JP5968731B2 - イオン発生器およびそれを備えたイオン発生装置 - Google Patents

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Description

本発明は、イオン発生器およびそれを備えたイオン発生装置に関し、特に、携帯可能なイオン発生器およびそれを備えたイオン発生装置に関する。
放電現象を利用した多くのイオン発生装置が実用化されている。これらのイオン発生装置は通常、イオンを発生させるためのイオン発生素子と、イオン発生素子に高電圧を供給するためのトランスと、トランスを駆動するためのトランス駆動回路と、コネクタなどの電力入力部とにより構成されている。
小型化および薄型化を図ったイオン発生装置を開示した先行文献として、特開2008−16345号公報(特許文献1)がある。特許文献1に記載されたイオン発生装置においては、少なくともトランス駆動回路を配置するためのトランス駆動回路ブロックと、トランスの少なくとも2次側を配置するためのトランスブロックと、イオン発生素子を配置するためのイオン発生素子ブロックとに平面的に区画された外装ケースを備える。
この外装ケースを備えることにより、ブロック毎にモールド可能となり、イオン発生装置の高圧部分を効率よくモールドで絶縁分離することができる。その結果、各構成を近づけて配置することが可能となり、イオン発生装置の小型化および薄型化を図ることができる。
特開2008−16345号公報
イオン発生装置を携帯して使用するためには、さらなる小型化が求められる。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、小型化されたイオン発生器およびイオン発生装置を提供することを目的とする。
本発明に基づくイオン発生器は、基板と、基板に設けられたトランス駆動回路と、基板に設けられ、トランス駆動回路により駆動されて電圧を昇圧するトランスと、基板に設けられ、トランスで昇圧された電圧を印加されることにより放電してイオンを発生させる針状電極とを備える。また、イオン発生器は、針状電極の根元側およびトランスの2次側を少なくとも覆い、針状電極の尖端側が挿通される開口部を有するケースと、ケースと基板とに囲まれた空間に充填された絶縁封止部とを備える。トランス駆動回路の少なくとも一部が、ケースの外側に位置している。
本発明の一形態においては、トランスおよび針状電極の尖端側が、基板の同一面側に位置する。
本発明の一形態においては、基板が、絶縁封止部を充填するための貫通孔を有する。
本発明の一形態においては、イオン発生器において、針状電極は、正イオンを発生させる正電極および負イオンを発生させる負電極を含む。トランスは、基板の面内において正電極と負電極との間に位置する。ケースは、トランスを内部に収容して針状電極の尖端側に突出した凸部を有する。正電極の尖端と負電極の尖端とを結ぶ直線と交差するように、ケースの凸部が位置している。
本発明の一形態においては、イオン発生器は、基板に設けられて正電極に電流を流す第1整流素子と、基板に設けられて負電極に電流を流す第2整流素子とをさらに備える。第1整流素子および第2整流素子の各々は、基板の厚み方向において、基板の表面から埋め込まれるように設けられている。
本発明に基づくイオン発生装置は、上記のいずれかに記載のイオン発生器と、イオン発生器から発生したイオンを運ぶように送風する送風機と、イオン発生器および送風機に電力を供給する電源とを備える。
本発明によれば、イオン発生器およびそれを備えたイオン発生装置の小型化を図れる。
本発明の一実施形態に係るイオン発生装置の外観を示す斜視図である。 同実施形態に係るイオン発生装置の構成を示す分解斜視図である。 同実施形態に係るイオン発生器の構成を示す斜視図である。 同実施形態に係るイオン発生器からケースを外した状態を示す斜視図である。 同実施形態に係るイオン発生器の構成を示す回路図である。 同実施形態に係るケース260を上方から見た斜視図である。 同実施形態に係るケース260を下方から見た斜視図である。 板部材を取り外したケースを基板に組み付けた状態を基板の他方の主面側から見た斜視図である。 基板に組み付けたケースに板部材を取り付けた状態を基板の他方の主面側から見た斜視図である。
以下、本発明の一実施形態に係るイオン発生器およびそれを備えたイオン発生装置について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
図1は、本発明の一実施形態に係るイオン発生装置の外観を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るイオン発生装置の構成を示す分解斜視図である。
図1,2に示すように、イオン発生装置100は、略直方体状の外形を有する筺体110を有する。イオン発生装置100は、筺体110内に収容された、イオン発生器200、送風機であるファン120、電源130、スイッチ140およびコネクタ150を備える。イオン発生装置100の大きさは、たとえば、幅35mm×長さ60mm×厚さ10mmである。
筺体110は、底板部材111と、底板部材111と着脱自在に係合する蓋部材112とから構成されている。蓋部材112は、底板部材111と対向配置される天板部と、天板部の三方と繋がって天板部に直交するように膨出した周壁を含む。
蓋部材112の周壁のうちの1つの側壁には、外気を筺体110内に吸い込むための吸込口112a、および、スイッチ140を操作するための開口部を構成する切欠き112cが設けられている。吸込口112aを有する側壁に隣接する側部112bは、開放している。
蓋部材112の側部112bが開放していることにより、図1に示すように、底板部材111と蓋部材112とが係合した状態において、筺体110内の空気を外部に吹き出すための吹出口190が形成される。筺体110の内部には、吸込口112aおよび吹出口190の両方に連通した通流路が構成されている。
具体的には、筺体110内の底板部材111上において、吹出口190側から順に、イオン発生器200、電源130、スイッチ140およびコネクタ150が配置されている。ファン120は、平面視においてイオン発生器200に隣接するように、電源130と蓋部材112の天板部の内面との間に配置されている。
ファン120は、遠心ファンまたはプロペラファンなどである。ファン120は、電源130から供給される電力、またはコネクタ150を通じて図示しない外部機器から供給される電力を用いて作動する。ファン120は、蓋部材112の天板部の内面に対向する上面部に吸気口121、および、イオン発生器200側の側面に排気口122を有する。
筺体110の内部において、蓋部材112の吸込口112aとファン120の吸気口121とが連通し、ファン120の排気口122と吹出口190とが連通している。これにより上記通流路が構成されて、ファン120の作動によって、吸込口112aから筺体110内に導入された外気は、通流路を通過して吹出口190から外部へ吹き出される。
後述するイオン発生器200の針状電極240は、通流路中に位置している。そのため、針状電極240にて発生したイオンは、ファン120によって送風された空気に乗って運ばれる。
電源130は、ファン120およびイオン発生器200に直流電力を供給する。電源130は、ニッケル水素電池またはリチウムイオン電池などの2次電池を含む。電源130には、数V程度の電圧の直流電力がコネクタ150を通じて外部機器から供給される。
スイッチ140は、イオン発生装置100のON/OFFを切り替える。スイッチ140のつまみ部は、底板部材111と蓋部材112とが係合した状態において、蓋部材112の切欠き112cの内側に位置している。
コネクタ150は、複数の接続端子を有する。複数の接続端子には、電源端子と信号入力端子とが含まれる。電源端子は、外部機器からの直流電力の入力端子である。信号入力端子は、外部機器からの各種の制御信号の入力端子である。イオン発生装置100においては、コネクタ150の信号入力端子から入力された制御信号により、イオン発生条件が設定される。
図3は、本実施形態に係るイオン発生器の構成を示す斜視図である。図4は、本実施形態に係るイオン発生器からケースを外した状態を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係るイオン発生器の構成を示す回路図である。
図3,4に示すように、イオン発生器200は、基板210と、基板210に設けられたトランス駆動回路220と、基板210に設けられ、トランス駆動回路220により駆動されて電圧を昇圧するトランス230とを備える。イオン発生器200の大きさは、たとえば、幅30mm×長さ30mm×厚さ10mmである。
また、イオン発生器200は、基板210に設けられ、トランス230で昇圧された電圧を印加されることによりその尖端の周囲で放電してイオンを発生させる針状電極240を備える。本実施形態においては、針状電極240は、正イオンを発生させる正電極241および負イオンを発生させる負電極242を含む。
さらに、イオン発生器200は、針状電極240の根元側およびトランス230の2次側を少なくとも覆うケース260と、ケース260と基板210とに囲まれた空間に充填された絶縁封止部290とを備える。
また、イオン発生器200は、基板210に設けられた整流素子であるダイオード250をさらに備える。ダイオード250は、正電極241に電流を流す第1整流素子である第1ダイオード251と、負電極242に電流を流す第2整流素子である第2ダイオード252とからなる。
本実施形態においては、第1ダイオード251および第2ダイオード252の各々は、基板210の厚み方向において、基板210の表面から埋め込まれるように設けられている。具体的には、略円柱状の外形を有する第1ダイオード251および第2ダイオード252の各々は、その中心軸が基板210の厚み方向(図4中のZ方向)における基板210の中央に位置するように設けられている。後述する図8,9に示すように、第1ダイオード251および第2ダイオード252の各々は、基板210の他方の主面上に実装されている。
基板210は、平面視にて略四角形状のプリント基板であり、後述するように絶縁封止部290を充填するための貫通孔211を有する。貫通孔211は、均等に絶縁封止部290が充填されるように、サーペンタイン状に形成されている。ただし、必ずしも基板210に貫通孔211が設けられていなくてもよく、ケース260に絶縁封止部290を充填するための貫通孔が設けられている場合には、基板210の貫通孔211は設けられなくてもよい。
図4に示すように、基板210の一方の主面210aに、トランス駆動回路220およびトランス230が実装されている。図2に示すように、トランス駆動回路220は、基板210の主面210a上において、電源130側に位置している。トランス230は、基板210の主面210a上において、トランス駆動回路220より吹出口190側に位置している。
図4に示すように、トランス230は、基板210の幅方向(図4中のY方向)において略中央に位置して、基板210の長さ方向(図4中のX方向)に延在している。トランス230は、基板210の主面210a内において正電極241と負電極242との間に位置している。具体的には、基板210の幅方向(図4中のY方向)において、正電極241と負電極242との間にトランス230が位置している。
図4に示すように、基板210において幅方向(図4中のY方向)の一端に正電極241、他端に負電極242が設けられている。正電極241および負電極242の各々は、円柱部と尖頭部とを含む。正電極241および負電極242においては、円柱部が基板210と嵌合するように設けられており、尖端側が基板210の主面210a側に位置している。
本実施形態においては、上記のように、トランス230および針状電極240の尖端側が、基板210の同一面側に位置している。
後述する図8,9に示すように、基板210の他方の主面210bにおいて、正電極241との間に貫通孔211を挟んで誘導電極271が設けられている。同様に、基板210の他方の主面210bにおいて、負電極242との間に貫通孔211を挟んで誘導電極272が設けられている。
図5に示すように、イオン発生器200においては、トランス230の1次側231とトランス駆動回路220とが電気的に接続されている。トランス駆動回路220は、電力入力部221、コンデンサ222、スイッチ信号入力部223、トランジスタ224を含む。
電力入力部221は、トランス230の1次側231の一端と接続され、電力(Vdd)を入力する。電力入力部221から、正の直流電圧と負の直流電圧とが一定時間毎に交互に印加される。コンデンサ222においては、トランス230の1次側231の一端と電力入力部221との接続点にその一端が接続され、その他端が接地されて、電力入力部221により入力された電力を充電する。
トランジスタ224においては、ドレイン側がトランス230の1次側231の他端と接続され、ソース側が接地されている。また、ゲート電極がスイッチ信号入力部223と電気的に接続されている。スイッチ信号入力部223は、トランジスタ224をON/OFFする信号を入力する。
トランス駆動回路220は、電力入力部221から入力された電力をコンデンサ222に充電し、その充電量が規定以上の電圧に達すると、スイッチ信号入力部223から信号を入力してトランジスタ224をONにする。その結果、コンデンサ222に充電された電荷が放出されて、図5中の矢印20で示すように、トランス230の1次側231に電流が流れる。
トランス230の1次側231の一端は、トランス230の2次側232の一端と電気的に接続されている。すなわち、本実施形態に係るトランス230は、非絶縁トランスである。そのため、トランス230の2次側の一端側の電位は、トランス230の1次側231の一端側の電位で固定される。
トランス230の2次側に、第1ダイオード251および第2ダイオード252が並列に接続されている。トランス230の2次側からは、トランス230の1次側231に流された電流を昇圧した昇圧直流電圧が、第1ダイオード251および第2ダイオード252から出力される。
第1ダイオード251のカソード端子は、正電極241と接続されている。この結果、トランス230の2次側から出力される昇圧直流電圧の正電圧が正電極241に印加される。
第2ダイオード252のアノード端子は、負電極242と接続される。この結果、トランス230の2次側から出力される昇圧直流電圧の負電圧が負電極242に印加される。
正電極241に所定の間隔を置いて近接配置された誘導電極271は、コンデンサ222の他端側に接続されて接地されている。負電極242に所定の間隔を置いて近接配置された誘導電極272は、トランジスタ224のソース側に接続されて接地されている。
トランス230の2次側から高電圧が印加されると、正電極241と誘導電極271との間でコロナ放電が起こって正イオンが発生する。同様に、負電極242と誘導電極272との間でコロナ放電が起こって負イオンが発生する。
上記の構成により、イオン発生器200からの正イオンの放出と負イオンの放出とは、正と負との昇圧直流電圧の周期毎に交互に行なわれる。なお、本実施形態においては直流電源を用いたが、交流電源を用いてもよい。
本実施形態においては、上述の通り、誘導電極271および誘導電極272を接地して0電位にしている。これにより、誘導電極271および誘導電極272の電位を安定させて、正電極241および負電極242における放電を安定させることができる。
イオン発生器200においては、トランス230の2次側232、これに接続された針状電極240およびダイオード250は図4に示す高電圧部219であり、トランス230の1次側231、および、トランス駆動回路220は低電圧部である。
イオン発生器200において小型化を図りつつ絶縁距離を確保するために、少なくとも高電圧部219については、エポキシ樹脂などの絶縁性を有する熱硬化性樹脂または紫外線硬化樹脂がモールドされて形成される絶縁封止部290によって封止する。
本実施形態においては、基板210にて絶縁封止部290によって封止する部分のみをケース260によって覆う。図6は、本実施形態に係るケース260を上方から見た斜視図である。図7は、本実施形態に係るケース260を下方から見た斜視図である。
図3,6,7に示すように、ケース260は、下方が開放した略直方体状の外形を有する中空体である。ケース260は、四方を囲む周壁と、周壁と連続した天井部とを含む。ケース260の周壁は、三方を囲む側壁261aと、側壁261aと着脱自在に組み合わせられて一方を塞ぐ板部材261bとから構成されている。
ケース260は、針状電極240の尖端側が挿通される開口部を有する。具体的には、ケース260の天上部において、ケース260の長手方向の一端側に正電極241の尖端側が挿通される開口部262、および、ケース260の長手方向の他端側に負電極242の尖端側が挿通される開口部263が設けられている。
また、ケース260の天上部には、トランス230を内部に収容して針状電極240の尖端側に突出した中空状の凸部264が設けられている。凸部264は、トランス230の外形よりわずかに大きな内部形状を有している。
さらに、ケース260の天上部には、第1ダイオード251に対応する位置に第1膨出部265、および、第2ダイオード252に対応する位置に第2膨出部266が設けられている。第1膨出部265は、第1ダイオード251の上面とケース260の天上部の内面とが接触しないように上方に張り出している。第2膨出部266は、第2ダイオード252の上面とケース260の天上部の内面とが接触しないように上方に張り出している。
図8は、板部材を取り外したケースを基板に組み付けた状態を基板の他方の主面側から見た斜視図である。図9は、基板に組み付けたケースに板部材を取り付けた状態を基板の他方の主面側から見た斜視図である。
絶縁封止部290となる樹脂をケース260と基板210とに囲まれた空間に充填する際には、まず、図8に示すように、板部材261bを取り外したケースを基板210の高電圧部219側に取り付ける。
具体的には、トランス230をケースの凸部264の内部に収容し、正電極241の尖端側をケースの開口部262内に挿通させ、負電極242の尖端側をケースの開口部263内に挿通させ、第1ダイオード251をケースの第1膨出部265の内部に位置させ、第2ダイオード252をケースの第2膨出部266の内部に位置させるように、ケースを基板210の一方の主面210a側から取り付ける。
次に、図9に示すように、基板210の他方の主面210b側から板部材261bを、締結部材などを用いて隣接するケースの側壁261aに取り付けることにより、ケース260によって基板210の高電圧部219を囲む。この後、正電極241とケース260の開口部262との間の隙間、および、負電極242とケース260の開口部263との間の隙間とを接着剤などによって埋める。これにより、注入した樹脂が隙間から漏れだすことを防止できる。
次に、基板210の他方の主面210b側から、ケース260の内側に樹脂を注入する。注入された樹脂は、基板210に設けられた貫通孔211を通過して基板210の一方の主面210a側に流れ込む。
貫通孔211はサーペンタイン状に形成されているため、基板210とケース260との間に略均等に流れ込む。よって、絶縁封止部290をむらなく形成することができる。
樹脂がケース260内において基板210の他方の主面210b側を覆うまで樹脂を注入した後、樹脂を固化させることにより絶縁封止部290を形成する。具体的には、第1ダイオード251および第2ダイオード252が埋没するまで樹脂を注入した後、注入した樹脂に加熱または紫外線照射して樹脂を固化させる。
上記のように絶縁封止部290を形成することにより、図2,3に示すように、トランス駆動回路220は、ケース260の外側に位置して封止されていない。本実施形態においては、トランス駆動回路220の全体がケース260の外側に位置しているが、これに限られず、トランス駆動回路220の少なくとも一部が、ケース260の外側に位置していればよい。
このようにすることにより、ケース260の大きさを小型化して、イオン発生器200の占有体積を低減することができる。よって、イオン発生装置100において、イオン発生器200を小型化して得られたスペースに他の部品を配置することにより、イオン発生装置100の全体として小型化を図ることができる。
本実施形態においては、トランス230および針状電極240の尖端側が、基板210の一方の主面210a側に位置しているため、基板210の主面からの高さが高い部材を基板210の一方の主面210a側に集めて、基板210の他方の主面210b側の厚さを薄くすることができる。これにより、ケース260を薄型化でき、ひいてはイオン発生器200を薄型化できる。
さらに、本実施形態においては、ダイオード250は、基板210の厚み方向において、基板210の表面から埋め込まれるように設けられているため、基板210の主面からのダイオード250の高さを低減できる。これによってもケース260を薄型化でき、ひいてはイオン発生器200を薄型化できる。
また、基板210の他方の主面210bと対向する部分においては、絶縁封止部290によって封止して、ケースは開放して囲っていないため、ケースの厚さ分だけ基板210の他方の主面210b側の厚さを薄くすることができる。これによってもケース260を薄型化でき、ひいてはイオン発生器200を薄型化できる。
図3に示すように、ケース260が取り付けられたイオン発生器200においては、正電極241の尖端と負電極242の尖端とを結ぶ直線10と交差するように、ケース260の凸部264が位置している。
これにより、イオン発生装置100の内部に形成される通流路は、ケース260の凸部264によって2つに分離される。分離された通流路の一方に正電極241が位置し、分離された通流路の他方に負電極242が位置する。
よって、正電極241の周囲で発生した正イオンと、負電極242の周囲で発生した負イオンとは、別々の通流路を通過して吹出口190から吹き出される。その結果、発生直後に正イオンと負イオンとが結合して消滅することを抑制して、多くの正イオンと負イオンとを吹出口190から吹き出すことができる。
その結果、イオン発生装置100から離れた位置まで十分な数の正イオンおよび負イオンを供給して、正イオンと負イオンとを広範囲の空間に高密度で混在させることができる。正イオンをH+(H2O)m(mは任意の自然数)、負イオンをO2 (H2O)n(nは任意の自然数)とする場合には、正イオンおよび負イオンが浮遊細菌の表面に付着して過酸化水素(H22)または水酸基ラジカル(・OH)などの活性種を生成させ、その働きにより殺菌効果を得られる。
このように正イオンおよび負イオンを空気中に放出させることで、空気中に浮遊するカビ菌またはウィルスの分解、および、ニオイの除去などの効果を得ることができる。また、正イオンおよび負イオンを空気中に放出させることで除電を行なうことができる。
なお、本実施形態においては、イオン発生器200は、正イオンおよび負イオンの両方を発生するが、いずれか一方だけを発生するイオン発生器でもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 イオン発生装置、110 筺体、111 底板部材、112 蓋部材、112a 吸込口、112b 側部、120 ファン、121 吸気口、122 排気口、130 電源、140 スイッチ、150 コネクタ、190 吹出口、200 イオン発生器、210 基板、210a 一方の主面、210b 他方の主面、211 貫通孔、219 高電圧部、220 トランス駆動回路、221 電力入力部、222 コンデンサ、223 スイッチ信号入力部、224 トランジスタ、230 トランス、231 トランスの1次側、232 トランスの2次側、240 針状電極、241 正電極、242 負電極、250 ダイオード、251 第1ダイオード、252 第2ダイオード、260 ケース、261a 側壁、261b 板部材、262,263 開口部、264 凸部、265 第1膨出部、266 第2膨出部、271,272 誘導電極、290 絶縁封止部。

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板に設けられたトランス駆動回路と、
    前記基板に設けられ、前記トランス駆動回路により駆動されて電圧を昇圧するトランスと、
    前記基板に設けられ、前記トランスで昇圧された電圧を印加されることにより放電してイオンを発生させる針状電極と、
    前記針状電極の根元側および前記トランスの2次側を少なくとも覆い、前記針状電極の尖端側が挿通される開口部を有するケースと、
    前記ケースと前記基板とに囲まれた空間に充填された絶縁封止部とを備え、
    前記トランス駆動回路の少なくとも一部が、前記ケースの外側に位置しており、
    前記トランスおよび前記針状電極の前記尖端側が、前記基板の同一面側に位置し、
    前記針状電極は、正イオンを発生させる正電極および負イオンを発生させる負電極を含み、
    前記トランスは、前記基板の面内において前記正電極と前記負電極との間に位置し、
    前記ケースは、前記トランスを内部に収容して前記針状電極の前記尖端側に突出した凸部を有し、
    前記正電極の尖端と前記負電極の尖端とを結ぶ直線と交差するように、前記ケースの前記凸部が位置している、イオン発生器。
  2. 前記基板が、前記絶縁封止部を充填するための貫通孔を有する、請求項に記載のイオン発生器。
  3. 前記基板に設けられて前記正電極に電流を流す第1整流素子と、
    前記基板に設けられて前記負電極に電流を流す第2整流素子とをさらに備え、
    前記第1整流素子および前記第2整流素子の各々は、前記基板の厚み方向において、前記基板の表面から埋め込まれるように設けられている、請求項に記載のイオン発生器。
  4. 請求項1に記載のイオン発生器と、
    前記イオン発生器から発生したイオンを運ぶように送風する送風機と、
    前記イオン発生器および前記送風機に電力を供給する電源と
    を備える、イオン発生装置。
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