JP5961958B2 - マイクロルーバー積層体、及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
画像表示パネル20の観察者V側に配置されたマイクロルーバー層41は、光吸収部42が太陽光や室内照明光などの不要な光Laは吸収し、光透過部43が必要とされる画像光Ldを画像表示パネル20側から観察者V側に透過する。
このため、マイクロルーバーシート40を、画像表示パネルと組み合わせて画像表示装置としたときに、マイクロルーバー層41の繰返周期と画像表示パネルを構成する画素の繰返周期とが干渉して、モアレが生じることがある。
ただ、最適なバイアス角は、繰返周期以外に、画素サイズ、画素間寸法など、組み合わせる画像表示パネルの設計仕様毎に異なる。このため、マイクロルーバー層41の設計仕様も画像表示パネル毎の多品種小ロット仕様となり、生産性及び製品コストの点で難があった。
しかし、この方法は、図21から見てとれるように、無駄部分44が多いという問題がある。
一方、特開平11−121974号公報では、モアレ防止の為に、これも電磁波シールド用の導電性パターンではあるが、配列の周期性を一部は残し、一部はランダム化したパターンを提案している。しかし、この一部ランダム化したパターンでは、濃淡ムラは軽減するが、モアレが残る。
これらのランダムパターンに起因する濃淡ムラや残留モアレは図19や図20の如きマイクロルーバー層41に適用した場合も同様であった。
このため、従来のモアレ解消技術では、モアレの解消と、濃淡ムラの解消とを、両立させることが出来なかった。
(1)光吸収部とこの光吸収部以外の部分の光透過部とからかなるマイクロルーバー層であって、
前記光吸収部をシート面に垂直な方向から見たときの平面視形状である遮光パターンが、
光透過部に対応する多数の開口領域を画成し、二つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する多数の境界線分から形成され、一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0<N<4.0であり、且つ、前記開口領域が一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない領域を含んでなるパターンであり、
且つ、前記開口領域の大きさ径Dの最大値をD MAX 、最小値をD MIN としたときに、当該開口領域の大きさ径Dの分布範囲ΔD=D MAX −D MIN が開口領域の大きさ径Dの平均値D AVG に対して、0.1≦ΔD/D AVG ≦0.6であり、
このマイクロルーバー層を、遮光パターンが互いに独立な、第1のマイクロルーバー層と第2のマイクロルーバー層との少なくとも2層以上積層した、マイクロルーバー積層体。
(2)前記開口部の形状が、五角形、六角形及び七角形を全て含んでいる、(1)のマイクロルーバー積層体。
(3)第1のマイクロルーバー層と第2のマイクロルーバー層との間に第1の透明基材が積層され、第2のマイクロルーバー層の前記第1のマイクロルーバー層の側とは反対側に第2の透明基材が積層された、上記(1)または(2)のいずれかのマイクロルーバー積層体。
(4)上記(1)、(2)または(3)のいずれかのマイクロルーバー積層体と画像表示パネルとを備える画像表示装置。
(2)本発明の画像表示装置によれば、上記したマイクロルーバー積層体の効果が得られ、モアレも濃淡ムラも共に発生せず、コントラスト向上性能や視野角制御性能において高い光線制御性能が得られる装置となる。
以下に、本発明において用いる主要な用語について、その定義をここで説明しておく。
「シート面」とは、シート状のマイクロルーバー積層体10を全体的かつ大局的に見た場合において、この積層体10の平面方向と一致する面のことを意味する。したがって、マイクロルーバー層1A,1Bの層面と平行な面でもある。
「一方の面1p」とは第1のマイクロルーバー層1A,第2のマイクロルーバー層1Bの表裏面のうちのいずれか一方の面を意味し、「他方の面1q」は表裏面のうち「一方の面1p」ではない面を意味する。「一方の面1p」と「他方の面1q」との面それ自体の区別はない。
「平面視形状」とは、「シート面」に平行な面に於ける形状のことを意味する。言い換えると、「平面視形状」とは、「シート面」に立てた法線nの方向から見た形状のことを意味する。
先ず、本発明によるマイクロルーバー積層体を、図1に示す一実施形態例を参照して説明する。
第1のマイクロルーバー層1A、及び第2のマイクロルーバー層1Bは、共に、光吸収部2と、この光吸収部2以外の層部分に形成された光透過部3とから構成される。
しかも、マイクロルーバー層1は、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとが2層が積層された複層構成の積層体としてある為に、実質的に光吸収部2のアスペクト比を高くでき、高い光線制御機能を発揮させることができる。
図2は、本発明によるマイクロルーバー積層体10の別の実施形態例を示すものであり、同図のように、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとの間には、透明基材4aを積層しても良い。同図では、さらに、第2のマイクロルーバー層1Bの透明基材4aに接する側の面とは反対側の面に、別の透明基材4bを積層した形態である。
この実施形態によれば、第1のマイクロルーバー層1Aは透明基材4aに積層した中間積層体5Aとして用意し、第2のマイクロルーバー層1Bは透明基材4bに積層した中間積層体5Bとして用意し、これら中間積層体5Aと中間積層体5Bとを積層することで、マイクロルーバー積層体10を容易に製造することができる。
マイクロルーバー層1は、少なくとも2層の、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとからなる複層構成の層である。図1に示す本実施形態では、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとの2層から、マイクロルーバー層1が構成されている。
遮光パターン2Pは、第1のマイクロルーバー層1A,或いは第2のマイクロルーバー層1Bを、層面乃至はシート面の法線方向(図でZ軸方向)から観察した場合における、光吸収部2の平面視形状である。以下、この遮光パターン2Pについて、図3および図9を主として参照しながら説明する。
なお、遮光パターン2Pは、開口領域Aが繰返周期を持つ方向が存在しない配列となって、モアレ防止効果が十分に発現される為には、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口領域Aの面積及び形状は一定でないようなパターンとすると良い。好ましくは、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口領域Aの50%以上が互いにその面積及び形状が異なるようにする。より好ましくは、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一の開口領域Aを遮光パターン2Pの全域に亙って、全て互いにその面積及び形状が異なるようにする。これは、言い換えると、遮光パターン2Pに含まれる開口領域Aのうち、周囲を囲繞する境界線分Lの数が同一となる開口領域Aの形状及び面積がすべて同一ではなく、少なくとも一部は他と異なるものになると言うことを意味する。なお、ここで周囲を囲繞する境界線分Lの数とは、開口領域Aが多角形である場合は、その多角形の角数と一致する。また、以上に於いて、2つの開口領域A同士が互いに合同な図形であって且つその向きが異なる場合も、これらの2つの開口領域Aの形状は互いに異なると見做す。
図4は、遮光パターン2Pで画成される多数の開口領域Aが、一定の周期で配置されている領域が存在せず、繰返周期が存在しないことを説明するXY平面に平行なシート面に於ける平面図である。このシート面の面内において、同図では、任意の位置で任意の方向を向く一本の仮想的な直線diが選ばれている。
この一本の直線diが、ライン部Ltの境界線分Lと交差し交差点が形成される。この交差点を、図面では図面左下から順に、交差点c1,c2,c3,・・・・・,c9として図示してある。隣接する交差点、例えば、交差点c1と交差点c2との距離が、前記或る一つの開口領域Aの直線di上での寸法t1である。次に、寸法t1の開口領域Aに対して直線di上で隣接する別の開口領域Aについても、同様に、直線di上での寸法t2が定まる。そして、任意位置で任意方向の直線diについて、直線diと交差する境界線分Lとから、任意位置で任意方向の直線diと遭遇する多数の開口領域Aについて、該直線di上における寸法として、t1,t2,t3,・・・・・・,t8が定まる。そして、t1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びには、周期性が存在しない。
図4では、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8は、判り易い様に図面下方に、直線diと共に遮光パターン2Pとは分離して描いてある。
すなわち、このt1,t2,t3,・・・・・・,t8の数値の並びの様に、境界線分Lで画成された開口領域Aには繰返周期を持つ方向が存在しない。
言い換えると、開口領域Aの配置において、任意位置を通る任意方向の仮想的線分di上での開口領域Aの寸法tiの並びの数列が非周期関数となる。すなわち、t(i)=t(i+M)となるMが存在しない(i,Mはそれぞれ独立な正の整数)。
このように、開口領域Aが繰返周期を持つ方向が存在しないことを、開口領域Aが一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない、と表現する。
図10Aには、図3に示されたような遮光パターン2Pを重ね合わせて、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとが積層されたマイクロルーバー積層体10となったときの、遮光パターン2Pdが示されている。
そして、図10Cには、図10Aに示された遮光パターン2Pdを、図10Bに示された画像表示パネル20に於ける典型的な画素配列上に重ねた状態が示されている。図10Cからも理解され得るように、図10A示された遮光パターン2Pdを実際に作製して画像表示パネル20の画素配列上に配置した場合、視認され得る程度の縞状の模様、すなわちモアレ(干渉縞)は発生しなかった。
図11Cには、図11Aに示された周期的遮光パターン42Pを、図11Bに示された画像表示パネル20(図10Bで示したものと同じである)に於ける典型的な画素配列上に重ねた状態が示されている。図11A、図11B及び図11Cからも理解され得るように、周期的遮光パターン42Pを有するマイクロルーバーシート40が画像表示パネル20の画素配列上に配置されると、光吸収部42の周期的遮光パターン42Pと画素の規則的パターンとの干渉によって、明暗の筋(図11Cに示された例では、左上から右下に延びている明暗の筋)が視認されるようになる。
ここで、本発明固有の上記遮光パターン2Pのパターンを作製する方法の一例を以下に説明する。
なお、図8(D)からわかる様に、任意の1母点から見た他の母点の方位(角度)分布は等方的(乃至は略等方的)である。このことが、これらの母点(群)から生成される遮光パターン2Pに於ける開口領域Aの方位(角度)分布が等方的(乃至は略等方的)となることに対応する。
この様に構成することにより、遮光パターン2Pを目視した際の濃淡(明暗)ムラが、より一層、効果的に解消する。遮光パターン2Pの目視時の濃淡ムラを、実質上、目視不能とし、且つ遮光パターン2Pの非周期性によるモアレ防止性とも両立させる為には、開口領域Aの大きさDの最大値をDMAX、最小値をDMINとしたときに、当該大きさDの分布範囲ΔD=DMAX−DMINが大きさDの平均値DAVGに対して、
0.1≦ΔD/DAVG≦0.6
より好ましくは、
0.2≦ΔD/DAVG≦0.4
とする。
ここで、開口領域Aの大きさDは、全ての開口領域Aについて、以下の定義とする。
(1)或る一つの開口領域Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描ける場合は、この開口領域Aの外接円直径を以って、大きさDとする。
(2)或る一つの開口領域Aに属する全ての分岐点B(多角形の場合は全頂点)を通る円が描け無い場合は、この開口領域Aに属する2分岐点B間の距離の最大値を以って、大きさDとする。
次に、第1のマイクロルーバー層1A及び第2のマイクロルーバー層1Bの構成材料について説明する。構成材料は、従来公知のマイクロルーバー層と同様とすることができる。
光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、画像表示パネルからの放出光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用することもできる。光吸性粒子は、具体的には、カーボンブラック、グラファイト等の炭素、黒色酸化鉄、酸化銅等の金属酸化物等の顔料、アニリンブラック等の染料、或いは、これら顔料或いは染料等で着色した樹脂微粒子や着色したガラスビーズ等を挙げることができる。特に、着色した樹脂微粒子が、コスト面、品質面、入手の容易さ等の観点から好ましく、より具体的には、カーボンブラックを含有した架橋アクリル微粒子や、カーボンブラックを含有した架橋ウレタン微粒子等が好ましく用いられる。光吸収粒子は、通常、光吸収部2中に3〜30質量%の範囲で含まれ得る。
光吸収部2の主切断面形状は、図1などに示された例に限られず、例えば図12に示すように、種々の形状が可能である。
図12(2)の光吸収部2の主切断面形状は、台形形状となっている。台形形状は、互いに平行な上底とこの上底よりも大きい下底と、上底及び下底を結ぶ2つの斜辺とを有する。同図の台形は等脚台形である。この台形形状における下底と、第1のマイクロルーバー層1A乃至は第2のマイクロルーバー層1Bの少なくとも一方の面1pとが一致している。
図12(3)の光吸収部2の主切断面形状は、台形形状または三角形形状の斜辺(光吸収部2と光透過部3との界面)が、1つの辺からではなく、2つの辺から構成されている。この斜辺は折れ線状である。この略台形形状の下底または略三角形における底辺が、第1のマイクロルーバー層1A乃至は第2のマイクロルーバー層1Bの少なくとも一方の面1pが一致している。さらに、図示はしないが、斜辺が3以上の線分からなる折れ線からなる形状でも良い。
図12(4)の光吸収部2の主切断面形状は、図12(3)で例示された形状において、斜辺を曲線化した形状である。
図12(5)の光吸収部2の主切断面形状は、図1などで例示した矩形状の例である。この矩形状の一辺と、第1のマイクロルーバー層1A乃至は第2のマイクロルーバー層1Bの少なくとも一方の面1pとが一致している。
光吸収部2の寸法の具体例として、図13(A)を参照して、その一例を以下に示す。光吸収部2の主切断面形状に於ける最大幅Wmaxは5〜100μmとすることができる。光吸収部2の主切断面形状に於ける高さHは20〜200μmとすることができる。
この高さHと、第1のマイクロルーバー層1A乃至は第2のマイクロルーバー層1Bの総厚みTとの関係では、0.8T≦H≦Tの関係を満たすようにしてもよい。図13(B)の様に、H<Tとするときは、光透過部3はランド部3aを有するマイクロルーバー構造となる。
光吸収部2が不要光吸収機能をある程度確保するだけでなく、光透過部3が画像表示パネルからの画像光はある程度の高い必要光透過機能を確保する観点から、光吸収部2の遮光パターン2Pにおける多数の開口領域Aが占める領域の総割合(以下において「開口率」とも呼ぶ)は50〜90%となるように、遮光パターン2Pの線幅、つまり境界線分Lの線幅と、開口領域Aの大きさ乃至面積を調節することが好ましい。
開口領域Aの大きさDは5〜1000μmとすることができる。
光透過部3は、前述した光吸収部2における母材と同様の樹脂を用いて形成することができる。例えば、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系、ポリエステルアクリレート系などの電離放射線硬化性樹脂である。
このランド部3a上に、光吸収部2とランド部3aを除いた残りの部分の光透過部3が今後に配置される。
ランド部3aは、後述するマイクロルーバー層の製造方法に起因して、光透過部3の一部として一体的に形成され得る。ただし、光透過部3において、このランド部3aは必須ではない。したがって、ランド部3aが省略された光透過部3でも良く、この場合は、第1のマイクロルーバー層1A或いは第2のマイクロルーバー層1Bの厚みTと光吸収部2の高さHとは同じ寸法となる。
光透過部3をなす材料の屈折率、及び、光吸収部2をなす材料の屈折率は、適宜選択され得る。例えば、光吸収部2の幅が観察者側に向けて広がっていく形態、つまり幅Wminの部分よりも幅Wmaxの部分の法が観察者側に近い形態、においては、光吸収部2の母材の屈折率Nb及び光透過部3をなす材料の屈折率Npは適宜の値に設計される。
図14及び図15を参照して、複数のマイクロルーバー層を積層することで光線制御機能が増大することを説明する。ここでは、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとの2層を積層した形態である。
図14及び図15に於いては、光吸収部2は、その光学的挙動(作用効果)を説明するのに最低限必要な部分のみを描画し、その他の部分、構成要素は適宜図示を省略する。
マイクロルーバー層1Aのみ単層の場合、図14(A)の如く、日光等の外光のうち外光LR 1と、マイクロルーバー層1Aの(光透過部3)の一方の面1pとの間の角度範囲θR 1、及び外光LL 1と一方の面1pとの間の角度範囲θL 1の範囲の外光が、光吸収部2の側面2Sで吸収、遮光される。
一方、画像表示パネルの画面側からマイクロルーバー層1Aの他方の面1qに入射する画像光は、図15(A)の如く、光吸収部2の外表面(画像表示パネル側の面)、すなわち、遮光領域A1,A2に入射する画像光LS 1,LS 2は吸収、遮光される。
但し、光吸収部2の平面視における面積占有率は少なく、通常10〜30%である為、70〜90%の画像光LTは透過光として出射する。この結果、光吸収部2による遮光量は、外光(LR 1,LL 1,・・・)については多く、画像光(LS 1,LS 2,・・・)については少なくなり、画像コントラスト(白画像輝度/黒画像輝度)は向上する。
マイクロルーバー層1Aのみの単層の場合には、遮光されずに透過していた外光のうち、図14(B)のLR 1とLR 2との間の(角度で入射する)外光、および、LL 1とLL 2との間の外光については、より画像表示パネル側に積層されたマイクロルーバー層1Bの光吸収部2に当たって吸収、遮光される。
すなわち、図14(B)に図示する如く、マイクロルーバー層1Aのみの単層の場合の遮光角範囲θR 1+θL 2よりも、マイクロルーバー層1Aおよびマイクロルーバー層1Bを積層したマイクロルーバー積層体10の遮光角範囲θR 2+θL 2は大きく、
θR 1+θL 1<θR 2+θL 2 ……〔式1〕
となる。
(A1+A2+・・)<(A1+A2+・・)+(A3+A4+A5+・・) ……〔式2〕
となる。
ΔI画像光{(A1+A2+・・)→(A1+A2+・・)+(A3+A4+A5+・・)}
<ΔI外光(θR 1+θL 1→θR 2+θL 2) ……〔式3〕
となる。
よって、第1のマイクロルーバー層1A及び第2のマイクロルーバー層1Bの積層体からなるマイクロルーバー積層体10の、コントラスト向上効果は、第1のマイクロルーバー層1A或いは第2のマイクロルーバー層1Bのみの単層構成の場合に比べて増大する。
図14およぴ図15において、外光LR 1,LR 2,LL 1,LL 2を画像観察者の視線に置き変えれば、容易に理解可能なように、マイクロルーバー層1A及びマイクロルーバー層1Bを積層したマイクロルーバー積層体10を、画像表示パネルの視野角規制シートとして用いる場合、マイクロルーバー層1A単層のみの場合においては、図14(A)の如く、視線を遮断する角度範囲は同図の遮光角範囲θR 1およびθL 1である。
これに対して、マイクロルーバー層1A及びマイクロルーバー層1Bを積層したマイクロルーバー積層体10とした場合においては、視線を遮断する角度範囲は、図15(B)の遮光角範囲θR 2およびθL 2となる。
そして、
θR 1+θL 1<θR 2+θL 2 ……〔式1〕
であるから、マイクロルーバー層1Aの単層、或いはマイクロルーバー層1Bの単層に比べて、これらを積層したマイクロルーバー積層体10の視線を遮断する角度範囲は広がる。
しかも、画像光の光量の低下は最小限に抑え得ることは、前記のとおりである。
図1、図2などでは、マイクロルーバー層1は、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとの2層を積層した形態であったが、積層数はこれに限らず、所望の画像コントラスト向上性能、或いは視野角規制性能を発現するのに必要な層数を積層することができる。通常、上記積層数は2〜5である。
また、図2の如く、間に透明基材4aを介して、マイクロルーバー層1Aとマイクロルーバー層1Bとを積層する形態とすることもできる。この形態において、前記透明基材4aの厚みは、第1のマイクロルーバー層1A,第2のマイクロルーバー層1Bの厚みと同等以下とする。透明基材4aについては、後述する。
以上説明したようなマイクロルーバー層1を作製する方法をその一例で説明する。以下説明する作製方法では、まず光透過部3を形成し、その後に光吸収部2を形成することによって、マイクロルーバー層1を作製する。
以下の説明で、透明基材4は、透明基材4a又は透明基材4bに該当する。
図2に例示する実施形態例では、第1のマイクロルーバー層1Aと第2のマイクロルーバー層1Bとは、間に透明基材4aを介して積層された形態であった。
この透明基材4aとしては、大別して2形態をとり得る。
(1)特に透明基材4aが、それ自体独立して、予め形成された、非接着性のシート(フィルム乃至は板も含む)状物からなる形態。このような透明基材4aの材料としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル等の樹脂材料、ガラス、セラミックス等の無機材料が用いられる。
(2)特に透明基材4aが、第1のマイクロルーバー層1A及び第2のマイクロルーバー層1Bと接着性を有する透明な接着剤からなる形態。このような接着剤の材料としては、第1のマイクロルーバー層1A,第2のマイクロルーバー層1Bの材料に応じて、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂等から選定する。
この透明基材4bとしては、透明基材4aにおいて説明した(1)の形態、つまり、それ自体独立して予め形成された非接着性のシート(フィルム乃至は板も含む)状物からなる形態としての材料を適宜採用することができる。
前述した第1のマイクロルーバー層1A及び第2のマイクロルーバー層1Bは、光学的機能を有し、これらの層は機能層の一種であるが、本発明によるマイクロルーバー積層体10は、これ以外のその他の機能を担う機能層を必要に応じて設けても良い。
機能層の位置は、マイクロルーバー積層体10の画像表示パネル側、画像観察者側、或いは、これらの両側などである。
機能層が反射防止層または防眩層の場合は、最も画像観察者側の最表面に配置するが、これ以外の機能層を配置する位置は適宜に設定される。
光学機能層:反射防止層、防眩層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、ネオン光吸収層、着色層など。
非光学機能層:電磁波遮蔽層、帯電防止層、防汚層、耐衝撃層、ハードコート層など。
本発明のマイクロルーバー積層体10は、上記した形態以外のその他の形態をとり得る。以下、その一部を説明する。
開口領域Aの形状は、少なくとも五角形と六角形とを含むことが好ましい。開口領域Aに少なくとも五角形と六角形とを含むことによって、モアレを目立たなくさせることが出来ると共に、遮光パターン2Pの粗密による濃淡ムラもより確実に目立たなくさせることができる。更に好ましくは、開口領域Aの形状が五角形、六角形、及び七角形を含む様にする。
例えば、図4の遮光パターン2Pについて、合計4631個の開口領域A(多角形)について計測したところ、
3角形 0個
4角形 79個
5角形 1141個
6角形 2382個
7角形 927個
8角形 94個
9角形 8個
10角形以上 0個
であった。
この遮光パターン2Pについて、分岐点Bから出る境界線分Lの平均本数を計測したところ3.07であった。
上述した実施形態では、マイクロルーバー積層体10中の第1のマイクロルーバー層1A及び第2のマイクロルーバー層1Bの光吸収部2の全領域において、該光吸収部2が有する遮光パターン2Pによって画成される開口領域Aが繰返周期を持つ方向が存在しないようになっている例を説明した。しかしながら、図16の様に、その内部に於いて光吸収部2が有する遮光パターン2Pの全領域が、単位パターン領域Sを複数集合して遮光パターン2Pの全領域が構成されるようにして、且つ各単位パターン領域S内に於いては、複数の開口領域Aが、所定の繰返周期のないパターンで配列されている領域からなるようにしてもよい。
すなわち、この形態に於いては、遮光パターン2Pの全領域中に、局所的に見たときに、同一パターンで開口領域群が配列されてなる単位パターン領域Sを2箇所以上含むようになる。この場合、特定方向について、一定周期で4箇所以上の繰返しが無ければ、単位パターン領域S同士の繋ぎ目は実質上目立ち難く、無視し得る。もちろん、単位パターン領域S中でモアレも濃淡ムラも生じていない。この例において、一つの単位パターン領域S内における遮光パターン2Pのパターンは、例えば、図5〜図9を参照しながら説明したパターン作成方法と同様にして作成することができる。
本発明による画像表示装置は、図17及び図18に例示する様に、上記の様なマイクロルーバー積層体10と、画像表示パネル20とを備える画像表示装置100である。本画像表示装置100は、上記画像表示パネル20以外に、筐体(キャビネット)、入出力部品等の他、画像表示装置の用途に応じて、例えば、テレビジョン受像機の場合はチューナ等の、公知の各種部品を備える。これらのその他の構成要素は、特に制限はなく、用途に応じたものとなる。
画像表示パネル20は、プラズマ画像表示パネル、液晶パネル、EL(電界発光)パネル等の平面画像を表示可能な表示パネルである。また、表示面が平面のブラウン管等でも良い。画像表示パネル20としては、ディスプレイ駆動回路等の各種回路、該駆動回路と画像表示パネル本体間の配線、これらを一体化するシャーシ、フレーム等を含んでいても良い。従って、画像表示パネル20は、「ディスプレイモジュール」乃至は「パネルモジュール」等と呼ぶこともできる。
図18(A)は、画像表示パネル20と、この画像表示パネル20の観察者V側に配置したマイクロルーバー積層体10との間に、機能層30を配置した形態である。図18(B)は、画像表示パネル20の観察者V側に本マイクロルーバー積層体10を配置し、このマイクロルーバー積層体10の観察者V側に機能層30を配置した形態である。図18(C)は、画像表示パネル20の観察者V側に本マイクロルーバー積層体10を配置し、機能層30は逆に画像表示パネル20の背面側に配置した形態である。
本発明によるマイクロルーバー積層体10は、各種画像表示パネルの観察者側の前面(画面)側、或いは逆側の背面側に配置する用途が好適である。また、このマイクロルーバー積層体10を備える画像表示装置100は、テレビジョン受像機、測定機器や計器類、事務用機器、医療機器、電算機器、電話機、電子看板、遊戯機器、デジタルフォトフレーム等の画像表示装置として好適である。
1A 第1のマイクロルーバー層
1B 第2のマイクロルーバー層
2 光吸収部
2P 遮光パターン
2Pd 二重に重ね合わされたときの遮光パターン
3 光透過部
3a ランド部
4 透明基材
4a 透明基材
4b 透明基材
5A 第1の中間積層体
5B 第2の中間積層体
10 マイクロルーバー積層体
20 画像表示パネル
30 機能層
40 従来のマイクロルーバーシート
41 従来のマイクロルーバー層
42 光吸収部
43 光透過部
44 無駄部分
100 画像表示装置
A 開口領域
B 分岐点
BP 母点
L 境界線分
Lt ライン部(境界線分の集合)
S 単位パターン領域
V 観察者
Claims (4)
- 光吸収部とこの光吸収部以外の部分の光透過部とからかなるマイクロルーバー層であって、
前記光吸収部をシート面に垂直な方向から見たときの平面視形状である遮光パターンが、
光透過部に対応する多数の開口領域を画成し、二つの分岐点の間を延びて前記開口領域を画成する多数の境界線分から形成され、一つの分岐点から延びる境界線分の数の平均値Nが、3.0<N<4.0であり、且つ、前記開口領域が一定の繰返周期で並べられている方向が存在しない領域を含んでなるパターンであり、
且つ、前記開口領域の大きさ径Dの最大値をD MAX 、最小値をD MIN としたときに、当該開口領域の大きさ径Dの分布範囲ΔD=D MAX −D MIN が開口領域の大きさ径Dの平均値D AVG に対して、0.1≦ΔD/D AVG ≦0.6であり、
このマイクロルーバー層を、遮光パターンが互いに独立な、第1のマイクロルーバー層と第2のマイクロルーバー層との少なくとも2層以上積層した、マイクロルーバー積層体。 - 前記開口部の形状が、五角形、六角形及び七角形を全て含んでいる、請求項1記載のマイクロルーバー積層体。
- 第1のマイクロルーバー層と第2のマイクロルーバー層との間に第1の透明基材が積層され、第2のマイクロルーバー層の前記第1のマイクロルーバー層の側とは反対側に第2の透明基材が積層された、請求項1または請求項2のいずれかに記載のマイクロルーバー積層体。
- 請求項1、請求項2または請求項3のいずれかに記載のマイクロルーバー積層体と画像表示パネルとを備える画像表示装置。
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