以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明は、例えば図1に示すように構成された通信情報提供システムに適用される。この通信情報提供システムは、ユーザ端末1、複数のDNSサーバ2A,2B,2C(以下、総称する場合には単に「DNSサーバ2」と呼ぶ。)、及び、複数の無線アクセスポイント3A,3B(以下、総称する場合には単に「無線アクセスポイント3」、「AP」とも呼ぶ。)を含む。この通信情報提供システムは、ユーザ端末1が無線アクセスポイント3に本接続する前に、無線アクセスポイント3に関する通信情報をユーザ端末1に送信して、ユーザ端末1に複数の無線アクセスポイント3を提示可能とするものである。すなわち、この無線アクセスポイント3に関する通信情報は、無線アクセスポイント3に関する情報であってユーザ端末1によって任意の無線アクセスポイント3を選択可能とする情報である。
通信情報提供システムを構成する各部は、例えば、図2に示すような機能的な各部を有する。なお、ユーザ端末1、DNSサーバ2、無線アクセスポイント3は、実際にはROM、RAM、CPU等にて構成されているが、当該CPUがROMに格納されたプログラムに従って処理をすることによって実現できる機能をブロックとして説明する。
ユーザ端末1は、ユーザが保有する携帯型のパーソナルコンピュータ、スマートフォン等である。ユーザ端末1は、AP情報取得部11、AP情報表示部12、AP選択情報取得部13、無線制御部14を含む。
AP情報取得部11は、所定のプロトコルによって動作する有線通信I/Fである。AP情報取得部11は、DNSサーバ2と通信を行って無線アクセスポイント3に関する通信情報等を取得する。AP情報表示部12は、AP情報取得部11によって取得された無線アクセスポイント3に関する通信情報等をディスプレイに表示させる(情報提示手段)。これにより、ユーザ端末1は、複数の無線アクセスポイント3の通信情報を表示可能である。
AP選択情報取得部13は、ユーザによる無線アクセスポイント3を選択する操作を受け付ける。AP選択情報取得部13は、無線アクセスポイント3の選択結果としての選択情報を取得して、無線制御部14に供給する(選択手段)。無線制御部14は、所定のプロトコルによって動作する無線通信I/Fである。無線制御部14は、無線アクセスポイント3との間で無線通信を行う。無線制御部14は、AP選択情報取得部13から無線アクセスポイント3の選択情報を取得する。無線制御部14は、選択情報に基づいて、ユーザが選択した無線アクセスポイント3との間で無線通信を行って、ユーザ端末1をインターネット接続させる。これによって、ユーザ端末1は、ユーザが希望する無線アクセスポイント3と接続できる。
無線アクセスポイント3は、複数のユーザ端末1とDNSサーバ2とを接続させる。無線アクセスポイント3は、受信バッファ31、情報取得部32、情報送出部33を含む。無線アクセスポイント3は、ユーザ端末1から供給された情報を中継してインターネット網に送出すると共に、ユーザ端末1宛の情報をユーザ端末1に中継する。
また、無線アクセスポイント3は、DNSサーバ2に代えて、無線アクセスポイント3に関する通信情報等をユーザ端末1に供給してもよい。無線アクセスポイント3は、受信バッファ31によって、DNSサーバ2から供給された無線アクセスポイント3に関する通信情報等を受信する。情報取得部32は、受信バッファ31によって受信して保存された無線アクセスポイント3に関する通信情報等を取得する。情報送出部33は、情報取得部32によって取得された無線アクセスポイント3に関する通信情報等をユーザ端末1に送信する。なお、この無線アクセスポイント3に関する通信情報の登録処理は、後述する。
DNSサーバ2は、受信バッファ21、要求情報制御部22、登録部23、要求情報取得部24、AP情報抽出部25、記憶部26、情報送出部27を含む。受信バッファ21は、インターネット網を介して他のDNSサーバ2に接続されている。
DNSサーバ2は、ホスト名の入力があると、当該DNSサーバ2が持つIPアドレスを検索し、当該IPアドレスを提供する。DNSサーバ2は、当該名前解決機能に加え、無線アクセスポイント3の管理機能を有する。DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3の管理機能を、通常のインターネット接続用の通信によって実現する。
DNSサーバ2は、受信バッファ21によって、自己が接続可能な無線アクセスポイント3に関する通信情報を取得する。また、DNSサーバ2は、他のDNSサーバ2から、当該他のDNSサーバ2が接続可能な無線アクセスポイント3に関する通信情報等を取得する。受信バッファ21によって取得された無線アクセスポイント3に関する通信情報等は、記憶部26に記憶され、保持される。
これにより、DNSサーバ2は、他のDNSサーバ2との間で無線アクセスポイント3に関する通信情報を交換し、共有する。DNSサーバ2は、共有している無線アクセスポイント3に関する通信情報を、最新の情報に保つように管理する。DNSサーバ2は、共有している無線アクセスポイント3に関する通信情報を、無線アクセスポイント3を介してユーザ端末1に供給する。なお、DNSサーバ2は、同一通信事業者ではない場合であれば、1台で無線アクセスポイント3に関する通信情報を管理してもよい。また、DNSサーバ2は、ユーザ端末1に対して直接に、無線アクセスポイント3に関する通信情報を提供可能である。
また、受信バッファ21は、無線アクセスポイント3から、DNSサーバ2に無線アクセスポイント3に関する通信情報を登録する登録要求を受信する。受信バッファ21に保存された登録要求は要求情報制御部22に供給される。要求情報制御部22は、所定時間ごとに無線アクセスポイント3に関する通信情報を更新するよう制御する。特に、接続台数、平均通信帯域は、定期的に更新する。登録部23は、要求情報制御部22によって取得された無線アクセスポイント3に関する通信情報を登録するよう記憶部26に記憶する。なお、この無線アクセスポイント3に関する通信情報の登録処理は、後述する。
更に、受信バッファ21は、ユーザ端末1から、無線アクセスポイント3に関する通信情報等を取得する要求が供給される。この無線アクセスポイント3に関する通信情報の要求は、要求情報取得部24によって取得される。要求情報取得部24は、記憶部26に保持されている無線アクセスポイント3に関する通信情報から、当該要求に対応する無線アクセスポイント3に関する通信情報を抽出する。抽出された無線アクセスポイント3に関する通信情報は、情報送出部27を介して、無線アクセスポイント3又はユーザ端末1に送出される。
このような通信情報提供システムは、図3に示すように、ユーザ端末1が無線アクセスポイント3に接続し、無線アクセスポイント3がDNSサーバ2に接続する。この通信情報提供システムは、DNSサーバ2及び無線アクセスポイント3が、無線アクセスポイント3の通信情報保持手段、情報提供手段を含む情報提供装置として機能する。これら情報保持手段、情報提供手段は無線アクセスポイント3にあってもDNSサーバ2にあってもよい。情報提供手段がDNSサーバ2にある場合や、ユーザ端末1が有線を利用で事前に通信情報を取得する場合などは、ユーザ端末1がDNSサーバ2に直接問い合わせるのではなく、無線アクセスポイント3等を介して問い合わせる。このような接続関係において、無線アクセスポイント3に関する通信情報の管理手法としては、無線アクセスポイント方式とDNS方式とが挙げられる。なお、この管理手法は、後述する。
無線アクセスポイント方式は、無線アクセスポイント3にDNS簡易機能を追加する必要がある。これによって、自己の無線アクセスポイント3に関する通信情報のみを管理し、ユーザ端末1に提供する。DNS方式は、DNSのIPアドレス管理機能を応用し無線アクセスポイント3に関する通信情報を管理し、ユーザ端末1に提供する。本実施形態としての通信情報提供システムは、いずれの方式であってもよい。
また、無線アクセスポイント3に関する通信情報のDNSサーバ2への登録手法は、APプッシュ型と、DNSプル型がある。APプッシュ型は、無線アクセスポイント3に機能を追加し、無線アクセスポイント3が能動的にDNSサーバ2に、無線アクセスポイント3に関する通信情報を登録する。DNSプル型は、DNSサーバ2に機能を追加し、DNSサーバ2が能動的に無線アクセスポイント3から情報を取得して登録する。いずれの登録手法も、例えば30分ごとの定期的に、無線アクセスポイント3に関する通信情報を更新して、登録する。
これら無線アクセスポイント3及びDNSサーバ2は、無線アクセスポイント3に関する通信情報を保持する機能及び無線アクセスポイント3に関する通信情報を提供する機能を持つことになる。
この通信情報提供システムは、図1に示すように、先ず、(1)ユーザ端末1が任意の無線アクセスポイント3に仮接続する。この仮接続する無線アクセスポイント3は、通信速度が低いが無料で接続可能なものであることが望ましい。次に、(2a)ユーザ端末1が無線アクセスポイント3に関する通信情報を取得する。これにより、(2b)ユーザ端末1は、無線アクセスポイント3に関する通信情報を取得してユーザに提示し(情報提示手段)、接続先としての無線アクセスポイント3を選択できる(選択手段)。その後、(3)選択された無線アクセスポイント3は、ユーザ端末1の情報を、予め設定されたDNSサーバ2に登録する。これにより、ユーザ端末1は、無線アクセスポイント3、DNSサーバ2を介してインターネット網に接続して、無線アクセスポイント3の無線接続サービスを受けることができる。
更に具体的には、図4に無線アクセスポイントの選択方法を示すように、先ずユーザ端末1は、無線アクセスポイント3に対する仮接続のために、無線アクセスポイント3に接続要求C1を送信する。これにより、ユーザ端末1は、接続可能な無線アクセスポイント3があるかを問い合わせる。無線アクセスポイント3は、接続要求C1を受信したことに応じて、仮接続を許可する応答R1をユーザ端末1に返信する。
次にユーザ端末1は、無線アクセスポイント3に関する通信情報(無線情報とも呼ぶ。)を取得するために、情報要求C2を無線アクセスポイント3に送信する。無線アクセスポイント3は、情報要求C2を受信すると、当該情報要求C2を、無線アクセスポイント3に関する通信情報を管理しているDNSサーバ2に転送する。DNSサーバ2は、情報要求C2を受信すると、自己が管理している無線アクセスポイント3に関する通信情報を、応答R2として無線アクセスポイント3に返信する。無線アクセスポイント3は、DNSサーバ2から応答R2としての無線アクセスポイント3に関する通信情報を受信すると、当該応答R2をユーザ端末1に転送する。
これによりユーザ端末1は、自己が接続可能な無線アクセスポイント3に関する通信情報を取得する。また、ユーザ端末1は、AP情報表示部12によって、自己が接続可能な無線アクセスポイント3に関する通信情報を表示する。更に、ユーザ端末1は、ユーザの操作を受け付けて、何れかの無線アクセスポイント3と接続することが選択される。
例えば、図5に示すように、ユーザ端末1が接続可能な無線アクセスポイント3が、無線アクセスポイント3A、3B、3Cの3つがあるとする。無線アクセスポイント3Aに関する通信情報は、コスト:0.085円/パケット、接続端末数:10台、平均使用帯域:4000kbpsである。無線アクセスポイント3Bに関する通信情報は、コスト:0.05円/パケット、接続端末数:20台、平均使用帯域:800kbpsである。無線アクセスポイント3Cに関する通信情報は、コスト:0.055円/パケット、接続端末数:16台、平均使用帯域:1800kbpsである。したがって、ユーザ端末1は、これらの無線アクセスポイント3A、3B,3Cについての通信状況を表す情報をユーザに提示できる。
なお、無線アクセスポイント3に関する通信情報には、無線アクセスポイント3をユーザ端末1が選択可能にする情報であればよい。したがって、無線アクセスポイント3に関する通信情報には、無線アクセスポイント名や、IPアドレスが含まれていてもよい。また、コストは、1パケットあたりで示しているが、時間あたりでもよい。例えば、コストは10円/分といったように表現してもよい。更に、図5では、各無線アクセスポイント3にDNSサーバ2が接続されているが、DNSサーバ2は、1つでもよく、それぞれの通信事業者ごとにあってもよい。
図4に戻り、次にユーザ端末1は、選択した無線アクセスポイント3に対してユーザ端末1の情報を登録する登録要求C3を無線アクセスポイント3に送信する。このユーザ端末1の情報は、無線アクセスポイント3を利用することによって発生する料金支払いに必要なユーザ名やパスワード等である。無線アクセスポイント3は、登録要求C3に応じて、ユーザ端末1の情報を登録すると、応答R3をユーザ端末1に返信する。このとき、無線アクセスポイント3は、ユーザ端末1の登録情報をDNSサーバ2に送信する。無線アクセスポイント3は、ユーザ端末1がインターネット網に接続して料金を支払う料金支払登録をする。これにより、ユーザ端末1は、無線アクセスポイント3を介してインターネット網に接続が可能となる本接続状態となる。
以上のように、ユーザ端末1は、仮接続の段階で、無線アクセスポイント3に関する通信情報をユーザに提示する。これにより、ユーザは、例えばコストは高いが接続端末数が少なく平均使用帯域が大きい無線アクセスポイント3Aを選択することができる。
なお、ユーザ端末1が問い合わせる無線アクセスポイント3に関する通信情報は、接続料金、接続台数又は通信速度の少なくとも1つを含めばよい。
また、ユーザ端末1が問い合わせる無線アクセスポイント3に関する通信情報は、無線アクセスポイント3の属するカテゴリを識別する識別情報を含めてもよい。例えば図6(a)に示すように、DNSサーバ2は、ドメイン名「<ap name>.<vender>.ap.info」を構成し、その配下に無線アクセスポイント3に関する通信情報を登録する。このドメイン名において、<ap name>は、無線アクセスポイント3を特定する識別子である。<vender>は、事業者を特定する識別子である。これらは、無線アクセスポイント3の属するカテゴリを識別する識別情報となる。なお、この無線アクセスポイント3の識別情報は、当該無線アクセスポイント3が設置されている位置を中心とした無線通信可能な(カバーできる)エリアであってもよい。
ドメイン名の配下に登録される無線アクセスポイント3に関する通信情報は、例えば、図6(b)のように記述する。DNSサーバ2は、当該DNSサーバ2に登録される情報を、TXTレコード構造によって登録している。DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3に関する通信情報を特定するための識別子としての“<info tag>”に、テキストデータとしての“TXT<情報>”を紐付けて登録する。このテキストデータには、無線アクセスポイント3に関する各種の情報を書き込むことができる。テキストデータには、本例ではドメイン名である無線アクセスポイント3の属するカテゴリを識別する識別情報も関連づけられる。これにより、DNSサーバ2に接続可能なDNSサーバ2が多数存在しても、各無線アクセスポイント3を管理できる。
更に図6(c)に示すように、例えば、無線アクセスポイント3の接続料金の情報を登録する場合、コスト情報であることを示す識別子としての“cost”に、テキストデータとしての<料金情報>を紐付けて登録することができる。
つぎに、上述した通信情報提供システムにおいて、無線情報としての無線アクセスポイント3に関する通信情報をDNSサーバ2に登録することについて説明する。
図7に示した無線アクセスポイント3に関する通信情報の登録処理は、DNSサーバ2が無線アクセスポイント3に問い合わせるプル方式である。この方式は、予めDNSサーバ2に無線アクセスポイント3のIPアドレスを登録しておく。そして、所定の時間間隔となると、DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3に、無線情報としての無線アクセスポイント3に関する通信情報の登録要求C11を送信する。このとき、DNSサーバ2は、図8に示すように、予め用意しておいた無線アクセスポイント3のリストを取得する(ステップS11)。この無線アクセスポイント3のリストは、DNSサーバ2がアクセスして作成してもよく、管理者によって入力したものであってもよい。なお、ユーザ端末1が接続できる無線アクセスポイント3が複数あるときには、それぞれの無線アクセスポイント3に接続して通信情報を取得する構成でもよい。
無線アクセスポイント3は、登録要求C11を受信すると、自身の通信状況、コスト、識別情報等を取得する。無線アクセスポイント3は、取得した通信情報等の登録要求を含む応答R11をDNSサーバ2に返信する。
これにより、DNSサーバ2は、受信した無線アクセスポイント3に関する通信情報等を取得して(ステップS12)、登録できる(ステップS13)。DNSサーバ2は、全ての無線アクセスポイント3の通信情報等を取得し、無線アクセスポイント3のリストが終わったか否かを判定する(ステップS14)。無線アクセスポイント3のリストが終わっていない場合には、ステップS12、13を繰り返す。
無線アクセスポイント3のリストが終わった場合には、30分といった所定間隔が経過したか否かを判定する(ステップS15)。所定間隔が経過すると、ステップS11に進んで、無線アクセスポイント3に関する通信情報等の更新を再開する。DNSサーバ2は、登録要求C11を送信する。一方、DNSサーバ2の登録処理を終了すると判定した場合には、処理を終了する(ステップS16)。
以上のように、DNSサーバ2は、自身が直接に接続可能な無線アクセスポイント3についての通信情報等を最新に維持することができる。
更に、DNSサーバ2は、図9に示すように、無線アクセスポイント3からの登録要求C21に応じて、無線アクセスポイント3に関する通信情報等を登録するプッシュ方式を採用してもよい。ここで、無線アクセスポイント3は、図10に示すように、DNSサーバ2に登録する無線アクセスポイント3に関する通信情報等を生成する(ステップS21)。このとき、無線アクセスポイント3は、例えば、接続台数、通信速度を計測する。
無線アクセスポイント3は、生成した無線アクセスポイント3に関する通信情報等をDNSサーバ2に送信する(ステップS22)。このとき、無線アクセスポイント3は、予め設定されたDNSサーバ2のIPアドレス宛に無線アクセスポイント3に関する通信情報等を送信する。DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3に関する通信情報等を登録すると、登録結果R21を無線アクセスポイント3に返信する。
その後、無線アクセスポイント3は、無線アクセスポイント3に関する通信情報等を送信してからの所定時間(例えば30分)が経過した場合に、ステップS21、S22を行う(ステップS23)。その後、無線アクセスポイント3に関する通信情報等の登録処理を終了すると判定した場合には、処理を終了する(ステップS24)。
以上のように、無線アクセスポイントは、自身の通信状況等をDNSサーバ2に送信して最新に維持することができる。
更に、無線アクセスポイント3は、自身の通信状況等を直接にユーザ端末1に送信する場合には、図11に示すように所定の間隔ごとに、自身の通信状況等を取得して、更新する。このとき、無線アクセスポイント3は、自身のみならず、他の無線アクセスポイント3の通信状況等も取得して、更新する。このために、無線アクセスポイント3は、予め簡易DNS機能を追加しておき、機能を有効にしておく。この簡易DNS機能は、DNSサーバ2の一部の必要最小限の機能のみを有する、というものである。
更に、DNSサーバ2は、図12に示すように、無線アクセスポイント3から情報更新要求C31が送信されない場合に、生存確認を行うことが望ましい。例えば、30分で無線アクセスポイント3からDNSサーバ2に対して情報更新要求C31を送信している場合において、60分に亘って情報更新要求C31を受信していない場合、DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3宛てに生存確認パケットを送信する。DNSサーバ2は、生存確認パケットに対して応答がない場合には、無線アクセスポイント3がユーザ端末1と接続する動作をしていないとして、当該情報を記録する。これにより、DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3の機能停止を管理できる。また、DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3がその機能を停止している情報を、他のDNSサーバ2にも送信して、情報を共有できる。
以上のように、この通信情報提供システムによれば、ユーザ端末1によって料金支払い登録をする前に、無線アクセスポイント3に関する通信情報を提示できる。したがって、この通信情報提供システムによれば、ユーザにとって適切な無線アクセスポイント3を選択することができる。具体的には、通信情報提供システムは、料金発生前に混雑状況や利用料金の情報を一元的に提供できる。したがって、通信情報提供システムは、明らかに混雑した無線アクセスポイント3への接続を料金支払前に回避して、より通信帯域が広い無線アクセスポイント3に接続することを選択することができる。
また、この通信情報提供システムによれば、無線アクセスポイント3に関する通信情報として接続料金、接続台数又は通信速度を提供できる。したがって、この通信情報提供システムによれば、ユーザが希望する接続料金、接続台数又は通信速度の無線アクセスポイント3を選択できる。
更に、この通信情報提供システムによれば、無線アクセスポイント3に関する通信情報として無線アクセスポイント3の属するカテゴリを識別する識別情報を提供できる。したがって、この通信情報提供システムによれば、ユーザが希望する特定の無線アクセスポイント3を容易に選択させることができる。例えば、ユーザが希望する無線アクセスポイント3のカバーエリア、無線アクセスポイント3を運営する事業者といった静的な情報を選択できる。更に、ドメイン名の一部に事業者名を有することで、事業社名でDNSサーバ2に問い合わせることにより当該事業者ごとの他の無線アクセスポイント3の情報を得ることができる。
更にまた、この通信情報提供システムによれば、保持している無線アクセスポイント3に関する通信情報を定期的に更新できる。したがって、この通信情報提供システムによれば、無線アクセスポイント3の接続台数や平均通信帯域が刻々と変動しても、当該変動を反映した無線アクセスポイント3に関する通信情報を提供できる。したがって、通信情報提供システムによれば、ユーザにとって更に適切な無線アクセスポイント3を選択させることができる。
上述した通信情報提供システムにおいて、無線アクセスポイント3に関する通信情報は当該無線アクセスポイント3の位置情報を含んでいてもよい。DNSサーバ2は、ユーザ端末1から位置情報及び探索範囲を含む問い合わせを受け付ける。これに応じ、DNSサーバ2は、ユーザ端末1の位置情報と無線アクセスポイント3の位置情報とに基づいて、ユーザ端末1から探索範囲に位置する無線アクセスポイント3を抽出する。これにより、DNSサーバ2は、抽出した無線アクセスポイント3に関する通信情報を提供する。
具体的には、ユーザ端末1は、図13に示すように、接続可能な無線アクセスポイント3Aに接続し、接続要求としてのクエリに、ユーザ端末1の位置情報及び探索範囲としての半径情報を含める。DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3を介してユーザ端末1から送信された接続要求を受信する。DNSサーバ2は、接続要求に含まれるユーザ端末1の位置から、指定された半径の探索範囲に位置する無線アクセスポイント3を抽出する。ユーザ端末1には、そのレスポンスとして、ユーザ端末1から指定した半径の探索範囲に位置する無線アクセスポイント3のリストが送信される。これにより、ユーザ端末1は、自身が通信可能範囲にない未検知の無線アクセスポイント3Dをユーザに提示できる。
このような通信情報提供システムにおいて、DNSサーバ2は、IPv6アドレスの一部に位置情報を埋め込んで無線アクセスポイント3を登録してもよい。例えば、図14(a)に示すように、ドメイン名「<vender>.ap.info」の配下にIPv6アドレスを登録する。このIPv6アドレスは、図14(b)に示すように、アクセスポイントを特定する識別子としての<ap name>に対応して、IPv6アドレスが登録されている。このIPv6アドレスは、ネットワークプリフィックスと、位置情報が埋め込まれたインターフェースIDとを含む。したがって、DNSサーバ2は、ドメイン名に対応したIPv6アドレスから無線アクセスポイント3の位置情報を取得できる。なお、IPv6アドレスに位置情報を埋め込む技術は、既知のものが使用可能である。
また、DNSサーバ2は、図15(a)に示すような無線アクセスポイント3及び事業者を特定するドメイン名の配下に、図15(b)のような位置情報であることを示す識別子を設けてもよい。この識別子に対応して、テキストデータで位置情報は登録される。これにより、DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3に対応した位置情報を取得できる。
なお、無線アクセスポイント3の位置情報は、座標値であってもよく、マップ情報でもよく、その他の位置を特定できる情報であればよい。また、無線アクセスポイント3の位置情報は、当該無線アクセスポイント3を識別する情報として活用されてもよい。
このような通信情報提供システムは、図16に示すように、(1)ユーザ端末1から無線アクセスポイント3に、ユーザ端末1の位置情報及び探索範囲としての半径情報を含む探索要求が送信される。無線アクセスポイント3は、受信した探索要求をDNSサーバ2に送信する。なお、探索範囲は、所定値であってもよく、ユーザ端末1によって異なっていてもよい。例えば、ユーザが希望する距離を探索範囲として設定できる。
DNSサーバ2は、図17に示すように、無線アクセスポイント3の探索要求を受信する(ステップS31)。これに応じ、DNSサーバ2は、保持しておいた無線アクセスポイント3のリストを取得する(ステップS32)。DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3のリストの最初から順次、無線アクセスポイント3に関する位置情報を取得する(ステップS34)。DNSサーバ2は、取得した位置情報と、探索要求に含まれているユーザ端末1の位置情報から探索範囲に含まれる無線アクセスポイント3の条件とを比較する(ステップS35)。無線アクセスポイント3の条件に一致する無線アクセスポイント3がある場合(ステップS36)、DNSサーバ2は、返答する無線アクセスポイント3のリストに追加する(ステップS37)。DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3のリストの最後までステップS34〜ステップS37の処理を行った場合に(ステップS33)、処理を終了する。
このような通信情報提供システムによれば、ユーザ端末1の位置及び探索範囲を含む要求を送信して、探索範囲内で利用可能な無線アクセスポイント3の通信状況等を取得できる。したがって、例えばユーザ端末1の無線通信可能範囲に希望する条件の無線アクセスポイント3がない場合であっても、探索範囲に存在する無線アクセスポイント3をユーザに提示できる。また、この通信情報提供システムによれば、ユーザ端末1の無線通信可能範囲に無線アクセスポイント3が1台もなくても、ユーザ端末1がDNSサーバ2に直接接続すれば有線で無線アクセスポイント3の位置を取得できる。更に、このDNSサーバ2によれば、無線アクセスポイント3の識別情報として無線アクセスポイント3の位置を提示することによって、ユーザ端末1の近くの無線アクセスポイント3の位置を提示できる。これにより、通信情報提供システムは、ユーザに容易に無線アクセスポイント3を見つけさせることができる。
更に、上述した通信情報提供システムにおいて、無線アクセスポイント3の通信情報として、無線アクセスポイント3が、ユーザ端末1が当該無線アクセスポイントに接続可能とするID等の情報を提供しているか否かの情報を含んでいることが望ましい。
上述した通信情報提供システムにおける通常の無線アクセスポイント3は、図18に示すように、定期的に、ユーザ端末1に受信可能なIDを送信している。これにより、ユーザ端末1は、周囲に接続可能な無線アクセスポイント3Aが存在していることを認識できる。しかし、無線アクセスポイント3Bは、その設定がステルスモードとなっている。このステルスモードは、周囲にIDを送信しない動作モードである。したがって、無線アクセスポイント3Bには、予めIDを記憶又はユーザが入力したユーザ端末1のみを接続可能とする。
このように、ステルスモードの無線アクセスポイント3を含む通信情報提供システムにおいて、DNSサーバ2は、無線アクセスポイント3に関する通信情報として、無線アクセスポイント3のID及びサービス提供の有無を保持してもよい。このサービス提供の有無は、無線アクセスポイント3が、ユーザ端末1が接続可能であることの情報を提供しているか否かの情報である。このサービス提供の「有」は、無線アクセスポイント3によってIDを送信していることを表す。一方、サービス提供の「無」は、無線アクセスポイント3によってIDを送信していないことを表す。なお、このサービス提供の有無を含む無線アクセスポイント3の状態情報は、無線アクセスポイント3の通信状況や識別情報としてDNSサーバ2に記憶していてもよい。
ユーザ端末1は、サービス提供の有無に関する情報を提示するために、ステルスモード等となっている無線アクセスポイント3の通信情報を要求してもよい。ユーザ端末1は、DNSサーバ2からサービス提供の有無を含む無線アクセスポイント3に関する通信情報を受信する。これにより、ユーザ端末1は、ステルスモードの無線アクセスポイント3が接続可能な位置に存在することを認識できる。ユーザ端末1は、ユーザの操作に応じて、ステルスモードの無線アクセスポイント3に接続できる。
このような通信情報提供システムによれば、自動的に検出可能な無線アクセスポイント3のみならず、ステルスモードの無線アクセスポイント3に関する通信情報も取得できる。したがって、この通信情報提供システムによれば、無線アクセスポイント3がステルスモードで動作していても、ユーザ端末1が無線アクセスポイント3の状態情報を参照してサービスを提供していることを確認できる。これにより、ユーザが事業者からの事前情報なしにステルスモードの無線アクセスポイント3を発見でき、ステルスモードで動作する無線アクセスポイント3に容易に接続することができる。
更に、上述した通信情報提供システムにおいて、無線アクセスポイント3に関する通信情報として、無線アクセスポイント3の通信履歴情報を保持してもよい。この無線アクセスポイント3の通信履歴情報は、図19に示すように、時間に対するユーザ端末1の接続台数の変化が挙げられる。この通信履歴情報によれば、無線アクセスポイント3の接続台数が少なく、通信帯域が大きい時間帯がある。なお、通信履歴情報は、グラフ化等、可視化してユーザ端末1に表示することが望ましい。この通信履歴情報の可視化処理は、無線アクセスポイント3又はDNSサーバ2の何れかで行ってもよく、ユーザ端末1によって行ってもよい。
無線アクセスポイント3の通信履歴情報は、当該無線アクセスポイント3がリアルタイム又は所定時間ごとに計測される。無線アクセスポイント3は、当該自身の通信履歴情報をDNSサーバ2に送信する。これにより、DNSサーバ2は、各無線アクセスポイント3の通信履歴情報を登録できる。
このように、通信情報提供システムは、無線アクセスポイント3又はDNSサーバ2から、ユーザ端末1に、無線アクセスポイント3の通信履歴情報を提供できる。したがって、ユーザ端末1は、ユーザに、通信帯域が大きい時間帯や、通信が輻輳する時間帯などを提示できる。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。