JP5962077B2 - 高炉鉄源原料の製造方法 - Google Patents

高炉鉄源原料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5962077B2
JP5962077B2 JP2012049127A JP2012049127A JP5962077B2 JP 5962077 B2 JP5962077 B2 JP 5962077B2 JP 2012049127 A JP2012049127 A JP 2012049127A JP 2012049127 A JP2012049127 A JP 2012049127A JP 5962077 B2 JP5962077 B2 JP 5962077B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sintered ore
aqueous solution
blast furnace
metal salt
sinter
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012049127A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013185168A (ja
Inventor
崇博 平戸
崇博 平戸
隆英 樋口
隆英 樋口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2012049127A priority Critical patent/JP5962077B2/ja
Publication of JP2013185168A publication Critical patent/JP2013185168A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5962077B2 publication Critical patent/JP5962077B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Manufacture Of Iron (AREA)

Description

本発明は、耐還元粉化性に優れ、かつ、高炉炉頂温度の低下を防ぐことのできる高炉鉄源原料の製造方法に関する。
高炉において使用されている、高炉鉄源原料である焼結鉱は、高炉シャフト部の400〜600℃の比較的低温域において著しい粉化現象を起こし、そのため、高炉内のガス通気性を阻害して高炉炉況を悪化させる原因となっている。そのため高炉内の塊状帯の550℃付近でヘマタイトがマグネタイトに還元される際の粉化を想定した還元粉化試験が日本工業規格M8720、或はISO4696−2において規定され、特性を表す品質指標は還元粉化指数(Reduction Degradation Index)(RDI)として指数化されている。
従来から、焼結鉱の耐還元粉化性や被還元性を改善するための技術が検討されてきたが、これらは、焼結鉱の粒度や配合などを調整する方法や、焼結装置での焼成方法に関するものが主体であった。
これに対して、焼結鉱に後処理を施して上記の品質を改善する方法も試みられている。例えば、焼結鉱にハロゲン化水溶液を散布することにより耐還元粉化性が改善することは知られており、非特許文献1では塩化カルシウム水溶液を用いてその機構を解明している。また特許文献1や特許文献2には、塩化物を含む水溶液を焼結鉱に散布するか或いはこれに浸漬することにより、その周りに塩化物の皮膜を形成し、耐還元粉化特性を改善する方法が提案されている。また、特許文献3には、炭素を含有する流体として、加熱したタール、粉コークススラリー或いは微粉炭スラリーを焼結鉱に散布するか或いはこれに浸漬することにより、その開気孔に炭素含有物質を充填し、耐還元粉化性と被還元性を同時に改善する方法が提案されている。また、特許文献4には、鉄鉱石または焼結鉱などの表面を有機高分子化合物の皮膜で被覆し、表面に存在する開気孔を有機高分子化合物により充填閉塞することにより、還元粉化が起こる低温域での還元ガスとの反応を抑制して還元粉化を防止すると共に、高温域では有機高分子化合物の炭素分により還元反応を促進する方法が提案されている。
ところで、良質の塊鉱石の枯渇傾向に伴い、現在では高炉に装入される高炉用鉄源原料のうち、焼結鉱等の処理鉱が占める比率が高くなっている。ここで現状の焼結鉱のSiO含有率は塊鉱石に比較して高いため、高炉用鉄源原料における焼結鉱比率の上昇にともない高炉スラグ量が増加し、高炉還元材比およびスラグ処理費の増大を招いていた。
また焼結鉱の還元性や高温性状を改善する方法としては、焼結鉱中のスラグ量、従ってSiO含有率を低減することが効果的であることが知られている。但し、耐還元粉化性は悪化するという、互いに相反する関係にあり、両者を同時に改善することは困難である。
従来から、省資源の観点から高炉還元材比およびスラグ比低減のニーズが高まっており、特許文献5、6に記載されているような含MgO副原料としてマグネサイト及びブルースタイトの内の一方又は両方を用いて焼結鉱SiO含有率を下げる試みが提案されている。
ところで、最近の高炉操業では、低還元材比(低RAR)となる操業が強力に推進されている。還元材比(RAR)とは、「Reduction Agent Ratio」の略であり、銑鉄1t製造当たりの、微粉炭、廃プラ、LNG、重油などの吹き込み還元材と炉頂から装入されるコークス(還元材)との合計量を意味する。
特開昭59−104437号公報 特開昭63−145724号公報 特開2000−73127号公報 特開2009−19252号公報 特開2000−178659号公報 特開2001−294945号公報
田口昇、大友崇穂、田阪興、大森康男 「鉄と鋼」73、1987年、p.1909−1915
特許文献1や特許文献2にあるような塩化物を用いる方法では、高炉内に塩素が増え、高炉のレンガの損傷を早めたり、高炉ガス中に混入した塩素が高炉ガス処理装置のガス通路に付着して閉塞を生じさせたり、或いは腐食を加速させるなど、高炉操業、設備にとって好ましくない。
また、特許文献3のように、炭素を含有する流体としてタールを用いる場合は高温のタールで処理するという過酷な作業が必要であり、また、微粉炭や粉コークススラリーを用いる方法では、微粉炭や粉コークスが疎水性であるため分散性のよいスラリーを調整し、かつ、このスラリーを焼結鉱の表面に十分な量を付着させることが困難であることなどから、耐還元粉化性の向上に十分な効果が得られないなどの欠点があり、さらに有効な方法が望まれている。
特許文献4のように、有機高分子であるアクリル酸重合物、ポリビニルアルコール、アミロースで被覆を形成する場合、無機物もしくは単量体に比較し高価であるため経済性に問題がある。
更には、特許文献5、6のように、含MgO副原料としてマグネサイト及びブルースタイトの内の一方又は両方を用いて低シリカ焼結鉱を製造する場合には、マグネサイト及びブルースタイトが一般的には入手しにくい原料であるため多量の焼結鉱の製造を行うことが困難である。
現状では高炉操業に支障無き様、焼結鉱のRDIを38%以下とするために、焼結鉱中SiO2含有率は4.9mass%程度以上に留まっており、焼結鉱中SiO2含有率を下げるためにも焼結鉱の耐還元粉化性の向上は重要な課題となっている。
加えて、高炉への還元材装入量を減らすと、高炉炉頂部の温度が低下し、高炉シャフト上部においては装入物の昇温が遅れ、亜鉛化合物などの壁付きによる炉況不調が生じてしまう。さらに、炉頂温度が100℃を割り込む場合には、排ガス中の水分が配管内に凝縮する等の問題が生じる。高炉への装入原料の付着水分は、炉頂温度に影響する主な因子の一つであり、付着水分が1質量%増加することにより炉頂温度が25℃低下することから、装入原料の水分含有率(質量%)を低位に保つことは高炉操業において重要な管理項目となっている。ところが、焼結鉱の耐還元粉化性を向上させるために、前述のように焼結鉱に後処理を施すと、後処理が施された焼結鉱の水分含有率が増加してしまう。このため、焼結鉱の耐還元粉化性を向上させつつ、焼結鉱の水分含有率が抑えることがもう1つの重要な課題となっている。
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、耐還元粉化に優れ、かつ、高炉内の温度低下を防ぐことのできる高炉鉄源原料の製造方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)焼結機で焼成して得られる焼結鉱を焼結クーラーで冷却して、該焼結クーラーから排出された前記焼結鉱を搬送装置により高炉に直送する間に、前記焼結鉱に、カルシウムとマグネシウムのグループから選択された少なくとも一つの金属と、酢酸、炭酸、硝酸のグループから選択された少なくとも一つの酸との組合せで得られる金属塩の水溶液を散布し、前記焼結鉱の高炉到着時の水分含有率が0.3質量%以下である高炉鉄源原料を製造することを特徴とする高炉鉄源原料の製造方法。
(2)前記金属塩の水溶液を搬送中の前記焼結鉱に散布する搬送位置での前記焼結鉱の温度は80℃以上120℃以下の範囲にあり、搬送中の前記焼結鉱に散布する前記金属塩の水溶液の量が0.001t/t−焼結鉱以上0.025t/t−焼結鉱以下であることを特徴とする上記(1)に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
(3)前記焼結クーラーから排出後10分以内に、搬送中の前記焼結鉱に前記金属塩の水溶液を散布することを特徴とする上記(1)または上記(2)に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
(4)搬送中の前記焼結鉱に前記金属塩の水溶液を散布した後であり、前記搬送装置の乗り継ぎ部を経た後に、更に少なくとも1回、搬送中の前記焼結鉱に、前記金属塩の水溶液を散布することを特徴とする上記(1)ないし上記(3)のいずれか1つに記載の高炉鉄源原料の製造方法。
(5)前記搬送装置の乗り継ぎ部において、前記焼結鉱に、前記金属塩の水溶液を散布することを特徴とする上記(1)ないし上記(4)のいずれか1つに記載の高炉鉄源原料の製造方法。
(6)前記焼結鉱1tに対して付着させる前記金属塩の量が0.1モル以上30モル以下の範囲であることを特徴とする上記(1)ないし上記(5)のいずれか1つに記載の高炉鉄源原料の製造方法。
本発明によれば、有機高分子等の高価な材料やマグネサイト及びブルースタイト等の入手し難い原料を使用することなく、経済的に、高炉内での焼結鉱の還元粉化を防止しつつ、更には、焼結鉱の水分含有率が抑えることによって、高炉の生産性を高めることが可能となる。
SiO含有量が5.1mass%である焼結鉱へのカルシウム塩の付着量に対するRDIの変化を示すグラフ。 SiO含有量が5.1mass%である焼結鉱へのマグネシウム塩の付着量に対するRDIの変化を示すグラフ。 SiO含有量が4.9mass%である焼結鉱へのカルシウム塩の付着量に対するRDIの変化を示すグラフ。 SiO含有量が4.9mass%である焼結鉱へのカルシウム塩の付着量に対するRIの変化を示すグラフ。 SiO含有量が4.6mass%である焼結鉱への硝酸カルシウムの付着量に対するRDIの変化を示すグラフ。 SiO含有量が4.6mass%である焼結鉱への硝酸カルシウムの付着量に対するRIの変化を示すグラフ。 本発明の一実施形態における高炉鉄源原料(水分含有率調整焼結鉱)の製造フローの概略図である。 本発明の製造方法の一実施形態における搬送装置を示す概略説明図である。図8(a)は搬送コンベアーにより焼結鉱を搬送中に、焼結鉱の上方から金属塩の水溶液を散布する実施形態を示す図であり、図8(b)は搬送コンベアーにより搬送しながら焼結鉱の上方から金属塩の水溶液を散布し、且つ、搬送コンベアーの乗り継ぎ部において焼結鉱の上方とは別方向から金属塩の水溶液を散布する実施形態を示す図である。
本発明では高炉上部の還元粉化温度領域での焼結鉱や鉄鉱石の還元を抑制するために、表面にカルシウム、マグネシウムの内の1種以上の金属と、酢酸、炭酸、硝酸の内の1種以上の酸との組合せで得られる金属塩の水溶液を付着させる。
カルシウム、マグネシウムの内の1種以上の金属と、酢酸、炭酸、硝酸の内の1種以上の酸との組合せで得られる金属塩の水溶液は、カルシウムまたはマグネシウムの酢酸塩の水溶液、カルシウムまたはマグネシウムの硝酸塩の水溶液、カルシウムまたはマグネシウムの炭酸水素塩の水溶液のいずれかでも良いし、上記水溶液のうち2種以上の混合水溶液であっても良い。
本発明で焼結鉱の耐還元粉化性が改善する理由は、カルシウム、マグネシウムの内の1種以上の金属と、酢酸、炭酸、硝酸の内の1種以上の酸との組合せで得られる金属塩が焼結鉱の表面に付着・析出し、焼結鉱表面の気孔を塞ぎ、内部への還元ガスの拡散を妨げ還元の進行を遅らせるためであると考えられる。しかしながら、還元性に関しては、非特許文献1に記載された塩化カルシウムを焼結鉱に付着させる方法では、1000℃においても塩化カルシウムが溶融状態で焼結鉱表面にとどまるため、焼結鉱の温度が還元粉化領域を超えても還元の進行が停滞してしまうが、カルシウム、マグネシウムの内の1種以上の金属と、酢酸、炭酸、硝酸の内の1種以上の酸との組合せで得られる金属塩は800℃程度以下の温度で分解するため、還元ガスが焼結鉱内部に拡散可能となり、800℃以上の温度では比較的還元の進行が速いという特徴がある。
焼結鉱は高炉上部の400〜600℃付近の温度において還元されて焼結鉱中のヘマタイト(Fe)がマグネタイト(Fe)になる。この相変化には体積膨張を伴うため、焼結鉱中に歪またはクラックが発生して脆くなり、焼結鉱の還元粉化が盛んに起こる。
焼結鉱の表面にカルシウム塩またはマグネシウム塩を含有する溶液を付着させた後、溶媒(水分および低温揮発分)は蒸発し、カルシウム塩の結晶またはマグネシウム塩の結晶が焼結鉱表面に析出する。
焼結鉱表面に析出した金属塩(カルシウム塩またはマグネシウム塩)の結晶は、焼結鉱内部への還元ガスの気孔を通した拡散を、焼結鉱表面に面した気孔を塞ぐことにより阻害して焼結鉱内部の還元を遅らせるため、焼結鉱内部でのマグネタイトの生成量が減少し、還元粉化が抑制される。
前記析出した金属塩の結晶は還元粉化の起こる温度域よりも更に高温では分解し、容積の縮小を伴い酸化物に変化することにより、焼結鉱内部への還元ガスの気孔を通した拡散が容易となり焼結鉱内部の還元が進行するので被還元性の低下はわずかである。
ここでモル当量当たりの金属塩の体積と高温での分解後の金属酸化物の体積との比を各金属塩で比較した場合、炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩の順に大きくなり、分解に伴う容積収縮量が大きくなると考えられ、焼結鉱内部への還元ガスの気孔を通した拡散は炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩の順に従い容易になると推定される。
特に、SiO含有量が低い焼結鉱はスラグ量が少ないため通常の焼結鉱よりも被還元性が良好であり、被還元性指数(RI)が68%程度と高いが、耐還元粉化性が悪く、RDIが38%以上と高い。この耐還元粉化性を向上させるにはマグネサイト及びブルースタイト等が有効であるが、これらは入手し難い欠点がある。このようなRDIが38%以上と高い焼結鉱に本発明を適用し焼結鉱の耐還元粉化性を向上することで、本発明をより効果的に活用することができる。このような焼結鉱として、SiO含有量は4.9mass%以下である焼結鉱を用いることが好ましい。SiO含有量は4.6〜4.9mass%であることがより好ましい。
焼結鉱の被還元性に関しては日本工業規格M8713或いはISO7215において規定され、特性を表す到達還元率を被還元性指数(Reducibility Index)(RI)として指数化したものである。
カルシウム、マグネシウムの内の1種以上の金属と、酢酸、炭酸、硝酸の内の1種以上の酸との組合せで得られる金属塩は、焼結鉱の全表面に薄く付着させることにより少ない使用量で効果を出すことが好ましい。また、カルシウムまたはマグネシウムの酢酸塩、硝酸塩または炭酸水素塩は水溶性であることから、溶媒としては入手が容易で安価な水を用いる。但し、溶媒の一部として、有機溶媒など混合してもよい。
カルシウムまたはマグネシウムの炭酸塩は水に対する溶解度が低いため、弱酸性である炭酸を溶解させた炭酸水に炭酸塩を溶解し、炭酸水素カルシウムまたは炭酸水素マグネシウムの炭酸水素塩の水溶液を得ることが好ましい。カルシウムまたはマグネシウムの炭酸塩を酢酸や硝酸の希薄水溶液に溶解しても本発明の効果は得られるが、この場合は、炭酸塩の一部が分解して炭酸ガスが発生し、酢酸塩または硝酸塩の混ざった水溶液となる。
また、これらの溶液を付着させる際には、対象とする焼結鉱1トン(以下、「t」とも記す)に対する前記金属塩の量を0.1〜30モルとすることが望ましい。0.1モル未満の場合は還元を阻害する効果が少なく耐還元粉化が改善されない。また30モルを超えると、付着物が十分に焼結鉱の表面を覆っている状態となるため、還元を阻害する効果が飽和する。使用する薬剤量に応じて費用が多く掛かるため、経済性と効果との観点から金属塩の量は焼結鉱1tに対して0.3〜10モルであることが好ましく、焼結鉱1tに対して、0.3〜5モルであることがより好ましい。
前記金属塩の水溶液の散布は、対象とする焼結鉱トン当たり0.001〜0.025トンの水溶液を散布または塗布することが好ましい。0.001(t−水溶液/t−焼結鉱)未満の場合には、水溶液が焼結鉱の全体に行き渡らず、還元を阻害する効果が少なく耐還元粉化性が改善されにくい。0.001〜0.025トンであれば、焼結鉱の表面を水溶液で被覆する効果が充分に得られる。また、0.025(t−水溶液/t−焼結鉱)を超える場合には、焼結機で焼結して得られた焼結鉱を焼結クーラーで冷却して温度を調整し、温度が調整された焼結鉱の顕熱で散布した水溶液の水分を搬送装置上で蒸発させても、高炉のホッパー(貯鉱槽)に直送する場合には特に焼結鉱の水分含有率を0.3質量%以下とすることが困難となる。焼結鉱への前記金属塩の水溶液の散布して、RDIを向上させる(低くする)ことによって、還元材比(RAR)を低くする効果が生じる。しかしながら、焼結鉱の水分含有率が0.3質量%より大きい場合には、高炉内で水分を蒸発させるために、高炉の炉頂温度が低下する問題が発生する。炉頂温度の低下により起因する、排ガス中の水分が配管内に凝縮する等の問題を解消するために、結局、還元材比(RAR)が高くなってしまうため、RDIを向上させることによる還元材比(RAR)を低くする効果が抑えられてしまう。また、焼結鉱の水分含有率が0.3質量%以下であれば、炉頂温度の低下による前述の問題を避けて還元材比(RAR)を低くする効果が得られる。
更に、金属塩の水溶液は、金属塩の水溶液1kgに対する0.002〜5モル/kgの金属塩の濃度を有することが望ましい。0.002モル/kg未満の場合には、金属塩の量が少ないため、還元を阻害する効果が少なく耐還元粉化が改善されない。また、5モル/kgを超える場合には、金属塩を均質な溶液とするのにかかる時間が長くなる問題が発生する。前記金属塩の水溶液が、0.01〜1モル/kgの金属塩の濃度を有することがより望ましく、更に望ましい濃度は0.03〜0.5モル/kgである。水溶液の濃度が低いほど、大幅な耐還元粉化の改善を得るための水溶液散布量(焼結鉱水分増加量)多くなることから炉頂温度の低下等の悪影響が増え、また水溶液の濃度を高くするほど水溶液の散布を停止した際の配管内壁や散布ノズルの吐出口等への金属塩の析出が発生する可能性が高まるため、望ましくは0.01〜1モル/kg、最も望ましくは0.03〜0.5モル/kgとする。
<実験>
各種金属塩の水溶液を焼結鉱に付着させて、RDIの向上の効果を確認した。表1に示す成分である焼結鉱A,B,Cを用意し、金属塩濃度が0.1〜1mol/kgの水溶液を所定量散布して、各種金属塩の付着モル量が異なる焼結鉱を得た。得られた焼結鉱を水分含有率0.1質量%未満に乾燥した後の還元粉化指数(RDI)を測定し、被還元性指数(RI)も適宜測定した(実験)。比較のために、金属塩水溶液の付着処理を施さない焼結鉱A,B,Cの還元粉化指数(RDI)を測定し、被還元性指数(RI)も適宜測定した(比較実験)。次の表2に代表的な実験条件と還元粉化指数(RDI)、被還元性指数(RI)の測定結果を示す。
Figure 0005962077
Figure 0005962077
[実験1]
SiO含有量が5.1mass%である焼結鉱Aに対して、(1)酢酸カルシウム水溶液、(2)炭酸カルシウムを炭酸水に溶解した水溶液、(3)硝酸カルシウム水溶液の各々を、焼結鉱1tに対するカルシウム塩のモル量を変化させつつ散布した。次いで、得られた焼結鉱を80℃で乾燥後に還元粉化指数(RDI)の測定を行なった(実験11〜16)。図1にカルシウム塩量と還元粉化指数(RDI)の結果を示す。比較のために、金属塩水溶液の付着処理を施さない焼結鉱Aの還元粉化指数(RDI)も測定した(比較実験10)。
図1によれば、焼結鉱1tに当たりのカルシウム塩付着量が0.1モルである焼結鉱(実験11,12,13)の還元粉化指数(RDI)は32〜34%であり、焼結鉱1t当たりのカルシウム塩付着量が0.3モルの焼結鉱(実験14,15,16)の還元粉化指数(RDI)は31〜33%であった。金属塩水溶液付着処理を施した焼結鉱のRDIは、金属塩水溶液付着処理を施さない通常の焼結鉱(金属塩量0に相当。比較実験10)の還元粉化指数(RDI)の36%から改善された。また、その効果は酸の種類によらず、金属塩付着量が30モル/t−焼結鉱でほぼ飽和することがわかる。
[実験2]
SiO含有量が5.1mass%である焼結鉱Aに対して、(1)酢酸マグネシウム水溶液、(2)硝酸マグネシウム水溶液の各々を、焼結鉱1tに対するマグネシウム塩のモル量を変化させつつ散水機により散布した。次いで、得られた焼結鉱を80℃で乾燥後に還元粉化指数(RDI)の測定を行なった。図2にマグネシウム塩量と還元粉化指数(RDI)の結果を示す。図2には、比較のために、金属塩水溶液の付着処理を施さない焼結鉱Aの還元粉化指数(RDI)も測定した(比較実験20)。
図2によれば、焼結鉱1t当たりのマグネシウム塩付着量が0.1モルの焼結鉱(実験21,22)の還元粉化指数(RDI)は32%、焼結鉱1t当たりのマグネシウム塩付着量が0.3モルの焼結鉱(実験23,24)の還元粉化指数(RDI)は32%であり、金属塩水溶液付着処理を施さない通常の焼結鉱(金属塩量0に相当。比較実験20。)の還元粉化指数(RDI)の36%から改善された。また、その効果は酸の種類によらず、金属塩付着量が30モル/t−焼結鉱でほぼ飽和することがわかる。
[実験3]
SiO含有量が4.9mass%であり、還元粉化指数(RDI)が38%、被還元性指数(RI)が68%である焼結鉱Bに対して、(1)酢酸カルシウム水溶液、(2)硝酸カルシウム水溶液の各々を、焼結鉱1tに対するカルシウム塩のモル量を変化させつつ散水機により散布した。次いで、得られた焼結鉱を80℃で乾燥後に還元粉化指数(RDI)および被還元性指数(RI)の測定をおこなった。図3にカルシウム塩量と還元粉化指数(RDI)の結果を示す。図4にカルシウム塩量と被還元性指数(RI)の結果を示す。
図3によれば、焼結鉱1t当たりのカルシウム塩付着量が0.1モルの焼結鉱(実験31,32)の還元粉化指数(RDI)は34〜36%、焼結鉱1t当たりのカルシウム塩付着量が0.3モルの焼結鉱(実験33,34)の還元粉化指数(RDI)は33〜35%であり、金属塩水溶液付着処理を施さない通常の焼結鉱(金属塩付着量0に相当、比較実験30)の還元粉化指数(RDI)が38%に対して改善された。その効果はカルシウム塩付着量が30モル/t−焼結鉱でほぼ飽和することが分かる。図4によれば、金属塩水溶液付着処理が施された焼結鉱は、金属塩水溶液付着処理を施さない通常の焼結鉱(カルシウム塩量0に相当、比較実験30)に対して、被還元性指数(RI)の低下が少なく、還元粉化指数(RDI)を改善できることがわかる。
[実験4]
SiO2含有量が4.6mass%であり、還元粉化指数(RDI)が42%、被還元性指数(RI)が73%である焼結鉱Cに対して、硝酸カルシウム水溶液を、焼結鉱1tに対する硝酸カルシウムのモル量を変化させつつ散水機により散布した。次いで、得られた焼結鉱を80℃で乾燥後に還元粉化指数(RDI)および被還元性指数(RI)の測定をおこなった。図5に硝酸カルシウム量と還元粉化指数(RDI)の結果を示す。図6に硝酸カルシウム量と被還元性指数(RI)の結果を示す。
図5によれば、焼結鉱1t当たりの硝酸カルシウム付着量が0.1モルの焼結鉱C(実験41)の還元粉化指数(RDI)は38%であり、焼結鉱1t当たりの硝酸カルシウム付着量が0.3モルの焼結鉱(実験42)の還元粉化指数(RDI)は37%であり、処理を施さない通常の焼結鉱(硝酸カルシウム量0に相当、比較実験40)の還元粉化指数(RDI)が42%に対して改善された。その効果は硝酸カルシウム付着量が30モル/t−焼結鉱でほぼ飽和することが分かる。図6によれば、本発明における金属塩水溶液により表面処理された焼結鉱は、処理を施さない通常の焼結鉱(硝酸カルシウム量0に相当、比較実験40)に対して、被還元性指数(RI)の低下が少なく、還元粉化指数(RDI)を改善できることがわかる。
焼結機で焼成して得られる焼結鉱を焼結クーラーで冷却して焼結鉱の温度を調整して、この焼結鉱を該焼結クーラーから排出する。次いで、調整された温度の焼結鉱の表面に上述の金属塩の水溶液を付着させ、水分含有率が0.3質量%以下となる水分含有率が調整された焼結鉱を製造する。図7は、本発明を実施する際の、高炉鉄源原料の製造フローを示す概略説明図である。図7を参照して、以下に、高炉鉄源原料となる焼結鉱の水分含有率の調整方法を説明する。
図7に示すように、高炉鉄源原料製造設備1は、焼結機2と焼結クーラー3と搬送装置4とを有している。焼結機2と焼結クーラー3と搬送装置4とは、それぞれ接続している。高炉鉄源原料製造設備1は、高炉5に接続している。搬送装置4は、例えば、搬送コンベアーなどの搬送手段を有しており、図7の実施形態では、搬送装置4は、3つの搬送コンベアー4a,4b,4cからなる。搬送コンベアー4a,4b,4cの間には乗り継ぎ部が配設されている。
焼結鉱原料11は、通常の主原料(粉鉱石、篩下粉など)、副原料(石灰石、蛇紋岩、粉コークス、無煙炭など)からなる。この焼結鉱原料11は焼結機2で焼成されて、焼結鉱12が得られる。焼結鉱12は、焼結機2から排出される段階では約800℃となり、この焼結鉱12は、図示されない破砕機で粗破砕された後、焼結クーラー3に入り、搬送コンベアーが焼損しない程度の高い温度(概ね、80〜120℃)まで冷却される。焼結クーラー3から排出された焼結鉱12は、図示されない成品スクリーンで篩い分けられ、その篩上の焼結鉱12が搬送コンベアー4a,4b,4cにより高炉5まで搬送される。製鉄所における、焼結クーラー3と高炉5との配置位置や搬送速度などの条件によって変わるが、焼結クーラー3を出てから高炉5までの焼結鉱12の搬送時間は20〜30分である。焼結鉱12が、搬送装置4により焼結クーラー3から排出されてから高炉5に搬入されるまでの間であって、焼結クーラーから排出後10分以内に、前述した金属塩の水溶液を焼結鉱12に付着させることが好ましい。焼結鉱12が、少なくとも80℃以上の温度を有しているうちに、金属塩の水溶液を焼結鉱12に付着させる方が、焼結鉱12中の水分の蒸発が短時間で完了するからである。焼結鉱温度については、搬送中の焼結鉱をサーモビューアーで測定してもよい。焼結鉱温度の別の測定方法としては、例えば、搬送装置の複数個所の乗り継ぎ部で複数の焼結鉱を任意の容器に採取し、その容器に収容される焼結鉱に熱電対を接触させて、焼結鉱の温度を測定し、焼結鉱温度の時間変化をグラフ化して金属塩の水溶液散布箇所でのクーラー排出後の時間から焼結鉱温度を推定することができる。
図8は、本発明の製造方法の一実施形態における搬送装置を示す概略説明図である。図8(a)は、搬送コンベアーにより焼結鉱12を搬送中に、焼結鉱12の上方から金属塩の水溶液を散布する実施形態を示す図である。搬送装置4上の焼結鉱12の上方には、水溶液散布装置20が配設されている。水溶液散布装置20は、金属塩の水溶液23を貯めている水溶液タンク21と、スプレーなどの散布設備22とを有しており、水溶液タンク21と散布設備22とはそれぞれ接続している。水溶液タンク21には、カルシウムとマグネシウムのグループから選択された少なくとも一つの金属と、酢酸、炭酸、硝酸のグループから選択された少なくとも一つの酸との組合せで得られる金属塩の水溶液が貯蔵されており、水溶液23は、この金属塩の水溶液である。散布設備22は、焼結鉱12に向けて、金属塩の水溶液23を散布して、焼結鉱12に金属塩の水溶液を付着させる処理を施す。
焼結クーラー3から排出された焼結鉱12を搬送装置コンベアー4a,4b,4cにより高炉5に直送する間に、金属塩の水溶液を散布し、焼結鉱12が高炉5に到着するときには、水分含有率が0.3質量%以下にする。焼結鉱12に金属塩の水溶液を付着させた直後は、焼結鉱12は、水分含有率が高い状態であり、水分含有率が高い状態の焼結鉱12を高炉5に投入すると、高炉5の炉頂部で水分が蒸発する際に高炉ガスの温度が低下する。高炉ガスの温度低下により炉頂温度が低下し発生する問題を避けるために還元材比を上昇させなければならなくなる。そうなると、RDIを低下させることによって還元材比を低下させる効果が抑えられてしまう。焼結クーラー3の排出時に焼結鉱12の温度は焼損しない程度に高く、金属塩の水溶液を搬送中の焼結鉱12に散布する搬送位置での、焼結鉱の温度が80〜120℃の範囲となるため、焼結鉱12は顕熱を有しており、この顕熱によって、焼結鉱12中の水分の蒸発を促進させ、水分含有率が0.3質量%以下である水分含有率調整焼結鉱13を得る。また、焼結鉱12に付着させる金属塩の水溶液の量は、0.001t/t−焼結鉱以上0.025t/t−焼結鉱以下の範囲であることが好ましい。焼結クーラー3の排出時に焼結鉱12の温度が80℃〜120℃の範囲であっても、0.025t/t−焼結鉱より多い量の金属塩の水溶液を焼結鉱12に付着させると、水分含有率が0.3質量%以下にすることが難しくなるからである。焼結鉱12に付着させる金属塩の水溶液が0.001t/t−焼結鉱より少ないと、水溶液が焼結鉱の全体に行き渡らず、RDIを低下させる耐還元粉化性改善効果が発現しにくい。焼結鉱の温度が高すぎると、散布した水溶液が焼結鉱の表面全体に広がる前に水分が蒸発するので、焼結鉱の表面全体で金属塩を析出させることができない。従って、焼結クーラーで冷却された120℃以下の焼結鉱に対して水溶液を散布することが必要である。
図7に示すように、搬送装置4によって、焼結クーラー3から排出された焼結鉱12は、水分含有率調整焼結鉱13となり高炉5に直送される。ここで、焼結クーラーから高炉に直送とは、具体的には、焼結鉱12が焼結クーラー3から排出された後に、製鉄所のヤードなどに一時的に保管などされることなく、高炉5の一部であるホッパーなどに直接的に搬入されて、ホッパーから高炉5の炉頂へ連続的に搬送されて、炉頂から高炉5に装入されることを意味する。
図8(b)は、搬送コンベアーにより搬送しながら焼結鉱の上方から金属塩の水溶液を散布し、且つ、搬送コンベアーの乗り継ぎ部において焼結鉱の上方とは別方向から金属塩の水溶液を散布する実施形態を示す図である。図8(b)もまた、焼結鉱12に、前述の金属塩の水溶液を散布することにより、高炉鉄源原料である水分含有率調整焼結鉱13を製造する方法を示している。図8(b)に示す形態では、搬送装置4として、搬送コンベアー4aと搬送コンベアー4bとが配設されている。搬送コンベアー4aと搬送コンベアー4bとの間には段差が存在している。その段差の部分が乗り継ぎ部に相当する。焼結鉱12は、搬送コンベアー4a,4b上を移動し、乗り継ぎ部を通過する。搬送コンベアー4a,4bの各々の上方には、散布設備22a,22bが配設されている。乗り継ぎ部近傍には、散布設備22a,22bが焼結鉱12へ向けて金属塩の水溶液23を散布する方向とは別の方向から、金属塩の水溶液23を散布するように、散布設備22cが配設されている。散布設備22a,22b,22cは、搬送コンベアー4a,4b上の焼結鉱12及び乗り継ぎ部を通過する焼結鉱12に金属塩の水溶液23を散布して、焼結鉱12に金属塩の水溶液23を付着させることができる。
乗り継ぎ部では、焼結鉱12が搬送コンベアー4bに落下するときに焼結鉱12が攪拌されるので、散布設備22cから乗り継ぎ部の焼結鉱12へ金属塩の水溶液を吹き付ければ、焼結鉱12表面全体により均一に金属塩の水溶液を付着させることが可能となる。乗り継ぎ部において金属塩の水溶液を散布する場合には、落下する焼結鉱12の下方、上方、或は側面より金属塩の水溶液を散布することができる。なお、焼結鉱12の表面に金属塩の水溶液23を散布する回数は、乗り継ぎ部で1回の散布でもよいし、乗り継ぎ部をはさんで搬送コンベアー4aおよび搬送コンベアー4bの上方から各々1回以上散布しても良い。また、散布設備22a,22b,22cの全てから散布してもよい。但し、最後に金属塩の水溶液23を散布する直前の焼結鉱の温度が80℃以上120℃以下であることが好ましい。また、焼結クーラーから排出後10分以内に、焼結鉱に散布する金属塩の水溶液の全量を散布することが好ましい。焼結鉱に散布する金属塩の水溶液の全量は0.001t/t−焼結鉱以上0.025t/t−焼結鉱以下であることが好ましい。
以上のような、高炉鉄源原料の製造方法によって、焼結鉱12中の水分含有率が0.3質量%以下である水分含有率調整焼結鉱13を得ることができる。この製造方法によって、有機高分子等の高価な材料やマグネサイト及びブルースタイト等の入手し難い原料を使用することなく、経済的に、高炉内での焼結鉱の還元粉化を防止しつつ、更には、焼結鉱の水分含有率が抑えることによって、高炉の生産性を高めることが可能となる。
実験1で用いた焼結鉱Aを、図7に示す焼結クーラーから排出された焼結鉱を搬送装置により高炉に搬送する製造フローにおいて、様々な条件を変更しつつ硝酸カルシウム塩の水溶液を焼結鉱に付着させて主要な高炉装入鉄源原料として高炉に装入した。高炉装入鉄源原料として、焼結鉱と塊鉱石とを、焼結鉱が72質量%であり塊鉱石が28%である比率で、高炉5に装入した。高炉5の内容積は5000mである。出銑比が2.1t/(m・日)となるように還元材比を調整して実験操業を行った(本発明例1〜8)。一方で、内容積5000mの高炉5に、金属塩の水溶液を散布しない焼結鉱が72質量%、塊鉱石が28%の比率で焼結鉱と塊鉱石とを装入した。出銑比が2.1t/(m・日)となるよう還元材比を調整して実験操業を行った(比較例1〜4)。本発明例1〜7及び比較例1〜4における、高炉5に装入した、高炉装入鉄源原料としての水分含有率調整焼結鉱13の製造条件と、炉頂温度と還元材比との関係を表3に示す。
Figure 0005962077
還元材比が489以下となり、かつ、炉頂温度が130℃以上の操業が可能となれば、総合的に低還元材比(低RAR)となる操業が可能であったといえる。加えて、還元粉化指数(RDI)が33%以下であれば、還元粉化を抑えた操業が実現されたといえる。このように、還元粉化を抑え、かつ、低還元材比(低RAR)となる操業を実現できた例を総合評価○とした。それ以外の場合には、総合評価×とした。
本発明例1〜8では、焼結クーラー3で焼結鉱12の温度を調整して、温度が調整された焼結鉱を排出し、所定の金属塩の水溶液を付着させて、水分含有率が0.3質量%以下である水分含有率調整焼結鉱13を、高炉5に装入する操業を行った。
本発明例1、2は、図8(b)の散布設備22bのみから金属塩の水溶液を散布した例である。本発明例2では、金属塩の水溶液散布量が0.001t/t−焼結鉱未満であるので、本発明例1に比べて、RDIが高くなっている。本発明例3,5,7,8は、図8(b)の散布設備22aのみから水溶液を散布した例である。本発明例7,8では、他の本発明例に比べて、金属塩の水溶液散布量を多くしており、RDIは抑えられているが、焼結鉱水分含有率が0.2、0.3質量%に増加したため、炉頂温度が3、5℃各々低下したが操業への悪影響は無かった。
本発明例4は、図8(b)の散水設備22cのみから金属塩の水溶液を散布した例である。但し、乗り継ぎ部において2方向から1kg/t−焼結鉱ずつ散布した。金属塩の水溶液散布量が2.0kg/t−焼結鉱で同じ実施例3に比べてRDIが31から30に改善した。本発明例6は、図8(b)の散水設備22aおよび散水設備22cから3.3kg/t−焼結鉱ずつ金属塩の水溶液を散布した例である。散水設備22aからの金属塩の水溶液散布は、クーラー排出後10分であり、そのときの焼結鉱温度は90℃であった。散水設備22cからの金属塩の水溶液散布は、クーラー排出後15分であり、そのときの焼結鉱温度は80℃であった。焼結鉱に金属塩の水溶液を散布し、搬送装置の乗り継ぎ部を経た後、更に、焼結鉱に金属塩の水溶液を散布したため、金属塩の水溶液散布量が6.6kg/t−焼結鉱で同じ実施例5に比べてRDIが30から29に改善した。なお、表2の本発明例6では、散布前焼結鉱温度とクーラー排出後時間との各項目に2つ値が記載されている。この2つの値については、各項目の前の値が、散水設備22aからの金属塩の水溶液散布時における、散布前焼結鉱温度とクーラー排出後時間とに相当し、各項目の前の値が、散水設備22cからの金属塩の水溶液散布時における、散布前焼結鉱温度とクーラー排出後時間とに相当する。
なお、焼結鉱温度は、金属塩の水溶液を散布する直前の搬送中の焼結鉱をサーモビューアーで測定した搬送装置の幅方向中央部の温度である。
比較例1は、金属塩の水溶液を付着させなかったため、水分含有率が増えず、水分含有率が0.1質量%の焼結鉱を高炉に装入した操業を示している。水分含有率が0.3質量%未満であるため、炉頂温度の低下はないが、当然にRDIの改善効果もないので、還元材比は495kg/t−銑鉄と高かった。比較例2は、金属塩の水溶液散布量が多過ぎて、金属塩の水溶液を散布する搬送位置での焼結鉱温度が110℃と高めであっても、焼結鉱の水分含有率0.3質量%以下にできなかった例である。焼結鉱のRDIは低下したが、炉頂温度が低下したため、出銑比が2.1t/(m・日)を維持するには、還元材比が491kg/t−銑鉄必要で、還元材比を十分下げることができなかった。比較例3,4は、焼結クーラー3から排出した後20分の搬送位置で焼結鉱に、金属塩の水溶液を搬送装置4の上方から散布した例である。金属塩の水溶液を散布する搬送位置での焼結鉱温度は75℃と80℃未満であったため、焼結鉱の水分含有率が0.3%質量%を超えたので、炉頂温度が低下し、必要な投入熱量が増えるので、出銑比が2.1t/(m・日)を維持するには、還元材比を十分下げることができなかった。本発明の条件を満たさない比較例1〜4では、焼結鉱の還元粉化を抑え、かつ、低還元材比となる操業が可能であったとはいえない。
本発明を満たす条件によって製造した焼結鉱を高炉に装入して、高炉を操業すれば、高炉内での焼結鉱の還元粉化を抑え、かつ、低還元材比である操業を実現できることがわかった。
1 高炉鉄源原料製造設備
2 焼結機
3 焼結クーラー
4 搬送装置
4a 搬送コンベアー
4b 搬送コンベアー
4c 搬送コンベアー
5 高炉
11 焼結鉱原料
12 焼結鉱
13 水分含有率調整焼結鉱
20 水溶液散布装置
21 水溶液タンク
22 散布設備
23 水溶液

Claims (6)

  1. 焼結機で焼成して得られる焼結鉱を焼結クーラーで冷却して、該焼結クーラーから排出された前記焼結鉱を搬送装置により高炉に直送する間に、前記焼結鉱に、酢酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸マグネシウム、硝酸マグネシウムの金属塩のグループから選択された金属塩の水溶液を散布し、前記焼結鉱の高炉到着時の水分含有率が0.3質量%以下である高炉鉄源原料を製造することを特徴とする高炉鉄源原料の製造方法。
  2. 前記金属塩の水溶液を搬送中の前記焼結鉱に散布する搬送位置での前記焼結鉱の温度は80℃以上120℃以下の範囲にあり、搬送中の前記焼結鉱に散布する前記金属塩の水溶液の量が0.001t/t−焼結鉱以上0.025t/t−焼結鉱以下であることを特徴とする請求項1に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
  3. 前記焼結クーラーから排出後10分以内に、搬送中の前記焼結鉱に前記金属塩の水溶液を散布することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
  4. 搬送中の前記焼結鉱に前記金属塩の水溶液を散布した後であり、前記搬送装置の乗り継ぎ部を経た後に、更に少なくとも1回、搬送中の前記焼結鉱に、前記金属塩の水溶液を散布することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
  5. 前記搬送装置の乗り継ぎ部において、前記焼結鉱に、前記金属塩の水溶液を散布することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
  6. 前記焼結鉱1tに対して付着させる前記金属塩の量が0.1モル以上30モル以下の範囲であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の高炉鉄源原料の製造方法。
JP2012049127A 2012-03-06 2012-03-06 高炉鉄源原料の製造方法 Expired - Fee Related JP5962077B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012049127A JP5962077B2 (ja) 2012-03-06 2012-03-06 高炉鉄源原料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012049127A JP5962077B2 (ja) 2012-03-06 2012-03-06 高炉鉄源原料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013185168A JP2013185168A (ja) 2013-09-19
JP5962077B2 true JP5962077B2 (ja) 2016-08-03

Family

ID=49386878

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012049127A Expired - Fee Related JP5962077B2 (ja) 2012-03-06 2012-03-06 高炉鉄源原料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5962077B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104313307B (zh) * 2014-10-16 2017-02-15 昆明理工大学 一种烧结矿低温还原粉化助剂及其使用方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10226825A (ja) * 1997-02-17 1998-08-25 Kawasaki Steel Corp 焼結原料の造粒方法
WO2009008270A1 (ja) * 2007-07-10 2009-01-15 Kabushiki Kaisha Kobe Seiko Sho 炭材内装酸化鉄塊成化物及びその製造方法
JP2010138445A (ja) * 2008-12-11 2010-06-24 Jfe Steel Corp 造粒焼結原料の予備処理方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013185168A (ja) 2013-09-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4317579B2 (ja) 還元鉄成形体の製造方法、及び銑鉄の製造方法
JP2000178662A (ja) 粉末金属原料用造粒剤及び湿式造粒法
JP5762403B2 (ja) 金属酸化物含有微細材料から高炉装入原料用凝集物を製造する方法
CN108884516B (zh) 氧化物矿石的冶炼方法
WO2011138954A1 (ja) 金属鉄の製造方法
CN104120207B (zh) 一种以锡尾铁精矿和高有害元素贫杂矿配矿生产生铁的方法
JP5962077B2 (ja) 高炉鉄源原料の製造方法
JP2007197783A (ja) 回転炉床式還元炉での酸化金属の還元方法
CN100523225C (zh) 在高炉中提高铁产率的方法
JP3749710B2 (ja) 高強度鉄含有粒状物の製造方法
TWI464270B (zh) Manufacture method of iron source raw material for blast furnace
KR20050042498A (ko) 금속 산화물 또는 제철 폐기물의 환원 처리 방법, 및 아연및/또는 납의 농축·회수 방법
JP2003089823A (ja) 回転炉床式還元炉への転炉ダストリサイクル方法
WO2013088583A1 (ja) 高炉用鉄源原料の製造方法
JP5398820B2 (ja) 焼結用造粒物の処理方法
JP2013170311A (ja) 焼結鉱の製造方法
JP6235439B2 (ja) 粒状金属鉄の製造方法
JP2012092418A (ja) 高炉装入鉄源原料の製造方法
WO2014034589A1 (ja) 還元鉄塊成物の製造方法
JP2002194410A (ja) 回転炉床式還元炉の操業方法、銑鉄の製造方法、および、粒状酸化鉄還元物
JP6887717B2 (ja) 焼結鉱製造用の炭材内装造粒粒子およびそれを用いた焼結鉱の製造方法
JP2004225104A (ja) 酸化金属の還元方法、および、亜鉛および鉛の濃縮方法
JP2013087350A (ja) 非焼成溶銑脱りん材および非焼成溶銑脱りん材を用いた溶銑の脱りん方法
JP2003277838A (ja) 高炉用焼結原料に用いる高結晶水鉱石、高炉用焼結原料及びその製造方法
CN117286335A (zh) 一种转底炉金属化球团冷却与钝化的方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20151104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20151209

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160613

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5962077

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees