JP5959153B2 - トンネル施工方法 - Google Patents
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図1〜図3は、本発明の一実施形態におけるトンネル掘削装置の概略構成を示す。尚、図2及び図3では、図示簡略化のために、ベースマシン及びブームアームを破線で示している。また、図1及び図3は、カッタヘッドが坑の周縁部のうち天端部に接触した状態を示す。また、図2及び図3は、カッタヘッドが坑の周縁部のうち左側端部に接触した状態を示す。
トンネルの主要部である坑1は、ダイナマイト等の爆薬を用いて地山2を発破掘削して形成される。坑1は、その周縁部(図1〜図3に示す一点鎖線)1aが、掘削計画線(図1〜図3に示す実線)1bより若干トンネル内方に位置している。
ベースマシン20は、その下部に装備された走行手段である履帯22と、ベースマシン本体23と、ベースマシン本体23を履帯22に対してその上方にて水平旋回させる旋回装置24と、を含んで構成される。すなわち、ベースマシン20は、その下部に履帯22を装備した全旋回式ベースマシンである。
ブーム31は、その基端部が、水平方向に延びる枢支軸21を介してベースマシン本体23の前部に枢支される一方、先端部が、水平方向に延びる枢支軸33を介してアーム32の基端部に枢支される。
カッタヘッドユニット40は、内部に油圧モータ及び減速機を備えた駆動ユニット41と、回転シャフト42と、カッタヘッド43とを含んで構成される。
図4は、カッタヘッド43の概略構成を示す。また、図5は、カッタヘッド43上のビット配置を示す。尚、図5は、図示簡略化のため、カッタヘッド43を構成するビットボックス45と、これに取り付けられたビット46の尖端とを図示している。
ビットボックス45の中央部分には、ビット46の回転軸部が挿入される挿入孔45aが形成されている。
図5に実線で示された複数の同心円は、カッタヘッド43の回転時に、図4に示す各ビット46ごとのビット本体46aの尖端が描く軌跡である。これら軌跡のうち輪郭46bの頂点46cより最も離間したビット46の尖端46dが描く軌跡の直径Dmax (図4参照)は、700mm〜900mmの範囲内である。
トンネル工事に使用される油圧ショベルのベースマシンにおいてバケット容量0.5〜1.0m3級(新JIS規格)のものが多用される理由としては、以下の2点が挙げられる。
(1)目的物であるトンネルの用途が車両用道路や鉄道等であるため、断面形状、特に断面高さが一定の範囲に限定されることから、必要とするブームアームの枢支高さ及びブームアームの伸長時長さが定まり、この結果、使用に適した機種が上述のバケット容量に対応する機種となること。
(2)トンネル工事で使用する機械が運搬車により車両用道路を通行してトンネル工事場所に搬入・搬出されることから、運搬車への積載に適した機種が上述のバケット容量に対応する機種となること。
また、表1に示すブームアームの伸長時長さAと、カッタヘッドユニットの長手方向長さ(例えば、1.5m〜2.2m)とを考慮して、本実施形態では、ブームアームの枢支点(枢支軸21)からカッタヘッドの先端までの距離Kとして想定される範囲を、8.5m〜10.8mとする。
表2及び図6は、ブームアームの枢支高さhと、ブームアームの枢支点からカッタヘッドの先端までの距離Kと、カッタヘッドの第1角度θ1と、掘削高さとの関係を示す。
カッタヘッド4a(第1角度θ1=40°)は、ブームアームの枢支高さhが1.5mであり、かつ、ブームアームの枢支点からカッタヘッドの先端までの距離Kが8.5mである場合を示している。この場合には、カッタヘッド4aの輪郭の稜線を坑1の周縁部1aの天端部に適切に接触させるためにブームアームの仰角を50°とするので、掘削高さは8.0mとなる。
ブームアームの仰角が50°を上回る場合には、仕上掘削時の飛び石等がベースマシン20に落下・衝突する可能性が高まるので、ベースマシン20の損傷が懸念される。
また、本実施形態では、図1〜図3に示すように、ベースマシン20をトンネル中央の施工基面3上に配置して切羽に対向させ、この状態にて、ベースマシン20の履帯22による前後動と、旋回装置24によるベースマシン本体23の水平旋回と、ブームアーム30の上下揺動とを組み合わせることにより、カッタヘッド43を用いて、例えば、坑1の周縁部1aの左側端部(図2及び図3)から天端部(図1及び図3)を介して右側端部まで連続的に仕上掘削を行うことが可能である。
図7及び図8は、トンネルの切羽近傍の天端における掘進方向断面を示す。
「CII」クラスでは、一般に軟岩であり、掘削面を局部的に掘削すると周囲の岩盤に小崩落が誘発されて掘削が進行する特徴がある。このため、一般的な油圧ショベルのブームアームの先端にブレーカーを取り付けて、このブレーカーにより岩盤を打撃破砕して仕上掘削を行うと、岩盤の崩落が過度に進行する虞がある。このため、本例では、発破掘削を行って坑1を形成した後に、トンネル掘削装置10を用いて坑1の周縁部1aを研磨するように仕上掘削する。
トンネル施工時には、まず、図7(a)に示す切羽7に爆薬挿入用の穴(図示せず)をドリル等で削孔し、この穴にダイナマイト等の爆薬を挿入して発破・爆発させることにより、図7(b)に示すように、坑1を切羽7から切羽7’まで掘り進める。ここで、図7(b)に示すように、坑1は、掘削計画線1b(実線)より若干トンネル内方に坑1の周縁部1a(一点鎖線)が位置するように、掘削形成される。尚、この発破掘削時にはズリ出しが行われる。
これまでの掘削ズリ出し工程、鋼製支保工建込工程、一次覆工工程、及び、ロックボルト打設工程(すなわち、上述の図7(a)〜図8(e)に示した各工程)をまとめて1サイクルとする作業(以下、「第1作業」という)は、後述する覆工コンクリートの構築に先行して実施される。また、第1作業では、1サイクルで1スパン(例えばトンネル長さ1.2m分)の施工が行われ、例えば、1日間で3〜4サイクルの施工が行われる。
図9(a)及び図9(b)に示すように、掘削計画線1b(実線)より若干トンネル内方に坑1の周縁部1a(一点鎖線)が位置するように発破掘削して、坑1を切羽7から切羽7’まで掘り進めた後、図9(c)に示すように、トンネル掘削装置10を用いて、坑1の周縁部1aに周方向に延びる溝8を形成する。この溝8は、鋼製支保工6が建込まれる予定の位置に対応しており、その寸法は、例えば、深さt3が10cmであり、幅t4が30cmである。尚、溝8は、鋼製支保工6の建込み作業時に必要とされる空間である。
また、鋼製支保工6の建込み時には、支保工の建込み位置の微調整が必要である。この点、本例では、溝8が形成されることにより、支保工の建込み位置近傍に局部的に空間的余裕が生まれるので、建込みを容易に精度よく実施することができる。
また、本実施形態では、回転ドラム44は、先端面44a、第1テーパ面44b及び第2テーパ面44cからなる多段形状を有しているが、回転ドラム44の形状はこれに限らず、例えば、回転ドラム44は、その回転軸方向断面にて滑らかな略山型形状を有していてもよい。
1a 周縁部
1b 掘削計画線
1c 吹付コンクリートの表面
1d 覆工コンクリートの表面
2 地山
3 施工基面
4a〜4d カッタヘッド
5a〜5d カッタヘッド
6 鋼製支保工
7,7’ 切羽
8 溝
10 トンネル掘削装置
20 ベースマシン
21,21a,21b 枢支軸
22 履帯(走行手段)
23 ベースマシン本体
24 旋回装置
30 ブームアーム
31 ブーム
32 アーム
33 枢支軸
34 ブームジャッキ
35 アームジャッキ
40 カッタヘッドユニット
41 駆動ユニット
42 回転シャフト
43 カッタヘッド
44 回転ドラム
45 ビットボックス
46 ビット
46b 輪郭
46c 頂点
Claims (3)
- 掘削計画線よりトンネル内方に坑の周縁部が位置するように爆薬を用いて地山を発破掘削して前記坑を形成する工程と、
トンネル掘削装置を用いて前記周縁部の仕上掘削を行うことにより前記周縁部を前記掘削計画線に近づける工程と、
前記周縁部に吹付コンクリートを吹き付ける工程、及び/又は、前記周縁部に覆工コンクリートを構築する工程と、
を含み、
前記トンネル掘削装置は、下部に走行手段を装備した全旋回式ベースマシンと、このベースマシンに基端部が枢支されて上下方向に揺動可能なブームアームと、このブームアームの先端部に取り付けられ、かつ、前記ブームアームの延長方向と略同一方向を回転軸として回転可能なカッタヘッドと、を備え、
前記カッタヘッドは、前記回転軸を中心に回転可能な回転ドラムと、この回転ドラムの外周面上に取り付けられた複数のビットと、を含んで構成され、
前記カッタヘッドの回転時における前記ビットの移動領域を前記回転軸に対して平行な面に投影した場合の前記移動領域の輪郭が前記カッタヘッドの先端を頂点とする略山型形状であり、
前記輪郭の頂点と前記ビットのうち前記輪郭の頂点より最も離間したビットの尖端とを結んだ直線と、前記回転軸に直交する直線とのなす角度が40°〜50°の範囲内であり、
前記トンネル掘削装置は、前記カッタヘッドを回転させつつ前記周縁部に接触させることにより前記周縁部の仕上掘削を行い、
前記周縁部の天端部の仕上掘削を行う際に、前記ブームアームの仰角が40°〜50°の範囲内である、
トンネル施工方法。 - 前記輪郭の稜線と、前記回転軸に直交する直線とのなす角度が60°以下である、請求項1に記載のトンネル施工方法。
- 前記カッタヘッドの回転時に前記最も離間したビットの尖端が描く軌跡の直径は、700mm〜900mmの範囲内である、請求項1又は請求項2に記載のトンネル施工方法。
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