JP5961428B2 - 粘着剤組成物、及び粘着シート - Google Patents
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Description
しかしながら、このような着色シートは、特に、自動車、バス、電車等の車輌のウィンドーに貼って使用すると、屋内、雨天又は曇天、夜間又はトンネルの中では、光の透過性が低いために十分な視野が確保できず、安全性の面において問題があった。
特許文献1〜5に開示された着色シートは、このような特性を有するフォトクロミック性染料を着色シートに使用しているため、紫外線が照射されている環境下でのみ遮光性を示し、それ以外の環境下では透明性を示すことが可能とされている。
特に、特許文献5に開示されているような、一般的なアクリル系共重合体を含む粘着剤組成物を用いた着色シートは、長時間使用された後では、紫外線非照射の環境下でも変色した状態が恒常化してしまうという、耐候性の問題を有する。
すなわち、本発明は、下記[1]〜[4]を提供するものである。
[1]アルキル(メタ)アクリレート(a1)’由来の構成単位(a1)及び官能基含有モノマー(a2)’由来の構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及びナフトピラン系化合物からなるフォトクロミック性染料(C)を含有する粘着剤組成物であって、
アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対する、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有量が8.0質量%以下であり、第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位の含有量が1.5質量%以下であり、且つ構成単位(a2)の含有量が0.5質量%以上であって、
フォトクロミック性染料(C)の配合量が、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、1.50〜8.00質量部である、粘着剤組成物。
[2]アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対する、構成単位(a1)の含有量が55〜99.5質量%であり、構成単位(a2)の含有量が0.5〜35質量%である、上記[1]に記載の粘着剤組成物。
[3]官能基含有モノマー(a2)’がヒドロキシ基含有モノマーである、上記[1]又は[2]に記載の粘着剤組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する、粘着シート。
本発明の粘着剤組成物は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)’由来の構成単位(a1)及び官能基含有モノマー(a2)’由来の構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及びナフトピラン系化合物からなるフォトクロミック性染料(C)を含有する粘着剤組成物である。
ここで、アクリル系共重合体(A)は、該アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対する、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有量が8.0質量%以下であり、第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位の含有量が1.5質量%以下であり、且つ官能基含有モノマー(a2)’由来の構成単位(a2)の含有量が0.5質量%以上である。
また、フォトクロミック性染料(C)の配合量は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、1.50〜8.00質量部である。
以下、本発明の粘着剤組成物に含まれる、アクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、フォトクロミック性染料(C)、及びその他の配合剤について詳述する。なお、本発明において、例えば「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの両方を意味し、他の類似用語も同様である。
本発明で用いるアクリル系共重合体(A)は、アルキル(メタ)アクリレート(a1)’(以下、「モノマー(a1)’」ともいう)由来の構成単位(a1)及び官能基含有モノマー(a2)’ (以下、「モノマー(a2)’」ともいう)由来の構成単位(a2)を有し、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有量が8.0質量%以下であり、第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位の含有量が1.5質量%以下であり、且つ官能基含有モノマー(a2)’由来の構成単位(a2)の含有量が0.5質量%以上の共重合体である。また、アクリル系共重合体(A)は、モノマー(a1)’及び(a2)’以外のその他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
以下、アクリル系共重合体(A)の各構成単位について説明する。
本発明で用いるアクリル系共重合体(A)は、粘着力向上の観点から、アルキル(メタ)アクリレート(a1)’由来の構成単位(a1)を含有する。
これらのモノマー(a1)’は、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
なお、上述のモノマーを2種以上組み合わせて用いる場合、粘着剤層を薄膜化しても十分な粘着力を得る観点から、ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を、モノマー(a1)’由来の構成単位中、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%、更に好ましくは80〜100質量%含有することが好ましい。
本発明で用いるアクリル系共重合体(A)は、粘着力向上の観点から、官能基含有モノマー(a2)’由来の構成単位(a2)を含有する。
本発明において、「官能基含有モノマー」の「官能基」とは、後述の架橋剤(B)と反応し、架橋起点となり得る官能基又は架橋促進効果を有する官能基を示す。
このような官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、エポキシ基、シアノ基、ケト基、窒素元素含有環等が挙げられる。
特に、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有量が8.0質量%を超えると、長時間使用された後において、紫外線非照射の環境下でも変色した状態が恒常化してしまうという弊害が生じる傾向にある。
また、第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位の含有量が1.5質量%を超えると、長時間使用された後において、フォトクロミック性能が低下する傾向にある。
粘着力を向上させる観点から、カルボキシル基含有モノマー及び第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位のそれぞれの含有量は、アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。
一方、第1級アミノ基含有モノマーの構成単位の含有量は、上記観点から、アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、好ましくは0.01〜1.5質量%、より好ましくは0.03〜1.2質量%、更に好ましくは0.1〜0.8質量%である。
これらの中でも、凝集力を維持して粘着力を向上させる観点、及び得られる粘着剤組成物の耐候性を向上させる観点から、ヒドロキシ基含有モノマーが好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類がより好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
構成単位(a2)の含有量が0.5質量%未満であると、得られる粘着剤組成物の耐候性が低下し、特に長時間使用された後において、フォトクロミック性能の低下や、紫外線非照射の環境下でも変色した状態が恒常化してしまうという弊害が生じる傾向にある。一方、当該含有量が35質量%以下であれば、十分な粘着力を発現させると共に、得られる粘着剤組成物の耐候性も向上させることができる。
しかしながら、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有量が8.0質量%を超えることはなく、また、第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位の含有量が1.5質量%を超えることもない。
そのため、本発明で用いるアクリル共重合体(A)は、カルボキシル基含有モノマー及び第1級アミノ基含有モノマー以外のモノマー(a2)’由来の構成単位を含むことで、構成単位(a2)の含有量を上記範囲に属するように調整することが好ましい。
なお、アクリル系共重合体(A)は、構成単位として、上記モノマー(a1)’及び(a2)’以外のその他のモノマー由来の構成単位を含んでもよい。
その他のモノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、ビニリデンクロリド等のハロゲン化オレフィン類、スチレン、メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニルモノマー、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー等が挙げられる。
これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
用いる溶媒としては、例えば、酢酸エチル、トルエン等を挙げられる。
なお、重合反応に際し、重合開始剤を用いてもよい。重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等を挙げられる。
また、重合条件としては、特に限定されないが、重合温度50〜90℃で、反応時間2〜30時間の条件で行われることが好ましい。
なお、本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定した標準ポリスチレン換算の値を意味する。
また、本発明において、上記のアクリル系共重合体(A)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の粘着剤組成物は、凝集力を高めて所望の粘着力を得る観点から、アクリル系共重合体(A)が有する官能基と反応する架橋剤(B)を含有する。
架橋剤(B)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、及び金属キレート系架橋剤等が挙げられる。
上記の多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテル及びそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸グリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル及びポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジ又はトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジ又はトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン等のジグリシジルアミン等が挙げられる。
これらの中でも、高い粘着力を発現させる観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
本発明で用いるフォトクロミック性染料(C)は、フォトクロミック性能を有するものであり、ナフトピラン系化合物からなる。本発明の粘着剤組成物は、フォトクロミック性染料(C)として、ナフトピラン系化合物を含有することで、長時間使用された後でも、フォトクロミック性能の低下を抑制しつつ、紫外線非照射の環境下での変色が恒常化することを防ぎ得る、優れた耐候性を発現させることができる。また、有色から無色への色調変化の速度が速い粘着剤組成物とすることができる。
本発明において、ナフトピラン系化合物とは、ナフタレン環と、1個の酸素原子を有する6員環複素環とを含む化合物を意味する。
また、市販品としては、例えば、「D3197(製品名、東京化成工業社製、)」等が挙げられる。
フォトクロミック性染料(C)の配合量は、上記観点から、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは1.65〜6.00質量部、より好ましくは1.90〜4.80質量部、より好ましくは2.20〜4.20質量部、更に好ましくは2.60〜3.40質量部である。
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわず、粘着力等の特性を阻害しない範囲で、さらにその他の配合剤を含有してもよい。
その他の配合剤としては、例えば、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、樹脂安定剤、充填剤、顔料、増量剤、赤外線/近赤外線吸収剤、防腐・防かび剤、防錆剤、可塑剤、高沸点溶剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いる粘着剤組成物には、得られる粘着剤組成物の粘着力を更に向上させる観点から、さらに粘着付与剤を含有してもよい。
粘着付与剤としては、公知の粘着付与剤が挙げられるが、粘着剤組成物の耐候性を良好とし、フォトクロミック性能を維持する観点から、水素化石油樹脂が好ましい。
本発明において、水素化石油樹脂とは、水素化触媒を使用して、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、シクロペンタジエン系石油樹脂等の石油樹脂を水素化したものを意味する。
本発明の粘着剤組成物は、さらに酸化防止剤を配合することができる。本発明の粘着剤組成物は、酸化防止剤を配合しても、フォトクロミック性能等を損なうことがない。同時に、酸化防止剤を配合することにより、高湿熱に対する耐久性に優れた粘着剤組成物とすることができる。
ヒンダードフェノール基のベータ位が2つともt−ブチル基であるヒンダードフェノール系酸化防止剤は、長時間の駆動や屋外での駆動環境下で用いる場合において、特に耐久性の向上という酸化防止剤としての性能に優れている。
紫外線吸収剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、オキサゾリアックアシッドアミド化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。市販品としては、Tinuvin765(BASS社製、ヒンダードアミン系化合物)等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物において紫外線吸収剤を配合する場合、紫外線吸収剤の配合量としては、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜3.0質量部、より好ましくは0.03〜2.0質量部、更に好ましくは0.04〜1.0質量部である。
光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾフェノン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物において光安定剤を配合する場合、光安定剤の配合量としては、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜2質量部である。
樹脂安定剤としては、例えば、イミダゾール系樹脂安定剤、ジチオカルバミン酸塩系樹脂安定剤、リン系樹脂安定剤、硫黄エステル系樹脂安定剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤組成物において樹脂安定剤を配合する場合、樹脂安定剤の配合量としては、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜3質量部である。
本発明の粘着シートは、上述の本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有するものであり、基材や剥離材上に当該粘着剤層を有する粘着シートが好ましい。本発明の粘着シートの構成は、特に限定されず、図1(a)に示された粘着シート1aのように、基材11上に粘着剤層12を形成した粘着シートに限られない。
例えば、図1(b)示された粘着シート1bのように、基材11上に形成した粘着剤層12上に、更に別の基材11’が形成された粘着シートや、図1(c)に示された粘着シート1cのように、基材11上に形成した粘着剤層12上に、剥離可能な剥離材13を形成した粘着シート等が挙げられる。
また、図1(d)に示された粘着シート1dのように、基材を用いずに、粘着剤層12を、剥離材13と別の剥離材13’とで挟持した粘着シートとしてもよい。なお、粘着シート1dにおいて、剥離材13と剥離材13’とは、同じ種類の剥離材を用いてもよく、互いに異なる種類の剥離材を用いてもよいが、剥離材13と剥離材13’との剥離力差が異なるように調整することが好ましい。
基材としては、特に限定されず、粘着シートの使用目的に応じて適宜選定される。
基材としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、アセテート樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂等の樹脂、これらの混合物又は積層物からなるプラスチックフィルム又はプラスチックシート;上質紙、アート紙、コート紙、グラシン紙等の紙基材、これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙等の各種紙類;各種合成紙;アルミニウム箔、銅箔、鉄箔等の金属箔;不織布等の多孔質材料からなる基材等が挙げられる。なお、プラスチックフィルム及びプラスチックシート等は、未延伸でもよいし、縦又は横等の一軸方向あるいは二軸方向に延伸されていてもよい。
用いる基材の着色の有無については問わないが、紫外線を十分に透過する基材が好ましく、可視光領域においても無色透明である基材がより好ましい。
また、基材の表面又は裏面には、印刷、印字等を施してもよい。そのために、基材には、感熱記録層、熱転写、インクジェット、レーザー印字等が可能な印字受像層、印刷性向上層等が設けられてもよい。なお、不透明な基材に印刷・印字等された基材を用いた粘着シートは、該粘着シートの粘着剤層越しに印刷面を観察するような用途に使ってもよい。
酸化法としては、特に限定されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
また、凹凸化法としては、特には限定されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、粘着剤層との密着性の向上効果や操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい。また、プライマー処理を施すこともできる。
剥離材としては、基材上に剥離剤を塗布して製造したものが挙げられ、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等を用いることができる。
基材としては、例えば、グラシン紙、コート紙、上質紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム等が挙げられる。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
本発明の粘着シートの製造方法としては、特に制限は無く、例えば、本発明の粘着剤組成物に対して、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の有機溶媒を配合して、粘着剤組成物の溶液を調整し、基材上又は剥離材の剥離処理面上に、公知の塗布方法により、当該溶液を塗布及び乾燥し、粘着剤層を形成させて、粘着シートを得る方法等が挙げられる。
また、基材上に上記の方法で形成した粘着剤層と、別の基材とを貼り合わせれば、図1(b)に示された粘着シート1bを作製することができる。他に、基材又は剥離材上に上記の方法で形成した粘着剤層と、上述の剥離材の剥離処理面とを貼り合わせれば、図1(c)に示された粘着シート1cや、図1(d)に示された粘着シート1dとすることができる。
(1)粘着剤組成物の調製
アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=94.0/6.0(質量%)、重量平均分子量80万、固形分濃度34質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、トリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度75質量%)を2.21質量部(固形分比)、及びフォトクロミック性染料として、下記式(1)で表されるナフトピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「D3197」)を2.88質量部(固形分比)添加して混合し、メチルエチルケトンで希釈して、固形分濃度25質量%の粘着剤組成物の溶液を調製した。
(2)粘着シートの作製
基材として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ株式会社製、製品名「ルミラー」)を用い、当該PETフィルム上に、上記の粘着剤組成物の溶液を乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し、120℃で2分間加熱し、厚さ20μmの粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に、剥離シート(剥離材)として、剥離処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、製品名「SP−PET380101」)の剥離処理面を貼付して、粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=96.0/4.0(質量%)、重量平均分子量145万、固形分濃度17質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=99.0/1.0(質量%)、重量平均分子量29万、固形分濃度48質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)、メチルアクリレート(MA)、及び4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)からなるアクリル系共重合体(BA/MA/4HBA=79.0/20.0/1.0(質量%)、重量平均分子量90万、固形分濃度30質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、キシレンジイソシアネート系架橋剤(綜研化学社製、製品名「TD−75」、固形分濃度30質量%)を0.13質量部、及びフォトクロミック性染料として、上記式(1)で表されるナフトピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「D3197」)を2.88質量部(固形分比)添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)からなるアクリル系共重合体(BA/HEA=70.0/30.0(質量%)、重量平均分子量90万、固形分濃度30質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、トリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度75質量%)を4.25質量部(固形分比)、及びフォトクロミック性染料として、上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)を2.88質量部(固形分比)添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート(iBA)、酢酸ビニル(VAc)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、及びメタクリル酸(MAA)からなるアクリル系共重合体(BA/iBA/VAc/HEMA/MAA=44.0/44.0/5.76/6.20/0.04(質量%)、重量平均分子量80万、固形分濃度37質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートHL」、固形分濃度75質量%)を0.39質量部(固形分比)、及びフォトクロミック性染料として、上記式(1)で表されるナフトピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「D3197」)を2.88質量部(固形分比)添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例2の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、実施例2と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例3の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、実施例3と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例5の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、実施例5と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例6の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、実施例6と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=91.0/9.0(質量%)、重量平均分子量80万、固形分濃度34質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)及びアクリル酸(AA)からなるアクリル系共重合体(BA/AA=99.9/0.1(質量%)、重量平均分子量22万、固形分濃度47質量%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
比較例7の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、比較例7と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、酢酸ビニル(VAc)、及びアクリルアミド(AAm)からなるアクリル系共重合体(BA/EA/VAc/AAm=54.0/27.0/17.0/2.0(質量%)、重量平均分子量100万、固形分濃度24.6質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、トリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度75質量%)を3.05質量部(固形分比)、及びフォトクロミック性染料として、上記式(1)で表されるナフトピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「D3197」)を2.88質量部(固形分比)添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
比較例9の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(1)で表されるナフトピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「D3197」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、比較例9と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート(iBA)、酢酸ビニル(VAc)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、及びメタクリル酸(MAA)からなるアクリル系共重合体(BA/iBA/VAc/HEMA/MAA=44.0/44.0/5.76/6.20/0.04(質量%)、重量平均分子量80万、固形分濃度37質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートHL」、固形分濃度75質量%)を0.39質量部(固形分比)、及びフォトクロミック性染料として、下記式(2)で表されるスピロピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「T0366」)を2.88質量部(固形分比)添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
比較例11の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(2)で表されるスピロピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「T0366」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、比較例11と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
実施例1の粘着剤組成物において、アクリル系共重合体として、ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、酢酸ビニル(VAc)、及びアクリルアミド(AAm)からなるアクリル系共重合体(BA/EA/VAc/AAm=54.0/27.0/17.0/2.0(質量%)、重量平均分子量100万、固形分濃度24.6質量%)を用い、該アクリル系共重合体の固形分100質量部に対し、架橋剤として、トリレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、製品名「コロネートL」、固形分濃度75質量%)を3.05質量部(固形分比)、及びフォトクロミック性染料として、上記式(2)で表されるスピロピラン系化合物(東京化成工業社製、製品名「T0366」)を2.88質量部(固形分比)添加した以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
比較例13の粘着剤組成物において、フォトクロミック性染料として用いた上記式(2)で表されるスピロピラン系染料(東京化成工業社製、製品名「T0366」)の添加量を0.96質量部(固形分比)とした以外は、比較例13と同様にして、粘着剤組成物の溶液を調製し、該組成物の溶液を用いて粘着シートを作製した。
(1)紫外線非照射の環境下での着色の有無の評価
実施例及び比較例で作製した粘着シートを20mm×20mmの大きさに裁断し、剥離シートを除去し、表出した粘着剤層面とガラス板(エヌ・エス・ジー・プレシジョン社製、製品名「コーニングガラス イーグルXG」、150mm×70mm×2mm)とをスキージーを用いて貼り合わせ、評価用サンプルを作製した。
初めに、紫外線を照射していない環境下にて、上記評価用サンプルを目視で観察し、下記基準に基づき、着色されているか否かの評価を行った。なお、当該評価結果は、表1中の「作製直後」の欄に記載している。
さらに耐候性試験機(スガ試験機社製、製品名「紫外線フェードメーターU48」、光源:カーボンアークランプ(以下、「FOM」ともいう))を用いて、当該評価用サンプルを75時間及び150時間照射した。その後、紫外線が照射されていない環境下にて、当該評価用サンプルを目視で観察し、下記基準に基づき、着色されているか否かの評価を行った。なお、当該評価結果は、表1中の「FOM75h」及び「FOM150h」の欄に記載している。
(紫外線非照射の環境下での着色の有無の評価基準)
A+:着色が認められず、無色である。
A:凝視すればわずかな着色が認められるが、ほぼ無色に近い。
B:淡黄、淡赤、淡茶等の淡色の着色が認められる。
C:黄、赤、茶等の着色がはっきりと認められる。
上述のとおり作製した評価用サンプルに対して、紫外線照射装置(アズワン社製、製品名「Handy UV Lamp SLUV−4」)を用いて、紫外線(波長365nm)を5秒間照射し、当該評価用サンプルを目視で観察し、下記基準に基づき、発色するか否かの評価を行った。なお、当該評価結果は、表1中の「作製直後」の欄に記載している。
さらに耐候性試験機(スガ試験機社製、製品名「フェードメーターU48」、光源:カーボンアークランプ)を用いて、当該評価用サンプルを25時間、50時間照射した。その後、評価用サンプルに、上述の紫外線照射装置を用いて、紫外線(波長365nm)を5秒間照射し、当該評価用サンプルを目視で観察し、上記と同様に評価した。なお、当該評価結果は、それぞれ表1中の「FOM25h」及び「FOM50h」の欄に記載している。
(フォトクロミック性能の評価基準)
A:十分に発色する。
B:発色する。
C:発色しない(変化なし)。
上述のとおり作製した評価用サンプルに対して、紫外線照射装置(アズワン社製、製品名「Handy UV Lamp SLUV−4」)を用いて、紫外線(波長365nm)を5秒間照射し、当該評価用サンプルが、紫外線照射前の状態まで色が戻るのに要した時間を測定し、測定時間に応じて、以下の通り評価をした。
A:30秒未満で消色する。
F:30秒以上経っても消色しない。
また、フェードメーターに50時間投入した後においても、紫外線照射により発色が確認され、フォトクロミック性能が維持され、優れた耐候性を有していることが分かる。
さらに、消色時間も短く、有色から無色への色調変化の速度が速いことも分かる。
一方、比較例1〜14の粘着シートは、上記の評価のいずれかの点で劣る結果となった。
そのため、本発明の粘着シートは、窓ガラスや壁面、間仕切り用のガラスや透明樹脂板、ブラックライトが照射される空間内で使用されるイルミネーション用のガラスや透明樹脂板、自動車、バス、電車等の車輌、サングラス、眼鏡等のレンズ等において、光の透過性を調節する目的で貼付され、屋外もしくは屋内で使用される着色シートの用途として好適である。
11、11’ 基材
12 粘着剤層
13、13’ 剥離材
Claims (7)
- アルキル(メタ)アクリレート(a1)’由来の構成単位(a1)及び官能基含有モノマー(a2)’由来の構成単位(a2)を有するアクリル系共重合体(A)、架橋剤(B)、及びナフトピラン系化合物からなるフォトクロミック性染料(C)を含有する粘着剤組成物であって、
アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対する、カルボキシル基含有モノマー由来の構成単位の含有量が8.0質量%以下であり、第1級アミノ基含有モノマー由来の構成単位の含有量が1.5質量%以下であり、且つ構成単位(a2)の含有量が0.5質量%以上であり、
フォトクロミック性染料(C)の配合量が、アクリル系共重合体(A)100質量部に対して、1.50〜8.00質量部であって、
光の透過性を調節する目的で貼付され、屋外もしくは屋内で使用される着色シートに用いられる、粘着剤組成物。 - アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対する、構成単位(a1)の含有量が55〜99.5質量%であり、構成単位(a2)の含有量が0.5〜35質量%である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 官能基含有モノマー(a2)’がヒドロキシ基含有モノマーである、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
- アクリル系共重合体(A)の含有量が、前記粘着剤組成物の総量に対して、70〜99.5質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- アクリル系共重合体(A)が有する構成単位(a1)中における、ブチル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有割合が、50〜100質量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- フォトクロミック性染料(C)が、2,2−ジフェニルナフト−(2,1−b)−ピラン、2,2−ジ(p−メトキシフェニル)ナフト−(2,1−b)−ピラン、1,3,3−トリフェニルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)−ピラン]、1−(2,3,4,5,6−ペンタメチルベンジル)−3,3−ジメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)−ピラン]、及び、1−(2−ニトロベンジル)−3,3−ジメチルスピロ[インドリン−2,3’−(3H)−ナフト−(2,1−b)−ピラン]から選ばれる1種以上のナフトピラン系化合物である、請求項1〜5のいずれかに記載の粘着剤組成物。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する、粘着シート。
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