JP5967747B2 - 電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法に関し、特に加熱すべき鍋の底面の汚れや吹きこぼれ等を電磁調理器のトッププレートに付着させない電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法に関するものである。
電磁調理器を用いて調理を行う際には、鍋が電磁調理器のトッププレート上に直接置かれた状態で使用されるため、鍋の底の汚れや料理のハネ等がトッププレート上に付着するという問題があった。このような事態を防止するために、電磁調理器のトッププレートと鍋の底との間に挟んで使用する以下のような汚れ防止マットが用いられている。
図4は、通常の電磁調理器を組み込んだ調理用加熱装置上で、従来の汚れ防止マットを使用している状態の概略形状を示した平面図であり、図5は図4で示したV−Vラインの断面図であって、電磁調理器の構成を模式的に示した図である。
まず、これらの図を参照して、調理用加熱装置61のトッププレート17には、手前の左右に電磁調理器13a,電磁調理器13bが設置されている。又、トッププレート17の後方には、ニクロム線がトッププレート17の下面に組み込まれた発熱線加熱器63が設置されている。更にトッププレート17の奥側には吸・排気パネル65が配置されている。
電磁調理器13bに対しては、磁力透過性及び耐熱性を有する汚れ防止マット51が配置され、更にその上には加熱すべき鍋19が配置されている。この汚れ防止マット51は、その使用により、鍋19の底面に汚れが付着していたり、料理のハネが飛んだ際にも、トッププレート17に直接付着することが無く美麗な状態が保たれ、掃除等の手間をかけずに済む効果を奏するものである。尚、汚れ防止マット51の詳細な構成については後述する。
次に、図5を参照して、電磁調理器の概略構造及びその加熱原理について簡単に説明する。
トッププレート17の下方には電磁調理器13bを構成する磁力発生コイル14が配置されている。この磁力発生コイル14に図示しないスイッチをオンにすることによって電流が流れると、磁力発生コイル14の周りに二点鎖線で示されているような磁力線15が発生する。この磁力線15はトッププレート17及び汚れ防止マット51を貫通し、更にトッププレート17上に載置されている鍋19の底をも貫通してループ状に形成されることになる。鍋19は所定の導電性を有する材料によって構成されているため、この磁力線15の発生に伴ってその鍋底にうず電流16が発生する。このようにして発生したうず電流16が鍋19の鍋底の電気抵抗によって熱に代わり、鍋底の温度が上昇することになる。これによって鍋19内に収納された料理物が火を介することなく加熱されることになる。
磁力発生コイル14の通電を停止すると磁力線15は消滅し、これによって鍋19の鍋底に発生していたうず電流16も消滅する。その結果、鍋19の鍋底の温度は降下し、加熱状態が終了することになる。
トッププレート17の下方には温度センサ18が取付けられている。温度センサ18はトッププレート17の温度を検知し、空焚き等によって異常にトッププレート17の温度が上昇したような場合に、図示しない制御装置によって電力の供給を遮断して加熱を停止するものである。尚、トッププレート17の温度は鍋19の温度が伝達されて変化するものであるため、それらの間に設置される汚れ防止マット51の構成によっては鍋19の温度に検知温度が十分追随せず、温度センサ18による制御に不具合が生じる虞がある。
図6は、図5に示した従来の汚れ防止マットの概略形状を示した拡大斜視図であり、図7は、図6に示した“X”部分の拡大平面図であり、図8は、図6に示した従来の汚れ防止マットのコート材の被覆工程を示した模式図である。
これらの図を参照して、汚れ防止マット51は、磁力線の透過性及び耐熱性を有するガラス繊維53及び54を複数本用いて平織りにしたガラス繊維織物からなる平面視円形のガラス繊維シート55、ガラス繊維シート55の一方面を被覆する耐熱性を有する第1のコート材57及びガラス繊維シート55の他方面を被覆する耐熱性を有する第2のコート材58を備える。尚、ガラス繊維53及び54は一般的に製造販売されているものである。ガラス繊維シート55には、繊維構造上ガラス繊維53及び54同士の間に隙間56が生じる。隙間56の対向する一対の辺の一方の幅は経糸となるガラス繊維53同士の間隔Wであり、対向する一対の辺の他方の幅が緯糸となるガラス繊維54同士の間隔Lである。
第1のコート材57及び第2のコート材58の被覆に当たっては、まず、図8の(1)を参照して、ガラス繊維シート55を準備する。
次に、図8の(2)を参照して、ガラス繊維シート55の一方面に第1のコート材57を塗布し、硬化させる。このとき、図7で示した隙間56を通って、第1のコート材57がガラス繊維シート55の他方面にまで染み出す、いわゆる裏抜けという現象が生じる。
最後に、図8の(3)を参照して、ガラス繊維シート55の他方面に、第2のコート材58を塗布する。すると、図8の(2)で示したように、裏抜けによって染み出した第1のコート材57がガラス繊維シート55の他方面において既に硬化しているため、第1のコート材57が染み出して硬化した部分に第2のコート材58を塗布することはできない。よって、第2のコート材58を均一に塗布できず、ガラス繊維シート55の他方面にはむらが生じる場合があり、美観を損なってしまう。尚、ガラス繊維シート55の一方面は図8の(2)で示したように硬化した第1のコート材57に覆われているため、第2のコート材58は図7で示した隙間56を通ることはあっても、ガラス繊維シート55の一方面にまでは染み出さない。
特開2009−140887号公報
上記のような従来の汚れ防止マットは、ガラス繊維シートの目付を増加させれば第1のコート材の裏抜けを防止できる。しかし、ガラス繊維シートの目付が増加すると汚れ防止マットの厚みが増加し、熱抵抗も増加するため、鍋の温度に検知温度が十分追随せず温度センサによる制御に不具合が生じる虞が高まったり、熱効率が下がるという別の問題が生じる。
又、ガラス繊維シートの他方面側に前もって裏抜け防止用のコートを施したり、あるいは、裏抜けを起こした第1のコート材と他方面に直接塗布された第2のコート材とをまとめて覆う、更なるコート材の層を形成する手段も考えられるが、コストが高くなる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、耐熱性コート材が裏抜けしない電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、電磁調理器のトッププレートと電磁調理器によって加熱される鍋の底面との間に挟んで使用される電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法であって、目付が50g/m以上、電磁調理器による加熱時に温度センサが適切に作動し得る300g/m以下であり、且つ、磁力線の透過性を有する耐熱性の一般ガラス繊維よりなる繊維織物を準備する工程と繊維織物に水流処理を施してその通気度を低下させ、通気度が8.5cc/(cm・s)以下であるラス繊維シートを得る工程と、粘度が1万cP以上500万cP以下である第1の耐熱性コート材を、ガラス繊維シートの一方面に被覆する工程とを備えたものである。
このように構成すると、第1の耐熱性コート材が裏抜けしない。又、目付は変化せず、通気度が低下する。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、更に、第2の耐熱性コート材をガラス繊維シートの他方面に被覆する工程を備え、第1の耐熱性コート材及び第2の耐熱性コート材は、非透水性を有するものである。
このように構成すると、ガラス繊維シートの両面が覆われ、又、クッション性を有すると共に水分が内部に浸入しにくい。
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項記載の発明の構成において、第1の耐熱性コート材及び第2の耐熱性コート材はシリコーンコート材を含むものである。
このように構成すると、耐熱性コート材の表面は防滑性及び撥水性を発揮する。
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1の耐熱性コート材が裏抜けしないので、意匠性が向上した汚れ防止マットが製造される。又、目付けは変化せず、通気度が低下するので、ガラス繊維シートの軽量化が図れ、熱効率が低下しない汚れ防止マットになる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、ガラス繊維シートの両面が覆われるので意匠性が向上し、又、クッション性を有すると共に水分が内部に浸入しにくいので、電磁調理器のトッププレートや鍋を傷つけず、更に、衛生的な汚れ防止マットになる。
請求項記載の発明は、請求項1又は請求項記載の発明の効果に加えて、第1の耐熱性コート材及び第2の耐熱性コート材の表面は防滑性及び撥水性を発揮するので、使い勝手が向上した汚れ防止マットになる。
この発明の第1の実施の形態による汚れ防止マットのガラス繊維シートの拡大平面図である。 図1で示したガラス繊維シートへのコート材の被覆工程を示した模式図である。 ガラス繊維シートの目付に対する通気度の相関関係を示したグラフである。 通常の電磁調理器を組み込んだ調理用加熱装置上で、従来の汚れ防止マットを使用している状態の概略形状を示した平面図である。 図4で示したV−Vラインの断面図であって、電磁調理器の構成を模式的に示した図である。 図5に示した従来の汚れ防止マットの概略形状を示した拡大斜視図である。 図6に示した“X”部分の拡大平面図である。 図6に示した従来の汚れ防止マットのコート材の被覆工程を示した模式図である。
図1は、この発明の第1の実施の形態による汚れ防止マットのガラス繊維シートの拡大平面図であり、図2は、図1で示したガラス繊維シートへのコート材の被覆工程を示した模式図である。
これらの図を参照して、電磁調理器のトッププレートと電磁調理器によって加熱される鍋の底面との間に挟んで使用される平面視円形の汚れ防止マット1は、基本的には図6の従来例と同様の構成を有し、ガラス繊維シート5、ガラス繊維シート5の一方面を被覆する第1の(耐熱性)コート材7及びガラス繊維シート5の他方面を被覆する第2の(耐熱性)コート材8を備える。ガラス繊維シート5は、磁力線の透過性及び耐熱性を有するガラス繊維3及び4を複数本用いて平織りにしたガラス繊維織物からなる。尚、ガラス繊維3及び4は一般的に製造販売されているものに後述する水流処理を施したものである。第1のコート材7及び第2のコート材8は、粘度が25万cPであって、耐熱性及び非透水性を有するシリコーン樹脂よりなる。
このように構成すると、一方面が第1のコート材7で、他方面が第2のコート材8で被覆されるため意匠性が向上し、又、クッション性を有すると共に水分が内部に侵入しにくいので、電磁調理器のトッププレートや鍋を傷つけず、更に、衛生的である。
又、第1のコート材7及び第2のコート材8の表面は防滑性及び撥水性を発揮するので、使い勝手が向上する。
ガラス繊維シート5は、上述のようにその全面を水流によって押圧する水流処理が施されたものである。この水流処理により、ガラス繊維3及び4の各々の幅は通常の状態から水流処理により図の矢印の方向に幅が広がり、図の二点鎖線で示す本来の幅から図の実線で示す幅に変形する。つまり、ガラス繊維シート5の経糸となるガラス繊維3同士の間隔Wは、図7で示した従来の汚れ防止マットのガラス繊維シート55の経糸となるガラス繊維53同士の間隔Wよりも狭く、又、ガラス繊維シート5の緯糸となるガラス繊維4同士の間隔Lも、緯糸となるガラス繊維54同士の間隔Lよりも狭くなる。したがって、対向する一対の辺の一方の幅をWと、対向する一対の辺の他方の幅をLとする矩形形状の隙間6の平面視の面積は、従来の汚れ防止マットのガラス繊維シート55の隙間56よりも狭い。
基本的には、ここでのガラス繊維シート5は目付が50g/mであり、ガラス繊維シート5の通気度(JISL1096)は8.5cc/(cm・s)となっている。一方、図7で示した従来のガラス繊維シート55は、目付が50g/mの場合、通気度(JISL1096)は259.6cc/(cm・s)である。したがって、ガラス繊維シート5は、水流処理によって通気度が低下させられたものになっている。
このように水流処理を施すと、目付は変化せず、通気度が低下するので、温度センサの検知精度に影響せず、又、熱効率が低下しない。結果として、ガラス繊維シート5の通気抵抗が大きくなるが、このように構成したことによる効果は後述する。
第1のコート材7及び第2のコート材8の被覆に当たっては、まず、図2の(1)を参照して、水流処理したガラス繊維シート5を準備する。
次に、図2の(2)を参照して、ガラス繊維シート5の一方面に第1のコート材7を塗布し、硬化させる。このとき、図1で示したように隙間6が狭まったのに伴い、ガラス繊維シート5の通気抵抗は大きくなっているから、第1のコート材7は隙間6を通ってもガラス繊維シート5の他方面にまでは染み出ず、第1のコート材7の裏抜けが生じない。
最後に、図2の(3)を参照して、ガラス繊維シート5の他方面に第2のコート材8を塗布する。このとき、図2の(2)で示したように、第1のコート材7は裏抜けしておらず、第2のコート材8はガラス繊維シート5の他方面に均一に塗布されるから、ガラス繊維シート5の他方面にはむらが生じない。尚、ガラス繊維シート5の一方面は図2の(2)で示したように硬化した第1のコート材7に覆われているため、第2のコート材8の裏抜けも起こりえない。
尚、上記の第1の実施の形態では、第1のコート材がガラス繊維シートの一方面を、第2のコート材がガラス繊維シートの他方面を被覆していたが、少なくとも第1のコート材が一方面を被覆していればよい。
又、上記の第1の実施の形態では、ガラス繊維シートの目付と通気度とが特定数値に設定されていたが、第1のコート材が裏抜けを起こさず、かつ、温度センサ及び電磁調理器による加熱機能に不具合が生じなければ、他の数値に設定されてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、第1のコート材の粘度が25万cPに設定されていたが、1万cP以上であればコート材が裏抜けを起こさない。しかし、500万cPを超えると塗布効率が下がるために好ましくはない。好ましい粘度は、10万cP以上50万cP以下である。
更に、上記の第1の実施の形態では、第2のコート材の粘度も25万cPに設定されていたが、第2のコート材の裏抜けは起こりえないため、他の数値に設定されてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、第1のコート材及び第2のコート材はシリコーンよりなるとしていたが、耐熱性を有するものであれば他の素材よりなるものであってもよい。尚、非透水性を有する素材でなくても良い。
更に、上記の第1の実施の形態では、ガラス繊維シートは水流処理によって通気度を低下させていたが、プレス等のその他の方法により通気度を低下させてもよい。
更に、上記の第1の実施の形態では、ガラス繊維シートは複数本のガラス繊維を平織りにしたガラス繊維織物であったが、他の織り方からなるものであっても、あるいは不織布であってもよい。
このように、水流処理を行ったガラス繊維シート5は第1のコート材7の裏抜け防止に効果的である。しかし、水流処理を行ったガラス繊維シート5であっても、目付の値が低すぎると通気度が高くなり、やはり第1のコート材7の裏抜けを起こす可能性がある。又、目付の値が高すぎると図5で示した温度センサ18による制御に不具合が生じたり、熱効率が低下して電磁調理器13bによる加熱機能そのものを損う虞もある。
そこで、ガラス繊維シート5の通気度による汚れ防止マット1の品質への影響の度合いを検討するために実験を行った。
まず、実験に際して、従来技術である平織りの一般ガラス繊維シートと、平織りの水流処理ガラス繊維シートとを、各々の目付(g/m)が30、50、100、150、200、250、300、500、1000、1500、2000、2500、3000のもの毎に準備し、各ガラス繊維の通気度をJISL1096に基づいて測定した。尚、各ガラス繊維シートに対して塗布する第1のコート材及び第2のコート材は粘度が25万cPのものとし、塗布量は、いずれもガラス繊維シートの一方面と他方面との各々に対し70g/mとした。
次に、このようにして得られた試料毎に、汚れ防止マットの裏抜けの有無の判定及び使用状態における電磁調理器への影響の測定を行った。
1.裏抜けに対する実験
(1)測定条件
試料毎に、第1のコート材の裏抜けの有無を目視にて判定する。
(2)測定基準
第1のコート材の裏抜けがなかったものを合格とし、第1のコート材の裏抜けがあったものを不合格とする。
2.温度センサの作動に対する実験
(1)測定条件
以下の機器等において、各試料を鍋とトッププレートとの間にセットし、鍋にサラダ油200ccを入れて、油温22℃の状態から「揚げ物機能」で加熱し、温度センサの作動の有無及び油温を測定する。
電磁調理器:クッキングヒーター(三菱電機製:CS−G3205BDS)
鍋:専用天ぷら鍋:鍋径22cm(ウルシヤマ金属工業製:CS−100667)
油:日清サラダ油(日清オイリオグループ)
油温測定器:赤外線放射温度計(佐藤計量器製:SK−8700II)
(2)測定基準
作動の適否は、本来の使用状態における温度センサの作動状況、及び、「揚げ物機能」の機能を基準に判断する。
ここで、使用した電磁調理器にあっては、安全に使用できる油量が500cc以上とされている。したがって、今回の油量200ccは適切な使用量ではないことになる。この油量において、汚れ防止マットを使用しない状態、即ち電磁調理器の本来の使用状態と言える状態で加熱を行うと、2分経過後に強制的に加熱が停止する。これは、加熱後所定時間内における温度センサの検知温度の上昇度合いから、鍋に保有されている油の量が安全上少なく空焚きの虞があると判断されるためである。
又、「揚げ物機能」とは、加熱された鍋の熱を、トッププレートを介して温度センサが検知し、この検知温度に基づいて加熱量を調整して油温をほぼ200℃に保つ機能を意味する。
よって、本実験においては、加熱開始から2分経過後に強制的に加熱が停止するか否かと、油温が200℃を大幅に超えることがないか否かとを、作動の適否の基準とする。
3.熱効率に対する実験
(1)測定条件
以下の機器等において、各試料を鍋とトッププレートとの間にセットし、鍋に水1リットルを入れて、水温22℃の状態から3kWの火力で加熱し、水温が90℃に到達するまでの時間を測定する。
電磁調理器:クッキングヒーター(三菱電機製:CS−G3205BDS)
鍋:IHミッション フライパン:鍋径21cm(ティファール製:C65102)
水温測定器:赤外線放射温度計(佐藤計量器製:SK−8700II)
(2)測定基準
熱効率が所定の範囲に保たれているか否かは、本来の使用状態において水温が90℃に到達するまでの時間を基準に判断する。
ここで、この水量において、汚れ防止マットを使用しない状態、即ち電磁調理器の本来の使用状態と言える状態で加熱を行うと、約120秒で水温が90℃に到達する。
よって、本実験においては、水温が90℃に到達するまでの時間が120秒を大幅に超えることがないか否かを、熱効率が所定の範囲に保たれているか否かの基準とする。
上記各実験による測定結果を以下の表に示す。
Figure 0005967747
4.裏抜けに対する実験の測定結果
上記の表の「裏抜け」の列を参照して、コート材の裏抜けがなかったものには○印を、コート材の裏抜けがあったものには×印を付けている。
測定結果から以下の内容が判明した。
一般ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットでは、ガラス繊維シートの目付が300g/m以下になると裏抜けが生じる。一方、水流処理ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットでは、目付が300g/m以下であってもガラス繊維シートの目付が50g/m以上の場合では裏抜けは生じない。
これは、ガラス繊維シートの目付の低下に伴って、ガラス繊維シートの通気度が上昇することに起因しているものと思われる。尚、水流処理した場合であってもガラス繊維シートの目付が30g/mになると裏抜けが生じるが、これは、ガラス繊維が細くなりすぎたために水流処理を施してもガラス繊維シートの通気度が十分に低下しなかったことに起因しているものと思われる。
全試料における裏抜けが生じた場合のガラス繊維シートの通気度の最低値は、ガラス繊維シートの目付300g/mにおける一般ガラス繊維シートの通気度8.6cc/(cm・s)である。一方、裏抜けが生じなかった場合のガラス繊維シートの通気度の最高値は、ガラス繊維シートの目付50g/mにおける水流処理ガラス繊維シートの通気度8.5cc/(cm・s)である。
したがって、ガラス繊維シートの通気度が8.5cc/(cm・s)以下であれば、コート材の裏抜けは生じないと言える。
又、水流処理ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットでは、ガラス繊維シートの目付が50g/m以上であれば、コート材の裏抜けは生じないと言える。
5.温度センサの作動に対する実験の測定結果
上記の表の「センサ」の列を参照して、温度センサが適切に作動したものには○印を、温度センサが適切に作動しなかったものには×印を付けている。
測定結果から以下の内容が判明した。
一般ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットと水流処理ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットとのどちらにおいても、ガラス繊維シートの目付が300g/m以下の場合は、2分経過後に強制的に加熱が停止し、油温度が200℃を超えることもなかった。よって、本来の使用状態における使用状況と実質的な差異がなく、温度センサが適切に作動していると言える。
一方、ガラス繊維シートの目付が500g/m以上の場合は、2分経過しても強制的に加熱が停止せず、そのまま加熱を継続すると、5分経過後には油温度が300℃前後にまで上昇した。これは、ガラス繊維シートの目付の増加に伴い厚みが増加した汚れ防止マットの断熱作用の影響を受け、温度センサの検知温度がトッププレートの実際の温度に比べて低くなっていることに起因しているものと思われる。よって、このような状態をもたらす目付の汚れ防止マットは、汚れ防止効果は奏するものの、使用に適したものではないと言える。
したがって、温度センサの適切な作動という観点からは、ガラス繊維シートの目付が300g/m以下の汚れ防止マットが使用に適したものであると言える。
6.熱効率に対する実験の測定結果
上記の表の「熱効率」の列を参照して、熱効率が所定の範囲に保たれているものには○印を、熱効率が下がったものには×印を付けている。
測定結果から以下の内容が判明した。
一般ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットと水流処理ガラス繊維シートを備えた汚れ防止マットとのどちらにおいても、ガラス繊維シートの目付が2500g/m以下の場合は、120秒前後で水温が90℃に到達した。よって、本来の使用状態における使用状況と実質的な差異がなく、熱効率が所定の範囲に保たれていると言える。一方、ガラス繊維シートの目付が3000g/mの場合は、水温が90℃に到達するまでに152秒かかった。これは、目付の増加に伴い汚れ防止マットの厚みが増加したため、電磁調理器の磁力線が鍋の底に届きにくくなり、うず電流の発生効率が下がったことに起因しているものと思われる。よって、このような状態をもたらす目付の汚れ防止マットは、汚れ防止効果は奏するものの、使用に適したものではないと言える。
したがって、熱効率の観点からは、ガラス繊維シートの目付が2500g/m以下の汚れ防止マットが使用に適したものであると言える。
7.総括
図3は、ガラス繊維シートの目付に対する通気度の相関関係を示したグラフである。
図を参照して、グラフのX軸はガラス繊維シートの目付(g/m)を対数表示にて、グラフのY軸は通気度(cc/(cm・s))を対数表示にて、それぞれ示している。図の正方形のドットは水流処理ガラス繊維シートの、菱形のドットは一般ガラス繊維シートの、目付に対する通気度をそれぞれ示している。
図の太線はそれぞれ、上記の実験において判明した、汚れ防止マットの品質に問題が無いと判断できる値の限界を示す境界線である。尚、表1の薄墨部分において示されている、上述の3つの実験を全てクリアした試料はいずれも、この境界線で囲まれている範囲に収まる。
よって、品質上問題の無い汚れ防止マットは、この境界線で囲まれている範囲、即ち、ガラス繊維シートの目付が50〜300g/mであって、通気度が8.5cc/(cm・s)以下に収まる汚れ防止マットと言える。
以上のことから、汚れ防止マットのガラス繊維シートの目付及び通気度は、電磁調理器の作動状態に大きな影響を与える要素と言え、その適切な選択があってその存在が意味あるものとなる。
尚、上記の実験では、ガラス繊維シートは水流処理によって通気度を低下させたものを用いたが、プレス等のその他の方法により通気度を低下させたものを用いても同様の結果が得られた。
又、上記の実験では、ガラス繊維シートは複数本のガラス繊維を平織りにしたガラス繊維織物を用いたが、他の織り方からなるものを用いても、あるいは不織布を用いても目付及び通気度が同一のものでは同様の結果が得られた。
更に、上記の実験では、第1のコート材は粘度が25万cPのものを用いていたが、25万cP未満でも1万cP以上のものであれば同様の結果が得られた。
1…汚れ防止マット
3…ガラス繊維
4…ガラス繊維
5…ガラス繊維シート
7…第1のコート材
8…第2のコート材
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (3)

  1. 電磁調理器のトッププレートと前記電磁調理器によって加熱される鍋の底面との間に挟んで使用される電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法であって、
    目付が50g/m以上、電磁調理器による加熱時に温度センサが適切に作動し得る300g/m以下であり、且つ、磁力線の透過性を有する耐熱性の一般ガラス繊維よりなる繊維織物を準備する工程と
    前記繊維織物に水流処理を施してその通気度を低下させ、通気度が8.5cc/(cm・s)以下であるラス繊維シートを得る工程と、
    粘度が1万cP以上500万cP以下である第1の耐熱性コート材を、前記ガラス繊維シートの一方面に被覆する工程とを備えた、電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法。
  2. 更に、第2の耐熱性コート材を前記ガラス繊維シートの他方面に被覆する工程を備え、
    記第1の耐熱性コート材及び前記第2の耐熱性コート材は、非透水性を有する、請求項1記載の電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法。
  3. 前記第1の耐熱性コート材及び前記第2の耐熱性コート材はシリコーンコート材を含む、請求項1又は請求項記載の電磁調理器用汚れ防止マットの製造方法。
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