「第1実施形態」
図1に示すように、本発明の第1実施形態の内視鏡システム10は、生体内の観察部位を撮影する内視鏡11と、撮影により得られた信号に基づいて観察部位の観察画像を生成するプロセッサ装置12と、観察部位を照射する光を内視鏡11に供給する光源装置13と、観察画像を表示するモニタ14とを備えている。プロセッサ装置12には、キーボードやマウスなどの操作部15が設けられている。
内視鏡11は、生体の消化管内に挿入される挿入部16と、挿入部16の基端部分に設けられた手元操作部17と、手元操作部17とプロセッサ装置12及び光源装置13との間を連結するユニバーサルコード18とを備えている。
挿入部16は、先端から基端側に向けて順に連設された、先端部19、湾曲部20及び可撓管部21で構成される。図2に示すように、先端部19の先端面には、観察部位に照明光を照射する照明窓22、観察部位で反射した像光が入射する観察窓23、観察窓23を洗浄するために送気・送水を行うための送気・送水ノズル24、鉗子や電気メスといった処置具を突出させるとともに体液や洗浄水を吸引するための吸引口として機能する鉗子出口25などが設けられている。観察窓23の奥には、撮像素子52(図3参照)や結像用の光学系が内蔵されている。照明窓22は2つ設けられており、2つの照明窓22は観察窓23を挟んで対称な位置に配置されている。
先端部19は、ステンレス鋼等の金属で構成され、その外周が外皮チューブによって被覆されている。先端部19の内部には撮像素子52や投光ユニット40(図3参照)などが収容されている。
湾曲部20は、軸方向に連結された複数の湾曲駒20aからなり、湾曲駒20aは外皮チューブによって被覆されている。湾曲駒20aには、手元操作部17から延びるアングルワイヤ(図示せず)が取り付けられている。手元操作部17のアングルノブ26を操作することにより、アングルワイヤが押し引きされて湾曲部20が上下左右方向に湾曲動作して、先端部19の向きが所望の方向に向けられる。湾曲部20の湾曲角度は、上下左右の方向によって異なるが最大で180°を超える場合もある。
可撓管部21は、食道や腸など曲がりくねった管道に挿入できるように可撓性を有している。可撓管部21は、芯材としてフレックスと呼ばれる金属製の螺管が用いられ、金属細線を編み目状にしたメッシュで螺管が被覆され、その外周がさらに樹脂製の外皮で覆われている。先端部19の軸方向の全長が数センチ程度であるのに対して、可撓管部21の全長は、内視鏡11の種類によって異なるが、約2〜3メートル程度有り、先端部19や湾曲部20と比較して長い。
手元操作部17には、アングルノブ26の他、処置具を挿入するための鉗子口27、送気・送水操作を行う送気・送水ボタン、静止画像を撮影するためのレリーズボタンなどが設けられている。
挿入部16内には、撮像素子52を駆動する駆動信号や撮像素子52が出力する画像信号を通信するための信号ケーブル、光源装置13から供給される光を照明窓22に導光する光ファイバ39(図3参照)が配設されている。光ファイバ39は、2つの照明窓22に対応して2本設けられている。挿入部16内には信号ケーブルや光ファイバ39の他、鉗子チャンネル、送気・送水用のチューブ、アングルワイヤ(いずれも図示せず)などの内蔵物が挿通されている。
ユニバーサルコード18には、挿入部16から延設される信号ケーブルや光ファイバ39が挿通されており、一端には、プロセッサ装置12および光源装置13側にコネクタ28が取り付けられている。コネクタ28は、通信用コネクタ28aと光源用コネクタ28bからなる複合タイプのコネクタである。通信用コネクタ28aには信号ケーブルの一端が配設されており、通信用コネクタ28aはプロセッサ装置12に着脱自在に接続される。光源用コネクタ28bには光ファイバ39の入射端が配設されており、光源用コネクタ28bは光源装置13に着脱自在に接続される。
図3に示すように、光源装置13は、それぞれ発光波長が異なる3種類の半導体光源であるレーザダイオードLD1〜LD3と、これらを駆動制御する光源制御部34とを備えている。光源制御部34は、光源装置13の各部の駆動タイミングや同期タイミングなどの制御を行う。
内視鏡システム10は、白色光のもとで観察部位を観察するための通常観察モードと、特殊光を利用して観察部位に存在する血管の性状を観察するための血管情報観察モードを備えている。血管情報観察モードは、血管のパターンや酸素飽和度などの性状を把握して、腫瘍の良悪鑑別などの診断を行うための特殊光観察モードであり、特殊光として、血中ヘモグロビンに対する吸光度が高い波長域の狭帯域光が利用される。血管情報観察モードには、血管が強調された血管強調画像を表示する血管強調観察モードと、血中ヘモグロビンの酸素飽和度が表示された酸素飽和度画像を表示する酸素飽和度観察モードがある。
レーザダイオードLD1〜LD3は、それぞれ特定の波長域の狭帯域光を発する。レーザダイオードLD1は、青色領域において、例えば波長域が440±10nmに制限され、中心波長が445nmの狭帯域光を発光する。レーザダイオードLD2は、青色領域において、例えば波長域が410±10nmに制限され、中心波長が405nmの狭帯域光である狭帯域光を発光する。レーザダイオードLD3は、青色領域において、例えば波長域が470±10nmに制限され、中心波長が473nmの狭帯域光である狭帯域光を発光する。レーザダイオードLD1、LD2、LD3としては、InGaN系、InGaNAs系、GaNAs系のものを用いることができる。また、レーザダイオードLD1〜LD3としては、高出力化が可能なストライプ幅(導波路の幅)が広いブロードエリア型のレーザダイオードが好ましい。
レーザダイオードLD1は、内視鏡11の先端部19に配設された蛍光体41と組み合わされて、通常観察用の白色光を発する光源部を構成する。蛍光体41は、レーザダイオードLD1が発する445nmの狭帯域光によって励起されて、緑色領域から赤色領域に渡る波長域を持つ蛍光を発光する。蛍光体41は、レーザダイオードLD1が発する狭帯域光の一部を吸収して蛍光を発光するとともに、残りの狭帯域光を透過させる。透過する狭帯域光と励起される蛍光が混合されて白色光が生成され、照明窓22から白色光が照射される。蛍光体41が発光する蛍光は比較的広い照射野を確保するための発散角(広がり角)が得られるが、レーザダイオードの光は蛍光と比較して発散角が狭い。蛍光体41には光を拡散する機能があり、蛍光体41を透過するレーザダイオードの光は、蛍光体41によって拡散されて発散角が広げられる。蛍光体としては、例えば、YAG系、BAM(BgMgAl10O17)系等の蛍光体が使用される。レーザダイオードLD1は、白色光の必要な光量を確保するために2個設けられている。
レーザダイオードLD2は、血管強調観察用の光源として用いられる。血中ヘモグロビンの光吸収特性は波長依存性を有しており、吸光係数は、波長が450nm以下の領域において急激に上昇し、405nm付近においてピークを有している。吸光係数が大きな波長の光を観察部位に照射すると、血管においては吸収が大きいので、血管とそれ以外の部分とのコントラストが大きな像が得られる。血管強調観察モードにおいては、レーザダイオードLD2が発光する狭帯域光を照明光として用いることにより血管が強調された観察画像が撮影される。
レーザダイオードLD3は、酸素飽和度観察用の光源として用いられる。血中ヘモグロビンは、酸素と結合していない還元ヘモグロビンと、酸素と結合した酸化ヘモグロビンのそれぞれにおいて異なる光吸収特性を有している。還元ヘモグロビンと酸化ヘモグロビンの吸光係数に差がある波長領域においては、同じ光強度の光を照射しても、酸素飽和度が変化すれば、反射率が変化する。酸素飽和度観察モードにおいては、吸光係数に差がある波長として、レーザダイオードLD3が発する狭帯域光を照明光として用いることにより、酸素飽和度が測定される。
光源制御部34は、レーザダイオードLD1〜LD3の点灯、消灯、光量の制御を行う。具体的には、光源制御部34は、レーザダイオードLD1〜LD3に対して駆動パルスを与えることにより、点灯させる。そして、駆動パルスのデューティ比を制御するPWM(Pulse Wide Modulation)制御を行うことにより、駆動電流値を変化させて発光量を制御する。駆動電流値の制御は、駆動パルスの振幅(電圧)を変えるPAM(Pulse Wide Modulation)制御などでもよい。
レーザダイオードLD1〜LD3の光は、単線の中継用光ファイバ36a、36bとカプラ37a〜37dによって内視鏡11の光ファイバ39に導光される。各カプラ37a〜37bは、例えば、2本の光ファイバからの光を合波して、合波した光を1本の光ファイバに出力する2入力1出力タイプの光合波部である。各レーザダイオードLD1〜LD3とカプラ37a、37b間、及び各カプラ37a〜37d間は中継用光ファイバ36aで接続される。各カプラ37a〜37bは、出力と入力を逆にすることで1出力2入力の光分波部としても機能する。本例においてはカプラ37dが光分波部として機能している。
より具体的には、2つのレーザダイオードLD1の光と、レーザダイオードLD2、LD3の光は、それぞれカプラ37a、37bによって合波されて、それぞれのカプラ37a、37bの出力がカプラ37cによって合波される。そして、カプラ37cの出力をカプラ37dで受けて、カプラ37dが2本の中継用光ファイバ36bに分波して出力する。これにより、2本の中継用光ファイバ36bからは、レーザダイオードLD1が点灯した場合には中心波長が445nmの光がそれぞれ出力され、レーザダイオードLD2が点灯した場合には中心波長が405nmの光がそれぞれ出力されるというように、各レーザダイオードLD1〜LD3の点灯状態に応じて同じ光が出力される。2本の中継用光ファイバ36bは、光源用コネクタ28bを介して、内視鏡11に内蔵の2本の光ファイバ39のそれぞれと接続される。
2本の光ファイバ39は、中継用光ファイバ36aと同様に単線の光ファイバである。光ファイバ29は、例えば、コア内において複数の伝播経路(モード)で光を伝送するマルチモードファイバが使用される。光ファイバ39の寸法は、一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた直径が約0.3mm程度である。光ファイバ39としては、径方向の屈折率がコアとクラッドで段階的に変化するステップインデックスタイプでもよいし、屈折率変化が連続的なグレーテッドインデックスタイプでもよい。また、マルチモードファイバの代わりに光を1つのモードで伝送するシングルモードファイバでもよい。
光ファイバ39は、ユニバーサルコード18及び手元操作部17を経由して挿入部16の先端部19まで延びており、出射端が、挿入部16の先端部19に配設される2つの投光ユニット40のそれぞれに取り付けられている。2本の光ファイバ39は、光源装置13から供給された光を投光ユニット40に導光するライトガイドとして機能する。
投光ユニット40は、光ファイバ39を通じて供給された光を観察部位に向けて投光する。投光ユニット40は、内部に蛍光体41を収容し、先端には照明窓22が取り付けられている。光ファイバ39は、レーザダイオードLD1の光に加えて、レーザダイオードLD2、LD3の光も導光するので、レーザダイオードLD2、LD3の光も蛍光体41に入射し、蛍光体41を透過して出射される。
観察窓23の奥には、集光レンズやプリズムで構成される対物光学系51と撮像素子52が配置されている。照明窓22から観察部位に照射され観察部位で反射した像光は、観察窓23を通して対物光学系51に入射し、対物光学系51によって撮像素子52の撮像面に結像される。
撮像素子52はCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどからなり、フォトダイオードなどの画素を構成する複数の光電変換素子がマトリックスに配列された撮像面を有している。撮像素子52は、撮像面で受光した光を光電変換して、各画素においてそれぞれの受光量に応じた信号電荷を蓄積する。信号電荷はアンプによって電圧信号に変換されて読み出される。電圧信号は画像信号として撮像素子52から出力されて、画像信号はAFE53に送られる。
撮像素子52はカラー撮像素子であり、撮像面には、B、G、Rの3色のマイクロカラーフイルタが各画素に割り当てられている。マイクロカラーフイルタの配列は例えばベイヤー配列である。AFE53は、相関二重サンプリング回路(CDS)、自動ゲイン制御回路(AGC)、及びアナログ/デジタル変換器(A/D)(いずれも図示省略)から構成されている。CDSは、撮像素子52からのアナログの画像信号に対して相関二重サンプリング処理を施し、信号電荷のリセットに起因するノイズを除去する。AGCは、CDSによりノイズが除去された画像信号を増幅する。A/Dは、AGCで増幅された画像信号を、所定のビット数に応じた階調値を持つデジタルな画像信号に変換してプロセッサ装置12に入力する。
撮像制御部54は、プロセッサ装置12内のコントローラ56に接続されており、コントローラ56から入力されるベースクロック信号に同期して、撮像素子52に対して駆動信号を入力する。撮像素子52は、撮像制御部54からの駆動信号に基づいて、所定のフレームレートで画像信号をAFE53に出力する。
プロセッサ装置12は、コントローラ56の他、信号処理を実行するDSP(Digital Signal Processor)57、画像処理を実行するDIP(Digital Image Processor)58と、ビデオメモリであるVRAM59と、表示制御回路60を備えている。コントローラ56は、CPU、制御プログラムや制御に必要な設定データを記憶するROM、プログラムをロードして作業メモリとして機能するRAMなどからなり、CPUが制御プログラムを実行することにより、プロセッサ装置12の各部を制御する。
DSP57は、撮像素子52が出力する画像信号を取得する。DSP57は、B、G、Rの各画素に対応する信号が混在した画像信号を、B、G、Rの画像信号に分離し、各色の画像信号に対して画素補間処理を行う。この他、DSP57は、ガンマ補正や、B、G、Rの各画像信号に対してホワイトバランス補正などの信号処理を施す。DIP58は、階調補正、エッジ強調、周波数処理などの他、血管強調観察モードにおける画像処理、酸素飽和度観察モードにおける酸素飽和度算出処理などの画像処理を実行する。
VRAM59は、DIP58が処理した画像処理済みの画像データを記憶する。表示制御回路60は、VRAM59から画像処理済みの画像データを読み出して、コンポジット信号やコンポーネント信号などのビデオ信号に変換してモニタ14に出力する。
図4に示すように、投光ユニット40は、光ファイバ39の出射端を挿入する挿入孔が形成されたフェルール62を有している。蛍光体41はフェルール62の先端に取り付けられている。フェルール62の挿入孔は軸方向に貫通しており、光ファイバ39は、その先端面を蛍光体41の後端面に突き当てた状態で取り付けられる。
フェルール62の外周にはスリーブ63が取り付けられ、照明窓22はスリーブ63の先端に取り付けられ、蛍光体41を保護する保護カバーとしても機能する。符号66は、後述する光ファイバ39を保護する保護チューブであり、スリーブ63の後端に保護チューブ66の先端が取り付けられている。
図5に示すように、光ファイバ39は、投光ユニット40に取り付けられる先端側から光源用コネクタ28bへ至る全域にわたって保護チューブ66内に挿通されて、保護チューブ66内に収容される。上述のとおり挿入部16内には、光ファイバ39の他、信号ケーブル、鉗子チャンネル、アングルワイヤなどの内蔵物が配設されているため、挿入部16の撓みによって内蔵物同士に擦れ合いや衝突などの接触が生じる。保護チューブ66は、光ファイバ39が内蔵物と直接接触するのを防ぎ、内蔵物同士の接触による光ファイバ39の破断を防止する。
保護チューブ66は、第1チューブ67、第2チューブ68、継ぎ手69で構成される。第1チューブ67は、先端部19及び湾曲部20に配置される。第2チューブ68は、可撓管部21に配置される。継ぎ手69は、第1チューブ67及び第2チューブ68を接続する。継ぎ手69は、可撓管部21との境界付近に位置する、可撓管部21の先端部に配置される。
第1チューブ67と第2チューブ68は異なる材料で形成されており特性が異なる。具体的には、第1チューブ67はシリコンゴムや、フッ素系ゴム等のゴム系材料で形成されている。第2チューブ68はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又はテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等を含む材料で形成される。シリコンゴム等のゴム系材料はPTFEやPFAと比較して柔軟性が高く、一方、PTFEやPFAはゴム系材料と比較して外表面の摩擦係数が低く、外表面の滑り性が高い。なお、第1チューブ67を、ゴム系材料の外表面にPTFEやPFAのフッ素系材料でコーティングを施した材料で構成してもよい。これによれば、第1チューブ67に対しても高い滑り性が付与される。
湾曲部20の最小曲率半径は、可撓管部21の最小曲率半径と比較して小さい場合が多く、可撓管部21内と比べて、湾曲部20内において保護チューブ66はきつく曲げられる場合が多い。湾曲部20内において保護チューブ66に座屈が発生すると、内部の光ファイバ39が破断する。保護チューブ66において、湾曲部20内に配置される部分は、柔軟性に富む第1チューブ67で構成されるため、保護チューブ66の座屈が防止されて、それによる光ファイバ39の破断が防止される。
また、保護チューブ66において、可撓管部21内に配置される部分は、滑り性が高い第2チューブ68で構成されるため、他の内蔵物との接触によって生じる摩擦力が軽減される。保護チューブ66と他の内蔵物との摩擦力が大きいと、保護チューブ66の捻れなどによって内部の光ファイバ39に無用な外力が加わり、光ファイバ39が破断する。保護チューブ66の滑り性を高めることで光ファイバ39に加わる外力が軽減され、光ファイバ39の破断が防止される。
第1チューブ67及び第2チューブ68について、本例で示した材料は一例であり、それぞれが配置される部位に応じて要求される特性を有するものであれば、他の材料でもよい。
可撓管部21の軸方向の長さは、湾曲部20と比較して長く、可撓管部21内における保護チューブ66と他の内蔵物が接触する総面積は、湾曲部20内における保護チューブ66と他の内蔵物が接触する総面積と比較して大きい。接触面積が大きいほど摩擦力の総量は増加するので、湾曲部20と比較して可撓管部21内において保護チューブ66の滑り性を高める必要性が高い。可撓管部21との比較においては、湾曲部20内における保護チューブ66の滑り性を犠牲にしても、保護チューブ66と他の内蔵物の接触面積が小さい分、摩擦によって光ファイバ39が破断する危険は少ない。そのため、湾曲部20においては、滑り性よりも柔軟性を優先して保護チューブ66の材料が選択される。
図6において、継ぎ手69は、ステンレスなどの金属製の中空状のパイプ(筒状体)であり、挿通孔69aに光ファイバ39が挿通される。継ぎ手69の軸方向の両端は、第1チューブ67の一端が接続される第1接続部71と、第2チューブ68の一端が接続される第2接続部72が形成されている。第1接続部71及び第2接続部72は、一端が開放された開放端となっている。第1接続部71は開放端側から第1チューブ67の内孔67aに挿入されて、内孔67aとの嵌合により接続される。同様に、第2接続部72は開放端側から第2チューブ68の内孔68aに挿入されて、内孔68aとの嵌合により接続される。
継ぎ手69は、可撓管部21内に配置されることが好ましい。というのは、湾曲部20は、可撓管部21と比べてきつく曲げられる湾曲動作が多く、継ぎ手69が湾曲部20内にあるとそうした湾曲動作を阻害するからである。
継ぎ手69の軸方向の長さは、例えば、約10mm〜15mm程度である。可撓管部21の端部には、湾曲部20との接続部となる口金21aが配置されている。本例においては、継ぎ手69が口金21aの位置に重なるように配置されている。口金21aの部分は撓むことは無いため、口金21aの部分に継ぎ手69を配置することにより、継ぎ手69に曲げ方向の力が加わらないようにしている。
なお、継ぎ手69は、可撓管部21内に配置されていれば、口金21aと重なるように配置されていなくてもよく、可撓管部21内において、口金21aよりも基端側に配置されていてもよい。この場合、継ぎ手69の一部だけが口金21aの位置に配置され、残りの部分が口金21aよりも基端側に配置されていてもよいし、継ぎ手69の全部が口金21aよりも基端側に配置されていてもよい。
継ぎ手69の軸方向の中間部(第1接続部71と第2接続部72の間)は、第1及び第2接続部71、72の外径よりも大きな外径を持つ大径部73が形成されている。大径部73は、保護チューブ66の組み立て時において、継ぎ手69をつかむための把持部として機能する。継ぎ手69は全長が短い小さな部品であるため、大径部73を設けることで、継ぎ手69をつかみやすい。また、大径部73の両端は、第1及び第2接続部71、72の第1及び第2チューブ67、68への挿入量を規定するストッパとしても機能する。
図7に示すように、第1チューブ67の内径d2及び第2チューブ68の内径d3は、外力が加わらない自然状態において、継ぎ手69の挿通孔69aの内径d1よりも小さい。挿通孔69aの内径d1は、継ぎ手69の全長に渡って一定である。当然ながら、第1チューブ67及び第2チューブ68の内径d2、d3は、継ぎ手69の第1接続部71及び第2接続部72の外径D1よりも小さい。すなわち、それぞれの大小関係は、外径D1>内径d1>内径d2、d3という関係になっている。具体的な寸法は、例えば、外径D1は約0.9mm、内径d1は約0.7mm、内径d2、d3は約0.5mmであり、すべて1mm以下である。
継ぎ手69の内径d1を、第1及び第2チューブ67、68の内径d2、d3よりも大きくした理由は光ファイバ39の破断を防止するためである。すなわち、内径d1を大きくすることにより外径D1が大きくなるため、第1及び第2チューブ67、68は、第1及び第2接続部71、72に対して、弾性変形によりその内径d2、d3が、外径D1まで広げられて接続される。
図8及び図9に示すように、第1チューブ67、68は弾性を有しているため、第1接続部71の開放端において開口縁を形成するエッジ71a及び第2接続部72の開放端において開口縁を形成するエッジ72aと接触する部分において、第1チューブ67、68には自然状態に戻ろうとする復元力が発生し、それぞれの内壁が径方向の中心に向かって膨らむ。これにより、各エッジ71a、72a部分において第1及び第2の各チューブ67、68の内壁には内孔67a、68aの中心に向かって径方向に膨らむ膨出部67b、68bが形成される。
膨出部67bは、第1チューブ67の先端側から見ると、エッジ71aを覆い隠すように形成され、膨出部68bは、第2チューブ68の基端側から見ると、エッジ72aを覆い隠すように形成される。第1接続部71及び第2接続部72の外径D1と内径d1の差である肉厚t1は、上述した寸法で計算すると、約0.1mmである。このように肉厚t1は非常に薄いので、第1チューブ67、68の弾性で形成される膨出部67b、68bによってエッジ71a、72aを覆うことができる。
肉厚t1は非常に薄いため、光ファイバ39とエッジ71a、72aが接触すると、光ファイバ39が破断するおそれがある。膨出部67b、68bによりエッジ71a、72aが完全に覆われるため、第1チューブ67、68の内孔67a、68a及び継ぎ手69の挿通孔69aを挿通する光ファイバ39とエッジ71a、72aとの接触が回避されて、光ファイバ39の破断が防止される。
光ファイバ39とエッジ71a、72aの接触による破断を防止する方法としては、本例で示す膨出部67b、68bによって接触を回避する方法の他にも、例えば、エッジ71a、72a部分において、各挿通孔69aの開口縁の内壁がラッパ形状になるように開口縁の内壁側を面取りする方法が考えられる。こうすれば、エッジ71a、72aの開口縁と光ファイバ39が接触しても、接触部分は曲面になっているため、光ファイバ39の破断防止効果が得られる。
しかしながら、肉厚t1は非常に薄く、面取りする厚みが無い。実験によれば、面取りをすると、エッジ71a、72aは逆に刃先のように尖ってしまう結果となることが判明しており、本例のように肉厚t1が薄い場合には面取りする方法は採用できない。そのため、肉厚t1が薄い場合には膨出部67b、68bを形成する方法が非常に有効である。また、面取りによる方法は、エッジ71a、72aと光ファイバ39との接触を許容する方法であるのに対して、膨出部67b、68bを形成する方法は、エッジ71a、72aと光ファイバ39の接触自体を回避する方法である。そのため、面取りする方法と比較して、光ファイバ39の破断防止効果も高い。
また、肉厚t1が薄くなる理由は、挿入部16の径の細径化に起因している。従来の内視鏡ではライトガイドとして光ファイバを複数本バンドル化したバンドルファイバを使用しているが、本発明の内視鏡11では、ライトガイドとして単線の光ファイバ39を使用している。単線の光ファイバ39を使用することで挿入部16の細径化を実現することができる。単線の光ファイバ39を採用することによる細径化のメリットを阻害しないためには、光ファイバ39を挿通する保護チューブ66の外径も小さくする必要がある。一方で、保護チューブ66は、光ファイバ39が挿通されるので、保護チューブ66の内径はできる限り大きい方がよい。そのため、外径の細径化のメリットを阻害しないためには、保護チューブ66の外径と内径の差である肉厚t1を薄くせざるを得ない。
上述のとおり、肉厚t1が薄いと面取りする方法は採用できないため、本発明のように、第1チューブ67、第2チューブ68の内径d2、d3を、継ぎ手69の内径d1よりも小さくすることにより、エッジ71a、72aを覆い隠す膨出部67b、68dを形成する構成は、挿入部16の細径化を追求するために継ぎ手69の肉厚t1を薄くせざるを得ない内視鏡11において特に有効である。
また、継ぎ手69の内径d1は、第1及び第2チューブ67、68の内径d2、d3よりも大きいため、継ぎ手69内において光ファイバ39に掛かるストレスも僅かながら緩和される。継ぎ手69は金属製であるため、弾性を有する第1及び第2チューブ67、68のようには屈曲しない。そのため、第1チューブ67、68内と比較して継ぎ手69内において光ファイバ39の移動範囲が制限されるほど、光ファイバ39に掛かるストレスが大きい。内径d1を大きくして光ファイバ39の径方向の移動範囲を広げることにより、ストレスが緩和されるため、その分、光ファイバ39の継ぎ手69内における破断防止効果が向上する。
また、図9に示すように、第2接続部72の端部72bは、開放端(エッジ72a)に向かって外径が細くなるようにテーパが形成されている。第2チューブ68は、第1チューブ67と比較して剛性が高い(柔軟性が低い)ため、第1チューブ67の膨出部67bと比較すると、膨出部68bの突出量が小さい。そのため、端部72bの外周面にテーパを形成することで、膨出部68bの突出量が大きくなるようにしている。また、テーパを形成することで、第2接続部72の肉厚t1が、エッジ72a部分においては肉厚t2に減少するため、膨出部68bの突出量が小さくても、膨出部68bによってエッジ72aを覆い隠すことが可能となる。肉厚t2の具体的な寸法は、例えば約0.05mm程度である。
このような保護チューブ66を組み立てる際には、第1及び第2接続部71、72の外周面に接着剤が塗布されて、第1及び第2チューブ67、68とそれぞれ接着される。第1接続部71の第1チューブ67内への挿入量、及び第2接続部72内の第2チューブ68内への挿入量は、大径部73の端面によってそれぞれ規定されるので、各挿入量の偏りを防止することができる。また、同様に内視鏡11の個体差間の挿入量のバラツキも抑制することができる。
内視鏡11の使用中に第1チューブ67と第2チューブ68が継ぎ手69から外れてしまうと光ファイバ39が破断するおそれがある。第1及び第2接続部71、72の挿入量は、接着剤の接着力を加味しつつ耐久性を考慮して設定されているので、大径部73を設けて挿入量の偏りや個体差間のバラツキを抑制することで、個体差による偏りなく、保護チューブ66の目標となる耐久性を確保することができる。こうして組み立てられた保護チューブ66に対して、光ファイバ39は、第1チューブ67から、継ぎ手69、第2チューブ68の順に挿入されて、全体が保護チューブ66内に収容される。
以上説明したように、挿入部16内に単線の光ファイバ29が配設される内視鏡11において、光ファイバ39の保護チューブ66は、第1チューブ67、第2チューブ68、及び各チューブ67、68を接続する継ぎ手69で構成される。そして、柔軟性が要求される湾曲部20においては柔軟性の高い材料で形成された第1チューブ67が配設され、滑り性が要求される可撓管部21においては外表面の摩擦係数が低く滑り性が高い第2チューブ68が配設されているので、挿入部16の各部位における要求特性を満たすことができる。
また、第1及び第2チューブ67、68の内径d2、d3は、継ぎ手69の内径d1よりも小さいので、各チューブ67、68を継ぎ手69の第1及び第2接続部71、72に接続したときに、各チューブ67、68の弾性変形により、エッジ71a、72aの部分に膨出部67b、68bが形成される。膨出部67b、68bによりエッジ71a、72aが覆い隠されるため、光ファイバ39とエッジ71a、72aの接触が回避されて、光ファイバ39の破断が防止される。
上記実施形態において示した各部の寸法は1例であり適宜変更が可能である。ただし、上述したとおり、膨出部67b、68bは、継ぎ手69を含む保護チューブ66が細径である場合により必要性が高い構成である。第1及び第2チューブ67、68、及び継ぎ手69の内径はすべて1mm以下である場合に特に有効である。また、肉厚t1、t2についても、約0.2mm以下であることが好ましい。というのも、膨出部67b、68bは、第1チューブ67、68の弾性によって形成されるものであるため、それほど大きな突出量は望めないからである。
上記実施形態において、継ぎ手69の大径部73の幅(軸方向の長さ)は適宜変更可能であり、幅を薄くしてフランジ形状のようにしてもよい。さらに、大径部73を設けなくてもよい。ただし、上述のとおり、大径部73を設けることで、継ぎ手69の把持性の向上、第1及び第2接続部71、72の挿入量のバラツキ抑制など有利な効果が得られるため、大径部73を設けることが好ましい。
なお、継ぎ手69の第1接続部71及び第2接続部72の外径は同じでもよいし、異なっていてもよい。さらに、第1チューブ67及び第2チューブ68の外径についても同じでもよいし、異なっていてもよい。
上記実施形態では、保護チューブ66を、湾曲部20及び先端部19に配置される第1チューブ67と、可撓管部21に配置される第2チューブ68の2分割で構成した例で説明したが、例えば、先端部19に設けられる部分を第3チューブとして、第1チューブ67から切り離して構成するというように、保護チューブ66のチューブ部分を3つ以上に分割してもよい。この場合、継ぎ手はチューブ部分の分割数に応じて設けられる。
上記実施形態では、挿入部16内に、照明窓22の数に応じて単線の光ファイバ39を2本配設した例で説明したが、例えば照明窓22の数が4つの場合には光ファイバ39を4本設けるというように2本以上配設してもよい。また、光ファイバ39は1本でもよい。保護チューブ66は、光ファイバ39毎に設けられる。この場合において、照明窓22が複数有る場合には照明窓22の前段で光ファイバ39を分岐させる。
また、発光波長が異なる複数のレーザダイオードLD1〜LD3の光を合波して、合波した光を光ファイバ39で導光する例で説明したが、各レーザダイオードLD1〜LD3の種類毎に光ファイバ39を複数本設けてもよい。各レーザダイオードLD1〜LD3の種類毎に光ファイバ39を設ける場合には、レーザダイオードLD2、LD3の光のように蛍光体41の励起光として使用しない光については、蛍光体41を透過させなくてもよい。この場合にはレーザダイオードの光の発散角を確保するために拡散材を使用することが好ましい。
また、上記実施形態で示した、各レーザダイオードLD1〜LD3の発光波長、用途、数は1例であり、適宜変更が可能である。
上記実施形態では、光源装置とプロセッサ装置が別体で構成される例で説明したが、2つの装置を一体で構成してもよい。また、本発明は、撮像素子と超音波トランスデューサが先端部に内蔵された超音波内視鏡など他の形態の内視鏡にも適用することができる。また、医療用内視鏡に限らず、工業用内視鏡にも適用することができる。