JP5961075B2 - 冷温蔵装置 - Google Patents
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Description
より具体的には、カートは、断熱箱からなる扉付きの本体内が、断熱性の仕切壁を挟んで温蔵室と冷蔵室とに左右に分けられ、トレイは、仕切壁を貫通して複数段に亘って収納され、各トレイの温食載置部が温蔵室側に、冷食載置部が冷蔵室側にそれぞれ配される。
また、両熱交換室並びに温蔵室、冷蔵室とには所定箇所に通口が形成され、カートが上記したステーション内に収納されると、対応する通口同士が接続されつつ、第1熱交換室と温蔵室の間、並びに第2熱交換室と冷蔵室の間に、それぞれ空気の循環路が形成されるようになっている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、カート本体の天板に反りが生じるのを防ぐところにある。
(1)前記第2天板には、前記第1天板を所定のクリアランスを持って嵌合可能な嵌合孔が形成され、この嵌合孔の下部孔縁には、前記第1天板の周縁を受ける受け部が周設されている。簡単な構造で反り防止が実現できる。
(2)前記第1天板に形成された通口の上面の周縁にはリブが立てられている。第2天板が反り等の変形から補強されるとともに、通口から浸水することが防止される。
(3)前記第2天板は、前記第1天板と比べて耐熱性が低い素材で形成されている。第1天板は比較的安価な素材で形成したから、材料費が削減できてひいては製造コストの低減に寄与し得る。
本発明の一実施形態を図1ないし図6によって説明する。この実施形態では、病院等で給食を配膳する場合に用いて好適な冷温蔵装置を例示しており、図1ないし図3に示すように、トレイTを収納するカート10と、トレイTに載せられた給食を冷却、加熱する手段を備えて上記のカート10を出し入れ可能に収納するステーション50とから構成されている。
トレイTは、境界部Taが仕切壁33を貫通し、かつ両端部がトレイ受け34で受けられつつ前後両面から挿入され、奥行の前後両側において、それぞれ複数段に亘って収納されるようになっている。
フレームカート30は、ガイドフレーム37をガイド溝15に挿入しつつカート本体11内に手前側から挿入され、奥側のガイドフレーム37がガイド溝15の奥面に当たったところで挿入が停止される。このときフレームカート30がカート本体11内にすっぽりと収納され、前後の断熱扉12を閉鎖することによって、カート本体11内には、仕切壁33を挟んだ左右両側に、断熱された2つの貯蔵室20が形成されることになる。この実施形態では、正面視の左側に温蔵室20Hが、右側に冷蔵室20Cがそれぞれ形成される。
カート本体11の天井壁21Aの左右両側縁部には、上記の空気流通路21の上端と連通するようにして、それぞれ前後方向に細長い吹出通口24が形成されている。ただし、同吹出通口24は4個に分割されている。一方、天井壁21Aの中央部には、温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cと個別に連通する吸込通口25が形成されている。
ステーション50の内部には、上記したカート10を正面の出入口51から出し入れして収納可能な収納室52が設けられている。収納室52の天井部分には、2つの熱交換室60が左右に区画されて形成されている。図3に示すように、収納室52内にカート10が正規に収納された場合において、正面視左側の第1熱交換室60Hは、カート10内の左側の領域に区画形成された温蔵室20Hの直上に対応し、右側の第2熱交換室60Cは、カート10内の右側に区画形成された冷蔵室20Cの直上に対応するようなっている。
第1熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの各上部室内には、正面視で奥側の領域に、それぞれ冷却手段である冷却器(図示せず)が配されているとともに、手前側の領域の底面には導入口63が開口されて、その上面に循環ファン64が配されている。各冷却器は、機械室58に配された圧縮機66、凝縮器ファン67A付きの凝縮器67等からなる冷凍装置と接続されて、個別に冷媒の供給と停止とが制御できるようになっている。
第1熱交換室60Hの上部室には、冷却器に加えて加熱手段であるヒータ70が装備されている。ヒータ70は全体として円筒形状に形成され、循環ファン64の外側に嵌るようにして配されている。
第1熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの底面には、隣りの熱交換室60に近い側の端縁寄りの位置、言い換えるとカート10の温蔵室20Hと冷蔵室20Cの吸込通口25と対応する位置に導入通口72が形成され、この導入通口72は、下部室に設けられた流路71の入口となっている。
一方、両熱交換室60H及び第2熱交換室60Cの底面における左右の側縁に寄った位置、すなわち温蔵室20Hと冷蔵室20Cの吹出通口24と対応する位置に、帯状の導出通口73が形成されている。この導出通口73は、下部室に設けられた流路71の出口となっている。
パッキン本体86の上端は、熱交換室60H,60C側の各通口72,73の口縁に固定されるようになっている。
一方、昇降ダクト80の上面側には、前後両端部にカム94を設けた操作レバー93が前後方向に渡されて支持され、手前側に設けたハンドル95により軸線回りに回動することに伴うカム作用で、昇降ダクト80が引張コイルばね90の付勢力に抗して押し下げられ、所定の下降位置まで下降したところでロックされるようになっている。この下降位置では、図3に示すように、各パッキン85のシール部87が、カート10の上面に形成された各通口24,25の口縁に密着する。
カート10の天井壁21Aは断熱壁として形成され、上面には合成樹脂製の天板40が張られている。上記したように、天井壁21Aには、左右両側縁部に、空気流通路21の上端と連通する前後方向に細長い吹出通口24(4分割されている)が形成されているとともに、中央部に、温蔵室20Hまたは冷蔵室20Cと個別に連通する吸込通口25が形成されているが、したがって天板40には、上記した各吹出通口24と吸込通口25の上端開口部44,45が形成されていることになる。なお、各上端開口部44,45の上面の周縁部には、一段下がった形態で、パッキン85のシール部87が密着するシール面46が形成されている。
第1天板41は、耐熱性に優れたガラス入りPPS(ポリフェニレンサルファイド)を素材とし、それに対して大きい方の第2天板42は、ガラス入りPPSよりは耐熱性の劣るアクリル変性塩ビを素材として形成されている。
また、第1天板41に開口された上端開口部44H,45Hの周縁には、リブ49が全周に亘って立ち上がり形成されている。
ステーション50から引き出されたカート10に対し、チルド保存された温食と冷食とを載置したトレイTが、温蔵室20Hと冷蔵室20Cとに亘るようにして複数段に収納される。トレイTの収納が完了したら、昇降ダクト80が上昇位置にある状態において、カート10がステーション50の収納室52内に入れられる。
カート10が収納されたら、図3に示すように、昇降ダクト80を下降位置に下降させてロックすると、これに伴い、各パッキン85のシール部87が、対応するカート10の天板41,42の各上端開口部44,45の周縁のシール面46に密着し、これによりステーション50の熱交換室60H,60Cの下面に開口された通口72,73と、カート10の温蔵室20Hと冷蔵室20Cとの天井壁21Aに対向して開口された通口24,25同士が、パッキン85によって気密に接続され、第1熱交換室60Hと温蔵室20Hの間と、第2熱交換室60Cと冷蔵室20Cの間とに、それぞれに循環ファン64を備えた個別の空気循環路75H,75Cが形成される。
所定時間が経過すると、第1熱交換室60Hでは、冷却器が非作動状態となる一方で、ヒータ70に通電されて温蔵運転に切り替わり、第1熱交換室60Hで生成された暖気が温蔵室20Hに循環供給されることで、トレイTに載せられた温食が再加熱される。冷蔵室20C側では、庫内設定温度が3℃程度に下げられた上で引き続いて冷却状態とされ、冷食については冷蔵状態とされる。
配膳時刻となったら冷温蔵運転が停止され、昇降ダクト80を上昇位置に戻したのち、カート10を引っ張ってステーション50から出すと、温食は暖められ、冷食は冷やされた状態でそれぞれ盛られたトレイTが取り出され、配膳に供することができる。
しかしながら、同領域は、耐熱性に優れた第1天板41として形成されているため、熱による異変形を起こすことは回避される。また、第1天板41が加熱されて板面方向に沿って延びたしても、嵌合孔47の孔縁との間にはクリアランスcが設けられていることで吸収され、第2天板42側から反力を受ける等が規制されて、天板40全体として反りが生じることが防止される。
温蔵室20Hを温蔵状態にする場合には、カート10の天井壁21Aにおける温蔵室20H側の通口24,25に高温の暖気が通り、したがって第1天板41の上端開口部44H,45Hにも高温の暖気が通って、同第1天板41が伸縮する可能性があるが、この第1天板41の伸縮は、第2天板42の嵌合孔47の孔縁との間に設けられたクリアランスcで吸収され、第2天板42側から反力を受ける等が抑制され、天板40全体として反りが生じることが防止される。
第1天板41と第2天板42とをクリアランスcを持って組み付けるに当たり、第2天板42に形成した嵌合孔47に第1天板41を嵌めるようにし、しかも第1天板41の一部の周縁のみを嵌合孔47の孔縁に設けた受け部47Aを挟み、他の周縁部は受け部47Aに載せるだけとしており、簡単な構造に留めることができる。
第2天板42については、第1天板41と比べて多少耐熱性には劣るものの比較的安価な素材で形成したから、材料費が削減できてひいては製造コストの低減に寄与することができる。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、第1天板の形状を略台形としたのであるが、温蔵室側の通口の形状や配置に応じて、それらの通口の上端開口部を含む領域に対応している限り、任意の形状に形成することが可能である。
(2)上記実施形態に例示した第1天板と第2天板の素材はあくまでも一例であって、他の素材により形成してもよい。
(3)第1天板について、第2天板と同様に耐熱性に優れた素材により形成してもよい。
(4)本発明は、ステーションの天井部の下面に設けられた熱交換室側通口と、カート本体の上面に設けられた貯蔵室側通口とが、昇降ダクトを介することなく、直接的に気密に接続される形式のものにも同様に適用することが可能である。
(5)本発明は、カートが、カート本体とフレームカートとが一体化されたような構造であるものについても、同様に適用することができる。
(6)なお、冷温蔵の制御方式として、チルド保存(3〜5℃)されたトレイを温蔵室と冷蔵室とに亘って収納したのち、初めは温蔵室と冷蔵室ともに引き続いてチルド保存し、所定時間が経過したら、温蔵室側では再加熱し、冷蔵室側でさらに続いてチルド保存をする、といった冷温蔵制御を行うようにしてもよく、そのような冷温蔵の制御方式を採用したものも、本発明の技術的範囲に含まれる。
Claims (4)
- 側面が開口された断熱箱からなるカート本体と、同カート本体内を温蔵室と冷蔵室とに仕切る断熱性の仕切壁と、前記カート本体の前記開口部を開閉する扉とを備え、トレイが前記仕切壁を貫通して前記温蔵室と前記冷蔵室とに亘る形態で複数段に収納されるキャスタ付きのカートと、
前記カートが出し入れ可能に収納され、冷却手段と加熱手段とを装備した第1熱交換室と、冷却手段を装備した第2熱交換室とが天井壁に水平方向に並んで区画形成されたステーションとが設けられ、
前記カートが前記ステーション内に収納された場合に、前記第1熱交換室と前記温蔵室の間と、前記第2熱交換室と前記冷蔵室の間とに個別の空気循環路が形成され、かつこれらの空気循環路は、前記ステーションの天井部の下面と前記カート本体の上面とに対向して設けられた熱交換室側通口と貯蔵室側通口とが接続されることで構成されるようになっているとともに、
前記冷却手段と前記加熱手段との作動を制御する制御手段が設けられた冷温蔵装置において、
前記カート本体の上面を構成する天板が、前記温蔵室側の通口を含む所定領域に相当する第1天板と、残りの上面領域に相当する第2天板とからなり、かつ両天板は、板面に沿った方向の移動を許容するクリアランスを有する形態で一体的に組み付けられていることを特徴とする冷温蔵装置。 - 前記第2天板には、前記第1天板を所定のクリアランスを持って嵌合可能な嵌合孔が形成され、この嵌合孔の下部孔縁には、前記第1天板の周縁を受ける受け部が周設されていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫。
- 前記第1天板に形成された通口の上面の周縁にはリブが立てられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷温蔵装置。
- 前記第2天板は、前記第1天板と比べて耐熱性が低い素材で形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の冷温蔵装置。
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