JP5967676B2 - 熱電材料の製造方法および熱電モジュールの製造方法 - Google Patents

熱電材料の製造方法および熱電モジュールの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、省エネルギー関連分野、特に有機半導体を利用した熱電材料の排熱を電気に変換する分野に関する。
熱電素子(熱電デバイス)は、2種類の異なる金属あるいは半導体の両端を接合し、その両端に生じる温度差を利用して起電力を発生させる、すなわち熱エネルギーを電気エネルギーに変換するゼーベック効果を利用する素子である。通常熱電素子に半導体を用いる場合は、p型半導体とn型半導体を組み合わせて使用する。熱電素子に用いられる熱電材料として、有機材料が挙げられる。従来、有機材料による熱電特性評価においては、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))に対するドーパントとしてTOS(p−トルエンスルホン酸エステル)が用いられている。
関連する技術は、例えば、下記の非特許文献1に開示されている。
Bubnova, O.;Khan, Z. U.;Malti, A.;Braun, S.;Fahlman, M.;Berggren, M.;Crispin, X., Nat. Mater. 2011, 10, 429-433.
TOSは、組成制御が比較的容易であるという特徴を有しているが、材料自体は不安定で、特性を損なう金属イオンの除去が困難であり、実用化レベルでの製造工程には適さない。
また、熱電材料の排熱の温度が200℃以下である場合にその排熱利用を考えたとき、無機材料としてはBi−Te系材料を用いるしかない。この場合、レアメタルを用いることによる高コスト化や当該材料の毒性が懸念される。さらに、当該材料は希少元素であり、かつ固い(脆性である)ため、大量に使用するには高価であり、熱電素子の大面積化が困難になるおそれがある。
そこで、本発明は、材料自体が安定しており、低コスト化が容易で実用化した場合の製造工程に適用しやすい有機の熱電材料および熱電モジュールを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本件開示の熱電材料は、導電性高分子と、ポリスチレンスルホン酸とトシレート(TOS)と塩素と過塩素酸塩からなる群から選ばれる物質と、溶媒としてエチレングリコール(EG)とエタノールとジメチルスルホキシドとイソプロパノールからなる群から選ばれる物質を、含む材料から、熱処理温度が125℃〜200℃であり熱処理時間が5分〜12時間である熱処理工程を含む製造工程によって作製される。これにより、上記の熱処理を行うことで、複雑な処理工程を組み込むことなく、好適な結晶配向性を有する熱電材料を作製することができる。
また、導電性高分子は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)である。さらに、溶媒は、3重量%以上の添加量となるエチレングリコールである。そして、熱処理温度が約150℃である。また、熱処理時間が少なくとも30分以上である。
さらに、製造工程は、上記材料中に水分を保有させる処理を含む。また、上記材料中に水分を保有させる処理を行った後に当該材料を封止する処理を行う。これにより、熱電材料の作製時に水分蒸発を抑えつつ高い性能指数を保持することができる。
また、本件開示の熱電モジュールは、上記の熱電材料を、p型材料およびn型材料のいずれか一方単独で用いて作製する。あるいは、本件開示の熱電モジュールは、上記の熱電材料を、p型材料およびn型材料を組み合わせて作製する。これにより、上記の熱電材料の構成を柔軟に変更しつつ、実用化の上で好適な大きさの電圧を得られる熱電モジュールを作製することができる。
さらに、本件開示の熱電モジュールは、上記の熱電材料が基材上に直列に接続された素子が、複数個並列に接続されてユニットが形成され、このユニットが複数個直列に接続されている。あるいは、本件開示の熱電モジュールは、上記の熱電材料が基材上に並列に接続された素子が、複数個直列に接続されてユニットが形成され、このユニットが複数個並列に接続されている。
有機半導体を利用した熱電材料としては、性能指数(ZT)の値が0.1以下であり、唯一0.25のものが報告されているが、本開示においては0.33を越える材料が得られた。なお、ZT=1が、実用化の目安となる。また、水溶液などに溶かして作製できるため、細く、あるいは自由な形に形成できる。さらに、紙などの安価なフレキシブルシート上に作製することもできる。
図1は、一実施形態に係る熱電材料を用いた熱電素子の概略図を示す。 図2Aは、一実施形態において、EG量の関数としてプロットした電気伝導度σを示す。 図2Bは、一実施形態において、EG量の関数としてプロットしたゼーベック係数Sを示す。 図3Aは、一実施形態において、EG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の2D GIWAXDパターンを示す。 図3Bは、一実施形態において、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の2D GIWAXDパターンを示す。 図4Aは、一実施形態において、EG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の2D GISAXSパターンを示す。 図4Bは、一実施形態において、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の2D GISAXSパターンを示す。 図4Cは、一実施形態において、qz方向に沿った詳細なライン走査を示す。 図5は、一実施形態において、溶液中のEG量の関数としてプロットした熱拡散率と、調整されたままの状態のフリースタンディング薄膜を挿入図として示す。 図6Aは、一実施形態において、温度の関数としてプロットした3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の電気伝導度σを示す。 図6Bは、一実施形態において、温度の関数としてプロットした3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜のゼーベック係数Sを示す。 図7は、一実施形態において、温度と熱伝導率、熱拡散係数、比熱容量それぞれとの関係を示す。 図8Aは、一実施形態において、EG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の2D回折パターンを示す。 図8Bは、一実施形態において、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の2D回折パターンを示す。 図8Cは、図8Aおよび図8Bに示す2D回折パターンを極角を用いて構成した極点図を示す。 図9Aは、一実施形態において、EG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の透過幾何学を用いた2D SIXSパターンを示す。 図9Bは、一実施形態において、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の透過幾何学を用いた2D SIXSパターンを示す。 図10は、一実施形態において、温度の関数としてプロットしたEG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の電気伝導度σを示す。 図11Aは、一実施形態において、自作のゼーベック係数測定システムを示す。 図11Bは、図11Aに示すゼーベック係数測定システムの試料ホルダーを示す。 図12は、一実施形態における熱電材料を、温度298K、相対湿度60%中に保持した時のPEDOT:PSSの重量変化を示す。 図13Aは、一実施形態における熱電材料の、相対湿度と電気伝導度の関係を示す。 図13Bは、一実施形態における熱電材料の、相対湿度と熱拡散率の関係を示す。 図14Aは、303Kの時の一実施形態における熱電材料の、ΔV/ΔTのグラフを示し、図中「1」は相対湿度30%の、また「2」は相対湿度50%の時のものである。 図14Bは、313Kの時の一実施形態における熱電材料の、ΔV/ΔTのグラフを示し、図中「1」は相対湿度30%の、また「2」は相対湿度50%の時のものである。 図14Cは、図14Aおよび図14Bの傾きより得られたゼーベック係数を用いて、それぞれの条件における熱伝導率、電気伝導度により計算された性能指数ZTを計算した数値を示す表である。 図15Aは、一実施形態における有機熱電フィルムの作製方法の例を示す。 図15Bは、一実施形態における有機熱電フィルムの作製方法の例を示す。 図15Cは、一実施形態における有機熱電フィルムの作製方法の例を示す。 図15Dは、一実施形態における有機熱電フィルムの作製方法の例を示す。 図16Aは、一実施形態における熱電モジュールの概略の構成を示す。 図16Bは、一実施形態における熱電モジュールの概略の構成を示す。 図17Aは、一実施形態における熱電モジュールの概略の構成を示す。 図17Bは、一実施形態における熱電モジュールの概略の構成を示す。 図18Aは、一実施形態における熱電素子の作製方法の例を示す。 図18Bは、一実施形態における熱電素子の作製方法の例を示す。 図19は、一実施形態における熱電モジュールの作製方法の例を示す。 図20は、一実施形態における熱電材料に関する、熱処理温度と電気伝導度の関係を示す。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下の実施の形態の構成は例示であり、本発明は実施の形態の構成に限定されない。
以下の実施形態では、ナノ構造制御により、キャリアの濃度を上げずに移動度のみを向上させ、電気伝導度が大きくかつゼーベック係数が低下しない熱電材料を作製できた。また、紙などのフレキシブルシート上に作製して、熱起電力(0.5mV)を測定できた。得られる電圧は、シート上の材料の数を増やせば単純に増大させることができる。
図1に、一実施形態における熱電材料を用いた熱電素子の概略図を示す。当該熱電材料により、有機導電材料として知られるPEDOT:PSSを基本として、構造などを制御し、熱電材料としての特性を向上させた結果、有機熱電材料としての性能指数(ZT=0.08、室温)を有する材料を得た。
図1に示すように、本実施形態における熱電材料は、導電性ワイヤあるいはペーストで直列につなげることで、温度差による発電量を大きくすることができる。また、必ずしもp型n型の両方を接続する必要はない。
温度差は、膜の長さ方向にとることができ、かつ有機材料特有の低熱伝導率により大きい温度差を実現できるため、排熱を最大限に利用することができる。
そして、フレキシブルシート上への滴下、あるいはフリースタンディング膜をフレキシブルシート上へ貼り付けるなどにより、薄く軽くフレキシブルな熱電素子を作製できる。印刷などの技術により、紙などの安価な材料上に熱電素子を作製することも可能で、比較的安価に作製できる。
熱電材料は、p型とn型を導電材料で接続して電圧を大きくするモジュール形式が一般的であるが、p型あるいはn型の一方でも、導電材料と接続することで電圧を大きくする熱電素子を作製できる。この形(一方の接続だけ)の熱電素子を形成することを提案するのは新規である。なお、熱電有機膜の形状および導電材料の形状は、高温側と低温側の間は、必要に応じて自由に設計できる。直線的でもかまわないし、曲線的でもかまわない。要は、温度差がつくように設計すればよい。繰り返し曲がる箇所を有してもかまわないし、作製後に折り曲げて使用してもかまわない。導電材料については、導電性が確保されていればどの様な材料でもかまわない。金属線でもよいし、導電性ペーストでもよく、ペーストに含まれる金属成分にも制限はない。金でも銅でも白金でも銀でもかまわない。
また、有機熱電材料を形成するフレキシブルシートは、電気絶縁性を確保できれば何でもよい。紙でもプラスチックフィルムでもよい。ただし、プラスチックなどの場合、PEDOT:PSS水溶液を滴下する必要があるため、材質によっては表面を親水処理する必要がある。親水処理の方法は問わない。例えば、マスキングして紫外線を当てるだけで、空気中の酸素がオゾンとなり、表面に水酸基が形成され親水性となる。この方法を利用すれば、自由な形の熱電材料を作製できる。
<実施例1>
ここでは、高秩序なポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)薄膜が、室温で高い熱電性能係数を示すことについて説明する。微小角入射広角X線回折(GIWAXD)および微小角入射小角X線散乱(GISAXS)により、PEDOT:PSS溶液にエチレングリコール(EG)を添加すると、固体薄膜におけるPEDOTの結晶性やPEDOTナノ結晶の結晶秩序が向上することがわかった。高秩序なPEDOT:PSS薄膜の電気伝導度は821S/cm、ゼーベック係数は24μV/K、熱伝導率は0.17W/mKであり、この結果303Kで0.08の性能係数が得られた。この結果は、上記の有機半導体材料が低温熱電素子に特に有望であることを示唆するものである。
熱電素子は、熱エネルギーを電気に直接変換するために使用でき、排熱や太陽熱エネルギーの回収用の有望な候補として、強い関心が持たれている。熱電材料の性能評価に最も重要なパラメータは、以下の式で定義される性能係数(ZT)である。
Figure 0005967676
ここで、Sはゼーベック係数、σは電気伝導度、κは熱伝導率、Tは温度である。これまで、熱電材料の先駆的な研究は、主にテルル化ビスマス(Bi−Te)合金、マグネシウムシリコン(Mg−Si)合金、金属酸化物など無機半導体に焦点が当てられていた。これらの材料の多くは、200℃を超える温度で機能するものであり、最もよく知られた低温熱電材料はBi2Te3であり、室温ZTが1より大きい。ただし、排熱や太陽熱エネルギーは、通常150℃未満である。温度差が小さくなることから、低温での熱電変換効率は低くなる。そのため、低温で利用可能な熱エネルギーを大量に回収するには、大面積の熱電素子が必要となる。しかし、Teは希金属であり、高価かつ環境保全に向かないため、大面積の熱電素子には好適ではない。
有機半導体は、これら無機半導体とは異なり、電気伝導度やゼーベック係数が比較的低いことから、まだ詳細に研究されていない。近年、有機太陽電池や有機トランジスタなどの素子を対象とした有機エレクトロニクスの発展に伴い、有機半導体の物理特性や化学特性が向上している。現在、有機半導体は非常に幅広い分野に調整することができ、熱電素子にも適用できる可能性がある。さらに、有機半導体は、全般的に低い固有熱伝導率を有し、高い変換効率を有する有機熱電素子を作製できる可能性もある。
有機熱電材料の初期の研究は、主にポリアリニン、ポリピロール、ポリチオフェンに焦点が当てられた。これらの材料の安定した出力因子(P=S2σ)は、10μW/mK2であり、ZTは10-3のオーダーである。Leclercらの報告によれば、ポリカルバゾールは、熱伝導率とゼーベック係数が高く、熱電応用に有望な候補となる可能性がある。導電性ポリマーと量子ドット、導電性ポリマーとカーボンナノチューブ、金属錯体などのハイブリッド材料も、ゼーベック係数が高く処理が単純であることから、注目を集めている。最近では、Crispinらの報告によると、高伝導率のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):トシラート(PEDOT:tos)をテトラキス(ジメチルアミノ)エチレン(TDAE)で脱ドーピングすると、ゼーベック係数が高い(200μV/K超)ことが主な理由から、ZTが0.25と際だった値となり、出力因子も300μW/mK2を超えることがわかった。このことは、有機熱電材料の性能を無機熱電材料の性能に近づけられる可能性を示している。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS)は、透明電極として使用できる可能性があることから、最も研究が行われている導電性ポリマーである。PEDOT:PSSが分散した水溶液にエチレングリコール(EG)またはジメチルスルホキシド(DMSO)などの第2の溶媒を添加すると、電気伝導度を大幅に向上させることができる。PEDOT:PSSの電気伝導度を向上させるための処理条件の最適化やその基盤となる仕組みに関する研究がこれまでに多数報告されている。しかし、これらの高導電性のPEDOT:PSS系の熱電特性に関する研究は比較的少ない。Katzらの報告によれば、電気伝導度が上昇するとともにゼーベック係数が有意に低下したものの、高導電性のPDEDOT:PSSの出力因子が47μW/mK2となった。熱伝導率については報告されていない。
ここで、市販のClevios(登録商標)PH1000 PEDOT:PSSにEGを第2溶媒として添加した熱電特性について説明する。エチレングリコールを添加することで、PEDOT:PSSのゼーベック係数が低下することなく電気伝導度が有意に上昇した。これらの結果を説明することを目的として、微小角入射広角X線回折(GIWAXD)と微小角入射小角X線散乱(GISAXS)を用いた薄膜に対する形態分析を行った。異なる濃度のEGを添加した複数のフリースタンディングPEDOT:PSS薄膜を作製し、フラッシュ分析方法と温度波分析方法を用いてこれらの熱特性を分析した。
電気伝導度およびゼーベック係数の測定に用いたすべての薄膜は、ガラス基板へのドロップキャスティングにより作製した。EG添加あるいは無添加のPEDOT:PSS溶液(400μL)を2×2cmのガラス基板上に滴下し、数時間掛けて溶媒を蒸発させた。次いで、薄膜を空気中で150℃30分の条件でアニールした。薄膜の厚さを表面プロファイラで測定したところ、約8μmであった。最初に溶媒をゆっくりと蒸発させることが滑らかな薄膜を形成する上で重要であった。電気伝導度は、従来の四深針法により測定した。図2Aは、PEDOT:PSS薄膜の電気伝導度σを溶液中のEGの濃度の関数としてプロットした図である。EG濃度が3%まで上昇するときにσは上昇し、その後濃度の上昇に伴って僅かに低下した。この測定結果は、これまでに報告された結果と一致した。ゼーベック係数は、温度差が1〜8℃の間で測定した。ΔV対ΔTのプロットの傾きからSの値を求め、30を超える点を用いてカーブフィッティングを行った。図2Bは、303Kにおけるゼーベック係数が、溶液中のEGの量によっては変化しないことを示している。すべての試料のゼーベック係数は、24μV/Kの値を取った。EGが共溶媒にすぎないことから、電気伝導度およびゼーベック係数のEG濃度への依存性は、薄膜の形態変化に現れるものと考えられる。薄膜の形態に対するEG添加の影響を把握するため、GIWAXDとGISAXSによる研究を行った。
図3Aおよび図3Bは、EG添加を行わないまたは行ったPEDOT:PSS薄膜の2D GIWAXDパターンをそれぞれ示す。q=1.28Å-1およびq=1.85Å-1において回折が明確に発生していることは、どちらの薄膜も結晶性であることを示唆している。q=1.28Å-1における回折は、不規則に分布したPSSに起因するものであり、q=1.85Å-1において明確に確認できる回折は、PEDOT結晶(π−π鎖間スタッキング)の(020)反射により生じるものである。EGが添加されたPEDOT:PSS薄膜でより強い信号を生成したことは、その結晶性が向上したことを示唆する。半値幅(FWHM)により計算した平均結晶サイズは、EGを溶液に添加することで1.9nm(5〜6層)から2.5nm(7〜8層)に上昇した。EGが添加された薄膜は、qxy軸よりもqz軸に沿って(020)反射がより強く表れており、これは、PEDOTがフェイスオン(face−on)パッキングであることや、PEDOT結晶のπ共役平面が基板に対してより垂直に近いことを意味する。2D回折により構成された極点図において、PEDOTの結晶性が向上し、配向性がより顕著となることが確認できた(図8A〜図8C)。
大表面積のPEDOT:PSS薄膜のメゾスコピック構造はGISAXSにより特定した。図4Aおよび図4Bは、EGが添加されていないまたは添加されたPEDOT:PSS薄膜の2D GISAXSパターンをそれぞれ示す。図4Cは、qz方向に沿った詳細なライン走査を示す。EG添加なし薄膜のGISAXSパターンは、qz=0.24Å-1において面外散乱のピークを示し、qz=0.49Å-1において2次散乱のピークを示した。EG添加された薄膜のパターンは、qz=0.24Å-1における散乱のピークがより急峻となり、qの値に対する3次のピークが1次よりも3倍高くなることがわかった。このことは、EGを添加することで、PEDOTナノ結晶の秩序状態が向上し、これらナノ結晶が層構造を形成することを示している。面内方向において明確なピークが検出されなかったことは、PEDOTナノ結晶の構造がqxy方向では無秩序であることを意味する。このことは、透過幾何学を用いたSAXSパターン(図9Aおよび図9B)において明確な回折が確認できなかったことからも証明される。
EG添加によるPEDOT:PSSの伝導率の向上は、結晶秩序が向上し結晶の大きさが大きくなったことで、薄膜内の平均キャリア移動度が上昇したことに起因する。ただし、PEDOT結晶間の境界では、境界のエネルギー障壁が大きいことから、キャリア散乱が支配的となる場合がある。境界における散乱の仕組みは、この範囲における結晶秩序や結晶の大きさに大きな影響を受けないと考えられるため、その結果、EG添加を行ってもゼーベック係数は有意には変化しなかった。これを裏付ける直接的な証拠を得るため、PEDOT:PSS薄膜内のキャリア移動度、添加濃度、キャリアの実効質量を提供するホール効果の測定が行われた。しかし、PEDOT:PSSのホール効果を計測することは非常に難しく、おそらくこれは、キャリア移動の仕組み、電流印加時のゼーベック効果、PEDOT:PSS内の可動イオン、薄膜内に存在する微量の水の影響があるためと考えられる。ただし、本発明者らは、電気伝導度やゼーベック係数に対するEGの効果は、形態的な変化によって説明できると確信している。
PEDOT:PSSの熱特性を評価するため、フラッシュ分析および温度波分析の実験を行った。両実験では、厚さを少なくとも30μmとした大面積(1×1cmより大)の高密度のフリースタンディング薄膜を用いることが重要である。最初に、ドロップキャスティングを施した薄膜を、溶媒を用いて浮き離すことを試みた。しかし、PEDOT:PSS薄膜は溶媒に対して自立しないため、取り扱いが非常に困難である。その代わり、低表面エネルギー材料は、基板として用いることができた。疎水性かつ親油性であることから交差結合ポリジメチルシロキサン(PDMS)を基板に用いた。PEDOT:PSS溶液(1mL)をPDMSの表面に滴下した後、溶媒を数時間掛けて蒸発させたところ、PDMS基板を若干湾曲させることでPEDOT:PSS薄膜を容易に引き離すことができた。そして、スリースタンディング薄膜を空気中150℃30分でアニールした。作製した薄膜の厚さは30〜40μmで、密度は質量および体積による計算で1.5g/cm3であり、計算値1.45g/cm3に近い値である。このことは、調整されたままの状態のフリースタンディングPEDOT:PSS薄膜が、温度波分析法およびフラッシュ分析法を用いて固有熱特性を決定する上で重要となる、密な構造を有することを示唆している。
図5は、温度波分析により測定されたPEDOT:PSS薄膜の熱拡散率がEG濃度に依存することを示す。興味深いことに、熱拡散率はEG濃度とはほとんど関係がないのに対し、結晶性および結晶秩序が向上した。すべての試料における熱拡散率の値は、1.1×10-7から1.4×10-72/sの間であった。フラッシュ分析を用いて測定した熱伝導率は、EG添加なし薄膜の場合は0.19W/mKであり、3%EG添加の薄膜の場合は0.18W/mKであった。これらの結果は、熱拡散率や熱伝導率が電気伝導度と強い相関を持つ多くの無機熱電材料における結果とは異なる。このことは、導電性を有するPEDOTと絶縁性を有するPSSとが共存することから説明することができる。キャリアは、PEDOT:PSS薄膜のPEDOT領域のみ移動することができるため、電気伝導度はPEDOTの結晶性や結晶秩序の影響を大きく受ける。しかし、PSSの量は、PEDOTの量に比べてずっと多いため(PH1000では1:2.5w/w)、PSSは熱拡散率および熱伝導率を左右する。PSSの形態がEG濃度に伴って変化しない場合、固体薄膜の熱特性は大きく変化しない。導電性の高いPEDOT系の多くは、ドーパントの量がホストの量に比べてずっと多く、無機材料とは大きく異なる。したがって、熱特性は導電性を有するホストよりも絶縁性を有するドーパントに依存する。
図6Aは、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の電気伝導特性を示す。電気伝導度は、303Kの830S/cmから348Kの770S/cmに低下した。温度の上昇に伴って電気伝導度の低下したことは、EGを添加したPEDOT:PSS薄膜がほとんど金属のように振る舞うことを示唆している。この振る舞いは、多くの有機半導体や低伝導率のPEDOT:PSS薄膜の振る舞いや、図10で示した、EG添付なし薄膜の電気伝導度が温度とともに上昇した振る舞いとは異なる。図6Bは、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜におけるゼーベック係数の温度依存性を示す。正のゼーベック係数は、p型伝導を示す。ゼーベック係数は303Kで20.5μV/Kであり、343Kで21.8μV/Kであり、このことは、ゼーベック係数がこの温度範囲では有意な温度依存性を有しないことを示唆している。図7は、熱特性の温度依存性を示すが、伝導率を測定したところ、303Kで0.17W/mKであり、343Kで0.18W/mKであった。計算によるZTは、EGが添加されたPEDOT:PSS薄膜については303Kで0.08であった。ZT値が面内電気伝導度および交差面熱伝導率から計算したが、PEDOT:PSS薄膜が、PEDOTナノ結晶の配向および秩序に起因する非等方性の特性を示す可能性が残る。ただし、熱伝導率は主にPSSによって決定されることから、PEDOTナノ結晶の影響は小さいと考えられる。この仮定は、3ω法を用いたPEDOT:tos系に関する先駆的な研究で熱伝搬がほぼ等方的であると示されたことにより支持されている。現在、本発明者らは、フラッシュ分析による面内熱伝導率の測定を行っている。
以上より、市販のPEDOT:PSSにEGを添加することで、PEDOTの結晶の大きさと薄膜の結晶秩序をともに向上させることができる。この結果、ゼーベック係数を低下させずに電気伝導度を830S/cmまで上昇させることができた。高密度のフリースタンディング試料をフラッシュ分析して、0.18W/mKの低熱伝導率を確認できた。以上の結果は、有機半導体材料が、低温熱電素子への応用に望ましいことを示唆している。
<実施例2>
化学物質について。ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホン酸)(PEDOT:PSS;Clevios PH1000)をH.C.Starck社から購入し、エチレングリコール(EG、99.5%)をTCI Chemicals社から購入した。
薄膜の作製について。伝導率とゼーベック係数の測定では、すべての薄膜をドロップキャスティングによってガラス基板上に作製した。PEDOT:PSS溶液(400μL)を、2×2cmのガラス基板に塗布し、数時間掛けて溶媒を徐々に蒸発させた。薄膜を150℃30分でアニールすると、薄膜の厚さは8μm以下であった。フリースタンディング薄膜は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)上に作製された。PEDOT:PSS溶液(1mL)をPDMSの表面に滴下した。数時間掛けて溶媒を蒸発させると、PDMS基板を少し湾曲させるだけで容易にPEDOT:PSS薄膜を引き離すことができた。作製した薄膜の厚さは、30〜40μmであった。
特性の評価について。薄膜の厚さは、表面粗さ計(Veeco社製Sloan Dektak 3)を用いて測定した。伝導率は、四深針法による伝導率用のテストメーター(三菱化学社製MCP−T600)を用いて測定し、温度は電熱器で制御した。ゼーベック係数は、図11Aおよび図11Bに示す自作のシステムを用いて測定した。試料ホルダーをマントルヒーターで加熱し、異なる金属ブロックを用いて温度差を発生させた。温度差と電圧は、ソースメーターを用いて電極対を精査することで同時に測定した。熱伝導率は、キセノンフラッシュ分析器(Netzsch社製LFA 447 Nanoflash(登録商標))を用いて測定し、熱拡散率は温度波分析器(ai−Phase社製ai−Phase Mobile)を用いて確認した。X線散乱およびX線回折は、X線回折計(Bruker社製D8 Discover)を用いて室温にて行った。
図8Aは、EG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の2D回折パターンを示す。図8Bは、3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の2D回折パターンを示す。図8Cは、図8Aおよび図8Bに示す2D回折パターンを極角を用いて構成した極点図を示す。
図9Aは、透過幾何学を用いたEG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の2D SIXSパターンを示す。図9Bは、透過幾何学を用いた3%EGを添加したPEDOT:PSS薄膜の2D SIXSパターンを示す。
図10は、EG添加なしのPEDOT:PSS薄膜の電気伝導度σを温度の関数としてプロットしたものを示す。
図11Aは、自作のゼーベック係数測定システムを示す。図11Bは、その試料ホルダーを示す。
以上のように、150℃30分の熱処理のみのシンプルな工程で熱電材料を得ている。また、得られた有機膜の構造はX線回折で評価し、150℃30分の処理が、結晶配向性を有する構造を得るのに最適であることを見いだした。この様にシンプルな処理でできることは本発明の特徴である。また、X線回折により構造解析し、エチレングリコールの効果を精密に評価した前例はない。
元々、エチレングリコールを入れると電気伝導度が向上することが知られていたが、その理由は明らかになっていなかった。Clevios PH1000は、PEDOT:PSSが分散された水溶液であるが、単純な乾燥のみで固体のPEDOT:PSSを得た場合、水の蒸発は比較的早く得られた有機固体膜の結晶構造が十分にそろわないことが考えられる。一方、沸点が197.3℃(水のほぼ2倍)であるエチレングリコールは、水に比べてゆっくり蒸発することで結晶構造をそろえる時間が得られると考えられる。そして、上記の通り、X線回折で得られた膜の構造を評価し、結晶配向性と電気伝導度に相関があることを明らかにした。そして、エチレングリコールの添加量が、5%ではなく3%以上で十分効果があることを見いだした。Clevios PH1000は水溶液であり、ほとんどが水でPEDOT:PSSは数%程度含まれるだけである。その数%のところに5%であるか3%で十分であるのかを明らかにしたのは本発明の特徴と言える。
本発明は、有機半導体膜の構造を精密に制御する技術を構築し、電気伝導度、ゼーベック係数、ZTの値をともに大きくできたことが特徴である。さらに、本発明では自立膜(フリースタンディング膜)を得て、密度も実測し、熱伝導率を測定により求めている。本発明における大きなZTの値は、すべて実測値であることが特徴である。
次に、図12に示すように、水分が有機熱電材料の特性を変化させる可能性があることがわかる。図12は、PEDOT:PSSを相対湿度60%中に保持した場合の、PEDOT:PSSの重量変化を示したものである。図12からわかるように、重量変化前から30%の重量増加が認められる。これはフィルム中に水分が存在するためである。なお、フィルムの膜高を測定したところ、膜厚も30%増加していた。
図13Aおよび図13Bは、相対湿度を変化させたグローブボックス中での測定結果を示す。図13Aは、電気伝導度の測定結果を示す。また、図13Bは、熱拡散率の測定結果を示す。図13Aに示すように、電気伝導度は、湿度とともに増加し、特性向上につながることがわかった。また、図13Bに示すように、熱拡散率は、湿度ではほとんど変化が認められず、特性低下にはつながらないことがわかった。
図14Aおよび図14Bは、有機熱電材料についてのΔV/ΔTのグラフを示す。グラフの傾きから、ゼーベック係数Sが求まる。図14Aおよび図14B中、「1」が示すグラフは、相対湿度30%(水分量9.114g/m3)温度30℃の場合の変化を示す。また、「2」が示すグラフは、相対湿度50%(水分量15.19g/m3)温度30℃の場合の変化を示す。測定の信頼性は、右グラフの直線性の善し悪しで決まるが、図14Aおよび図14Bに示すグラフは直線性がよいことがわかる。図14Aは、温度範囲が大きく取れて変化がわかりやすいT=30℃(303K)で比較した。各グラフからゼーベック係数を求めると、相対湿度30%(温度30℃)の場合はS=14μV/Kである。また、相対湿度50%(温度30℃)の場合はS=33μV/Kであり、相対湿度30%(温度30℃)の場合のゼーベック係数よりも大きい値となる。図14Bは、T=40℃(313K)で比較した。相対湿度50%(温度40℃)の場合はS=15.6μV/Kである。また、相対湿度50%(温度40℃)の場合はS=48.4μV/Kである。図13Aおよび図13Bから電気伝導度を800S/cmとし、熱伝導率は拡散係数が変化しないことから0.18W/mKとして計算すると、ZTの最大値は、相対湿度50%で温度40℃の時に0.33となり、世界最高値レベルであった。水分量を制御することにより、性能はさらに向上することも期待できる。なお、これらの値は、図14Cに示す表にまとめて記す。
図14A〜図14Cに示す測定では、水分によりゼーベック係数Sと電気伝導度σは増大することがわかる。また、温度が高い方が(303Kより313Kの方が)ゼーベック係数が大きい値となることもわかる。κは直接測定できないが、κ=(熱拡散係数)×(比熱)×(密度)であり、熱拡散係数が変化していないことから、結論として、水によりZTの値が増大することがわかる。
次に、本実施形態における熱電素子とモジュールの作製について説明する。モジュールの作製にあたっては、モジュール全体の内部抵抗(インピーダンス)を低くすることが求められる。また、電圧を大きくするには素子を直列でつなぐことが考えられるが、直列のみでは接続された素子のうち1箇所破損するだけで使用できなくなるため、本実施形態におけるモジュールでは、抵抗値を下げるためにも直接接続と並列接続を併用している。図15A〜図15Dに、本実施形態における熱電素子の概略構成図と作製手順を示す図を示す。1本のPEDOT:PSS素子は、長いほど大きな温度差を達成できるが抵抗も大きくなる。そして、素子の厚さを大きくすると抵抗を小さくすることができる。例えば、本実施形態では、一例として、長さ40mm、幅2mm、厚さ30μmとし、1本のPEDOT:PSS素子の抵抗値を20Ω以下とした。ここで、厚さ30μmのPEDOT:PSS素子を作製するためには、PEDOT:PSS水溶液を5mmの高さにする必要がある。そこで、型枠を用いてPEDOT:PSS水溶液を流し込み、流し込んだ水溶液を暖めて水分を蒸発させ、有機熱電フィルムを作製した。
図15B〜図15Dに示すように、(1)型枠にPEDOT:PSS水溶液を流し込む。次いで、(2)PEDOT:PSS水溶液を70℃で36分間暖め、ある程度水分を蒸発させる。そして、(3)型枠を取り外し、さらに工程(2)により得られたPEDOT:PSS水溶液を150℃で20分間暖め、溶媒を完全に蒸発させる。この結果、有機熱電フィルムが得られる。ここで、工程(2)において完全に溶媒を蒸発させると、水溶液が型枠に固着しフィルムが破損するため、上記の通り、PEDOT:PSS水溶液が生乾き状態で型枠を取り外す。
本実施形態における有機熱電フィルムの作製における処理温度および処理時間は、基材に厚紙、型枠にステンレスを用いた場合の最適条件である。したがって、基材および型枠の材質により各条件は異なり、処理温度により処理時間も異なる。「150℃30分」の熱処理は、PEDOT:PSS単体の作製条件であり、素子を作製する場合には、その方法によって温度を「125〜200℃」の範囲から選択し、その上で処理時間を決める。
また、本実施形態においては、材料(PEDOT:PSS)を基材(紙など)上に作製する際に、さらに水蒸気処理などを行って材料中に水分を保有させることで、材料の含有水分量を調整して材料の特性を向上させることも可能である。水蒸気処理などを行う際の雰囲気条件(湿度、温度、保持時間など)は、材料形状などに応じて適宜変更する。そして、例えば、水蒸気処理などを行った素子や基材に対して封止処理などを施す。封止処理などを施すことで、素子や基材の含有水分の蒸発を抑制することができる。また、有機半導体では、微量の水分量変化で特性が劣化する可能性がある一方、上記の熱電素子では、含有水分が特性に好適な影響を及ぼし、含有水分が微量の変化で特性が変わるような敏感要因ではない。したがって、ラッピング(ポリ塩化ビニリデンなどの素材を用いたフィルムによって覆う)や封入(ガラスによる封入やプラスチックなどのフレキシブルな素材を用いた封入)などの封止処理により、熱電素子の性能を高く維持することが可能である。
図16Aおよび図16Bは、本実施形態における有機熱電材料を直列につないだ素子を用いて構成したモジュールの例を示す。また、図17Aおよび図17Bは、本実施形態における有機熱電材料を並列につないだ素子を用いて構成したモジュールの例を示す。なお、図16B中に示す「(a)」は図16A中に示す「(a)」を指す。また、図17B中に示す「(b)」は図17A中に示す「(b)」を指す。図16Aおよび図16Bに示すモジュールを作製する場合、まず、有機熱電材料を直列につないだ素子(図16A中(a))を作製する。次に、有機熱電材料を直列につないだ素子(図16B中(a))を複数作製し、これらを並列に接続したユニット(図16B中(c))を作製する。そして、作製したユニットを必要な数だけ直列につなぐことで本実施形態における有機熱電材料を使用したモジュール(図16B中(e))が完成する。
また、図17Aおよび図17Bに示すモジュールを作製する場合、まず、有機熱電材料を並列につないだ素子(図17A中(b))を作製する。次に、有機熱電材料を並列につないだ素子(図17B中(b))を複数作製し、これらを直列に接続したユニット(図17B中(d))を作製する。そして、作製したユニットを必要な数だけ並列につなぐことで本実施形態における有機熱電材料を使用したモジュール(図17B中(f))が完成する。
図18Aおよび図18Bには、本実施形態における有機熱電材料を用いて作製した素子の一例を示す。図18Aに示すように、紙基材上にPEDOT:PSSを塗布する。図18Aに示す例では、紙基材上にPEDOT:PSSを長さ40mm、幅2mm、厚さ30μmにて11本一定間隔で塗布している。そして、図18Bに示すように、紙基材上に塗布したPEDOT:PSSを、導電銀ペーストを用いて、直列に接続する。図19に、このように作製した熱電素子の上下(紙基材の表裏)を熱伝導の良好な銅板で挟み、各素子を互いに接続して作製したモジュールを示す。図19に示すモジュールは、10並列×30直列、すなわち素子数300枚で構成されている。この場合、ΔT=50Kにおいて50〜100μWの出力が得られた。
図20は、本実施形態に係る熱電材料の作製時の熱処理工程における、熱処理温度と電気伝導度の関係を示す。図20に示すように、125℃以下では、作製される熱電材料の電気伝導度が低下する傾向があることがわかる。また、200℃以上では、PEDOT自体が分解する。したがって、本実施形態においては、熱電材料の作製時の熱処理工程における適正な熱処理温度は、125℃〜200℃とすることが好ましい。そして、この適正な熱処理温度においては、上記の熱処理工程を5分以上継続して行えば、水溶液中の水およびEGをある程度蒸発させることができる。したがって、本実施形態における熱処理工程の処理時間としては、5分以上が好ましい。水溶液中の水およびEGの蒸発をより確実に行う上では、当該熱処理工程の処理時間を30分以上とするのが、より好ましい。
なお、熱処理(アニーリング)工程は、PEDOT:PSS水溶液(EGを含む)を蒸発させてフィルムを作製する工程である。そして、得られるフィルムの構造を整列させる、すなわち構造を制御するには、熱処理を徐々に進めることが求められる。つまり、沸点が水(100℃)よりも高いEGを添加したPEDOT:PSS水溶液を熱処理することで、EGが水よりゆっくり蒸発し、得られるフィルムの構造が整列する。これにより、フィルム内のキャリア移動度が上昇し、電気伝導度が向上する。ただし、熱処理温度を低下させすぎると、EG(沸点:197℃)が蒸発しにくくなる。そこで、本実施形態において、より好ましくは、熱処理温度を150℃程度としている。また、熱処理工程における処理時間については、製造工程上の効率を考慮すると、12時間以内が望ましい。
また、本実施形態において、PEDOTの代わりに導電性高分子を用いることも可能である。この導電性高分子としては、ポリイミドやポリアニリンが挙げられる。また、PSSの代わりにトシレート(TOS)、塩素(Cl)、過塩素酸塩(ClO4)などを用いることも可能である。熱電材料の作製にPEDOTを用いる場合は、PSSを用いるのが、安定してかつ分散も良好である点から好ましい。
さらに、本実施形態において、PEDOTを水溶液として用いる点を踏まえ、エチレングリコール(EG)の代わりに、誘電率の高い物質を用いることも可能である。代替物質としては、例えば、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、イソプロパノールが挙げられる。ここで、誘電率に注目すれば、エタノールやイソプロパノールも採用できるが、エタノールは沸点が78℃(なお、引火点は13℃)、イソプロパノールは沸点が82.4℃(なお、引火点は11.7℃)であるため、上記のフィルムの構造制御効果を期待することができない。また、DMSOは沸点が189℃(なお、引火点は87℃)であるため、EGと同様の構造制御効果を得ることができる。ただし、DMSOは、人体の皮膚への浸透性が高いことを踏まえて取り扱う必要がある。この点、EGは、例えば不凍液などにも使用されるように、熱処理を行う作業者にとって、上記の代替物質に比べて取り扱いやすい物質であると言える。
太陽電池(光だけでなく未利用熱を電気に変換する)、人体に装着する機器(ペースメーカー、腕時計など)の電源の他、種々の低温未利用排熱(200℃以下)を電気として回収する省エネルギー分野に利用できる。

Claims (9)

  1. ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸(PSS)と、溶媒としてエチレングリコールとジメチルスルホキシドとからなる群から選ばれる物質と、を含む材料から、熱処理温度が125℃〜200℃であり熱処理時間が5分〜12時間である熱処理工程と、
    前記熱処理工程の後に、前記材料中に水分を保有させる工程と
    を含む熱電材料の製造方法
  2. 前記溶媒は、3重量%以上の添加量となるエチレングリコールであることを特徴とする請求項に記載の熱電材料の製造方法
  3. 前記熱処理温度が150℃であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電材料の製造方法
  4. 前記熱処理時間が少なくとも30分以上であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法
  5. 前記材料中に水分を保有させる処理を行った後に前記材料を封止する処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法
  6. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法により得られる熱電材料を、p型材料およびn型材料のいずれか一方単独で用いて作製したことを特徴とする熱電モジュールの製造方法
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法により得られる熱電材料を、p型材料およびn型材料を組み合わせて作製したことを特徴とする熱電モジュールの製造方法
  8. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法により得られる熱電材料が基材上に直列に接続された素子、複数個並列に接続てユニット形成、前記ユニット複数個直列に接続ることを特徴とする熱電モジュールの製造方法
  9. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の熱電材料の製造方法により得られる熱電材料が基材上に並列に接続された素子、複数個直列に接続てユニット形成、前記ユニット複数個並列に接続ることを特徴とする熱電モジュールの製造方法
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