JP5968302B2 - フレキシブル管及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明の主題は、結合されていない層を備えた多層構造のフレキシブル管並びにその製造方法である。この種のフレキシブル管は、以後、便宜上及び英語の言い回しに従って、アンボンドフレキシブルパイプ(Unbonded Flexible Pipe)と言う。この管は、輸送される流体からのガスの拡散に高い抵抗で対向し、従って、原油、天然ガス、メタノール、CO2等の輸送のために特別な利点を有する。
アンボンドフレキシブルパイプは、それ自体、先行技術である。この種の管は、輸送される流体の流出に対するバリアとして、通常では、プラスチック管の形の1つの内側ライニングと、前記内側ライニングの外側の1つ以上の補強層とを有する。このアンボンドフレキシブルパイプは、外圧が高い場合に内側ライニングが崩壊することを抑制するために、前記内側ライニングの内側に付加的な層、例えば1つ以上の補強層を有していてもよい。この種の内側補強は、通常ではカーカスと言われる。更に、外部環境からこの補強層内への又は更に内側にあるポリマーの又は金属製の機能層への液体の浸入に対するバリアを設けるために、外側被覆を有することができる。多くの場合に、摩擦による金属構造体の摩耗を抑制するために、複数の外側補強層の間に熱可塑性樹脂層が、例えば巻き付けられた「耐摩耗性テープ(anti-wear tapes)」の形で挿入される。
一般的なアンボンドフレキシブルパイプは、例えばWO 01/61232、US 6 123 114及びUS 6 085 799に記載されている;アンボンドフレキシブルパイプは、更に、API Recommended Practice 17B, "Recommended Practice for Flexible Pipe",第3版、2002年3月並びAPI Specification 17J, "Specification for Unbonded Flexible Pipe",第2版、1999年11月に詳細に特徴付けられている。
「アンボンド(unbonded)」の表現は、この関連で、補強層及びプラスチック層を含めた複数の層の少なくとも2つが、構造的に相互に結合されていないことを意味する。実際に、この管は、少なくとも2つの補強層を有し、これらの補強層は管の長さにわたり直接的にも、間接的に、つまり他の層を介しても、相互に結合されていない。それにより、この管は、輸送を目的として巻き取るために、曲げやすくかつ十分にフレキシブルである。
この種のアンボンドフレキシブルパイプは、多様な海洋での適用並びに多様な陸上での適用での多様な実施態様で、液体、ガス及びスラリーの輸送のために使用される。この種のアンボンドフレキシブルパイプは、例えば流体の輸送のために、管の長さにわたり極めて高いか又は極めて異なる水圧が存在する場所で、例えば海底から海面に達するまで又は海面付近に達するまで高く延びる上昇管の形で、更には一般に、多様な装置間での液体又はガスの輸送のための管として、大深度の海底に敷設されている管として、又は海面付近の装置間の管として使用することができる。
慣用のフレキシブル管の場合に、単数の補強層又は複数の補強層は、大抵はスパイラル状に配置されたスチールワイヤ、スチール異形材又はスチール帯材からなり、この個々の層は管軸に対して相対的に多様な巻き付け角で構成されていてもよい。その他に、少なくとも1つの補強層又は全ての補強層が、例えば一般にポリマーマトリックス中に埋め込まれている繊維束又は繊維組織の形の繊維、例えばガラス繊維からなる実施態様もある。
この内側ライニングは、先行技術では通常、ポリオレフィン、例えばポリエチレン(架橋されていてもよい)、ポリアミド、例えばPA11又はPA12又はポリビニリデンフルオリド(PVDF)からなる。
ポリエチレンは、原油又は天然ガスと接触して著しく膨潤し、次いでクリープを引き起こすという欠点がある。更に、輸送される無極性媒体はポリエチレン壁を通過して著しく外側に向かって透過する。この理由から、ポリエチレンは、一般に、生成物流と直接接触する導管のために使用されず、主にいわゆる注水管のために使用される。
ポリアミド、例えばPA11又はPA12は、その極めて良好な機械的特性、炭化水素に対する抜群の耐性及び僅かな膨潤のために、内側ライニングのための材料として極めて良好に適している。ポリアミドのこの特別な適性は、刊行物OTC 5231 "Improved Thermoplastic Materials for Offshore Flexible Pipes"に詳細に記載されていた。しかしながらポリアミドは、最大で約70℃までで使用できるにすぎない、それというのも高温の場合では原油又は天然ガス中に含まれるプロセス水により加水分解が進むためである。この加水分解によりポリアミドの分子量は著しく低減し、その機械的特性は著しく悪化し、この管は最終的に機能しなくなる。加水分解特性の決定のための詳細な試験手順は、PA11についてはAPI 17TR2に記載されており、PA12について同様に適用することができる。
PVDFは最大130℃まで使用される。これは、変性に応じて、約130℃までの高めた温度でも僅かな圧縮歪で剛性である。しかしながら、130℃を超える温度で、内圧の低下の際に、気泡形成及びマイクロフォーム形成が想定される。PVDFは、特に超臨界CO2中で、著しく約25%まで膨潤し、この良好な浸透遮断(この良好な浸透遮断は悪い拡散と同じ意味である)から圧力低下時に生じる気泡形成が起こる。この場合、層内部で局所的にガス脱着が生じ、この場合に材料の凝集力強度が勝っている。
多くの場合に、産出場所から原油又は天然ガスは、130℃を明らかに上回る温度で生じる。この種の産出場所をフレキシブルパイプラインによって開発するために、この媒体の冷却のための前方に設けられたプロセス工程が必要である。従って、上記のプロセス工程を省くために、高温で使用することができるアンボンドフレキシブルパイプを提供することが望ましい。
WO 2008/125807では、例えばPEEK又はポリフェニレンスルフィドからなる内側層を有するアンビリカルの形での熱いメタノールの輸送のためのフレキシブル管が記載されている。この管の内径は、4〜500mmの範囲内であり、PEEKの層厚は0.7〜5mmである。しかしながら、設置又は取り扱いのために必要なこの層の機械的安定性を保証するために、アンボンデッドフレキシブルパイプの場合には少なくとも2mm、一般に3〜20mmの層厚が必要であるため、PEEKの公知の高い剛性の場合に、許容可能な半径でドラムに巻き取るために十分にはフレキシブルでない管が生じることが想定される。
PEEK内管を備えたフレキシブルな多層管の他の実施態様は、WO 99/67561に記載されている。この管は、この管の長さにわたり構造的に相互に結合されているポリマー層と繊維層とからなり、この内管の一般的な層厚は6〜12mmである。
WO 2006/047774には、部分芳香族ポリアミドからなる1つの層を備えた多層管が記載されている。
US 5 876 548は、カーカス上にエラストマー層及びその上に収縮性のポリマーからなる層が設けられているフレキシブルな金属管を記載していて、多数の他の可能性と共に、このためにPEEKが挙げられている。
WO 2005/028198には、内側ライニングが厚いポリマー層と遮断特性を有する薄いフィルムとからなるアンボンドフレキシブルパイプが記載されている。この厚いポリマー層とこのフィルムの材料について、2つの広範囲の同じリストが記載されていて、このフィルムは更に金属からなることができる。この両方のリスト中には、PEEK、PEKK及びポリフェニレンスルフィド(PPS)が挙げられている。
US 5 934 335の管は、PFAからなることができる1つの層を有している。しかしながら、PFAは高温で著しくクリープを引き起こし、加圧方向に応じて、カーカス又は外側に向かって続く補強層の柔軟な領域の間の空間を埋め、このことが管のフレキシビリティーを著しく低下させる。この変形した領域中では、更に応力亀裂が生じ、この応力亀裂は内側ライニングの破壊を引き起こしかねない。従って、このUS 5 934 335は、カーカスの空間をエラストマーで満たすことを推奨している。
それぞれのポリマー層を押し出す場合に、当業者は一連の問題に直面する。一方で、大きな内径を有する管の押出は、高融点のポリマー又は、もともと低い溶融強度を有するだけのポリマーを基礎とする成形材料の場合に問題となる。他方でカーカス又は補強層上への押出の際に、成形材料の溶融物は鋼構造体の空間に入り込み、これがフレキシビリティーを失わせ、かつ局所的に異なる冷却速度のために内部応力が生じ、この内部応力はポリマー層の破綻を引き起こしかねない。従って、以前から、機能層をテープの巻き付けにより設けることは先行技術である。
内側管へのテープの巻き付けは、WO 2004/048833に記載されている。このテープは、例えばポリオレフィン成形材料からなり;このテープはオーバーラップ領域で固定するために接着剤で被覆されている。
US 2007/0125438では、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなるテープからなる巻き付け層を有するフレキシブル管が記載されている。これにより、130℃を上回る作業温度が可能である。
US 2004/0060610は、内側から外側に向かってカーカス、螺旋状に巻き付けられたプラスチックテープからなる層、その上に押出されたプラスチックからなる耐圧層、少なくとも1つの補強層並びに外側被覆を有するアンボンドフレキシブルパイプを記載している。
しかしながらこの種の巻き付けられたテープは、このテープがずれることで、その下にある層が部分的に覆われなくなるため、例えばその箇所で内側にある被覆の次の層の材料が外圧によりカーカスの空間内へ入り込むか又は耐摩耗性テープの場合には上記箇所で金属が金属上で擦れるという欠点を有する。他の欠点は、巻き付けられたテープが輸送された媒体の成分の透過に対して十分なバリア作用を有さず、巻き付けの際にかけられた張力が時間の経過で緩和により失われる場合にはなおさらなくなることによる。
本発明の課題は、上記の欠点を避けることにある。
前記課題は、結合されていない層を備えた多層構造のフレキシブル管を製造する際に、プラスチック成形材料からなるテープを更に内側にある層上に螺旋状に巻き付け、その後でオーバーラップする領域で同時に又は引き続きこのテープの上側の層と下側の層とを相互に溶接することにより層を形成することにより解決される。
このテープは、張力をかけながら巻き付けられ、それにより、接触圧による力の作用でその下層と結合されている。
可能な実施態様の場合には、このアンボンドフレキシブルパイプの内側ライニングの内側にカーカスが存在する。この種のカーカス及びその構造は先行技術である。他の可能な実施態様の場合に、アンボンドフレキシブルパイプは、特に高い外圧下に作業されない場合にはカーカスを有しない。
このアンボンドフレキシブルパイプは、更に、内側ライニングの外側に1つ又は複数の補強層を有し、この補強層は通常ではスパイラル状に配置されたスチールワイヤ、スチール異形材又はスチール帯材からなる。この補強層の構造は先行技術である。好ましくは、この補強層の少なくとも1つは、内圧に対して耐性であるように構成されていて、この補強層の他の少なくとも1つは、引張力に対して耐性であるように構成されている。この単数の補強層又は複数の補強層には、通常では熱可塑性成形材料又はエラストマーからなる管又はチューブの形の外側被覆が続いていてもよい。
第1の実施態様の場合に、テープをカーカス上に巻き付け、次いで溶接する。引き続き内側ライニングの他の層をこのテープ上に押し出すことができる。このテープの第一の機能はここではクリープ保護又は透過バリアである。
第2の実施態様の場合に、テープを管状の内側ライニング上に巻き付け、次いで溶接する。この種の構造は、作業中で管の内圧が外圧よりも高い場合に有意義である;このテープによって、内側ライニングが、次に続く補強層の鋼構造体の隙間へ入り込むこと(クリープ)を抑制できる。
第3の実施態様の場合に、テープを補強層上に巻き付け、次いで溶接する。このテープは2つの金属補強層を相互に隔て、耐摩耗性テープとして機能する。
同じ管中で、第1の実施態様、第2の実施態様及び第3の実施態様を相互に組み合わせることができ、この場合、テープの材料は異なることもできる。例えば、管は、PEEK成形材料からなる第1のテープをカーカス上に有し、この第1のテープはバリア層として並びにクリープ保護としても作用する。外側に向かって、押出により設けられたフッ素ポリマー、例えばPFAからなる層が続き、この層は例えばポリフェニレンスルフィド(PPS)成形材料、PEEK成形材料又はPPA成形材料からなるテープにより覆われている。引き続く複数の補強層の間に、低い滑り摩擦係数を有する成形材料、例えばPEEK成形材料からなる耐摩耗性テープが適用される。
このテープのために適した材料は、例えば、部分結晶性ポリマー、例えばオレフィン系ポリマー、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリアルキレンナフタラート、ポリフェニルスルホン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド又はポリアリーレンエーテルケトン/ポリフェニレンスルフィドブレンドを基礎とする成形材料である。この場合、このテープは単層又は多層、例えば二層、三層又は四層であることができる。
このテープ材料は、腐食性の酸性成分、例えばH2S又はCO2の拡散に対するバリア層材料からなることができる。これとは別に、多層の実施態様の場合に、このテープは腐食性の酸性成分、例えばH2S又はCO2の拡散に対するバリア層、例えばEVOH成形材料からなる層又は金属箔、好ましくはアルミニウムからなる金属箔を有することができる。一般に、多層の実施態様において、層付着が望ましいが、使用した層材料は相互に相溶性でない場合に、適切な定着剤層又は接着剤を一緒に使用することもできる。このテープの両側の表面は、良好な溶接適性を保証するために、好ましくは同じ又は類似の組成の成形材料からなり、つまり、同じベースポリマーの成形材料からなるか又は相互に相溶性のポリマーを基礎とする成形材料からなる。
可能な層配置の例は次のものである:
ポリアミド/PPS/ポリアミド
ポリアミド/ポリアルキレンナフタラート/ポリアミド
ポリプロピレン/ポリアルキレンナフタラート/ポリプロピレン
ポリアミド/ポリアルキレンナフタラート/ポリプロピレン/ポリアミド
ポリアミド/ポリアリーレンエーテルケトン/ポリアミド
ポリアリーレンエーテルケトン/ポリアミド/ポリアリーレンエーテルケトン
HDPE又はPP/PPS/HDPE又はPP
HDPE又はPP/ポリフェニルスルホン/HDPE又はPP
PVDF/ポリアリーレンエーテルケトン/PVDF
PVDF/PPS/PVDF
PVDF/PPS/他のフッ素ポリマー
PVDF/ポリフェニルスルホン/PVDF
ポリアミド/EVOH/ポリアミド
ポリアミド/EVOH/ポリプロピレン/ポリアミド
HDPE又はPP/EVOH/HDPE又はPP
PVDF/EVOH/PVDF
ポリアミド/金属箔
ポリアミド/金属箔/ポリアミド
HDPE又はPP/金属箔/HDPE又はPP
フッ素ポリマー/金属箔/フッ素ポリマー
テープ用に使用したオレフィン系ポリマーは、第1にポリエチレン、特に高密度ポリエチレン(HDPE)、又はイソタクチック又はシンジオタクチックポリプロピレンであることができる。このポリプロピレンはホモポリマー又は、コモノマーとしてエチレン又は1−ブテンとのコポリマーであり、ランダムコポリマーもブロックコポリマーも使用することができる。さらに、このポリプロピレンは、例えば先行技術に応じてエチレン−プロピレンゴム(EPM)又はEPDMを用いて耐衝撃性に改質することができる。同様に本発明により使用可能なシンジオタクチックポリスチレンは、公知のように、スチレンのメタロセン触媒を用いた重合により製造することができる。
このテープ用に使用したポリアミドは、ジアミン及びジカルボン酸の組合せから、ω−アミノカルボン酸又は相応するラクタムから製造可能である。しかしながら、基本的にポリアミド、例えばPA6又はPA66を使用することができる。好ましい実施態様の場合に、ポリアミドのモノマー単位は平均して少なくとも8個、少なくとも9個又は少なくとも10個のC原子を有する。ラクタムの混合物の場合には算術平均が計算される。ジアミンとジカルボン酸との組合せの場合には、ジアミンのC原子とジカルボン酸のC原子との算術平均が、好ましい実施態様の場合に少なくとも8、少なくとも9又は少なくとも10でなければならない。適切なポリアミドは、例えば、PA610(ヘキサメチレンジアミン[6個のC原子]とセバシン酸[10個のC原子]とから製造可能、従ってモノマー単位中のC原子の平均はこの場合では8)、PA88(オクタメチレンジアミンと1,8−オクタン二酸とから製造)、PA8(カプリルラクタムから製造)、PA612、PA810、PA108、PA9、PA613、PA614、PA812、PA128、PA1010、PA10、PA814、PA148、PA1012、PA11、PA1014、PA1212及びPA12である。ポリアミドの製造は先行技術である。もちろん、これらを基礎とするコポリアミドを使用することもでき、その際、場合によりモノマー、例えばカプロラクタムを併用することも可能である。
ポリアミドとして、好ましくは、ジカルボン酸割合は5〜100Mol%が8〜22個のC原子を有する芳香族ジカルボン酸から由来し、かつ第2昇温時にISO 11357により測定して、少なくとも260℃、好ましくは少なくとも270℃、特に好ましくは少なくとも280℃の結晶融点Tmを有する部分芳香族ポリアミドも使用することができる。この種のポリアミドは通常PPAといわれる。このポリアミドは、場合によりω−アミノカルボン酸又は相応するラクタムの添加下で、ジアミンとジカルボン酸との組合せから製造可能である。適切なタイプは、例えばPA66/6T、PA6/6T、PA6T/MPMDT(MPMDは、2−メチルペンタメチレンジアミン)、PA9T、PA10T、PA11T、PA12T、PA14T並びに後者のタイプと脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸又はω−アミノカルボン酸又はラクタムとの共重縮合物である。
ポリアミドの他に、この成形材料は他の成分、例えば耐衝撃性改良剤、他の熱可塑性プラスチック、可塑剤及び他の通常の添加剤を含有することができる。ポリアミドは成形材料のマトリックスを形成することが必要なだけである。
このテープ用に使用されたフッ素ポリマーは、例えばポリビニリデンフルオリド(PVDF)、エチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、三成分、例えばプロペン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニル又はフッ化ビニリデンで変性されたETFE(例えばEFEP)、エチレン−クロロトリフルオロエチレンコポリマー(E−CTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテル−テトラフルオロエチレンコポリマー(CPT)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロペンコポリマー(FEP)又はテトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)であることができる。他のモノマー、例えばトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロペン及びヘキサフルオロプロペンを40質量%まで含有するフッ化ビニリデンを基礎とするコポリマーも挙げられる。
ポリフェニレンスルホン(PPSU)は、例えば、Solvay Advanced Polymers社の商品名Radel(登録商標)で生産されている。これは4,4′−ジヒドロキシビフェニル及び4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホンから求核置換により製造することができる。耐摩耗性テープとして使用するために、特にPPSU/フッ素ポリマーブレンド、例えばPPSU/PTFEブレンドが適している。
同様に使用可能なポリアリーレンエーテルケトンは、式
(−Ar−X−)及び(−Ar′−Y−)
[式中、Ar及びAr′は、二価の芳香族基、好ましくは1,4−フェニレン、4,4′−ビフェニレン並びに1,4−、1,5−又は2.6−ナフチレンを表す]の単位を有する。Xは、電子吸引基、好ましくはカルボニル又はスルホニルであり、Yは、他の基、例えばO、S、CH2、イソプロピリデンなどを表す。この場合、前記基Xの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%及び特に好ましくは少なくとも80%は、カルボニル基を表し、前記基Yの少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、特に好ましくは少なくとも80%は酸素からなる。
好ましい実施態様の場合に、前記基Xの100%はカルボニル基からなり、前記基Yの100%は酸素からなる。この実施態様の場合に、ポリアリーレンエーテルケトンは、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK;式I)、ポリエーテルケトン(PEK;式II)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK;式III)又はポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK;式IV)であることができるが、もちろんカルボニル基及び酸素基の他の配置も可能である。
Figure 0005968302
このポリアリーレンエーテルケトンは部分結晶性であり、これは、例えばDSC分析において結晶融点Tmを探し出すことにより示され、この結晶融点は、大きさに応じてたいていの場合300℃またはそれ以上である。
このテープ用に使用されたポリフェニレンスルフィドは、式
(−C64−S−)
の単位を有する。好ましくは、少なくとも50質量%が、少なくとも70質量%が又は少なくとも90質量%が上記単位からなる。残りの単位は、ポリアリーレンエーテルケトンの場合に上記されているような単位又は三官能性又は四官能性の分岐単位であることができ、この分岐単位は合成時に例えばトリクロロベンゼン又はテトラクロロベンゼンの併用から生じる。ポリフェニレンスルフィドは、多くのタイプ又は成形材料の形で市販されている。
ポリアリーレンエーテルケトン/ポリフェニレンスルフィドブレンドの場合には、両方の成分はそれぞれの想定できる混合比で存在することができるため、純粋なポリアリーレンエーテルケトンから純粋なポリフェニレンスルフィドまでの組成範囲は透き間なく埋められる。一般に、このブレンドは、ポリアリーレンエーテルケトンを少なくとも0.01%又はポリフェニレンスルフィドを少なくとも0.01質量%含有する。好ましい実施態様の場合には、ポリアリーレンエーテルケトンを少なくとも50質量%含有する。
エチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVOH)は以前から公知である。EVOHは、エチレンとビニルアルコールとからなるコポリマーであり、ときにはEVALとも言われる。コポリマー中のエチレン含有量は、一般に25〜60Mol%、特に28〜45Mol%である。多くのタイプが市場で、例えばKuraray社の商品名EVAL(商標)で入手可能である。
このポリアルキレンナフタラートは、2〜8個のC原子を有する脂肪族又は脂環式ジオール並びにナフタリンジカルボン酸から誘導される。適切なジオールは、例えばエタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタジオール、ネオペンチルグリコール並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールである。適切なナフタリンジカルボン酸は、例えば1,4−、1,5−、2,6−又は2,7−ナフタリンジカルボン酸である。好ましいポリアルキレンナフタラートは、特にポリエチレン−2,6−ナフタラート、ポリプロピレン−2,6−ナフタラート、ポリブチレン−2,6−ナフタラート並びにポリヘキシレン−2,6−ナフタラートである。
テープの成形材料又は個々の層の成形材料は、通常の助剤及び添加剤並びに場合により他のポリマーを含有することができ、ポリアリーレンエーテルケトンの場合には、例えばフッ素ポリマー、例えばPFA(テトラフルオロエタンとペルフルオロビニルメチルエーテルとからのコポリマー)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、LCP、例えば液晶ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリベンズイミダゾール(PBI)又は他の高温安定性ポリマー、ポリフェニレンスルフィドの場合には、例えば、エチレンと極性のコモノマー類とのコポリマー又はターポリマー及び部分芳香族ポリアミドの場合には、脂肪族ポリアミドである。このポリアミド成形材料は、例えば加水分解安定剤、可塑剤又は耐衝撃改良剤を含有していてもよい。耐摩耗性テープとして使用する場合に、テープの成形材料は更に潤滑剤、例えば黒鉛、二硫化モリブデン、六方晶系窒化ホウ素又はPTFEを有することができる。オレフィン系ポリマー、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリアルキレンナフタラート、EVOH、ポリフェニルスルホン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド又はポリアリーレンエーテルケトン/ポリフェニレンスルフィドブレンドの成形材料に対する割合は、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、特に好ましくは少なくとも70質量%、殊に好ましくは少なくとも80質量%及びさらに特に好ましくは少なくとも90質量%である。このテープは、更に、長繊維、例えばガラス繊維組織又はガラス繊維ロービングにより強化されていてもよい。この場合、このテープは強化されていない成形材料からなる他の層を含有していてもよく、及び/又は金属補強の低減又は置き換えのために役立つ。
このテープの幅は管の直径に依存する。通常の幅は、約20mm〜約700mmの範囲内にあり、好ましくは約30mm〜約500mmの範囲内にある。このテープの厚さは、一方で十分に機械的に安定性でなければならないが、他方で良好に巻き付けるために十分にフレキシブルでなければならないことにより制限される。従って、実際にこのテープは通常では0.05mm〜3mmの範囲内、好ましくは0.1mm〜2mmの範囲内の厚さを有する。
テープの横断面は長方形であることができる。しかしながら、このテープは側面にブランクを有することができるため、オーバーラップする領域は相互に噛み合い、巻き付け層のほぼ平滑な表面が生じる。
一般に、1つの層のテープはオーバーラップして巻き付けられ;このオーバーラップ領域については寸法に応じてテープ幅の約10%で十分である。しかしながら、第1の層のテープを突き合わせて巻き付け、更に第2の層のテープをほぼ半分のテープ幅だけずらして同様に突き合わせて巻き付けることもできる。
巻き付けの後に、このテープはオーバーラップ箇所で相互に溶接される。この溶接は熱風溶接、熱器具との接触、火炎による、又は好ましくはUV、可視又はIRスペクトル領域の電磁線の入射により行うことができる。特に、レーザー溶接又は赤外線溶接が好ましい。クリープ保護テープ又は耐摩耗性テープとして使用する場合、原則として、テープの固定のための点溶接で十分であるが;しかしながら、連続的に中断のない溶接シームを生じさせるのが好ましい。もちろん、このテープをオーバーラップ領域で相互に全面的に溶接することもできる。
2つの部材をレーザー溶接及び赤外線溶接する場合に、放射線が入射される上側の部材は使用される放射線に対してほぼ透過性に調節され、下側の部材は吸収性に調節される。最適な溶接結果を達成するために、従って、このテープは幅にわたって異なる吸収特性を有する場合が好ましい。これは、ほぼ透過性の成形材料を相応して吸収性に調節された成形材料と一緒に同時押し出しすることにより達成され、その結果、このテープは一方の側に、例えば全体のテープ幅の約3〜約90%の幅の吸収性のストライプを有する。テープの巻き付けの際に、吸収性の側が下側に置かれ、透過性の側がそれを覆うことに留意しなければならない。これとは別に、2つの層のテープを相互に重ねて、例えばそれぞれ突き合わせて巻き付ける場合に、下側のテープ層の材料は吸収性の添加物を含有し、上側のテープ層の材料は十分に透過性であることができる。極めて薄いテープを使用する場合、全体のテープ材料を吸収性に調節することもできる。
レーザー溶接、赤外線溶接並びに適切な吸収性の添加物は、当業者に十分に公知である。最も慣用の吸収性添加物はカーボンブラックであるが、他の公知の全ての添加物を通常の量で使用することもできる。
組み立て及び作業のための本発明による形状固定により並びに達成された気密性により、アンボンドフレキシブルパイプの広い設計の自由度を達成できる。

Claims (9)

  1. 結合されていない層を備えた多層構造のフレキシブル管の製造方法において、前記フレキシブル管は、管状の内側ライニング、及び螺旋状に配置されたスチールワイヤ、スチール異形材又はスチール帯材からなる単数又は複数の補強層を有し、プラスチック成形材料からなるテープを、前記管状の内側ライニング及び前記補強層から選択される更に内側にある層上に螺旋状に巻き付け、その後でオーバーラップ領域で同時に又は引き続き前記テープの上側の層と下側の層とを相互に溶接することにより層を形成することを特徴とする、結合されていない層を備えた多層構造のフレキシブル管の製造方法。
  2. 結合されていない層を備えた多層構造のフレキシブル管の製造方法において、前記フレキシブル管は、カーカス、管状の内側ライニング、及び螺旋状に配置されたスチールワイヤ、スチール異形材又はスチール帯材からなる単数又は複数の補強層を有し、プラスチック成形材料からなるテープを、前記カーカス、前記管状の内側ライニング及び前記補強層から選択される更に内側にある層上に螺旋状に巻き付け、その後でオーバーラップ領域で同時に又は引き続き前記テープの上側の層と下側の層とを相互に溶接することにより層を形成することを特徴とする、結合されていない層を備えた多層構造のフレキシブル管の製造方法。
  3. 前記テープは、オレフィン系ポリマー、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリフェニルスルホン、ポリアリーレンエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド又はポリアリーレンエーテルケトン/ポリフェニレンスルフィドブレンドを基礎とする成形材料からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記テープは単層又は多層であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 前記テープは多層であり、かつH2S又はCO2の拡散に対するバリア層を有することを特徴とする、請求項記載の方法。
  6. 前記バリア層はEVOH成形材料からなる層であるか又は金属箔である、請求項記載の方法。
  7. 前記テープは長繊維により強化されていることを特徴とする請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
  8. 前記溶接を、熱風溶接により、熱器具との接触により、火炎により、又は電磁線の入射により行うことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
  9. 請求項1からまでのいずれか1項記載の方法により製造されたフレキシブル管。
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