JP5967609B2 - 遠心ファンの成形型 - Google Patents
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このような遠心ファンを樹脂で成形する場合、羽根の間隙の位置に単位成形型を挿入して、羽根を成形していた。このような遠心ファンを一体成形する場合、羽根の間隙(遠心ファンの流体導入路)を単位成形型で成形した後、中心側が高いので、単位成形型が抜けない問題点があった。
このような問題を解決するために、出願人は、単位成形型を第1スライドコアと第2スライドコアとに分割させ、成形後に一方のスライドコアのみを後退させて、その後、他方のスライドコアを後退させることにより、樹脂一体成形を実現させていた(特許文献1)。
各単位金型は通常、対応する1つのアクチュエータ(油圧シリンダー等)によって求心状、放射状に移動させており、とりわけ成形型が大きい場合(成形する遠心ファンが大きい場合)、遠心ファンの回転軸(中心)が水平方向になるように成形型が構成されるので、成形型で、下側に位置する単位成形型と上側に位置する単位金型の動作を確実に一致させる必要があった。
(1) 成形される遠心ファンは以下のような構成とする。
(a) 前記羽根は、外周側の端縁は高さH1で形成され、内周側に向けて徐々に高さを大きくして、中心側の端縁は高さH2(>H 1 )で形成される。
(b) 前記羽根の高さに応じて前記第1円板と第2円板の間隙は外周側でH1、内周側でH2、で形成される。
(c) 前記各羽根の内周側と外周側とを結ぶ線P1は、その羽根の内周側と中心とを結ぶ線P0に対して傾斜して形成される。
(2) 前記成形型は、成形予定の隣接する羽根の間隙に挿入できる成形部を有する単位金型が、前記間隙の数に応じて等間隔環状に配置され、隣接する前記単位金型を連結する連結部材とを含む構成とする。前記単位金型は、求心側の第1位置と放射側の第2位置をとることができる。
かつ、前記第1位置で、前記単位金型は前記成形部を成形予定の隣接する2枚の羽根の間の間隙に嵌挿し、間隙に面する前記両羽根の側壁及び第1円板羽根側の面、第2円板の羽根側の面を成形する。かつ前記第2位置で、前記単位金型は、前記間隙から略放射状に後退して、前記間隙から離れることができる。
(3) 前記単位金型は、第1単位金型と第2単位金型とからなり、前記第1単位金型の成形部が前記第1円板側成形でき、前記第2単位金型の成形部が前記第2円板側を成形でき、前記第1単位金型の成形部の側面と前記第2単位金型の成形部の側面とが協働して、前記羽根の側壁を成形できる。
(4) 前記第1単位金型と前記第2単位金型とを一体に移動させる駆動手段を有する。
(5) 前記駆動手段は、前記第1単位金型の成形部が、前記第2単位金型の成形部に対して、相対的に先行して放射状に移動させ、かつこの状態で、前記第2単位金型の成形部の先端側が、移動前の前記第1単位金型の成形部付近に位置させることができるような制御手段を設けた。
(6) 隣接する各前記単位金型の間に、総ての前記単位金型が同時に作動するように案内する前記連結部材をそれぞれ配置して、前記連結部材を、互いにピン接続された第1連結杆および第2連結杆から構成した。
(1) 各単位金型の求心方向放射方向の移動方向をR方向とする。
(2) 各単位金型で、隣接する単位金型側に、それぞれ第1連結杆、第2連結杆の一端部を回転自在に連結する。
(3) 隣接する単位金型の間隙で、一方の単位金型の第1連結杆の他端部と他方の単位金型の第2連結杆の他端部とを回転自在に連結して、連結点とする。
(4) 前記単位金型で、第1連結杆の一端部を連結した位置と第2連結杆の一端部を連結した位置とを、R方向で異なる位置とした。
(1) 各単位金型の求心方向放射方向の移動方向をR方向とする。
(2) 各単位金型で、隣接する単位金型側に、それぞれ第1連結杆、第2連結杆の一端部を回転自在に連結する。
(3) 隣接する単位金型の間隙で、一方の単位金型の第1連結杆の他端部と他方の単位金型の第2連結杆の他端部とを回転自在に連結して、連結点とする。
(4) 第1状態、第2状態の前記連結点の移動軌跡を直線Tとすると、直線Tを、隣あう直線R、Rから等距離となるように形成する。
(5) 前記第1連結杆と前記第2連結杆とを同じ長さとする。
第1円板11で、羽根3側の面を内面11a、他側を外面11bとする。同様に、第2円板15で、羽根3側の面を内面15a、他側を外面15bとする。
また、各羽根3の側壁6は、一側6a側に凸(他側6b側に凹)となるように若干湾曲して形成され、外周付近で、湾曲方向と反対側に若干屈曲してある(図1(c))。
(a)成形予定の遠心ファン1の道入路20の位置に配置して、導入路20を構成する「隣接する羽根3、3の側壁6、6、第1円板11の内面11a、第2円板15の内面11b」を成形するための単位金型30、30と、
(b)第1円板11の外面11b及び開口13、第2円板15の外面15b及び開口18、などを成形するその他の各金型(図示していない)。と、
(c)各金型を操作する駆動部(図示していない)と、
を配置して構成する(図2〜図5)。
なお、単位金型30は、成形予定の遠心ファン1の各導入路20、20の放射側に位置する「第1円板11の外周縁12、第2円板15の外周縁16」の当該部分も成形する。したがって、全部の単位金型30、30が協働して「第1円板11の外周縁12、第2円板15の外周縁16」を成形する。
また、成形予定の遠心ファン1の中心10が位置する成形型60の位置を、成形型60の中心63とする。
(a)中心63(成形予定の遠心ファン1の中心10側)側に向かって突き出して、導入路20を成形する「第1位置」
(b)中心63(成形予定の遠心ファン1の中心10)側から放射側に後退して、成形部34、42が成形予定の導入路20から待避する「第2位置」をとることができる。
また、各単位金型30の直線移動方向を軸Rとすると、軸Rの方向は、成形予定の遠心ファン1の羽根3(導入路20)の傾斜θ1に対応して傾斜して設定される。即ち、軸Rは、成形金型60の中心60の中心63(成形する遠心ファン1の中心10)を通らず、中心付近(中心付近の仮想円(図示していない))を通過することになる(図2)。
第1単位金型31は、直接に遠心ファンの成形に寄与する成形部32とその他の基部36とからなり、第2単位金型41は、直接に遠心ファンの成形に寄与する成形部42と基部46とからなり、第1単位金型31の基部38が単位金型基部50に連結される。
第2単位金型41の基部46は、成形部42側に開口47aを形成した枠状の基部本体47と、基部本体47の開口47aの成形部42側の上方に位置する可動部48とからなる。可動部48は先端に成形部42が一体に連設され、可動部48は、基部本体47で成形部42側の端部にピン49周りに回転自在に取り付けてある(図5)。
第1単位金型31の基部36は、第2単位金型41の基部本体48の開口47a内に収納され、図4の矢示67、66方向に、開口47a内を、擦るように移動可能となっている。また、基部36で、図5の下方で単位金型基部50に連結されている。
また、第2単位金型41の基部本体48には、第1単位金型31の基部36が開口47a内に収容され、措定位置に来た状態で作動するストッパーを設けてある(図示していない)。
また、第1成形金型31(基部36)のみが、第2形成金型41(基部本体47)に対して、放射状に移動する状態をB状態、B状態で、さらに、第2単位金型41の可動部48がピン周りに会同して、第2単位金型の成形部42の先端42aが図5で下がった状態をC状態とする。
また、成形状態(A状態)では、第1単位金型31の成形部32の上に(図5で上下方向に)、第2単位金型41の成形部42が重なって、成形部32、42の先端32a、42aを合わせた高さ(上下方向)はH2になり(図1(b))、単位金型30の先端は最も高い(図5の上下方向で)状態となる(図5(a))。
また、後退状態(C状態)で、第1単位金型31のみが後退して、第2単位金型41の成形部42が傾斜して下方に下がった状態になり、成形部42(成形部31はさらに下に位置している)は、高さがH1よりも低くなり(図1(b))、単位金型30の成形部は最も低い状態となる。
各単位金型30で、第2単位金型41の基部本体47の基端側(放射側)の一側に、第1連結杆23の一端部を、ピン23aで取りつけ、第2単位金型41の基部本体47の基端側(放射側)の他側に、第2連結杆24の一端部を、ピン24aで取りつける。隣接する単位金型30、30で、第1連結杆23の他端部と第2連結杆24の他端部を連結ピン25で連結する。連結ピン25は、成形型60のハウジング61に設けた放射状の案内長穴(溝)26に連結される(図2)。なお、案内長穴26は無くても良い。
また、ピン24aの位置は、ピン23aより放射側に位置しており、軸Rに直角な方向の直線S1に対して、ピン23a、ピン24aを結ぶ直線S2は角度θ2をなしており、角度θ2は、軸Rの傾斜(すなわち、成形する遠心ファン1の羽根3の傾斜θ1)に応じて設定されている(図2、図1(c))。
また、単位金型30が第1位置、第2位置を移動する際、連結ピン25の移動方向(すなわち、案内長穴26の長さ方向)を直線Tとすると、隣接する単位金型30の軸R、単位金型30の軸Rとがなす角θ10とすると、一方の軸Rと直線Tとがなす角をθ11、他方の単位金型30の軸Rと直線Tとがなす角をθ12、とすると、θ11=θ12、となる(図2)。
なお、第2単位金型41の可動部48の回動は、ストッパーの解除とは別に、作動の設定することもできる。例えば、第2単位金型41の可動部48はC状態となるように、ばね類で付勢され、A状態では、ばね類に抗しており、第1単位金型31の成形部32の移動にしたがって、徐々に回動するように構成することもできる。
したがって、第2単位金型41の成形部42(当然、第1単位金型31の成形部32も)は、成形した遠心ファン1(導入路20)から放射状に抜けることができる(図5(d)、図4(d)、図2)。この状態をD状態、第2位置とする。
したがって、導入路20の求心側が広い遠心ファン1では、従来は第1円板11(または第2円板15)に羽根3、3が一体に成形して、他方の第2円板15(または第1円板11)を接着して製造するしかなかったが、このように第1単位金型31と第2単位金型41とに分割して作動させれば、一体性成形の遠心ファン1を容易に連続して成形できる(図1)。
また、矢示67方向(軸Rに沿って放射側)に移動する単位金型30、30の自重の分散が平均化されて、局部的に単位金型30が激しく摩耗することが回避され、油圧シリンダー52(アクチュエーター)の動きを整順化させることができた。よって、動きが滞ることなく円滑な単位金型30、30の動きを実現でき、生産性が向上できた。
すなわち、第1単位金型31が後退して、第2単位金型41の可動部48及び成形部42が傾斜したD状態(図4(d)、図5(d)、図2))から、油圧シリンダー52を作動させると、ピストンロッド53が矢示66方向に移動し単位金型基部50および第1単位金型31の基部36も矢示66方向に移動し、ストッパーが解除されているので、第2単位金型41も、これと一体に矢示66方向に移動する。
第2単位金型42の成形部42の先端42aが成形位置に至ったC状態((図4(c)、図5(c)、図3(c))で、ストッパーが作動して、油圧シリンダー52を作動させると、ピン49周りに第2単位金型41の可動部48が回動して戻り、B状態となる((図4(b)、図5(b)、図3(b))。また、この状態で、引き続きピストンロッド53が矢示66方向に移動し、ストッパーが作動しているので、第2単位金型41は静止した状態で第1単位金型31のみが、矢示66に移動して、第2単位金型41の成形部42の下に、第1単位金型31の成形部32が重なり、成形状態となる(A状態。第1位置。図4(a)、図5(a)、図3(a))。この状態で、第1単位金型31の成形部32の先端32aと第2単位金型41の成形部42の先端42aとが一致して、高さH2、である。
この状態で他の金型(図示していない)も組み立てて、ヘッダー(図示していない)から樹脂を注入して、遠心ファン1を成形する。
ピン23aと連結ピン25との距離>ピン24aと連結ピン25との距離
とすることもできる(図示していない)。
3 遠心ファンの羽根
4 羽根の内周縁
4a 羽根の外周縁
5 羽根の下面
5a 羽根の上面
6 羽根の側壁
10 遠心ファンの中心(成形型の中心)
11 遠心ファンの第1円板
11a 第1円板の内面
11b 第1円板の外面
12 第1円板の外周縁
13 第1円板の開口
15 遠心ファンの第2円板
15a 第2円板の内面
15b 第2円板の外面
16 第2円板の外周縁
17 第2円板の内周縁
18 第2円板の開口
20 遠心ファンの導入路
22 連結部材
23 第1連結杆(連結部材)
23a ピン
24 第2連結杆(連結部材)
24a ピン
25 連結ピン(連結点)
30 単位金型
31 単位金型の第1単位金型
32 第1単位金型の成形部
32a 第1単位金型の成形部の先端
33 第1単位金型の成形部の上面
34 第1単位金型の成形部の下面
35、35a 第1単位金型の成形部の側面
36 第1単位金型の基部
37 第1単位金型の基部操作突起
41 単位金型の第2単位金型
42 第2単位金型の成形部
42a 第2単位金型の成形部の先端
43 第2単位金型の成形部の上面
44 第2単位金型の成形部の下面
45 第2単位金型の成形部の側面
46 第2単位金型の基部
47 基部の基部本体
47a 基部本体の開口
48 基部の可動部
49 ピン
50 単位金型基部
52 油圧シリンダー(駆動装置。アクチュエーター)
53 油圧シリンダーのピストンロッド
60 成形型
61 成形型のハウジング(基台)
63 成形型の中心
Claims (3)
- 中心の周辺部から略放射状に配置した多数の羽根を、前記中心を合わせた第1円板と第2円板とで挟んだ構造の遠心ファンを、樹脂で一体成形するための金型であって、以下のように構成したことを特徴とする遠心ファンの成形型。
(1) 成形される遠心ファンは以下のような構成とする。
(a) 前記羽根は、外周側の端縁は高さH1で形成され、内周側に向けて徐々に高さを大きくして、中心側の端縁は高さH2(>H 1 )で形成される。
(b) 前記羽根の高さに応じて前記第1円板と第2円板の間隙は外周側でH1、内周側でH2、で形成される。
(c) 前記各羽根の内周側と外周側とを結ぶ線P1は、その羽根の内周側と中心とを結ぶ線P0に対して傾斜して形成される。
(2) 前記成形型は、成形予定の隣接する羽根の間隙に挿入できる成形部を有する単位金型が、前記間隙の数に応じて等間隔環状に配置され、隣接する前記単位金型を連結する連結部材とを含む構成とする。前記単位金型は、求心側の第1位置と放射側の第2位置をとることができる。
かつ、前記第1位置で、前記単位金型は前記成形部を成形予定の隣接する2枚の羽根の間の間隙に嵌挿し、間隙に面する前記両羽根の側壁及び第1円板羽根側の面、第2円板の羽根側の面を成形する。かつ前記第2位置で、前記単位金型は、前記間隙から略放射状に後退して、前記間隙から離れることができる。
(3) 前記単位金型は、第1単位金型と第2単位金型とからなり、前記第1単位金型の成形部が前記第1円板側成形でき、前記第2単位金型の成形部が前記第2円板側を成形でき、前記第1単位金型の成形部の側面と前記第2単位金型の成形部の側面とが協働して、前記羽根の側壁を成形できる。
(4) 前記第1単位金型と前記第2単位金型とを一体に移動させる駆動手段を有する。
(5) 前記駆動手段は、前記第1単位金型の成形部が、前記第2単位金型の成形部に対して、相対的に先行して放射状に移動させ、かつこの状態で、前記第2単位金型の成形部の先端側が、移動前の前記第1単位金型の成形部付近に位置させることができるような制御手段を設けた。
(6) 隣接する各前記単位金型の間に、総ての前記単位金型が同時に作動するように案内する前記連結部材をそれぞれ配置して、前記連結部材を、互いにピン接続された第1連結杆および第2連結杆から構成した。 - 以下のように構成したことを特徴とする請求項1記載の遠心ファンの成形型。
(1) 各単位金型の求心方向放射方向の移動方向をR方向とする。
(2) 各単位金型で、隣接する単位金型側に、それぞれ第1連結杆、第2連結杆の一端部を回転自在に連結する。
(3) 隣接する単位金型の間隙で、一方の単位金型の第1連結杆の他端部と他方の単位金型の第2連結杆の他端部とを回転自在に連結して、連結点とする。
(4) 前記単位金型で、第1連結杆の一端部を連結した位置と第2連結杆の一端部を連結した位置とを、R方向で異なる位置とした。 - 以下のように構成したことを特徴とする請求項1記載の遠心ファンの成形型。
(1) 各単位金型の求心方向放射方向の移動方向をR方向とする。
(2) 各単位金型で、隣接する単位金型側に、それぞれ第1連結杆、第2連結杆の一端部を回転自在に連結する。
(3) 隣接する単位金型の間隙で、一方の単位金型の第1連結杆の他端部と他方の単位金型の第2連結杆の他端部とを回転自在に連結して、連結点とする。
(4) 第1状態、第2状態の前記連結点の移動軌跡を直線Tとすると、直線Tを、隣あう直線R、Rから等距離となるように形成する。
(5) 前記第1連結杆と前記第2連結杆とを同じ長さとする。
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