいずれも高速化される。
本発明の第1の態様のイメージング質量分析データ処理方法における測定点間隔や質量電荷比値配列を揃えるための処理は、一つの試料のイメージング質量分析データにおいて測定点間隔や質量電荷比値配列が異なる場合にも利用することができる。
即ち、上記課題を解決するための本発明の第2の態様のイメージング質量分析データ処理方法は、試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することにより収集されたマススペクトルデータが前記測定点の空間位置情報に関連付けられてなるイメージング質量分析データを処理するイメージング質量分析データ処理方法であって、
a)一つのイメージング質量分析データにおける特定の空間的な測定点間隔を基準として、他の測定点間隔を該基準に揃えたときの仮想的な測定点位置それぞれにおけるマススペクトルデータを、該仮想的な測定点位置の周囲にある複数の測定点のマススペクトルデータを用いた内挿又は外挿により求める空間的補正処理ステップと、
b)前記一つのイメージング質量分析データに含まれる各測定点におけるマススペクトルの質量電荷比範囲の共通部分を抽出し、特定の測定点におけるマススペクトルの質量電荷比値を基準として、他の測定点のマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値を該基準に揃えたときの仮想的な質量電荷比値それぞれにおける強度値を、該仮想的な質量電荷比値の前後にある実測した質量電荷比値における強度値を用いた内挿又は外挿により求める質量電荷比補正処理ステップと、
を有することを特徴としている。
また上記課題を解決するためになされた本発明に係るイメージング質量分析装置は、試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することによりマススペクトルデータを収集するイメージング質量分析部と、上記本発明に係るイメージング質量分析データ処理方法を実施するデータ処理部と、を備えることを特徴としている。
ここで、イメージング質量分析部の構成、具体的には、イオン源の種類、質量分析器の種類などは特に問わないが、典型的には、イオン源はMALDIイオン源、質量分析器は飛行時間型質量分析器である。また、イメージング質量分析部は例えば衝突誘起解離などによりイオンを1段階乃至多段階に解離させるイオン解離部を有し、それによって生成されたプロダクトイオンを質量分析可能な構成であってもよい。また、試料を観察するための光学顕微鏡と取得した光学像を画像データに変換する撮像装置とを備える構成であってもよい。
本発明に係るイメージング質量分析データ処理方法及びイメージング質量分析装置によれば、異なる複数の試料から得られたイメージング質量分析データについて、試料毎にマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比配列が相違していても、強度値を補正することによって質量電荷比配列を揃えることができる。また、試料毎に測定点間隔が相違している場合でも、新たに仮想的な測定点を設定して該仮想的な測定点におけるマススペクトルとなるように強度値を補正することにより、測定点間隔も揃えることができる。このように、測定点間隔と質量電荷比配列とを揃えることで、複数の試料のイメージング質量分析データをあたかも単一のイメージング質量分析データとして取り扱うことができるようになる。その結果、もともと測定点間隔等が揃っていない場合であっても、複数のイメージング質量分析データを比較するために統計解析したり或いはイメージング画像を同時に表示したりすることが可能となる。また、そのための処理は従来の単一のイメージング質量分析データに対する処理をそのまま流用することができて簡便であり、またそうしたイメージング画像等の比較の正確性も向上する。
本発明に係るイメージング質量分析データ処理方法を実施するためのイメージング質量分析システムの一実施例の概略構成図。 本実施例のイメージング質量分析システムにおいて複数の試料のイメージング質量分析データを統合処理する際のフローチャート。 本実施例のイメージング質量分析システムにおいて物質の空間分布状況のみに着目した比較を行う場合の測定領域統合の概念図。 本実施例のイメージング質量分析システムにおいて物質の空間分布と拡がりのサイズを比較する場合の測定領域統合の概念図。 本実施例のイメージング質量分析システムにおいてマススペクトルの質量電荷比配列を揃えるための補正処理の概念図。 本実施例のイメージング質量分析システムにおけるデータ圧縮例を示す概念図。 本実施例のイメージング質量分析システムにおけるインデクス情報作成例を示す概念図。 本実施例のイメージング質量分析システムにおけるTIC規格化係数算出処理のフローチャート。 本実施例のイメージング質量分析システムにおけるXIC規格化係数算出処理のフローチャート。 本実施例のイメージング質量分析システムにおける規格化イメージング画像の作成・表示処理のフローチャート。 本実施例のイメージング質量分析システムにおける規格化マススペクトルの作成・表示処理のフローチャート。 本実施例のイメージング質量分析システムにおける規格化ピーク行列作成処理のフローチャート。 イメージング質量分析により得られるデータとそれに基づく2次元イメージング画像表示の概要説明図。
以下、本発明に係るイメージング質量分析データ処理方法及び該方法を用いたイメージング質量分析装置の一実施例を、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施例であるイメージング質量分析データ処理方法を実施可能であるイメージング質量分析システムの要部の構成図である。
このイメージング質量分析システムは、試料上の2次元的な多数の測定点に対してそれぞれ質量分析を実行し測定点毎に所定の質量電荷比範囲のマススペクトルデータを取得するイメージング質量分析部1と、得られたデータに対し後述するような様々なデータ処理を実行するデータ処理部2と、イメージング質量分析部1で取得された生のマススペクトルデータを保存する例えばハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などの大容量の外部記憶装置4と、オペレータが操作する操作部5と、分析結果等を表示する表示部6と、を備える。データ処理部2の実体はCPU、RAM、ROMなどを含むパーソナルコンピュータ又はより高性能なワークステーションであり、該データ処理部2は機能ブロックとして、データ収集部20、メインメモリ21、データ統合処理部22、データ圧縮処理部23、データ伸張処理部24、インデクス作成処理部25、規格化係数計算部26、ピーク行列作成部27、イメージング画像作成処理部28、マススペクトル作成処理部29、規格化演算処理部30、統計解析演算部31、表示処理部32などを含む。
イメージング質量分析部1では、図13に示すように、試料100上でオペレータが指定した測定領域101内の設定された多数の測定点(微小領域)102に対しそれぞれ質量分析を実施する。ここでは、イメージング質量分析部1の構成は特に問わないが、一般的には、MALDIイオン源とTOFMSとを組み合わせた質量分析部を含み、試料100を載置した試料ステージ(図示せず)がx軸、y軸の2軸方向に高精度で移動することにより、試料100上の任意の位置に対する質量分析が可能な構成となっている。なお、測定領域101の形状は図13に示したように矩形状である必要はなく、任意の形状とすることができる。
イメージング質量分析部1は、好ましくは、光学顕微鏡と、CCD撮像素子又はCMOS撮像素子などを用いた撮像装置とを備え、試料100について測定点の間隔よりも十分高い解像度を有する画像を撮影し、その画像をデータ収集部20、表示処理部32、表示部6を介してオペレータに示す。オペレータが、この画像を参照して測定領域101に対応する領域を操作部5により指定すると、データ処理部2は指定された領域の座標情報を計算する。イメージング質量分析部1はその指定された領域に対応する位置座標に試料ステージを駆動し、各測定点において質量分析を実行することでマススペクトルデータを取得する。
データ収集部20は、イメージング質量分析部1において質量分析を実行することで得られたマススペクトルデータ及びイメージング質量分析部1において撮影された顕微観察画像データを読み込み、外部記憶装置4の非圧縮イメージング質量分析データ記憶領域40及び顕微画像データ記憶領域41にそれぞれ格納する。一つの試料に対して収集されたデータは例えば一つのデータファイルにまとめて格納するとよい。複数の試料の比較を行う場合には、それら複数の試料毎にそれぞれイメージング質量分析データを収集し、そのあとに収集したイメージング質量分析データ同士を比較するための処理を実行する。
以下、外部記憶装置4に格納されている複数の試料に対するイメージング質量分析データを用いた比較解析を行う場合の、データ処理部2における処理動作を詳細に説明する。
本実施例のシステムでは、イメージング画像作成や統計解析などの処理対象のデータをメインメモリ21に一旦保存し、外部記憶装置4へのデータのアクセスを行うことなくメインメモリ21への読み書きのみでデータ処理を行えるようにしている。そのために、後述するようにイメージング質量分析データを圧縮してメインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に書き込むが、それに先だって、比較したい複数の試料のイメージング質量分析データをあたかも一つのイメージング質量分析データとして取り扱うことができるように統合する処理を実行する。図2はこのためにデータ統合処理部22において実行される複数の試料のイメージング質量分析データに対する統合処理のフローチャートである。
[イメージング質量分析データの統合処理]
まず、オペレータは統合したい複数のイメージング質量分析データがそれぞれ格納されているデータファイルを操作部5により指定する(ステップS1)。またオペレータは解析目的等に応じて、空間分布状況のみに着目した統合モード又は空間的な拡がりの大きさにまで着目した統合モードのいずれかを選択指定する(ステップS2)。
以下、説明を簡単にするために、試料Aに対するイメージング質量分析データと試料Bに対するイメージング質量分析データとの二つを統合する場合を例に挙げるが、統合処理を繰り返すことで三つ以上のイメージング質量分析データを統合することが可能であることは以下の説明から明らかである。
いま、試料A、Bに対するイメージング質量分析データが、それぞれ図3(a)に示すような測定領域について得られたものであるとする。図3(a)はそれぞれ試料上の測定領域を平面図として示したものであり、試料Aに対する測定領域と試料Bに対する測定領域との大きさの比は実際の試料上での大きさの比を表している。また、測定領域を含む矩形状の領域の中を格子状に区切った範囲は一つの測定点に対応する微小測定領域を示す。つまり、この微小測定領域のX方向及びY方向のサイズはそれぞれX方向及びY方向の測定点間隔と同一である。
上述したように測定領域の形状は任意であるため、統合したい測定領域が矩形状でない場合には統合する測定形状を矩形状に整形する(ステップS3)。具体的には、例えば図3(a)に示すように、任意形状である測定領域に外接する矩形の領域を設定し、その矩形の領域内を測定領域内と同じ測定点間隔で以て区切る。そして、測定領域以外の測定点には全て強度値ゼロのダミーデータを挿入する。或いは、測定領域の内側に含まれる測定点(微小測定領域)を有効な測定点とし、矩形領域内で且つ測定領域外の測定点は無効な測定点であるとみなすような、有効/無効の判定フラグを測定点に対応して1ビットずつ保持するようにしてよい。
次に、統合対象である両測定領域の測定点間隔が同一であるか否かを判定する(ステップS4)。測定点間隔が同一でない場合には、次に、ステップS2により空間分布状況のみに着目した統合モードが指定されているか否かを判定する(ステップS5)。測定点間隔が同一であると判定された場合、又は、空間分布状況のみに着目した統合モードが指定されていると判定された場合には、図3(b)に示すように、両測定領域の測定点数のみを揃えるように二つの測定領域を結合する(ステップS6)。測定点間隔が同一でない場合には、一方(この例では試料A)のイメージング質量分析データの測定点間隔を基準とし、他方(この例では試料B)のイメージング質量分析データの測定点間隔をその基準に合わせるように、測定領域全体を縮小又は拡大する。このときには、測定領域全体を縮小又は拡大するので、領域結合の前と後とで試料上における一つの測定点間隔が変化するわけではなく、結合後の測定点におけるマススペクトルは結合前の測定点におけるマススペクトルと何ら変わらない。したがって、この場合、後述するような測定点間隔の統一に伴う強度値の補正は不要である。
また、このとき、二つの測定領域の結合によって形成された領域に外接する矩形状の領域を新たに設定し、これによって生じる空白の測定点には、上述したのと同様に、強度値ゼロを挿入するか或いは無効な測定点であることを示すフラグを設定する。図3(b)では点線で囲まれた領域に含まれる測定点に例えば強度値ゼロが挿入される。
なお、測定領域に対応する光学的な顕微観察画像が存在する場合には、その画像に合わせて測定領域を適宜拡大・縮小して結合するようにしてもよい。この場合には、光学的な顕微観察画像も同様に拡大・縮小し結合した顕微観察画像を作成するとよい。
統合対象である両測定領域の測定点間隔が異なり、しかも空間分布状況のみに着目した統合モードではなく空間的な拡がりの大きさにまで着目した統合モードが指定されている場合(ステップS5でNoである場合)には、次のような空間的補正を行った上で測定領域を結合する。ここでは、図4(a)に示す試料A、Bのイメージング質量分析データについて領域結合する場合を考える。
まず、一方(この例では試料A)のイメージング質量分析データの測定点間隔を基準とし、他方(この例では試料B)のイメージング質量分析データの測定点間隔を定義し直す。即ち、ステップS6の処理とは異なり、ここでは領域結合の前と後とで試料上における測定点間隔を仮想的に変化させる。それによって、試料Bの測定領域において、実際の測定点の位置とは異なる仮想的な測定点を設定する。
この仮想的な測定点は実際にマススペクトルデータが得られた位置ではないため、実際の測定点と仮想的な測定点との位置のずれ又は差異に応じて、実際の測定点において得られたマススペクトルデータの各強度値から仮想的な測定点におけるマススペクトルを推算する必要がある。そのために、ここでは、測定領域の一端(この例では図4(b)における左上端部)を原点とし、実際の各測定点のマススペクトルにおいて各質量電荷比値に対する強度値をそれぞれその測定点のX、Y座標に対応付ける関数とし、この関数に基づく内挿又は外挿による補正を行うことで仮想的な測定点における強度値を求めるようにする。つまり簡単に言えば、X、Yの2次元座標上に位置する複数の実際の測定点におけるマススペクトルの強度値に基づく2次元的な内挿又は外挿により、同座標上の仮想的な測定点におけるマススペクトルの強度値を算出する(ステップS7)。
例えば、図4(b)に示した試料Bの測定領域中の測定点S1は新たに定義された仮想的な測定点であり、実際の測定点P1〜P4に取り囲まれている。そのため、実際の測定点におけるマススペクトルの強度値を用いて質量電荷比毎に内挿を行い、仮想的な測定点S1の位置に対応する強度値を求める。一方、測定点S2も新たに定義された仮想的な測定点であるが、この測定点S2の周囲には一部しか、マススペクトルが得られている実際の測定点が存在しない。そのため、仮想的な測定点S1とは異なり内挿による補正を行うことはできないから、この場合には、隣接する再定義前の測定点におけるマススペクトルの強度値を元に外挿を行い、仮想的な測定点S2における強度値を算出する。このように、可能である限り内挿を用い、内挿ができない場合に外挿を用いればよい。なお、当然のことながら、試料Aのイメージング質量分析データと試料Bのイメージング質量分析データとの間に直接的な関係はないから、補正により強度値を求める際には結合した他方側のイメージング質量分析データは参照しない。
内挿又は外挿のための補正関数としては、最も簡易的には1次関数(直線関数)を用いればよい。一般には、これでも実用的には十分であるが、高次関数、スプライン関数などを用いることで、仮想的な測定点におけるマススペクトルをより高い精度で求めることが可能である。
上記のような強度値の算出を全ての質量電荷比について繰り返し実施することで、一つの仮想的な測定点における新たなマススペクトルが求まる。さらに、全ての仮想的な測定点について、同様に新たなマススペクトルを求める。それによって、測定点間隔を揃えるように結合した後の測定領域内の全ての測定点におけるマススペクトルが求まる。なお、測定領域内で測定点が実質的に存在しない空白部分には強度値ゼロのダミーデータを挿入することは図3の場合と同じである。
なお、図3、図4では、試料Aに対する測定領域の右上端部に試料Bに対する測定領域の左上端部を重ねるように二つの測定領域を結合しているが、両者を結合する位置はこれに限るものではなく上下左右いずれかに隣接する位置であればよい。結合位置が相違すると、それによって各測定点(微小測定領域)のX座標、Y座標は変わるが、この座標の絶対値はあまり意味がないので、後述する各種処理において何ら問題とならない。
以上の処理により、二つの測定領域は空間的に統合される。ただし、試料Aのイメージング質量分析データと試料Bのイメージング質量分析データとでは、マススペクトルの質量電荷比の配列が同一であるとは限らない。そこで、引き続いて、マススペクトルの質量電荷比の配列を統一するために質量電荷比値の相違に由来する強度値の補正を行う(ステップS8)。
まず、結合対象である二つイメージング質量分析データのマススペクトルの共通の質量電荷比範囲を求める。結合するそれぞれのイメージング質量分析データに含まれるマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値やデータ点の質量電荷比間隔が異なる場合には、図5に示すように、一方(この例では試料A)のマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値を基準として、他方(この例では試料B)のマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値を定義し直す。そして、一つのマススペクトルにおいて、定義し直した仮想的な質量電荷比値に対応する強度値を実際に得られた強度値に基づく内挿又は外挿により求める。仮想的な質量電荷比値に対し質量電荷比軸に沿ってその両側に実際に得られた強度値が存在すれば内挿を用いることができ、いずれか一方にしか実際に得られた強度値が存在しなければ外挿を用いればよい。これにより、結合対象のイメージング質量分析データのマススペクトルの質量電荷比範囲と各データ点の質量電荷比値との両方を揃えることができ、全ての測定点においてマススペクトルの質量電荷比値の一次元配列が共通になる。
いま、図5では、最も単純な1次(線形)補正を一例として考える。基準となるマススペクトルのm/z=ma1の位置に対応する強度値は、それ以外の補正対象マススペクトルにおいて質量電荷比軸上でm/z=ma1に隣接するm/z=mb1、mb2と、それらm/z値に対応する強度値Ib1、Ib2とを用いて、以下の式で求まることになる。
m1={(Ib2−Ib1)/(mb2−mb1)}(ma1−mb1)+Ib1
m/z=ma1以降のm/z=man(ただし、nは2,3,…)に対応した補正対象マススペクトルにおける強度値についても、その補正対象マススペクトルにおいてm/z=manに隣接する質量電荷比値に対応する強度値に基づいて上記式によりm/z=manに対応する強度値を内挿又は外挿により求めればよい。
このようにして測定領域内の測定点毎にマススペクトルを構成する各データ点の質量電荷比値のずれに基づいた強度値の補正を行うことで、全ての測定点におけるマススペクトルの質量電荷比値配列を揃えることができる。そして、これにより、測定点間隔もマススペクトルの質量電荷比配列も揃うことになり、イメージング質量分析データの統合が完了する。
なお、一般には、或る一つの試料のイメージング質量分析データでは全ての測定点におけるマススペクトルの質量電荷比配列は共通であるが、場合によっては、或る一つの試料のイメージング質量分析データにおいても、測定点毎にマススペクトルの質量電荷比配列が異なることがある。一例を挙げれば、測定領域の中の特定の領域、典型的には関心領域については高質量分解能の測定を実施し、測定領域の中の関心領域以外の部分については比較的低質量分解能の測定を実施するような場合である。
このように或る一つの試料のイメージング質量分析データにおいてマススペクトルの質量電荷比配列が異なる場合には、一つの測定点におけるマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値を基準として、そのほかの測定点におけるマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値を定義し直し、図5に示したように、一つのマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値を基準として他のマススペクトルの同じ質量電荷比値に対応する強度値を内挿又は外挿により求める。これによって、一つの試料のイメージング質量分析データにおける各測定点のマススペクトルのデータ点の質量電荷比値を統一し、共通の質量電荷比配列と測定点毎の強度値の配列とからなるデータとして取り扱えるようにするとよい。これは、複数の測定領域を統合するか否かに拘わらず、つまりは例えば一つの試料のイメージング質量分析データに基づいてイメージング画像を作成したり、或いは統計解析のためのピーク行列を作成したりする際にも有用な処理である。
また、測定点毎にマススペクトルの質量電荷比配列が異なるイメージング質量分析データ同士を統合する場合、或いは、質量電荷比配列が異なるイメージング質量分析データと、質量電荷比配列が共通であるイメージング質量分析データとを統合する場合には、特定の一つの測定点におけるマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値を基準として、統合対象であるイメージング質量分析データも含めた該基準以外の全ての測定点におけるマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値を定義し直し、図5に示したように、一つのマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値を基準として他のマススペクトルの同じ質量電荷比値に対応する強度値を内挿又は外挿により求める。これにより、統合対象であるイメージング質量分析データを、共通の質量電荷比配列と測定点毎の強度値の配列とからなるデータとして取り扱えるようにすることができる。
測定領域を結合するための測定点の再定義及び強度値の補正処理、及びマススペクトルの質量電荷比配列を揃えるための強度値の補正処理は、いずれを先に実行しても構わない。こうして統合されたイメージング質量分析データは一旦、外部記憶装置4の非圧縮イメージング質量分析データ記憶領域40に格納される。
なお、測定点間隔の等しいデータを統合する場合には、上述の測定点間隔の再定義や測定点間隔を揃えるための一方のデータの拡大縮小は行わずに統合することができる。また、統合対象の全測定点のマススペクトルを構成するデータ点の質量電荷比値が一致している場合、質量電荷比配列を揃えるための強度値の補正処理を行わず統合できることは自明である。測定点間隔又は質量電荷比配列のいずれかが一致しているデータ同士を統合する場合は、測定点間隔又は質量電荷比配列のうちのいずれか一方のみの補正を行えばよい。
イメージング質量分析データを外部記憶装置4の非圧縮イメージング質量分析データ記憶領域40に一旦格納したあと、データ圧縮処理部23は外部記憶装置4から上述したように統合されたイメージング質量分析データについて、測定点毎にマススペクトルデータを順次読み込み、後述するデータ圧縮アルゴリズムに従って測定点毎にデータ圧縮を実行する。また、インデクス作成処理部25は測定点毎に、マススペクトルデータ(原マススペクトルデータ)と圧縮データとを利用して後述するようなインデクスを作成する。また、規格化係数計算部26は後述のようにして各測定のTIC規格化係数を計算する。さらにピーク行列作成部27は後述のようにして統計解析のためのピーク行列を計算する。こうして算出されマススペクトルデータに対する圧縮データ、インデクス、TIC規格化係数、及びピーク行列は、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211、インデクス記憶領域212、規格化係数記憶領域213、及びピーク行列記憶領域214にそれぞれ格納される。
さらに、マススペクトル作成処理部29は全測定点におけるマススペクトルデータを質量電荷比毎に積算し、各積算値を全測定点数で除することにより、平均マススペクトルを求める。そして、この平均マススペクトルをメインメモリ21のスペクトル記憶領域216に格納するとともに、表示処理部32を通して表示部6の画面上に表示する。表示された平均マススペクトルにより、オペレータは、全体としてどの質量電荷比のイオン強度が高いのか(どのような質量を有する物質が多いのか)を概略的に把握することができる。
[マススペクトルデータの圧縮処理の詳細]
図6、図7を用い、本実施例のシステムにおけるマススペクトルデータの圧縮処理について説明する。なお、このデータ圧縮方法は特許文献1に開示された方法である。
一つの試料に対して得られたイメージング質量分析データは、全ての測定点に共通である一つの質量電荷比値の1次元配列データと、測定点毎のマススペクトルのイオン強度値の1次元配列データと、を含む。イメージング質量分析部1がTOFMSを用いた構成である場合には、質量電荷比値の1次元配列データの代わりに飛行時間値の1次元配列データを用いることもできる。ここでは、図6(a)に示したようなマススペクトルから抽出されたイオン強度値の1次元配列データを圧縮処理する場合を例に挙げて説明する。
なお、或る質量電荷比に対する一つのイオン強度値は2バイト(16ビット)データ(ここではHEX表示で記し、本明細書中ではHEX表示は括弧「」囲みで示す)であるとする。なお、データ圧縮に先立ち、各強度値が所定のノイズレベル未満であるか否かを判定し、ノイズレベル未満である強度値はゼロに置き換えるものとする。こうした前処理を行うと、有意なピーク以外の部分では強度値ゼロが連続する状態となることが多い。
図6(b)に示したようなイオン強度値の1次元配列に対し、質量電荷比が小さなデータから順番(図6(b)中の下向きの矢印の順)に強度値をチェックしてゆき、強度ゼロ値(図6、図7中では「0000」)が2以上連続する場合には、その連続部分をその連続個数に置換する。ただし、連続個数の最大は32767であり、それ以上強度ゼロデータが連続する場合には、それまでの部分を「7FFF」に置き換え、その後の強度ゼロデータの連続個数を圧縮データ配列の次の行に格納するものとする。
一方、ゼロでない強度値が1以上連続する場合には、圧縮データ配列上において、その連続部分の先頭にその連続個数を格納するとともに、その後に強度値をそのまま順次格納していく。なお、この場合の連続個数も最大32767までであり、それ以上は再度その位置から同様のアルゴリズムで連続個数を格納する。また、連続部分の先頭に付されるゼロでない強度値の連続個数を圧縮データ配列上に格納する際には、2バイトデータの最上位ビット(MSB)を”1”に設定する。つまり、連続個数を示す数値は2バイト(16ビット)データのうちのMSBを除く15ビットで表される。したがって、連続個数が32768(=215)以上である場合には、連続個数を示す数値が「7FFF」より大きくなるので強度ゼロではないデータ値の連続であることがすぐに判明し、2進数ではMSBを除いた数値、またHEX表示では「7FFF」を減じた数値が実際のデータ値の連続個数となる。
図6(b)の例では、まずイオン強度値の1次元配列の先頭から強度ゼロでない有意なデータ値が5個連続するから、図6(c)に示す圧縮データ配列においては、まず連続部分の先頭に、MSBを”1”とし、それ以外のビットで5を表した「8005」を格納し、その後に原マススペクトルデータ配列上の5個のデータ値をそのまま圧縮データ配列上に連ねる。したがって、原マススペクトルデータ配列上の5個の連続データは圧縮データ配列上の6個の連続データに対応する。その後、原マススペクトルデータ配列上では強度ゼロデータが4個連続するから、この連続部分は圧縮データ配列上では「0004」である1個のデータに置き換えられる。以上のような規則に従って、イオン強度値の一時次元配列は圧縮データ配列に変換される。
一方、図7(b)に示すインデクスは、原マススペクトルデータ配列上の位置と圧縮データ配列上の位置との対応関係を示すものである。具体的には、インデクスは、原マススペクトルデータ配列上で強度ゼロが2以上連続する部分の開始位置(例えば図7(a)に示す原マススペクトルデータ配列の6番目)とその連続部分に対応する圧縮データ配列上の位置(例えば図7(c)に示す圧縮データ配列の7番目)とを一つの組とするとともに、原マススペクトルデータ配列上で有意な強度を持つデータの並びの開始位置(例えば図7(a)に示す原マススペクトルデータ配列の10番目)とその並びに対応する圧縮データ配列上の位置(例えば図7(c)に示す圧縮データ配列の8番目)とを一つの組とし、1組を1行として各組の位置対応情報をリスト化したものである。この作成手順は本発明の趣旨ではないので説明を略すが、特許文献1に記載の手法により容易に作成可能である。インデクスは圧縮データに基づいて原スペクトルデータを復元する際に必須のものではないが、このインデクスを利用することで任意の質量電荷比に対する強度値の算出が高速に行える。
なお、データ圧縮符号化の手法は上述したような特許文献1に記載の方法に限らず、特許文献2、3などに記載の方法やそれ以外の各種の方法を用いることができる。
実際には、一つマススペクトルデータの圧縮処理に所要する時間は、イメージング質量分析部1において、試料ステージを測定点毎に移動させてそれぞれ質量分析を行うのに要する時間に比べると十分に短く、また測定中にデータ収集部20で行われる処理ためのCPUの負荷は低い。そのため、測定中に、得られたマススペクトルデータに対してデータ圧縮処理部23は圧縮処理を実行し、圧縮されたイメージング質量分析データを外部記憶装置4の圧縮イメージングデータ記憶領域(図示せず)に格納するようにするとよい。さらに、測定中にインデクス作成処理部25はインデクスを作成し、作成されたインデクスデータも外部記憶装置4に格納するようにしてもよい。即ち、イメージング質量分析データの圧縮やインデクスの作成はバッチ処理的に行う必要はなく、測定中に略リアルタイムで行うことができる。
上述のようにして測定中に圧縮した複数のイメージング質量分析データを比較した統計解析やイメージング画像の表示を行いたい場合には、処理対象のデータを読み込むのに先立って、比較したい複数の試料のイメージング質量分析データをあたかも一つのイメージング質量分析データとして取り扱うことができるように統合する処理を実行する。この場合、比較対象のデータの各測定点の圧縮マススペクトルを一旦伸張し、上述のイメージング質量分析データの統合処理を行う。
統合処理の際は全測定点の圧縮マススペクトルを一度に伸張するのでなく、統合処理を行う対象の測定点のマススペクトルのみを順次伸張し、統合処理が完了した部分から順次再び圧縮処理を行うか、或いは圧縮処理を行わないまま(つまりは非圧縮データのまま)外部記憶装置4に格納することもできる。例えば、図4(b)に示す、仮想的な測定点S1のマススペクトルを計算する場合、一次(線形)補正に必要になるのは元の測定点P1〜P4のマススペクトルのみであるため、これらのマススペクトルのみ伸張処理を行い、測定点S1のマススペクトルが求まれば、そのマススペクトルを再度圧縮し外部記憶装置4に格納する。図5に示したようにマススペクトルを構成するデータ点の位置を補正する場合には、基準となるマススペクトルのデータ点の質量電荷比値が決定すれば、その後、各測定点毎にマススペクトルを伸張し、基準となる質量電荷比値に対応する強度値を内挿又は外挿により求め、新たな補正されたマススペクトルを再度圧縮して外部記憶装置4に保存していけばよい。これにより、統合処理中の記憶領域の使用量を節約することができる。
上述の、統合され且つ圧縮されたイメージング質量分析データをデータ圧縮処理部23を経ることなく、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に読み込み、以降の処理を行う。また、統合された圧縮イメージング質量分析データをメインメモリ21上に格納する際に、インデクス作成処理部25はその統合されたデータに対応するインデクスを再度作成し、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納する。
また、測定中、つまりマススペクトルデータの収集中に圧縮を行い、統合の際に必要最低限であるデータのみの伸張を行って統合処理を行えば、記憶領域の消費量は少なくて済む。このため、データ収集、統合から統計解析までの間、外部記憶装置4にデータを格納することなく、メインメモリ21に必要なデータを格納したまま全ての処理を行うことも可能である。
[TIC規格化係数の算出]
上述したように、TIC規格化では、一つのマススペクトルに現れる全てのイオン強度値の和であるTICが全ての測定点において揃うように、各マススペクトルのイオン強度値が規格化される。TIC規格化係数はその規格化のために測定点毎に算出される規格化係数である。図8は上述したTIC規格化係数算出処理の詳細なフローチャートである。
即ち、まず全測定点についてそれぞれ、所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルに現れる全てのイオン強度値を加算してTICを算出する。ここで、i番目(ただし、全測定点数をNとしたとき、i=1,2,…,N)の測定点に対するTICをQiとする(ステップS11)。次に、全測定点のTICの値(つまりQ1〜QN)を比較して、値が最大であるTICを求め、それをQmaxとする(ステップS12)。そして、測定点毎にqi=Qmax/Qiを計算し、このqiを各測定点のTIC規格化係数とする(ステップS13)。こうして求めたTIC規格化係数をメインメモリ21の規格化係数記憶領域213に保存すればよい。
TICの値は一つのマススペクトルに現れる全てのイオン強度値の和であるため、XICと異なり値は一意に定まる。そのため、測定中のCPUの余剰能力を利用して事前に計算しておいてもよい。その場合、測定中に、データ収集部20で各測定点のマススペクトルデータを取得するたびに、所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルに現れる全てのイオン強度値を加算してTICを算出し、その値を測定点の位置情報とともに、外部記憶装置4に格納しておく
測定終了後、必要に応じて外部記憶装置4からTICの値を読み出し、データ処理部2のメインメモリ21に作成したTIC記憶領域(図示せず)にTIC値を格納する。その後、必要に応じて上述したTIC規格化係数計算処理(図8参照)を行い、求めたTIC規格化係数をメインメモリ21の規格化係数記憶領域213に格納すればよい。
[統計解析用ピーク行列の作成]
統計解析に用いられるピーク行列は、全測定点に共通である一つの質量電荷比値の1次元配列と、各測定点にそれぞれ対応するイオン強度値の1次元配列とから構成される。質量電荷比値の1次元配列は、全測定点における平均マススペクトル又は全測定点における最大強度マススペクトル(全測定点のマススペクトルにおいて質量電荷比毎に最大強度であるピークを抽出して再構成したマススペクトル)からピークを選出し、各ピークの質量電荷比値をリスト化することにより作成される。この全測定点に共通である質量電荷比値の配列が得られたならば、その質量電荷比値配列に挙げられている各質量電荷比値に対応するイオン強度値を、各測定点のマススペクトルそれぞれについて求めてリスト化する。こうして測定点毎に得られたイオン強度値のリストを行列の形式に書き改めることで、ピーク行列が得られる。
なお、イメージング質量分析部1における質量誤差等のために、同一物質に対するスペクトルピークであっても質量電荷比値が微妙にずれることがある。そこで、そうした質量誤差を考慮したピーク行列を作成するためには、質量電荷比値配列中の各質量電荷比値に対し適宜のマージンを与えた質量電荷比範囲を設定し、各測定点のマススペクトルにおいてその質量電荷比範囲内で最大のイオン強度を抽出して、それをその中心の質量電荷比値に対するイオン強度値とみなしてリストに挙げるとよい。
以上のようにして、例えばイメージング画像の表示等のオペレータによる具体的な指示を待たずに、メインメモリ21には、測定点毎のマススペクトルデータに対応する圧縮データ、これに付随するインデクス、測定点毎のTIC規格化係数、及び統計解析のためのピーク行列が自動的に格納される。また、表示部6の画面上には、全ての測定点におけるマススペクトルデータを平均した平均マススペクトルが表示され、この状態で、オペレータによる次の指示の待機状態となる。
[規格化されていないイメージング画像の作成・表示]
試料に含まれる各種物質の中でオペレータが特定の物質に着目している場合には、観測対象の質量電荷比又は質量電荷比範囲はオペレータにとって既知である。また、そうした質量電荷比に関する事前情報がない場合でも、上述したように表示部6の画面上に表示された平均マススペクトルをオペレータが視認することで、興味のある質量電荷比又は質量電荷比範囲を特定することができる。着目する又は興味がある質量電荷比又は質量電荷比範囲についてイオン強度値の規格化を行っていないイメージング画像をオペレータが見たい場合には、オペレータは操作部5より質量電荷比又は質量電荷比範囲を指定して規格化なしのイメージング画像の表示の実行を指示する。
すると、この指示を受けてデータ伸張処理部24は、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納されている各測定点に対応したインデクスを参照し、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている各測定点の圧縮データの中で、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応した必要最低限の圧縮データを読み出す。そして圧縮データを伸張する復号化処理を行うことにより、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲における各測定点のイオン強度値を復元する。上述したようにデータ圧縮に可逆的なランレングス符号化を利用した場合には、圧縮データを復号することで原マススペクトルデータと全く同じ強度値が復元される。
イメージング画像作成処理部28は、強度値に対応する表示色を決定し、測定点毎に得られた強度値にそれぞれ対応する表示色を付した画素を2次元的に配置することにより、指定された質量電荷比に対するイメージング画像を作成する。そして、表示処理部32を通して、このイメージング画像を表示部6の画面上に描出する。これによって、図13の上部に示したような(この例では質量電荷比はM1)、指定された質量電荷比を有する物質の2次元分布を示すイメージング画像が作成・表示される。また、単一の質量電荷比ではなく質量電荷比範囲のイメージング画像の表示が指定された場合には、イメージング画像作成処理部28は、その質量電荷比範囲に含まれる複数の質量電荷比にそれぞれ対応するイオン強度値を加算することで積算強度値を求め、その積算強度値に対応する表示色を決定し、それぞれ表示色を与えた画素を2次元的に配置することでイメージング画像を形成する。なお、このような測定点毎のイオン強度値又は積算強度値の2次元配列であるイメージング画像データは、質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応付けてメインメモリ21のイメージング画像記憶領域215に保存される。
[規格化されていないマススペクトルの作成・表示]
上述したように、全測定点に対する平均マススペクトルは自動的に作成され表示部6に表示されるが、多くの場合、イメージング画像として表示される試料上の測定範囲の中でオペレータが関心のある領域、つまり関心領域はかなり限られる。そこで、本システムでは、例えば表示部6に表示されたイメージング画像上、或いは顕微観察画像データに基づいて描出される顕微観察画像上で、オペレータが適宜のサイズ、形状の関心領域(ROI=Region Of Interest)を操作部5により指定すると、その関心領域に含まれる測定点のみの平均マススペクトルが作成されて表示部6に表示されるような機能が備えられている。
即ち、オペレータが操作部5により関心領域を指定すると、データ伸張処理部24は、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納されている各測定点のインデクスを参照し、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている各測定点の圧縮データの中で、関心領域に含まれる測定点のみの圧縮データを読み出す。そして圧縮データを伸張処理することにより、指定された関心領域に含まれる各測定点のマススペクトルデータを復元する。次にマススペクトル作成処理部29は与えられた測定点のマススペクトルデータを質量電荷比毎に積算し、各積算値を測定点数で除することにより、関心領域における平均マススペクトルを求める。そして、この平均マススペクトルを関心領域を特定する情報に対応付けてメインメモリ21のスペクトル記憶領域216に格納するとともに、表示処理部32を通して表示部6の画面上に表示する。
[XIC規格化係数の算出]
上述したように、XIC規格化では、一つのマススペクトルの中で特定の質量電荷比におけるイオン強度値であるXICが全ての測定点において揃うように、各マススペクトルのイオン強度値が規格化される。図9はXIC規格化係数算出処理の詳細なフローチャートである。
オペレータによりXIC規格化の条件である質量電荷比又は質量電荷比範囲が設定されると(ステップS21)、データ伸張処理部24は、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納されている各測定点のインデクスを参照し、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている各測定点の圧縮データの中で、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲における最低限必要な圧縮データを読み出す。そして圧縮データを伸張処理することにより、各測定点の特定質量電荷比又は質量電荷比範囲におけるイオン強度値を復元する。ここで、i番目(iの定義は上と同じ)の測定点に対する指定された質量電荷比におけるXICをPiとする(ステップS22)。なお、特定の質量電荷比ではなく質量電荷比範囲が指定された場合には、該範囲に含まれる質量電荷比に対するイオン強度の積算値を計算し、この積算値をPiとすればよい。
次に、全測定点のXIC(つまりP1〜PN)の値を比較して、値が最大であるXICを求め、それをPmaxとする(ステップS23)。そして、測定点毎に、pi=Pmax/Piを計算し、このpiをその指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲に対するXIC規格化係数とする(ステップS24)。こうして得られた測定点毎のXIC規格化係数を質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応付けて、メインメモリ21の規格化係数記憶領域213に格納する。上述したように、質量電荷比に依存しないTIC規格化係数と異なり、XIC規格化係数は質量電荷比や質量電荷比範囲毎に相違するから、オペレータにより異なる質量電荷比又は質量電荷比範囲が指定される毎に、図9に示した処理を実行して新たなXIC規格化係数を算出し、質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応付けてメインメモリ21の規格化係数記憶領域213に保存するようにする。
[規格化されたイメージング画像の作成・表示]
TIC規格化された又はXIC規格化されたイメージング画像の作成・表示がオペレータにより指示された場合、その作成には二つの方法がある。なお、XIC規格化を行う場合であってそのための規格化係数が規格化係数記憶領域213に保存されていない場合には、上述したようにXIC規格化係数を求める処理を事前に実施する。
(1)規格化されていないイメージング画像が存在する場合
指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲における規格化されていないイメージング画像データがイメージング画像記憶領域215にすでに保存されている場合には、規格化演算処理部30は、そのイメージング画像データ(つまり各測定点におけるイオン強度値)をイメージング画像記憶領域215から読み出すとともに、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応するXIC規格化係数を規格化係数記憶領域213から読み出す。そして、対応する測定点のXIC規格化係数をイオン強度値に乗じることで該強度値をそれぞれ修正する。イメージング画像作成処理部28は、XIC規格化係数により修正された強度値に基づいてイメージング画像を作成し、表示処理部32を通して表示部6の画面上に表示する。この場合には、各測定点の強度値に規格化係数をそれぞれ乗じる処理を行うだけであるので、きわめて高速に規格化されたイメージング画像を表示することができる。
(2)規格化されていないイメージング画像が存在しない場合
指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲における規格化されていないイメージング画像データがイメージング画像記憶領域215にない場合には、圧縮データからイメージング画像を形成したあとに規格化する必要がある。この場合の処理のフローチャートを図10に示す。
オペレータが操作部5より質量電荷比又は質量電荷比範囲を指定すると(ステップS31)、データ伸張処理部24は、測定領域内の一つの測定点を選択し(ステップS32)、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納されている該測定点に対応したインデクスを参照し、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている該測定点の圧縮データの中で、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応した必要最低限の圧縮データを読み出す(ステップS33)。そして圧縮データを伸張する復号化処理を行うことにより、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲における該測定点のイオン強度値を復元する(ステップS34)。
次に、規格化演算処理部30はメインメモリ21の規格化係数記憶領域213に格納されている該測定点に対応したTIC規格化係数又はXIC規格化係数を読み出し(ステップS35)、ステップS34で復元された強度値に読み出した規格化係数を乗じることにより強度値を修正する。イメージング画像作成処理部28は、修正後の強度値に表示色を割り当ててその測定点に対応する画素の表示色を決める(ステップS36、S37)。測定領域の中で未処理の測定点がある場合にはステップS38からS32へと戻り、未処理の測定点についてステップS33〜S37の処理を実行する。これを繰り返すことで、全測定点に対応する画素の表示色が決まったならば、表示処理部32を通して規格化したイメージング画像を表示部6の画面上に表示する(ステップS39)。
なお、規格化の条件が異なる複数のイメージング画像を比較するために同時に表示する場合には、或る一つの規格化条件の下での規格化処理を行った後の強度値の2次元配置をメインメモリ21のイメージング画像記憶領域215に一旦保持するという処理を繰り返し、表示したい全ての規格化条件に対応するイメージング画像が揃ったならば、それらを同時に表示部6の画面上に表示するようにすればよい。
[規格化された平均マススペクトル等の作成・表示]
全測定領域又は関心領域に含まれる測定点に対する規格化された平均マススペクトル(又は最大強度マススペクトル)を作成・表示する処理のフローチャートを図11に示す。
オペレータが操作部5より例えば関心領域を指定すると(ステップS41)、データ伸張処理部24は、その関心領域内の一つの測定点を選択し(ステップS42)、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納されている該測定点に対応したインデクスを参照し、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている該測定点の圧縮データを読み出す(ステップS43)。そして圧縮データを伸張する復号化処理を行うことにより、該測定点のイオン強度値を復元する(ステップS44)。
次に、規格化演算処理部30はメインメモリ21の規格化係数記憶領域213に格納されている該測定点に対応したTIC規格化係数又はXIC規格化係数を読み出し(ステップS45)、ステップS44で復元された全質量電荷比範囲に亘る強度値にそれぞれ読み出した規格化係数を乗じることにより強度値を修正する。マススペクトル作成処理部29は、修正後の強度値を質量電荷比毎に積算する(ステップS46)。測定領域の中で未処理の測定点がある場合にはステップS47からS42へと戻り、未処理の測定点についてステップS43〜S46の処理を実行する。これを繰り返すことで、関心領域内の全ての測定点における質量電荷比毎の規格化されたイオン強度の積算値が求まったならば、マススペクトル作成処理部29は、各積算値を関心領域内の測定点の点数で除することで平均値を算出する(ステップS48)。そして、表示処理部32を通して規格化した平均マススペクトルを表示部6の画面上に表示する(ステップS49)。
なお、規格化の条件が異なる複数の平均マススペクトルを比較するために同時に表示する場合には、或る一つの規格化条件の下で求めた平均マススペクトルをメインメモリ21のスペクトル記憶領域216に一旦保持するという処理を繰り返し、表示したい全ての規格化条件に対応する平均マススペクトルが揃ったならば、それらを同時に表示部6の画面上に表示するようにすればよい。
以上が、規格化されたイメージング画像や平均マススペクトル等の作成の手順であるが、信号の強度値をソフトウエア上で取り扱う際には、次のような点に注意を要する。即ち、ソフトウエア上では信号の強度値を「long」や「short」と呼ばれるデータ型のように決められたビット数の範囲内で扱う必要があるものの、規格化の際に各測定点の強度値にpiやqiといった係数が乗じられると、強度値が「long」や「short」といったデータ型で保持可能なビット数の範囲を超えてしまうおそれがある。この問題を回避するためには、規格化の際に、「long」又は「short」の最大値を超えないように全測定点の強度値に1よりも小さい定数を乗じるリスケーリング処理を併せて行い、それによって信号値の飽和を回避するとよい。いま、XIC規格化を行う場合において、i番目の測定点のマススペクトル中の強度値の最大値をIiとすると、全測定の中でIi×piの最大値がMax_long(Max_short)となるようにリスケーリングを行えば飽和を確実に回避することができる。これを実現するために、具体的には以下の処理を行えばよい。
即ち、まず、全測定点においてIi×piの最大値を探索する。いま、a番目の測定点においてこの値が最大であったとする。このとき、Ia×paがMax_long(Max_short)になるようにリスケーリングすればよいから、各測定点の強度値に、Max_long(Ia×pa)又はMax_short/(Ia×pa)を乗じることでリスケーリングすればよい。上記のリスケーリングに加えて、各測定点の強度値にはpiを乗じて規格化することになるから、結局、リスケーリングと規格化とを同時に行う場合、各測定点の強度値に(Max_long×Pa)/(Ia×Pi)又は(Max_short×Pa)/(Ia×Pi)を乗じればよい。
なお、TIC規格化の場合にリスケーリングを行って飽和を回避するためには、上述のpi、Pi、Pmaxの部分をそれぞれ、qi、Qi、Qmaxに置き換えるだけでよい。
[統計解析の実行]
上述したように規格化されていないピーク行列が初期的にメインメモリ21のピーク行列記憶領域214に格納されているから、規格化しない統計解析処理を行う場合には、統計解析演算部31がピーク行列記憶領域214から規格化されていないピーク行列を読み出し、周知の主成分分析等の多変量解析、ネットワーク解析などを実行すればよい。また、TIC規格化やXIC規格化を行った状態で統計解析を行いたい場合には、規格化演算処理部30はピーク行列記憶領域214から規格化されていないピーク行列を読み出すとともに、規格化係数記憶領域213から事前に計算しておいたTIC規格化係数又はXIC規格化係数を読み出す。そして、ピーク行列の強度値配列に規格化係数をそれぞれ乗じることで規格化されたピーク行列を求め、これを統計解析に供すればよい。
また、規格化されていないピーク行列が記憶されていない場合には、図12に示したフローチャートに従って規格化された統計処理を実行することができる。
まず、上述した例えば図11に示した処理により、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている圧縮データと規格化係数記憶領域213に格納されているTIC規格化係数又はXIC規格化係数とを用いて、全測定領域又は指定された関心領域における規格化された平均マススペクトル又は最大強度マススペクトルを算出する(ステップS51)。次に、ピーク行列作成部27はその平均マススペクトル又は最大強度マススペクトルに対しピーク検出を行い、検出されたピークの質量電荷比値を抽出したピークリストを作成する(ステップS52)。データ伸張処理部24は、その関心領域内の一つの測定点を選択する(ステップS53)。規格化演算処理部30はメインメモリ21の規格化係数記憶領域213に格納されている該測定点に対応したTIC規格化係数又はXIC規格化係数を読み出す(ステップS54)。
次に、データ伸張処理部24は、ステップS52で作成されたピークリスト中の一つのピークを選択し(ステップS55)、メインメモリ21のインデクス記憶領域212に格納されている該測定点に対応したインデクスを参照し、メインメモリ21の圧縮データ記憶領域211に格納されている該測定点の圧縮データの中で、選択したピークの質量電荷比又は質量電荷比範囲に対応した必要最低限の圧縮データを読み出す(ステップS56)。そして圧縮データを伸張する復号化処理を行うことにより、指定された質量電荷比又は質量電荷比範囲における該測定点のイオン強度値を復元する(ステップS57)。
次に、規格化演算処理部30はステップS54で読み出したTIC規格化係数又はXIC規格化係数を、ステップS57で復元された強度値に乗じることにより強度値を修正し、これを規格化されたピーク行列の要素として、メインメモリ21のピーク行列記憶領域214に保存する(ステップS58)。一つの測定点についてステップS55〜S58の処理を繰り返し、全ピークについての処理が終了しならば(ステップS59でYes)、関心領域の中で未処理の測定点があるか否かを判定し(ステップ60)、関心領域の中で未処理の測定点がある場合にはステップS60からS53へと戻って、今度は関心領域内の別の測定点を選択してステップS54〜S59の処理を繰り返す。これによって、最終的に、規格化されたピーク行列を得ることができるから、これを統計解析に供すればよい。
なお、規格化の条件が異なる複数の統計解析の結果を比較のため同時に表示する場合には、或る一つの規格化条件の下での規格化処理を行ったピーク行列に対する統計解析結果をメインメモリ21上の図示しない記憶領域に一旦保持するという処理を繰り返し、表示したい全ての規格化条件に対応する統計解析結果が揃ったならば、それらを同時に表示部6の画面上に表示するようにすればよい。
なお、上記実施例は本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜に変更、修正、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
例えば、上記実施例では、データ圧縮時にインデクスを作成し、インデクスを用いて必要な圧縮データを迅速に探索できるようにしていたが、インデクスを用いることは本発明において必須な要素ではなく、データを圧縮することさえも本発明において必須な要素ではない。また、統計解析の手法も上記例示したものに限らない。また、イオン強度値の規格化の手法も上記例示したものに限らない。また、上記実施例では、フローチャートに従って処理の手順を説明したが、その手順は記載の順序に限るものでなく、その幾つかは適宜順序を入れ替えても支障がないことは明らかである。
1…イメージング質量分析部
2…データ処理部
20…データ収集部
21…メインメモリ
211…圧縮データ記憶領域
212…インデクス記憶領域
213…規格化係数記憶領域
214…ピーク行列記憶領域
215…イメージング画像記憶領域
216…スペクトル記憶領域
22…データ統合処理部
23…データ圧縮処理部
24…データ伸張処理部
25…インデクス作成処理部
26…規格化係数計算部
27…ピーク行列作成部
28…イメージング画像作成処理部
29…マススペクトル作成処理部
30…規格化演算処理部
31…統計解析演算部
32…表示処理部
4…外部記憶装置
40…非圧縮イメージング質量分析データ記憶領域
41…顕微画像データ記憶領域
5…操作部
6…表示部
100…試料
101…測定領域

Claims (10)

  1. 試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することにより収集されたマススペクトルデータが前記測定点の空間位置情報に関連付けられてなるイメージング質量分析データを処理するイメージング質量分析データ処理方法であって、
    a)複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける空間的な測定点間隔を基準として、他のイメージング質量分析データの測定点間隔を該基準に揃えたときの仮想的な測定点位置それぞれにおけるマススペクトルデータを、該仮想的な測定点位置の周囲にある複数の測定点のマススペクトルデータを用いた内挿又は外挿により求める空間的補正処理ステップと、
    b)前記複数のイメージング質量分析データにおけるマススペクトルの質量電荷比範囲の共通部分を抽出し、該複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける抽出された前記共通の質量電荷比範囲内のデータ点における質量電荷比値を基準として、他のイメージング質量分析データのデータ点における質量電荷比値を該基準に揃えたときの仮想的な質量電荷比値それぞれにおける強度値を、該仮想的な質量電荷比値の前後にある実測した質量電荷比値における強度値を用いた内挿又は外挿により求める質量電荷比補正処理ステップと、
    c)前記空間的補正処理ステップ及び前記質量電荷比補正処理ステップを実行することにより測定点間隔及び質量電荷比値が揃った複数のイメージング質量分析データを一つのイメージング質量分析データとして取り扱い得るように統合する統合ステップと、
    を有することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  2. 試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することにより収集されたマススペクトルデータが前記測定点の空間位置情報に関連付けられてなるイメージング質量分析データを処理するイメージング質量分析データ処理方法であって、
    a)複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける空間的な測定点間隔を基準として、他のイメージング質量分析データの測定点間隔を拡大又は縮小することにより該基準に揃える空間的補正処理ステップと、
    b)前記複数のイメージング質量分析データにおけるマススペクトルの質量電荷比範囲の共通部分を抽出し、該複数のイメージング質量分析データのうちの一つのイメージング質量分析データにおける抽出された前記共通の質量電荷比範囲内のデータ点における質量電荷比値を基準として、他のイメージング質量分析データのデータ点における質量電荷比値を該基準に揃えたときの仮想的な質量電荷比値それぞれにおける強度値を、該仮想的な質量電荷比値の前後にある実測した質量電荷比値における強度値を用いた内挿又は外挿により求める質量電荷比補正処理ステップと、
    c)前記空間的補正処理ステップ及び前記質量電荷比補正処理ステップを実行することにより測定点間隔及び質量電荷比値が揃った複数のイメージング質量分析データを一つのイメージング質量分析データとして取り扱い得るように統合する統合ステップと、
    を有することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  3. 請求項1又は2に記載のイメージング質量分析データ処理方法であって、
    d)前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データに基づいて、指定された又は特定の複数の測定点におけるマススペクトルの積算マススペクトル、平均マススペクトル、又は最大強度マススペクトルである演算マススペクトルを算出するスペクトル作成ステップと、
    e)前記演算マススペクトルに対しピーク検出を行ってピークの質量電荷比値のリストを作成し、各測定点のマススペクトルデータから前記リスト中の質量電荷比に対応する強度値を求め、その強度値を質量電荷比値に応じて配列したピーク行列を作成するピーク行列作成ステップと、
    f)前記ピーク行列に対して統計解析を実行する統計解析ステップと、
    をさらに有することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  4. 請求項3に記載のイメージング質量分析データ処理方法であって、
    g)前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データに基づいて、指定された又は特定の質量電荷比又は質量電荷比範囲に対する規格化されていない強度値の2次元分布を示すイメージング画像を作成する画像作成ステップ、
    をさらに有することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  5. 請求項4に記載のイメージング質量分析データ処理方法であって、
    各測定点のマススペクトルデータにおける強度値を所定の基準に従って規格化するための規格化係数を測定点毎に計算して、その結果を記憶しておく規格化係数作成ステップをさらに有し、
    前記画像作成ステップは、イメージング画像の各測定点の強度値を前記規格化係数を用いて規格化して規格化されたイメージング画像を作成することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  6. 請求項3に記載のイメージング質量分析データ処理方法であって、
    各測定点のマススペクトルデータにおける強度値を所定の基準に従って規格化するための規格化係数を測定点毎に計算して、その結果を記憶しておく規格化係数作成ステップをさらに有し、
    前記スペクトル作成ステップは、前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データに基づいて、指定された又は特定の複数の測定点におけるマススペクトルを前記規格化係数を用いて規格化し、規格化されたマススペクトルから積算マススペクトル、平均マススペクトル、又は最大強度マススペクトルの少なくともいずれか一つを算出することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  7. 請求項3〜6のいずれかに記載のイメージング質量分析データ処理方法であって、
    前記統合ステップにより統合されたイメージング質量分析データについて、各測定点のマススペクトルデータに対し所定のアルゴリズムに従って可逆圧縮処理を実行し、得られた圧縮データを記憶部に格納する圧縮処理ステップを有し、
    前記記憶部に格納された圧縮データのうち必要なデータを前記記憶部から読み出し伸張して演算マススペクトル、ピーク行列、イメージング画像のいずれかを作成する処理を実行することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  8. 請求項7に記載のイメージング質量分析データ処理方法であって、
    圧縮したデータに加え、該圧縮データと元データの配列における強度値の位置情報とを関連付けたインデクス情報を前記記憶部に格納し、該インデクス情報を参照して特定の質量電荷比に対応する強度値を取得することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  9. 試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することにより収集されたマススペクトルデータが前記測定点の空間位置情報に関連付けられてなるイメージング質量分析データを処理するイメージング質量分析データ処理方法であって、
    a)一つのイメージング質量分析データにおける特定の空間的な測定点間隔を基準として、他の測定点間隔を該基準に揃えたときの仮想的な測定点位置それぞれにおけるマススペクトルデータを、該仮想的な測定点位置の周囲にある複数の測定点のマススペクトルデータを用いた内挿又は外挿により求める空間的補正処理ステップと、
    b)前記一つのイメージング質量分析データに含まれる各測定点におけるマススペクトルの質量電荷比範囲の共通部分を抽出し、特定の測定点におけるマススペクトルの質量電荷比値を基準として、他の測定点のマススペクトルを構成するデータ点における質量電荷比値を該基準に揃えたときの仮想的な質量電荷比値それぞれにおける強度値を、該仮想的な質量電荷比値の前後にある実測した質量電荷比値における強度値を用いた内挿又は外挿により求める質量電荷比補正処理ステップと、
    を有することを特徴とするイメージング質量分析データ処理方法。
  10. 試料上の複数の測定点に対しそれぞれ質量分析を実行することによりマススペクトルデータを収集するイメージング質量分析部と、請求項1〜9のいずれかに記載のイメージング質量分析データ処理方法を実施するデータ処理部と、を備えることを特徴とするイメージング質量分析装置。
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